説明

銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液、及び、その製造方法、並びに、抗菌性水性塗料組成物、及び、抗菌性機能を有する塗装品

【課題】塗膜の変色が無く、塗料固形分の再分散性に優れた銀系無機抗菌剤微粒子の水系懸濁液、抗菌性能を有する水性塗料組成物、及び、それらを利用して得られる安全性の高い抗菌性機能を有する塗装品を提供する。
【課題を解決する手段】カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7〜0.9の範囲である該難溶性オルトリン酸複塩に銀を担持させた抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子(a)と分散媒(b)とを少なくとも含んだ懸濁液であって、前記(a)成分は平均粒子径が0.5〜2.0μmの範囲にある抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子を含み、かつ(b)成分が水である抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液、及び、当該抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性機能を付与することができる水性塗料組成物に係るもので、銀系無機抗菌剤を使用しているにも係らず塗膜が光で変色することなく、プラスチック、無機繊維強化プラスチック、金属、ガラス、タイル、ホーロー、陶磁器、セラミックス、窯業系無機質板、石膏ボード、セメント、目地、コンクリート、木材などの表面に抗菌性を付与する抗菌性水性塗料組成物、及び、その製造方法、より詳しくは、銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液、及び、その製造方法、並びに抗菌性機能を有する塗装品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀イオンは極微量でも顕著な抗菌性能を有し、人体にも安全であることが知られている。
活性炭に硝酸銀溶液を添加して銀を担持させ、微量に溶出する銀イオンにより浄水器用活性炭に抗菌効果を持たせる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、銀イオンを各種の無機物質に担持した銀系無機抗菌剤について種々の提案がなされている。例えば、ゼオライトの持つイオン交換能を利用して銀イオンを担持させた抗菌剤を含ませた殺菌性ポリマー組成物が(例えば、特許文献2参照)、組成中に一価の銀イオンを含有する抗菌性を有する溶解性ガラス(例えば、特許文献3参照)が、リン酸ジルコニウムにイオン交換により銀イオンを担持させた抗菌剤(例えば、特許文献4参照)が、ハイドロキシアパタイトに銀イオンを吸着保持させた抗菌剤(例えば、特許文献5参照)が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅および亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に銀イオンを担持させた抗菌剤(例えば、特許文献6参照)、更に、銀などの抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される複合酸化物粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液の抗菌剤(例えば、特許文献7参照)が開示されている。
【0003】
これら銀系無機抗菌剤を添加した抗菌性能を有する水性塗料については、それを室内の天井、壁、ドア、本棚、食器棚、洗面化粧棚などに抗菌性を付与することができる抗菌塗装に使用することができる。従来、それらに使われていた塗料に含まれていたVOCや、抗菌・防カビ剤に使用されていた有機系抗菌剤などの化学物質による室内空気汚染を回避できるので様々な提案が行われている。
【0004】
例えば、抗菌性を有するゼオライト系固体粒子を含有してなる防腐、防カビ性の塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0005】
しかし、ゼオライトにイオン交換によって銀イオンを担持させたイオン交換タイプの銀系無機抗菌剤は、一般的に平均粒子径が2〜3μmであり、水性塗料に分散して保存しておくと大きな粒子径のものから沈降して行くので、粒子は密に充填された固まりとなって、簡単には容器から取り出せなくなるという大きな問題点があった。
【0006】
また、抗菌剤にイオン交換能で担持されていた銀イオンは、水中に存在する他の陽イオンとイオン交換されて抗菌剤から引き抜かれて遊離の銀イオンとなる。この遊離した銀イオンは光や還元物質などによって簡単に金属銀コロイド(金属コロイドは光を吸収するので着色して見える。金属コロイドは、その濃度が薄い方からピンク色→黄色→茶色→黒色に変化する。)になり、最終的には黒変するため商品価値が著しく損われるという致命的な問題があった。
【0007】
また、平均粒子径が数ミクロンの無機物質を水に直接混ぜるとダマになって分散し難くなるため、剪断力の大きなサンドミルを使って強力に分散するのが一般的である。
【0008】
しかし、抗菌剤の担体に使用されるゼオライト(平均粒子径が2〜3μmの微粒子)は剪断力が大きい分散機で分散すると粉砕されて、ゼオライトに担持されていた銀イオンが溶出し、また、リン酸ジルコニウムにイオン交換により銀イオンを担持させた抗菌剤でも、ゼオライト系抗菌剤と同様に粉砕されて銀イオンが溶出するという問題点があった。
【0009】
また、抗菌性を有する溶解性ガラスは、平均粒子径が5〜10μmのものが一般的であるが、粒子が小さいと直ぐに水に溶けるし、大きいと沈降するので塗料としては非常に使い難いものであった。
【0010】
また、ハイドロキシアパタイトに銀イオンを吸着保持させた抗菌剤は、銀イオンによる変色を抑えるために銀イオンを吸着保持させた後、750℃以上で焼成して銀イオンの溶出を抑えているが、当該抗菌剤を使用した塗料は十分な抗菌性が得られなくなるという大きな問題点があった。
【0011】
また、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅および亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に銀イオンを担持させた抗菌剤を、別途、水に馴染みやすいエタノールなどの溶剤中で湿式粉砕して得られた抗菌剤微粒子の懸濁液を、現場で簡単に水性塗料に添加・混合して使用できる抗菌性水性塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献9参照)。
【0012】
しかし、この抗菌性水性塗料組成物は水性塗料に添加・混合後、1日以内に塗装して乾燥すれば変色しないが、塗料化して貯蔵しておくと銀イオンが多量に溶出するため、その塗料を使用すると光で塗膜が黒変するという致命的な問題があった。
【0013】
以上のようなことから、銀系無機抗菌剤を利用した抗菌性水性塗料組成物は、水中で抗菌剤から除放される銀イオンが光で銀コロイドに変化して塗膜を黒変させるという原理的に解決できない問題点があることから実現不可能と考えられていた。
【0014】
しかし、銀などの抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される複合酸化物粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液の抗菌剤が提案されており、この銀ナノコロイドが水性塗料に利用できるとしている(例えば、特許文献10参照)。
【0015】
この銀系無機抗菌剤は、無機酸化物コロイドに銀ナノコロイドが担持されたものなので普通の金属銀よりは抗菌活性が高いが、一般的な銀系無機抗菌剤に比べれば銀イオンの溶出量が極めて少ないので抗菌性能としては劣るものであった。
【0016】
また、抗菌性無機酸化物コロイドの添加量を増やして抗菌効果を改善する試みが行われたが、大幅なコストアップになるばかりでなく、銀コロイドによる変色という新たな問題が生じる結果となっている。
【特許文献1】特公昭52−38666号公報
【特許文献2】特公昭63−54013号公報
【特許文献3】特開昭62−210098号公報
【特許文献4】特開平3 −83906号公報
【特許文献5】特開平3−218765号公報
【特許文献6】特許第2524893号公報
【特許文献7】特許第3095960号公報
【特許文献8】特開昭60−202162号公報
【特許文献9】特開平9−53028号公報
【特許文献10】特開平7−150075号公報
【非特許文献1】金沢孝文編著「無機リン化学」講談社、p.177-179、1985年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、背景技術に存在する課題を解決するためになされたものであり、その課題は、 従来の銀系無機抗菌剤を水性塗料に使用したときに生じる塗膜の変色や塗料固形分の沈降固化などの致命的な欠点を解決し、再分散性に優れた銀系無機抗菌剤微粒子の水系懸濁液、抗菌性能を有する水性塗料組成物、及び、それらを利用して得られる安全性の高い抗菌性機能を有する塗装品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、上記課題を解決すべく、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7〜0.9の範囲である当該難溶性オルトリン酸複塩に、0.5〜5.0重量%の銀を担持させた抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子(a)と分散媒(b)とを少なくとも含んだ懸濁液であって、前記(a)成分は平均粒子径が0.5〜2.0μmの範囲にある抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子を0.05〜50重量%含み、かつ(b)成分が水であることを特徴とする抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液、及び、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅からなる群の中から選ばれた1種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に銀イオン溶液を添加して、40℃以下でメカノケミカル的に反応させて銀を担持させた後、固液分離してから150〜300℃で乾燥してから、又は/及び、500〜750℃で焼成してから、冷却した当該抗菌性リン酸複塩抗菌剤と水とを反応機に投入して粉砕・分散することを特徴とする抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液の製造方法を提供する。
【0019】
本発明に係る難溶性オルトリン酸複塩に使用する金属は、安全性の観点からカルシウ、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅が望ましい。
【0020】
また、カルシウム以外の亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅などの金属のオルトリン酸塩はすべてが水中で結晶水を持つ性質がある。特に、粉砕によって微粒子化された該オルトリン酸複塩の水系懸濁液では結晶水を持ちやすく、結晶水を持つと、沈降固化して再分散できなくなり、容器から取り出せなくなるという大きな問題点があった。
【0021】
しかし、リン酸カルシウム類にはリン酸マグネシウム類に存在するような多水和物はない(非特許文献1)ので、その微粒子の水系懸濁液は、沈降しても固化することが無く、再分散性優れるという注目すべき性質がある。
【0022】
本発明に係る銀を担持させる難溶性オルトリン酸複塩の合計当量数に占めるカルシウムの比率を0.7〜0.9の範囲とすることが好ましく、0.75〜0.85の範囲であることがより好ましい。当該カルシウムの比率が0.7より小さいと抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液の再分散性が悪くなり、当該カルシウムの比率が0.9より大きいとリン酸カルシウムの単塩のアパタイト(Ca10(PO(OH))の固体酸性度が0.02meq/gに近づくため、十分な抗菌性能が得られるだけの銀を担持させることができないため水系懸濁液の抗菌性能が不十分となるので好ましくない。
【0023】
なお、単塩の難溶性オルトリン酸塩の固体酸性度は、リン酸マグネシウム(Mg(POでは0.01meq/g、アパタイト(Ca10(PO(OH))では0.02meq/g、リン酸亜鉛(Zn(PO)では0.02meq/g、リン酸銅(Cu(PO)では0.05meq/g、リン酸アルミニウム(AlPO)では0.10meq/gであるのに対し、本発明に係る難溶性オルトリン酸複塩であるリン酸アルミニウム・カルシウム(Al15Ca(PO17)では0.50meq/g、リン酸亜鉛・マグネシウム(ZnMg(PO)では0.30meq/gなどとより大きな固体酸性度を有しているので、十分な抗菌性能が得られるだけ銀を担持させることができる。
【0024】
そこで、カルシウムを主要の金属として、加えて、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の酸化物、水酸化物、又は、炭酸塩と、リン酸塩又はリン酸を使用して合成すると再分散性に優れ、固体酸性度が大きく、抗菌性能に優れた抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液が得られる。
【0025】
本発明に係る当該抗菌性リン酸複塩抗菌剤の合成反応には、湿式反応、乾式反応のいずれでも可能であるが、湿式反応の方が好ましく、メカノケミカル効果のあるボールミル、媒体ミル、振動ボ−ルミル等の湿式の反応機を使用することがより好ましく、銀イオンの担持には、メカノケミカル効果のある反応機を使用し、40℃以下の温度で反応させることが好ましく、反応温度が40℃を超えると、銀が遊離して変色するので好ましくない。
【0026】
合成反応が終った抗菌性リン酸複塩抗菌剤は、固液分離してから150〜350℃で乾燥するが、より好ましくは250〜300℃で乾燥する。そうすると水系懸濁液にしたときの沈降固化の度合いが改善されるのでより好ましい。
【0027】
また、銀イオンの溶出量が多過ぎて変色が問題となる場合は、必要に応じて500〜750℃で焼成するが、より好ましくは650〜750℃で焼成する。750℃を超えて焼成すると銀イオンの溶出が必要以上に少なくなってしまい、抗菌性能が著しく低下するので好ましくない。
【0028】
なお、銀イオンを担持させる当該オルトリン酸複塩は、複塩としてあらかじめ合成されたものだけでなく、複塩の合成過程で銀イオンを担持させてもよい。
【0029】
本発明に係る難溶性オルトリン酸複塩に担持させる銀の重量%は、0.5重量%未満だと抗菌性能が不十分で、5.0重量%を超えると銀が安定的に担持されないため変色するので好ましくない。
【0030】
本発明に係る懸濁液に含まれる抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子の平均粒子径は0.5〜2.0μmの範囲にあることが望ましく、カルシウムを主要の金属としたリン酸複塩を使用することで沈降固化の問題が解決されるので、銀イオンが変質して黒変するような大きな粉砕エネルギーを加えて平均粒子径を0.5μm未満にして分散を良くする必要性は無くなるが、平均粒子径が2.0μmを超えると抗菌剤粒子が沈降し易くなるので好ましくない。
【0031】
本発明に係る懸濁液に含まれる抗菌性リン酸複塩抗菌剤の微粒子の含有量は0.05重量%未満では抗菌性能が不十分で、50重量%を超えると懸濁液がペースト状となり取り出せなくなるので好ましくない。
【0032】
なお、本発明に係わる水は、水道水、河川水、雨水など水ならば何でも用いることができるが、不純物が少ないことが望ましく、イオン交換水、又は、蒸留水はより好ましい。
【0033】
本発明に係わる湿式粉砕は、公知のボ−ルミル、媒体ミル、振動ボ−ルミルなどの湿式反応機を制限なく利用することができる。
【0034】
本発明に係る水性塗料としては、アクリルエマルション塗料、スチレン・アクリル共重合エマルション塗料、 酢酸ビニルエマルション塗料、スチレンエマルション塗料、及びブタジエンエマルション塗料などを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、すべての水性塗料に制限なく使用できる。
【0035】
また、水性塗料に、上述の抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液を添加して、塗料固形分に対して0.05〜10重量%の抗菌性リン酸複塩抗菌剤を含ませたことを特徴とする抗菌性能を有する水性塗料組成物を提供する。
【0036】
更に、前記水性塗料組成物を、プラスチック、無機繊維強化プラスチック、金属、ガラス、タイル、ホーロー、陶磁器、セラミックス、窯業系無機質板、石膏ボード、セメント、目地、コンクリート、木材からなる群の中から選択される基材に直接又はアンダーコート塗装した上に、スプレー法、ロール塗り法、刷毛塗り法、流し塗り法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、及びバーコート法などの塗装方法によって得られることを特徴とする抗菌性機能を有する塗装品提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液は、従来の銀系無機抗菌剤を水性塗料に使用したときに生じる塗膜の変色や塗料固形分の沈降固化などの致命的な問題点を解決するものであり、安全性が高く環境に悪影響を及ぼさず、再分散性に優れ、塗膜の変色がないので、これを水性塗料に添加・分散するだけで優れた抗菌性能を有する水性塗料組成物、及び、塗装品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
銀を担持させる難溶性オルトリン酸複塩に含まれるカルシウム金属の比率を0.7〜0.9の範囲とした抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液を水性塗料に添加することにより、従来、問題となっていた塗膜の変色や固形分の沈降固化などの致命的な問題点が解決できる。
(1)抗菌性リン酸複塩、及び、その水系懸濁液等の製造
【実施例1】
【0039】
化学式(CaZn(PO)で示される原料配合比(この場合は、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.9である。)に従って次のように調製した。
50℃に加温した40%リン酸水溶液1000gに撹拌しながら酸化亜鉛(ZnO)55.3g、及び、水酸化カルシウム(Ca(OH))458gを徐々に添加して反応さてから、60℃で5時間保持した後、得られたスラリ−を30℃に冷却して、2lボ−ルミルに移し、硝酸銀(AgNO3)11.3gを添加して、2時間練和を続けた。得られた反応スラリ−は水洗し、濾過して得られたケーキを250℃で12時間乾燥した後、当該ケーキを粉砕して粉末(以下「粉末1」という)を得た。「粉末1」に担持された銀の含有量は0.98重量%であった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kgと上で得た「粉末1」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビーズを使用して4日間粉砕して抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液1」 という)を得た。「水系懸濁液1」の抗菌剤の固形分は20重量%で、平均粒子径は1.60μmであった。
また、得られた水系懸濁液1を250ml容ポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、カサ高の沈殿が生じているが、手で振とうすることによって簡単に再分散することができた。
【実施例2】
【0040】
化学式(Al2/3CaZn(PO)で示される原料配合比(この場合は、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.8である。)に従って次のように調製した。
50℃に加温した40%リン酸水溶液1000gに撹拌しながら酸化亜鉛(ZnO)55.3g、水酸化カルシウム(Ca(OH))406.9g、及び、水酸化アルミニウム(ギブサイトAl・3HO)70.7gを徐々に添加して反応さてから、60℃で5時間保持した後、得られたスラリ−を30℃に冷却して、2lボ−ルミルに移し、硝酸銀(AgNO3)10.6gを添加して、2時間練和を続けた。得られた反応スラリ−は水洗し、濾過して得られたケーキを250℃で12時間乾燥した後、当該ケーキを粉砕して粉末(以下「粉末2」という)を得た。「粉末2」に担持された銀の含有量は0.95重量%であった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kgと上で得た「粉末1」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビーズを使用して4日間粉砕して抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液2」 という)を得た。「水系懸濁液2」の抗菌剤の固形分は20重量%で、平均粒子径は1.55μmであった。
また、得られた水系懸濁液1を250ml容ポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、カサ高の沈殿が生じているが、手で振とうすることによって簡単に再分散することができた。
【実施例3】
【0041】
原料配合比を示す化学式(Al2/3CaZnCu(PO)で示される原料配合比(この場合は、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7である。)に従って次のように調製した。50℃に加温した40%リン酸水溶液1000gに撹拌しながら酸化亜鉛(ZnO)387.5g、塩基性炭酸銅(CuCO・Cu(OH))150.4g、水酸化カルシウム(Ca(OH))356g、及び、水酸化アルミニウム(ギブサイトAl・3HO)70.7gを徐々に添加して反応さてから、60℃で5時間保持した後、得られたスラリ−を30℃に冷却して、2lボ−ルミルに移し、硝酸銀(AgNO3)10.8gを添加して、2時間練和を続けた。得られた反応スラリ−は水洗し、濾過した後、得られたフィルターケーキを250℃で12時間乾燥した当該ケーキを粉砕して粉末(以下「粉末3」という)を得た。「粉末3」に担持された銀の含有量は、0.97重量%であった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kgと上で得た「粉末3」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビ−ズを使用して4日粉砕して抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液3」 という)を得た。水系懸濁液1の平均粒子径は1.59μmであった。
また、得られた水系懸濁液1を250ml容ポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、沈殿が生じているが、手で強く振とうすることによって再分散することができた。
【0042】
比較例1
硝酸銀2gを溶解した蒸留水1lに、攪拌しながら徐々にアンモニア水を加えて中性からアルカリ性にpHを調整した。これに0.1M塩化カルシウム1000mlと
0.1Mリン酸水素二ナトリウム600mlを、溶液のpHをアンモニア水で中性からアルカリ性に調整しながら、それぞれ攪拌しながら徐々に滴下して、銀ヒドロキシアパタイトを合成した。銀ヒドロキシアパタイトは、カルシウム金属の単塩だから、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率としては1.0ということになる。)
得られた生成物を蒸留水で良く洗浄してから遠心分離機で固液分離するという工程を3回繰り返してスラリーを得た。このスラリーは別途150℃で乾燥して、乾燥前後の重量差から含有水分量を計算で求めた。
また、該スラリーを250℃で12時間乾燥した後、粉砕して粉末(以下「粉末4」という。)を得た。「粉末4」に担持された銀の含有量は、0.21重量%であった。
次に、該スラリーを乾燥重量換算で5g乳鉢に取り、当該スラリーに含まれる水分と、新たに追加する蒸留水が足して丁度20mlとなるように蒸留水を加えて乳棒で擂り潰して銀ヒトロキシアパタイト微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液4」
という)を得た。「水系懸濁液4」の抗菌剤の固形分は20重量%で、平均粒子径は1.20μmであった。
また、得られた水系懸濁液1を250ml容ポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、沈降はしているが、手で振とうすることによって簡単に再分散することはできた。
【0043】
比較例2
原料配合比を示す化学式(CaZn(PO)で示される原料配合比(この場合は、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.2である。)に従って次のように調製した。
50℃に加温した40%リン酸水溶液1000gに撹拌しながら酸化亜鉛(ZnO)442.8g、及び、水酸化カルシウム(Ca(OH))101.7gを徐々に添加して反応さてから、60℃で5時間保持した後、得られたスラリ−を30℃に冷却して、2lボ−ルミルに移し、硝酸銀(AgNO3)12.6gを添加して、2時間練和を続けた。得られた反応スラリ−は水洗し、濾過した後、得られたフィルターケーキを250℃で12時間乾燥した後、粉砕して粉末(以下「粉末5」という)を得た。「粉末5」に担持された銀の含有量は、0.98重量%であった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kgと上で得た「粉末5」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビ−ズを使用して4日粉砕して抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液5」 という)を得た。水系懸濁液1の平均粒子径は1.58μmであった。
また、得られた水系懸濁液5を250ml容ポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、沈降固化しており、手で強く振とうしても再分散することができなかった。
【0044】
比較例3
原料配合比を示す化学式(Al2/3CaZn(PO)(この場合は、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.2である。)に従い、50℃に加温した40%リン酸水溶液1000gに撹拌しながら酸化亜鉛(ZnO)442.8g、水酸化カルシウム(Ca(OH))101.7g、及び、水酸化アルミニウム(ギブサイトAl・3HO)70.7gを徐々に添加して反応さてから、60℃で5時間保持した後、得られたスラリ−を30℃に冷却して、2lボ−ルミルに移し、硝酸銀(AgNO3)12.8gを添加して、2時間練和を続けた。得られた反応スラリ−は水洗し、濾過した後、得られたフィルターケーキを250℃で12時間乾燥した後、粉砕して粉末(以下「粉末6」という)を得た。「粉末6」に含まれていた銀の含有量は、1.00重量%であった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kgと上で得た「粉末6」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビ−ズを使用して4日粉砕して抗菌性リン酸複塩抗菌剤微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液6」 という)を得た。水系懸濁液1の平均粒子径は1.55μmであった。
また、得られた水系懸濁液1をポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、沈殿はあるが、手で振とうすることによって簡単に再分散することが確認された。
【0045】
比較例4
1/20M硝酸銀水溶液800mlにナトリウムタイプのA型ゼオライト(東ソ−トヨビルダ−)の 乾燥物400gを加え、室温にて3時間撹拌してから濾過し、水洗して過剰の銀イオンを除去した。これを150℃で乾燥した後、解砕して粉末(以下「粉末7」という)を得た。粉末7に担持された銀の含有量は1.08重量%、平均粒径は2.60μmであった。
次に、4lボ−ルミルにイオン交換水1.2kg、及び、上で得た「粉末7」300gを加え、6mm径のアルミナ製の粉砕ビ−ズを使用して4日間粉砕して抗菌性ゼオライト微粒子の水系懸濁液(以下「水系懸濁液7」 という)を得た。水系懸濁液7の平均粒子径は0.87μmであった。
また、得られた水系懸濁液1をポリエチレン容器に入れて3ヶ月間室温で静置したところ、沈殿は見られたが、手で強く振とうすることにより再分散することができた。
【0046】
(2)抗菌性リン酸複塩、及び、その水系懸濁液等の特性
上述の実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた粉末1〜7を1N硝酸で溶解した水溶液を使って原子吸光光度計で銀の定量を行い、計算で銀の担持量を求めた。また、粒度分布測定機で水系懸濁液1〜7の平均粒子径を測定した。表1にその測定結果を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
(3)水系懸濁液の再分散性試験
上述の実施例及び比較例で得られた水系懸濁液1〜7をそれぞれ250ml容ポリエチレン容器に入れてから蓋をして室温で1ヶ月間静置した後、容器を手で強く振とうしてから蓋を外し、180度まで傾斜していったときの内容物の排出状態から再分散性の評価を行った。表1に再分散性試験の結果をまとめる。なお、表1に記載の「判定」は、次の基準に沿って判定した。3:内容物がほぼ全量排出された。2:容器の底に内容物の固着はないが、内容物の多くが容器内面全体に付着して残っており、排出された内容物の割合は半分以下であった。1:容器の底に内容物が固着してほとんど排出されなかった。表2に評価結果を示す。
【0049】
【表2】

【0050】
金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7〜0.9の範囲である本発明に係る水系懸濁液1〜3(実施例1〜3)と、該当量の比率が1であるヒドロキシアパタイトを銀の担体に使用している水系懸濁液4(比較例1)の場合は、再分散性に優れていたが、その範囲から外れて0.2である金属の難溶性オルトリン酸複塩を担体に使用した場合(水系懸濁液5と6)は、再分散性が極めて悪く、容器の底に内容物が固着してほとんど排出できなかったので水性塗料組成物として使用不可と判断した。
また、A型ゼオライトを担体にした比較例4の場合は、担体であるゼオライトが粉砕されて微粒子化されたため内容物はほぼ全量排出できた。
【0051】
(3)水性塗料組成物の再分散性試験
アクリルエマルション塗料(関西ペイント製:ビニデラックス白色)200gを250mlポリエチレン容器に取り、前述の実施例及び比較例で得られた水系懸濁液1〜7(抗菌剤濃度は20重量%)を塗料にそれぞれ5g添加して撹拌棒で混合・分散して水性塗料組成物(以下、水性塗料組成物1〜7という)を得た。
次に容器の蓋をして室温で3ヶ月間静置した後、手で強く振とうしてから蓋を外し、容器を180度まで傾けて行ったときの排出の状態から再分散性の評価を行った。表2に再分散性試験の結果をまとめる。なお、表2に記載の「判定」は、次の基準に沿って判定した。3:内容物がほぼ全量排出された。2:容器の底に内容物の固着はないが、内容物の多くが容器内面全体に付着して残っており、排出された内容物の割合は半分以下であった。 1:容器の底に内容物が固着してほとんど排出されなかった。表3に評価結果を示す。
【0052】
【表3】

表3に記載のように、本発明に係る抗菌剤微粒子の水系懸濁液1〜3(実施例1〜3)、及び、当該当量の比率が1であるヒドロキシアパタイトを銀の担体に使用している水系懸濁液4(比較例1)の場合は、再分散性に優れていたが、その範囲から外れて0.2である金属の難溶性オルトリン酸複塩を担体に使用した場合(比較例2、及び、3)は、容器の底に抗菌性リン酸複塩抗菌剤が沈降固化してほとんど排出できなかった。
また、A型ゼオライトを担体にした比較例4の場合は、担体であるゼオライトが粉砕されて微粒子化されたため内容物はほぼ全量排出できた。
【0053】
(4)抗菌水性塗料組成物を塗布した試験片の作成
上述の水性塗料組成物1〜7をアルミニウム板(
50×50×板厚0.3mm)にエアーガンを用いて塗布(膜厚約20μm)した後(ただし、再分散性の判定が1の水性塗料組成物5と6はアルミニウム板に均一に塗布できないので除外した。)、室温で2日間乾燥して、試験片(水性塗料組成物1、2、3、4、及び、7で作成した試験片を順に試験片1、2、3、4、及び、7とする)を得た。
【0054】
(5)試験片に塗布された抗菌性水性塗料組成物の塗膜の変色試験
上述の試験片1、2、3、及び、7について太陽光の照射(晴天の正午の前後3時間を1日として5日間)による塗膜の変色試験を行った。
抗菌性リン酸複塩抗菌剤等に銀イオンが安定的に担持されていれば、光によって銀イオンが還元されて銀コロイド(黒変の原因)を生じることはないが、塗膜中の銀イオンが遊離した状態であれば還元されて黒変することになる。
表4に試験片に塗布された抗菌水性塗料組成物の塗膜の変色試験の結果をまとめる。なお、表4に記載の「判定」は、次の基準に沿って判定した。3:ほとんど変色がない。2:灰色に変色している。1:黒色に変色している。表4に評価結果を示す。
【0055】
【表4】

【0056】
表4に記載のように、金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7〜0.9の範囲である本発明に係る抗菌剤微粒子の水系懸濁液1〜3を用いた水性塗料組成物1〜3はほとんど変色しなかった。
しかし、水性塗料組成物4(銀の担体がヒドロキシアパタイト)は灰色に変色した。これはヒドロキシアパタイトの銀の担持能力が小さいため、銀イオンが水系懸濁液に遊離し、光によって銀イオンが還元されて銀コロイド(灰色または黒変の原因)が生成したためである。
また、水性塗料組成物7(銀の担体がA型ゼオライト)の場合は黒色に変色した。これは水性塗料組成物の作製の過程で、銀の担体であるA型ゼオライトが微粒子に粉砕されて銀イオンが水性塗料組成物に多量に溶出したことによると考えられた。
【0057】
(6)抗菌性水性塗料組成物を塗布した試験片の抗菌性評価
前述の試験片1、2、3、4、及び、7について抗菌性試験を行った。抗菌性試験は、JIS Z 2801に規定されるフィルム密着法により行った。
ただし、市販の水性塗料には有機系の防腐剤が含まれており、本発明による抗菌性リン酸複塩抗菌剤を添加しなくても試験菌が死滅するため試験片の前処理として、試験片を蒸留水に3日間浸漬して防腐剤を溶け出させた後、40℃で24時間乾燥したものを試験片とした。
試験菌は大腸菌(グラム陰性菌)と黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)を用い、抗菌性の判定は、抗菌活性値の繰り返し数3の平均値で抗菌活性値2.0以上を抗菌性あり(判定:○)、2.0以下を抗菌性なし(判定:×)とした。
なお、抗菌活性値は接触保存24時間後のブランクの試験片(抗菌剤が入っていない塗料を塗布したもの)に対する各試験片の生菌数の減少桁数で表す。表5に評価結果を示す。
【0058】
【表5】

【0059】
表5に記載したように、
本発明に係る水性塗料組成物を塗布した試験片1〜3は顕著な抗菌性を示すことが分った。
一方、試験片4は、リン酸の単塩であるヒドロキシアパタイトを使用しているので銀の担持能が小さく抗菌性能が著しく劣った。
また、試験片7は、水性塗料組成物を作製する粉砕・分散工程で銀の担体として使用されているA型ゼオライトが粉砕されて、それに担持されていた銀イオンが水性塗料組成物中に多量に溶出するので、抗菌性は○であるが、塗膜中の遊離した銀イオンが光で黒変するという致命的な問題点があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に、0.5〜5.0重量%の銀を担持させた銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子(a)と分散媒(b)とを少なくとも含んだ水系懸濁液であって、前記(a)成分は平均粒子径が0.5〜2.0μmの範囲にある銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子を該水系懸濁液の0.05〜50重量%含み、かつ(b)成分が水であることを特徴とする銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液。
【請求項2】
請求項1記載の金属の難溶性オルトリン酸複塩の全当量数に占めるカルシウム金属の当量の比率が0.7〜0.9の範囲であることを特徴とする銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液。
【請求項3】
カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及び、銅なる群の中から選ばれた1種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に銀イオン溶液を添加して40℃以下でメカノケミカル的に反応させて銀を担持した後、固液分離してから200〜300℃で乾燥し、必要に応じて500〜750℃で焼成してから、常温まで冷却した当該銀担持難溶性オルトリン酸複塩と水とを湿式の反応機に投入して粉砕・分散することを特徴とする銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液の製造方法。
【請求項4】
水性塗料に、請求項1記載の銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液を添加して、塗料固形分に対して0.05〜10重量%の抗菌性リン酸複塩抗菌剤を含ませたことを特徴とする抗菌性能を有する水性塗料組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の抗菌性能を有する水性塗料組成物を、プラスチック、無機繊維強化プラスチック、金属、ガラス、タイル、ホーロー、陶磁器、セラミックス、窯業系無機質板、石膏ボード、セメント、目地、コンクリート、木材からなる群の中から選択される基材に直接又はアンダーコート塗装した上に、スプレー法、ロール塗り法、刷毛塗り法、流し塗り法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、及びバーコート法などの塗装方法によって得られることを特徴とする抗菌性機能を有する塗装品。

【公開番号】特開2009−23959(P2009−23959A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189485(P2007−189485)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(300068834)新東ブイセラックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】