説明

鉄道車両用ロールフィルタユニット

【課題】ロールフィルタのメンテナンス作業を簡易化することのできる鉄道車両用ロールフィルタユニットを提供する。
【解決手段】一対の巻き取りロール14,14に渡って張設された帯状のロールフィルタ15を一方の巻き取りロール14から他方の巻き取りロール14によって交互に巻き出し、巻き取ることによって往復運動させながら空気吸入口から吸入される空気中の塵埃を補集する鉄道車両用ロールフィルタユニットの各巻き取りロール14,14の巻き取り経路の近傍において、ロールフィルタ15を巻き取る際に該ロールフィルタ15の塵埃付着面に接触して塵埃を掻き落とすスクリューブラシ23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の空調装置に用いられる鉄道車両用ロールフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄道車両の空調装置の空気吸入口にロール状に巻かれたロールフィルタを配置し、塵埃が空調装置内部に侵入することを防ぐことが開示されている。この特許文献1に開示された鉄道車両では、一対のロールの一方に巻かれた帯状のロールフィルタの端部を他方のロールに固定し、他方のロールを所定間隔(所定時間)ごとに駆動することで、塵埃の付着したロールフィルタを順次巻き取り収納し、新たなロールフィルタの濾過面を空調装置の空気吸入口に提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−58584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るロールフィルタでは、一方のロールに巻かれたロールフィルタが全て巻き取られた際、他方のロールに巻かれた塵埃の付着したロールフィルタを清掃するメンテナンス作業が必要となる。このようなメンテナンス作業は、巻き取りが完了する度に行われ、ロールフィルタを天井部から取り外して清掃現場まで運搬し、その後ロールフィルタを清掃して再び天井部に取り付けるといった作業が必要であり、非常に手間のかかるものである。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、ロールフィルタのメンテナンス作業を簡易化することのできる鉄道車両用ロールフィルタユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として請求項1に係る発明は、一対の巻き取りロールに渡って張設された帯状のロールフィルタを一方の巻き取りロールから他方の巻き取りロールによって交互に巻き出し、巻き取ることによって往復運動させながら空気吸入口から吸入される空気中の塵埃を補集する鉄道車両用ロールフィルタユニットであって、前記各巻き取りロールの巻き取り経路の近傍に、前記ロールフィルタを巻き取る際に前記ロールフィルタの塵埃付着面に接触して塵埃を掻き落とすブラシを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ブラシと塵埃を収容するカートリッジとを一体形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記カートリッジの側壁に塵埃の量を確認するための確認窓を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記カートリッジの底壁の開口部を、閉方向に付勢された状態で閉塞し、内部に押し開き可能な開閉扉を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記一対のカートリッジと、これら一対のカートリッジをその両端部で連結するプーリーユニットとを備えたフレームの一側に、車両の天井部に回動自在に支持される軸部を設け、前記フレームの他側に車両の天井部に係脱可能に取り付けられるロック機構を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記ブラシは前記ロールフィルタの移動方向と逆行する方向に回転するスクリューブラシであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、一方のロールを巻き取り側に他方のロールを巻き出し側にして、空気吸入口に新しい濾過面を位置させて塵埃を除去し、順次ロールフィルタを巻き取りながらブラシにより巻き取る直前で塵埃を除去することができるため、巻き取られたロールフィルタには塵埃が除去され、再度巻き出された際に塵埃を除去された状態で用いることができるので、ロールフィルタの取り外し作業、清掃作業を省略して、ロールフィルタのメンテナンス作業を簡易化できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ブラシによって掻き落とされた塵埃を飛散させることなくカートリッジ内に収めることができるため、補集された塵埃によって空調環境を悪化させることをなくすことができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、カートリッジ内の塵埃の量を容易に確認することができるため、メンテナンス作業のタイミングを最適時期に設定することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、カートリッジ内に吸引ノズルを容易に挿入して、掃除機等によって塵埃を吸引回収することが可能となるため、吸引ノズルを引き出すと、自動的に開閉扉が閉じ周囲に塵埃が飛散することがなく、カートリッジ内の清掃作業を容易に行える。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、一側に設けた軸部を中心にフレームを回転させて、他側のロック機構で天井部に係止することで、天井部に鉄道車両用ロールフィルタユニットを取り付けることが可能となり、使い勝手に優れ、また取り外し作業の作業性を向上できる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、フィルタが移動する力とブラシが回転する力の双方を使って、相対速度を大きく確保して短時間でダストを掻き落とすことが可能となるため、次に塵埃を捕集するために用いられる巻き取られたロールフィルタを、確実に塵埃が付着していない状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る鉄道車両用ロールフィルタユニットを備えた鉄道車両の内部を模式的に示した図である。
【図2】鉄道車両における鉄道車両用ロールフィルタユニットの配置を説明する図である。
【図3】鉄道車両用ロールフィルタユニットの底面図である。
【図4】鉄道車両用ロールフィルタユニットの側面図である。
【図5】鉄道車両用ロールフィルタユニットの正面図である。
【図6】鉄道車両用ロールフィルタユニットの背面図である。
【図7】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図8】鉄道車両用ロールフィルタユニットにおける塵埃除去を説明する図である。
【図9】ダスト吸入口塞ぎ板を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1は鉄道車両1の内部を模式的に示した図である。図1に示すように、鉄道車両1の車体2の下方には車輪3が左右に配され、屋根上には車幅方向に延びる空調装置4が設けられている。空調装置4の中央及び両側部にはそれぞれ送風口5及び送風口5’が形成され、これらの間には空気吸入口6,6が形成されている。なお、図1においては送風口5及び送風口5’の間に空気吸入口6,6が位置しているように図示しているが、厳密には空気吸入口6,6は送風口5及び送風口5’と前後方向で離間している。本図においては紙面直交方向において紙面手前側が鉄道車両1の前方であるものとする。
【0020】
図1において、矢印Aは送風口5から送風される清浄風、矢印A’は送風口5’から送風される清浄風を示し、矢印Bは車体2の内部を循環して上方に向けて空気吸入口6,6に向かう塵埃を含んだ風を示している。鉄道車両用ロールフィルタユニット(以下、単にロールフィルタユニットという)7は、車両前後方向に沿って長い平面視で長方形状を呈しており、上方に向かう風Bに含まれる塵埃を除去するための装置であり、空気吸入口6,6の下方にそれぞれ一対配置され、図2に示すように合計4機配置されている。なお、以下では、鉄道車両1の前後方向、車幅方向、上下方向を基準に、ロールフィルタユニット7の前後方向、幅方向、上下方向を説明し、前方をFr、後方をRr、上方をU、下方をDとする。
【0021】
図3に示すようにロールフィルタユニット7は、前側に配置され幅方向に沿って延びる前側プーリーユニット8と、前側プーリーユニット8の後方に配置され幅方向に沿って延びる後側プーリーユニット9と、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の一端に連結され前後方向に沿って延びる一側カートリッジユニット10と、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の他端に連結され前後方向に沿って延びる他側カートリッジユニット11とを有している。前側プーリーユニット8、後側プーリーユニット9、一側カートリッジユニット10及び他側カートリッジユニット11は連結することで長方形状の枠体を構成し、ロールフィルタユニット7のフレームを構成している。
【0022】
前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9は箱状に形成され、それぞれの両側内部には前側樹脂ベアリング12,12及び後側樹脂ベアリング13,13が固定支持されている。前側樹脂ベアリング12,12及び後側樹脂ベアリング13,13には、前側プーリーユニット8から後側プーリーユニット9にかけて前後方向に沿って延びる一対のロール軸14,14が軸支されている。
【0023】
ロール軸14,14には、図7に示すように、一端を一方のロール軸14に固定し、他端を他方のロール軸14に固定する帯状のロールフィルタ15が巻回されている。また、ロール軸14,14の後端にはギヤ(図示せず)が固定され、これらギヤは後側プーリーユニット9の後面に前側を固定された双方向回転可能な一対のフィルタ駆動電動機16,16の回転軸先端のギヤに噛合している。なお、フィルタ駆動電動機16,16は制御回路(図示せず)に接続しており、双方向の回転を制御される。
【0024】
前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9には、前側プーリーユニット8から後側プーリーユニット9にかけて前後方向に沿って延び、ロール軸14,14によるロールフィルタ15の巻き取り経路を構成する複数のガイドシャフトが支持されている。具体的には、図7の断面図に示すように、ロール軸14,14の幅方向外側かつ上方に位置する一対のガイドシャフトA17,17と、ロール軸14,14の幅方向外側かつ下方に位置し、ガイドシャフトA17,17の略直下に位置する一対のガイドシャフトB18,18と、ガイドシャフトB18,18の水平面上において幅方向内側に位置する一対のガイドシャフトC19,19とが支持されている。一方のロール軸14から延出するロールフィルタ15は、幅方向外側かつ上方に延び、一方のガイドシャフトA17を経由して下方に延び、その後、一方のガイドシャフトB18を経由し略水平状態で空気吸入口6に沿って延出して、ガイドシャフトC19,19の下方を通過する。そして、ロールフィルタ15は、他側のガイドシャフトB18を経由して上方に延出し、他側のガイドシャフトA17を経由して他方のロール軸14に巻回されている。なお、図3においては、説明の便宜のため、ロールフィルタ15を図示していない。
【0025】
前側プーリーユニット8の幅方向中央付近には、図7に示すように双方向回転可能な一対のブラシ駆動電動機20,20が幅方向に並んだ状態で固定されている。ブラシ駆動電動機20,20の回転軸は、前方に向けて突出し、その先端には主動軸プーリー21,21が固定されている。主動軸プーリー21,21にはタイミングベルト22,22が巻回され、タイミングベルト22,22はそれぞれ、一側及び他側カートリッジユニット10,11側へ延びている。なお、ブラシ駆動電動機20,20は制御回路(図示せず)に接続しており、双方向の回転を制御される。
【0026】
また、前側プーリーユニット8においてブラシ駆動電動機20,20の周囲にはコ字の壁部8Aが形成され、後側プーリーユニット9においては壁部8Aの後方延長上に形成される壁部8Aと同一形状の壁部(図示せず)が形成されている。前側プーリーユニット8の壁部8Aの両側部と後側プーリーユニット9の壁部の両側部には、これらに渡り前後方向に沿って延び、かつ、その下部が幅方向外側に向けて斜め下方に折れ曲がるルーバー34,34が固定されている。
【0027】
一側カートリッジユニット10及び他側カートリッジユニット11は、図7に示すように上下方向において上部側に、幅方向内側に開口し、かつ前後方向において全域に渡り開口する開口部33,33を有する箱状の一側カートリッジ本体10A,他側カートリッジ本体11Aを有している。一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aは、開口部33,33の近傍内部において、前後方向に沿って延びる一対のスクリューブラシ23,23を回転可能に支持し、スクリューブラシ23,23の一部は開口部33,33を覆った状態で外側に突出している。
【0028】
スクリューブラシ23,23は、軸部24,24と、軸部24,24から放射状に突出するブラシ部25,25とを有してなり、軸部24,24の前端側及び後端側は、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの前端側及び後端側に回転可能に軸支されている。また、軸部24,24の前端には従動軸プーリー26,26が固定され、従動軸プーリー26,26には前述したタイミングベルト22が巻回されている。
【0029】
ブラシ部25,25はポリエステル等の樹脂から毛体状に形成されたものであり、ロールフィルタ15の前後方向の長さと略同一の長さに渡り軸部24,24に植設されている。ブラシ部25,25の毛先は、図7に示すように開口部33,33から延出し、ガイドシャフトA17,17を介して下方に延びるロールフィルタ15に接触している。換言すれば、スクリューブラシ23,23は、ブラシ部25の毛先がロールフィルタ15の巻き取り経路に交錯するように、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aにおいて支持されている。なお、スクリューブラシ23,23は、図4に示すように前後方向の略中央においてブラシ部25が分離している。
【0030】
一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの下面(底壁)には、複数のダスト吸入口27が形成され、各ダスト吸入口27はダスト吸入口塞ぎ板28によって閉塞されている。ダスト吸入口塞ぎ板28は、図9に示すようにダスト吸入口27の内側から外側に向けて付勢力を与えるスプリング蝶番29を有し、スプリング蝶番29を回転中心として開閉される構成になっている。すなわち、ダスト吸入口塞ぎ板28は閉じ方向に付勢され、これを開く際には下方向から押し開くようにし、また、力を解除すると自然と閉じるようになっている。
【0031】
また、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの幅方向外側の側面(側壁)には、図4に示すように、複数のダスト確認窓30が形成されている。ダスト確認窓30は開口にアクリル板を貼り付けることで構成され、ダスト確認窓30からは、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの内部が視認できるようになっている。
【0032】
また、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の一側カートリッジユニット10側の上部には、それぞれ前方及び後方に向けて突出する、車体2の天井部に形成された係合部(穴等、図示せず)に係止された状態で回動自在に支持される軸部31,31が設けられ、他側カートリッジ本体11Aの前端及び後端には、それぞれ前方及び後方に向けて突出し、車体2の天井部に設けられた軸(図示せず)に係脱可能なロック機構32,32が設けられている。ロック機構32,32は、図5又は図6に示すように正面視で上方に向けて開口する溝部32Aを有し、ここに車体2の天井部に設けられた軸が入り込むに従い、内部に設けられたラッチ機構が回動し、前記天井部に設けられた軸を係止する構成になっている。また、ロック機構32には、車体2の天井部に設けられた軸の係合状態を解除する解除機構(図示せず)が設けられている。
【0033】
このように構成されたロールフィルタユニット7では、一方のロール軸14をフィルタ駆動電動機16で駆動することで他方のロール軸14に巻回されたロールフィルタ15を巻き取ることが可能になっている。この際、他方のロール軸14を駆動するフィルタ駆動電動機16はロールフィルタ15を巻き出す方向へ同期させてもよいし、停止させておいてもよい。また、ブラシ駆動電動機20,20を駆動することで、主動軸プーリー21、タイミングベルト22、及び従動軸プーリー26,26を介してスクリューブラシ23,23を回転させることが可能になっている。
【0034】
そして、実際にロールフィルタユニット7を使用する際には、フィルタ駆動電動機16を所定間隔(例えば、20時間)ごとに駆動し、ロール軸14,14間の水平方向長さ程度巻き取るようにし、塵埃の付着したロールフィルタ15を巻き取って収納するとともに、新たなロールフィルタ15を空調装置の空気吸入口6の下方に巻き出して提供する。そして、この際、ブラシ駆動電動機20により、ロールフィルタ15を巻き取るロール軸14側に位置するスクリューブラシ23をロールフィルタ15の移動方向と逆行する方向に回転させるように制御する。これにより、図8に示すように、スクリューブラシ23の回転により、ロールフィルタ15から塵埃Dが掻き落とされ、スクリューブラシ23を一体に支持している一側カートリッジ本体10A又は他側カートリッジ本体11Aの内部に外部に飛散することなく捕集される。
【0035】
このように本実施の形態では、ロールフィルタユニット7において、ロール軸14,14の巻き取り経路の近傍に、ロールフィルタ15を巻き取る際にロールフィルタ15の塵埃付着面に接触して塵埃を掻き落とすスクリューブラシ23を設けている。このような構成により、一方のロール軸14を巻き取り側に他方のロール軸14を巻き出し側にして、空気吸入口6に新しい濾過面を位置させて塵埃を除去し、順次ロールフィルタ15を巻き取りながらスクリューブラシ23により巻き取る直前で塵埃を除去することができ、巻き取られたロールフィルタ15には塵埃が除去され、再度巻き出された際に塵埃を除去された状態で用いることができるので、ロールフィルタ15の取り外し作業、清掃作業を省略して、ロールフィルタ15のメンテナンス作業を簡易化できる。
【0036】
そして、スクリューブラシ23はロールフィルタ15の移動方向と逆行する方向に回転するものであるため、ロールフィルタ15が移動する力とスクリューブラシ23が回転する力の双方を使って、相対速度を大きく確保して短時間で塵埃を掻き落とすことが可能となり、次に塵埃を捕集するために用いられる巻き取られたロールフィルタ15を確実にダ塵埃が付着していない状態にすることができる。
【0037】
また、スクリューブラシ23と塵埃を収容する一側カートリッジユニット10、他側カートリッジユニット11とを一体形成、すなわち、スクリューブラシ23を箱状の一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内に収容している。これにより、スクリューブラシ23によって掻き落とされた塵埃を飛散させることなく一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内に収めることができ、補集された塵埃によって空調環境を悪化させることをなくすことができる。
【0038】
また、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの側壁に塵埃の量を確認するためのダスト確認窓30を設けている。これにより、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内の塵埃量を容易に確認することができ、メンテナンスのタイミングを最適時期に設定することができる。
【0039】
また、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11Aの底壁にダスト吸入口27を形成し、閉方向に付勢された状態で閉塞し、内部に押し開き可能なダスト吸入口塞ぎ板28を設けている。これにより、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内に吸引ノズルを容易に挿入して、掃除機等によって塵埃を吸引回収することが可能となり、吸引ノズルを引き出すと、自動的にダスト吸入口塞ぎ板28が閉じ周囲に塵埃が飛散することがなく、一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内の清掃作業が容易に行える。
【0040】
また、一側カートリッジユニット10及び他側カートリッジユニット11と、これらをその両端部で連結する前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9とでフレームを構成し、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の一側カートリッジユニット10側の上部に、車体2の天井部に回動自在に支持される軸部31を設け、フレームの他側に位置する他側カートリッジユニット11の天井部に係脱可能に取り付けられるロック機構32を設けている。これにより、一側に設けた軸部31を中心にフレームを回転させて、他側のロック機構32で天井部に係止することで、天井部にロールフィルタユニット7を取り付けることが可能となる。また、ロック機構32の解除機構を操作して天井部の軸との係止状態を解除し、他側カートリッジユニット11を一側カートリッジユニット10の軸部31を軸中心として回動させ、軸部31を引き抜いて取り外すことで、ロールフィルタユニット7を取り外すことが可能となる。作業性を向上できる。そのため、使い勝手に優れ、ロールフィルタユニット7の取り外し作業の作業性を向上できる。
【0041】
更に、一側カートリッジユニット10及び他側カートリッジユニット11は、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の両端に連結するため、ロールフィルタユニット7の上下方向の厚みを抑えることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、鉄道車両1の前後方向、車幅方向、上下方向を基準にロールフィルタユニット7の説明を行ったが、実施の形態で説明したロールフィルタユニット7の前部及び後部等は鉄道車両1における取り付け位置に応じて変わるものであり、この方向によってロールフィルタユニット7の各構成部材の取り付け位置等が解釈されるものではない。
【0043】
また、本実施の形態では、スクリューブラシ23を含む一側カートリッジユニット10及び他側カートリッジユニット11を、前側プーリーユニット8及び後側プーリーユニット9の両端に連結したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、水平状に延びるロールフィルタ15の下面の設けるようにしても構わず、この場合にも、スクリューブラシ23によって掻き落とされた塵埃を飛散させることなく一側カートリッジ本体10A及び他側カートリッジ本体11A内に収めることができる。
【符号の説明】
【0044】
6 空気吸入口
7 鉄道車両用ロールフィルタユニット
8 前側プーリーユニット(プーリーユニット)
9 後側プーリーユニット(プーリーユニット)
10 一側カートリッジユニット(カートリッジ
11 他側カートリッジユニット(カートリッジ)
14 ロール軸(ロール)
15 ロールフィルタ(フィルタ)
23 スクリューブラシ(ブラシ)
27 ダスト吸入口(開口部)
28 ダスト吸入口塞ぎ板(開閉扉)
30 ダスト確認窓(確認窓)
31 軸部
32 ロック機構



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の巻き取りロールに渡って張設された帯状のロールフィルタを一方の巻き取りロールから他方の巻き取りロールによって交互に巻き出し、巻き取ることによって往復運動させながら空気吸入口から吸入される空気中の塵埃を補集する鉄道車両用ロールフィルタユニットであって、
前記各巻き取りロールの巻き取り経路の近傍に、前記ロールフィルタを巻き取る際に前記ロールフィルタの塵埃付着面に接触して塵埃を掻き落とすブラシを設けたことを特徴とする鉄道車両用ロールフィルタユニット。
【請求項2】
前記ブラシと塵埃を収容するカートリッジとを一体形成したことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ロールフィルタユニット。
【請求項3】
前記カートリッジの側壁に塵埃の量を確認するための確認窓を設けたことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用ロールフィルタユニット。
【請求項4】
前記カートリッジの底壁の開口部を、閉方向に付勢された状態で閉塞し、内部に押し開き可能な開閉扉を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両用ロールフィルタユニット。
【請求項5】
前記一対のカートリッジと、これら一対のカートリッジをその両端部で連結するプーリーユニットとを備えたフレームの一側に、車両の天井部に回動自在に支持される軸部を設け、前記フレームの他側に車両の天井部に係脱可能に取り付けられるロック機構を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の鉄道車両用ロールフィルタユニット。
【請求項6】
前記ブラシは、前記ロールフィルタの移動方向と逆行する方向に回転するスクリューブラシであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉄道車両用ロールフィルタユニット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−16433(P2011−16433A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162037(P2009−162037)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(509193566)大誠テクノ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】