説明

鉱物結合建築材料系のためのメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)

本発明は、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)の調製、およびその鉱物結合建築材料系における、好ましくはセッコウ結合建築材料系における、特に好ましくはセッコウ機械プラスターにおける使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)の調製およびその鉱物結合(mineral-bound)建築材料系における、好ましくはセッコウ結合(gypsum-bound)建築材料系における、特に好ましくはセッコウ機械プラスター(gypsum machine plasters)における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2成分アルキルヒドロキシアルキルセルロース(メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)およびメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)が商業的に利用されている成分である。)からなる群を含むセルロースエーテルからなる類の材料は、数十年間、普遍的におよび工業分野で活発に用いられ、広く記載されてきた。その生産の化学式および原理(生産プロセスおよび生産工程)の概観および物質の目録および種々の誘導体の性質および潜在的な用途については、たとえば、ホウベン・ワイル(Houben-Weyl)著、「有機化学の方法、高分子物質(Methoden der Organischen Chemie, Makromolekulare Stoffe)」、第4版、第E20巻、1987年、p.2042に記載されている。商業的に利用されているメチルヒドロキシプロピルセルロースは、室温で粘稠水溶液を形成し、凝固点より高い温度で熱水に不溶である。
【0003】
アルキルヒドロキシアルキルセルロースの調製は以下のように要約することができる。上流の部分的工程において、セルロース出発原料の活性化が、好ましくはアルカリ溶液で、達成される。その後、形成されたアルカリ金属セルロースは、強制的な条件下で対応するアルキレンオキシドおよび塩化メチルと反応させられ、過剰に使用されたアルカリのすべてが、便宜上、化学量論量を超える量の塩化メチルで実質的に中和される。続く精製工程において、形成された塩および他の副生成物は、好ましくは熱水で洗浄することによって、分離される。
【0004】
セルロースエーテルの化学においては、アルキル置換は、一般に、DSによって記載される。DSはアンヒドログルコース単位当たり置換されたOH基の平均の数である。メチル置換は、たとえば、DS(メチル)またはDS(M)と示される。
【0005】
通常、ヒドロキシアルキル置換はMSによって記載される。MSは、アンヒドログルコース単位1モル当たりのエーテル結合で結合したエーテル化試剤の平均のモル数である。したがって、エーテル化剤プロピレンオキシドでのエーテル化は、MS(ヒドロキシプロピル)またはMS(HP)と言われる。
【0006】
熱水で洗浄することによって得られ、副生成物を含まず、そして通常50質量%を超える含水率を有する、まだ水で湿ったセルロースエーテルは、適切な場合はさらなる前処理(状態調節)の後に、乾燥および粉砕によって売り物になる形に変換される。セルロースエーテルは、好ましくは、約1〜10質量%の含水率を有する粉末または粒状の形で市場に導入される。
【0007】
セルロースエーテルは、たとえばマニュアルおよび機械のプラスター、充填用コンパウンド、タイル接着剤、空気配置コンクリート材料、流動性床張り材料、セメント押出品および乳濁液塗料のような建築材料系に、増粘剤および保水剤として使用される。
【0008】
これらの建築材料系の性質、特に稠度および硬化挙動は、セルロースエーテルの選択によって大きな影響を受ける場合がある。
【0009】
特に、セッコウ結合建築材料系、すなわち水が加えられたセッコウを含有する基礎混合物において、塊または小塊がしばしば観察され、それは最も不利な場合には、異常および溝につながり、少なくとも集中的な再加工のために遅れを生じる場合がある。
【0010】
混合物を組合わせることによってこれらの問題のいくつかを取り除く試みがなされてきた。したがって、国際公開第99/64368号は、主としてセルロースエーテルならびに少量の重合したカルボン酸およびメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの単独重合体または共重合体を含む添加剤混合物を開示している。不運にも、この添加剤混合物の調製は複雑であり、追加の混合装置を必要とし、必ずしも塊の低下につながるとは限らない。さらに、カルボン酸水溶液の使用は、セルロースエーテルのpH誘発連鎖分解につながる場合がある。
【0011】
篩がない高速衝撃式粉砕機で粉砕乾燥するために、粉砕される材料の高含水率を確立することによる繊維構造の実質的な砕解は、先行技術によって提案されている。たとえば高い含水率のために、繊維構造の損失によるセルロースエーテルの完全なゲル化(英国特許出願公開第2262527号明細書第8頁第19行参照)は望ましくなく、セッコウ結合建築材料系において凝集につながる場合がある。独国特許発明第3839831号明細書には、摩擦要素を備えた篩粉砕機において未知の置換度を有する粒々があるかまたは詰綿状のMHPCを粉砕乾燥することが記載されている。2つの文献のいずれも、セッコウ結合建築材料系中の凝集をどのようにすれば減らすことができるかを明らかにしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第99/64368号
【特許文献2】英国特許出願公開第2262527号明細書
【特許文献3】独国特許発明第3839831号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ホウベン・ワイル(Houben-Weyl)著、「有機化学の方法、高分子物質(Methoden der Organischen Chemie, Makromolekulare Stoffe)」、第4版、第E20巻、1987年、p.2042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、鉱物結合建築材料系の加工特性を改善する、特に効果的に好ましくはセッコウ機械プラスターのようなセッコウ結合建築材料系中の塊の形成を減らし、そしてその調製が上述の不利に関係しない、セルロースエーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、この目的は、特定のDS(メチル)および特定のMS(ヒドロキシプロピル)を有するメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)を使用し、粉砕される原料のメチルヒドロキシプロピルセルロースの含水率が特定の範囲にある場合に、達成された。
【0016】
したがって、本発明は、供給原料としての、水でおよび所望によりアルコールで湿らせた、1.50〜2.1のDS(メチル)、0.40〜1.5のMS(ヒドロキシプロピル)および25〜60質量%の含水率を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースを粉砕乾燥することを特徴とする粉砕乾燥されたメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)を調製する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、使用されるメチルヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは、少なくとも1.55の、特に好ましくは少なくとも1.58の、さらに好ましくは少なくとも1.60のDS(メチル)を有する。
【0018】
DS(メチル)の上限は、典型的には、製品が室温で水に溶けるように選ばれ、好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.9以下である。
【0019】
MS(ヒドロキシプロピル)の下限は、好ましくは0.45、特に好ましくは0.50、さらに好ましくは0.6である。MS(ヒドロキシプロピル)の上限は、好ましくは1.35、特に好ましくは1.2である。
【0020】
DSおよびMSの測定は、たとえばピー・ダブリュー・モーガン(P.W. Morgan)、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー・アナリティカル・エディション(Ind. Eng. Chem. Anal. Ed.)、第18巻、1946年、p.500−504、およびアール・ユー・レミュー(R.U. Lemieux)、シー・ビー・パービス(C.B. Purves)、カナディアン・ジャーナル・オブ・リサーチ・セクションB(Can. J. Res. Sect. B)、第25巻、1947年、p.485−489に記載された、当業者に知られたゼイゼル(Zeisel)法によって行なわれる。
【0021】
本発明の方法に使用されるメチルヒドロキシプロピルセルロースは、含水率がどのように確立されるかにかかわらず、好ましくは56質量%未満、特に好ましくは49質量%未満、さらに好ましくは42質量%未満の全含水率を有する。粉砕されるメチルヒドロキシプロピルセルロースの全含水率は、好ましくは少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも33質量%、さらに好ましくは少なくとも37質量%である。
【0022】
本発明にとって不可欠なメチルヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースを塩化メチルおよびプロピレンオキシドと反応させ、それに続いて熱水で精製することによって、たとえば、通常、水で湿った濾過ケークまたは遠心分離された残渣の形で、得ることができる。メチルヒドロキシプロピルセルロースの反応および精製は、先行技術によって、たとえば欧州特許出願公開第0632056号明細書に開示されているような、遠心分離機またはハイドロサイクロン、それに続く限外濾過で、行なわれる。好ましい精製プロセスにおいては、たとえば欧州特許第1652860号明細書に記載されているような、回転加圧濾過器が使用される。
【0023】
たとえば、添加剤、改質剤またはさらなる水は、本発明の粉砕乾燥の前に水で湿った濾過ケークに加えることができる。水で湿った濾過ケークは、たとえば、冷却するか機械的に圧縮することができる。濾過ケークは好ましくは冷却されない。特に好ましくは、本発明の方法に導入する前の濾過ケークの温度は、30℃未満に、さらに好ましくは40℃未満に低下しない。
【0024】
使用される上述の種類のメチルヒドロキシプロピルセルロースの含水率は、好ましくは、異なる含水率の2つ以上のメチルヒドロキシプロピルセルロースを、本発明の範囲内の含水率が得られるように、互いに混合することによって達成される。
【0025】
含水率調節に使用される2つ以上のメチルヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも1つは、0.1〜15質量%の含水率を有することが好ましい。
【0026】
供給原料を用意するために使用される2つ以上のメチルヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも1つは、62質量%未満であるが、少なくとも40質量%、好ましくは44質量%を超える含水率を有することがさらに好ましい。
【0027】
したがって、本発明は、また、粉砕される原料を調製し、そしてセルロースエーテルを粉砕乾燥する方法に関し、その方法は、
a)異なる含水率のセルロースエーテルを混合することによって、特定の含水率を有する供給原料を製造し、次に
b)粉砕装置でその供給原料の粉砕および乾燥を同時に行なう。
【0028】
本発明にとって不可欠な含水率を調節するために複数のメチルヒドロキシプロピルセルロースを混合する場合は、その混合は種々の方法で行なうことができる。MHPCの工業生産で得られるような濾過ケークは、好ましくは、本発明の所望の含水率が達成されるように、すでに粉砕乾燥されたMHPC粉末または粒体と混合される。
【0029】
これは、好ましくは、粉砕乾燥装置の粉砕室の外で起こる。混合は、たとえば、商業的に入手可能な混合機で、または搬送スクリューで、行なうことができる。十分な完全混合を確実にする混合部材および/または搬送スクリューは、好ましくは、添加の位置と粉砕機との間に存在する。
【0030】
水で湿ったメチルヒドロキシプロピルセルロース濾過ケークは、好ましくは、計量装置経由で目標とされた方式で、すでに粉砕乾燥された製品と混合される。そのすでに粉砕乾燥された製品は、完全にまたは部分的に、しかし好ましくは部分的に、粉砕の間に得られた過大品(oversize)を含んでもよく、それは所望により状態調節された水で湿った濾過ケークに連続的にまたは回分的に計量添加される。乾燥され粉砕されたセルロースエーテル粉末または粒体の添加量は、得られた過大品の量に依存しないが、確立されるべき組成物の必要とされる全含水率に依存する。
【0031】
本発明の方法において使用されるメチルヒドロキシプロピルセルロースの含水率が、異なる含水率を有する2つ以上のメチルヒドロキシプロピルセルロースの上述の混合によって達成される場合は、その湿った製品の流動性は、通常、その含水率が別の方法によって、たとえば部分乾燥または執拗な加圧濾過によって確立された、同じ含水率のメチルヒドロキシプロピルセルロースと比較して、より良好である。その結果、工場における閉塞およびケーキングが、通常、減る。
【0032】
熱水でのMHPCの精製の後に残渣(濾過ケークまたは遠心分離残渣)として得られ、そして上に述べたような供給原料を用意するために使用されるようなメチルヒドロキシプロピルセルロースは、通常、62質量%未満の、好ましくは55質量%未満の、特に好ましくは50質量%未満の含水率を有する。最少の含水率は、通常、湿ったセルロースエーテルの全質量を基準として、少なくとも40質量%、好ましくは42質量%を超え、特に好ましくは44質量%を超える。
【0033】
特に好ましくは、含水率の低下は、全質量基準の質量%で表示した含水率の粉砕機の入り口と出口の間の差が、10質量%を超える、好ましくは20質量%を超える、特に好ましくは35質量%を超えるような方法で、粉砕と同時に達成される。さらに好ましくは、セルロースエーテル粉末または粒体が混合されなかった場合は、その差は38質量%を超える。
【0034】
セルロースエーテルを同時に粉砕および乾燥する方法は、たとえば、英国特許出願公開第2262527号明細書、独国特許発明第3839831号明細書、欧州特許第1127910号明細書および欧州特許第1127895号明細書の教示から、知られている。種々の粉砕機の型、たとえば、ピン・ディスクミル(pinned-disk mills)、ロールミル(bowl mills)、ハンマーミル、スクリーンミル、ハンマー・バーミルおよび衝撃粉砕機(impact mills)を使用することができる。乾燥の遂行は、好ましくは、粉砕装置において、40℃より高い、好ましくは80℃より高い、特に好ましくは100℃より高い温度に加熱された気体または気体混合物の使用によって支援される。その粉砕乾燥に続いて、さらなる粉砕工程および/または乾燥工程があってもよい。しかしながら、好ましくは、粉砕は1つの工程で行なわれ、そして使用される粉砕機は、篩がない高速衝撃粉砕機である。
【0035】
粉砕および乾燥工程の後、製品流れは分類され、過大品は、回分的にまたは連続的に、完全にまたは部分的に、工程に再循環されることができる。
【0036】
本発明の方法の後に、このように得られたメチルヒドロキシプロピルセルロース粉末は、0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1.5〜7質量%の残存含水率を有する。
【0037】
本発明は、さらに、本発明の方法によって得ることができるメチルヒドロキシプロピルセルロースに関する。
【0038】
本発明のメチルヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは、次の粒度曲線を有する。
【0039】
【表1】

【0040】
本発明によって得ることができる製品の、2.55s−1でハーケ社(Haake)製ロトビスコ(Rotovisko)で23℃で2質量%水溶液で測定された粘度は、好ましくは10〜200000mPa・s、特に好ましくは100〜150000mPa・s、さらに好ましくは約1000〜100000mPa・s、さらに好ましくは10000〜80000mPa・sである。
【0041】
緩い床(loose bed)で測定された製品の嵩密度は、好ましくは200〜700g/L、特に好ましくは250〜650g/L、さらに好ましくは300〜600g/Lである。
【0042】
本発明のメチルヒドロキシプロピルセルロースは、先行技術の他のメチルヒドロキシプロピルセルロースと比較して、それらが鉱物結合建築材料系の改善された加工特性につながる、特に好ましくはセッコウ機械プラスターのようなセッコウ結合建築材料系において塊をほとんど形成しないという点で特に区別される。
【0043】
したがって、本発明は、さらに、鉱物結合建築材料系における、好ましくはセッコウ結合建築材料系における、特に好ましくはセッコウ機械プラスターにおける、本発明のメチルヒドロキシプロピルセルロースの使用に関する。
【0044】
メチルヒドロキシプロピルセルロースは、典型的には、鉱物結合建築材料系の乾燥質量を基準として、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜0.8質量%、特に好ましくは0.2〜0.4質量%の量で使用される。
【0045】
本発明の建築材料系には、セルロースエーテル、鉱物結合剤および水に加えて、限定するものではないが、たとえば、次の成分が存在してもよい。
・消石灰 0〜30質量%
・鉱物質添加剤 0〜30質量%(たとえばケイ砂、石灰石の砂、石灰石の砂利、石灰石の粉末、雲母)
・軽量骨材 0〜20質量%(たとえば真珠岩)
・プラスチック分散粉末 0〜20質量%
・繊維 0〜2質量%(たとえばセルロース繊維)
・促進剤 0〜0.8質量%
・追加増粘剤 0〜0.5質量%(たとえばデンプン誘導体およびグアー誘導体、合成増粘剤、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール)
・遅延剤 0〜0.5質量%
・空気連行剤 0〜0.1質量%
【0046】
鉱物結合建築材料系において、水/固体比は、好ましくは0.4〜0.8、特に好ましくは0.3〜0.9である。
【0047】
メチルヒドロキシプロピルセルロースは、通常、配合物においてだけではなく、多くの添加剤および/または改質剤と共に使用することもできることは当業者に知られている。したがって、メチルヒドロキシプロピルセルロースは、たとえば基礎建築材料混合物において、少量の助剤および添加剤、たとえば泡止剤、膨潤剤、充填剤、軽量骨材、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、空気連行剤、分散剤、撥水剤、可塑剤、超吸収剤、安定剤および合成、半合成および天然の増粘剤、と混合して、使用することができる。
【実施例】
【0048】
別段の明示がない限り、記載されたパーセントはすべて質量基準である。
【0049】
例1
DS(メチル)=1.64およびMS(ヒドロキシプロピル)=0.96であり、水で湿った濾過ケークを基準とした含水率が45%であるメチルヒドロキシプロピルセルロースの水で湿った濾過ケークを、熱水での洗浄の後に55%の含水率に湿らせ、4つの部分に分ける。湿らせた濾過ケークは、粒体の形状で存在した。部分2〜4は、同じ方法において粉砕された同じ置換度を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースを含む乾燥し粉砕されたセルロースエーテル粉末と、粉砕機原料の含水率が48、42および35質量%になるように、水平混合機で、混合される。
【0050】
その後、混合物は、鉛直の駆動軸および型彫りされた相対する粉砕トラックに対して作動する衝撃板を装備した7つの粉砕トラックを有する篩がない高速気体噴射回転粉砕機で粉砕され乾燥される。使用された乾燥および輸送気体は窒素であり、それは種々の点で気体循環に供給される。
【0051】
粉砕機の下流には、細かく粉砕された製品の主要割合を堆積するサイクロンが配置される。その後、気体流は、下流のバグフィルターにおいて残留粉塵が無くなる。
【0052】
純粋な気体側に、粉塵を含まない気体流れを熱交換器に搬送するラジアルファンが配置され、熱交換器において輸送気体は必要とされる乾燥温度に加熱され、最後に粉砕機に戻される。循環気体中の水蒸気の部分は、サイクロンの後に配置されたガス洗浄塔において粉砕機の前に循環気体から除去され、その結果、窒素に富んだキャリヤーガス組成が維持される。
【0053】
過剰の循環気体は弁を通して気体循環から放出される。
【0054】
【表2】

【0055】
例2
DS(メチル)=1.64およびMS(ヒドロキシプロピル)=0.97であり、そして水で湿った濾過ケークを基準とした含水率が44.5%であるメチルヒドロキシプロピルセルロースの水で湿った濾過ケークを、熱水での洗浄の後に48%の含水率に湿らせ、3つの部分に分ける。湿らせた濾過ケークは、粒体の形状で存在した。部分2および3は、同じ方法で粉砕された同じ置換度を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースを含む乾燥し粉砕されたセルロースエーテル粉末と、粉砕機原料の含水率が39および35質量%になるように、水平混合機で、混合される。
【0056】
【表3】

【0057】
例3
DS(メチル)が1.64〜1.67およびMS(ヒドロキシプロピル)が0.93〜1.02のMHPCを調製し、熱水で洗浄することによって精製し、そして得られた濾過ケークを水での種々の含水率に調節した。その後、状態調節した濾過ケークを、例1に記載したように粉砕乾燥した。2質量%水溶液で測定した製品の粘度は、57600〜60200mPa・sである。その製品を、軽いセッコウ機械プラスター用基礎混合物(シュベンク製)に使用し、プラスター塗り機械によって壁に塗った。プラスターの加工中に、塊の形成を評価した。
【0058】
【表4】

【0059】
試料を吹付ける実験は、塊の形成の低下が粒体の含水率の低下によって達成できることを示した。
【0060】
例4
1.75または1.77の比較できるDS(メチル)および異なるMS(ヒドロキシプロピル)を有する2種のMHPCが調製し、熱水で洗うことによって精製し、そして、得られた濾過ケークを水で48質量%の含水率に調節した。その後、状態調節された濾過ケークを、例1に記載したように粉砕乾燥した。2質量%水溶液で測定した製品の粘度は、49400〜56000mPa・sである。その製品をセッコウ機械プラスター用の基礎混合物に用い、プラスター塗り機械によって壁に塗布した。プラスターの加工中に、塊の形成を評価した。
【0061】
【表5】

【0062】
吹付け実験において、MS(ヒドロキシプロピル)が低い試料は、粒体の含水率にかかわらず非常に顕著な塊を示した。一方、本発明の試料は顕著な塊の形成はより少なかった。
【0063】
例5
例4に類似した吹付け実験において、3種のMHPCを試験した。まず、粉砕される材料の48%の含水率は、55質量%の含水率を有する状態調節された水で湿った濾過ケークを乾燥し粉砕したセルロースエーテル粉末でと混合することによって確立した。混合されるセルロースエーテル粉末は、粉砕される材料と同一の組成を有する前もって粉砕された製品からなる。このように調製された試料を、例1と同様に粉砕し乾燥した(それは例1の実験I2のセルロースエーテルである。)。
【0064】
62%の含水率を有する濾過ケークを、上に記載したように、同一の粉砕される材料からのセルロースエーテル粉末で、粉砕される原料の48%の含水率に調節して、さらなるMHPCを調製した。
【0065】
セルロースエーテル粉末または粒体を添加せずに、含水率が48質量%の状態調節された濾過ケークを粉砕し乾燥することによって、さらなる試料を調製した(それは例2の実験I5のセルロースエーテルである。)。
【0066】
濾過ケークとセルロースエーテル粉末または粒体を混合することによって調製されたメチルヒドロキシプロピルセルロースは、濾過ケークの初期の含水率があまり高くない場合は、それほどべとつかず、道具のより良好な滑りを許すことが見いだされた。初期の含水率が高すぎる場合は、セルロースエーテル粉末と混合しても、良好な加工性が達成できない。
【0067】
【表6】

【0068】
例6
1.41のDS(メチル)および0.94のMS(ヒドロキシプロピル)を有するMHPCの調製からの反応混合物を、反応後に熱水の中に懸濁させ、濾過する。取り出された濾過ケークは、粒々があり、部分的に溶解し、そしてNaClが十分に除去されていなかった。
【0069】
1.64のDS(メチル)および0.97のMS(ヒドロキシプロピル)を有するMHPCを用いた点が異なる実験を繰り返した。得られた濾過ケークは、濾過ケークが部分的に溶けることなしに、精製することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料としての、水でおよび所望によりアルコールで湿らせた、1.50〜2.1のDS(メチル)、0.40〜1.5のMS(ヒドロキシプロピル)および25〜60質量%の含水率を有するメチルヒドロキシプロピルセルロースを粉砕乾燥することを特徴とする粉砕乾燥されたメチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)を調製する方法。
【請求項2】
DS(メチル)が1.55以上、好ましくは1.6以上、2.0以下、好ましくは1.9以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
MS(ヒドロキシプロピル)が0.45以上、1.35以下、好ましくは1.2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
供給原料中の水の比率の合計が、56%質量未満、30質量%以上、好ましくはで37質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
異なる含水率を有する2つ以上のメチルヒドロキシプロピルセルロースを互いに混合することによって、供給原料の含水率を調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
0.1〜15質量%の含水率を有する少なくとも1つのメチルヒドロキシプロピルセルロースを含水率調整のために用いることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
62%質量未満、40質量%以上、好ましくは44質量%超の含水率を有する少なくとも1つのメチルヒドロキシプロピルセルロースを、供給原料を用意するために用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
粉砕乾燥されたメチルヒドロキシプロピルセルロースが水基準で1〜10質量%の、好ましくは1.5〜7質量%の残存含水率を有するように、該方法が行なわれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるメチルヒドロキシプロピルセルロース。
【請求項10】
鉱物結合建築材料系における請求項9に記載のメチルヒドロキシプロピルセルロースの使用。
【請求項11】
鉱物結合建築材料系がセッコウ結合建築材料系であることを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項9に記載のメチルヒドロキシプロピルセルロースを含有する鉱物結合建築材料系。
【請求項13】
メチルヒドロキシプロピルセルロースが、鉱物結合建築材料系の乾燥質量を基準として、0.01〜5質量%の量で存在することを特徴とする請求項12に記載の鉱物結合建築材料系。
【請求項14】
a)異なる含水率のセルロースエーテルを混合することによって特定の含水率を有する供給原料を調製し、次いでb)粉砕装置においてその供給原料材料の粉砕および乾燥を同時に行なうことを特徴とするセルロースエーテルの粉砕される原料を調製し粉砕乾燥する方法。

【公表番号】特表2010−523741(P2010−523741A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501399(P2010−501399)
【出願日】平成20年3月15日(2008.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002096
【国際公開番号】WO2008/122345
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】