鋳鉄の鋳造方法及びその方法を使用した内燃機関用シリンダヘッドの製造方法
【課題】鋳鉄による鋳造に際し,その一部における耐摩耗性及び耐熱性を向上する。
【解決手段】鋳鉄の鋳造を行う鋳物型A内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体Bを設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,前記金属粉末圧粉体Bを,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子A3,A4に,当該中子における表面から突出するように固定装着する。
【解決手段】鋳鉄の鋳造を行う鋳物型A内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体Bを設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,前記金属粉末圧粉体Bを,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子A3,A4に,当該中子における表面から突出するように固定装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,鋳鉄による鋳造に際し,その一部における耐摩耗性及び耐熱性を向上するようにした鋳造方法と,この鋳造方法を使用した内燃機関用シリンダヘッドの製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,内燃機関におけるシリンダヘッド等のように,部分的に耐摩耗性及び耐熱性が必要な部分には,耐摩耗性及び耐熱性を有する合金製の部材を,冷し嵌めにて固着するか,鋳込むようにしていたが,前記部材のガタ付き及び脱落が発生するおそれがあるばかりか,コストの大幅なアップ等を招来するという問題があった。
【0003】
そこで,本発明者達は,先の特許出願(特願2004−059455号)において以下に述べるようにした鋳造方法を提案した。
【0004】
すなわち、この先願の鋳造方法は,鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するというものである。
【0005】
また,この先願の鋳造方法においては,溶融した鋳鉄による前記金属粉末圧粉体の焼結及び拡散を確実に達成することのために,前記金属粉末圧粉体を,鋳造型に対してセラミック製等のように耐熱性を有する断熱材を介して固定することによって,前記金属粉末圧粉体を高い温度に維持するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,前記金属粉末圧粉体を,鋳造型に対して断熱材を介して固定することは,前記断熱材が,溶融した鋳鉄の熱を受けて変形することによって,前記金属粉末圧粉体を設ける位置がずれることになるから,設ける位置の精度が低いのであり,しかも,前記金属粉末圧粉体における表面のうち当該断熱材に対して接触する部分には,溶融した鋳鉄が直接に接触することはないから,この部分における金属粉末圧粉体の焼結及び拡散が不十分になるおそれが大きいという問題があった。
【0007】
しかも,前記したように断熱材を使用することは,この断熱材を作成する手数,及び,この断熱材を鋳造型に対して組み込むための手数が嵩むことになるから,コストのアップを招来するという問題もあった。
【0008】
本発明は,これらの問題を解消した鋳造方法と,この鋳造方法を使用した内燃機関用シリンダヘッドの製造方法とを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この技術的課題を達成するため本発明における鋳造方法は,請求項1に記載したように,
「鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,
前記金属粉末圧粉体を,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子に,当該中子における表面から突出するように固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0010】
また,本発明における鋳造方法は,請求項2に記載したように,
「前記請求項1の記載において,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0011】
次に,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項3に記載したように,
「前記請求項1又は2の記載において,前記金属粉末圧粉体をリング状にして,このリング状の金属粉末圧粉体を,内燃機関用シリンダヘッドの鋳造型内において当該シリンダヘッドにおける吸気ポート又は排気ポートを形成する中子のうち前記吸気ポート又は排気ポートにおける弁座部の部分に, 当該中子の表面から突出するように固定装着し,この状態でシリンダヘッドを鋳造し,鋳造後に前記弁座部を,前記金属粉末圧粉体における焼結層がバルブシートに露出するように機械加工する。」
ことを特徴としている。
【0012】
また,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項4に記載したように,
「前記請求項3の記載において,前記リング状金属粉末圧粉体の内周に,複数個の突起部を一体に設けて,この各突起部における先端を,前記中子に対して固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0013】
更にまた,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項5に記載したように,「前記請求項3又は4の記載において,吸気ポートと排気ポートとが互い隣接している場合か,又は,複数個の吸気ポートが互いに隣接している場合か,或いは,複数個の排気ポートが互いに隣接している場合に,これら互いに隣接する複数個のポートの各々に対する金属粉末圧粉体を,一体に連結する。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
鋳造型において,鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子は,前記鋳造型の内部に位置していて,前記鋳造型内に溶融した鋳鉄を注ぎ込んだとき,この中子の全体に対して溶融した鋳鉄が接触して,溶融した鋳鉄における温度に近似するように高い温度になっている。
【0015】
そこで,この中子に,前記金属粉末圧粉体を,前記中子における表面から突出するように固定装着することにより,この金属粉末圧粉体を,前記先願の発明のように断熱材を使用することなく正しい位置に正確に固定することができ,しかも,前記金属粉末圧粉体を広い面積において溶融した鋳鉄に接触することができるとともに,前記金属粉末圧粉体の温度を溶融した鋳鉄の温度にまで高くすることができる。
【0016】
従って,本発明によると,前記金属粉末圧粉体の焼結及び拡散を大幅に促進することができ,しかも,この金属粉末圧粉体を設ける位置の精度を向上できるとともに,コストを大幅に低減できる。
【0017】
特に,前記請求項2に記載したように,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することにより,前記金属粉末圧粉体は,前記中子に固定した状態でその全体が,溶融した鋳鉄に包み込まれることになって,前記金属粉末圧粉体の温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,前記した効果を助長できる。
【0018】
また,請求項3に記載したシリンダヘッドの製造方法によると,吸気ポート及び排気ポートのいずれか一方又は両方の弁座部における耐熱性を向上し,且つ,前記弁座部におけるバルブシートの耐摩耗性と,このバルブシートに着座を繰り返すバルブ側における耐摩耗性との両方を同時に向上したシリンダヘッドを,低コストで製造することができる。
【0019】
このシリンダヘッドの製造方法においては,請求項4に記載したようにすることにより,リング状にした金属粉末圧粉体の温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,耐熱性及び耐摩耗性を,更に向上することができる。
【0020】
また,請求項5に記載したシリンダヘッドの製造方法は,吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方の複数個が隣接している場合に,この隣接する複数個の各ポートの弁座部におけるリング状金属粉末圧粉体を,隣接同士一体に連結することにより,複数個の各中子の各々に対するリング状金属粉末圧粉体の固定装着が一挙にできて,その固定装着に要する手数を軽減できるから,製造コストをより低減できるのであり,しかも,複数個の金属粉末圧粉体の一体連結によって,各弁座部の間における耐熱性を向上できるから,この部分に弁間亀裂が発生ことを確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明の実施の形態を,内燃機関における鋳鉄製のシリンダヘッドを鋳造することに適用した場合について説明する。
【0022】
図1〜図6は,第1の実施の形態を示す。
【0023】
これら図1〜図6において,符号1は,内燃機関における鋳鉄製のシリンダヘッドを示し,このシリンダヘッド1は,従来から良く知られているように,その内部に,吸気ポート2及び排気ポート3と,冷却水ジャケット4とが形成され,前記吸気ポート2におけるシリンダヘッド1の下面1aへの開口部には,ポペット型の吸気バルブ5が着座するバルブシート6aを有する弁座部6が,前記排気ポート3におけるシリンダヘッド1の下面1aへの開口部には,ポペット型の排気バルブ7が着座するバルブシート8aを有する弁座部8が各々設けられている。
【0024】
図3は,前記シリンダヘッド1を鋳造するための鋳造型Aを示す,この鋳造型Aは,前記シリンダヘッド1における下面を形成する下型A1と,前記シリンダヘッド1の上面を形成する上型A2と,前記吸気ポート2を形成する中子A3と,前記排気ポート3を形成する中子A4と,前記冷却水ジャケット4を形成する中子A5とによって構成されており,この鋳物型Aにおける空間部に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記シリンダヘッド1を鋳造するように構成している。
【0025】
この鋳造に際しては,前記吸気ポート2用の中子A3及び排気ポート3用の中子A4のうち,前記弁座部6,7の箇所に,図4に示すように,以下に述べる各種の金属粉末の混合物を多孔質のリング状に固め成形して成る金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4の表面から突出するように固定装着しておき,この状態で,前記溶融した鋳鉄を注ぎ込むことで,この溶融した鋳鉄の熱を利用して前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散させることにより,鋳造時に,前記シリンダヘッド1のうち吸気ポート2及び排気ポート3における弁座部6,7の部分に前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を生成するとともに,その焼結層をシリンダヘッド1における母材に結合するようにする。
【0026】
図5及び図6は,鋳造後におけるシリンダヘッド1を示すものであり,この鋳造されたシリンダヘッド1には,その下面1aを二点鎖線D1で示すようにする機械加工するとともに,その吸気ポート2及び排気ポート3における前記下面1aに対する開口部内を二点鎖線D2で示すようにする機械加工することにより,前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を,前記吸気ポート2及び排気ポート3の弁座部6,8における円錐形のバルブシート6a,8aに露出する。
【0027】
この場合,前記金属粉末圧粉体Bは,例えば,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,鉄−クロム合金粉末の10〜15wt%と,コバルト−モリブデン−クロム合金粉末の15〜30wt%と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成するか,又は,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,コバルト−モリブデン−クロム合金粉末の30wt%以上と,このコバルト−モリブデン−クロム合金粉末より粒径を小さくした鉄−クロム合金粉末の10wt%未満と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成するか,或いは,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,鉄−クロム合金粉末の10〜30wt%と,鉄−モリブデン合金粉末の10〜30wt%と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成している。
【0028】
この場合において,前記黒鉛粉末の添加は,焼結の促進及び鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果を図るためである。
【0029】
前記銅粉末の添加は,融点の低い銅による液相の発生にて焼結を促進する効果を図るためである。
【0030】
前記ニッケル粉末の添加は,純鉄粉末に拡散して鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果を図るためである。
【0031】
前記鉄−クロム合金粉末の添加は,クロムの一部が純鉄粉末に拡散して鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果と,未拡散の鉄−クロム合金粉末による耐摩耗性の向上の効果とを図るためである。
【0032】
そして,前記コバルト−モリブデン−クロム合金粉末又は鉄−モリブデン合金粉末の添加は,これらが硬質粒子であることから,これを分散することによる耐摩耗性の向上の効果を図るためである。
【0033】
そして,この構成による前記金属粉末圧粉体Bを,溶融した鋳鉄の熱を利用して焼結及び拡散させることにより,鋳造時に,前記シリンダヘッド1のうち吸気ポート2及び排気ポート3における弁座部6,7の部分に前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を生成するとともに,その焼結層をシリンダヘッド1における母材に結合するように構成することができる。
【0034】
前記シリンダヘッド1の鋳造に際して吸気ポート2及び排気ポート3を形成する中子A3,A4は,前記シリンダヘッド1を鋳造する鋳造型Aの内部に位置していて,前記鋳造型A内に溶融した鋳鉄を注ぎ込んだとき,この中子A3,A4の全体に対して溶融した鋳鉄が接触して,溶融した鋳鉄における温度に近似するように高い温度になっている。
【0035】
そこで,この中子A3,A4に,前記金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4における表面から突出するように固定することにより,この金属粉末圧粉体Bを,前記先願の発明のように断熱材を使用することなく正しい位置に正確に固定することができ,しかも,前記金属粉末圧粉体Bを広い面積において溶融した鋳鉄に接触することができるとともに,前記金属粉末圧粉体Bの温度を溶融した鋳鉄の温度にまで高くすることができる。
【0036】
これにより,前記金属粉末圧粉体Bの焼結及び拡散を大幅に促進することができるとともに,この金属粉末圧粉体Bを設ける位置の精度を向上することができる。
【0037】
ところで,前記中子A3,A4に,前記リング状金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4における表面から突出するように固定装着するに際しては,図3に図示したように,前記金属粉末圧粉体Bにおける一部であるところの内周部を,中子A3,A4に埋設するようにして良いが,図7に示す第2の実施の形態のように,前記中子A3を,互いに一体に接合される二つの中子片A3′,A3″に分割し,この両中子片A3′,A3″を一体に接合するとき,その間に,前記金属粉末圧粉体Bにおける一部であるところの内周部を挟むことによって,前記中子A3に前記金属粉末圧粉体Bを,中子A3の表面から突出するように固定装着するという構成にしても良い。
【0038】
次に,図8及び図9は,第3の実施の形態を示す。
【0039】
この第3の実施の形態は,前記リング状にした金属粉末圧粉体Bの内周に,複数個の突起部B1を一体に設けて,この各突起部B1における先端を,吸気ポート用中子A3に埋設するか,或いは,二つ割りにした中子片A3′,A3″にて挟むことにより,前記金属粉末圧粉体Bを前記中子A3に,当該中子A3の表面から突出するように固定装着するという構成にしたものである。
【0040】
この第3の実施の形態によると,前記金属粉末圧粉体Bは,その全体が,溶融した鋳鉄に包み込まれることになり,これにより,前記金属粉末圧粉体Bの温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,前記金属粉末圧粉体Bにおける焼結及び拡散をより促進することができる。
【0041】
そして,図10及び図11は,第4の実施の形態を示す。
【0042】
この第4の実施の形態は,前記シリンダヘッド1において,その吸気ポート2と排気ポート3とが隣接している場合に,前記吸気ポート用中子A3のうち弁座部6の部分に固定装着するリンク状金属粉末圧粉体Bと,前記排気ポート用中子A4のうち弁座部8の部分に固定装着するリンク状金属粉末圧粉体Bとを一体に連結して,全体としてめがね型に構成したものである。
【0043】
このように構成することにより,吸気ポート用中子A3及び排気ポート用中子A4の各々に対するリング状金属粉末圧粉体Bの固定装着が一挙にできて,その固定装着に要する手数を軽減できるのであり,前記各弁座部6,8の間における耐熱性を,同時に向上できるから,この部分に弁間亀裂が発生することを抑制できる。
【0044】
この第4の実施の形態においては,前記のように一体化した金属粉末圧粉体の中子に対する固定装着に,前記第1の実施の形態のように,中子に埋設すること,及び,前記第2の実施の形態のように,二つに分割した中子片にて挟むことを採用できるほか,前記第3の実施の形態のように,突起部を一体に設けて,この突起部において固定装着するという方法を採用することができる。
【0045】
更に,前記第4の実施の形態においては,吸気ポート2と排気ポート3とに対して適用することに代えて,二つ以上の複数個の吸気ポートが隣接して設けられている場合とか,二つ以上の複数個の排気ポートが隣接して設けられている場合に対しても同様に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】内燃機関用シリンダヘッドにおける一部を示す縦断正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】第1の実施の形態においてシリンダヘッド用鋳物型の一部を示す縦断正面図である。
【図4】前記鋳物型に装填する金属粉末圧粉体を示す斜視図である。
【図5】鋳造したシリンダヘッドの一部を示す縦断正面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】第2の実施の形態においてシリンダヘッド用鋳物型の一部を示す縦断正面図である。
【図8】第3の実施の形態において金属粉末圧粉体を示す斜視図である。
【図9】第3の実施の形態において中子の一部を示す縦断正面図である。
【図10】第4の実施の形態において中子の一部を示す縦断正面図である。
【図11】図10のXI−XI視断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 シリンダヘッド
2 吸気ポート
3 排気ポート
4 冷却水ジャケット
5 吸気バルブ
7 排気バルブ
6,8 弁座部
6a,8a バルブシート
A 鋳物型
A1 下型
A2 上型
A3,A4,A5 中子
B 金属粉末圧粉体
B1 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は,鋳鉄による鋳造に際し,その一部における耐摩耗性及び耐熱性を向上するようにした鋳造方法と,この鋳造方法を使用した内燃機関用シリンダヘッドの製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,内燃機関におけるシリンダヘッド等のように,部分的に耐摩耗性及び耐熱性が必要な部分には,耐摩耗性及び耐熱性を有する合金製の部材を,冷し嵌めにて固着するか,鋳込むようにしていたが,前記部材のガタ付き及び脱落が発生するおそれがあるばかりか,コストの大幅なアップ等を招来するという問題があった。
【0003】
そこで,本発明者達は,先の特許出願(特願2004−059455号)において以下に述べるようにした鋳造方法を提案した。
【0004】
すなわち、この先願の鋳造方法は,鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するというものである。
【0005】
また,この先願の鋳造方法においては,溶融した鋳鉄による前記金属粉末圧粉体の焼結及び拡散を確実に達成することのために,前記金属粉末圧粉体を,鋳造型に対してセラミック製等のように耐熱性を有する断熱材を介して固定することによって,前記金属粉末圧粉体を高い温度に維持するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,前記金属粉末圧粉体を,鋳造型に対して断熱材を介して固定することは,前記断熱材が,溶融した鋳鉄の熱を受けて変形することによって,前記金属粉末圧粉体を設ける位置がずれることになるから,設ける位置の精度が低いのであり,しかも,前記金属粉末圧粉体における表面のうち当該断熱材に対して接触する部分には,溶融した鋳鉄が直接に接触することはないから,この部分における金属粉末圧粉体の焼結及び拡散が不十分になるおそれが大きいという問題があった。
【0007】
しかも,前記したように断熱材を使用することは,この断熱材を作成する手数,及び,この断熱材を鋳造型に対して組み込むための手数が嵩むことになるから,コストのアップを招来するという問題もあった。
【0008】
本発明は,これらの問題を解消した鋳造方法と,この鋳造方法を使用した内燃機関用シリンダヘッドの製造方法とを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この技術的課題を達成するため本発明における鋳造方法は,請求項1に記載したように,
「鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,
前記金属粉末圧粉体を,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子に,当該中子における表面から突出するように固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0010】
また,本発明における鋳造方法は,請求項2に記載したように,
「前記請求項1の記載において,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0011】
次に,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項3に記載したように,
「前記請求項1又は2の記載において,前記金属粉末圧粉体をリング状にして,このリング状の金属粉末圧粉体を,内燃機関用シリンダヘッドの鋳造型内において当該シリンダヘッドにおける吸気ポート又は排気ポートを形成する中子のうち前記吸気ポート又は排気ポートにおける弁座部の部分に, 当該中子の表面から突出するように固定装着し,この状態でシリンダヘッドを鋳造し,鋳造後に前記弁座部を,前記金属粉末圧粉体における焼結層がバルブシートに露出するように機械加工する。」
ことを特徴としている。
【0012】
また,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項4に記載したように,
「前記請求項3の記載において,前記リング状金属粉末圧粉体の内周に,複数個の突起部を一体に設けて,この各突起部における先端を,前記中子に対して固定装着する。」
ことを特徴としている。
【0013】
更にまた,本発明におけるシリンダヘッドの製造方法は,請求項5に記載したように,「前記請求項3又は4の記載において,吸気ポートと排気ポートとが互い隣接している場合か,又は,複数個の吸気ポートが互いに隣接している場合か,或いは,複数個の排気ポートが互いに隣接している場合に,これら互いに隣接する複数個のポートの各々に対する金属粉末圧粉体を,一体に連結する。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
鋳造型において,鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子は,前記鋳造型の内部に位置していて,前記鋳造型内に溶融した鋳鉄を注ぎ込んだとき,この中子の全体に対して溶融した鋳鉄が接触して,溶融した鋳鉄における温度に近似するように高い温度になっている。
【0015】
そこで,この中子に,前記金属粉末圧粉体を,前記中子における表面から突出するように固定装着することにより,この金属粉末圧粉体を,前記先願の発明のように断熱材を使用することなく正しい位置に正確に固定することができ,しかも,前記金属粉末圧粉体を広い面積において溶融した鋳鉄に接触することができるとともに,前記金属粉末圧粉体の温度を溶融した鋳鉄の温度にまで高くすることができる。
【0016】
従って,本発明によると,前記金属粉末圧粉体の焼結及び拡散を大幅に促進することができ,しかも,この金属粉末圧粉体を設ける位置の精度を向上できるとともに,コストを大幅に低減できる。
【0017】
特に,前記請求項2に記載したように,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することにより,前記金属粉末圧粉体は,前記中子に固定した状態でその全体が,溶融した鋳鉄に包み込まれることになって,前記金属粉末圧粉体の温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,前記した効果を助長できる。
【0018】
また,請求項3に記載したシリンダヘッドの製造方法によると,吸気ポート及び排気ポートのいずれか一方又は両方の弁座部における耐熱性を向上し,且つ,前記弁座部におけるバルブシートの耐摩耗性と,このバルブシートに着座を繰り返すバルブ側における耐摩耗性との両方を同時に向上したシリンダヘッドを,低コストで製造することができる。
【0019】
このシリンダヘッドの製造方法においては,請求項4に記載したようにすることにより,リング状にした金属粉末圧粉体の温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,耐熱性及び耐摩耗性を,更に向上することができる。
【0020】
また,請求項5に記載したシリンダヘッドの製造方法は,吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方の複数個が隣接している場合に,この隣接する複数個の各ポートの弁座部におけるリング状金属粉末圧粉体を,隣接同士一体に連結することにより,複数個の各中子の各々に対するリング状金属粉末圧粉体の固定装着が一挙にできて,その固定装着に要する手数を軽減できるから,製造コストをより低減できるのであり,しかも,複数個の金属粉末圧粉体の一体連結によって,各弁座部の間における耐熱性を向上できるから,この部分に弁間亀裂が発生ことを確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明の実施の形態を,内燃機関における鋳鉄製のシリンダヘッドを鋳造することに適用した場合について説明する。
【0022】
図1〜図6は,第1の実施の形態を示す。
【0023】
これら図1〜図6において,符号1は,内燃機関における鋳鉄製のシリンダヘッドを示し,このシリンダヘッド1は,従来から良く知られているように,その内部に,吸気ポート2及び排気ポート3と,冷却水ジャケット4とが形成され,前記吸気ポート2におけるシリンダヘッド1の下面1aへの開口部には,ポペット型の吸気バルブ5が着座するバルブシート6aを有する弁座部6が,前記排気ポート3におけるシリンダヘッド1の下面1aへの開口部には,ポペット型の排気バルブ7が着座するバルブシート8aを有する弁座部8が各々設けられている。
【0024】
図3は,前記シリンダヘッド1を鋳造するための鋳造型Aを示す,この鋳造型Aは,前記シリンダヘッド1における下面を形成する下型A1と,前記シリンダヘッド1の上面を形成する上型A2と,前記吸気ポート2を形成する中子A3と,前記排気ポート3を形成する中子A4と,前記冷却水ジャケット4を形成する中子A5とによって構成されており,この鋳物型Aにおける空間部に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記シリンダヘッド1を鋳造するように構成している。
【0025】
この鋳造に際しては,前記吸気ポート2用の中子A3及び排気ポート3用の中子A4のうち,前記弁座部6,7の箇所に,図4に示すように,以下に述べる各種の金属粉末の混合物を多孔質のリング状に固め成形して成る金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4の表面から突出するように固定装着しておき,この状態で,前記溶融した鋳鉄を注ぎ込むことで,この溶融した鋳鉄の熱を利用して前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散させることにより,鋳造時に,前記シリンダヘッド1のうち吸気ポート2及び排気ポート3における弁座部6,7の部分に前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を生成するとともに,その焼結層をシリンダヘッド1における母材に結合するようにする。
【0026】
図5及び図6は,鋳造後におけるシリンダヘッド1を示すものであり,この鋳造されたシリンダヘッド1には,その下面1aを二点鎖線D1で示すようにする機械加工するとともに,その吸気ポート2及び排気ポート3における前記下面1aに対する開口部内を二点鎖線D2で示すようにする機械加工することにより,前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を,前記吸気ポート2及び排気ポート3の弁座部6,8における円錐形のバルブシート6a,8aに露出する。
【0027】
この場合,前記金属粉末圧粉体Bは,例えば,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,鉄−クロム合金粉末の10〜15wt%と,コバルト−モリブデン−クロム合金粉末の15〜30wt%と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成するか,又は,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,コバルト−モリブデン−クロム合金粉末の30wt%以上と,このコバルト−モリブデン−クロム合金粉末より粒径を小さくした鉄−クロム合金粉末の10wt%未満と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成するか,或いは,
「黒鉛粉末の0.5〜1.5wt%と,銅粉末の3〜10wt%と,ニッケル粉末の10〜20wt%と,鉄−クロム合金粉末の10〜30wt%と,鉄−モリブデン合金粉末の10〜30wt%と,残りが純鉄粉末とを混合して,多孔質に固め成形して成る。」
ものに構成している。
【0028】
この場合において,前記黒鉛粉末の添加は,焼結の促進及び鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果を図るためである。
【0029】
前記銅粉末の添加は,融点の低い銅による液相の発生にて焼結を促進する効果を図るためである。
【0030】
前記ニッケル粉末の添加は,純鉄粉末に拡散して鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果を図るためである。
【0031】
前記鉄−クロム合金粉末の添加は,クロムの一部が純鉄粉末に拡散して鋳造物のうち前記金属粉末圧粉体Bの母材組織を耐熱性を有するオーステナイトにする効果と,未拡散の鉄−クロム合金粉末による耐摩耗性の向上の効果とを図るためである。
【0032】
そして,前記コバルト−モリブデン−クロム合金粉末又は鉄−モリブデン合金粉末の添加は,これらが硬質粒子であることから,これを分散することによる耐摩耗性の向上の効果を図るためである。
【0033】
そして,この構成による前記金属粉末圧粉体Bを,溶融した鋳鉄の熱を利用して焼結及び拡散させることにより,鋳造時に,前記シリンダヘッド1のうち吸気ポート2及び排気ポート3における弁座部6,7の部分に前記金属粉末圧粉体Bによる焼結層を生成するとともに,その焼結層をシリンダヘッド1における母材に結合するように構成することができる。
【0034】
前記シリンダヘッド1の鋳造に際して吸気ポート2及び排気ポート3を形成する中子A3,A4は,前記シリンダヘッド1を鋳造する鋳造型Aの内部に位置していて,前記鋳造型A内に溶融した鋳鉄を注ぎ込んだとき,この中子A3,A4の全体に対して溶融した鋳鉄が接触して,溶融した鋳鉄における温度に近似するように高い温度になっている。
【0035】
そこで,この中子A3,A4に,前記金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4における表面から突出するように固定することにより,この金属粉末圧粉体Bを,前記先願の発明のように断熱材を使用することなく正しい位置に正確に固定することができ,しかも,前記金属粉末圧粉体Bを広い面積において溶融した鋳鉄に接触することができるとともに,前記金属粉末圧粉体Bの温度を溶融した鋳鉄の温度にまで高くすることができる。
【0036】
これにより,前記金属粉末圧粉体Bの焼結及び拡散を大幅に促進することができるとともに,この金属粉末圧粉体Bを設ける位置の精度を向上することができる。
【0037】
ところで,前記中子A3,A4に,前記リング状金属粉末圧粉体Bを,当該金属粉末圧粉体Bが前記中子A3,A4における表面から突出するように固定装着するに際しては,図3に図示したように,前記金属粉末圧粉体Bにおける一部であるところの内周部を,中子A3,A4に埋設するようにして良いが,図7に示す第2の実施の形態のように,前記中子A3を,互いに一体に接合される二つの中子片A3′,A3″に分割し,この両中子片A3′,A3″を一体に接合するとき,その間に,前記金属粉末圧粉体Bにおける一部であるところの内周部を挟むことによって,前記中子A3に前記金属粉末圧粉体Bを,中子A3の表面から突出するように固定装着するという構成にしても良い。
【0038】
次に,図8及び図9は,第3の実施の形態を示す。
【0039】
この第3の実施の形態は,前記リング状にした金属粉末圧粉体Bの内周に,複数個の突起部B1を一体に設けて,この各突起部B1における先端を,吸気ポート用中子A3に埋設するか,或いは,二つ割りにした中子片A3′,A3″にて挟むことにより,前記金属粉末圧粉体Bを前記中子A3に,当該中子A3の表面から突出するように固定装着するという構成にしたものである。
【0040】
この第3の実施の形態によると,前記金属粉末圧粉体Bは,その全体が,溶融した鋳鉄に包み込まれることになり,これにより,前記金属粉末圧粉体Bの温度を,前記溶融した鋳鉄における高い温度により近づけることができるから,前記金属粉末圧粉体Bにおける焼結及び拡散をより促進することができる。
【0041】
そして,図10及び図11は,第4の実施の形態を示す。
【0042】
この第4の実施の形態は,前記シリンダヘッド1において,その吸気ポート2と排気ポート3とが隣接している場合に,前記吸気ポート用中子A3のうち弁座部6の部分に固定装着するリンク状金属粉末圧粉体Bと,前記排気ポート用中子A4のうち弁座部8の部分に固定装着するリンク状金属粉末圧粉体Bとを一体に連結して,全体としてめがね型に構成したものである。
【0043】
このように構成することにより,吸気ポート用中子A3及び排気ポート用中子A4の各々に対するリング状金属粉末圧粉体Bの固定装着が一挙にできて,その固定装着に要する手数を軽減できるのであり,前記各弁座部6,8の間における耐熱性を,同時に向上できるから,この部分に弁間亀裂が発生することを抑制できる。
【0044】
この第4の実施の形態においては,前記のように一体化した金属粉末圧粉体の中子に対する固定装着に,前記第1の実施の形態のように,中子に埋設すること,及び,前記第2の実施の形態のように,二つに分割した中子片にて挟むことを採用できるほか,前記第3の実施の形態のように,突起部を一体に設けて,この突起部において固定装着するという方法を採用することができる。
【0045】
更に,前記第4の実施の形態においては,吸気ポート2と排気ポート3とに対して適用することに代えて,二つ以上の複数個の吸気ポートが隣接して設けられている場合とか,二つ以上の複数個の排気ポートが隣接して設けられている場合に対しても同様に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】内燃機関用シリンダヘッドにおける一部を示す縦断正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】第1の実施の形態においてシリンダヘッド用鋳物型の一部を示す縦断正面図である。
【図4】前記鋳物型に装填する金属粉末圧粉体を示す斜視図である。
【図5】鋳造したシリンダヘッドの一部を示す縦断正面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】第2の実施の形態においてシリンダヘッド用鋳物型の一部を示す縦断正面図である。
【図8】第3の実施の形態において金属粉末圧粉体を示す斜視図である。
【図9】第3の実施の形態において中子の一部を示す縦断正面図である。
【図10】第4の実施の形態において中子の一部を示す縦断正面図である。
【図11】図10のXI−XI視断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 シリンダヘッド
2 吸気ポート
3 排気ポート
4 冷却水ジャケット
5 吸気バルブ
7 排気バルブ
6,8 弁座部
6a,8a バルブシート
A 鋳物型
A1 下型
A2 上型
A3,A4,A5 中子
B 金属粉末圧粉体
B1 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,
前記金属粉末圧粉体を,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子に,当該中子における表面から突出するように固定装着することを特徴とする鋳鉄の鋳造方法。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することを特徴とする鋳鉄の鋳造方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記金属粉末圧粉体をリング状にして,このリング状の金属粉末圧粉体を,内燃機関用シリンダヘッドの鋳造型内において当該シリンダヘッドにおける吸気ポート又は排気ポートを形成する中子のうち前記吸気ポート又は排気ポートにおける弁座部の部分に, 当該中子の表面から突出するように固定装着し,この状態でシリンダヘッドを鋳造し,鋳造後に前記弁座部を,前記金属粉末圧粉体における焼結層がバルブシートに露出するように機械加工することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記請求項3の記載において,前記リング状金属粉末圧粉体の内周に,複数個の突起部を一体に設けて,この各突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記請求項3又は4の記載において,吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方の複数個が隣接している場合に,この隣接する複数個の各ポートの弁座部における金属粉末圧粉体を,隣接同士一体に連結することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【請求項1】
鋳鉄の鋳造を行う鋳物型内に,耐熱性を有する金属粉末と耐摩耗性を有する金属粉末とを混合し固め成形して成る金属粉末圧粉体を設置し,次いで,前記鋳物型内に,溶融した鋳鉄を注ぎ込むことにより,前記金属粉末圧粉体を焼結及び拡散するようにした鋳造方法において,
前記金属粉末圧粉体を,前記鋳物型において鋳造物に空洞又は通路等を形成する中子に,当該中子における表面から突出するように固定装着することを特徴とする鋳鉄の鋳造方法。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記金属粉末圧粉体に突起部を一体に設けて,この突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することを特徴とする鋳鉄の鋳造方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記金属粉末圧粉体をリング状にして,このリング状の金属粉末圧粉体を,内燃機関用シリンダヘッドの鋳造型内において当該シリンダヘッドにおける吸気ポート又は排気ポートを形成する中子のうち前記吸気ポート又は排気ポートにおける弁座部の部分に, 当該中子の表面から突出するように固定装着し,この状態でシリンダヘッドを鋳造し,鋳造後に前記弁座部を,前記金属粉末圧粉体における焼結層がバルブシートに露出するように機械加工することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記請求項3の記載において,前記リング状金属粉末圧粉体の内周に,複数個の突起部を一体に設けて,この各突起部における先端を,前記中子に対して固定装着することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記請求項3又は4の記載において,吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方の複数個が隣接している場合に,この隣接する複数個の各ポートの弁座部における金属粉末圧粉体を,隣接同士一体に連結することを特徴とする内燃機関用シリンダヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−61891(P2007−61891A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254838(P2005−254838)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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