説明

鉄筋の継手構造

【課題】つなぎ合わせる各鉄筋を各鉄筋の端部の機械加工により繋げるようにする。
【解決手段】この継手構造は、一方の鉄筋11の端部に軸方向に向けてテーパ形状の凹部110が機械加工により形成され、他方の鉄筋22の端部に軸方向に向けてテーパ形状の凸部121が機械加工により形成され、凹部110に対して凸部121が冷やしばめ又は焼きばめ又は圧入により嵌め込まれて、各鉄筋11、12が接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造などに使用する鉄筋の継手構造に関し、特に、鉄筋の機械式継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄筋コンクリート構造物などに使用される鉄筋は、運搬や作業上の制約から所定の長さに切断されているため、軸方向に長い構造物を構築する場合には、複数の鉄筋をつなぎ合わせて使用している。そして、この場合に、複数の鉄筋を接続し、鉄筋に作用する力を伝達するための種々の継手構造が採られている。この鉄筋の継手構造には、接続する鉄筋を相互に突き合わせた後に接合する母材面に軸方向に圧縮応力を与えながらガス炎で加熱して接合するガス圧接式継手、鉄筋同士を溶接してつなぎ合わせる溶接式継手、鋼管スリーブを鉄筋表面のねじにねじ込んだり鋼管スリーブ内にモルタル若しくは樹脂を注入することによって締結する機械式継手などがある。
【0003】
これらの継手のうち、機械式継手が特許文献1などに開示されている。この文献1は鉄筋の継手構造に関するもので、この継手構造は、相対する鉄筋同士を、鋼管からなる継手金具と有機グラウト材(例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂など)による接着剤を使用して接合する形式を採り、継手内部に特別な突起を設ける必要がなく、大掛かりな機材を使う必要もなく、施工誤差を容易に吸収できる鉄筋継手を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−324112公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の継手構造では、特に、機械式継手構造の場合、鋼管スリーブやグラウト材などの鉄筋とは別の部品や材料が必要で、これらの部品、材料管理を併せて行わなければならない、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、この種の鉄筋の継手構造において、つなぎ合わせる各鉄筋を各鉄筋の端部の機械加工により繋げるようにして、従来必要とされる鋼管スリーブやグラウト材など鉄筋とは別の部品や材料を不要とすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の鉄筋の継手構造は、一方の鉄筋の端部に対して他方の鉄筋の端部が突き合わされて接合される鉄筋の継手構造において、前記一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部が形成され、前記他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部が形成され、前記凹部に対して前記凸部が冷やしばめ又は焼きばめ又は圧入により嵌め込まれて、前記各鉄筋が接合される、ことを要旨とする。
また、この鉄筋の継手構造では各部が次のように具体化される。
(1)一方の鉄筋の凹部は略テーパ形状又は略筒形形状に形成され、他方の鉄筋の凸部は略テーパ形状又は略筒形形状に形成される。
(2)一方の鉄筋の凹部及び他方の鉄筋の凸部にそれぞれ、軸方向に対して直交する方向に相互に連通可能な穴が貫通形成され、前記凹部に前記凸部が嵌め込まれた状態で前記凹部及び前記凸部の穴間に接合ピンが挿着される。なお、接合ピンははめ合い形状とする。
【0008】
また、本発明の鉄筋の継手構造は、一方の鉄筋の端部に対して他方の鉄筋の端部が突き合わされて接合される鉄筋の継手構造において、前記一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部が形成され、当該凹部の内周面にねじが切られ、前記他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部が形成され、当該凸部の外周面にねじが切られ、前記凹部に対して前記凸部が接着剤を介してねじ締結により締め付けられて、前記各鉄筋が接合される、ことを要旨とする。
この場合、他方の鉄筋の端部に形成される凸部及びねじは、前記端部に機械加工により軸方向に向けて形成されるねじ穴と、前記ねじ穴に締結される接合ねじとからなり、前記ねじ穴に対して前記接合ねじが接着剤を介してねじ締結により固着されるようにしてもよい。
なお、この継手構造では、ねじに焼き付き防止の処置が施されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鉄筋の継手構造によれば、一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部を形成し、他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部を形成し、凹部に対して凸部を冷やしばめ又は焼きばめ又は圧入により嵌め込んで、各鉄筋を接合するので、つなぎ合わせる一方及び他方の各鉄筋を各鉄筋の端部の機械加工により繋ぐことができ、従来必要とされる鋼管スリーブやグラウト材など鉄筋とは別の部品や材料を不要とすることができる、という効果を奏する。また、この場合、各鉄筋の端部を接合ピンにより結合することで、各鉄筋の接合をより向上させることができる、という利点がある。
また、本発明の鉄筋の継手構造によれば、一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部及びねじを形成し、他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部及びねじを形成し、これらの凹部と凸部を接着剤を介してねじ締結により接合するので、つなぎ合わせる一方及び他方の各鉄筋を各鉄筋の端部の機械加工により繋ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態における鉄筋の継手構造を示す図
【図2】本発明の第2の実施の形態における鉄筋の継手構造を示す図
【図3】本発明の第3の実施の形態における鉄筋の継手構造を示す図
【図4】本発明の第4の実施の形態における鉄筋の継手構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1に第1の実施の形態を示している。図1に示すように、鉄筋の継手構造1は少なくとも上下(又は左右)2本の鉄筋11、12を備え、これらの鉄筋11、12が一方の鉄筋11の端部に対し他方の鉄筋12の端部が新たな継手形式により突き合わされて接合される。なお、この場合、鉄筋11、12は棒状の鋼材の表面にリブや節と呼ばれる凹凸の突起を設けた異形鉄筋、又は丸鋼のいずれでもよく、いずれの鉄筋にもこの継手形式を適用することができる。
【0012】
この鉄筋の継手構造1では、一方の鉄筋11の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部110が形成され、他方の鉄筋12の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部121が形成され、これらの凹部110と凸部121がはめ合いによって接合される。この継手構造1の場合、一方の鉄筋11において、接合側の端部の端面(中心)に凹部110が他端部に向けて所定の深さに漸次小径のテーパ形状に切削加工される。これに対して、他方の鉄筋12においては、接合側の端部に凸部121が接合側の端部から他端部に向けて漸次大径のテーパ形状(つまり、先細のテーパ形状)に切削加工される。このとき、この凹部110内の空間のテーパ形状と凸部121のテーパ形状はそれぞれ相似形の関係になっていて、凹部110と凸部121は外形が同じで異なる大きさを有している。この場合、凹部110に対して凸部121が少し大きく形成される。そして、この凹部110に対して凸部121が冷やしばめにより接合される。この場合、図1中に示すように、凸部121が冷却媒体(この場合、N2(窒素)ガス)により所定の温度まで冷却されて凹部110内に嵌合可能に所定の外径まで収縮され、この縮径された凸部121が凹部110内に嵌め込まれる。そして、この凸部121は加熱により拡径されて凹部110に結合される。このようにしてこれらの鉄筋11、12はそれぞれ接合側端部を付き合わせて接合される。各鉄筋11、12の脱落(外れ)防止作用は、各鉄筋11、12の機械加工面、すなわちテーパ形状の凹部110とテーパ形状の凸部121の接触面の抵抗によりなされる。
【0013】
また、この鉄筋の継手構造1では、鉄筋同士をより確実につなぎ合わせるために、接合ピン13を用いた脱落防止処置が採られている。この場合、一方の鉄筋11の凹部110(の周面)及び他方の鉄筋12の凸部121(の周面)にそれぞれ、軸方向に対して直交する方向に相互に連通可能な円筒形の穴112、122が貫通形成され、凹部110に対して凸部122が嵌め込まれた状態で、凹部110及び凸部121の穴112、122間に円筒形の接合ピン13が挿着される。なお、接合ピン13は端面が複数のポンチでノックされて、廻り止めが施される。
【0014】
以上説明したように、この実施の形態によれば、上下(又は左右)の鉄筋11、12のうち、一方の鉄筋11の端部に機械加工により軸方向に向けてテーパ形状の凹部110を形成し、他方の鉄筋12の端部に機械加工により軸方向に向けてテーパ形状の凸部121を形成し、凹部110に対して凸部121を冷やしばめにより嵌め込んで、各鉄筋11、12を接合するので、つなぎ合わせる一方及び他方の各鉄筋11、12を各鉄筋11、12の端部の機械加工により繋ぐことができ、従来必要とされる鋼管スリーブやグラウト材など鉄筋11、12とは別の部品や材料を不要とすることができる。また、この鉄筋の継手構造1では、凹部110と凸部121との間に接合ピン13を通して脱落防止処置を採っているので、各鉄筋11、12の接合状態をより向上させることができる。
【0015】
なお、この実施の形態では、一方の鉄筋11の端部に機械加工により凹部110を形成し、他方の鉄筋12の端部に機械加工により凸部121を形成し、凹部110に対して凸部121を冷やしばめにより嵌め込んで、各鉄筋11、12を接合したが、凹部と凸部を焼きばめ又は圧入により嵌め込むようにしてもよい。
(1)焼きばめの場合、一方の鉄筋において、接合側の端部の端面(中心)に凹部を他端部に向けて所定の深さに漸次小径のテーパ形状に切削加工し、他方の鉄筋においては、接合側の端部に凸部を接合側の端部から他端部に向けて所定の長さに漸次大径のテーパ形状(つまり、先細のテーパ形状)に切削加工する。このとき、凹部内の空間のテーパ形状と凸部のテーパ形状とをそれぞれ相似形の関係とし、凹部と凸部を外形が同じで異なる大きさに形成する。この場合、凹部に対して凸部を少し大きく形成する。そして、この凹部に対して凸部を焼きばめにより接合する。すなわち、凹部に所定の温度まで熱を加えてこの凹部を凸部が嵌合可能に所定の外径まで膨張させ、この拡径された凹部に凸部を嵌挿した後、この凹部を冷却により収縮させて結合する。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
(2)圧入の場合、一方の鉄筋において、接合側の端部の端面(中心)に凹部を他端部に向けて所定の深さに漸次小径のテーパ形状に切削加工し、他方の鉄筋においては、接合側の端部に凸部を接合側の端部から他端部に向けて所定の長さに漸次大径のテーパ形状(つまり、先細のテーパ形状)に切削加工する。このとき、凹部内の空間のテーパ形状と凸部のテーパ形状とをそれぞれ相似形の関係とし、凹部と凸部を外形が同じで異なる大きさに形成する。この場合、凹部に対して凸部を少し大きく形成する。そして、この凹部に対して凸部を圧入により接合する。すなわち、凹部と凸部を突き合わせ、凸部側に圧力を加えて、凹部内に凸部を圧入し結合する。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
また、この実施の形態では、凹部110及び凸部121の周面に円筒形の穴112、122を設け、これらの穴112、122に円筒形の接合ピン13を挿着したが、これらの穴をテーパ状に形成し、これらの穴にテーパ状の接合ピンを差し込むようにしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
図2に第2の実施の形態を示している。図2に示すように、鉄筋の継手構造2は少なくとも上下(又は左右)2本の鉄筋21、22を備え、これらの鉄筋21、22が一方の鉄筋21の端部に対し他方の鉄筋22の端部が新たな継手形式により突き合わされて接合される。なお、この場合も、鉄筋21、22は異形鉄筋、又は丸鋼のいずれでもよく、いずれの鉄筋にもこの継手形式を適用することができる。
【0018】
この鉄筋の継手構造2では、一方の鉄筋21の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部210が形成され、他方の鉄筋22の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部221が形成され、これらの凹部210と凸部221がはめ合いによって接合される。この継手構造2の場合、一方の鉄筋21において、接合側の端部の端面(中心)に凹部210が他端部に向けて所定の深さに円筒形形状又は角筒形形状に切削加工される。これに対して、他方の鉄筋22においては、接合側の端部に凸部221が接合側の端部から他端部に向けて所定の長さの円筒形形状又は角筒形形状に切削加工される。このとき、凹部210内の空間の円筒形形状又は角筒形形状と凸部221の円筒形形状又は角筒形形状はそれぞれ相似形の関係になっていて、凹部210と凸部221は外形が同じで異なる大きさを有している。この場合、凹部210に対して凸部221が少し大きく形成される。そして、この凹部210に対して凸部221が冷やしばめにより接合される。この場合、図2中に示すように、凸部221が冷却媒体(この場合、N2(窒素)ガス)により所定の温度まで冷却されて凹部210内に嵌合可能に所定の外径まで収縮され、この縮径された凸部221が凹部210内に嵌め込まれる。そして、この凸部221が加熱により拡径されて凹部210に結合される。このようにしてこれらの鉄筋21、22はそれぞれ接合側端部を付き合わせて接合される。各鉄筋21、22の脱落(外れ)防止作用は、各鉄筋21、22の機械加工面、すなわち円筒形形状又は角筒形形状の凹部210と円筒形形状又は角筒形形状の凸部221の接触面の抵抗によりなされる。
【0019】
また、この鉄筋の継手構造2においても、鉄筋21、22同士をより確実につなぎ合わせるために、第1の実施の形態と同様に、接合ピン13を用いた脱落防止処置が採られている。なお、この接合ピン13による接合形式は第1の実施の形態と同様で、既述のとおりである。
【0020】
このようにしても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0021】
なお、この実施の形態でも、一方の鉄筋21の端部に機械加工により軸方向に向けて筒形形状の凹部210を形成し、他方の鉄筋22の端部に機械加工により軸方向に向けて筒形形状の凸部221を形成し、凹部210に対して凸部221を冷やしばめにより嵌め込んで、各鉄筋21、22を接合したが、凹部210と凸部221を焼きばめ又は圧入により嵌め込むようにしてもよい。
(1)焼きばめの場合、一方の鉄筋において、接合側の端部の端面(中心)に凹部を他端部に向けて所定の深さの筒形形状に切削加工し、他方の鉄筋においては、接合側の端部に凸部を接合側の端部から他端部に向けて所定の長さの筒形形状に切削加工する。このとき、凹部内の空間の筒形形状と凸部の筒形形状とをそれぞれ相似形の関係とし、凹部と凸部を外形が同じで異なる大きさに形成する。この場合、凹部に対して凸部を少し大きく形成する。そして、この凹部に対して凸部を焼きばめにより接合する。すなわち、凹部に所定の温度まで熱を加えてこの凹部を凸部が嵌合可能に所定の外径まで膨張させ、この拡径された凹部に凸部を嵌挿した後、この凹部を冷却により収縮させて結合する。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
(2)圧入の場合、一方の鉄筋において、接合側の端部の端面(中心)に凹部を他端部に向けて所定の深さの筒形形状に切削加工し、他方の鉄筋においては、接合側の端部に凸部を接合側の端部から他端部に向けて所定の長さの筒形形状に切削加工する。このとき、凹部内の空間の筒形形状と凸部の筒形形状とをそれぞれ相似形の関係とし、凹部と凸部を外形が同じで異なる大きさに形成する。この場合、凹部に対して凸部を少し大きく形成する。そして、この凹部に対して凸部を圧入により接合する。すなわち、凹部と凸部を突き合わせ、凸部側に圧力を加えて、凹部内に凸部を圧入し結合する。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
図3に第3の実施の形態を示している。図3に示すように、鉄筋の継手構造3は少なくとも上下(又は左右)2本の鉄筋31、32を備え、これらの鉄筋31、32が一方の鉄筋31の端部に対し他方の鉄筋32の端部が新たな継手形式により突き合わされて接合される。なお、この場合も、鉄筋31、32は異形鉄筋、又は丸鋼のいずれでもよく、いずれの鉄筋にもこの継手形式を適用することができる。
【0023】
この鉄筋の継手構造3では、一方の鉄筋31の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部310が形成され、当該凹部310の内周面にねじ311が切られ、他方の鉄筋32の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部321が形成され、当該凸部321の外周面にねじ322が切られ、これらの凹部310と凸部321が接着剤33を介してねじ締結によって接合される。この継手構造3の場合、一方の鉄筋31において、接合側の端部の端面(中心)に凹部310が他端部に向けて所定の深さの円筒形形状に形成され、当該凹部310の内周面にねじ(雌ねじ)311が切られる。これに対して、他方の鉄筋32においては、接合側の端部に凸部321が接合側の端部から他端部に向けて所定の長さの円筒形形状に形成され、当該凸部321の外周面にねじ(雄ねじ)322が切られる。このようにして一方の鉄筋31の凹部310に対して他方の鉄筋32の凸部321が螺合可能になっている。そして、この凹部310のねじ311に接着剤33が塗布されるとともに、凸部321のねじ322に焼き付き防止の処置(焼き付き防止用のシールテープ34を巻くなど)が施され、凹部310に対して凸部321がねじ311、322を介して締め付けられて接合される。このようにしてこれらの鉄筋31、32はそれぞれ接合側端部を付き合わせて接合される。
【0024】
以上説明したように、この実施の形態によれば、上下(又は左右)の鉄筋31、32のうち、一方の鉄筋31の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部310及び(雌)ねじ311を形成し、他方の鉄筋32の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部321及び(雄)ねじ322を形成し、これらの凹部310と凸部321を接着剤33を介してねじ締結により接合するので、つなぎ合わせる一方及び他方の各鉄筋31、32を各鉄筋31、32の端部の機械加工により繋ぐことができる。
【0025】
図4に第4の実施の形態を示している。図4に示すように、鉄筋の継手構造4は少なくとも上下(又は左右)2本の鉄筋41、42を備え、これらの鉄筋41、42が一方の鉄筋41の端部に対し他方の鉄筋42の端部が新たな継手形式により突き合わされて接合される。なお、この場合も、鉄筋41、42は異形鉄筋、又は丸鋼のいずれでもよく、いずれの鉄筋にもこの継手形式を適用することができる。
【0026】
この鉄筋の継手構造4では、一方の鉄筋41の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部410が形成され、当該凹部410の内周面にねじ411が切られ、他方の鉄筋42の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部421が形成され、当該凸部421の外周面にねじ422が切られ、これらの凹部410と凸部421が接着剤43を介してねじ締結によって接合される。この継手構造4の場合、一方の鉄筋41においては、第3の実施の形態と同様に、接合側の端部の端面(中心)に凹部410が他端部に向けて所定の深さの円筒形形状に形成され、当該凹部410の内周面にねじ(雌ねじ)411が切られる。これに対して、他方の鉄筋42においては、第3の実施の形態と異なり、他方の鉄筋42の端部に形成される凸部421及びねじ422は、端部に機械加工により軸方向に向けてねじ穴423が形成され、このねじ穴423に接合ねじ(ねじ棒)424が締結されてなる。なお、この接合ねじ424には、母材強度よりも高い降伏点の材料が使用される。そして、このねじ穴423のねじ部に接着剤43が塗布されるとともに、接合ねじ424のねじ部に焼き付き防止の処置(焼き付き防止用のシールテープ44を巻くなど)が施され、ねじ穴423に対して接合ねじ424がねじを介して締め付けられて固着される。このようにして一方の鉄筋41の凹部410に対して他方の鉄筋42の凸部421が螺合可能になっている。そして、第3の実施の形態と同様に、凹部410のねじ411に接着剤43が塗布されるとともに、凸部421のねじ422に焼き付き防止の処置(焼き付き防止用のシールテープ44を巻くなど)が施され、凹部410に対して凸部421がねじ411、422を介して締め付けられて接合される。このようにしてこれらの鉄筋41、42はそれぞれ接合側端部を付き合わせて接合される。
【0027】
このようにしても第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 鉄筋の継手構造
11 鉄筋
110 凹部
112 穴
12 鉄筋
121 凸部
122 穴
13 接合ピン
2 鉄筋の継手構造
21 鉄筋
210 凹部
22 鉄筋
221 凸部
3 鉄筋の継手構造
31 鉄筋
310 凹部
311 ねじ
32 鉄筋
321 凸部
322 ねじ
33 接着剤
34 焼き付き防止用のシールテープ(焼き付き防止の処置)
4 鉄筋の継手構造
41 鉄筋
410 凹部
411 ねじ
42 鉄筋
421 凸部
422 ねじ
423 ねじ穴
424 接合ねじ(ねじ棒)
43 接着剤
44 焼き付き防止用のシールテープ(焼き付き防止用のシール材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の鉄筋の端部に対して他方の鉄筋の端部が突き合わされて接合される鉄筋の継手構造において、
前記一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部が形成され、
前記他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部が形成され、
前記凹部に対して前記凸部が冷やしばめ又は焼きばめ又は圧入により嵌め込まれて、前記各鉄筋が接合される、
ことを特徴とする鉄筋の継手構造。
【請求項2】
一方の鉄筋の凹部は略テーパ形状又は略筒形形状に形成され、他方の鉄筋の凸部は略テーパ形状又は略筒形形状に形成される請求項1に記載の鉄筋の継手構造。
【請求項3】
一方の鉄筋の凹部及び他方の鉄筋の凸部にそれぞれ、軸方向に対して直交する方向に相互に連通可能な穴が貫通形成され、前記凹部に前記凸部が嵌め込まれた状態で前記凹部及び前記凸部の穴間に接合ピンが挿着される請求項1又は2に記載の鉄筋の継手構造。
【請求項4】
一方の鉄筋の端部に対して他方の鉄筋の端部が突き合わされて接合される鉄筋の継手構造において、
前記一方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凹部が形成され、当該凹部の内周面にねじが切られ、
前記他方の鉄筋の端部に機械加工により軸方向に向けて凸部が形成され、当該凸部の外周面にねじが切られ、
前記凹部に対して前記凸部が接着剤を介してねじ締結により締め付けられて、前記各鉄筋が接合される、
ことを特徴とする鉄筋の継手構造。
【請求項5】
他方の鉄筋の端部に形成される凸部及びねじは、前記端部に機械加工により軸方向に向けて形成されるねじ穴と、前記ねじ穴に締結される接合ねじとからなり、前記ねじ穴に対して前記接合ねじが接着剤を介してねじ締結により固着される請求項4に記載の鉄筋の継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−140755(P2011−140755A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−578(P2010−578)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(508021082)株式会社ワイビーテクノ (2)
【Fターム(参考)】