説明

開口部用軸組

【課題】窓等の開口部の配置やサイズを簡単に変更することができ、しかも資材の有効利用を図ることができる開口部用軸組を提供する。
【解決手段】この開口部用軸組1は、一対の側枠材10、10と、上枠材11と、下枠材12とからなる外周枠2内に、上下の開口形成用フレーム3、4を取り付けて構成されている。上側の開口形成用フレーム3は、側枠材10、10間に着脱可能に差し渡した上側横フレーム材20と、上枠材11と上側横フレーム材20との間に着脱可能に差し渡した上側縦フレーム材21とを備え、下側の開口形成用フレーム4は、側枠材10、10間に着脱可能に差し渡した下側横フレーム材30と、下枠材12と下側横フレーム材30との間に着脱可能に差し渡した下側縦フレーム材31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄骨軸組構造の住宅における窓等の開口部を取り付けるための開口部用軸組に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世代を越えて循環利用できる社会的資産としての住宅の実現、普及に向けての開発が活発になされている。この種の住宅においては、構造躯体についての耐久性、耐震性の向上は勿論のこと、何度も行われる生活者の交代に対して、生活者のニーズに柔軟に対応できるように各種設備の可変性の確保が必要不可欠であり、住宅の外壁部分に設ける窓等の開口部においても、その配置やサイズを変更可能とするシステムづくりが求められる。
【0003】
従来の鉄骨軸組構造の住宅においては、外壁部分の窓の配置やサイズを変更する場合、開口部用軸組に取り付けてある外壁パネル及び窓を取り外し、さらに開口部用軸組を取り外して、これらの代わりに、窓取付用開口の位置や大きさの異なる新設の開口部用軸組を取り付けて、この新設の開口部用軸組に新設の外壁パネル及び新設の窓を取り付けるようにしている。
【0004】
また、特許文献1にも開示されているように、外壁パネル及び窓を取り外すことによって露出した開口部用軸組において、その外周枠内に取り付けてある開口形成用フレームの取付位置を変えることで窓取付用開口の位置や大きさを変更して、その開口部用軸組に新設の外壁パネル及び新設の窓を取り付けるといったこともなされている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−3678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、開口部用軸組は、梁、基礎、隣接軸組等に接合ボルトで接合されている。従って、上記のように開口部用軸組を取り外す場合には、これら接合ボルトを取り除く必要があり、大掛かりな作業が必要となって施工性の悪化を招いていた。また、取り外した開口部用軸組は、廃棄処分することになるから、環境負荷を増大させる要因にもなっていた。
【0007】
一方、開口部用軸組を取り外すことなく、その外周枠内における開口形成用フレームの取付位置を変えることで窓取付用開口の位置や大きさを変更する場合には、上記のような接合ボルトの取り除き作業を不要とすることができ、しかも資材の有効利用を図ることができる。しかしながら、現状の開口部用軸組においては、その外周枠に開口形成用フレームが溶接によって取り付けられており、開口形成用フレームの取付位置を変えるためには、現場での面倒な溶接作業が必要となり、また火花等が火災の原因となるため安全性においても問題があった。
【0008】
この発明は、上記不具合を解消して、窓等の開口部の配置やサイズを簡単に変更することができ、しかも資材の有効利用を図ることができる開口部用軸組の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の開口部用軸組1は、一対の側枠材10、10と、これら側枠材10、10の上端部間を連結する上枠材11と、側枠材10、10の下端部間を連結する下枠材12とからなる外周枠2を備え、この外周枠2内の上側及び下側に開口形成用フレーム3、4をそれぞれ取り付けたものであって、前記上側の開口形成用フレーム3は、前記側枠材10、10間に着脱可能に差し渡した上側横フレーム材20と、前記上枠材11と上側横フレーム材20との間に着脱可能に差し渡した上側縦フレーム材21とを備え、前記下側の開口形成用フレーム4は、前記側枠材10、10間に着脱可能に差し渡した下側横フレーム材30と、前記下枠材12と下側横フレーム材30との間に着脱可能に差し渡した下側縦フレーム材31とを備えたことを特徴とする。
【0010】
具体的に、前記一対の側枠材10、10、上枠材11及び下枠材12は、溝部開口を外周枠2内に向けて配置したリップ付き溝形鋼からなり、前記上側の開口形成用フレーム3において、前記上側横フレーム材20の両端部に、前記側枠材10、10のリップ10a、10a・・を挟み込む第1連結部材41、41をそれぞれ設け、前記上側縦フレーム材21の上端部に、前記上枠材11のリップ11a、11aを挟み込む第2連結部材42を設けるとともに、前記上側縦フレーム材21の下端部に、前記上側横フレーム材20に連結する第3連結部材43を設け、前記下側の開口形成用フレーム4において、前記下側横フレーム材30の両側端部に、前記側枠材10、10のリップ10a、10a・・を挟み込む第4連結部材44、44をそれぞれ設け、前記下側縦フレーム材31の下端部に、前記下枠材12のリップ12a、12aを挟み込む第5連結部材45を設けるとともに、前記下側縦フレーム材31の上端部に、前記下側横フレーム材30に連結する第6連結部材46を設けている。
【0011】
また、前記第1連結部材41は、前記上側横フレーム材20の側端部に固定されて前記側枠材10のリップ10a、10a表面に当接する接合プレート50と、前記側枠材10の溝部内に配されて前記側枠材10のリップ10a、10a裏面に当接する係止プレート51、51とを備え、これら接合プレート50と係止プレート51、51をボルト54、54及びナット55、55により連結することで、前記側枠材10のリップ10a、10aをその縦方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第2連結部材42は、前記上側縦フレーム材21の上端部に固定されて前記上枠材11のリップ11a、11a表面に当接する接合プレート56と、前記上枠材11の溝部内に配されて前記上枠材11のリップ11a、11a裏面に当接する係止プレート51、51とを備え、これら接合プレート56と係止プレート51、51をボルト54、54及びナット55、55により連結することで、前記上枠材11のリップ11a、11aをその横方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第3連結部材43は、前記上側縦フレーム材21の下端部に固定された接合プレート60を備え、この接合プレート60をボルト61、61及びナット62、62により前記上側横フレーム材20に取り付けることで、前記上側横フレーム材20の所定位置に連結するものであり、前記第4連結部材44は、前記下側横フレーム材30の側端部に固定されて前記側枠材10のリップ10a、10a表面に当接する接合プレート50と、前記側枠材10の溝部内に配されて前記側枠材10のリップ10a、10a裏面に当接する係止プレート51、51とを備え、これら接合プレート50と係止プレート51、51をボルト54、54及びナット55、55により連結することで、前記側枠材10のリップ10a、10aをその縦方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第5連結部材45は、前記下側縦フレーム材31の下端部に固定されて前記下枠材12のリップ12a、12a表面に当接する接合プレート56と、前記下枠材12の溝部内に配されて前記下枠材12のリップ12a、12a裏面に当接する係止プレート51、51とを備え、これら接合プレート56と係止プレート51、51をボルト54、54及びナット55、55により連結することで、前記下枠材12のリップ12a、12aをその横方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第6連結部材46は、前記下側縦フレーム材31の上端部に固定された接合プレート60を備え、この接合プレート60をボルト61、61及びナット62、62により前記下側横フレーム材30に取り付けることで、前記下側横フレーム材30の所定位置に連結するものである。
【0012】
さらに、前記上側の開口形成用フレーム3の上側縦フレーム材21及び前記下側の開口形成用フレーム4の下側縦フレーム材31を、開口部用軸組1に横並びに取り付ける外壁材71、71・・の縦目地部分72、72の裏支え材としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の開口部用軸組では、外周枠に対して上側及び下側の開口形成用フレームを溶接レスで着脱して、窓取付用開口の位置や大きさを容易に変更することができるので、従来のように開口部用軸組を取り外す場合や、外周枠に対して溶接によって取り付けられている開口形成用フレームの取付位置を変える場合と比べて、窓の配置やサイズを簡単に変更することができる。
【0014】
しかも、上側及び下側の開口形成用フレームにおいて、横フレーム材に対して縦フレーム材を溶接レスで簡単に着脱することができることから、新たに高さの異なる縦フレーム材を用意するだけで、外周枠及び横フレーム材についてはそのまま使い回しながら、窓取付用開口の位置や大きさを変更することができ、資材の有効利用を図ることができる。
【0015】
また、上側及び下側の開口形成用フレームは、第1、第2、第4、第5連結部材によって外周枠の各枠材における内向きのリップを挟み込むようにして連結されているので、これら連結に際して外周枠の外周部分にボルト等が突出することがなく、開口部用軸組を梁、基礎、隣接軸組等に接合する際に支障をきたすこともない。
【0016】
さらに、上側及び下側の開口形成用フレームの横フレーム材の両端部に設けた第1、第4連結部材は、側枠材のリップをその縦方向の任意位置で挟み込み可能となっていることから、窓取付用開口の位置や大きさの変更に際して、外周枠の側枠材にボルト挿通用孔を新たに形成する等の特別な加工を必要とせずに、横フレーム材の取付位置(高さレベル)を任意に設定することができ、施工性をより一層高めることができる。
【0017】
さらにまた、上側及び下側の開口形成用フレームにおいて、縦フレーム材は第3、第6連結部材によって横フレーム材の所定位置に連結されるので、窓取付用開口の位置や大きさの変更に際して、新たに用意した高さの異なる縦フレーム材を第3、第6連結部材によって横フレーム材に取り付けるだけで、これら縦フレーム材の位置出しを新たに行うことなく、例えば縦フレーム材を隣接する外壁材の縦目地部分の裏支え材として用いる場合において、縦フレーム材を縦目地部分に対応するように精度良く配置することができ、施工性をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る開口部用軸組1は、長期にわたって世代を越えて循環利用できる鉄骨軸組構造の住宅において用いられるもので、図1及び図2に示すように、方形枠状の外周枠2を備え、この外周枠2内の上側及び下側に開口形成用フレーム3、4をそれぞれ溶接レスで取り付けることによって構成されている。
【0019】
外周枠2は、リップ付き溝形鋼からなる左右一対の側枠材10、10と、これら側枠材10、10の上端部間を連結するリップ付き溝形鋼からなる上枠材11と、側枠材10、10の下端部間を連結するリップ付き溝形鋼からなる下枠材12とから構成されており、これら側枠材10、10、上枠材11及び下枠材12は、それぞれの溝部開口が外周枠2内に向くようにして配置されている。
【0020】
上側の開口形成用フレーム3は、側枠材10、10間に着脱可能に差し渡された上側横フレーム材20と、上枠材11の中央部と上側横フレーム材20の中央部との間に着脱可能に差し渡された上側縦フレーム材21とを備えている。上側横フレーム材20は、溝部開口を上方に向けて配置した溝形鋼からなり、そのウエブ下面には一対の窓台22、22が取り付けられている。上側縦フレーム材21は、互いのウエブ部分を対向させるようにして配置した一対のリップ付き溝形鋼からなる。
【0021】
下側の開口形成用フレーム4は、側枠材10、10間に着脱可能に差し渡された下側横フレーム材30と、下枠材12の中央部と下側横フレーム材30の中央部との間に着脱可能に差し渡された下側縦フレーム材31とを備えている。下側横フレーム材30は、溝部開口を下方に向けて配置した溝形鋼からなり、そのウエブ上面には一対の窓台32、32が取り付けられている。下側縦フレーム材31は、互いのウエブ部分を対向させるようにして配置した一対のリップ付き溝形鋼からなる。
【0022】
そして、上下の開口形成用フレーム3、4の横フレーム材20、30と、外周枠2の側枠材10、10とによって囲まれた部分が、窓取付用開口Sとなっていて、図3に示すように、この窓取付用開口Sに窓70が取り付けられる。また、上下の開口形成用フレーム3、4の縦フレーム材21、31は、横フレーム材20、30の取付強度を高めるとともに、図3に示すように、開口部用軸組1の窓取付用開口S以外の部分に横並びに取り付けられる外壁材71、71・・の縦目地部分72、72の裏支え材としても機能するようになっている。
【0023】
上側の開口形成用フレーム3においては、上側横フレーム材20の両端部に、側枠材10、10のリップ10a、10a・・を挟み込む第1連結部材41、41がそれぞれ設けられ、上側縦フレーム材21の上端部に、上枠材11のリップ11a、11aを挟み込む第2連結部材42が設けられるとともに、上側縦フレーム材21の下端部に、上側横フレーム材20に連結する第3連結部材43が設けられている。
【0024】
下側の開口形成用フレーム4においては、下側横フレーム材30の両側端部に、側枠材10、10のリップ10a、10a・・を挟み込む第4連結部材44、44がそれぞれ設けられ、下側縦フレーム材31の下端部に、下枠材12のリップ12a、12aを挟み込む第5連結部材45が設けられるとともに、下側縦フレーム材31の上端部に、下側横フレーム材30に連結する第6連結部材46が設けられている。
【0025】
第1連結部材41は、図4に示すように、上側横フレーム材20の側端部に固定されて側枠材10のリップ10a、10a表面に当接する接合プレート50と、側枠材10の溝部内に配されて側枠材10のリップ10a、10a裏面に当接する係止プレート51、51とを備えている。接合プレート50は、上側横フレーム材20のウエブにボルト52及びナット53によって取り付けられた水平部50aと、この水平部50aの一端部から上側横フレーム材20側方において立ち上がった垂直部50bとから全体的に略L形に形成されている。係止プレート51は、図5に示すように、相対する一対のコーナー部分が斜めに切り欠かれた略長方形状に形成され、その長辺側の長さが側枠材10におけるリップ10a、10a間の隙間の幅寸法よりも長く、短辺側の長さがリップ10a、10a間の隙間の幅寸法よりも短くなって、その略中央においてボルト54が貫通固定されている。従って、この係止プレート51は、その長辺側を側枠材10におけるリップ10a、10a間の隙間に沿わせることで、側枠材10の溝部内へリップ10a、10a間の隙間を通して挿入可能とされ、且つ、この挿入状態からボルト54を中心として約90度回転させることで、側枠材10のフランジ内面間に跨って回転が規制されるとともに、リップ10a、10a裏面に当接してリップ10a、10a間の隙間からの抜けが規制されるようになっている。そして、このような係止プレート51、51を抜けが規制された状態で側枠材10の溝部内に配置して、側枠材10のリップ10a、10a間の隙間から突出したボルト54、54を接合プレート50に挿通させて、この状態でボルト54、54にナット55、55を螺合して締め付けることで、接合プレート50と係止プレート51、51との間で側枠材10のリップ10a、10aを挟み込むようになっている。このような第1連結部材41によるリップ10a、10aの挟み込みは、リップ10a、10aの縦方向の任意位置で可能となっている。なお、図4は、上側横フレーム材20の一端部(図1において左側端部)に設けた第1連結部材41を示しているが、上側横フレーム材20の他端部(図1において右側端部)に設けた第1連結部材41も同様の構造となっている。
【0026】
第2連結部材42は、図6に示すように、上側縦フレーム材21の上端部に固定されて上枠材11のリップ11a、11a表面に当接する接合プレート56と、上枠材11の溝部内に配されて上枠材11のリップ11a、11a裏面に当接する係止プレート51とを備えている。接合プレート56は、上側縦フレーム材21における一対のリップ付き溝形鋼のウエブ間にボルト57、57及びナット58、58によって取り付けられた垂直部56aと、この垂直部56aの上端部に固定された水平部56bとから全体的に略T形に形成されている。係止プレート51は、第1連結部材41のものと同様の構造のものが使用されている。そして、第1連結部材41と同様にして、接合プレート56と係止プレート51、51との間で上枠材11のリップ11a、11aを挟み込むようになっている。このような第2連結部材42によるリップ11a、11aの挟み込みは、リップ11a、11aの横方向の任意位置で可能となっている。
【0027】
第3連結部材43は、図7に示すように、上側縦フレーム材21の下端部に固定された接合プレート60を備えている。この接合プレート60は、上側縦フレーム材21における一対のリップ付き溝形鋼のウエブ間に溶接等によって取り付けられた垂直部60aと、この垂直部60aの下端部に固定された水平部60bとから全体的に略T形に形成されている。そして、接合プレート60がボルト61、61及びナット62、62により上側横フレーム材20のウエブに取り付けられるようになっている。このような第3連結部材43による連結は、上側横フレーム材20の所定位置すなわちボルト挿通孔が形成されている位置においてのみ可能となっている。
【0028】
第4連結部材44は、図8に示すように、下側横フレーム材30の側端部に固定されて側枠材10のリップ10a、10a表面に当接する接合プレート50と、側枠材10の溝部内に配されて側枠材10のリップ10a、10a裏面に当接する係止プレート51、51とを備えている。接合プレート50は、上下の配置が逆になっているだけで第1連結部材41のものと同様の構造のものが使用され、また係止プレート51は、第1連結部材41のものと同様の構造のものが使用されている。そして、第1連結部材41と同様にして、接合プレート50と係止プレート51、51との間で側枠材10のリップ10a、10aを挟み込むようになっている。このような第4連結部材44によるリップ10a、10aの挟み込みは、リップ10a、10aの縦方向の任意位置で可能となっている。なお、図8は、下側横フレーム材30の一端部(図1において左側端部)に設けた第4連結部材44を示しているが、下側横フレーム材30の他端部(図1において右側端部)に設けた第4連結部材44も同様の構造となっている。
【0029】
第5連結部材45は、図9に示すように、下側縦フレーム材31の下端部に固定されて下枠材12のリップ12a、12a表面に当接する接合プレート56と、下枠材12の溝部内に配されて下枠材12のリップ12a、12a裏面に当接する係止プレート51、51とを備えている。接合プレート56は、上下の配置が逆になっているだけで第2連結部材42のものと同様の構造のものが使用され、また係止プレート51は、第1連結部材41のものと同様の構造のものが使用されている。そして、第1連結部材41と同様にして、接合プレート56と係止プレート51、51との間で下枠材12のリップ12a、12aを挟み込むようになっている。このような第5連結部材45によるリップ12a、12aの挟み込みは、リップ12a、12aの横方向の任意位置で可能となっている。
【0030】
第6連結部材46は、図10に示すように、下側縦フレーム材31の上端部に固定された接合プレート60を備えている。この接合プレート60は、上下が逆になっているだけで第3連結部材43のものと同様の構造のものが使用されている。そして、第3連結部材43と同様にして、接合プレート60がボルト61、61及びナット62、62により下側横フレーム材30のウエブに取り付けられるようになっている。このような第6連結部材46による連結は、下側横フレーム材30の所定位置すなわちボルト挿通孔が形成されている位置においてのみ可能となっている。
【0031】
上記構成の開口部用軸組1を使用した鉄骨軸組構造の住宅において、外壁部分の窓70の配置やサイズを変更する場合の作業手順について説明する。まず、開口部用軸組1に取り付けてある窓70及び外壁材71・・を取り外して、開口部用軸組1を露出させる。
【0032】
続いて、開口部用軸組1において、その窓取付用開口Sの位置や大きさを変更することになるが、この場合、図11(a)、(b)に示すように、上側又は下側の開口形成用フレーム3、4を取り外すか、図11(c)〜(e)に示すように、上側及び/又は下側の開口形成用フレーム3、4の横フレーム材20、30の取付位置(高さレベル)を変更すれば良い。以下、上側及び下側の開口形成用フレーム3、4の横フレーム材20、30の高さレベルを変更する場合を例に挙げて説明する。
【0033】
この場合、まず、外周枠2に対して上下の開口形成用フレーム3、4を連結している第1、第2、第4、第5連結部材41、42、44、45のナット55・・を緩めて、外周枠2の各枠材10、11、12のリップ10a、11a、12a・・に対する挟み込みを解除することで、外周枠2から上側及び下側の開口形成用フレーム3、4を取り外す。
【0034】
続いて、上側及び下側の開口形成用フレーム3、4において、横フレーム材20、30に対して縦フレーム材21、31を連結している第3、第6連結部材43、46のナット62・・を緩めて、横フレーム材20、30から縦フレーム材21、31を外す。そして、新たに用意した高さの異なる縦フレーム材21、31を第3、第6連結部材43、46を介して再び横フレーム材20、30に取り付けて、この新たな上側及び下側の開口形成用フレーム3、4を、第1、第2、第4、第5連結部材41、42、44、45を介して再び外周枠2に取り付ける。これにより、上側及び下側の開口形成用フレーム3、4の横フレーム材20、30の高さレベルが変更されて、開口部用軸組1において位置や大きさの異なる窓取付用開口Sが新たに形成される。そして、この開口部用軸組1に対して、新たに用意した窓70及び外壁材71・・を取り付けることで、窓70の配置やサイズが変更されることになる。
【0035】
このように、外周枠2に対して上側及び下側の開口形成用フレーム3、4を溶接レスで簡単に着脱することができる開口部用軸組1を使用することで、従来のように開口部用軸組を取り外す場合や、外周枠に対して溶接によって取り付けられている開口形成用フレームの取付位置を変える場合と比べて、窓70の配置やサイズを簡単に変更することができる。
【0036】
しかも、開口形成用フレーム3、4において、横フレーム材20、30に対して縦フレーム材21、31を溶接レスで簡単に着脱することができることから、新たに高さの異なる縦フレーム材21、31を用意するだけで、外周枠2及び横フレーム材20、30についてはそのまま使い回しながら、窓取付用開口Sの位置や大きさを変更することができ、資材の有効利用を図ることができる。
【0037】
また、開口形成用フレーム3、4は、第1、第2、第4、第5連結部材41、42、44、45によって外周枠2の各枠材10、11、12における内向きのリップ10a、11a、12a・・を挟み込むようにして連結されているので、これら連結に際して外周枠2の外周部分にボルト等が突出することがなく、開口部用軸組1を梁、基礎、隣接軸組等に接合する際に支障をきたすこともない。
【0038】
さらに、開口形成用フレーム3、4の横フレーム材20、30の両端部に設けた第1、第4連結部材41、44は、側枠材10、10のリップ10a・・をその縦方向の任意位置で挟み込み可能となっていることから、窓取付用開口Sの位置や大きさの変更に際して、外周枠2の側枠材10、10にボルト挿通用孔を新たに形成する等の特別な加工を必要とせずに、横フレーム材20、30の取付位置(高さレベル)を任意に設定することができ、施工性をより一層高めることができる。
【0039】
さらにまた、開口形成用フレーム3、4において、縦フレーム材21、31は第3、第6連結部材43、46によって横フレーム材20、30の所定位置に連結されるので、窓取付用開口Sの位置や大きさの変更に際して、新たに用意した高さの異なる縦フレーム材21、31を第3、第6連結部材43、46によって横フレーム材20、30に取り付けるだけで、これら縦フレーム材21、31の位置出しを新たに行うことなく、隣接する外壁材71、71の縦目地部分に対応するように精度良く配置することができ、施工性をより一層高めることができる。
【0040】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、上下の開口形成用フレームにおいて、縦フレーム材を1本だけでなく複数本設けるようにしても良い。また、横フレーム材及び縦フレーム材としては、溝形鋼以外のその他の形鋼を用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施形態に係る開口部用軸組の正面図である。
【図2】開口部用軸組の分解斜視図である。
【図3】開口部用軸組に窓及び外壁材を取り付けた状態の正面図である。
【図4】第1連結部材を示す図である。
【図5】係止プレートの動作を示す斜視図である。
【図6】第2連結部材を示す図である。
【図7】第3連結部材を示す図である。
【図8】第4連結部材を示す図である。
【図9】第5連結部材を示す図である。
【図10】第6連結部材を示す図である。
【図11】開口部用軸組の窓取付用開口の変更パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・開口部用軸組、2・・外周枠、3・・上側の開口形成用フレーム、4・・下側の開口形成用フレーム、10a〜12a・・リップ、10・・側枠材、11・・上枠材、12・・下枠材、20・・上側横フレーム材、21・・上側縦フレーム材、30・・下側横フレーム材、31・・下側縦フレーム材、41〜46・・第1〜第6連結部材、50、56、60・・接合プレート、51・・係止プレート、54、61・・ボルト、55、62・・ナット、71・・外壁材、72・・縦目地部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側枠材(10)(10)と、これら側枠材(10)(10)の上端部間を連結する上枠材(11)と、側枠材(10)(10)の下端部間を連結する下枠材(12)とからなる外周枠(2)を備え、この外周枠(2)内の上側及び下側に開口形成用フレーム(3)(4)をそれぞれ取り付けた開口部用軸組(1)であって、前記上側の開口形成用フレーム(3)は、前記側枠材(10)(10)間に着脱可能に差し渡した上側横フレーム材(20)と、前記上枠材(11)と上側横フレーム材(20)との間に着脱可能に差し渡した上側縦フレーム材(21)とを備え、前記下側の開口形成用フレーム(4)は、前記側枠材(10)(10)間に着脱可能に差し渡した下側横フレーム材(30)と、前記下枠材(12)と下側横フレーム材(30)との間に着脱可能に差し渡した下側縦フレーム材(31)とを備えたことを特徴とする開口部用軸組。
【請求項2】
前記一対の側枠材(10)(10)、上枠材(11)及び下枠材(12)は、溝部開口を外周枠(2)内に向けて配置したリップ付き溝形鋼からなり、前記上側の開口形成用フレーム(3)において、前記上側横フレーム材(20)の両端部に、前記側枠材(10)(10)のリップ(10a)(10a)・・を挟み込む第1連結部材(41)(41)をそれぞれ設け、前記上側縦フレーム材(21)の上端部に、前記上枠材(11)のリップ(11a)(11a)を挟み込む第2連結部材(42)を設けるとともに、前記上側縦フレーム材(21)の下端部に、前記上側横フレーム材(20)に連結する第3連結部材(43)を設け、前記下側の開口形成用フレーム(4)において、前記下側横フレーム材(30)の両側端部に、前記側枠材(10)(10)のリップ(10a)(10a)・・を挟み込む第4連結部材(44)(44)をそれぞれ設け、前記下側縦フレーム材(31)の下端部に、前記下枠材(12)のリップ(12a)(12a)を挟み込む第5連結部材(45)を設けるとともに、前記下側縦フレーム材(31)の上端部に、前記下側横フレーム材(30)に連結する第6連結部材(46)を設けた請求項1記載の開口部用軸組。
【請求項3】
前記第1連結部材(41)は、前記上側横フレーム材(20)の側端部に固定されて前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)表面に当接する接合プレート(50)と、前記側枠材(10)の溝部内に配されて前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)裏面に当接する係止プレート(51)(51)とを備え、これら接合プレート(50)と係止プレート(51)(51)をボルト(54)(54)及びナット(55)(55)により連結することで、前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)をその縦方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第2連結部材(42)は、前記上側縦フレーム材(21)の上端部に固定されて前記上枠材(11)のリップ(11a)(11a)表面に当接する接合プレート(56)と、前記上枠材(11)の溝部内に配されて前記上枠材(11)のリップ(11a)(11a)裏面に当接する係止プレート(51)(51)とを備え、これら接合プレート(56)と係止プレート(51)(51)をボルト(54)(54)及びナット(55)(55)により連結することで、前記上枠材(11)のリップ(11a)(11a)をその横方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第3連結部材(43)は、前記上側縦フレーム材(21)の下端部に固定された接合プレート(60)を備え、この接合プレート(60)をボルト(61)(61)及びナット(62)(62)により前記上側横フレーム材(20)に取り付けることで、前記上側横フレーム材(20)の所定位置に連結するものであり、前記第4連結部材(44)は、前記下側横フレーム材(30)の側端部に固定されて前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)表面に当接する接合プレート(50)と、前記側枠材(10)の溝部内に配されて前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)裏面に当接する係止プレート(51)(51)とを備え、これら接合プレート(50)と係止プレート(51)(51)をボルト(54)(54)及びナット(55)(55)により連結することで、前記側枠材(10)のリップ(10a)(10a)をその縦方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第5連結部材(45)は、前記下側縦フレーム材(31)の下端部に固定されて前記下枠材(12)のリップ(12a)(12a)表面に当接する接合プレート(56)と、前記下枠材(12)の溝部内に配されて前記下枠材(12)のリップ(12a)(12a)裏面に当接する係止プレート(51)(51)とを備え、これら接合プレート(56)と係止プレート(51)(51)をボルト(54)(54)及びナット(55)(55)により連結することで、前記下枠材(12)のリップ(12a)(12a)をその横方向の任意位置で挟み込み可能とするものであり、前記第6連結部材(46)は、前記下側縦フレーム材(31)の上端部に固定された接合プレート(60)を備え、この接合プレート(60)をボルト(61)(61)及びナット(62)(62)により前記下側横フレーム材(30)に取り付けることで、前記下側横フレーム材(30)の所定位置に連結するものである請求項2記載の開口部用軸組。
【請求項4】
前記上側の開口形成用フレーム(3)の上側縦フレーム材(21)及び前記下側の開口形成用フレーム(4)の下側縦フレーム材(31)を、開口部用軸組(1)に横並びに取り付ける外壁材(71)(71)・・の縦目地部分(72)(72)の裏支え材とした請求項1乃至3のいずれかに記載の開口部用軸組。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−270322(P2009−270322A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121067(P2008−121067)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】