説明

銀粉及びその製造方法

【課題】銀粉生成の反応収率の低下がなく、フレーク状銀粉の原料として用いた場合に、フレーク状銀粉の粒径や粒度分布管理や制御ができるような凝集のない分散性にすぐれた銀粉およびその製造方法を提供する。
【解決手段】銀塩と酸化銀の少なくとも一方を含有する水系反応系で銀粒子を還元析出させる銀粉の製造方法において少なくとも還元反応中に脂肪酸塩を添加する製造方法であり、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による累積50%粒径D50が1.6μm以下、累積90%粒径D90が3.0μm以下、かつ10μmを超える粒径のない1山のシャープな粒度分布を示す銀粉が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路を形成する導電性材料用銀粉とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路を形成する厚膜プロセス用金属ペースト材料および導電性ペーストには微細なフレーク状(鱗片状)銀粉末が使用されている。この微細なフレーク状銀粉末の原料銀粉の製造方法として、銀塩含有水溶液にアルカリ剤を加えて酸化銀を生成させ、さらに還元剤を加えて湿式還元法で銀粉を製造する方法がある。一方、銀塩含有水溶液に錯化剤を加えて錯体を形成させ、さらに還元剤を加えて湿式還元法で銀粉を製造する方法も用いられている。
また、得られた銀粉をフレーク状銀粉に加工するには、粉砕メディアを用いたボールミル、振動ミル、攪拌式粉砕機などにより、銀粉を物理的な力でフレーク化する方法が用いられてきた。
【0003】
しかし、上記の湿式還元方法で製造された銀粉は凝集性が甚だしく、フレーク状銀粉に加工する際に凝集した銀粉が粗大化し、ファイン化が進む電気回路に対応できないという問題があった。そのため得られる銀粉を凝集性のより小さいものにするために凝集を避けるための分散剤の添加手段が試みられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−276907号公報
【特許文献2】特開昭63−213606号公報
【特許文献3】特開平09−020903号公報
【特許文献4】特開昭49−113754号公報
【特許文献5】特開昭61−276904号公報
【特許文献6】特開平10−317022号公報
【特許文献7】特開平08−085807号公報
【特許文献8】特開平08−003605号公報
【特許文献9】特公昭61−55562号公報
【特許文献10】特開平10−088207号公報
【特許文献11】特開平03−104806号公報
【特許文献12】特開昭62−121640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、次のような問題点があった。
分散剤を還元反応の前に添加しており、還元反応が一部阻害され、銀塩や銀錯体の一部が還元されずに残留するためか、銀粉の収率が低かった。さらに、後工程での処理に際し、これら未反応の銀塩や銀錯体の残留したものが反応するためか、凝集粉が発生してフレーク状銀粉の粒径の制御が困難となっていた。
また、より細かい粒子を得るための加工においては、分散が不充分で凝集粉が発生し易く、凝集粉を含んだままフレーク状銀粉に加工すると、凝集粒子が巨大なフレーク状銀粉になってしまう等フレーク状銀粉の粒径の制御が困難であった。
さらに、このような凝集粉は分級により取り除くことも可能であるが、その場合、分級処理という操作が必要な上に、銀粉の収率がいっそう低くなるという難点があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、銀粉生成の反応収率の低下がなく、フレーク状銀粉の原料として用いた場合にフレーク状銀粉の粒径や粒度分布管理や制御ができるような凝集のない分散性に優れた銀粉およびその製造方法並びにフレーク状銀粉の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記の目的を達成すべく、鋭意研究の結果、分散剤の添加タイミングは、少なくとも還元剤の添加中に行うようにし、さらに、使用する分散剤は水系の反応の場合水への溶解度の高いものを用いれば分散性に優れた、つまりシャープな粒度分布をもち、粒径の制御しやすいフレーク状銀粉の原料として好適な銀粉が高収率で得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、第1に、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による累積50%粒径D50が2μm以下、累積90%粒径D90が5μm以下、かつ累積粒度分布グラフの最大粒径が10μm以下であることを特徴とする銀粉;第2に、銀塩と酸化銀の少なくとも一方を含有する水系反応系で銀粒子を還元析出させる銀粉の製造方法において、少なくとも還元反応中に分散剤を添加することを特徴とする銀粉の製造方法;第3に、前記分散剤が界面活性剤であることを特徴とする前記第2に記載の銀粉の製造方法;第4に、前記界面活性剤が脂肪酸塩であることを特徴とする前記第3に記載の銀粉の製造方法;第5に、前記分散剤の添加量は、析出対象の銀に対して、0.5〜1.5重量%であることを特徴とする前記第2ないし第4のいずれかに記載の銀粉の製造方法;第6に、前記第2ないし第5のいずれかに記載の方法で製造された銀粉を用いるフレーク状銀粉の製造方法において、フレーク化処理時に粉砕メディアを用いて物理的にフレーク化処理することを特徴とするフレーク状銀粉の製造方法;第7に、前記粉砕メディアの直径が5mm以下であることを特徴とする前記第6に記載のフレーク状銀粉の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
分散剤を添加するタイミングについては、還元前のみに添加する従来法では還元反応による反応収率が低下したり、一方、還元後のみに添加した場合は凝集してしまった粒子を十分に分散させ得ない等の問題があったのに対し、本発明の銀粉の製造方法においては、少なくとも還元析出中に添加を行うようにしたので、生成した銀粒子には凝集粒子が少なく、粗粒子も生成せず、また収率も高いという効果を奏する。
特に、分散剤として脂肪酸塩等の界面活性剤は比較的安価で入手し易くかつ取扱い性もよく、その添加量を銀に対して0.5〜1.5重量%とした使用により分散性のよい銀粉が得られるという効果を奏する。
【0010】
したがって、このような製法で得られた銀粉を用いて、高い導電性が要求される分野で使用されるフレーク状銀粉を製造すれば、フレーク化の工程で原料が十分に分散されているため、フレーク化が粉砕時間に比例して進むので粒径の制御が容易となり、導電性ペーストや導電性塗料用の導電物質としての所望の特性を具備するフレーク状銀粉を提供できるという効果を奏する。また、粉砕メディアの直径を5mm以下とすることにより、粗粒子のないフレーク状銀粉が容易に得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の銀粉の製造方法は、前記のように、銀塩と酸化銀の少なくとも一方を含有する水系反応系で銀粒子を還元析出させると共に、少なくともその還元反応中に分散剤を添加することによって行われる。
銀塩や酸化銀の還元には、これらを含有する水系反応系に還元剤を添加するのが好ましい。さらに、還元剤は固体の場合そのまま添加することも可能であるが、水溶液として添加する方が円滑な反応により析出する銀の凝集が抑えられるため好ましい。
本発明において使用できる銀塩は硝酸銀、銀アンモニア錯体等である。銀塩と酸化銀とでは、酸化銀の方がより好ましい。
水系反応系中の銀の濃度はAgとして、特に40〜80g/dm3 が好ましい。40g/dm3 未満では、1バッチ当りの処理量が少なくて生産性の点から不利であるので、40g/dm3 以上が好ましい。80g/dm3 を超えると凝集が起こり易くなるので、好ましくない。
【0012】
還元剤としては、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキノン等が使用可能である。特に、価格の点からはホルムアルデヒド(ホルマリン)が好ましい。この還元剤の量としては、液中のAgの含有量に対して過剰量が必要であり、例えばホルムアルデヒドを還元剤として用いる場合は、Ag1モルに対してHCHOが1.2〜2モルとなるような比率でHCHOを用いると良い結果が得られる。
1.2未満では、還元反応が十分でないため、好ましくない。2を超えると、還元作用の効果が飽和するので、これ以上添加しても還元剤を浪費することになり、好ましくない。
【0013】
本発明の銀粉の製造方法における分散剤の添加は少なくとも還元反応中に行われる。還元反応中のみでも可能であるが、特に、分散剤の一部を還元反応が行われる前に添加し、残部を還元反応中に添加するのが好ましい。このように添加のタイミングを図ることにより、銀粉の反応収率を90%以上、好条件下では99%以上とすることが可能である。分散剤の還元前のみの添加は還元反応の邪魔をして反応収率の低下を招き、また、析出する銀粒子の分散が十分でなく、さらに、還元後のみの添加はすでに凝集してしまった銀粒子を分散させるのに十分な効果が得られない。
【0014】
分散剤は好ましくは界面活性剤等が用いられる。前記界面活性剤としては陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が用いられるが、好ましくは陰イオン性界面活性剤が良い。前記陰イオン性界面活性剤としては、特に脂肪酸塩が好ましく、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等のアルカリ金属塩等の水溶性のものが好ましい。例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム等が使用可能である。
【0015】
これらの分散剤は、水溶性がよく、分散剤そのままの固体状または液体状でも使用できるが、特に、水に溶かして水溶液として添加するのが好ましい。これらの分散剤は反応槽中への拡散が速やかに進み、生成する銀粒子の分散も速やかに行われる。
【0016】
分散剤の添加量は、少なくとも還元反応中に添加する量として、Agに対し、0.5〜1.5重量%が好ましい。0.5重量%未満では、分散化の効果が十分でなく、1.5重量%を超えると、多量の泡が発生するので好ましくない。この点から0.9〜1.3重量%がより好ましい。
【0017】
上記の反応終了後の濾過工程では、生成した銀粉が凝集しないようにするために、無理な外力をなるべく掛けないように注意する必要がある。例えば、フィルタープレスを使用する場合、洗浄圧力は約0.5kgf/cm2 を下限とするが、2kgf/cm2 以下とするのが好ましい。2kgf/cm2 を超えると、生成した銀粉の凝集が進むため好ましくない。この観点からは、特に1kgf/cm2 以下が好ましい。
【0018】
濾過工程後の銀粉の乾燥工程では乾燥温度をなるべく低めにし、乾燥する銀粉末が乾燥温度に達したら、速やかに終了するのがよい。乾燥温度としては、70℃以下が好ましい。70℃を超えると生成した銀粉の凝集が進むため好ましくない。この観点から、とくに減圧乾燥が適している。これにより、乾燥温度を低く抑え、短時間に乾燥させることができるため、銀粉の凝集を抑えることができるものである。
【0019】
本発明で得られる銀粉は、ハニーウエル社製マイクロトラック粒度分布測定装置で、累積50%粒径D50が2μm以下、累積90%粒径D90が5μm以下、かつ累積粒度分布グラフの最大粒径値が10μm以下の凝集のない分散性の良好な粉体である。さらに、この銀粉は、ピークが1つだけ存在する1山の形状の粒度分布を有している。累積50%粒径D50が2μm以下、累積90%粒径D90が5μm以下、最大粒径値が10μm以下の少なくともいずれか1つを満たさない場合には、この銀粉を用いてフレーク状銀粉を作成する場合、10μmを超える凝集粉が巨大なフレーク状銀粉になる等、フレーク状銀粉の粒径の制御が困難である。特に、累積90%粒径D90、累積50%粒径D50が近接していて鋭いピークになっているため、フレーク状銀粉の粒径制御が容易である。製造された銀粉には、凝集状態の粉末がないので粉末をさらに分級する等の作業を必要としない。
【0020】
上記の銀粉を原料として、ボールミル、振動ミル、攪拌式粉砕機等の粉砕・圧延効果のある機械などに粉砕メディアを用いて物理的な力を加えることにより高い導電性が要求される分野で使用されるフレーク状銀粉に加工することができる。また、粉砕メディアの直径を5mm以下とすることでメディア同士の接触面積が小さく、粗粒子の発生を防ぐことができる。銀粉のフレーク化の工程では原料が十分に分散されているのでフレーク化が粉砕・圧延の初期から始まり、粉砕時間と共に平均粒径が増大するので、目標とする粒径の制御が粉砕時間を調整することで簡単に行える。
以上のようにして得られたフレーク状銀粉は、電気回路形成用の導電性ペーストや導電性塗料用の導電物質として十分な性能を有している。
以下、実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
[実施例1]
(1)反応工程
銀イオンとして、100g/dm3 の硝酸銀水溶液2.4dm3 を邪魔板を入れた5dm3 攪拌槽に入れ、攪拌を行いながら温度25℃としたあとに、130g/dm3 の水酸化ナトリウム水溶液1.3dm3 を加え、酸化銀スラリーを得た。酸化銀スラリー中の銀濃度は、Agとして65g/dm3 であった。
上記攪拌状態のままこの酸化銀スラリーに還元剤として18%ホルマリン水溶液0.25dm3 を10分間で投入し、銀粉を還元析出させた。この10分間の還元剤投入中に分散剤として30g/dm3 のオレイン酸ナトリウム水溶液0.1dm3 を投入した。
【0022】
(2)濾過工程
得られた銀粉スラリーをブフナー漏斗で濾過し、水洗した。ブフナー漏斗では、濾過、水洗水の圧力は、差圧で最大1kgf/cm2 に相当する。
(3)乾燥工程
20mmHgの真空度に減圧して65℃で24時間乾燥した。銀粉の反応収率は、乾燥後で99.8%であった。
(4)解砕工程
得られた乾燥銀粉の解砕を行った。得られたこの銀粉はハニーウエル社製マイクロトラック粒度分布測定装置で測定したところ、累積50%粒径D50が1.5μm、累積90%粒径D90が4.0μmで、10μmを超える粒径のない1山の粒度分布を示した。したがって、分級は特に必要としないものであった。
【0023】
(5)フレーク化工程
上記の解砕工程からの銀粉1200gを、三井鉱山製アトライタMAISEを用いて、ステンレス製の直径1.6mmの粉砕メディア10.5kgと0.9dm3 のエタノールによって湿式粉砕を5時間行った。
得られたフレーク状銀粉スラリーをブフナー漏斗で濾過し、65℃で24時間の20mmHgの真空度で減圧乾燥を行った。
【0024】
このフレーク化工程において、フレーク状銀粉の平均粒径は粉砕時間にしたがって10μm程度まで直線的に増加した。
このフレーク状銀粉をエポキシ樹脂を用いてペースト化し、ガラス基板上に硬化させ電気抵抗値を測定した結果、2×10-4Ω・cm以下の体積抵抗値となり、導電性材料用銀粉として所望の特性を得ることができた。
【0025】
[実施例2]
(1)反応工程
銀イオンとして58g/dm3 の硝酸銀水溶液2.4dm3 を邪魔板を入れた5dm3 の攪拌槽に入れ、攪拌を行いながら温度25℃とした後、130g/dm3 の水酸化ナトリウム水溶液0.8dm3 を加え、酸化銀スラリーを得た。酸化銀スラリー中の銀濃度は、Agとして44g/dm3 であった。
上記の攪拌状態のまま、この酸化銀スラリーに還元剤として18%ホルマリン水溶液0.12dm3 を加え銀粉を還元析出させ、このホルマリン水溶液添加中に、分散剤として30g/dm3 の日本油脂(株)製の陰イオン界面活性剤ノンサール水溶液0.06dm3 を投入した。
【0026】
(2)濾過工程
得られた銀粉スラリーを実施例1と同様にブフナー漏斗で濾過、水洗した。
(3)乾燥工程
20mmHgの真空度に減圧して65℃で24時間乾燥した。
銀粉の反応収率は、乾燥後で99.8%であった。
(4)解砕工程
得られた乾燥粉の解砕を行った。解砕後、この銀粉をハニーウエル社製マイクロトラック粒度分布測定装置で測定したところ、累積50%粒径D50が1.0μm、累積90%粒径D90が4.0μmで、10μmを超える粒径のない1山の粒度分布を示した。そのため、銀粉は分級を特に必要としないものであった。
【0027】
[実施例3]
(1)反応工程
銀イオンとして116g/dm3 の硝酸銀水溶液2.4dm3 を邪魔板を入れた5dm3 攪拌槽に入れ、攪拌を行いながら温度25℃とした後、130g/dm3 の水酸化ナトリウム水溶液1.3dm3 を加え、酸化銀スラリーを得た。酸化銀スラリー中の銀濃度は、Agとして75g/dm3 であった。
上記の攪拌状態のまま、この酸化銀スラリーに、分散剤として30g/dm3のオレイン酸ナトリウム水溶液0.1dm3 を添加した還元剤として18%ホルマリン水溶液0.25dm3 を加えて銀粉の還元析出を行わせた。
【0028】
(2)濾過工程
得られた銀粉スラリーを実施例1と同様にブフナー漏斗で濾過、水洗した。
(3)乾燥工程
20mmHgの真空度に減圧し、65℃で24時間乾燥した。
銀粉の反応収率は、乾燥後で99.8%であった。
(4)解砕工程
得られた乾燥粉について解砕を行った。解砕後、この銀粉についてハニーウエル社製マイクロトラック粒度分布測定装置で測定した結果、累積50%粒径D50が1.6μm、累積90%粒径D90が3.0μmで、10μmを超える粒径のない1山のシャープな粒度分布を示した。そのため、分級は特に必要としなかった。
【0029】
[比較例]
銀イオンとして100g/dm3 の硝酸銀水溶液2.4dm3 を邪魔板を入れた5dm3 攪拌槽に入れ、攪拌を行いながら温度25℃とした後、130g/dm3 の水酸化ナトリウム水溶液1.3dm3 を加え、酸化銀スラリーを得た。上記攪拌状態のまま、この酸化銀スラリーに、分散剤としてステアリン酸1.2gを添加した後に、還元剤として18%ホルマリン水溶液0.25dm3 を加え、銀粉の還元析出を行わせた。還元析出後の5分後に分散剤のステアリン酸を0.6gを添加した。得られた銀粉スラリーをブフナー漏斗で濾過、水洗する。次いで65℃で24時間真空度20mmHgで乾燥した。
乾燥後、得られた乾燥銀粉の解砕を行った。収率は98%であった。この解砕された銀粉をハニーウエル社製マイクロトラック粒度分布測定装置で測定した結果、累積50%粒径D50が2.0μm、累積90%粒径D90が5.5μmで、20μmを超える粒径のものが見られ、また粗粒側に粒度分布の裾をもっており、フレーク状銀粉の原料としては適さないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸塩が銀に対して0.5〜1.5重量%添加されてなり、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による累積50%粒径D50が1.6μm以下、累積90%粒径D90が3.0μm以下、かつ10μmを超える粒径のない1山のシャープな粒度分布を示す銀粉。
【請求項2】
銀塩と酸化銀の少なくとも一方を含有する水系反応系で銀粒子を還元析出させる銀粉の製造方法において、少なくとも還元反応中に脂肪酸塩を添加することを特徴とする銀粉の製造方法。
【請求項3】
前記脂肪酸塩の添加量は、析出対象の銀に対して、0.5〜1.5重量%である、請求項2に記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−21232(P2012−21232A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190500(P2011−190500)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【分割の表示】特願平11−229227の分割
【原出願日】平成11年8月13日(1999.8.13)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】