説明

長尺コンクリートボックスカルバート製品

【課題】比較的長い暗渠などを構築する場合、2m以下のボックスカルバートでは数が増加し、ボックスカルバート間の接合部分が増加することで、結合部分のモルタル処理などに要する作業が増加し、施工期間を長くするものになった。
【解決手段】内幅が0.3m以上で、内幅の0.5倍〜35倍となる製品長が2m〜10mである長尺コンクリートボックスカルバート製品であって、セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材料及び鋼材を原料とする中で、少なくとも単位セメント量が300kg/m3〜600kg/m3を使用して水結合材比を30%〜50%とし、かつ鉄筋のかぶりを20mm〜50mmにして鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量を使用するとともに、長さ方向の端面をフラットまたは嵌合形状にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道、導水路、用排水路、道路拡幅用暗渠、地下横断歩道、橋梁用暗渠、ガレージ、貯水槽、共同溝などに用いる長尺コンクリートボックスカルバート製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下水道を構築するのに使用される鉄筋コンクリート製ボックスカルバートとしては、製造、在庫あるいは輸送上の理由から、その長さが2m以下のものが一般的である(例えば特許文献1)。すなわち、長さが2m以下のボックスカルバートにあっては、製造する場合、型枠を立てた状態でボックスカルバートの接合面方向つまり型枠の上方より型枠にコンクリートを打設することができ、工場内が狭くても製造できる、また、できあがったボックスカルバートを保管するに際しても、2m以下であるので占有する面積が広くならず、多くのボックスカルバートを在庫することができるとともに、輸送に際しては大型のトラックを必要としない、などの利点がある。
【特許文献1】特開平08−132080号公報(第3ページ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のボックスカルバートであると、比較的長い暗渠を構築する場合、使用するボックスカルバートの数が増加する。このことは、ボックスカルバートを連結することにより生じる接合部分が増加することを意味する。このように接合部分が増加すると、結合部分のモルタル処理などに要する作業が増加し、施工期間を長くするものになった。また、施工後にあっては、接合部分が多くなることにより、漏水が生じる確率も高くなった。
【0004】
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の長尺コンクリートボックスカルバート製品は、内幅が0.3m以上で、内幅の0.5倍〜35倍となる製品長が2m〜10mである長尺コンクリートボックスカルバート製品であって、セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材料及び鋼材を原料とする中で、少なくとも単位セメント量が300kg/m3〜600kg/m3を使用して水結合材比を30%〜50%とし、かつ鉄筋のかぶりを20mm〜50mmにして鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量を使用するとともに、長さ方向の端面をフラットまたは嵌合形状にしたことを特徴とする。
【0006】
このような構成であれば、少なくとも単位セメント量が300kg/m3〜600kg/m3を使用して水結合材比を30%〜50%とし、かつ鉄筋のかぶりを20mm〜50mmにして鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量を使用することにより、製品長が最大10mとなった場合でも、製品長手方向の強度を維持することが可能になる。また、水結合材比を30%〜50%にしているので、水密性に優れ、かつ耐久性を向上させることが可能になる。
【0007】
表面のひび割れを適正にコントロールするため、あるいはひび割れの発生を防止するためには、頂版、底版及び側壁の少なくとも一つに0.5N/mm2〜10N/mm2のプレストレス量を導入してなるものが好ましい。なお、このようなプレストレス量を導入するためには、PC鋼棒、アンボンドPC鋼棒、中空PC鋼棒、PC鋼より線、アンボンドPC鋼より線、ガラスやカーボンあるいはアラミドなどの繊維をエポキシ樹脂により固化させてなるFRP緊張材などを使用すればよい。
【0008】
現場における施工時の内幅を大きくするためには、少なくとも二つのブロックからなり、ブロックを結合することによりボックスカルバートを形成するものが好適である。
【0009】
構築しようとする暗渠などの幅が大きな場合に効率よく暗渠などを構築するためには、長手方向に沿って内部を分割する隔壁を少なくとも一つ備えてなるものが好ましい。このように、内部が隔壁で少なくとも二分割されていると、内部に独立した水路などを構築することが可能になる。したがって、暗渠などの構築を迅速に行うことができる。
【0010】
施工時の利便性を向上させるためには、頂版の外面に離間している複数箇所に設けられる凹部内に吊り下げ部材を露出させてなるものが好ましい。この場合、複数箇所が、4カ所であるものが好ましい。
【0011】
なお、長尺コンクリートボックスカルバート製品の最大外形寸法は、実質的には輸送に用いるトレーラの荷台の寸法により規制されるもので、例えば製品長は最大で10m、幅は最大で2.4mとなるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上説明したような構成であるので、水密性に優れ、かつ耐久性を向上させることができ、構築する暗渠などの構築物の品質を向上させることができる。しかも、製品長が2m〜10mであるので、構築物に対して大きな部分を施工し得ることにより施工性が向上し、工期を短縮することができる。また、構築物における結合箇所を減らすことができるので、接合箇所の作業量を低減することができ、経済性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態を、図1〜4を参照して説明する。
【0014】
この実施形態では、長尺コンクリートボックスカルバート製品として、長手方向に垂直な方向の断面形状が口形であるプレストレスを導入しないRCボックスカルバート100を説明する。このRCボックスカルバート100は、頂版1、底版2及び左右の側壁3を有するもので、側壁3内面間の寸法である内幅Bと頂版1内面と底版2内面との間の距離である内高Hとが同じ寸法であり、製品長となるその有効長Lが内幅の0.5倍〜35倍に設定される大きさのものである。具体的には、例えば内幅Bが0.8mであり、その有効長が4mとなるRCボックスカルバート100である。このRCボックスカルバート100のハンチ部4には、有効長Lに全長にわたって縦締めのためのPC鋼棒を挿入するための貫通孔5が設けてある。また、この貫通孔5に対応して、接合端6には貫通孔に挿入されたPC鋼棒を連結するための連結用凹部7が設けてある。
【0015】
この第一実施形態のRCボックスカルバート100は、その長手方向の接合端部分が嵌合接合となるように、一方の接合端6aは左右の側壁3の幅方向の外面側部分6aaが例えば側壁3の幅寸法の1/2程度の幅で、他方の接合端6bの方向に所定寸法だけ後退しているとともに、他方の接合端6bは左右の側壁3の幅方向の外面側部分6bbが例えば側壁3の幅寸法の1/2程度の幅で、外方向に所定寸法だけ突出している。言い換えると、一方の接合端6aにおいては、中央部分の接合端面が突出し、他方の接合端6bにおいては、中央部分の接合端面が窪んだ形状となる。このように、一方の接合端6aと他方の接合端6bとが外面側部分6aa,6bbにおいて凹凸となる嵌合形状になっていることにより、第一のRCボックスカルバート100に第二のRCボックスカルバート100を接合する場合に、第一のRCボックスカルバート100の他方の接合端6bに第二のRCボックスカルバート100の一方の接合端6aを嵌合させることができるものである。
【0016】
頂版1、底版2及び左右の側壁3には、鉄筋籠の形式により鉄筋が配設されている。鉄筋籠8は、鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量となるようにして形成する。鉄筋籠8は、主筋となる複数のループ筋8aを、配力筋8bに等間隔で溶接固定して形成するもので、当該分野において広く知られている構造を用いるものであってよい。また、この鉄筋籠8は、鉄筋のかぶり(鉄筋の表面から鉄筋を覆うコンクリート表面までの距離)が20mm〜50mmとなる大きさに形成するものである。
【0017】
頂版1の外面の所定位置に半円状に窪んだ凹部9が形成してあり、その凹部9内に、RCボックスカルバート100を吊り下げる際に吊り下げ工具(図示しない)が係合される吊り下げ部材10の頭部10aが露出させてある。吊り下げ部材10は、頭部10aと頭部10aの下側に連続する胴部10bとその胴部10bの下端部に形成されるアンカー部10cとを備えている。頭部10aは、胴部10bより径が大きな円板形状をしており、先端が二股のフック状形状の吊り下げ工具が下面に接触して抜け落ちない大きさをしている。また、頭部10aの下面中央から下側に向かって延びている胴部10bは、吊り下げ工具の先端に容易に入り込む外径を有している。アンカー部10cは、頭部10aより径の大きな円板で、吊り下げ部材10が頂版1から抜脱するのを防ぐに十分な大きさをしている。この実施形態では、吊り下げ部材10は、側壁3の外面から内側に、側壁3の厚みのほぼ半分程度の距離に偏った位置で、しかも長さ方向には頂版の幅以上の距離離間させて配設されるもので、四カ所に設けられるものである。
【0018】
このような大きさのRCボックスカルバート100は、コンクリート内部に埋設される鉄筋籠8を準備しておき、それと並行して水平な台板の上に型枠を、その長手軸を水平にして載置し、型枠内に鉄筋籠を配置した後、その型枠内にコンクリートを打設して製造するものである。型枠は、外型枠と内型枠と妻板とで構成される。この型枠は、台板に対して着脱可能に固定され、内部に打設したコンクリートが硬化した後に分解可能な構成のものである。
【0019】
RCボックスカルバート100の製造に際してはまず、一対の板状の枠部材からなる外型枠を台板に固定する。すなわち、外枠体は、その板状の枠部材をその内面を対向させて、台板の所定位置にRCボックスカルバート100の外幅にほぼ等しい間隔(距離)をあけて固定する。次に、固定した外型枠の長手方向の両端それぞれを閉塞するように、妻板を固定する。妻板は、RCボックスカルバート100の両端面つまり接合面を成形するためのもので、製造するRCボックスカルバート100の種類により、平板形状のもの、中央部分が外型枠内側方向に陥没している凹板形状のもの、及び横方向の両縁部分が外型枠内側方向に陥没している凸板形状のものが準備してある。
【0020】
このようにして、台板と外型枠と妻板とにより上面がない箱形状のものが完成するので、補強用の鉄筋籠8をその内部に、台板、外型枠及び妻板から所定の距離離してセットする。鉄筋籠8を外型枠内に配置した後、妻板と妻板との間に内型枠を着脱可能な状態で取り付ける。内型枠は、打設したコンクリートが硬化した後に分解することにより取り外せる構造のものである。好ましくは、特開2001−334520号公報に記載されている、コンクリート打設後の余剰の水分や空気などを排出し得るように、フィルタクロスを着脱可能に取り付けた溝付枠とその溝付枠を着脱可能に取り付けられる内型枠本体とを備える構成の内型枠が好ましい。なお、このような内型枠は、RCボックスカルバート100の底版2に対応する分のコンクリートを打設した後に外型枠内に取り付けるものである。この場合に、上述の溝付枠と内型枠本体とを備える内型枠にあっては、溝付枠を取り付けていない内型枠本体のみを、コンクリートの打設前に妻板間に取り付けておくものであってよい。
【0021】
以上のようにして準備した型枠に、コンクリートを打設する。この実施形態において使用するコンクリートは、次の配合(示方配合)により調製する。
【0022】
示方配合1
粗骨材の最大寸法(mm) 20
スランプ(cm) 6.0
水セメント比W/C(%) 35
空気量(%) 2.0
細骨材率S/a(%) 38
単位量(kg/m3
水W 151
セメントC 432
細骨材S 686
粗骨材G 1145
混和剤(g/m3) 3460
なお、示方配合は、以下に示すものであってもよい。
【0023】
示方配合2
粗骨材の最大寸法(mm) 20
スランプ(cm) 6.0
水セメント比W/C(%) 35
空気量(%) 1.5
細骨材率S/a(%) 37
単位量(kg/m3
水W 150
セメントC 430
細骨材S 656
粗骨材G 1183
混和剤(g/m3) 3400
示方配合3
粗骨材の最大寸法(mm) 25
スランプ(cm) 6.0
水セメント比W/C(%) 35
空気量(%) 1.5
細骨材率S/a(%) 38
単位量(kg/m3
水W 151
セメントC 432
細骨材S 688
粗骨材G 1137
混和剤(g/m3) 3400
以上のような構成のコンクリートを、最初に、内型枠を妻板間に取り付ける前に、RCボックスカルバート100の底版2に対応する分量を打設する。この後、内型枠を妻板間に取り付け、残るコンクリートを打設する。このようにコンクリートを打設する場合に、型枠内に空洞部分が生じないように、台板を含んで型枠全体を振動させて、コンクリートが型枠内にほぼ均等に充填されるようにするものである。そして、コンクリートの全量を打設した後、コンクリートから出てくる内部の空気や余剰の水を排出し、コンクリートを硬化させる。コンクリートが硬化した後、内型枠を分解して妻板間から取り外し、さらに外型枠を台板から取り外して、RCボックスカルバート100を取り出す。完成したRCボックスカルバート100は、内幅B及び内高Hが0.8mで、その有効長Lが4mのものである。
【0024】
このような構成において、上述のような示方配合のコンクリートを使用して、かつ鉄筋のかぶりを20mm〜50mmにして鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量を使用することにより、製品長が4mであっても、長手方向の強度を維持することができる。また、水結合材比を30%〜50%にしているので、水密性に優れ、かつ耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、RCボックスカルバート100は、吊り下げ部材10に例えばクレーンに取り付けられた吊り下げ工具を係合させて吊り上げる。この場合に、吊り下げ部材10は頂版1の四カ所に設けてあるので、このような長尺のものにあっても上下方向に回転することなく安定よく吊り下げることができる。したがって、RCボックスカルバート100を工場から出荷するために輸送車両に積み込む場合や、施工現場において荷下ろしする場合、さらには例えば暗渠を構築する掘削溝内に下ろす場合の作業時間を短縮することができる。
【0026】
さらに、施工時にあっては、一つのRCボックスカルバート100により暗渠の長い距離が完成するため、同じ距離の暗渠を構築する場合、従来のボックスカルバートを使用するものに比べて、結合箇所を格段に少なくすることができる。このため、RCボックスカルバート100の据え付け作業における歩掛を低減することができるとともに、止水のために用いる資材の量を低減することができる。したがって、据え付け作業における省力化及び工期の短縮が可能で、経済性を向上させることができる。また、結合箇所が少なくなることにより、内部に流れる水により流されるゴミなど異物がその結合箇所に引っかかる確率が減少し、円滑な水に流れを実現できるとともに、漏水の可能性が低くなり、水密性を向上させることができる。
【0027】
加えて、長尺であるので、柔軟性と堅牢性とを兼ね備えた梁のような構造体として機能する。このため、RCボックスカルバート100が沈下する確率を低くすることができる。このように梁としての機能も持ち合わせているので、道路下を横断するように施工する場合においても、沈下を抑制することができる。
【0028】
上記第一実施形態においては、RCボックスカルバート100を説明したが、長尺コンクリートボックスカルバート製品は、鉄筋籠8や接合端6の形状、内幅B、内高H及び有効長L、さらには鉄筋のかぶりやコンクリートなどの基本となる構成をRCボックスカルバートと同じにして、例えば頂版1にPC鋼棒により0.5N/mm2〜10N/mm2のプレストレス量を導入することによりプレストレストコンクリートボックスカルバート(PCボックスカルバート)200あるいはプレストレスト鉄筋コンクリートボックスカルバート(PRCボックスカルバート)とするものであってよい。この第二実施形態の断面(図4の(a)に相当する)を図5に示す。なお、同図において、第一実施形態と同じ構成については同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0029】
図5に示すように、このようなPCボックスカルバート200は、型枠において、PC鋼棒を挿入するための貫通孔201を形成するパイプが、頂版に対応する外枠体の位置に配置されるものである。そして、打設したコンクリートの硬化後に、パイプをコンクリートから抜き出し、パイプによって等間隔を空けて形成された貫通孔201にPC鋼棒を挿入する。PC鋼棒は、頂版1の外側面つまり側壁3の上方の位置に形成された凹部において、その一方端をナットで定着しておいて他方端にジャッキを連結し、ジャッキによりPC鋼棒を引っ張って所定のプレストレス量を導入するものである。プレストレスの導入後は、それぞれの凹部にモルタルを充填するものである。なお、プレストレスの導入は、上述のように頂版1に限定されるものではなく、頂版1と底版2と、あるいは頂版1と底版2と側壁3とに導入するものであってよい。
【0030】
このように、頂版1にプレストレスを導入することにより、ひび割れの発生を防止したり、あるいはひび割れ幅を適正にコントロールすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0031】
上記第一実施形態及び第二実施形態においては、口形断面の長尺コンクリートボックスカルバート製品を説明したが、内幅及び内高が大きくなるもの、例えば内幅が2mで内高が2mのものについては、複数のブロックからなるものであってもよい。すなわち、上述の第一実施形態におけるRCボックスカルバート100のように、使用時において口形断面に対応する長尺コンクリートボックスカルバートにあっては、図6に示すように、上下に二分割して得られる形状つまり門型形状の上ブロック310及び下ブロック320を結合してRCボックスカルバート300が形成し得るものであってもよい。この第三実施形態にあっても、RCボックスカルバート300に形成した場合の内幅Bの0.5倍〜35倍で、しかも2m〜10mの範囲に収まるように、その有効長Lを設定し、上述の示方配合のコンクリートを用いるものである。なお、同図において、第一実施形態と同じ構成については同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0032】
この第三実施形態においては、上ブロック310と下ブロック320とが門型形状をしているので、鉄筋籠についても門型形状に折曲した鉄筋に配力筋を所定間隔で溶接固定した、当該分野で公知の構造のものであってよい。ただし、鉄筋量は、上ブロック310としたブロック320とにおいて使用する鉄筋量の合計が、鉄筋比で0.1%〜4.0%となるように調整するものであり、また鉄筋のかぶりは20mm〜50mmとなるようにするものである。上ブロック310及び下ブロック320の連結構造については、当該分野でよく知られている構造を広く採用することができる。一例を説明すると、上ブロック310の左右の側壁3と下ブロック320の左右の側壁3とに、上下方向において貫通して長手方向に等間隔で結合用貫通孔311を形成しておく。上ブロック310の結合用貫通孔311と下ブロック320の結合用貫通孔とはそれぞれ、上ブロック310と下ブロック320とが重ね合わされた状態で、頂版1から下ブロック320の側壁3の所定位置まで連通する一本の貫通孔となる。そして、下ブロック320の左右の側壁3内面に結合用貫通孔に連通する結合用凹部321を設けておき、上ブロック310の結合用貫通孔311に挿入したPC鋼棒(上端は上ブロック310に定着)の下端を結合用凹部321内において定着して、上ブロック310と下ブロック320とを結合するものである。
【0033】
なお、本発明は以上に説明した各実施形態に限定されるものではない。
【0034】
上記各実施形態においては、接合端が嵌合構造になっているものを説明したが、接合端は、図7に第一実施形態の変形例として示すように、その全面にわたってフラット(平坦)なものであってよい。このようなRCボックスカルバート110の接合端116の形状にあっては、RCボックスカルバート110の大きさや施工現場などにより決定されるものであってよい。
【0035】
また、長尺コンクリートボックスカルバート製品としては、例えば、上記各実施形態において、長手方向に沿って内部を分割する隔壁を少なくとも一つ備えるものであってよい。例えば上記第一実施形態を基本とするRCボックスカルバート120において、図8に示すように、RCボックスカルバート120の内部の幅方向の中央に、一方の接合端6aから他方の結合端6bに達する隔壁150を設けて内部を二分割し、断面形状が口形のボックスカルバートがその幅(横)方向に連結されたと同等の構成とするものである。この場合、隔壁150においても、鉄筋のかぶりは20mm〜50mmとするものである。このように、本発明の長尺コンクリートボックスカルバートは、幅方向に口形断面のボックスカルバートが連続するいわゆる二連式コンクリートボックスカルバートとするものであってもよい。なお、内幅Bに応じて、隔壁150を増やすことにより、いわゆる三連式や四連式とするものであってもよい。また、なお、同図において、第一実施形態と同じ構成については同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0036】
また、このような隔壁150は、図9に示すように、上記第二実施形態及び第三実施形態に適用するものであってよい。第二実施形態のRCボックスカルバート300に適用した場合は、隔壁150に関しても上ブロック310の隔壁151と下ブロック320の隔壁152とに分割されるもので、上ブロック310と下ブロック320とを結合させた状態で、一枚の隔壁150となるものであることは言うまでもない。なお、同図において、第一実施形態及び第二実施形態と同じ構成については同一の符号を付しており、その説明は省略する。
【0037】
さらに、長尺コンクリートボックスカルバート製品としては、上記各実施形態のような口形断面を有するもの以外に、その断面形状が台形や円形のもの、一方の側壁が傾斜している梯形のもの、底版の内面が凹面になっているインバート形のもの、頂版あるいは側壁に角孔が形成されたものなど、各種のものが挙げられる。これらの断面形状の長尺コンクリートボックスカルバート製品においても、上述の隔壁を備える構成のものであってもよい。
【0038】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第一実施形態を示す斜視図。
【図2】同第一実施形態の正面図。
【図3】同第一実施形態の平面図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図(a)及び吊り下げ部材を示す部分拡大断面図(b)。
【図5】本発明の第二実施形態における図4の(a)相当図。
【図6】本発明の第三実施形態を示す斜視図。
【図7】本発明の第一実施形態の変形例を示す斜視図。
【図8】本発明の第一実施形態の変形例を示す正面図。
【図9】本発明の第二実施形態の変形例を示す正面図。
【符号の説明】
【0040】
100…RCボックスカルバート
B…内幅
L…有効長L
1…頂版
2…底版
3…側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内幅が0.3m以上で、内幅の0.5倍〜35倍となる製品長が2m〜10mである長尺コンクリートボックスカルバート製品であって、セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材料及び鋼材を原料とする中で、少なくとも単位セメント量が300kg/m3〜600kg/m3を使用して水結合材比を30%〜50%とし、かつ鉄筋のかぶりを20mm〜50mmにして鉄筋比が0.1%〜4.0%の鉄筋量を使用するとともに、長さ方向の端面をフラットまたは嵌合形状にした長尺コンクリートボックスカルバート製品。
【請求項2】
頂版、底版及び側壁の少なくとも一つに0.5N/mm2〜10N/mm2のプレストレス量を導入してなる請求項1記載の長尺コンクリートボックスカルバート製品。
【請求項3】
少なくとも二つのブロックからなり、ブロックを結合することによりボックスカルバートを形成する請求項1または2記載の長尺コンクリートボックスカルバート製品。
【請求項4】
長手方向に沿って内部を分割する隔壁を少なくとも一つ備えてなる請求項1、2または3記載の長尺コンクリートボックスカルバート製品。
【請求項5】
頂版の外面に離間している複数箇所に設けられる凹部内に吊り下げ部材を露出させてなる請求項1、2、3または4記載の長尺コンクリートボックスカルバート製品。
【請求項6】
複数箇所が、4カ所である請求項5記載の長尺コンクリートボックスカルバート製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−219859(P2006−219859A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32850(P2005−32850)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000116769)旭コンクリート工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】