説明

開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具

【課題】マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供すること。
【解決手段】分離可能な第1の部材と第2の部材とからなる開口封止部材を用いてマイクロ検査チップの開口部を封止することで、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具に関し、特に、遺伝子増幅反応、抗原抗体反応などによる生体物質の検査・分析、その他の化学物質の検査・分析、有機合成等による目的化合物の化学合成などに用いられるマイクロ検査チップの開口部を封止する開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化した分析用チップ(以下、マイクロ検査チップと言う)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。特に、遺伝子検査に見られるように煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化に優れたマイクロ検査チップは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とするので、その恩恵は多大と言える。
【0004】
上記のようなマイクロ検査チップでは、検査に用いられる血液等の検体や検査のための試薬等の液体を、マイクロ検査チップに設けられた開口部からマイクロ検査チップ内に注入する作業が必要となる。検体や試薬が注入されたマイクロ検査チップは、検査装置内でマイクロポンプ等の送液手段と接続され、送液手段の送液圧力によって検体と試薬とが混合されて反応することで、目的物質の検出や病気の判定等の検査が行われる。
【0005】
従って、検体や試薬が注入された開口部は、送液手段の送液圧力によって検体や試薬が外部に漏れ出さないように、しっかり封止されている必要がある。また、安全性、コンタミネーションの観点からも、マイクロ検査チップの使用者が誤って検体や試薬に触れたりしないように、開口部の封止は重要である。
【0006】
そこで、例えば特許文献2の図5および図6には、スナップ留めの要領で、柔軟なヒンジに取り付けた密封できる蓋を用いて、血液試料を開口部から導入した後にそれを密封する方法が示されている。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特表平9−504608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に示された方法では、ヒンジやスナップ等を形成する必要からチップ上での蓋の位置が限定され、試料を導入するための開口部の配置の自由度がない。また、ヒンジやスナップ等の形状が複雑なために蓋のサイズが大きくなり、マイクロ検査チップの小型化に反することになる。さらに、マイクロ検査チップの開口部が形成される部分は、一般的にはシート状の部材で構成されるので、ヒンジやスナップ等の複雑な形状を形成することが難しい。
【0008】
加えて、マイクロ検査チップは、POCT(Point Of Care Test;患者の身辺での検査)として使用されることが多いため、開口部の蓋も簡単にできることが求められる。また、コスト面でも安価であることが求められる。
【0009】
一般に、マイクロ検査チップは平板状に構成されることが多い。そこで、封止の簡便性、確実性およびコストの観点から、開口部の蓋としてシート状の封止部材が用いられることが多い。しかしながら、実際の検査現場では、安全のために手袋をした使用者がシート状の封止部材を扱うことは非常に難しい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0012】
1.開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を封止するための開口封止部材において、
前記開口封止部材は、第1の部材と第2の部材とからなり、
前記第1の部材と前記第2の部材とは分離可能であることを特徴とする開口封止部材。
【0013】
2.前記第1の部材は、前記開口部の封止蓋と、前記封止蓋を前記開口部に粘着させるための第1の粘着層とからなり、
前記第2の部材は、前記第1の部材を保持する保持部と、前記封止蓋を前記保持部に粘着させるための第2の粘着層とからなることを特徴とする1に記載の開口封止部材。
【0014】
3.前記第1の部材は、前記開口部の封止蓋と、前記封止蓋を前記開口部に粘着させるための第1の粘着層と、前記封止蓋を前記第2の部材に粘着させるための第2の粘着層とからなり、
前記第2の部材は、前記第1の部材を保持する保持部であることを特徴とする1に記載の開口封止部材。
【0015】
4.前記第2の粘着層は、前記第1の粘着層の粘着力よりも弱い粘着力を有することを特徴とする2または3に記載の開口封止部材。
【0016】
5.前記第2の粘着層は、前記第1の粘着層よりも小さい粘着面積を有することを特徴とする2または3に記載の開口封止部材。
【0017】
6.前記封止蓋は、前記開口部の面積よりも大きな面積を有することを特徴とする2乃至5の何れか1項に記載の開口封止部材。
【0018】
7.前記第1の粘着層は、前記開口部に接する部分が除去されていることを特徴とする2乃至6の何れか1項に記載の開口封止部材。
【0019】
8.開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材を用いて封止することを特徴とする開口封止方法。
【0020】
9.開口部を有し、
1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材によって前記開口部を封止するマイクロ検査チップにおいて、
前記開口封止部材を貼付する位置に、位置決め用目印を有することを特徴とするマイクロ検査チップ。
【0021】
10.開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を封止するための開口封止治具において、
マイクロ検査チップを保持するチップ保持部と、
1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材を前記開口部に導くガイド部とを備えたことを特徴とする開口封止治具。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、分離可能な第1の部材と第2の部材とからなる開口封止部材を用いてマイクロ検査チップの開口部を封止することで、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0024】
まず、本発明における検査装置について、図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明における検査装置の1例を示す斜視図である。
【0025】
図1において、検査装置1は、トレイ3、搬送口5、操作部7、表示部9等を備えている。検体や試薬等が注入され、後述する開口封止部材を用いて封止されたマイクロ検査チップ100は、トレイ3上にセットされ、図示しないローディング機構により、搬送口5から検査装置1内に搬送され、検査が行われる。検査内容や検査対象のデータ等は、操作部7を用いて検査装置1に入力され、検査結果は表示部9に表示される。
【0026】
図2は、図1に示した検査装置1の内部構成の1例を示すブロック図である。
【0027】
図2において、検査装置1は、マイクロポンプユニット210、加熱冷却ユニット230、検出部250および駆動制御部270等で構成される。マイクロ検査チップ100は、図示しないローディング機構により搬送口5から検査装置1内に搬送され、マイクロポンプユニット210と接続される。マイクロポンプによる送液により、マイクロ検査チップ100内の検体と試薬とが混合されて反応することで、目的物質の検出や病気の判定等の検査が行われる。
【0028】
マイクロ検査チップ100は、一般に分析チップ、マイクロリアクタチップなどとも称されるものと同等であり、例えば、樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどを材料とし、その上に、微細加工技術により、幅および高さが数μm〜数百μmのレベルの微細な流路を形成したものである。マイクロ検査チップ100のサイズおよび形状は、通常、縦横が数十mm、厚さが数mm程度の板状である。
【0029】
ここでは、マイクロ検査チップ100は、例えばポリプロピレン等の撥水性の樹脂材料で形成されており、試薬や検体等の液体を流すための溝状の流路が表面に形成された流路基板101と、流路基板101の流路が形成された面に接着され、流路基板101の溝状の流路の蓋として機能する天板103とで構成されているとする。また、天板103には、マイクロポンプユニット210とマイクロ検査チップ100との接続口や、検体や試薬等を注入するための開口部等が設けられる。
【0030】
マイクロポンプユニット210は、マイクロ検査チップ100内の送液を行うためのポンプユニットで、マイクロポンプ211、チップ接続部213、駆動液タンク215および駆動液供給部217等で構成される。マイクロポンプユニット210は、1つあるいは複数のマイクロポンプ211を備えている。マイクロポンプ211は、マイクロ検査チップ100内に駆動液216を注入あるいは吸引することで、マイクロ検査チップ100内の送液を行う。チップ接続部213は、マイクロポンプ211とマイクロ検査チップ100とを接続する。
【0031】
駆動液供給部217は、駆動液タンク215からマイクロポンプ211に駆動液216を供給する。駆動液タンク215は、駆動液216の補充のために駆動液供給部217から取り外して交換可能である。マイクロポンプ211上には1個または複数個のポンプが形成されており、複数個の場合は、各々独立にあるいは連動して駆動可能である。
【0032】
マイクロ検査チップ100とマイクロポンプ211とはチップ接続部213で接続されて連通され、マイクロポンプ211が駆動されてマイクロポンプ211からチップ接続部213を介してマイクロ検査チップ100に注入あるいは吸引される駆動液216によって、マイクロ検査チップ100内の複数の収容部に収容されている検体や試薬等が、マイクロ検査チップ100内で送液される。
【0033】
加熱冷却ユニット230は、冷却部231および加熱部233等で構成され、マイクロ検査チップ100内の反応の促進および抑制のために、検体、試薬およびその混合液等の加熱および冷却を行う。冷却部231はペルチエ素子等で構成される。加熱部233は、ヒータ等で構成される。もちろん、加熱部233もペルチエ素子で構成してもよい。
【0034】
検出部250は、発光ダイオード(LED)やレーザ等の光源251と、フォトダイオード(PD)等の受光素子253等で構成され、マイクロ検査チップ100内の反応によって得られる生成液に含まれる標的物質を、マイクロ検査チップ100上の検出領域255の位置で光学的に検出する。
【0035】
駆動制御部270は、図示しないマイクロコンピュータやメモリ等で構成され、検査装置1内の各部の駆動、制御、検出等を行う。
【0036】
次に、本発明における開口封止部材の第1の実施の形態について、図3および図4を用いて説明する。図3は、本発明における開口封止部材300の第1の実施の形態を示す斜視図で、図3(a)は封止前、図3(b)は封止後を示す。
【0037】
図3(a)において、開口封止部材300は、第1の部材301と第2の部材311とから構成されている。マイクロ検査チップ100に設けられた検体や試薬等を注入するための開口部110を封止する場合、作業者は、第2の部材311を手で持って、第1の部材301を開口部110の上に押し当てる。
【0038】
図3(b)において、第1の部材301を開口部110の上に押し当てた後、作業者は、第2の部材311を手で持ち上げる。この時、第1の部材301と第2の部材311とは分離され、第1の部材301はマイクロ検査チップ100の開口部110上に残り、開口部110は第1の部材301によって封止される。
【0039】
図4は、マイクロ検査チップ100と開口封止部材300との図3(a)に1点差線で示した面Aでの縦断面図で、図4(a)が封止前の開口封止部材300の縦断面、図4(b)が封止後のマイクロ検査チップ100と開口封止部材300との縦断面を示す。
【0040】
図4(a)において、開口封止部材300は、第1の部材301と第2の部材311とから構成され、第1の部材301は封止蓋303と第1の粘着層305とから構成され、第2の部材311は保持部313と第2の粘着層315とから構成されている。第2の粘着層315は、第1の粘着層305よりも弱い粘着力を持つ粘着剤を用いる等により、第1の粘着層305の粘着力よりも弱く設定されている。
【0041】
また、例えば表裏の粘着力が異なる粘着剤を用いたり、封止蓋303の上面303aにシボあるいはエンボス加工等の粘着力を小さくする加工を施す等によって、封止蓋303と第2の粘着層315との粘着力が、保持部313と第2の粘着層315との粘着力よりも弱く設定されている。これによって、封止蓋303と第2の粘着層315とが分離しやすくなる。
【0042】
図4(b)において、マイクロ検査チップ100は、試薬や検体等の液体を流すための溝状の流路が表面に形成された流路基板101と、流路基板101の流路が形成された面に接着され、流路基板101の溝状の流路の蓋として機能する天板103とで構成されている。ここでは、流路基板101上には、検体や試薬等の液体151を貯留する貯留部121、撥水バルブ等の微細流路123および流路125等が設けられ、天板103には、検体や試薬等を注入するための開口部110が設けられているものとする。また、貯留部121は検体や試薬等の液体151で満たされており、微細流路123および流路125は空気153で満たされているものとする。
【0043】
マイクロ検査チップ100に設けられた開口部110を封止するために、作業者は、開口封止部材300の保持部313を手で持って、第1の部材301を開口部110の上に押し当てた後、保持部313を持ち上げる。上述したように、第2の粘着層315の粘着力が第1の粘着層305の粘着力よりも弱く設定されており、また、封止蓋303と第2の粘着層315との粘着力が保持部313と第2の粘着層315との粘着力よりも弱く設定されている。そのために、封止蓋303が第1の粘着層305によってマイクロ検査チップ100の開口部110上に貼り付けられ、封止蓋303と第2の粘着層315との間が分離される。従って、封止蓋303によってマイクロ検査チップ100の開口部110が封止される。
【0044】
開口封止部材300の第1の部材301の厚みは、検査装置1内への搬送の際に搬送口5、加熱冷却ユニット230あるいは検出部250等と干渉しないように、数mm以下が好ましい。また、第2の部材311の保持部313の長さは、手で扱いやすいように、数十mm程度が好ましい。第2の部材311即ち保持部313と第2の粘着層315とは使い捨てされてもよいし、再度、図4(a)のように新しい第1の部材301と一体化されて再使用されてもよい。
【0045】
上述したように、本第1の実施の形態によれば、開口封止部材300は、封止蓋303と第1の粘着層305とからなる第1の部材301と、保持部313と第2の粘着層315とからなる第2の部材311とで構成され、封止蓋303と第2の粘着層315との間の粘着力が弱く設定されている。
【0046】
この開口封止部材300を、マイクロ検査チップ100の開口部110に押し当てて離すことで、粘着力の弱い封止蓋303と第2の粘着層315との間が分離され、分離された封止蓋303と第1の粘着層305とで開口部110を封止することによって、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することができる。
【0047】
次に、本発明における開口封止部材の第2の実施の形態について、図5を用いて説明する。図5は、開口封止部材の第2の実施の形態を示す、封止後のマイクロ検査チップ100と開口封止部材300との図3(a)の面Aでの縦断面図である。
【0048】
図5において、本第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、例えば表裏の粘着力が異なる粘着剤を用いたり、保持部313の下面313aにシボあるいはエンボス加工等の粘着力を小さくする加工を施すことで、保持部313と第2の粘着層315との粘着力が、封止蓋303と第2の粘着層315との粘着力よりも弱く設定されている点である。従って、開口部110の封止時には、開口封止部材300は保持部313と第2の粘着層315との間で分離される。
【0049】
つまり、開口封止部材300の第1の部材301は封止蓋303と第1の粘着層305と第2の粘着層315とから構成され、第2の部材311は保持部313で構成される。その他は同じである。第2の部材311即ち保持部313は使い捨てされてもよいし、再度、新しい第1の部材301と一体化されて再使用されてもよい。
【0050】
上述したように、本第2の実施の形態によれば、開口封止部材300は、封止蓋303と第1の粘着層305と第2の粘着層315とからなる第1の部材301と、保持部313からなる第2の部材311とで構成され、保持部313と第2の粘着層315との間の粘着力が弱く設定されている。
【0051】
この開口封止部材300を、マイクロ検査チップ100の開口部110に押し当てて離すことで、粘着力の弱い保持部313と第2の粘着層315との間が分離され、分離された封止蓋303と第1の粘着層305と第2の粘着層315とで開口部110を封止することによって、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することができる。
【0052】
次に、本発明における開口封止部材の第3および第4の実施の形態について、図6を用いて説明する。図6は、開口封止部材の第3および第4の実施の形態を示す、マイクロ検査チップ100と開口封止部材300との図3(a)の面Aでの縦断面図で、図6(a)が開口封止部材300の第3の実施の形態を、図6(b)が開口封止部材300の第4の実施の形態を示す。
【0053】
図6(a)において、本第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、第1の部材301の第1の粘着層305aの開口部110即ち検体や試薬等の液体151と接する部分が、糊殺し即ち切り欠かれている点で、その他は同じである。
【0054】
このようにすることで、検体や試薬等と第1の粘着層305aとが接触すると反応を起こす等、検体や試薬等が第1の粘着層305aと接すると具合が悪い場合に、影響を少なくすることができる。
【0055】
図6(b)において、本第4の実施の形態では、第1の粘着層305aの開口部110と接する部分は、第3の実施の形態と同様に糊殺しされている。加えて、第2の部材311の第2の粘着層315aは、封止蓋303および保持部313と接する面積が、第1の粘着層305aがマイクロ検査チップ100および封止蓋303と接する面積よりも小さくなるように、糊殺しされている。
【0056】
このようにすることで、第1の粘着層305aと第2の粘着層315aとで異なる粘着剤を用いる必要が無く、同じ粘着剤を用いて、粘着剤の面積により粘着力に差を持たせることができる。
【0057】
上述したように、本第3の実施の形態によれば、第1の粘着層305aの開口部110と接する部分を糊殺しすることで、検体や試薬等が第1の粘着層305aと接すると具合が悪い場合に、影響を少なくすることができる。さらに、本第4の実施の形態によれば、第2の粘着層315aが封止蓋303および保持部313と接する面積が、第1の粘着層305aがマイクロ検査チップ100および封止蓋303と接する面積よりも小さくなるように糊殺しすることで、第1の粘着層305aと第2の粘着層315aとに同じ粘着剤を用いても、粘着剤の面積により粘着力に差を持たせることができる。
【0058】
次に、マイクロ検査チップ100の実施の形態について、図7を用いて説明する。図7は、マイクロ検査チップ100の実施の形態を示す斜視図である。
【0059】
図7において、本実施の形態では、図3(a)に加えて、マイクロ検査チップ100の開口部110の周囲に、封止の際の位置決めの目安となる位置決め用目印130が、印刷や成形等によって設けられている。作業者は、位置決め用目印130を目安にして開口封止部材300をマイクロ検査チップ100に押し当てることで、より簡単かつ確実に開口部110を封止することができる。
【0060】
上述したように、本マイクロ検査チップ100の実施の形態によれば、マイクロ検査チップ100の開口部110の周囲に位置決め用目印130を設けることで、より簡単かつ確実に開口部110を封止することができる。
【0061】
次に、マイクロ検査チップ100の開口部110を封止する際に用いられる開口封止治具の実施の形態について、図8を用いて説明する。図8は、開口封止治具400の実施の形態を示す図3(a)の面Aでの縦断面図である。
【0062】
図8において、マイクロ検査チップ100及び開口封止部材300は、図4に示したものと同じである。マイクロ検査チップ100は、検体や試薬等の液体151が充填された後、開口封止治具400のチップ保持部401内にセットされる。チップ保持部401にはガイド部403が開口され、開口封止部材300をマイクロ検査チップ100の開口部110上に導く。
【0063】
作業者は、ガイド部403内に開口封止部材300を挿入してマイクロ検査チップ100に押し当てることで、より簡単かつ確実に開口部110を封止することができる。
【0064】
上述したように、本開口封止治具400の実施の形態によれば、開口封止治具400のガイド部403内に開口封止部材300を挿入してマイクロ検査チップ100に押し当てることで、より簡単かつ確実に開口部110を封止することができる。
【0065】
以上に述べたように、本発明に依れば、分離可能な第1の部材と第2の部材とからなる開口封止部材を用いてマイクロ検査チップの開口部を封止することで、マイクロ検査チップの開口部を簡便、確実に封止でき、かつ低コストな開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を提供することができる。
【0066】
尚、本発明に係る開口封止部材、開口封止方法、マイクロ検査チップおよび開口封止治具を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明における検査装置の1例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した検査装置の内部構成の1例を示すブロック図である。
【図3】本発明における開口封止部材の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】開口封止部材の第1の実施の形態を示す縦断面図である。
【図5】開口封止部材の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図6】開口封止部材の第3および第4の実施の形態を示す縦断面図である。
【図7】マイクロ検査チップの実施の形態を示す斜視図である。
【図8】開口封止治具の実施の形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 検査装置
100 マイクロ検査チップ
101 流路基板
103 天板
110 開口部
121 貯留部
123 微細流路
125 流路
130 位置決め用目印
151 液体
153 空気
300 開口封止部材
301 第1の部材
303 封止蓋
303a 封止蓋上面
305 第1の粘着層
305a 第1の粘着層
311 第2の部材
313 保持部
313a 保持部下面
315 第2の粘着層
315a 第2の粘着層
400 開口封止治具
401 チップ保持部
403 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を封止するための開口封止部材において、
前記開口封止部材は、第1の部材と第2の部材とからなり、
前記第1の部材と前記第2の部材とは分離可能であることを特徴とする開口封止部材。
【請求項2】
前記第1の部材は、前記開口部の封止蓋と、前記封止蓋を前記開口部に粘着させるための第1の粘着層とからなり、
前記第2の部材は、前記第1の部材を保持する保持部と、前記封止蓋を前記保持部に粘着させるための第2の粘着層とからなることを特徴とする請求項1に記載の開口封止部材。
【請求項3】
前記第1の部材は、前記開口部の封止蓋と、前記封止蓋を前記開口部に粘着させるための第1の粘着層と、前記封止蓋を前記第2の部材に粘着させるための第2の粘着層とからなり、
前記第2の部材は、前記第1の部材を保持する保持部であることを特徴とする請求項1に記載の開口封止部材。
【請求項4】
前記第2の粘着層は、前記第1の粘着層の粘着力よりも弱い粘着力を有することを特徴とする請求項2または3に記載の開口封止部材。
【請求項5】
前記第2の粘着層は、前記第1の粘着層よりも小さい粘着面積を有することを特徴とする請求項2または3に記載の開口封止部材。
【請求項6】
前記封止蓋は、前記開口部の面積よりも大きな面積を有することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の開口封止部材。
【請求項7】
前記第1の粘着層は、前記開口部に接する部分が除去されていることを特徴とする請求項2乃至6の何れか1項に記載の開口封止部材。
【請求項8】
開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を請求項1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材を用いて封止することを特徴とする開口封止方法。
【請求項9】
開口部を有し、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材によって前記開口部を封止するマイクロ検査チップにおいて、
前記開口封止部材を貼付する位置に、位置決め用目印を有することを特徴とするマイクロ検査チップ。
【請求項10】
開口部を有するマイクロ検査チップの前記開口部を封止するための開口封止治具において、
マイクロ検査チップを保持するチップ保持部と、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の開口封止部材を前記開口部に導くガイド部とを備えたことを特徴とする開口封止治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−156741(P2009−156741A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336156(P2007−336156)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】