説明

銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法

【課題】被削性および展伸性に優れ、環境負荷を軽減しつつ、高強度ないしは高導電性を必要とする用途に最適な銅合金展伸材を提供する。
【解決手段】Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金展伸材であって、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率が40%以上マトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物がマトリクスに分散しており、かつ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上である銅合金展伸材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、精密機械、自動車等に使用される金属部品、特に切削加工により製造される銅合金部品に関し、さらにこの銅合金部品に適する銅合金展伸材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属部品を製造する方法として旋削、穿孔などの切削加工がある。切削加工は、特に複雑な形状を持つ部品や高い寸法精度を要する部品の製造には有効な加工方法である。切削加工を行う場合、被削性がしばしば問題となる。被削性には切削屑処理、工具寿命、切削抵抗、切削面粗さなどの項目があり、これらが向上するように材料に改良が施されている。
【0003】
銅合金は、強度が高い、導電性・熱伝導性に優れる、耐食性に優れる、色調に優れるなどの理由から多くの金属部品に使用されている。切削による加工も多く実施されており、例えば水道の蛇口、バルブ、歯車、装飾品などの用途があり、黄銅(Cu−Zn系)、青銅(Cu−Sn系)、アルミ青銅(Cu−Al系)、洋白に被削性を向上させるために鉛を添加した合金が使用されている。これらはいずれも一般に高強度または高導電性を必要としない用途である。
【0004】
高強度または高導電性を必要とする用途、例えば同軸コネクタのピン材等の用途には、りん青銅やベリリウム銅に鉛を添加した快削りん青銅(特許文献1参照)、快削ベリリウム銅(特許文献2参照)が使用されている。これらはNC旋盤等の精密な工作機械で切削加工され、電子機器用途等の信頼性の高い部品に使用されている。
【0005】
このように銅合金の被削性を向上させるために、一般的には鉛が添加されている。これは、鉛が銅合金に固溶しないため材料内に微細に分散し、切削加工時に切削屑がその部分で分断されやすくなることによる。しかし、鉛は人体や環境に影響を及ぼすとされていることから使用が制限されつつあり、鉛を含有せずに被削性を向上させた材料の要求が高まっている。鉛を含有する銅合金の代替材料として、黄銅や青銅にビスマスを添加した銅合金が知られている(特許文献3,4参照)。また黄銅では、亜鉛濃度を高くして銅−亜鉛系化合物であるβ相やγ相を形成させるか、あるいはケイ素を添加して銅−ケイ素系化合物であるκ相を形成させるかして、これらの化合物を切削屑分断の起点として作用させることで被削性を向上させることも知られている(特許文献5,6)。さらに、青銅において硫黄を添加して硫化物を形成させて切削屑分断の起点として作用させる方法があり(特許文献7)、硫化物を切削屑分断の起点として作用させるものでは、他に銅−ジルコニウム系、銅−チタン系の時効析出型合金に関する方法が知られている(特許文献8)。
しかし、特許文献1、2に記載の技術では、前述のとおり被削性を向上させるための添加元素として鉛を用いており、環境への負荷が懸念される。特に特許文献2に記載の技術では、快削ベリリウム銅の被削性を向上させるための添加元素として鉛に代替するものはなく、またベリリウムそのものも環境に影響を与える元素の一つとして挙げられており、鉛を添加した銅合金の代替材のみならずベリリウム銅の代替材を望む声も高まっている。
【0006】
また、特許文献3、4に記載の技術では、ビスマスを添加すると被削性は改善されるが、加工中に割れやすくなり、特に熱間加工が困難となる。すなわち、熱間加工性の改善を図ることが改めて必要となる。特許文献5、6に記載されている合金で形成される化合物は黄銅系特有のものであり、他の合金系に適用することは事実上困難である。特許文献7は鋳物に関する技術であり、鋳物を直接切削する場合には好適であるが、棒材や板材などの展伸材(塑性加工された材料)を得るための技術としての開示はない。特許文献8に記載の技術で得られる材料は一般に強度が低く、例えば同軸コネクタのピン材などの高強度を必要とする用途には不十分であり、他の技術を適用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭50−066423号公報
【特許文献2】特開昭52−117244号公報
【特許文献3】特開2001−059123号公報
【特許文献4】特開2000−336442号公報
【特許文献5】特開2000−319737号公報
【特許文献6】特開2004−183056号公報
【特許文献7】特開2006−152373号公報
【特許文献8】特開2001−240923号公報
【特許文献9】特開2008−75172号公報
【特許文献10】特開平6−212374号公報
【特許文献11】特開平7−90520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上記高強度または高導電性を必要とする用途に対し、銅にニッケルとケイ素を添加した合金系(Cu−Ni−Si系:いわゆるコルソン合金)を用いることを検討した。しかし、Cu−Ni−Si系銅合金材は、展伸加工性(熱間加工性)が悪く、展伸性を良好にするための大幅な改質が求められる。特に、Cu−Ni−Si系合金において被削性を高める検討は十分になされておらず、被削性と展伸性の両方に優れた銅合金材料とするためには、さらなる検討が必要である。
上記特許文献1〜8に開示されたものはコルソン合金(Cu−Ni−Si系銅合金)ではなく、そもそも参考にならない。特開2008−75172号公報(前記特許文献9)には、他の合金元素を極力添加せず、しかも改善された導電率、強度、曲げ性及び応力緩和特性を兼備する電子材料用のCu−Ni−Si系合金を提供することが開示されている。しかし展伸性と被削性との両立に関する開示はなく、硫黄濃度の調整についても触れられていない。特開平6−212374号公報(前記特許文献10)、特開平7−90520号公報(前記特許文献11)には展伸性を考慮したコルソン合金が開示されているが、いずれもそのために硫黄濃度を20ppm(0.002%)以下に規制している。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、被削性および展伸性に優れ、環境負荷を軽減しつつ、高強度ないしは高導電性を必要とする用途に最適な銅合金展伸材を提供することを課題とするものである。さらに本発明は前記銅合金展伸材を切削加工して得られる銅合金部品及び上記展伸材の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の組成の時効析出型銅合金においてマトリクスに硫化物を形成し、且つこの硫化物の40%以上が展伸方向に平行した断面のマトリクスの結晶粒内に存在させ、展伸方向に平行した断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物をマトリクスに分散させることによって、展伸性(熱間・冷間の加工性)および被削性に優れ、さらに強度および導電性に優れる銅合金展伸材が得られることを見出した。また上記の硫化物を得るための組成および製造方法を見出し、さらに熱間加工性、冷間加工性にも優れる組成、組織、製造方法を見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。
【0011】
本発明の課題は、以下の手段によって解決することができる。
(1)Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金展伸材であって、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率が40%以上マトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物がマトリクスに分散しており、かつ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上であることを特徴とする銅合金展伸材。
(2)さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、PおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有することを特徴とする(1)に記載の銅合金展伸材。
(3)前記硫化物は、Cu−S、Mn−S、Zr−S、Ti−S、Fe−S、Al−S、Cr−SおよびZn−S系のいずれかの硫化物から選ばれる1種類以上である、(1)または(2)に記載の銅合金展伸材。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を切削加工して形成された銅合金部品。
(5)電子機器部品、構造部品、要素部品等の、強度、電気伝導性、熱伝導性、耐摩耗性を必要とする用途に用いられる、(4)に記載の銅合金部品。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を製造する方法であって、Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金組成物を加工するにあたり、(a)(b)のいずれか一方の工程を施し、その後、0%〜95%の減面加工を施し展伸方向に平行な断面のマトリクスに分散した硫化物の総面積の40%以上をマトリクスの結晶内に存在させ、展伸方向に平行な断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物がマトリクスに分散したものを時効処理することを特徴とする銅合金展伸材の製造方法。
(a)熱間加工後に急冷する。
(b)熱間加工後、冷間加工と温度600℃〜1000℃の熱処理を1回以上繰り返し、最終冷間加工前に溶体化処理を施す。
(7)さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、PおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有することを特徴とする、(6)に記載の銅合金展伸材の製造方法。
ここで、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率が40%以上マトリクスの結晶内に存在するとは、マトリクスに分散した硫化物が結晶粒界内に40%以上であることを言う。また、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比が1:1〜1:100に分散しているとは、マトリクスに分散した全ての硫化物のアスペクト比が1:1〜1:100の範囲であることを言う。ここでマトリクスとは合金組織において結晶粒界に囲まれた個々の領域ないしその集合をいい、典型的には結晶粒界に囲まれてそれぞれが任意の形態で互いに隣接する島状になって存在する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の銅合金展伸材は、引張強さおよび導電性に優れ、さらに鉛やベリリウムなどの環境負荷物質を利用することなく、被削性および展伸性に優れたものとなる。例えば、コネクタピン材に要求される挿抜力の低下を防止するには、ベリリウム銅同等に引張強さが高い事で挿抜力の低下が抑止できる。本発明は、引張強さ500MPa以上でベリリウム銅同等で挿抜力低下が抑制できる。また、引張強さないしは導電性が望まれる電子機器等の部品では、導電率25%IACS以上であることから、ベリリウム銅より導電性に優れ優位なものである。また、本発明の銅合金展伸材は、切削加工により製造される電子機器等の部品用材料として好適である。本発明の銅合金部品は切削加工で精度よく製造することができ、かつ、電子機器等の部品として必要な特性を十分に有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】銅合金棒を展伸方向に平行に見た側面(a)及び断面(b)を模式的に示した図である。
【図2】銅合金棒を、展伸方向に平行に電子顕微鏡(SEM)で見た断面組織を模式的に示したもので、結晶粒界と硫化物の全体像である。
【図3】銅合金棒を、展伸方向に平行に電子顕微鏡(SEM)で見た断面組織を模式的に示したもので、図2に対して結晶粒界上にある硫化物を除いて示した図である。
【図4】図2の一部を拡大し示した硫化物のアスペクト比を説明する図である。
【図5】実施例3で作製したコネクタピンの一方の形状を模式的に示す側面図である。
【図6】実施例3で作製したコネクタピンの他の形状を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の銅合金展伸材の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。まず、各合金元素の作用効果とその含有量の範囲について説明する。
なお、本明細書において、「銅合金」とは形状の概念を含まないものをいい、「銅合金材料」や「銅合金展伸材」などは、形状の概念を含むものをいう。
【0015】
<Ni,Si>
本発明の銅合金展伸材の好ましい実施の態様におけるニッケル(Ni)とケイ素(Si)は、NiとSiの含有比を制御することにより金属生地(マトリクス)中にNi−Si析出物(NiSi)を形成させて析出強化を行い、銅合金展伸材の強度および導電性を向上させるために添加する。このNi−Si析出物(NiSi:析出強化のための析出物)は、被削性の向上にはあまり寄与しない。
【0016】
本発明の銅合金展伸材の好ましい実施の態様においては、硫黄(S)の添加によりマトリクス中に被削性向上に寄与する硫化物を形成させる。この硫化物が、切削加工を行った時の切削屑分断の起点として作用することで切削屑が細かく分断され易くなり、被削性が向上する。硫化物は、鋳造時に形成されるが、形成されたときは結晶粒界に多く存在しており熱間加工性および冷間加工性(すなわち展伸性)を悪化させる。そこで、鋳塊(ケークまたはビレット)に形成された硫化物を、展伸加工および熱処理により、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率が40%以上マトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面の展伸方向からみたアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物を、好ましくはアスペクト比が1:1〜1:50の硫化物をマトリクスに分散させることで、切削屑分断性が向上し、さらに熱間および冷間における加工性を損なわなくなることにより、押出、圧延、引抜きなどの展伸加工が可能となる。本発明の銅合金は、ニッケル(Ni)とケイ素(Si)が固溶した状態あるいはNi−Si析出物が形成された状態で熱間または冷間加工が施されるが、何れの状態でも一般に展伸加工性は悪く、加工中に割れ、破損等が生じやすい。この銅合金中に硫化物が形成されると展伸加工性は更に悪化し加工が困難となる。展伸加工性には、硫化物の存在する位置が大きく影響し、硫化物を結晶内に多く存在させることで、展伸性が良好となる。本発明では、硫化物の結晶粒内に存在する面積率を規定している。
【0017】
Niの含有量は1.5〜7.0mass%(質量%)であり、1.7〜6.5mass%であることが好ましい。Ni量が少なすぎると、Ni−Si析出物による析出硬化量が小さく強度が不足する。Ni量が多すぎると、過剰であるため強度向上に寄与するNi−Si析出物量が増加しないだけでなく、溶解鋳造時にNi−Si晶出物が多く形成して熱間加工性および冷間加工性(すなわち展伸性)を悪化させるため好ましくない。
【0018】
Siの含有量は、Ni−Si析出物(NiSi)の形成においては、質量%で計算するとNi含有量の約1/5〜1/3の量が必要となる。このことから、本発明において、Siの含有量は0.3〜2.3質量%であり、0.34〜2.2質量%であることが好ましい。
【0019】
<S>
本発明の銅合金展伸材においては、形成された硫化物の面積率の40%以上が展伸方向に平行な断面マトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比を上記比率にする必要がある。それを達成するために、Sの含有量が0.02〜1.0mass%とされており、好ましくは0.03〜0.8mass%である。これが、少なすぎると、十分な切削屑分断性が得られない。Sの含有量が多すぎると、熱間加工性および冷間加工性(すなわち展伸性)が悪化する。形成され分散した硫化物の面積率の50%以上がマトリクスの結晶内に存在するのが好ましい。
従来、コルソン合金においてはSの量を極微量に規制することが知られている(前記特許文献10、11)。本発明においては、これを敢えて大幅に増量させその他の添加元素を特定の範囲として、好ましくはその加工処理を特定の条件で行うことにより、硫化物が所定の展伸方向のアスペクト比を有する銅合金展伸材とし、被削性と展伸性との両立を達成した。
【0020】
<その他の添加元素>
さらに、本発明の銅合金展伸材には、錫(Sn)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、りん(P)、亜鉛(Zn)の1種または2種以上を特定の量含有させてもよい。これらの元素は、固溶または析出物を形成することでCu−Ni−Si合金の強度を向上させ、あるいは硫化物を形成して被削性を向上させる。含有させる場合には、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、Znの中から選ばれる1種または2種以上を総量で0.05〜2.0mass%含有させることが好ましい。含有量が0.05mass%より少ない場合は、強度向上や被削性改善の効果がこれらの元素を含有しない場合と変わらなくなる。また、含有量が2.0mass%より多い場合は、強度および被削性向上の効果が飽和するだけでなく、導電率が低下するため得策ではない。硫化物の成分としてはCu−S、Mn−S、Zr−S、Ti−S、Fe−S、Al−S、Cr−S、Zn−S系などがあり特にCu−S系硫化物が有効である。更に不可避的不純物とSとの硫化物もある。
【0021】
<硫化物に関する規定>
次に、被削性向上に寄与する化合物である硫化物の展伸方向に平行した断面のマトリクスの結晶内に存在する割合と、硫化物のアスペクト比の規定、並びに特徴について述べる。硫化物は、切削加工時に発生する切削屑を細かく分断する作用があり、それにより被削性が向上する。しかし、硫化物の存在する位置により展伸性(熱間加工性、冷間加工性)に大きく影響する。硫化物のマトリクスの結晶粒内に存在する割合とは、展伸方向に平行した断面を電子顕微鏡で観察して、1視野に観察される全ての硫化物の数をカウントし、その各々の硫化物を円形換算してその直径を求め、平均して、その平均直径から面積を求めて硫化物数を乗じて1視野に見られる全ての硫化物の総面積を求めた後、結晶粒内と結晶粒界を跨いだ硫化物のみの数をカウントし、その各々の硫化物を円形換算してその直径を求め、平均して、その平均直径から面積を求めて硫化物数を乗じて結晶粒内と結晶粒界を跨いだ硫化物の総面積を求め、1視野に見られた全ての硫化物総面積で除した値である。この割合は、結晶粒内と結晶粒界を跨いだ硫化物が40%以上あればよい。40%以下になると、展伸性が悪くなる。なお、この時の硫化物の面積率は、0.1%〜20%、好ましくは0.1〜10%の範囲にある。硫化物の面積率は、1視野に見られた硫化物の総面積を1視野の総面積で除した値である。
【0022】
硫化物は軟らかいため、熱間加工や冷間加工の加工度に応じて長手方向に伸ばされ、且つ、分断されマトリクス中に分散する。分散した硫化物のアスペクト比とは、この断面を電子顕微鏡で観察して、展伸方向に垂直方向の長さtを1とした場合、展伸方向に平行に伸ばされた硫化物長さtの比(t/t)とする。1:100を超えるものは、規定のSの含有量を満たさない可能性があり、切削加工時に切削屑が細かく分断しなくなる。なお、硫化物が展伸方向に直線状でない場合も上記の定義に変わりはなく、図4に示したように、その領域を占める部分の展伸方向の長さt及びそれに直交する方向の長さtを求め、評価する。
【0023】
硫化物の測定例
図1(a)は銅合金棒10を展伸方向Rに平行に見た正面図であり(b)は断面図であり10aは断面を示し、模式的に示したものである。
図2は、展伸方向に平行にした断面の電子顕微鏡観察の模式図で、1視野に観察される、結晶粒界21と硫化物状態を示し、図中21は結晶粒界、22は結晶粒界にある硫化物、23は結晶粒内硫化物を示す。ここで、1視野に観察される全ての硫化物の総面積を求める。
次に図3は銅合金棒を、展伸方向に平行に電子顕微鏡(SEM)で見た断面組織を模式的に示したもので、結晶粒界と、図2の結晶粒界にある硫化物を除いた、結晶粒内にある硫化物である。同図に示す結晶粒内にある硫化物の総面積を求め、1視野に見られる硫化物と結晶粒内にある硫化物の割合を求める。この場合の結晶粒内にある硫化物の面積率は61%である。
硫化物のアスペクト比とは、図4に示すように硫化物の展伸方向に垂直方向の長さtを1とした場合、これに対する展伸方向に平行に伸ばされた硫化物長さtの比(図中下方の例の場合は13)をいう。
【0024】
<機械的性質及び製造条件>
次いで、本発明の好ましい実施の態様における銅合金展伸材の機械的性質について述べる。
本発明における銅合金は、鉛を含有するりん青銅やベリリウム銅の代替、すなわち環境負荷物質を含有する銅合金の代替を目指すものであり、これらの合金と同等の強度を要する。そのため、実用上問題とならない強度および導電性として、引張強さ500MPa以上、導電率がIACS(International Annealed Copper Standard)で25%以上であることが必要である。本発明における銅合金は時効析出型であり、前述のようにNiSiを形成させることで強度、導電性を向上させており、そのために、Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%含有することが必要となる。また、製造工程における溶体化熱処理温度は750〜1000℃の範囲が好ましく、時効熱処理温度は350〜600℃の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の銅合金展伸材の製造方法においては、鋳造時に粒界に多く存在する硫化物を、展伸加工および熱処理により、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率で40%以上マトリクスの結晶内に存在させ、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比を1:1〜1:100の範囲に分散させることを、主な特徴としている。
上記展伸加工および熱処理の好ましい例として、以下の例が挙げられる。
(a)熱間加工後に急冷し、0%〜95%(さらに好ましくは30〜90%)の減面加工を施し、最終時効処理する。
(b)熱間加工後、冷間加工と温度600℃〜1000℃の熱処理を1回以上繰り返し、最終冷間加工前に溶体化処理を施した後、0%〜95%(さらに好ましくは30〜90%)の減面加工を施し、最終時効処理する。
ここで、冷間加工と温度600℃〜1000℃の熱処理をそれぞれ1回行う場合は、冷間加工は最終冷間加工、温度600℃〜1000℃の熱処理は溶体化処理とする。
また、減面加工は冷間加工であり、0%の減面加工とは、減面加工を行わないことを意味する。また、最終時効処理時の温度は、好ましくは350〜600℃、より好ましくは400℃〜550℃である。
また、温度600℃〜1000℃の熱処理の目的は、展伸材の加工性を向上させることにある。前記温度域は、好ましくは800℃〜1000℃、より好ましくは900℃〜1000℃である。また、熱処理の時間は好ましくは1時間から3時間である。また、冷却条件は事実上任意であり、徐冷でも急冷でも差し支えない。冷却速度は0.1〜1000℃/秒の範囲にあれば十分である。
前記減面加工の直前の工程は、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比を1:1に近づけ、減面加工による硫化物の形状および分散状態の制御を適切に行う観点から、熱間加工または溶体化処理であることが好ましい。この場合、熱間加工または溶体化処理の温度は、好ましくは750℃〜1000℃であり、より好ましくは850℃〜1000℃であり、さらに好ましくは900℃〜1000℃である。
なお、熱間加工(熱間圧延、熱間伸線、熱間押出等)の直後に急冷(水中焼入れ等)を行うことで、溶体化処理と同等の効果を得ることができる。
本発明の銅合金展伸材は、時効析出型銅合金の展伸材であるため、少なくとも銅合金原料の溶解鋳造工程の後に時効処理工程は好適に採用される前提となるが、熱間加工工程、焼鈍工程、溶体化処理工程、温度600℃〜1000℃の熱処理工程は、銅合金展伸材を得るための工程のほかは、必要に応じて行うこととなる。例えば、熱間加工工程に関しては、通常の、ビレットの熱間押出、鋳塊の熱間鍛造、あるいは連続鋳造などの製造方法のいずれでも本発明の銅合金展伸材を製造することが可能である。また、製品の形状は特に制約はなく、後工程である切削工程により最終形態である銅合金部品を得やすい形状としておくことが好ましい。すなわち、銅合金部品の用途により線、棒、条、板、管などの所定の形状の銅合金展伸材として製造し、使い分ければよい。例えば、最終形態の銅合金部品がねじやリベットなどである場合は、銅合金展伸材の形状は丸棒状であることが好ましい。
【0026】
銅合金部品としては、現在、鉛入りのりん青銅やベリリウム銅が使用されている同軸コネクタのオスピン、メスピンや、ICソケットやバッテリ端子コネクタに使用されるプローブのバレルおよびプランジャー材、オーディオケーブルのコネクタ端子などの電子機器部品、アンテナのヒンジ、ファスナー、ベアリング、ガイドレール、抵抗溶接機、時計などの構造部品や歯車、軸受け、金型のイジェクトピンなどの要素部品のように、強度、電気伝導性、熱伝導性、耐摩耗性を必要とし、複雑な形状で主に切削加工で製造される部品が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
表1の合金成分で示される組成の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、各ビレットを鋳造した。前記ビレットを温度950℃で熱間押出して、直ちに水中焼入れを行い、直径20mmの丸棒を得た。次いで前記丸棒を冷間にて引抜きを行い、直径10mmの丸棒を製造し、さらに温度450℃で2時間時効熱処理を行った。
【0029】
このようにして得られた各々の銅合金展伸材(丸棒)のサンプルについて、[1]引張強さ、[2]導電率、[3]被削性を下記方法により調べた。各評価項目の測定方法は以下の通りである。
[1]引張強さ
JIS Z 2241に準じて3本測定しその平均値(MPa)を示した。
[2]導電率
四端子法を用いて、20℃(±1℃)に管理された恒温槽中で、各試料について2本ずつ測定し、その平均値(%IACS)を示した。
[3]被削性
汎用旋盤を用いて丸棒の外径の段付き切削加工を行い、太径部の直径9.6mm、細径部の直径8mmのリベットを作製して発生した切削屑の形態を観察した。切削屑が長さ5mm以下に分断されるものは良、切削屑が分断されるがその長さが5mm以上10mm以下は可、切削屑が螺旋状につながっているものは不良とした。実用上問題が生じないのは良および可である。なお切削条件は、回転数1010rpm、送り速度を1回転あたり0.1mm、切り込み代0.2mm、とした。バイトは超硬製のものを用い、切削油は不使用とした。
【0030】
また、展伸方向に平行した断面の硫化物がマトリクスの結晶内に存在する面積率は、直径10mmの丸棒のサンプルの任意の3か所の展伸方向に平行した断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ3視野について組織観察を行うことにより求めた。1視野に観察される全ての硫化物の数をカウントし、その各々の硫化物を円形換算してその直径を求め、平均して、その平均直径から面積を求めて硫化物数を乗じて1視野に見られる全ての硫化物の総面積を求めた後、結晶粒内と結晶粒界を跨いだ硫化物のみの数をカウントし、その各々の硫化物を円形換算してその直径を求め、平均して、その平均直径から面積を求めて硫化物数を乗じて結晶粒内と結晶粒界を跨いだ硫化物の総面積を求め、1視野に見られた全ての硫化物総面積で除することで求めた。また、硫化物の成分を、SEMに付随するエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いて調査した。なお、表中には示していないが本発明例のものは、いずれもアスペクト比が1:1〜1:100の範囲にあった。
【0031】
表1に結果を示す。本発明例1〜25は、成分が本発明の範囲内であり、何れも引張強さ500MPa以上、導電率25%IACS以上を満足している。また、展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内に存在しており、材料加工中の割れはなく、被削性も満足している。
【0032】
比較例1〜9は、合金組成が本発明の範囲外での例である。比較例1および3はNi濃度およびSi濃度が低すぎるので、引張強さの不十分なものしか得られなかった。比較例2はNi濃度およびSi濃度が高すぎて、導電率が劣っている。比較例4はNi濃度およびSi濃度が高すぎ、冷間加工時に割れが生じた。比較例5はS濃度が低く展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内に存在しているが被削性が劣った。比較例6および7はS濃度が高く展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内存在しておらず、熱間加工時に割れが発生した。比較例8および9は、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、Znの総量が2.0mass%を越え、導電率が劣った。
従来例1、2は快削りん青銅および快削ベリリウム銅である。本発明例の銅合金展伸材は、従来例1、2の材料のような環境負荷物質を含有することなく、従来例1、2と同等以上の特性を得ることができる。
【0033】
【表1】

【0034】
(実施例2)
表1の本発明例1、6、16と比較例5の組成の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、直径300mmの各ビレットを、冷却速度1℃/秒で鋳造した。前記ビレットを温度950℃で熱間押出して、直ちに水中焼入れを行い、直径30mmの丸棒を得た。その後冷間引抜き加工で直径20mmまで加工し、温度950℃で溶体化処理して直径20mmの丸棒を得た。
この丸棒を減面加工し、直径20mm(減面加工0%)、直径16mm(減面加工36.0%)、直径10mm(減面加工75.0%)、直径4.5mm(減面加工94.9%)、直径3.5mm(減面加工96.9%)の丸棒をそれぞれ製造した。さらに、直径20mmは500℃で2時間、直径16mmは480℃で2時間、直径10mmは450℃で2時間、直径4.5mm及び3.6mmは430℃で2時間時効処理を行った。このようにして得られた各々の銅合金展伸材(丸棒)のサンプルについて、[1]引張強さ、[2]導電率を前記実施例1と同様の方法により調べ、[3]被削性を下記方法により調べた。
[3]被削性
汎用旋盤を用いて各直径の材料を、外削加工し直径3mmの丸棒を製造し、丸棒の外径の段付き切削加工を行った。発生した切削屑の形態を観察し、切削屑が長さ5mm以下に分断されるものは良、切削屑が分断されるがその長さが5mm以上10mm以下のものは可、切削屑が螺旋状につながっているものは不良とした。実用上問題が生じないのは良および可である。なお切削条件は、回転数1010rpm、送り速度を1回転あたり0.1mm、切り込み代0.2mm、とした。バイトは超硬製のものを用い、切削油は不使用とした。
【0035】
展伸方向に平行した断面の硫化物がマトリクスの結晶内に存在する面積率は、直径20、16、10、4.5、3.5mmの丸棒のサンプルの任意の3か所の展伸方向に平行した断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ3視野について組織観察を行い、前記の方法により求めた。また、硫化物のアスペクト比は、上述の電子顕微鏡で観察される硫化物の展伸方向に垂直方向を1とし、展伸方向に平行に伸ばされた硫化物の長さの比から求めた。
【0036】
【表2】

【0037】
表2の本発明例26〜37は本発明例1、6、16と同じ合金成分で、本発明の範囲内の減面加工を施したものである。何れも引張強さ500MPa以上、導電率25%IACS以上を満足している。また、展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比が1:1〜1:100に分散しており、材料加工中の割れはなく、被削性も満足している。
比較例10〜12は、本発明の範囲内の合金組成であるが、減面加工率が本発明の範囲外であり、冷間加工時に割れが生じた。比較例13〜16は、比較例5と同じ合金成分である。比較例13〜15は本発明の範囲内の減面加工であるが、S濃度が低いため、展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内に存在しているが被削性が劣った。比較例16は、本発明の範囲外の減面加工で展伸方向に平行した断面の硫化物の40%以上がマトリクスの結晶内に存在し、割れは生じないが、展伸方向に平行した断面の硫化物のアスペクト比が1:100を超えて分散し被削性が劣った。
【0038】
(実施例3)
表1の本発明例6および本発明例16の合金組成にて、実施例1の方法でφ2mmおよびφ7mmの丸棒を作製した。これらの丸棒について、NC旋盤を用いて図5および図6に示す様なコネクタピンを各1000個作製した。図5において50はコネクタピンを、51はスリットを示す。図6において60は別の態様のコネクタピンを、61はスリットを、62はテーパー部を示す。
その結果、コネクタピンを各1000個作製したが切削屑の加工部品への絡み付きや、工具磨耗による寸法変化がなく、部品の加工ができた。なお切削条件は、外径加工について、回転数を3000rpm、送り速度を1回転あたり0.02mmとし、穴あけ加工について、回転数を2500rpm、送り速度を1回転あたり0.03mmとし、切削油を使用した。
図5の形状のコネクタピンについて、ピン材の特性として必要である挿抜性を評価した。評価方法は、加工後のピンにφ0.92mmのピンゲージを差し込んで挿抜力を測定し(初期値T0)、続いて同じピンを繰り返し500回の抜き差しを行った後に、再度挿抜力を測定し(T1)、初期値に対する割合T1/T0を求めた。T1/T0が大きい方が挿抜力の低下が小さく、良いコネクタピンであると言える。評価は5本のピンについて行い、平均値を求めた。比較のため、表1の従来例1および2の材料についても評価を行った。結果を表3に示す。
表3より本発明例は従来例2の快削ベリリウム銅と同等の挿抜性を示し、優れたコネクタピンであることが分かる。従来例1の快削りん青銅の挿抜性は、本発明例よりも劣っている。
【0039】
【表3】

【符号の説明】
【0040】
10 銅合金棒
10’展伸方向に切断した銅合金棒
10a 展伸方向に平行な断面
R 展伸方向
21 結晶粒界
22 結晶粒界にある硫化物
23 結晶粒内硫化物
24 硫化物の展伸方向に垂直方向の長さ
25 硫化物の展伸方向に平行方向の長さ
50,60 コネクタピン
51,61 スリット
62 テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金展伸材であって、展伸方向に平行した断面の硫化物の面積率が40%以上マトリクスの結晶内に存在し、展伸方向に平行した断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物がマトリクスに分散しており、かつ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上であることを特徴とする銅合金展伸材。
【請求項2】
さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、PおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金展伸材。
【請求項3】
前記硫化物は、Cu−S、Mn−S、Zr−S、Ti−S、Fe−S、Al−S、Cr−SおよびZn−S系のいずれかの硫化物から選ばれる1種類以上である、請求項1又は2に記載の銅合金展伸材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を切削加工して形成された銅合金部品。
【請求項5】
電子機器部品、構造部品、要素部品等の、強度、電気伝導性、熱伝導性、耐摩耗性を必要とする用途に用いられる、請求項4に記載の銅合金部品。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金展伸材を製造する方法であって、Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.02〜1.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金組成物を加工するにあたり、以下の(a)(b)のいずれか一方の工程を施し、その後、0%〜95%の減面加工を施し展伸方向に平行な断面のマトリクスに分散した硫化物の総面積の40%以上をマトリクスの結晶内に存在させ、展伸方向に平行な断面のアスペクト比が1:1〜1:100の硫化物がマトリクスに分散したものを時効処理することを特徴とする銅合金展伸材の製造方法。
(a)熱間加工後に急冷する。
(b)熱間加工後、冷間加工と温度600℃〜1000℃の熱処理を1回以上繰り返し、最終冷間加工前に溶体化処理を施す。
【請求項7】
さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、PおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有することを特徴とする請求項6に記載の銅合金展伸材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−140645(P2012−140645A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289514(P2010−289514)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【特許番号】特許第4824124号(P4824124)
【特許公報発行日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】