鉛フリーはんだ用プリント配線基板およびその製造方法
【課題】 電子回路を構成するために導体回路パターンの所要部に対して回路素子類を接続するための金属パッドを多数形成した回路基板において、前記金属パッド表面の性状を改善することにより鉛フリーはんだ接合処理に適するプリント配線基板ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】 絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドとを有するプリント配線基板において、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層2を形成し、次いで該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層3から構成されるリン濃度の異なる2層ニッケル−リンめっき層を形成する鉛フリーはんだ用プリント配線基板である。
【解決手段】 絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドとを有するプリント配線基板において、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層2を形成し、次いで該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層3から構成されるリン濃度の異なる2層ニッケル−リンめっき層を形成する鉛フリーはんだ用プリント配線基板である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)を用いる際に発生しがちな接合不良や接続信頼性の低下のような問題点を解消し、処理上の歩留まりを向上させることができる鉛フリーはんだ用プリント配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器類を形成するためのプリント配線基板類には、無電解ニッケル−リン/置換金めっきの電極パッドが多用されている。このようなプリント配線基板は各種電子機器類の高機能化ならびに小型化の要請から高密度化が進んでいる。そして、かかるプリント配線基板の所要箇所に各種の電子回路部品類を実装するため「はんだ(半田)接合」が多用されることは周知である。このようなはんだとして、現今は鉛成分を含有しない、いわゆる鉛フリーはんだの使用が求められている。
【0003】
かつて広く使用されていたすず−鉛(Sn−Pb)系合金であって「共晶はんだ」とも称される鉛含有はんだは、製造、使用および廃棄の各過程における直接の接触や蒸発気体を介して鉛成分が人体および環境に悪影響を及ぼすことから不使用が提言されている。そのため国内外共に多くの分野において鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)の使用が不可欠な趨勢となっている。かかる要請に適合する鉛フリーはんだとして、すず−銀(Sn−Ag)系、すず−銅(Sn−Cu)系、すず−銀−銅(Sn−Ag−Cu)系、すず−銀−ビスマス(Sn−Ag−Bi)系およびこれらに類する種々の合金組成が採用されている。このような合金組成からなる鉛フリーはんだは、従来の有鉛はんだに比して、融点が約30℃以上高いばかりでなく、ぬれ性が劣り、はんだの広がり率が低下する等の特性上の相違があることから、使用上格別の配慮が必要となる。
【0004】
他方、はんだ付け処理を大量かつ迅速に実施するために、予めプリント配線基板上の部品接合部にはんだを必要量供給した後に加熱溶融してはんだ付け処理を行うためのリフローソルダリング(以下、「リフロー処理」とも略記する。)が広く採用されている。鉛フリーはんだにより大量のはんだ付け処理を行うには、リフロー炉の温度を従来の共晶はんだの場合よりも約30℃以上高める必要がある。
【0005】
さらに、ぬれ性や広がり性が劣る結果、リフロー炉における加熱時間が長びくことになる。その結果、被はんだ付け対象であるプリント基板や個々の部品に対して主として過熱に起因する悪影響を及ぼすことが指摘されている。特に多種の回路素子を組み合わせた回路基板の製造過程にあっては、回路素子の種類毎に数回に分けてリフロー処理を行うケースも多くなり、加熱される時間および回数が増大するため、過熱される可能性が高くなる。その結果、プリント配線基板自体はもとより、はんだ接合される電子回路部品類の劣化を招く懸念があった。
【0006】
特許文献1は、タングステンまたはモリブデンにより形成された配線パターンをもつセラミック配線板において、タングステン、モリブデン上に第一のニッケル−リンまたはニッケル−ボロンめっきを施した後、熱処理を行い、その後第二のニッケル−リンめっきを施す方法が開示されている。このときニッケル−リンめっき膜中のリンの含有量により接合強度が異なり、高い接合強度を得るためにはリンが6%以下であることが望ましいと記載されている。
【0007】
特許文献2は、視点を変えてプリント配線基板上に実装される半導体装置側の接続部を、使用しやすいように改良する技術を開示している。半導体装置を形成するシリコンウェハ上にはんだ付けバンプを形成する際に、第1および第2のニッケルめっき膜を形成して、はんだ濡れ性を改善するニッケルめっき方法及びその結果形成される半導体装置を開示している。しかし、この特許文献2に開示される発明は基板上に多数の半導体素子が集積された半導体装置の一種であるフリップチップを対象とするものでありプリント配線基板を対象とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−264284号公報
【0009】
【特許文献2】特開2000−38682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、各種電子回路を構成するために導体配線による回路パターンならびに該回路パターンの所要部に対して能動的回路素子及び/または受動的回路素子類を接続するための金属パッドを多数形成した回路基板であって、金属パッド表面の性状を改善することにより鉛フリーはんだによる高温かつ比較的長時間にわたる接合処理に適するプリント配線基板ならびにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドとを有するプリント配線基板であって、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層2と、および該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層3と、からなる2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記プリント配線基板において、前記電極パッドの表面上に密着された第1のニッケル−リンめっき層2のリン濃度が5〜9wt%、好ましくは6〜8wt%であり、そして該第1のニッケル−リンめっき層上に密着された第2のニッケル−リンめっき層3におけるリン濃度が1〜5wt%、好ましくは1〜3wt%である鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記第2のニッケル−リンめっき層3の表面に対して金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させた鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記絶縁性基板の表面に所望形状ならびに所要数の導体配線パターンならびに所要数の電極パッドを形成することにより得られたプリント配線基板に対して、中リン濃度用である第1のニッケル−リンめっき液に浸漬して第1のニッケルめっき処理を行い、連続して低リン濃度用の第2のニッケル−リンめっき液に浸漬して第2のニッケルめっき処理を行う、2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記第1のニッケル−リンめっき液がリン濃度5〜9wt%、好ましくは6〜8wt%の中リン被膜に適する液組成に調整され、そして前記第2のニッケル−リンめっき液がリン濃度1〜5wt%、好ましくは1〜3wt%の低リン被膜に適する液組成に調整される鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して置換型(置換型無電解)金(Au)めっき液または置換型(置換型無電解)銀(Ag)めっき液のいずれかによる処理を行い、金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させる鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
電極パッドに対して従来のようにリン濃度が7wt%程度の中リンめっき処理が行われると、その後の加熱接合に伴ってリンの濃化現象が生じ、その結果鉛フリーはんだとの接合不良が発生しがちであった。本発明により特定された構成のプリント配線基板によれば、7wt%程度の中リン濃度のめっき層の表面に2wt%程度である低リン濃度のめっき層が重畳形成されている。このように電極用めっき膜の形成表面に低リン濃度めっき層が介在するため、鉛フリーはんだ接合に伴う高温かつ比較的長時間の加熱によるリン濃化現象が防止できる。
【0018】
したがって、鉛フリーはんだ接合に伴う過剰な加熱によるはんだ不良を防止することができる。なお、プリント基板作成過程において中リン濃度層の表面に低リン濃度層を形成するためのめっき処理工程が追加されるため工程増となることは明らかである。しかしながら、かかる表面が低リン濃度層として形成された2層のめっき構造からなるプリント配線基板を採用することにより、事後の鉛フリーはんだ接合処理工程におけるリンの濃化現象が回避され、結果的にはんだ接合不良が大幅に低減される。
【0019】
上述のように、中リン濃度めっき層の表面に低リン濃度めっき層を形成した2層めっき層とするのは、以下のような理由に基づくものである。例えば、全体を低リン濃度層とすると、磁性の発生、耐食性の劣化、膜応力の増加等の新たな問題が生じる。さらに、低リン濃度による厚膜形成は均一濃度が得難く、特性にばらつきがでることが知られている。したがって、従来から多く使用されている中リン濃度を比較的厚めに形成しておき、その表面に薄い低リン濃度層を形成することにより、上述の問題点を解消したものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明により得られた2層ニッケル−リンめっき膜構造に対し鉛フリーはんだによるはんだ接合処理部分の模式図である。
【図2】従来技術においてプリント配線基板上の所定部位にLSIをはんだ接合した状態を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例により得られたプリント配線基板における接続部の接合状態試験用テストピースの構成を示す模式図である。
【図4】10分間のリフロー加熱を行なった際の、鉛フリーはんだと中リンめっき、低リンめっき及び2層めっきとの夫々の接合界面についてEPMAを用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明により得られた接合部に対してはんだ小球Sを被着し、後刻はんだ球に対する引っ張り試験(バンププル試験)を示す模式図である。
【図6】本発明に係る2層めっきニッケル−リン層テストピースと中リンおよび低リンの場合の各テストピースとにおける接合界面破断率の変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る2層めっきニッケル−リン層テストピースと中リンおよび低リンの場合の各テストピースとにおける平均接合強度の試験結果を示すグラフである。
【図8】リフローはんだ接合処理を3サイクル行なった場合の、鉛フリーはんだと中リンめっき、低リンめっき及び2層めっきとの夫々の接合界面についてEPMAを用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。
【図9】リフローはんだ接合処理を3サイクル行った場合の接合界面破断率の変化を示すグラフである。
【図10】リフローはんだ接合処理を3サイクル行った場合の平均接合強度の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施例により得られたプリント配線基板における接続部の接合状態試験用テストピースの構成を示す模式図である。
【図12】第2の実施例における2層ニッケル−リンめっき層と、中リン濃度めっき層および低リン濃度めっき層とにおける界面破断率の比較結果を示すグラフである。
【図13】第2の実施例における2層ニッケル−リンめっき層と、中リン濃度めっき層および低リン濃度めっき層とにおける平均接合強度の比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る鉛フリーはんだを用いたはんだ接合処理に適するプリント配線基板、ならびにこのようなプリント配線基板の製造方法に関する発明について添付図を参照しながら開示する。図2は、従来技術において鉛フリーはんだによるLSI素子の端子10をプリント配線基板12上の銅配線の所定部位に接合する状態を示す模式図である。プリント配線基板12の表面には周知の手段により銅(Cu)配線13のパターンが所要数、所望形状で形成されており、この銅配線13の表面には無電解ニッケル−リン/置換金めっき層14が被着されている。置換金めっき層14は下層のニッケル−リン層表面の酸化を防止すると共にはんだのぬれ性を向上させるために有用である。
【0022】
図2は、このようにして形成されたニッケル−リン/金めっき層14上にLSI素子の接続端子10が鉛フリーはんだ層15によって融着接合された状態を示している。かかる従来技術によるLSI素子に代表される回路構成素子の接続端子10を、りん濃度7〜8wt%の中リン濃度である従来の無電解ニッケル−リン/金めっき層14に接合する場合、接合界面においてリンの濃化現象が生じる結果、はんだ接合不良が発生しがちであった。
【0023】
はんだの接合状態は高温における加熱時間が長びき、さらに処理回数の増加によってより大きな影響を受けることになる。はんだの接合不良は、様々な態様で発生する可能性があり、製造過程のはんだ付け不良による歩留まりを低下させ、また経時劣化や外部からの振動等による故障発生が増大する可能性もあり、製品の信頼性低下を招きかねない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明に係るニッケル−リンめっき膜によるはんだ接合パッドを示した第1の実施例の構成モデル断面図である。この場合の被めっき試料にはガラス布エポキシ樹脂積層板、通称「ガラエポ板」を使用した。構成の下方は導体である電極パッド1に密着するリン濃度6〜8wt%のニッケル−リンめっき膜による中リン濃度層2であり、その表面には鉛フリーはんだの溶融体を直接受容するためのリン濃度1〜3wt%のニッケル−リンめっき膜である低リン濃度層3が密着せしめられている。なお、中リン濃度層においてはリン濃度5〜9wt%のニッケル−リンめっき膜とすることができ、また低リン濃度層においてはリン濃度1〜5wt%のニッケル−リンめっき膜とすることができる。
【0025】
そして、図示していないはんだ処理手段によりニッケル−リンめっき膜である低リン濃度層3に対して鉛フリーはんだ4の溶融体が密着して冷却されて固化した状態を示している。このようにニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2の表面に低リン濃度層3を被着介在せしめて鉛フリーはんだ4が被着接合されている。従来のニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2のみに対する鉛フリーはんだ4への加熱に応じてリンの濃化現象が生じていた。しかし、ニッケル−リンめっき膜の表面側に被層された低リン濃度層3の存在によりリンの濃化現象が防止されていることが確認できる。
【0026】
図3は、基板12上に予め形成被着されている銅パッド1の上に、ニッケル−リンめっき膜の中リン濃度めっき層2および同じく低リン濃度めっき層3からなる2層ニッケル−リンめっき膜を形成し、さらに一般的構成として第1の実施例では最上部に置換金めっき膜5を形成している試験用テストピースの構成を示す模式図である。かかる構成の置換金めっき膜5上に、直径0.6mmの鉛フリーはんだによるソルダー(はんだ)ボール6を載置して、通常のはんだ接合処理よりも長時間にわたって加熱することによりはんだ接合処理を実施した。
【0027】
この場合のソルダーボール6は、千住金属工業(株)製M705(直径0.6mm、Sn-3Ag-0.5Cu)を使用し、低残渣タイプフラックス(ホーザン(株)製、H−722)を塗布した後、小形リフロー炉において加熱接合を行った。加熱条件は、150℃約100〔s〕の予備加熱、240℃約600〔s〕の本加熱とし、
図3のような中リンめっき層2の表面に低リン濃度めっき層3を施した2層ニッケル−リンめっき層にかかる配線基板へのはんだボール6の接合試験の結果、鉛フリーはんだとめっき層との接合界面は、図4における比較画像の通りであった。図4はこのような接合界面の性状確認のために、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA、日本電子(株)製JXA-8800L)によってリン濃度分布を測定した画像である。その結果、本発明に係る2層めっき層ではリンの濃化現象が生じていないことが確認できた。したがって、リン濃化現象に起因する接合不良は防止可能であると解される。
【0028】
図5は、図3に示したニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2および同じく低リン濃度層3からなる異濃度ニッケル−リンめっき膜二重層上に置換金めっき膜5(図示省略)を形成し、その上にはんだ接合されたソルダーボール6に対して上方に引っ張り力を与える、いわゆるバンププル方式の接合強度評価試験を図示したものである。
【0029】
この評価は、ボンドテスター(DAGE社製、シリーズ4000)を用い、常温式バンププル試験により行っている。この試験により接合部表面の置換金めっき膜5と0.6mmのソルダーボール6との間における接合状態を物理的に確認するものである。図5(A)においてプルツールの先端を開いて図5(B)のようにソルダーボール6を把持(クランプ)して、上方に引っ張り力を加える。その結果、図5(C)のように低リン濃度層3とソルダーボール6との界面において離間するような界面破断が生ずれば、はんだ接合が不良であると判断される。これに対して、図5(D)のようにソルダーボール6自体が6aおよび6bのように破断するはんだ部破断であれば、低リン濃度層3とソルダーボール6との間は十分な接合状態が得られているものと判断することができる。
【0030】
図6は、図3に示した試験用テストピースの構成の置換金めっき膜5上に、直径0.6mmの鉛フリーはんだによるソルダー(はんだ)ボール6を載置して、通常のはんだ接合処理よりも長時間にわたって加熱することによりはんだ接合処理の実施によって得られた、それぞれのテストピースに対し、上述のようなバンププル方式の接合強度評価試験を常温下で実施した結果を示すグラフである。試験は一つの条件につき15回行なった。横軸はリフロー加熱を行う時間〔分〕を、縦軸は接合界面破断率を、それぞれ示している。それぞれのテストピースに関しては、低リン濃度めっきによるテストピースを△印、中リン濃度めっきによるテストピースを○印、本発明に係る2層めっきによるテストピースを■印によってそれぞれ示している。
【0031】
現状において広く採用されている中リン濃度めっきのテストピースでは、リフロー時間1分から5分程度まではほぼ許容範囲内の結果が得られることを示している。しかし、約5分経過後から界面破断率が急上昇することが確認された。
【0032】
これらに対して、本発明に係る2層めっき処理を施したテストピースにおいては5分程度で界面破断率が若干増加するものの、ほぼ一定に保たれていることが確認できる。なお、リフロー加熱時間5分後に若干増加する理由は明らかではないが、テスト数、試験回数等が少数であるために生じたばらつきの可能性も否定できない。
【0033】
図7は、図6と同じ低リン濃度テストピース(△印)、中リン濃度テストピース(○印)および本発明に係る2層めっきのテストピース(■印)のそれぞれにはんだ温度240℃によりリフローはんだ付け処理を行ない、常温下において15回のバンププル試験を実施した際の平均接合強度〔g〕を示したものである。2層めっきによるテストピースはリフロー時間を示す横軸の全域において優れた平均接合強度特性を発揮することが確認された。
【0034】
一般的なリフロー加熱における温度の変化サイクルは、150℃程度の予熱を約100秒程度、本加熱240℃程度で約数十秒程度のリフロー加熱による一連のはんだ処理を1サイクルとして行われることが多い。かかるリフロー加熱工程を、通常用いられる両面実装用回路基板では3サイクル程度繰り返されることが多い。さらに、より複雑な回路基板であって、被接合対象部品類が多岐にわたる場合は4〜5サイクル程度実行されることもある。
【0035】
図8は、中リン濃度めっき層および2層めっき層のそれぞれに対して、240℃、1分間のリフロー加熱を3サイクル実施した場合の接合界面について電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。従来技術に係る中リン濃度の場合のテストピースでは、リンの濃化現象が顕著に生じていた。これに対し、本発明に係る2層めっきのテストピースではリンの濃化は生じていないことが確認できる。かかる効果は、複数回のリフロー加熱を行った場合でもリンの濃化を防止する効果は持続していることが確かめられる。
【0036】
次いで、リフロー加熱を行う回数に応じて、接合界面破断率がどのように変化するかについて検討する。図9は、15回のバンププル試験を行なった結果に基づき、横軸にリフロー加熱処理回数〔回〕、縦軸に界面破断率を表したグラフである。低リンめっき層によるテストピース(△印)では、1回目のリフロー加熱処理ではゼロであったが2回目で40%、3回目で60%程度の界面破断の発生が確認された。また、従来技術に係る中リン濃度めっきテストピース(○印)では、1回目で20%の界面破断、2回目で60%、そして3回目では90%に近い界面破断が観察された。2回目、3回目の処理では、界面破断率が大幅に増大し、従来広く採用されていた中リン濃度層のテストピースではほとんどのテストピースが界面破断を生じ、接合信頼性は低いものと解される。
【0037】
これらに対して、本発明に係る2層めっき層の施されたテストピース(□印)にあっては、最初のリフロー加熱での不良はゼロであり、その後2回目、3回目共に界面破断は観察されず、極めて良好であった。これらの複数回のリフロー加熱処理を行った後の破断試験結果からも明らかなように、中リン濃度層および低リン濃度層を重複被着させた2層リンめっきとした本発明の有効性が明確に証明できた。
【0038】
図10は、図9におけるテストと同じ構成によって得られたテストピースに対する平均接合強度(g)の変化に関するテスト結果である。低リンめっき層にかかるテストピース(△印)および従来広く使用されている中リンめっき層にかかるテストピース(○印)にあっては、1回目および2回目のリフロー加熱処理では1750〔g〕程度の良好な接合強度を維持している。しかし、3サイクル目になるとそれぞれ強度低下が認められ、殊に従来から広く使用されていた中リン濃度テストピースにおいて著しい。これらに対し、本発明に係る2層めっき層によるテストピース(□印)にあっては、当初1700〔g〕以下でやや低めであるが、2回目、さらに3回目になると、より改善されていることが確認された。
【実施例2】
【0039】
図11は、上述の実施例1における金(Au)めっき膜に代えて銀(Ag)めっき膜を形成した第2の実施例を示したものである。置換型銀めっきは、ぬれ性(耐酸化性)および接合強度の点で置換型金めっきよりもやや不利であることが従来から知られていた。しかしながら、置換型銀めっき液は置換型金めっき液よりも廉価であるため、若干の歩留まりの低下に止まるのであれば、使用資材にかかる経済的効果も踏まえ、十分検討に値する。
【0040】
プリント基板12の表面に施された銅(Cu)配線1の上に、中リン濃度のニッケル−リンめっき層2、次いでその上に低リンめっき層3を薄く施した2層ニッケル−リンめっき層の表面に、銀めっき膜7を形成した。図から明らかなように、図3における構成の表面のめっき膜の素材を金から銀に代えたものである。この第2の実施例に対し第1の実施例と同様に直径0.6mmのソルダーボール6を使用し、2層ニッケル−リンめっき膜上に融着させ、ソルダーボールに引っ張り力を加えて、界面破断率および平均接合強度について評価した。
【0041】
第1の実施例の場合と同様に低リンめっき層(△印)、中リンめっき層(○印)および本発明係る2層めっき層(□印)に対してそれぞれ置換銀めっき膜を被着させて実験をした。それぞれのめっき層に対し直径0.6mmのソルダーボールを各めっき膜上に載置し、本加熱240℃、1分間のはんだ接合処理を行った。その後、置換金めっき膜の実施例(図1)と同様に15回のバンププル試験による界面破断率の測定結果は図12に示すようになった。図12から明らかなように、界面破断率は、現在多用されている中リンめっき膜(○印)の場合が80%、低リンめっき膜(△印)の場合が50%であった。これに対して、本発明に係る2層めっき膜(■印)では界面破断率が30%に留まっており、置換金に比してやや高いものの、材料コストを考慮した場合実用可能な範囲に属することが確認された。
【0042】
図13は、低リンめっき層(△印)、中リンめっき層(○印)および本発明に係る2層めっき層(■印)のそれぞれに対してそれぞれ銀めっき膜を被着させた場合の、平均接合強度/gの比較図である。この結果から、中リン濃度めっき層(○印)が1400g、低リン濃度めっき層(△印)の場合が1500gであるのに対して2層めっきを施した本発明に係るテストピースでは1570g程度まで改善されていることが確認できる。実施例2は、金めっきよりも廉価な銀めっきにおいても特性改善が確認された点において技術的ならびに経済性の点で価値が認められるものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る鉛フリーはんだ用プリント配線基板によれば、基板に対して導体上にニッケル−リンめっき層を形成する際に中リン濃度のめっき膜を基板素材に密着させて形成し、次いでその表面に低リン濃度のめっき膜を形成することにより2層ニッケル−リンめっき膜を形成している。このように最上層に形成された低リン濃度めっき膜を存在させることにより、各種回路素子および配線素材を鉛フリーはんだを用いて高温かつ時間増大に伴う過熱に起因するリン濃化現象を大幅に低減し、これに伴ってはんだ接合不良を大幅に低減することができる。
【0044】
基板製造過程において、ニッケル−リンめっき層を形成する際に中リン濃度のめっき処理に加えて、その後低リン濃度のめっき処理を行うため基板製造工程が増加することは明らかである。しかし、かかる基板を使用することにより、置換めっき処理を含む後続工程における不良発生が大幅に低減され、接合不良に伴う信頼性の低下を排除し、総体的な処理時間、使用原材料ならびに処理時間の無駄等の低減が可能となり、歩留まりも大きく向上する。また、一連の生産工程において、工程初期における不良発生に対して工程終期に近い不良発生は、それまでの製造過程における投入エネルギー、マンパワー等も嵩むため、大きな損失発生を招きやすい。本発明によれば、基板自体はもとより、さらに下流の基板類製造過程に及ぶ不良発生を初期段階において大幅に低減することが可能となる。したがって、使用原材料、マンパワー、消費エネルギー等の全てに関し大きな節減効果が期待できる。
【符号の説明】
【0045】
1 電極パッド(導体)
2 第1のニッケル−リンめっき層(中リン濃度層)
3 第2のニッケル−リンめっき層(低リン濃度層)
4 鉛フリーはんだ
5 金(Au)めっき膜
6 ソルダーボール(球状はんだ)
7 銀(Ag)めっき膜
10 素子(LSI)端子
12 プリント配線基板
13 Cu配線(導体パターン)
14 無電解ニッケル−リン/置換型金めっき層
15 鉛フリーはんだ層
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)を用いる際に発生しがちな接合不良や接続信頼性の低下のような問題点を解消し、処理上の歩留まりを向上させることができる鉛フリーはんだ用プリント配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器類を形成するためのプリント配線基板類には、無電解ニッケル−リン/置換金めっきの電極パッドが多用されている。このようなプリント配線基板は各種電子機器類の高機能化ならびに小型化の要請から高密度化が進んでいる。そして、かかるプリント配線基板の所要箇所に各種の電子回路部品類を実装するため「はんだ(半田)接合」が多用されることは周知である。このようなはんだとして、現今は鉛成分を含有しない、いわゆる鉛フリーはんだの使用が求められている。
【0003】
かつて広く使用されていたすず−鉛(Sn−Pb)系合金であって「共晶はんだ」とも称される鉛含有はんだは、製造、使用および廃棄の各過程における直接の接触や蒸発気体を介して鉛成分が人体および環境に悪影響を及ぼすことから不使用が提言されている。そのため国内外共に多くの分野において鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)の使用が不可欠な趨勢となっている。かかる要請に適合する鉛フリーはんだとして、すず−銀(Sn−Ag)系、すず−銅(Sn−Cu)系、すず−銀−銅(Sn−Ag−Cu)系、すず−銀−ビスマス(Sn−Ag−Bi)系およびこれらに類する種々の合金組成が採用されている。このような合金組成からなる鉛フリーはんだは、従来の有鉛はんだに比して、融点が約30℃以上高いばかりでなく、ぬれ性が劣り、はんだの広がり率が低下する等の特性上の相違があることから、使用上格別の配慮が必要となる。
【0004】
他方、はんだ付け処理を大量かつ迅速に実施するために、予めプリント配線基板上の部品接合部にはんだを必要量供給した後に加熱溶融してはんだ付け処理を行うためのリフローソルダリング(以下、「リフロー処理」とも略記する。)が広く採用されている。鉛フリーはんだにより大量のはんだ付け処理を行うには、リフロー炉の温度を従来の共晶はんだの場合よりも約30℃以上高める必要がある。
【0005】
さらに、ぬれ性や広がり性が劣る結果、リフロー炉における加熱時間が長びくことになる。その結果、被はんだ付け対象であるプリント基板や個々の部品に対して主として過熱に起因する悪影響を及ぼすことが指摘されている。特に多種の回路素子を組み合わせた回路基板の製造過程にあっては、回路素子の種類毎に数回に分けてリフロー処理を行うケースも多くなり、加熱される時間および回数が増大するため、過熱される可能性が高くなる。その結果、プリント配線基板自体はもとより、はんだ接合される電子回路部品類の劣化を招く懸念があった。
【0006】
特許文献1は、タングステンまたはモリブデンにより形成された配線パターンをもつセラミック配線板において、タングステン、モリブデン上に第一のニッケル−リンまたはニッケル−ボロンめっきを施した後、熱処理を行い、その後第二のニッケル−リンめっきを施す方法が開示されている。このときニッケル−リンめっき膜中のリンの含有量により接合強度が異なり、高い接合強度を得るためにはリンが6%以下であることが望ましいと記載されている。
【0007】
特許文献2は、視点を変えてプリント配線基板上に実装される半導体装置側の接続部を、使用しやすいように改良する技術を開示している。半導体装置を形成するシリコンウェハ上にはんだ付けバンプを形成する際に、第1および第2のニッケルめっき膜を形成して、はんだ濡れ性を改善するニッケルめっき方法及びその結果形成される半導体装置を開示している。しかし、この特許文献2に開示される発明は基板上に多数の半導体素子が集積された半導体装置の一種であるフリップチップを対象とするものでありプリント配線基板を対象とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−264284号公報
【0009】
【特許文献2】特開2000−38682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、各種電子回路を構成するために導体配線による回路パターンならびに該回路パターンの所要部に対して能動的回路素子及び/または受動的回路素子類を接続するための金属パッドを多数形成した回路基板であって、金属パッド表面の性状を改善することにより鉛フリーはんだによる高温かつ比較的長時間にわたる接合処理に適するプリント配線基板ならびにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドとを有するプリント配線基板であって、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層2と、および該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層3と、からなる2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記プリント配線基板において、前記電極パッドの表面上に密着された第1のニッケル−リンめっき層2のリン濃度が5〜9wt%、好ましくは6〜8wt%であり、そして該第1のニッケル−リンめっき層上に密着された第2のニッケル−リンめっき層3におけるリン濃度が1〜5wt%、好ましくは1〜3wt%である鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記第2のニッケル−リンめっき層3の表面に対して金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させた鉛フリーはんだ用プリント配線基板であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記絶縁性基板の表面に所望形状ならびに所要数の導体配線パターンならびに所要数の電極パッドを形成することにより得られたプリント配線基板に対して、中リン濃度用である第1のニッケル−リンめっき液に浸漬して第1のニッケルめっき処理を行い、連続して低リン濃度用の第2のニッケル−リンめっき液に浸漬して第2のニッケルめっき処理を行う、2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記第1のニッケル−リンめっき液がリン濃度5〜9wt%、好ましくは6〜8wt%の中リン被膜に適する液組成に調整され、そして前記第2のニッケル−リンめっき液がリン濃度1〜5wt%、好ましくは1〜3wt%の低リン被膜に適する液組成に調整される鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して置換型(置換型無電解)金(Au)めっき液または置換型(置換型無電解)銀(Ag)めっき液のいずれかによる処理を行い、金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させる鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
電極パッドに対して従来のようにリン濃度が7wt%程度の中リンめっき処理が行われると、その後の加熱接合に伴ってリンの濃化現象が生じ、その結果鉛フリーはんだとの接合不良が発生しがちであった。本発明により特定された構成のプリント配線基板によれば、7wt%程度の中リン濃度のめっき層の表面に2wt%程度である低リン濃度のめっき層が重畳形成されている。このように電極用めっき膜の形成表面に低リン濃度めっき層が介在するため、鉛フリーはんだ接合に伴う高温かつ比較的長時間の加熱によるリン濃化現象が防止できる。
【0018】
したがって、鉛フリーはんだ接合に伴う過剰な加熱によるはんだ不良を防止することができる。なお、プリント基板作成過程において中リン濃度層の表面に低リン濃度層を形成するためのめっき処理工程が追加されるため工程増となることは明らかである。しかしながら、かかる表面が低リン濃度層として形成された2層のめっき構造からなるプリント配線基板を採用することにより、事後の鉛フリーはんだ接合処理工程におけるリンの濃化現象が回避され、結果的にはんだ接合不良が大幅に低減される。
【0019】
上述のように、中リン濃度めっき層の表面に低リン濃度めっき層を形成した2層めっき層とするのは、以下のような理由に基づくものである。例えば、全体を低リン濃度層とすると、磁性の発生、耐食性の劣化、膜応力の増加等の新たな問題が生じる。さらに、低リン濃度による厚膜形成は均一濃度が得難く、特性にばらつきがでることが知られている。したがって、従来から多く使用されている中リン濃度を比較的厚めに形成しておき、その表面に薄い低リン濃度層を形成することにより、上述の問題点を解消したものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明により得られた2層ニッケル−リンめっき膜構造に対し鉛フリーはんだによるはんだ接合処理部分の模式図である。
【図2】従来技術においてプリント配線基板上の所定部位にLSIをはんだ接合した状態を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例により得られたプリント配線基板における接続部の接合状態試験用テストピースの構成を示す模式図である。
【図4】10分間のリフロー加熱を行なった際の、鉛フリーはんだと中リンめっき、低リンめっき及び2層めっきとの夫々の接合界面についてEPMAを用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明により得られた接合部に対してはんだ小球Sを被着し、後刻はんだ球に対する引っ張り試験(バンププル試験)を示す模式図である。
【図6】本発明に係る2層めっきニッケル−リン層テストピースと中リンおよび低リンの場合の各テストピースとにおける接合界面破断率の変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る2層めっきニッケル−リン層テストピースと中リンおよび低リンの場合の各テストピースとにおける平均接合強度の試験結果を示すグラフである。
【図8】リフローはんだ接合処理を3サイクル行なった場合の、鉛フリーはんだと中リンめっき、低リンめっき及び2層めっきとの夫々の接合界面についてEPMAを用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。
【図9】リフローはんだ接合処理を3サイクル行った場合の接合界面破断率の変化を示すグラフである。
【図10】リフローはんだ接合処理を3サイクル行った場合の平均接合強度の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施例により得られたプリント配線基板における接続部の接合状態試験用テストピースの構成を示す模式図である。
【図12】第2の実施例における2層ニッケル−リンめっき層と、中リン濃度めっき層および低リン濃度めっき層とにおける界面破断率の比較結果を示すグラフである。
【図13】第2の実施例における2層ニッケル−リンめっき層と、中リン濃度めっき層および低リン濃度めっき層とにおける平均接合強度の比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る鉛フリーはんだを用いたはんだ接合処理に適するプリント配線基板、ならびにこのようなプリント配線基板の製造方法に関する発明について添付図を参照しながら開示する。図2は、従来技術において鉛フリーはんだによるLSI素子の端子10をプリント配線基板12上の銅配線の所定部位に接合する状態を示す模式図である。プリント配線基板12の表面には周知の手段により銅(Cu)配線13のパターンが所要数、所望形状で形成されており、この銅配線13の表面には無電解ニッケル−リン/置換金めっき層14が被着されている。置換金めっき層14は下層のニッケル−リン層表面の酸化を防止すると共にはんだのぬれ性を向上させるために有用である。
【0022】
図2は、このようにして形成されたニッケル−リン/金めっき層14上にLSI素子の接続端子10が鉛フリーはんだ層15によって融着接合された状態を示している。かかる従来技術によるLSI素子に代表される回路構成素子の接続端子10を、りん濃度7〜8wt%の中リン濃度である従来の無電解ニッケル−リン/金めっき層14に接合する場合、接合界面においてリンの濃化現象が生じる結果、はんだ接合不良が発生しがちであった。
【0023】
はんだの接合状態は高温における加熱時間が長びき、さらに処理回数の増加によってより大きな影響を受けることになる。はんだの接合不良は、様々な態様で発生する可能性があり、製造過程のはんだ付け不良による歩留まりを低下させ、また経時劣化や外部からの振動等による故障発生が増大する可能性もあり、製品の信頼性低下を招きかねない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明に係るニッケル−リンめっき膜によるはんだ接合パッドを示した第1の実施例の構成モデル断面図である。この場合の被めっき試料にはガラス布エポキシ樹脂積層板、通称「ガラエポ板」を使用した。構成の下方は導体である電極パッド1に密着するリン濃度6〜8wt%のニッケル−リンめっき膜による中リン濃度層2であり、その表面には鉛フリーはんだの溶融体を直接受容するためのリン濃度1〜3wt%のニッケル−リンめっき膜である低リン濃度層3が密着せしめられている。なお、中リン濃度層においてはリン濃度5〜9wt%のニッケル−リンめっき膜とすることができ、また低リン濃度層においてはリン濃度1〜5wt%のニッケル−リンめっき膜とすることができる。
【0025】
そして、図示していないはんだ処理手段によりニッケル−リンめっき膜である低リン濃度層3に対して鉛フリーはんだ4の溶融体が密着して冷却されて固化した状態を示している。このようにニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2の表面に低リン濃度層3を被着介在せしめて鉛フリーはんだ4が被着接合されている。従来のニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2のみに対する鉛フリーはんだ4への加熱に応じてリンの濃化現象が生じていた。しかし、ニッケル−リンめっき膜の表面側に被層された低リン濃度層3の存在によりリンの濃化現象が防止されていることが確認できる。
【0026】
図3は、基板12上に予め形成被着されている銅パッド1の上に、ニッケル−リンめっき膜の中リン濃度めっき層2および同じく低リン濃度めっき層3からなる2層ニッケル−リンめっき膜を形成し、さらに一般的構成として第1の実施例では最上部に置換金めっき膜5を形成している試験用テストピースの構成を示す模式図である。かかる構成の置換金めっき膜5上に、直径0.6mmの鉛フリーはんだによるソルダー(はんだ)ボール6を載置して、通常のはんだ接合処理よりも長時間にわたって加熱することによりはんだ接合処理を実施した。
【0027】
この場合のソルダーボール6は、千住金属工業(株)製M705(直径0.6mm、Sn-3Ag-0.5Cu)を使用し、低残渣タイプフラックス(ホーザン(株)製、H−722)を塗布した後、小形リフロー炉において加熱接合を行った。加熱条件は、150℃約100〔s〕の予備加熱、240℃約600〔s〕の本加熱とし、
図3のような中リンめっき層2の表面に低リン濃度めっき層3を施した2層ニッケル−リンめっき層にかかる配線基板へのはんだボール6の接合試験の結果、鉛フリーはんだとめっき層との接合界面は、図4における比較画像の通りであった。図4はこのような接合界面の性状確認のために、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA、日本電子(株)製JXA-8800L)によってリン濃度分布を測定した画像である。その結果、本発明に係る2層めっき層ではリンの濃化現象が生じていないことが確認できた。したがって、リン濃化現象に起因する接合不良は防止可能であると解される。
【0028】
図5は、図3に示したニッケル−リンめっき膜の中リン濃度層2および同じく低リン濃度層3からなる異濃度ニッケル−リンめっき膜二重層上に置換金めっき膜5(図示省略)を形成し、その上にはんだ接合されたソルダーボール6に対して上方に引っ張り力を与える、いわゆるバンププル方式の接合強度評価試験を図示したものである。
【0029】
この評価は、ボンドテスター(DAGE社製、シリーズ4000)を用い、常温式バンププル試験により行っている。この試験により接合部表面の置換金めっき膜5と0.6mmのソルダーボール6との間における接合状態を物理的に確認するものである。図5(A)においてプルツールの先端を開いて図5(B)のようにソルダーボール6を把持(クランプ)して、上方に引っ張り力を加える。その結果、図5(C)のように低リン濃度層3とソルダーボール6との界面において離間するような界面破断が生ずれば、はんだ接合が不良であると判断される。これに対して、図5(D)のようにソルダーボール6自体が6aおよび6bのように破断するはんだ部破断であれば、低リン濃度層3とソルダーボール6との間は十分な接合状態が得られているものと判断することができる。
【0030】
図6は、図3に示した試験用テストピースの構成の置換金めっき膜5上に、直径0.6mmの鉛フリーはんだによるソルダー(はんだ)ボール6を載置して、通常のはんだ接合処理よりも長時間にわたって加熱することによりはんだ接合処理の実施によって得られた、それぞれのテストピースに対し、上述のようなバンププル方式の接合強度評価試験を常温下で実施した結果を示すグラフである。試験は一つの条件につき15回行なった。横軸はリフロー加熱を行う時間〔分〕を、縦軸は接合界面破断率を、それぞれ示している。それぞれのテストピースに関しては、低リン濃度めっきによるテストピースを△印、中リン濃度めっきによるテストピースを○印、本発明に係る2層めっきによるテストピースを■印によってそれぞれ示している。
【0031】
現状において広く採用されている中リン濃度めっきのテストピースでは、リフロー時間1分から5分程度まではほぼ許容範囲内の結果が得られることを示している。しかし、約5分経過後から界面破断率が急上昇することが確認された。
【0032】
これらに対して、本発明に係る2層めっき処理を施したテストピースにおいては5分程度で界面破断率が若干増加するものの、ほぼ一定に保たれていることが確認できる。なお、リフロー加熱時間5分後に若干増加する理由は明らかではないが、テスト数、試験回数等が少数であるために生じたばらつきの可能性も否定できない。
【0033】
図7は、図6と同じ低リン濃度テストピース(△印)、中リン濃度テストピース(○印)および本発明に係る2層めっきのテストピース(■印)のそれぞれにはんだ温度240℃によりリフローはんだ付け処理を行ない、常温下において15回のバンププル試験を実施した際の平均接合強度〔g〕を示したものである。2層めっきによるテストピースはリフロー時間を示す横軸の全域において優れた平均接合強度特性を発揮することが確認された。
【0034】
一般的なリフロー加熱における温度の変化サイクルは、150℃程度の予熱を約100秒程度、本加熱240℃程度で約数十秒程度のリフロー加熱による一連のはんだ処理を1サイクルとして行われることが多い。かかるリフロー加熱工程を、通常用いられる両面実装用回路基板では3サイクル程度繰り返されることが多い。さらに、より複雑な回路基板であって、被接合対象部品類が多岐にわたる場合は4〜5サイクル程度実行されることもある。
【0035】
図8は、中リン濃度めっき層および2層めっき層のそれぞれに対して、240℃、1分間のリフロー加熱を3サイクル実施した場合の接合界面について電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いてリンの特性X線像を測定した結果を示す図である。従来技術に係る中リン濃度の場合のテストピースでは、リンの濃化現象が顕著に生じていた。これに対し、本発明に係る2層めっきのテストピースではリンの濃化は生じていないことが確認できる。かかる効果は、複数回のリフロー加熱を行った場合でもリンの濃化を防止する効果は持続していることが確かめられる。
【0036】
次いで、リフロー加熱を行う回数に応じて、接合界面破断率がどのように変化するかについて検討する。図9は、15回のバンププル試験を行なった結果に基づき、横軸にリフロー加熱処理回数〔回〕、縦軸に界面破断率を表したグラフである。低リンめっき層によるテストピース(△印)では、1回目のリフロー加熱処理ではゼロであったが2回目で40%、3回目で60%程度の界面破断の発生が確認された。また、従来技術に係る中リン濃度めっきテストピース(○印)では、1回目で20%の界面破断、2回目で60%、そして3回目では90%に近い界面破断が観察された。2回目、3回目の処理では、界面破断率が大幅に増大し、従来広く採用されていた中リン濃度層のテストピースではほとんどのテストピースが界面破断を生じ、接合信頼性は低いものと解される。
【0037】
これらに対して、本発明に係る2層めっき層の施されたテストピース(□印)にあっては、最初のリフロー加熱での不良はゼロであり、その後2回目、3回目共に界面破断は観察されず、極めて良好であった。これらの複数回のリフロー加熱処理を行った後の破断試験結果からも明らかなように、中リン濃度層および低リン濃度層を重複被着させた2層リンめっきとした本発明の有効性が明確に証明できた。
【0038】
図10は、図9におけるテストと同じ構成によって得られたテストピースに対する平均接合強度(g)の変化に関するテスト結果である。低リンめっき層にかかるテストピース(△印)および従来広く使用されている中リンめっき層にかかるテストピース(○印)にあっては、1回目および2回目のリフロー加熱処理では1750〔g〕程度の良好な接合強度を維持している。しかし、3サイクル目になるとそれぞれ強度低下が認められ、殊に従来から広く使用されていた中リン濃度テストピースにおいて著しい。これらに対し、本発明に係る2層めっき層によるテストピース(□印)にあっては、当初1700〔g〕以下でやや低めであるが、2回目、さらに3回目になると、より改善されていることが確認された。
【実施例2】
【0039】
図11は、上述の実施例1における金(Au)めっき膜に代えて銀(Ag)めっき膜を形成した第2の実施例を示したものである。置換型銀めっきは、ぬれ性(耐酸化性)および接合強度の点で置換型金めっきよりもやや不利であることが従来から知られていた。しかしながら、置換型銀めっき液は置換型金めっき液よりも廉価であるため、若干の歩留まりの低下に止まるのであれば、使用資材にかかる経済的効果も踏まえ、十分検討に値する。
【0040】
プリント基板12の表面に施された銅(Cu)配線1の上に、中リン濃度のニッケル−リンめっき層2、次いでその上に低リンめっき層3を薄く施した2層ニッケル−リンめっき層の表面に、銀めっき膜7を形成した。図から明らかなように、図3における構成の表面のめっき膜の素材を金から銀に代えたものである。この第2の実施例に対し第1の実施例と同様に直径0.6mmのソルダーボール6を使用し、2層ニッケル−リンめっき膜上に融着させ、ソルダーボールに引っ張り力を加えて、界面破断率および平均接合強度について評価した。
【0041】
第1の実施例の場合と同様に低リンめっき層(△印)、中リンめっき層(○印)および本発明係る2層めっき層(□印)に対してそれぞれ置換銀めっき膜を被着させて実験をした。それぞれのめっき層に対し直径0.6mmのソルダーボールを各めっき膜上に載置し、本加熱240℃、1分間のはんだ接合処理を行った。その後、置換金めっき膜の実施例(図1)と同様に15回のバンププル試験による界面破断率の測定結果は図12に示すようになった。図12から明らかなように、界面破断率は、現在多用されている中リンめっき膜(○印)の場合が80%、低リンめっき膜(△印)の場合が50%であった。これに対して、本発明に係る2層めっき膜(■印)では界面破断率が30%に留まっており、置換金に比してやや高いものの、材料コストを考慮した場合実用可能な範囲に属することが確認された。
【0042】
図13は、低リンめっき層(△印)、中リンめっき層(○印)および本発明に係る2層めっき層(■印)のそれぞれに対してそれぞれ銀めっき膜を被着させた場合の、平均接合強度/gの比較図である。この結果から、中リン濃度めっき層(○印)が1400g、低リン濃度めっき層(△印)の場合が1500gであるのに対して2層めっきを施した本発明に係るテストピースでは1570g程度まで改善されていることが確認できる。実施例2は、金めっきよりも廉価な銀めっきにおいても特性改善が確認された点において技術的ならびに経済性の点で価値が認められるものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る鉛フリーはんだ用プリント配線基板によれば、基板に対して導体上にニッケル−リンめっき層を形成する際に中リン濃度のめっき膜を基板素材に密着させて形成し、次いでその表面に低リン濃度のめっき膜を形成することにより2層ニッケル−リンめっき膜を形成している。このように最上層に形成された低リン濃度めっき膜を存在させることにより、各種回路素子および配線素材を鉛フリーはんだを用いて高温かつ時間増大に伴う過熱に起因するリン濃化現象を大幅に低減し、これに伴ってはんだ接合不良を大幅に低減することができる。
【0044】
基板製造過程において、ニッケル−リンめっき層を形成する際に中リン濃度のめっき処理に加えて、その後低リン濃度のめっき処理を行うため基板製造工程が増加することは明らかである。しかし、かかる基板を使用することにより、置換めっき処理を含む後続工程における不良発生が大幅に低減され、接合不良に伴う信頼性の低下を排除し、総体的な処理時間、使用原材料ならびに処理時間の無駄等の低減が可能となり、歩留まりも大きく向上する。また、一連の生産工程において、工程初期における不良発生に対して工程終期に近い不良発生は、それまでの製造過程における投入エネルギー、マンパワー等も嵩むため、大きな損失発生を招きやすい。本発明によれば、基板自体はもとより、さらに下流の基板類製造過程に及ぶ不良発生を初期段階において大幅に低減することが可能となる。したがって、使用原材料、マンパワー、消費エネルギー等の全てに関し大きな節減効果が期待できる。
【符号の説明】
【0045】
1 電極パッド(導体)
2 第1のニッケル−リンめっき層(中リン濃度層)
3 第2のニッケル−リンめっき層(低リン濃度層)
4 鉛フリーはんだ
5 金(Au)めっき膜
6 ソルダーボール(球状はんだ)
7 銀(Ag)めっき膜
10 素子(LSI)端子
12 プリント配線基板
13 Cu配線(導体パターン)
14 無電解ニッケル−リン/置換型金めっき層
15 鉛フリーはんだ層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドと、を有するプリント配線基板であって、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層と、および該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層と、からなる2層ニッケル−リンめっき構造を備えた、ことを特徴とする鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項2】
前記プリント配線基板において、前記電極パッドの表面上に密着された第1のニッケル−リンめっき層のリン濃度が5〜9wt%であり、そして該第1のニッケル−リンめっき層上に密着された第2のニッケル−リンめっき層におけるリン濃度が1〜5wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項3】
前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させた、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項4】
前記絶縁性基板の表面に所望形状ならびに所要数の導体配線パターンならびに所要数の電極パッドを形成することにより得られたプリント配線基板に対して、中リン濃度用である第1のニッケル−リンめっき液に浸漬して第1のニッケルめっき処理を行い、連続して低リン濃度用の第2のニッケル−リンめっき液に浸漬して第2のニッケルめっき処理を行う、ことを特徴とする2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1のニッケル−リンめっき液がリン濃度5〜9wt%の中リン被膜に適する液組成に調整され、そして前記第2のニッケル−リンめっき液がリン濃度1〜5wt%の低リン被膜に適する液組成に調整される、ことを特徴とする請求項4に記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して置換型金(Au)めっき液または置換型銀(Ag)めっき液のいずれかによる処理を行い、金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させる、ことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【請求項1】
絶縁性基板の表面に密着された所望形状ならびに所要数の導体配線パターンと、前記導体配線パターンの所要部に形成された複数の電極パッドと、を有するプリント配線基板であって、前記電極パッドの表面に密着された中リン濃度である第1のニッケル−リンめっき層と、および該第1のニッケル−リンめっき層の表面に密着された低リン濃度である第2のニッケル−リンめっき層と、からなる2層ニッケル−リンめっき構造を備えた、ことを特徴とする鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項2】
前記プリント配線基板において、前記電極パッドの表面上に密着された第1のニッケル−リンめっき層のリン濃度が5〜9wt%であり、そして該第1のニッケル−リンめっき層上に密着された第2のニッケル−リンめっき層におけるリン濃度が1〜5wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項3】
前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させた、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板。
【請求項4】
前記絶縁性基板の表面に所望形状ならびに所要数の導体配線パターンならびに所要数の電極パッドを形成することにより得られたプリント配線基板に対して、中リン濃度用である第1のニッケル−リンめっき液に浸漬して第1のニッケルめっき処理を行い、連続して低リン濃度用の第2のニッケル−リンめっき液に浸漬して第2のニッケルめっき処理を行う、ことを特徴とする2層ニッケル−リンめっき構造を備えた鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1のニッケル−リンめっき液がリン濃度5〜9wt%の中リン被膜に適する液組成に調整され、そして前記第2のニッケル−リンめっき液がリン濃度1〜5wt%の低リン被膜に適する液組成に調整される、ことを特徴とする請求項4に記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2のニッケル−リンめっき層の表面に対して置換型金(Au)めっき液または置換型銀(Ag)めっき液のいずれかによる処理を行い、金(Au)めっき膜または銀(Ag)めっき膜のいずれかを密着させる、ことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の鉛フリーはんだ用プリント配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−211057(P2011−211057A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78762(P2010−78762)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(593022021)山形県 (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(593022021)山形県 (34)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]