説明

鋳枠付き鋳型の造型方法及び装置

鋳枠付きの鋳型を可及的に短いサイクルで造型することが可能な造型方法及び装置を提供する。造型方法は、鋳枠を移送レベルで水平方向に移動させる鋳枠コンベヤにより鋳枠をパターンキャリアと砂ホッパの間位置に搬入して鋳枠付き鋳型を造型する方法であって、鋳枠を前記移送レベルに維持した状態で砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を鋳枠まで下降させると共にパターンキャリア及び枠状フレームを鋳枠まで上昇させて、砂ホッパ、スクイズ手段、盛枠、鋳枠、パターンプレート及び枠状フレームにより造型空間を形成する工程と;該造型空間に鋳物砂を充填する工程と;該造型空間の鋳物砂を圧縮して鋳枠付き鋳型を作る工程と;砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を上昇させると共にパターンキャリア及び枠状フレームを下降させて、鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にする工程と;を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳枠付き鋳型、特に複数の鋳枠付き鋳型を連続造型する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の鋳枠付き鋳型を造型する方法及び装置に関連する従来技術として、本願の出願人によるPCT出願の国際公開公報WO0132333に開示されたものがある。この公開公報に開示される造型機は、パターンを有し所定位置に置かれたパターンプレートと、このパターンプレート上に置かれて前記パターンを囲む鋳枠と、この鋳枠の上に置かれる盛枠とによって形成される造型空間内の鋳物砂を圧縮するために、国定して立設された複数の互いに離間する上向きシリンダと、これら複数の上向きシリンダのピストンロッドの先端に固定されて昇降自在に前記造型空間上に支持された取付フレームと、この取付フレームに固定され内部に鋳物砂を保持してその鋳物砂を前記造型空間に供給するための複数の離間した砂排出ノズルを下部に有しかつ前記上向きシリンダによって下降されるときに前記盛枠内に進入可能な砂ホッパと、前記離間した砂排出ノズルの横側の隣接する位置において前記砂ホッパ下部に設けられた複数のスクイズフットであって、砂ホッパが前記上向きシリンダによって下降されて前記盛枠の上部内に進入したときに前記砂ホッパの下部と共に前記盛枠上部をほぼ塞ぎ、かつ、鋳物砂が前記造型空間内に充填された後に前記砂ホッパが前記上向きシリンダによって下降されて前記盛枠内に進入したときに前記砂ホッパの下部と共に前記造型空間内の鋳物砂を圧縮するスクイズフットを備える。WO 0132333の全開示内容は参照のためにここに組み入れられる。
【0003】
WO 0132333に開示される従来の造型機では、造型空間(鋳物砂充填空間)を形成する際、鋳枠をレベリングフレーム上に載置する工程と、盛枠を鋳枠上に載置し、且つスクイズフットを降下させて該盛枠内に進入させる工程との二つの工程がある。また、抜型後に鋳枠付き鋳型を持ち上げて搬出可能な状態にする際、ローラ装置が鋳枠に当接するまでの工程と、該当接した後に該鋳枠付き鋳型を上昇端まで持ち上げる工程との二つの工程がある。このため、造型サイクル時間が長くなるという問題が生じていた。そのため、この種の業界から鋳型造型のサイクル時間を可及的に短くすることができる造型方法と装置が要請されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、鋳枠付きの鋳型を可及的に短いサイクルで造型することが可能な造型方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために本発明における鋳枠付き鋳型の造型方法は、鋳枠を移送レベルで水平方向に移動させる鋳枠コンベヤにより鋳枠をパターンキャリアと砂ホッパの間の位置に搬入して鋳枠付き鋳型を造型する方法であって、鋳枠を前記移送レベルに維持した状態で砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を鋳枠まで下降させると共にパターンキャリア及び枠状フレームを鋳枠まで上昇させて、砂ホッパ、スクイズ手段、盛枠、鋳枠、パターンプレート及び枠状フレームにより造型空間を形成する工程と;該造型空間に鋳物砂を充填する工程と;該造型空間の鋳物砂を圧縮して鋳枠付き鋳型を作る工程と;砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を上昇させると共にパターンキャリア及び枠状フレームを下降させて、鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にする工程と;を有する方法である。
【0006】
また上記の目的を達成するために本発明における鋳枠付き鋳型の造型装置は、基盤上の左右両側に立設された上向きシリンダの上端間に架設された昇降支持フレームと;パターンプレートを担持するパターンキャリアと;該パターンキャリアの外周を包囲して上下動可能に構成された枠状フレームと;前記上向きシリンダのうちの1つに回転可能に支持されて、複数のパターンキャリアがセットされると共に該パターンキャリアを交互に基盤中央上方に搬入出可能にしたパターン交換装置と;基盤の中央上方に位置するパターンキャリアの下方に配設されて、該パターンキャリア及び枠状フレームを昇降させる二段式昇降手段と;昇降支持フレームに吊設支持されて、内部にエアを噴出させて鋳物砂を浮遊流動化させるエアレーションを成すエア噴出チャンバを備えた砂ホッパと;該砂ホッパの下端に配設されたスクイズ手段と;該スクイズ手段の周囲に配設される砂充填用ノズルと;スクイズ手段及び砂充填用ノズルの群の外周を上下動可能にして包囲する盛枠と;基盤中央上方に位置するパターンキャリアと前記砂ホッパの間位置に設されて、鋳枠を移送レベルにおいて水平方向に搬入出させる鋳枠コンベヤと;を具備する鋳枠付き鋳型の造型装置である。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成から明らかなように本発明によれば、造型空間を形成する際、砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を鋳枠まで下降させると共にパターンキャリア及び枠状フレームを鋳枠まで上昇させて、実質的に一つの工程で該造型空間を形成しているため、従来のように二つの工程で該造型空間を形成するのに比べて造型サイクル時間が短縮できる。また、抜型後、砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を上昇させると共に前記パターンキャリア及び枠状フレームを下降させて、実質的に一つの工程で鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態しこするため、従来のように二つの工程で該鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にするのに比べ、ここでも造型サイクル時間が短縮できる。
本発明のその他の態様及びその利点は添付図面に関して以下に説明する以下の実施の形態を参照することによって明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の造型装置の運転開始の状態を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A矢視図である。
【図3】図3は、図1の装置において造型空間を形成させた状態を示す縦断面図である。
【図4】図4は、図1の装置の鋳物砂のエアレーション充填状態を示す縦断面図である。
【図5】図5は、図1の装置において鋳物砂の一次スクイズ状態を示す縦断面図である。
【図6】図6は、図1の装置において鋳物砂の二次スクイズ状態を示す縦断面図である。
【図7】図7は、図1の装置において造型鋳型の抜型状態を示す縦断面図である。
【図8】図8は、図1の装置の鋳枠付き鋳型の搬出可能な状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。 図1において、基盤1上の左右両側には上向きシリンダ2、2が立設されており、該上向きシリンダ2、2のピストンロッド2a、2aの上端間には昇降支持フレーム3が架設されている。また前記上向きシリンダ2、2のうちの一方(図1で左側)下位にはロータリ式のパターン交換装置4の中心部が水平平面内で回転可能にして支持されており、該パターン交換装置4の両端部にはパターンプレート5、5A(それぞれ、同じパターン又は異なるパターン、例えば、上・下パターンを担持する)を担持したパターンキャリア6、6Aがセットされ、該パターンキャリア6、6Aを前記基盤1の中央上方に交互に搬入出させるようにされている。
【0010】
そして、前記パターンキャリア6、6Aの平面四隅下部には複数のガイドロッド7、7が連結されており、該ガイドロッド7、7は、前記パターンキャリア6、6Aの外周を包囲して上下動可能に構成された枠状フレーム8、8Aのホルダ部8a、8aに上下摺動可能に挿入されている。また前記パターン交換装置4におけるフレーム部4a、4a上には複数の位置決め部材4b、4b(図2参照)が固定されている。前記枠状フ ̄レーム8、8Aは、それに形成した凹部が該位置決め部材4b、4bに載置係合されることによりパターン交換装置4に位置決めがなされる。このようにして前記パターンキャリア6、6Aは前記枠状フレーム8、8Aを介して前記パターン交換装置4にセットされる。この構成により、棒状フレーム8、8Aはフレーム部4a、4aに関して上方に移動可能である。
【0011】
また前記基盤1中央上方に位置するパターンキャリア6の下方には、該パターンキャリア6及び前記枠状フレーム8を昇降させる二段式昇降手段9が配設されている。ここで該二段式昇降手段9(テレスコープ形シリンダ)の構成について詳述する。二段式昇降手段9の第1シリンダ9aの第1昇降ロッド9bの先端には周縁部が上方に突出した形状にされた第1昇降部材9cが連結されており、該第1昇降部材9cの中央には通し孔9dが穿孔されている。そして、該第1シリンダ9aの第1昇降ロッド9b内は、第2シリンダ9eの第2昇降ロッド9fが収められる構成にされている。即ち、前記第2シリンダ9eは第1シリンダ9aの第1昇降ロッド9bを兼用している。また、前記第2昇降ロッド9fは前記通し孔9dを貫通している。そして、該第2昇降口ツド9fの先端には第2昇降部材9gが連結されており、該第2昇降部材9gにはパターンキャリア保持手段9h、9h(図2参照)が取り付けられている。なお該パターンキャリア保持手段9h、9hは、本実施形態では電磁石によりパターンキャリアを保持するものを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸引により又は機械的に保持することとしてもよい。
【0012】
また前記昇降支持フレーム3には砂ホッパ14が吊設支持されている。砂ホッパ14は、上端にスライドゲート10により開閉される砂投入口11、上位部に給気管12を有する。給気管12の切り替え弁(図示省略)を開いて給気管12を介して低圧エア(例えば、0.05〜0,18MPa)を砂ホッパ14内に導入することができる。砂ホッパ14はまた、下位内部に多数のエア噴出チャンバ13、13を備える。これらのチャンバは1個の切り替え弁(図示省略)を介して圧縮空気源(図示省略)に連通する。なお多数のエア噴出チャンバ13、13からは低圧エア(例えば、0.05〜0,18MPa)が砂ホッパ14内部に噴出されて鋳物砂Sを浮遊流動化させるエアレーションを成すように構成されている。さらに砂ホッパ14の下端には、スクイズ手段としての昇降停止制御可能にされた複数のスクイズフット15、15と該スクイズフット15、15の周囲に砂充填用ノズル16、16が配設されている。
【0013】
また前記スクイズフット15、15及び砂充填用ノズル16、16の群の外周を上下動可能にして包囲する盛枠17が、前記砂ホッパ14の外側部において下向きにして設けられた盛枠シリンダ18、18に連結して配置されている。なお、盛枠17の上位部にはベントホール(図示省略)が穿孔されている。さらに前記基盤1中央上方に位置するパターンキャリア6と前記砂ホッパ14の間位置には、鋳枠19を水平方向に搬入出させる鋳枠コンペヤとしてのローラコンペヤ20が配設されている。なお該ローラコンペヤ20はフレーム(図示省略)に固定されており、鋳枠19を該ローラコンペヤ20の移送レベルに維持する。
【0014】
次にこのように構成されたものの作動を詳しく説明する。図1の状態は、パターンプレート5を載置したパターンキャリア6を基盤1中央上方に搬入すると共に、空の鋳枠19がローラコンペヤ20により該パターンキャリア6と砂ホッパ14の間の位置に搬入された状態にある。また砂ホッパ14内には鋳物砂Sが投入され、且つ、複数のスクイズフット15、15全体が下方のパターンプレート5の凹凸に相対して凹凸を形成した状態にされている(即ち、異なるレベルに位置する)。さらに枠状フレーム8はパターンプレート5の見切面から上方に若干(本実施形態では30mm)突出された状態にある。
【0015】
この状態でスライドゲート10を作動させて砂投入口11を閉じた後、上向きシリンダ2、2を縮引作動させ且つ盛枠シリンダ18、18を伸長作動させることにより砂ホッパ14、スクイズフット15、15及び盛枠17を鋳枠19まで下降させると共に第1シリンダ9aから第1昇降ロッド9bを伸長作動させることによりパターンキャリア6及び枠状フレーム8を鋳枠19まで上昇させて、砂ホッパ14、スクイズフット15、15、盛枠17、鋳枠19、パターンプレート5及び枠状フレーム8により造型空間を形成し、図3の状態になる。この際、該造型空間は、スクイズフット15、15がパターンプレート5の凹凸に相対する凹凸形状に形成された状態になる。なおパターンキャリア6は第1昇降ロッド9bの伸長作動が開始する際、パターンキャリア保持手段9h、9hの作動により第2昇降部材9gに保持される。
【0016】
次に多数のエア噴出チャンバ13、13から低圧エアを砂ホッパ14内部に噴出させるエアレーションを行って砂ホッパ14内部の鋳物砂Sを浮遊流動化させながら給気管12の切り替え弁(図示省略)を開いて給気管12から低圧エアを砂ホッパ14内の鋳物砂に上部から供給し、図4に示すように、鋳物砂Sを低圧エアにより造型空間に砂充填用ノズル16、16から吹込み充填する。この際、吹込み充填時の低圧エアは盛枠17に穿孔された前記べントホール(図示省略)又は/及びパターンプレート5のベントホール(図示省略)から排気される。
【0017】
次に上向きシリンダ2、2がさらに縮引作動して盛枠シリンダ18、18を縮引させながら昇降支持フレーム3及びこれに支持されている部材を下降させてゆき、複数のスクイズフット15、15の全ての下面が同一レベルになるまで鋳物砂Sの一次スクイズをする(スクイズフットの作動流体の排出を自由にしておく)と共にスライドゲート10を逆作動させて砂投入口11を開放して図5の状態にされる。
【0018】
次に第2シリンダ9eの第2昇降ロッド9fを伸長作動させることにより、第2昇降部材9gを介して、また、前記ガイドロッド7、7の助けにより、パターンキャリア6を摺動上昇させることにより、パターンプレート5を上昇させて鋳物砂Sを二次スクイズする。これによりパターンプレート5の見切面が、鋳枠19下面と枠状フレーム8上面の当按面とほぼ同一レベルにされ、図6の状態になる。
【0019】
次に第2シリンダ9eの第2昇降ロッド9fを縮引作動させることにより、第2昇降部材9g、パターンキャリア保持手段9h、9h及びパターンキャリア6を介してパターンプレート5を下降させて抜型し、図7の状態にされる。この際、鋳枠19が盛枠17と枠状フレーム8で挟持された状態で抜型がなされる。
【0020】
次に上向きシリンダ2、2を伸長作動させることにより前記砂ホッパ14、スクイズフット15、15及び盛枠17を上昇させると共に第1シリンダ9aを縮引作動させることによりパターンキャリア6及び枠状フレーム8を下降させて、鋳枠付き鋳型Mを搬出可能な状態にし、図8の状態にされる。また、この際、鋳物砂Sが砂ホッパ14内に補給される。なお、第1シリンダ9aの縮引作動が終了する際、パターンキャリア保持手段9h、9hの作動が解除されてパターンキャリア保持手段9h、9hを介しての第2昇降部材9gによるパターンキャリア6の保持が解除される。
【0021】
次に鋳枠付き鋳型Mがローラコンペヤ20を介して搬出され、空の鋳枠19が搬入されると共にパターン交換装置4が180度回転されてパターンプレート5とパターンプレート5Aとを入替え、さらに複数のスクイズフット15、15が作動されてパターンプレート5Aの凹凸に相対した凹凸に形成された状態とされ上記の作動を繰り返し行う。
【0022】
本発明では、砂ホッパ14、スクイズ手段15、15及び盛枠17を鋳枠19まで下降させると共にパターンキャリア6及び枠状フレーム8を鋳枠まで上昇させて、砂ホッパ14、スクイズ手.段15、15、盛枠17、鋳枠19、パターンプレート5及び枠状フレーム8により造型空間を形成するようにしている。これにより、従来、造型空間(鋳物砂充填空間)を形成する際、鋳枠をレベリングフレーム上に載置する工程と、盛枠を鋳枠上に載置し且つスクイズフットを降下させて該盛枠内に進入させる工程との二つの工程が必要であったのに対し、実質的に一つの工程で該造型空間を形成することができるため、造型サイクル時間を短縮することができる。なお砂ホッパ14、スクイズ手段15、15及び盛枠17の下降と、パターンキャリア6及び枠状フレーム8の上昇の作動のタイミングは若干時間差があってもかまわないが、盛枠17の下面が鋳枠19上面に当接するのと、枠状フレーム8上面が鋳枠19下面に当接するのがほぼ同時になるのが好ましい。
【0023】
また本発明では、砂ホッパ14、スクイズ手段15、15及び盛枠17を上昇させると共にパターンキャリア6及び枠状フレーム8を下降させて、鋳枠付き鋳型Mを搬出可能な状態にしている。これにより、従来、抜型後に鋳枠付き鋳型を持ち上げて搬出可能な状態にする際、ローラ装置が鋳枠に当接するまでの工程と、該当接した後に該鋳枠付き鋳型を上昇端まで持ち上げる工程との二つの工程が必要であったのに対し、実質的に一つの工程で鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にすることができるため、ここでも造型サイクル時間を短縮することができる。なお砂ホッパ14、スクイズ巣段15、15及び盛枠17の上昇と、パターンキャリア6及び枠状フレーム8の下降の作動のタイミングは若干時間差があってもかまわないが、盛枠17の下面が鋳枠19上面から離反するのと、枠状フレーム8上面が鋳枠19下面から離反するのがほぼ同時になるのが好ましい。
【0024】
さらに本発明では、基盤1中央上方に位置するパターンキャリア6の下方に該パターンキャリア6及び枠状フレーム8を昇降させる二段式昇降手段9を配設しているため、鋳枠19が上下方向に移動しない本発明のような構成であっても、上述した二次スクイズを容易に行うことができる。また二段式昇降手段9が、昇降ロッド9bの先端に第1昇降部材9cが連結された第1シリンダ9aと、昇降ロッド9fの先端に第2昇降部材9gが連結されると共に該昇降ロッド9fが前記第1シリンダ9aの昇降ロッド9b内に収められる構成にされた第2シリンダ9eと、を具備する構成にされているため、装置(昇降手段)を簡単でコンパクトな構造のものにすることができる。
【0025】
なお本発明の実施形態では、造型空間を形成する際、鋳枠19がローラコンペヤ20のローラ20a、20a上に当接した状態で盛枠17と枠状フレーム8で扶持される(図3参照)が、これに限定されるものではなく、例えば、ローラコンペヤ20に鋳枠レベリング機構(図示省略)を設け、該鋳枠レベリング機構により鋳枠19をローラ20a、20a上から若干(例えば、5mm)持ち上げた状態で、該鋳枠19を盛枠17と枠状フレーム8で扶持するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳枠を移送レベルで水平方向に移動させる鋳枠コンベヤにより鋳枠をパターンキャリアと砂ホッパの間の位置に搬入して鋳枠付き鋳型を造型する方法であって:
前記鋳枠を実質的に前記移送レベルに維持した状態で前記砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を前記鋳枠まで下降させると共に前記パターンキャリア及び枠状フレームを前記鋳枠まで上昇させて、前記砂ホッパ、前記スクイズ手段、前記盛枠、前記鋳枠、前記パターンプレート及び前記枠状フレームにより造型空間を形成する工程と;
該造型空間に鋳物砂を充填する工程と;
該造型空間の鋳物砂を圧縮して鋳枠付き鋳型を作る工程と;
前記砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を上昇させると共に前記パターンキャリア及び枠状フレームを下降させて、前記鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にする工程と;
を有する鋳枠付き鋳型の造型方法。
【請求項2】
パターンプレートを担持するパターンキャリアを造型機の基盤の中央上方に搬入すると共に、鋳枠を該パターンキャリアと砂ホッパの間に搬入する工程と;
砂ホッパ、スクイズ手段及び盛枠を前記鋳枠まで下降させると共に前記パターンキャリア及び枠状フレームを前記鋳枠まで上昇させて、前記砂ホッパ、前記スクイズ手段、前記盛枠、前記鋳枠、前記パターンプレート及び前記枠状フレームにより造型空間を形成する工程と;
鋳物砂が投入された砂ホッパの内部にエアを噴出させて該鋳物砂を浮遊流動化させるエアレーションを行いながら前記造型空間に砂充填用ノズルを介して鋳物砂を充填する工程と;
前記スクイズ手段により鋳物砂を一次スクイズする工程と;
前記パターンプレートを上昇させて鋳物砂を二次スクイズする工程と;
前記パターンプレートを下降させて抜型する工程と;
前記砂ホッパ、前記スクイズ手段及び前記盛枠を上昇させると共に前記パターンキャリア及び枠状フレームを下降させて、鋳枠付き鋳型を搬出可能な状態にする工程と;
を有することを特徴とする鋳枠付き鋳型の造型方法。
【請求項3】
基盤上の左右両側に立設された上向きシリンダの上端間に架設された昇降支持フレームと; パターンプレートを担持するパターンキャリアと; 該パターンキャリアの外周を包囲して上下動可能に構成された枠状フレームと; 前記上向きシリンダのうちの1つに回転可能に支持されて、複数の前記パターンキャリアがセットされると共に該パターンキャリアを交互に前記基盤中央上方に搬入出可能にしたパターン交換装置と;
前記基盤の中央上方に位置するパターンキャリアの下方に配設されて、該パターンキャリア及び前記枠状フレームを昇降させる二段式昇降手段と;
前記昇降支持フレームに吊設支持されて、内部にエアを噴出させて鋳物砂を浮遊流動化させるエアレーションを成すエア噴出チャンバを備えた砂ホッパと;
該砂ホッパの下端に配設されたスクイズ手段と;
該スクイズ手段の周囲に配設される砂充填用ノズル(複数)と;
前記スクイズ手段及び砂充填用ノズル(複数)の群の外周を上下動可能にして包囲する盛枠と;
前記基盤中央上方に位置するパターンキャリアと前記砂ホッパの間位置に設されて、鋳枠を移送レベルにおいて水平方向に搬入出させる鋳枠コンベヤと;
を具備する鋳枠付き鋳型の造型装置。
【請求項4】
前記二段式昇降手段が、第1昇降ロッドの先端に第1昇降部材が連結された第1シリンダと、第2昇降ロッドの先端に第2昇降部材が連結されると共に該第2昇降ロッドが前記第1シリンダの前記第1昇降ロッド内に収められる構成にされた第2シリンダと、を具備する請求項3記載の鋳枠付き鋳型の造型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−519040(P2010−519040A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521467(P2009−521467)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/JP2007/063517
【国際公開番号】WO2008/099521
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】