説明

長尺部材のバリ除去装置

【課題】長尺部材の端面のバリを適切に除去することができるバリ除去装置と提供すること。
【解決手段】長尺部材Pのバリ除去装置1であって、平行に配置されて前記長尺部材Pを直交する姿勢で搬送する2本の搬送レール3と、前記搬送レール3に沿って前記長尺部材Pを押しながら搬送する搬送部材9と、前記搬送レール3の幅方向の両側に設置されるバリ除去手段11と、を備え、前記搬送レール3は、前記長尺部材Pを回転させるために搬送方向に沿って山部3aおよび谷部3bが交互に連続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、長尺部材のバリ除去装置に係り、特に、長尺部材を搬送しながらその両端部のバリを適切に除去することができるバリ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロール状に巻き上げられた連続的な金属板材料を成形して、その後、所定の長さに切断することで長尺部材を製造するような形式の成形装置が、様々な断面形状の部材を製造するのに用いられている。そして、所定の長さに切断された長尺部材の両端部には、切断の際にバリが発生する。長尺部材にバリが残っている場合には、その後の搬送行程において長尺部材の表面に傷を付けてしまったり、あるいは流通過程において問題を生じる場合もある。このため、切断後直ちにバリを除去することが望ましい。
【0003】
長尺部材のバリを除去する装置としては様々なものがあるが、長尺部材の端面から適切にバリを除去するために、長尺部材を回転させながらバリ除去作業を実施するものがある。それらは、例えば、特開昭53−145191号公報、特開平3−202262号公報、特開平3−202263号公報に開示されている。これらの公報に開示されているものは、相互に平行に配置された2本の回転軸の表面に、特殊な螺旋歯又は螺旋溝を形成し、2本の回転軸を同速度で回転させながら長尺部材を搬送と同時に回転させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭53−145191号公報(図1参照)
【特許文献2】特開平3−202262号公報(図4参照)
【特許文献3】特開平3−202263号公報(図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各先行技術文献に係る発明には以下のような不都合があった。すなわち、回転軸に複雑な形状の螺旋歯や螺旋溝を形成するのは、製造コストの点から大きな問題となる。また、螺旋歯及び螺旋溝の形状や寸法は、取り扱う長尺部材の断面形状に応じて決定されるものであり、断面の寸法や形状が僅かでも異なる場合に、異なる螺旋歯及び螺旋溝を備える回転軸に取り換えなければならない必要性も生じる。
【0006】
以上のことから、本発明は、複雑な螺旋歯や螺旋溝を備えた回転軸を用いることなく、長尺部材を確実に回転させながらバリを除去することができる長尺部材のバリ除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的に鑑み、長尺部材のバリ除去装置であって、平行に配置されて前記長尺部材を直交する姿勢で搬送する2本の搬送レールと、前記搬送レールに沿って前記長尺部材を押しながら搬送する搬送部材と、前記搬送レールの幅方向の両側に設置されるバリ除去手段と、を備え、前記搬送レールは、前記長尺部材を回転させるために搬送方向に沿って山部および谷部が交互に連続している、という構成を採っている。このような構成を採ることで、山部及び谷部を備えた搬送レールに沿って長尺部材が搬送されるに従って、搬送レールの上面の形状に沿って長尺部材が回転する。そして、長尺部材が回転しながらバリ除去手段によって端面のバリが除去されるため、長尺部材の端面全体のバリが確実に除去されることとなる。
【0008】
また、前記バリ除去手段は、搬送経路の中心線に関して対称に配置されている、という構成を採っている。こうすることで、長尺部材の両端面にはバリ除去手段から等しい抵抗力が加わる。このため、搬送部材による搬送時に左右均等の力が加わり、長尺部材が搬送レールに対して斜めになることが確実に防止される。
【0009】
また、前記搬送部材は、前記2本の搬送レールの間に設けられる2枚の搬送板である、という構成を採っている。こうすることで、長尺部材には長さ方向に離間した二か所で搬送力が加わるため、搬送レールに対して直交する姿勢のまま搬送することが可能となる。
【0010】
また、前記搬送レールの山部又は谷部のピッチは、搬送される長尺部材の幅の略1.5〜2.5倍の値である、という構成を採っている。こうすることで、長尺部材は山部および谷部において確実に回転することとなる。
【0011】
また、前記搬送部材は、前記搬送レールの上流端と下流端に配置されているスプロケットと、これらのスプロケット間に巻き付けられ且つ前記搬送部材が係合されるチェーンとによって駆動される、という構成を採っている。こうすることで、スプロケットの回転速度が正確に制御されれば、搬送速度を精密に制御することが可能となる。
【0012】
また、前記バリ除去手段は、その相互間距離を前記長尺部材の長さに応じて調整するための位置調整手段に係合されている、という構成を採っている。こうすることで、長尺部材の長さに応じてバリ除去手段が長尺部材に及ぼす抵抗力を調整することができ、長尺部材が斜めに搬送されるのを防止することが可能となる。
【0013】
前記バリ除去手段は、円柱状の回転ブラシである、という構成を採っている。
【0014】
前記バリ除去手段の回転軸は前記搬送レールの長手方向と平行であり、前記バリ除去手段の回転方向は搬送レール側においてその表面が下方に向かう方向である、という構成を採っている。こうすることで、バリ除去工程においても長尺部材は搬送レールに押しつけられる方向に力がかかり、搬送レールから浮き上がるのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るバリ除去装置を示す図であり、図1(A)は平面図を示し、図1(B)は正面図を示す。
【図2】図1に開示したバリ除去手段の搬送レールを示す図であり、図2(A)は平面図を示し、図2(B)は側面図を示す。
【図3】搬送レールにおける長尺部材の回転の様子を説明する概略側面図であり、図3(A)は図2に開示した搬送レールを示し、図3(B)はその変形例を示し、図3(C)は更なる変形例を示す。
【図4】搬送レールの更なる変形例を示す図である。
【図5】バリ除去手段を傾斜させて設置した実施形態を示す図である、図5(A)は平面図を示し、図5(B)は側面図を示す。
【図6】図1に開示されたバリ除去装置を具備する成形ラインの概要を示す図であり、図6(A)は平面図を示し、図6(B)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照しながら、本願発明の一実施形態について説明する。
【0017】
[全体概要]
図1は、本発明の一実施形態に係るバリ除去装置1を示す図である。本実施形態に係るバリ除去装置1は、平行に配置されて前記長尺部材Pを直交する姿勢で搬送する2本の搬送レール3と、前記搬送レール3に沿って前記長尺部材Pを押しながら搬送する搬送部材9と、前記搬送レール3の幅方向の両側に設置されるバリ除去手段11とを備えている。そして、前記搬送レール3は、前記長尺部材Pを回転させるために搬送方向に沿って山部3aおよび谷部3bが交互に連続している。
【0018】
[搬送レール]
2本の搬送レール3は、図1に示すように、2つのバリ除去手段(回転ブラシ)11の間に平行に配置されている。具体的には板状の部材であって、所定のフレーム7に取り付けられて支持されている。各搬送レール3はバリ除去手段11の表面に近接した位置に配置されており、バリ除去工程時にも長尺部材Pを確実に搬送できるようになっている。
【0019】
図2(B)に示すように、搬送レール3は側面からみると山部3aと谷部3bが交互に連続している形状を有している。これは、長尺部材Pを搬送しながら同時に回転させるための構造である。この点は図3(A)に示してある。図3(A)は、搬送レール3の上部端面の形状と長尺部材Pの姿勢変化との関係を示す図である。この図に示すように、搬送レール3の斜面3cから滑り落ちてきた長尺部材Pは、搬送部材9によって下流側に搬送されるようになっている。
【0020】
また、本実施形態の搬送レール3は、円弧を組み合わせた山部3aと谷部3bからなるが、本発明の搬送レール3はこれに限定されるものではない。例えば、円弧と三角形状を組み合わせたり(図3(B)参照)、三角形状の山部と谷部を組み合わせたようなもの(図3(C)参照)であってもよい。また、図4に示すような、円弧状に上がったあと、垂直に落ちるような端縁形状を有するような搬送レールも考えられる。さらに、搬送レール3は取り扱う長尺部材Pの寸法や形状に応じて、取り換えられるような構造にしておいてもよい。更には、2本の搬送レール3の相互間距離を調整可能にし、長さの異なる長尺部材Pの搬送にも適切に対応できるようにしてもよい。
【0021】
[搬送部材]
2本の搬送レール3の間には、2つの搬送部材9が設けられている。これら2つの搬送部材9は、水平方向に設けられたベース部材10の上面から鉛直上方に向かって延在している板状の部材である。具体的には直角に曲げられた一方の面がベース部材10に固定され、他方の面が鉛直上方に向いている。このため、搬送レール3に対して直交する姿勢の長尺部材Pに対して2つの搬送部材9が同時に接触し、図1(A)に示すように、直交姿勢を維持したまま搬送レール3の下流側(図1(A)では下方)に向かって長尺部材Pを搬送することができる。
【0022】
搬送部材9の駆動機構は、図2(B)に示すように、搬送レール3の上流端と下流端に設けられたスプロケット13と、これら2つのスプロケット13間に巻き付けられたチェーン15とによって構成されている。本実施形態の駆動機構は、それぞれの搬送レール3の近傍に2組のスプロケット13とチェーン15が設けられている。但し、スプロケット13とチェーン15は1組であってもよい。そして、上記ベース部材10がチェーン15に係合されており、チェーン15の移動に伴ってベース部材10が移動するようになっている。尚、搬送部材9の上端部は山部3aの最高点よりも高く設定されている。これは、搬送部材9が長尺部材Pを搬送する際に、長尺部材Pが搬送部材9の上端から外れてしまうのを防止するためである。
【0023】
[バリ除去手段]
次に、バリ除去手段11について説明する。バリ除去手段11は、各搬送レール3の近傍に設置される円柱状の回転ブラシである。このバリ除去手段11の回転軸11aは搬送レール3と略平行になっており、その外周面が搬送レール3の近傍に位置するように設置されている。そして、バリ除去手段11の回転軸11aにはプーリ11bが取り付けられており、ベルト11cを介して電動モータ11dの駆動力が伝達されるようになっている。バリ除去手段11の回転方向は、図1(B)に示されている。すなわち、搬送レール3の下流側から見て、左側のバリ除去手段11は時計回りに、右側のバリ除去手段11は反時計まわりに回転するようになっている。これは、バリ除去工程において長尺部材Pを下方に押しつける方向である。なぜなら、逆方向に回転させた場合、長尺部材Pが搬送レール3から浮き上がってしまい、バリ除去作業に支障を来すからである。但し、バリ除去手段を逆方向に回転させることが不可能な訳ではない。例えば、長尺部材Pが浮き上がらないようにするために、搬送レールの端縁形状に倣うような形状のカバーを搬送レールの上方に設けることで、長尺部材Pの浮き上がりを抑制することが可能となる。
【0024】
また、バリ除去手段11は、搬送経路の中心軸(2本の搬送レールから等距離にある中心軸)に関して対称となる位置に配置されている。具体的には、円柱状の回転ブラシの回転軸11aが、搬送経路に沿った方向に向いており、その位置も搬送経路から見て左右対称となっている。これは、長尺部材Pの両端面を同じタイミングで研磨するためである。仮に、バリ除去手段11が左右で異なる位置に設置されている場合、長尺部材Pの一方の端面にのみバリ除去手段11が先に接触し、この接触による抵抗に起因して搬送部材9による搬送力と相まって、長尺部材Pが搬送経路に対して斜めになってしまう可能性があるからである。本実施形態のように、左右対称とすることで、長尺部材Pの両端面に同時に等しい力が加わり、搬送部材9によって押されても長尺部材Pが斜めになることはない。
【0025】
また、バリ除去手段11には、位置調整手段12が係合されている(図1(A)参照)。この位置調整手段12は、2つのバリ除去手段11の相互間距離を調整するためのものである。長さの異なる長尺部材Pに対応するためである。具体的には、ハンドルを回転させることによってバリ除去手段11が搬送経路に対して近接/離間するようになっている。ここで、位置調整手段12は左右のバリ除去手段11にそれぞれ係合されているが、一方の位置調整手段12に対する操作が、他方の位置調整手段12にも伝達されるようにし、その移動方向が逆になるようにしてもよい。こうすることで、一方の位置調整手段12を操作するだけで、2つのバリ除去手段11の相互間距離を一度に且つ左右対称に調整することができるからである。
【0026】
ここで、バリ除去手段11から長尺部材Pに対して掛かっている負荷を計測するために、バリ除去手段11(具体的には、例えば回転ブラシの回転軸)に荷重計測手段(例えば、歪みゲージ)を取り付けることが望ましい。なぜなら、回転軸11aに加わる力を計測することで、長尺部材Pの両端に加わる負荷(荷重)が算出でき、この算出値に基づいて長尺部材Pの両端とバリ除去手段11との距離を調整し、長尺部材Pの両端へ加わる荷重を常に一定にすることができるからである。但し、荷重計測手段は本願発明に必須という訳ではない。
【0027】
また、本発明のバリ除去手段は、図2(B)に示すように各搬送レール3の近傍に水平に設置されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、図5(B)に示すように、側面から見て傾斜するように設置するようにしてもよい。
【0028】
[動作・作用]
次に、本実施形態に係るバリ除去装置1の動作・作用について説明する。まず、図3に示すように、長尺部材Pは搬送レール3の傾斜部3cを滑り落ちてくる。そして、搬送部材9によって搬送されながら、1番目の山部の表面に沿って徐々に回転してゆく。そして、山部から1番目の谷部に移動した時点でほぼひっくり返った状態(初期状態から90°回転した)となる。そして、このひっくり返った状態で2番目の山部に搬送される。2番目の谷部に到達した時点において長尺部材Pは最初の状態から略180°回転している。更に、3番目の山部を通って谷部に到達した時点では、最初の姿勢から約270°回転した姿勢となり、更に4番目の山部(図示略)を通過することで最初の姿勢とほぼ同様の状態まで回転することとなる。すなわち、4組の山部と谷部とを通過することで、長尺部材Pは略360°回転することとなる。本実施形態の搬送レール3では、図2(B)に示すように、9組の山部3a及び谷部3bが形成されているため、略2回転することとなる。
【0029】
但し、山部3aおよび谷部3bの組数は特に限定されるものではない。すなわち、長尺部材Pを1回転させるために4組の山部3a及び谷部3bを形成するようにしてもよいし、3回転以上させるために、12組以上の山部3a及び谷部3bを設けるようにしてもよい。また、山部3a及び谷部3bのピッチは、バリ除去をする長尺部材Pの幅の約1.5倍〜2.5倍程度に設定されており、より望ましくは約2倍程度である。このように設定することで、長尺部材Pを適切に回転させることが可能となる。
【0030】
[ラインレイアウト]
次に、上記した本願発明に係るバリ除去装置1を含んだ、長尺部材Pの成形ラインのレイアウトについて説明する。図6は、成形ラインの概略図を示している。この図において、成形ラインの右側が上流であり、左側が下流である。すなわち、右端から長尺部材Pの材料が供給され、左端において製品が排出されるようになっている。以下、上流側(図中の右側)から下流側(左側)に向かって順に各工程及び装置について説明する。
【0031】
先ず、右端部に設けられているのはアンコイラー100である。アンコイラー100は、板状の材料がコイル状に巻き上げられたものである。そして、成形ラインの動作中は回転して(本実施形態のアンコイラー100は反時計回りに回転する)、連続的に材料を供給できるようになっている。アンコイラー100は、下流での加工速度の変化には関わりなく、一定の速度で材料Pを供給するように回転が制御されている。
【0032】
アンコイラー100の下流にはレベラー200が配置されている。このレベラー200は、コイル状に巻き上げられていた材料を平坦になるように矯正するものである。すなわち、アンコイラー100に巻き上げられている状態では、材料には円弧状のクセが付いている。このままでは以後の成形作業に不都合であるので、クセを矯正するように円弧を逆向きに僅かに変形させるのである。これによって、材料Pは平板状となる。
【0033】
レベラー200の下流には、第1ルーピング部300が設けられている。この第1ルーピング部300は、アンコイラー100による材料供給速度と、下流側における成形工程における材料の移送速度との差を吸収するために、材料にたるみを持たせる部分である。すなわち、上記したようにアンコイラー100からは一定速度で材料が供給される。一方、下流側の工程では、成形、切断などの際に材料Pの移送速度が変化する場合がある。仮に、第1ルーピング部300を設けない場合、アンコイラー100からの供給速度と下流側での工程での速度差が生じるため、材料の搬送速度制御が非常に複雑になってしまう可能性がある。これを回避するために、第1ルーピング部300が設けられているのである。
【0034】
第1ルーピング部300の下流側には、コイル中継装置およびNCフィーダを経由して、プリパンチプレス400が配置されている。このプリパンチプレス400は、平板状の材料に必要なパンチング加工を施すものである。このパンチング加工とは、目的とする製品の仕様に応じて穴あけ加工などを施すものである。具体的には、材料Pを挟んで上下に金型(図示略)が設置されており、両金型によって材料をプレスすることで、パンチング加工を行っている。なお、プリパンチプレス400の下流側には第2ルーピング部500が設けられているが、機能は第1ルーピング部300と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0035】
第2ルーピング部500の下流側には、角穴検知装置600が設けられている。この角穴検知装置600は、材料に形成された角穴(図示略)の位置を検出することで、以後の工程のための同期信号を出力するものである。これにより、材料上の角穴の位置に基づいて、成形、切断などのタイミングが制御される。
【0036】
角穴検知装置600の下流側には、成形装置700が設けられている。この成形装置700は、平板状の材料を立体的断面形状に成形するためのものである。成形装置700は、成形ラインに沿って多数のローラスタンドが設けられており、これらのローラスタンドに具備されたローラが材料を挟むように設定されている。各ローラは、上流側から下流側に向かうに従ってその位置が徐々に変化し、このローラの位置変化に従って製品が成形されてゆくのである。
【0037】
成形装置700の下流側には、走行切断機800が設けられている。この走行切断機800は、切断刃(図示略)が材料の移送方向に沿って往復移動し、この移動中に材料を所定の長さに切断するためのものである。具体的には、切断工程の最初に切断刃がラインの最も上流側(右側)に移動する。次に、材料の移送速度に同期するように切断刃が下流側に向かって移動を開始する。そして、材料の移送速度と完全に同期した状態で切断刃が材料を切断する。この時、切断する位置は上記した角穴検知装置の同期信号に基づいて算出される。そして、切断が終了すると、切断刃が再びラインの上流側に移動し、一連の切断工程が繰り返される。
【0038】
走行切断機800の下流側には、本発明に係るバリ除去装置1が設けられている。バリ除去装置1は、成形されて切断された所定長さの材料(以下、「長尺部材」という)の両端を研磨するために、走行切断機800までのラインの方向に対して、直角方法に長尺部材Pが移送されるようなレイアウトとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、長尺部材の両端面のバリを確実に除去することができるバリ除去装置に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材のバリ除去装置であって、
平行に配置されて前記長尺部材を直交する姿勢で搬送する2本の搬送レールと、
前記搬送レールに沿って前記長尺部材を押しながら搬送する搬送部材と、
前記搬送レールの幅方向の両側に設置されるバリ除去手段と、を備え、
前記搬送レールは、前記長尺部材を回転させるために搬送方向に沿って山部および谷部が交互に連続していることを特徴とする、バリ除去装置。
【請求項2】
前記バリ除去手段は、搬送経路の中心線に関して対称に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のバリ除去装置。
【請求項3】
前記搬送部材は、前記2本の搬送レールの間に設けられる2枚の搬送板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバリ除去装置。
【請求項4】
前記搬送レールの山部又は谷部のピッチは、搬送される長尺部材の幅の略1.5〜2.5倍倍の値であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のバリ除去装置。
【請求項5】
前記搬送部材は、前記搬送レールの上流端と下流端に配置されているスプロケットと、これらのスプロケット間に巻き付けられ且つ前記搬送部材が係合されるチェーンとによって駆動されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のバリ除去装置。
【請求項6】
前記バリ除去手段は、その相互間距離を前記長尺部材の長さに応じて調整するための位置調整手段に係合されていることを特徴とする、請求項2〜5の何れか一項に記載のバリ除去装置。
【請求項7】
前記バリ除去手段は、円柱状の回転ブラシであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のバリ除去装置。
【請求項8】
前記バリ除去手段の回転軸は前記搬送レールの長手方向と平行であり、前記バリ除去手段の回転方向は搬送レール側においてその表面が下方に向かう方向であることを特徴とする、請求項7に記載のバリ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−200833(P2012−200833A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69203(P2011−69203)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(593060931)株式会社 英田エンジニアリング (16)
【Fターム(参考)】