開閉装置
【課題】管理運用にかかる人件費を削減できるようになる開閉装置を提供すること。
【解決手段】開閉体である扉体2は、回動軸である第2かさ歯車226の軸部226Aに吊り下げ支持され、この軸部226Aを中心に回動自在となっており、扉体2を開放動作させるための駆動装置である扉体用開閉機210のモータの駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により軸部226Aへ伝達され、扉体全開保持手段である扉体用開閉機210のブレーキによる全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体2は、扉体用開閉機210のモータの駆動軸の回転力で電動による開放動作を行う。
【解決手段】開閉体である扉体2は、回動軸である第2かさ歯車226の軸部226Aに吊り下げ支持され、この軸部226Aを中心に回動自在となっており、扉体2を開放動作させるための駆動装置である扉体用開閉機210のモータの駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により軸部226Aへ伝達され、扉体全開保持手段である扉体用開閉機210のブレーキによる全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体2は、扉体用開閉機210のモータの駆動軸の回転力で電動による開放動作を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体を備えた開閉装置に係り、例えば、出入口や窓等の開口部を開閉体で開閉するための開口部用(管理用)開閉装置、開閉体で防災区画を形成するための防災用開閉装置、開口部用(管理用)と防災用の両方の用途で使用される管理及び防災併用開閉装置等、より具体的には、例えば、防火扉装置や袖扉付防災用シャッター装置等に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、火災発生等の非常時に出入口等の開口部等を扉体で閉鎖することにより防災区画をするための防災用開閉装置である防火扉装置(言い換えると防火戸装置)が示されている。この防火扉装置では、平常時の扉体は、扉体全開保持手段によって全開状態に保持されており、火災発生等の非常時には、防災信号が扉体全開保持手段に入力されることで扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態が解除される。これにより、全開保持状態が解除された扉体は、この扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段により、全閉位置に達するまで自動閉鎖するようになっている。この結果、出入口等の開口部等は、全閉位置に達した扉体で閉鎖された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−18579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したように、非常時に出入口等の開口部等を閉鎖していた扉体や、平常時に前記開口部等を閉鎖(開閉試験時における閉鎖も含む)していた扉体を、元の状態である全開状態に戻すためには、従来より、ビル等の建物の管理者等の人間が、扉体を全開位置まで手動で開放動作させていた。
【0005】
このように、従来の防火扉装置においては、一度全閉状態にした扉体を再び全開状態に戻すためには、扉体を人の手で開放動作させる必要があり、またその労力の他に開放動作には、防火扉装置の場所まで出向かなければならないなど、それだけ人件費がかっていた。このため、防火扉装置の管理運用にかかる人件費を削減するための工夫が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、管理運用にかかる人件費を削減できるようになる開閉装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る開閉装置は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体と、前記扉体を全開状態に保持するための扉体全開保持手段と、少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための駆動装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、開閉体を構成する少なくとも1個の扉体が、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した後、この全閉位置に達した(全閉状態にある)扉体の開放動作は、駆動装置により行わせることができる。すなわち、本発明では、扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体の開放動作は、人の手ではなく、駆動装置により行わせることができる。
【0009】
このため、本発明によると、開閉装置の管理運用にかかる人件費を削減できるようになる。
【0010】
本発明では、駆動装置は、「少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための」とあるので、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除された扉体の全閉位置までの閉鎖動作も、駆動装置により行わせるようにしてもよい。
【0011】
本発明において、開閉体を構成する扉体は、回動軸を中心に回動自在となっていてもよく、回動自在となっていなくてもよい。前者の場合における扉体の一例は、開き戸(片開き戸でもよく、両開き戸でもよい)であり、後者の場合における扉体の一例は、扉体の幅方向である左右方向に移動する引き戸である。
【0012】
また、本発明において、駆動装置の形式、構造は任意なものでよく、扉体が回動軸を中心に回動自在となっている場合には、駆動装置は、例えば、回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により回動軸へ伝達されるものとなる。
【0013】
ここで、駆動力伝達手段の形式、構造は任意なものでよく、この駆動力伝達手段の第1の例は、駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動スプロケットホイールと、駆動スプロケットホイールと前記被動スプロケットホイールとの間に架け渡された無端走行部材であるローラチェーンと、を含んで構成されるものである。また、駆動力伝達手段の第2の例は、駆動軸に取り付けられた駆動プーリと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動プーリと、駆動プーリと前記被動プーリとの間に架け渡された無端走行部材であるタイミングベルトと、を含んで構成されるものである。これらの例では、回動軸は、第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車の軸部となる。なお、扉体と駆動力伝達手段との配置関係によっては、被動軸を回動軸としてもよい。この場合には、被動軸に第1かさ歯車を設ける必要はなく、この第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車も必要ない。
【0014】
本発明において、回動軸と扉体との連結構造は任意なものでよく、この連結構造の第1の例は、回動軸の下端部が、扉体の上端部における回動中心部から突出して取り付けられた軸部材と、カップリング(軸継手)により結合されているものである。
【0015】
また、連結構造の第2の例は、回動軸の下端部が、扉体の幅方向への長さを有するアーム部材を介して扉体に取り付けられているものである。
【0016】
以上の本発明において、扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【0017】
前者の場合によると、付勢手段の付勢力により扉体が閉鎖動作するので、管理者等の人間が扉体を閉鎖動作させる労力を省くことができる。このため、扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていることが好ましい。
【0018】
扉体が前述したように回動軸を中心に回動自在となっている場合における付勢手段の形状、構造は任意なものでよく、例えば、一端が扉体に係止され、他端が扉体に対して不動となっている不動部材に係止され、扉体が開放動作することによりばね力が蓄圧されるねじりコイルばね等のばねである弾性部材でもよく、油圧等の流体圧等でもよい。
【0019】
なお、上述した付勢手段に加えて、全閉位置に達する直前の扉体に対して閉鎖方向への付勢力を付与する付勢補助手段も備えるようにしてもよい。この付勢補助手段の形状、構造も任意なものでよく、例えば、この付勢補助手段の第1の例として、全閉位置に達した扉体が当接する戸当たりに配置され、扉体における全閉位置に達した時に前記戸当たりと対向する部分に配置された金属製部材を引き寄せる磁性部材を挙げることができる。また、付勢補助手段の第2の例として、扉体における全閉位置に達した時に戸当たりと対向する部分に配置され、前記戸当たりに配置された金属製部材が引き寄せられる磁性部材を挙げることができる。
【0020】
本発明において、扉体が、前述したように、回動軸を中心に回動自在となっている場合において、扉体全開保持手段の形状、構造は任意なものでよく、その第1の例は、回動軸の回動を阻止するための回動軸回動阻止手段である。ここで、「回動軸の回動を阻止する」には、前述したように、駆動装置が回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力が駆動力伝達手段により回動軸へ伝達されるものとなっている場合には、駆動装置の駆動軸の回転を阻止することが含まれる。このため、駆動装置の具体例として、駆動軸を有するモータ(直流モータでもよく、交流モータでもよい)と、この駆動軸の回転を阻止するためのブレーキと、を含んで構成される開閉機を挙げることができ、この例では、開閉機を構成するブレーキが回動軸回動阻止手段となる。
【0021】
また、扉体全開保持手段の形状、構造の第2の例は、扉体を収納するための扉体収納部に設けられ、扉体に設けられた係止部が係止する被係止部を有するラッチ機構である。
【0022】
本発明において、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための扉体全開保持解除手段は、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を電気式に解除するものでもよく、機械式に解除するものでよい。
【0023】
前者の場合における扉体全開保持解除手段の形式、構造は任意なものでよく、火災発生等の非常時に、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための非常時扉体全開保持状態解除手段として、例えば、煙及び/又は熱を感知する感知器や、防災センター操作盤等を挙げることができる。非常時扉体全開保持解除手段となっているこれらの装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号である防災信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。なお、非常時扉体全開保持状態解除手段の他の例として、非常時に、上述した感知器や防災センター操作盤等の装置が作動しなかった場合に、手動で解除するための非常時用閉鎖操作装置を挙げることができる。これによると、非常時用閉鎖操作装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号である操作信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。
このため、非常時扉体全開保持状態解除手段は、扉体全開保持手段へこの扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号を入力するための第1解除信号入力手段となっている。
【0024】
一方、平常時に、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための平常時扉体全開保持状態解除手段は、例えば、扉体を手動で解除するための平常時用閉鎖操作装置である。これによると、平常時用閉鎖操作装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第2解除信号である操作信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。このため、平常時扉体全開保持状態解除手段は、扉体全開保持手段へこの扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第2解除信号を入力するための第2解除信号入力手段となっている。
【0025】
なお、本発明において、前述したように、扉体が回動軸を中心に回動自在となっている場合には、閉鎖動作中の扉体が全閉位置に達すると、この扉体が開口上部の戸枠体の段差等の戸当たりに当接することで、扉体は全閉状態で停止する。
【0026】
なお、扉体の開閉回動角度、すなわち、扉体の全開位置から全閉位置までの回動角度は任意であり、例えば、90度でもよく、180度でもよく、270度でもよく、また、このような90度単位の角度ではなく、任意の角度でもよい。
【0027】
以上の本発明において、開閉体は、1個の扉体のみから構成されるものでもよく、1個の扉体と1個のシャッターカーテンとから構成されるものでもよく、1個の扉体と複数個のシャッターカーテンとから構成されるものでよく、複数個の扉体と1個のシャッターカーテンとから構成されるものでよく、複数個の扉体と複数個のシャッターカーテンとから構成されるものでもよい。
【0028】
本発明において、開閉体が、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成されるものである場合には、これらの扉体とシャッターカーテンの配置位置は任意であり、例えば、シャッターカーテンは、扉体とこの扉体の幅方向に隣接して並設されるもの(言い換えると、シャッターカーテンの幅方向と扉体の幅方向とが同一方向となるように並設されるもの)でもよく、扉体に対して直角に配置されるもの(言い換えると、シャッターカーテンの幅方向と扉体の幅方向とが直交するように配置されるもの)でもよく、シャッターカーテン及び/又は扉体が複数個ある場合には、これらを複合したものでもよい。
【0029】
なお、シャッターカーテンが、上述したように、扉体とこの扉体の幅方向に隣接して並設されるものである場合には、扉体の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテンと隣接する側の端部には、シャッターカーテンの開閉動作の際に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と隣接する側の端部を案内するためのガイド部を、扉体の幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成するようにしてもよい。これによると、シャッターカーテンの開閉動作(開閉移動)を案内するためのガイド部材(案内部材)が不要となる。
【0030】
また、シャッターカーテンが、上述したように、扉体に対して直角に配置されるものである場合には、扉体の表裏面のうちのシャッターカーテンの幅方向の端部と対向する側の面には、シャッターカーテンの開閉動作の際に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と対向する側の端部を案内するためのガイド部を、扉体の幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成するようにしてもよい。これによると、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部材が不要となる。
【0031】
本発明において、開閉体が、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成されている場合には、前記扉体と前記シャッターカーテンとを連動して開閉動作(開放動作及び/又は閉鎖動作)させるための開閉制御手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【0032】
前者の場合によると、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成される開閉体の開閉動作を円滑に行わせることができるようになる。なお、後者の場合は、例えば、少なくとも1個の扉体と少なくとも1個のシャッターカーテンとを常時手動で開閉動作させるものとなっている場合である。
【0033】
本発明において、シャッターカーテンの開閉動作方向(開閉移動方向)は、上下方向でもよく、左右方向でもよく、これらの方向に対する傾き角を有する方向でもよい。
【0034】
本発明において、上述した開閉制御手段を備える必要がある場合の一例として、シャッターカーテンの開閉動作方向は上下方向であって下方向が閉鎖動作方向となっており、扉体の幅方向(言い換えると、左右方向)の端部には、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が前記幅方向と直交する方向である長さ方向(言い換えると、上下方向)略全長に渡って形成されている場合を挙げることができる。
【0035】
この例では、扉体が全閉位置まで閉鎖動作するまでシャッターカーテンを閉鎖動作させることができないため、開閉制御手段は、扉体が全閉位置まで閉鎖動作した後にシャッターカーテンの閉鎖動作を開始させる制御を実行し、シャッターカーテンが全開位置まで開放動作した後に扉体の開放動作を開始させる制御を実行するものとなる。
【0036】
なお、扉体の幅方向の端部に、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が形成されていない場合には、シャッターカーテンと扉体との間に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と隣接する側の端部を案内するためのガイド部材(いわゆる中柱)を立設する必要がある。この場合には、シャッターカーテンの開閉動作は、扉体の開閉動作と独立して行わせることができ、シャッターカーテンと扉体の開閉順序は任意である。すなわち、シャッターカーテンの開放動作(閉鎖動作)は、扉体の開放動作(閉鎖動作)と独立して行わせることができる。
【0037】
以上の本発明において、扉体の閉鎖動作中と開放動作中のうちの少なくとも閉鎖動作中に、この扉体の動作方向に存在する障害物を感知するための扉体障害物感知手段を備えていてもよい。
【0038】
ここで、扉体障害物感知手段の形式、構造は任意であり、例えば、障害物に接触することによりこの障害物を感知する接触式のものでもよく、障害物に接触しないでこの障害物を感知する非接触式のものでもよい。後者の場合は、例えば、赤外線センサでもよく、超音波センサ等でもよい。
【0039】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体を備えた任意な開閉装置に適用することができ、例えば、出入口や窓、建物内の空間や通路等の開口部等を開閉体で開閉するための開口部用開閉装置や、開閉体で前記開口部等に防災区画を形成するための防災用開閉装置等に適用することができる。なお、この防災用開閉装置には、エレベータや階段等の昇降手段の近辺の空間と、この空間を除く一般の室内空間との間を開閉体で遮断するための昇降手段用開閉装置も含まれる。
【0040】
より具体的には、本発明は、例えば、防犯や空調等のために、出入口や窓、建物内の空間や通路等の開口部等を扉体で開閉するための開口部用扉装置や、平常時には、前記開口部等を扉体で開閉するとともに、非常時には扉体の閉鎖により前記開口部等に防災区画を形成するための管理及び防災併用扉装置や、また、前記開口部等を扉体とシャッターカーテンとで開閉する開口部用扉装置付シャッター装置(いわゆる、開口部用袖扉付シャッター装置)や、平常時には前記開口部等を扉体とシャッターカーテンとで開閉するとともに、非常時には扉体とシャッターカーテンとの閉鎖により前記開口部等に防災区画を形成するための管理及び防災併用扉装置付シャッター装置(いわゆる、管理及び防災併用袖扉付シャッター装置)等の各種開閉装置に適用することができる。
【0041】
なお、本発明において、シャッターカーテンには、防煙垂れ幕、防煙垂れ壁、オーニング(テント生地で作られた窓際に設置する日よけ、雨よけ等)が含まれる。
【0042】
また、本発明において、シャッターカーテンが巻取軸から繰り出され、巻き取られるものとなっている場合において、この巻取軸に、シャッターカーテンの下方への閉鎖動作(動(閉じ移動)で戻しばね力が蓄圧される戻しばねが配置され、シャッターカーテンの上方への開放動作(開き移動)が、この戻しばねに蓄圧された戻しばね力が補助力として利用されて行われるようになっていてもよい。
【0043】
また、本発明において、シャッターカーテンは、任意のカーテン構成部材で構成されてよく、シャッターカーテンの全体又は主要部が同じ種類のカーテン構成部材、例えば、スラットで形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部がシートや、パネル、ネット、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等により形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部が、これらのスラットと、シートと、パネルと、ネットと、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等とのうち、複数のカーテン構成部材の組み合わせで形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、開閉装置の管理運用にかかる人件費を削減できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図2】図2は、図1のS2−S2線断面図である。
【図3】図3は、図2のS3−S3線矢視図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図6】図6は、扉体用開閉機の内部構造を示す断面図である。
【図7】図21は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す平面図である。
【図8】図8は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す側面図である。
【図9】図9は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す正面図である。
【図10】図10は、図7で示されている扉体用自動閉鎖装置を構成する第1スライド部材のみを示した図である。
【図11】図11は、図7で示されている扉体用自動閉鎖装置を構成する第2スライド部材のみを示した図である。
【図12】図12は、図8において、第1及び第2スライド部材の手前側に配置されている部材、装置を除外して示した図である。
【図13】図13は、図7で示されている第1及び第2スライド部材、屈曲レバー部材等のみを示す図である。
【図14】図14は、図7に示す第1スライド部材が扉体用開閉機のブレーキを解除するまでスライドしたときを示す図である。
【図15】図15は、図14で示されている第1及び第2スライド部材、屈曲レバー部材等のみを示す図である。
【図16】図16は、扉体用開閉機のモータの駆動軸の回転力が伝達されるかさ歯車と扉体との連結構造の別実施形態を示す図3と同様の図である。
【図17】図17は、第2の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図18】図18は、第2の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図19】図19は、第2の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図20】図20は、平常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の閉鎖動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図21】図21は、図20のフローチャート図の続きを示す図である。
【図22】図22は、図20のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図23】図23は、図20のフローチャート図のまたさらなる続きを示す図である。
【図24】図24は、平常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の開放動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図25】図25は、図24のフローチャート図の続きを示す図である。
【図26】図26は、図24のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図27】図27、非常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の閉鎖動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図28】図28は、図27のフローチャート図の続きを示す図である。
【図29】図29は、図27のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図30】図30は、図27のフローチャート図のまたさらなる続きを示す図である。
【図31】図31は、第3の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図32】図32は、第3の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図33】図33は、第3の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図34】図34は、第4の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図35】図35は、図34の平面レイアウト図を簡略化して示した図である。
【図36】図36は、第4の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図37】図37は、第4の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図38】図38は、図35に示されている平面レイアウトの変形例を示す図である。
【図39】図39は、図35に示されている平面レイアウトのさらなる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示されている本発明の第1の実施形態に係る開閉装置は、例えば、建物内の通路(廊下)や非常階段の出入口等の開口部に設置される1個の扉体2で構成された扉装置である。すなわち、本実施形態では、開閉体は1個の扉体2で構成されるものとなっている。
【0047】
建物躯体である壁6には、全開位置に達した扉体2を収納可能な凹部6Aが形成されており、この凹部6Aが全開位置に達した扉体2を収納するための扉体収納部(言い換えると、戸袋)6Aとなっている。鋼鉄等の金属製のパネル部材で形成された扉体2は、平常時は、前記扉体収納部6Aに収納されており、この扉体2の全開状態は、後述する扉体全開保持手段により保持されるようになっている。
【0048】
平常時において全開状態が保持されている扉体2は、火災発生等の非常時には、後述する扉体全開保持手段による扉体2の全開保持状態が解除され、扉体2は、後述する付勢手段により全閉位置まで閉鎖動作する。これにより、図1に示す出入口5は、全閉位置に達した扉体2により閉鎖され、火災により発生した炎や煙が遮断される。なお、扉装置が建物内の廊下の通路に設置される場合には、全閉位置に達した扉体2により通路に防災区画が形成される。
【0049】
図1に示すように、扉体2には、潜り扉体(潜り戸)4が設けられており、このため、扉体2は、潜り扉体4と、扉体2からこの潜り扉体4を除いた部分である扉体本体3と、を含んで構成されている。非常時には、この潜り扉4を開放動作させることにより、扉体2で仕切られた他方の空間(図1では、非常階段が設置されている空間)へ移動することができるようになる。また、扉体2よりも寸法の小さな潜り扉体4を開放動作することにより、火災等で発生した煙の他方の空間への流出や、他方の空間からの流入をより少なくさせることができる。
【0050】
本実施形態に係る扉装置では、平常時において、任意に開閉して出入口5の開閉管理ができるようになっており、出入口5からの外部の人間の侵入を防止する等の防犯上等の理由から(特に夜間や休日時)、扉体2を閉鎖動作させて出入口5を閉鎖させることができる。なお、この場合には、全閉位置に達した扉体2は、図示されない電気錠等のロック手段により施錠されて全閉状態が保持される。また、潜り扉体4も、図1に示すロック手段4Aにより施錠されて全閉状態が保持される。また、本実施形態に係る扉装置では、平常時において、扉体2の開閉動作の試験を行うために、扉体2を試験的に開閉動作させることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る開閉装置である扉装置は、火災発生等の非常時においては、出入口5等の開口部を閉鎖することで防災区画を形成する防火扉装置(言い換えると、防火戸装置)として機能し、平常時においては、防犯等の理由で出入口5等の開口部を閉鎖することで外部の人間の侵入を阻止するための開口部用扉装置(言い換えると、管理用扉装置)として機能する管理及び防災併用扉装置となっている。
【0052】
図1に示すように、出入口5に対して図示しない天井部材で仕切られている天井裏空間91には、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体2を開放動作させるための駆動装置である扉体用開閉機210が配置されている。すなわち、本実施形態に係る扉装置には、扉体2に対して少なくとも開放動作方向(図1に示す矢印B方向)への回転駆動力を付与するための駆動装置となっている扉体用開閉機210が備えられている。
【0053】
図2は、図1のS2−S2線断面図であり、図3は、図2のS3−S3線矢視図である。図4及び図5は、本実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図である。図4は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、平常時において使用されない或いは動作しない(火災発生時等の非常時において使用される或いは動作する)装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっており、図5は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、非常時において使用されない或いは動作しない(平常時において使用される或いは動作する)装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっている。また、図6は、扉体用開閉機210の内部構造を示す断面図である。
【0054】
図4〜図6に示すように、モータ211とブレーキ212からなる扉体用開閉機210は、図2に示すように、壁等の建物躯体6に取り付けられたブラケット205にビス等の止着具で固定されている。また、図3に示すように、軸方向が水平方向となっている第1かさ歯車224の軸部224Aがブラケット205で回転自在に支持されており、この第1かさ歯車224と噛み合い、軸方向が垂直方向となっている第2かさ歯車226の軸部227もブラケット205に回転自在に支持されている。
【0055】
図2に示されているように、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力は、この駆動軸140に取り付けられた駆動スプロケットホイール221と、第1かさ歯車224の軸部224Aが取り付けられた被動スプロケットホイール222と、これらのスプロケットホイール221,222の間に架け渡された無端走行部材であるローラチェーン223とによる駆動力伝達手段230を経て第2かさ歯車226に伝達される(図3参照)。
【0056】
図2及び図3に示すように、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部は、扉体2の幅方向である左右方向(水平方向)への長さを有するアーム部材228に連結部材227を介して連結されている。そして、アーム部材228は、扉体2の扉体本体3の上端部に取付部材229により取り付けられている。このように、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部は、アーム部材228を介して扉体2の上端部に取り付けられており、扉体2は、第2かさ歯車226の軸部226Aに吊り下げ支持された状態となっている。
【0057】
このため、本実施形態では、扉体2は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力で回動自在となっており、第2かさ歯車226の軸部226Aが、扉体2の回動軸となっている。
【0058】
また、扉体本体3の端部3Cの下部内部には、扉体2に対して不動となっている不動部材である床7に取り付けられた上下方向に延びる図示しない軸部材が配置されている。この軸部材の外周部には、上下方向への長さを有する螺旋状のねじりコイルばね16が配置されており、このねじりコイルばね16と軸部材は、扉体本体3の内側に取り付けられた水平方向に延びるアーム部を有する筒状部材に収納されている。ねじりコイルばね16の一端は、前記筒状部材に係止されており、一方、ねじりコイルばね16の他端は、前記軸部材に係止されている。このため、扉体2の下部は、上述した軸部材を中心に回動自在となっている。
【0059】
ねじりコイルばね16は、扉体2が開放動作(図1に示す矢印B方向へ回動動作)することにより、扉体2を閉鎖方向(図1に示す矢印A方向)への動作を付勢するばね力が蓄圧されるようになっており、扉体2が全開位置に達したときに蓄圧されるばね力は最大となる。
【0060】
このため、後述する扉体全開保持手段による扉体2の全開保持状態が解除されると、扉体2は、ねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されながら、全閉位置まで閉鎖動作することになる。このため、扉体2に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段となっている。
【0061】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る開閉装置では、扉体用開閉機210は、扉体用開閉機制御盤242に接続されており、扉体用開閉機210のモータ211とブレーキ212の動作制御は、この扉体用開閉機制御盤242により行われる。
【0062】
また、本実施形態に係る開閉装置は、図4及び図5に示すように、危害防止用連動中継器130(以下「連動中継器130」という)が備えられており、この連動中継器130には、上記扉体用開閉機制御盤242、扉体2を開閉操作するための扉体開閉操作部20、火災発生等の非常時に防災信号BS(DC24V)を連動中継器130へ入力する感知器18や防災センター操作盤19、扉体2を閉鎖動作させるために扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させる扉体用自動閉鎖装置241、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための扉体用障害物感知装置133、扉体2の開放動作中にこの扉体2の開放動作方向に存在する障害物を感知するための扉体用障害物感知装置245、扉体2が全閉位置に達したことを感知するための扉体全閉感知スイッチ82、扉体2の動作の開始や異常を外部に報知するための動作報知部118等が接続されている。
【0063】
図1に示すように、扉体用障害物感知装置133は、扉体2が全閉位置に達したときにアーム部材228が当接するストッパ部232(図2も参照)に設けられており、扉体用障害物感知装置245は、扉体収納部6Aの上方の壁6に設けられている。どちらも赤外線センサ方式の障害物感知装置となっている扉体用障害物感知装置133,245は、図4及び図5に示すように、障害物を感知したときに障害物感知信号を連動中継器130に入力する。
【0064】
また、図1に示すように、扉体全閉感知スイッチ82は、扉体2が全閉位置に達したときに当接する戸当たり部6Cに設けられており、この扉体全閉感知スイッチ82は、扉体2の扉体本体3の上端部が当接することにより作動(ON)し、扉体全閉信号を連動中継器130へ入力するものである。
【0065】
また、図1に示すように、扉体開閉操作部20は、扉体収納部6Aの側縁部の近傍の壁6に設けられており、この扉体開閉操作部20は、押しボタン型スイッチである扉体2を開放動作させるための[開]スイッチ20Aと、扉体2を閉鎖動作させるための[閉]スイッチ20Cと、開閉動作中の扉体2を停止させるための[停]スイッチ20Bと、を備えている。[開]スイッチ20Aが操作(押下)されると、この[開]スイッチ20Aから連動中継器130へ開信号(開放動作指示信号)が入力され、[閉]スイッチ20Cが操作(押下)されると、この[閉]スイッチ20Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力され、[停]スイッチ20Bが操作(押下)されると、この[停]スイッチ20Bから連動中継器130へ停信号(動作停止指示信号)が入力される。
【0066】
連動中継器130は、平常時には、扉体開閉操作部20から入力された操作信号(開信号、停信号、閉信号)を中継し、これらの信号を扉体用開閉機制御盤242や扉体用自動閉鎖装置241へ入力する機能を有している。また、連動中継器130は、火災発生等の非常時には、感知器18や防災センター操作盤19から入力された防災信号BSを中継し、扉体用自動閉鎖装置241へ入力する機能も有している。
【0067】
なお、図4及び図5に示すように、連動中継器130及び扉体用開閉機制御盤242は、商用電源120からの電力供給で作動する。扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させるための解除電力や、モータ211を駆動させるための駆動電力は、扉体用開閉機制御盤242から供給される。また、連動中継器130は、停電時に使用される予備電源(バッテリ)を内蔵しており、処理待機状態においては、この予備電源の充電を行う。このため、連動中継器130は、停電時には、内蔵された予備電源からの電力供給により作動する。
【0068】
なお、図4及び図5に示すように、扉体用開閉機制御盤242には、開放動作中の扉体2が開放限(全開位置)に達することにより作動(ON)する開放限リミットスイッチと、閉鎖動作中の扉体2が閉鎖限(全閉位置)に達することにより作動(ON)する閉鎖限リミットスイッチと、を有する開閉限リミットスイッチ240が接続されているが、本実施形態では、開放限リミットスイッチのみが使用される。
【0069】
なお、動作報知部118は、連動中継器130からの作動電力の供給により作動するものである。また、この動作報知部118による報知は、例えば、音声、ブザーやサイレン等の音によるものでもよく、赤色灯等の光によるものでもよく、これらを併用(複合)したものでもよい。
【0070】
感知器18は、火災発生等の非常時において、この火災等で発生した煙及び/又は熱を感知し、連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)を入力するものである。
【0071】
また、防災センター操作盤19は、火災発生等の非常時において、防災センターの人間により操作されるものであり、感知器18と同様に、連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)を入力するものである。
【0072】
火災発生等の非常時には、感知器18や防災センター操作盤19からの防災信号BSが連動中継器130で中継されて扉体用自動閉鎖装置241に入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。また、平常時に、扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ119Cが操作(押下)されると、[閉]スイッチ119Cからの閉信号(閉鎖動作指示信号)が連動中継器130で中継されて扉体用自動閉鎖装置241に作動信号(DC24V)として入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。
【0073】
本実施形態では、前述したように、扉体2の開放動作は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で行われる。すなわち、扉体2の開放動作は電動で行われる。開放動作していた扉体2が全開位置に達すると、開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチが作動(ON)し、扉体用開閉機制御盤242によるモータ211の駆動停止、ブレーキ212の復帰が行われる。これにより、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140は、この扉体用開閉機210のブレーキ212の制動力により回転しないため、モータ211の駆動軸140の回転力が駆動力伝達手段により伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aも回転しない。この結果、扉体2の回動は阻止される。このように、扉体2の全開状態は、扉体用開閉機210のブレーキ212で保持される。
【0074】
このため、本実施形態では、扉体用開閉機210のブレーキ212は、扉体2を全開状態に保持するための扉体全開保持手段となっている。そして、扉体用開閉機210のブレーキ212は、扉体2の回動軸である第2かさ歯車226の軸部226Aの回動を阻止するための回動軸回動阻止手段となっている。
【0075】
前述したように、図6は、扉体用開閉機210の内部構造を示す断面図である。なお、この図6において、扉体用開閉機210の左側の部分は一部省略(簡略化)して示されている。この図6に示されているように、扉体用開閉機210は、直流又は交流のモータ211とブレーキ212とを軸方向に並設したものであり、モータ211の駆動軸140は、このモータ211の回転する回転子111Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸140におけるブレーキ212側の端部には、円盤状のブレーキシュー141が結合されている。ブレーキ212には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸142が設けられ、このブレーキ軸142には、ブレーキシュー141と軸方向に対面するブレーキドラム143が結合されている。通常時のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、ばね144でモータ211側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー141とブレーキドラム143との圧接によりブレーキ212はオン(復帰状態)となっている。したがって、このときのモータ211の駆動軸140は、ブレーキ212の制動力によって回転しない。
【0076】
一方、ブレーキ212に配置されているソレノイド145が、扉体用開閉機制御盤242から供給される電力(解除電力)により通電されたときには、このソレノイド145の磁力により、ブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、ばね144に抗してモータ211から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー141とブレーキドラム143との圧接が解除され、ブレーキ212はオフ(解除状態)となる。したがって、このときには、モータ211の駆動軸140は、扉体用開閉機制御盤242から供給される電力(駆動電力)のコイル146への通電により回転できることになる。
【0077】
また、図6に示されているとおり、ブレーキ軸142におけるモータ211側とは反対側の端部にはレバー部材147が配置されている。このレバー部材147はブレーキ軸142を貫通したものであって、ブレーキ軸142を境界として区分される第1部分147Aと第2部分147Bとからなる。第1部分147Aには第1屈曲部147Cが形成され、第2部分147Bには第2屈曲部147Dが形成されている。第1部分147AにC方向、すなわち、モータ211側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分147Aが第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動するため、ブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドする。このため、ソレノイド145に通電しなくても、ブレーキ212をオフとすることができる。
【0078】
このように第1部分147AにC方向への荷重が作用することは、扉体用開閉機210に取り付けられている具体的な構造を後述する扉体用自動閉鎖装置241によって行われる。
【0079】
次に、火災発生等の非常時や平常時において、扉体2の全開状態を保持している扉体用開閉機210のブレーキ212を解除するための本実施形態に係る扉体用自動閉鎖装置241の構造について説明する。
【0080】
図7は、扉体用開閉機210の上部に隣接配置(図2及び図6参照)された扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す平面図であり、図8は、扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す側面図であり、図9は、扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す正面図である。なお、これらの図7〜図9は、連動中継器130からの作動信号が扉体用自動閉鎖装置241へ入力される前の状態を示す図である。
【0081】
図7及び図8に示すように、扉体用自動閉鎖装置241のケースとなっている機枠149には、互いに対向する2個の側面部である立上り部149B,149Eが設けられている。これらの立上り部149B,149Eに形成された貫通孔149C,149Fに、2個の立上り部149B,149Eに跨る長さを有している板状の第1スライド部材150が水平方向にスライド自在に挿入されている。これと同様に、これらの立上り部149B,149Eに形成された貫通孔149D,149Gに、2個の立上り部149B,149Eに跨る長さを有している板状の第2スライド部材155が水平方向にスライド自在に挿入されている。図7、及び機枠149の立上り部149Eの一部が破断されている図9に示すように、機枠149内において、第1スライド部材150は、第2スライド部材155よりも下方に配置されている。
【0082】
図10は、図7で示されている第1スライド部材150のみを示した図である。この図10に示すように、第1スライド部材150は、板材で形成された第1部材151及び第2部材153と、扉体用自動閉鎖装置241を作動させるための作動部材152とで構成されており、第1スライド部材150の主要部となっている第1部材151の前端(先端)は、下向きに屈曲した屈曲部151Aとなっており、この屈曲部151Aに作動部材152が取り付けられている。また、第1部材151の後方には、凹部151Bが形成されている。一方、第2部材153は、上向きに屈曲した第1屈曲部153Aと、下向きに屈曲した第2屈曲部153B及び第3屈曲部153Cとを有しており、この第2部材153は、図10に示すように、ビス等の止着具で第1部材151に止着されている。
【0083】
なお、図7に示すように、第1スライド部材150の第3屈曲部には、ばね164の一端が係止され、このばね164の他端は、機枠149の底部149Aに立設固定された係止部材163に係止されており、第1スライド部材150が矢印D方向にスライドすることにより、ばね164には矢印D方向とは反対の方向への戻しばね力が蓄圧される。
【0084】
図11は、図7で示されている第2スライド部材155のみを示した図である。また、図12は、図8において、第1スライド部材150及び第2スライド部材155の手前側に配置されている部材、装置を除外して示した図である。
【0085】
図11に示すように、第2スライド部材155は、板材で形成された第1部材156と第2部材157と第3部材158とで構成されている。また、図12に示すように、ビス等の止着具で第1部材156に止着されている第2部材157の上部は、機枠149に取り付けられた図7に示す直流モータ161の駆動軸に取り付けられたピニオン162に噛合するラック部157Aとなっている。また、第3部材158は、図11に示すように、第1スライド部材150のスライド方向と直交する方向に屈曲した第1屈曲部158Aと、ビス等の止着具で第1部材156に止着される下向きに屈曲した第2屈曲部158Bと、水平部158Cとからなっている。
【0086】
なお、前述したように、第1スライド部材150は、機枠149内において、第2スライド部材155よりも下方に配置されており、また、図7、図9及び図12に示すように、第2スライド部材155を構成する第3部材158の第1屈曲部158Aが、第1スライド部材150を構成する第2部材153の第1屈曲部153Aと後方から対向、接触するように配置されている。
【0087】
図13は、図7で示されている第1スライド部材150、第2スライド部材155、具体的な構造を後述する屈曲レバー部材165等のみを示す図である。
【0088】
図7に示されているように、扉体用自動閉鎖装置241の機枠149の底部149Aには、ソレノイド170が取り付けられており、このソレノイド170のプランジャ171には、ばね172のばね力がプランジャ171をソレノイド170から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ171の先端には、図7及び図8に示すように略コ字状に屈曲した被係止部材173が連結されており、この被係止部材173に、中心軸165Aを中心に回動自在となっている略L字形の屈曲レバー部材165(図13も参照)の一方の端部が係止されている。図7及び図8に示すように、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材165の他方の端部には、ローラ166が回転自在に設けられている。
【0089】
図7及び図13に示すように、このローラ166と対面する第1スライド部材150の部分には前述した凹部151Bが形成されている。また、扉体用自動閉鎖装置241には、屈曲レバー部材165に中心軸165Aを中心とするG方向への回動力を付与するためのばね167が設けられており、このばね167の一端は、屈曲レバー部材165の立上り部165Bに係止され、ばね167の他端は、機枠149の底部149Aに設けられた係止部材168に係止されている。
【0090】
図7及び図8に示されているとおり、扉体用自動閉鎖装置241には、屈曲レバー部材165が中心軸165Aを中心とするG方向への回動を行うことにより作動するマイクロスイッチ180と、第2スライド部材155が矢印D方向へスライドすることにより作動するマイクロスイッチ181が設けられている。
【0091】
マイクロスイッチ180は、作動部材であるアクチュエータ180Aが、中心軸165Aを中心とするG方向への回動を行う屈曲レバー部材165の立上り部165Bに当接可能に配置され、マイクロスイッチ181は、作動部材であるアクチュエータ181Aが、矢印D方向へスライドする第2スライド部材158の水平部158Cの下面に当接可能に配置される。
【0092】
次に、火災発生等の非常時における扉体用自動閉鎖装置241の動作について説明する。図5に示すように、火災発生等の非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)が入力されると、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241の図示しないブレーキ制御回路へ制御信号である作動信号(DC24V)が入力される。この作動信号の入力で扉体用自動閉鎖装置241の直流モータ161が正駆動し、この直流モータ161の駆動軸161Aに取り付けられたピニオン162は、図8に示す矢印E方向への回転を開始する。これにより、ピニオン162に噛合しているラック部157Aを有する第2スライド部材155は、図7に示す矢印D方向へスライドする。
【0093】
前述したように、第2スライド部材155を構成する第3部材158の第1屈曲部158Aは、第1スライド部材150を構成する第2部材153の第1屈曲部153Aの後方でこの第1屈曲部153Aと対向接触するように配置されている。
【0094】
このため、第2スライド部材155が矢印D方向へスライドすると、この第2スライド部材155の第1屈曲部153Aが、第1スライド部材150の第1屈曲部153Aを後方から矢印D方向へ押すことになる。これにより、第1スライド部材150は、第2スライド部材155とともに矢印D方向へスライドする。
【0095】
図14は、図7で示されている第1スライド部材150が、第2スライド部材155とともに扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される位置まで矢印D方向へスライドしたときを示す図である。また。図15は、図14で示されている第1スライド部材150、第2スライド部材155、屈曲レバー部材165、ばね164,167等のみを示した図である。
【0096】
第1スライド部材150と第2スライド部材155とが、図14に示す位置までスライドすることにより、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧するため、前述したように、この第1部分147Aがレバー部材147の第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動する。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドし、これにより、それまでオン(復帰状態)となっていたブレーキ212は、オフ(解除状態)となる。
【0097】
これにより、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140は自由回転状態となり、また、このモータ211の駆動軸140の回転力が駆動力伝達手段により伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aも自由回転状態となる。
【0098】
このため、全開状態が保持されていた扉体2は、ねじりコイルばね16に蓄圧されていたばね力により、図1に示す矢印A方向へ回動する閉鎖動作を開始し、扉体2は、シャッター開閉限リミットスイッチ240のうちの閉鎖限(閉鎖動作限)リミットスイッチが作動(ON)するまで閉鎖動作する。
【0099】
第1スライド部材150及び第2スライド部材155が、図14に示す位置までスライドすることにより、屈曲レバー部材165は、ばね167のばね力で矢印G方向(図7及び図13参照)へ回動し、この屈曲レバー部材165のローラ166が第1スライド部材150の凹部151Bに係合する。これにより、第1スライド部材150の後退が阻止された状態となり、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧する状態が継続される。すなわち、扉体用開閉機210のブレーキ212のオフ(解除)の状態が継続される。
【0100】
また、屈曲レバー部材165は、ばね167のばね力で矢印G方向へ回動し、この屈曲レバー部材165のローラ166が第1スライド部材510の凹部151Bに係合することにより、図14に示すように、屈曲レバー部材165の立上り部165Bがマイクロスイッチ180のアクチュエータ180Aを押圧するため、マイクロスイッチ180が作動する。これにより、扉体用自動閉鎖装置241に備えられている図示しないブレーキ制御装置から、扉体用開閉機210のブレーキ212の作動確認信号が連動中継器130へ入力される。また、マイクロスイッチ180の作動により、ブレーキ制御装置内には、直流モータ161の駆動を停止するための回路が生成され、これにより、直流モータ161の正駆動は停止する。
【0101】
また、第1スライド部材150が矢印D方向(図7参照)へスライドすることにより、この第2スライド部材155の水平部158Cの下面が、図9や図14に示すように、マイクロスイッチ181のアクチュエータ181Aを押圧するため、マイクロスイッチ181が作動する。これにより、ブレーキ制御装置内には、直流モータ161が逆駆動するための回路が生成する。なお、この回路を生成させるために、図14に示す第1スライド部材150の第2部材153の第2屈曲部153Bの側面にアクチュエータ182Aが押圧されるマイクロスイッチ182を使用するようにしてもよい。
【0102】
この後、直流モータ161の逆駆動により、第2スライド部材155は矢印D方向とは反対の方向にスライドするが、このスライドによりマイクロスイッチ181の作動が停止するので、直流モータ161の逆駆動は停止する。この結果、スライドしていた第2スライド部材155は元の位置で停止する。
【0103】
このように、第2スライド部材155は図7に示す元の位置に戻るが、第1スライド部材150は、前述したように、屈曲レバー部材165のローラ166が係合していることにより、図14の位置で停止したままとなり、扉体用開閉機210のブレーキ212のオフ(解除)の状態が継続される。
【0104】
扉体2の閉鎖動作中において、この扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在し、この障害物が赤外線センサ方式の扉体用障害物感知装置133により感知された場合には、この扉体用障害物感知装置133からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。この結果、ソレノイド170が励磁されてプランジャ171が吸引されるため、このプランジャ171の先端に連結された被係止部材173に一方の端部が係止されている屈曲レバー部材165は、図7に示す矢印G方向とは反対の方向へ回動する。
【0105】
これにより、第1スライド部材150の凹部151Bに係合していた屈曲レバー部材165のローラ166は、この凹部151Bから離脱する。このため、ローラ166との係合で後退が阻止されていた第1スライド部材150は、ばね164に蓄圧されたばね力で、元の位置までスライドする。
【0106】
この結果、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧していた状態は解除される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ212がオン(復帰状態)となるため、扉体用開閉機210の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段230を介して駆動軸140と連結されている第2かさ歯車226の軸部226Aの自由回転も阻止される。この結果、障害物に当接したまたは当接しそうな扉体2の閉鎖動作は停止する。
【0107】
なお、この停止中の扉体2から障害物が取り除かれると、扉体用障害物感知装置133から連動中継器130への障害物感知信号の入力が停止するが、この後、タイマーによる設定時間が経過した後、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241へは、この扉体用自動閉鎖装置241を再作動させるための(ブレーキ212を再度解除させるための)作動信号が入力されようにしてもよい。
【0108】
なお、閉鎖動作中の扉体2が全閉位置に達すると、扉体全閉感知スイッチ82が作動し、この扉体全閉感知スイッチ82から連動中継器130へ全閉信号が入力される。これにより、扉体用障害物感知装置133により障害物が感知された場合と同様に、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ212がオン(復帰状態)となるため、扉体用開閉機210の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段230を介して駆動軸140と連結されている第2かさ歯車226の軸部226Aの自由回転も阻止される。この結果、扉体2の閉鎖動作は停止する。すなわち、扉体2の全閉状態が保持される。
【0109】
なお、連動中継器130は、扉体2が全閉位置に達したときに当接する戸当たり部6Cに設けられている扉体全閉感知スイッチ82からの全閉信号が入力されたとき、所定時間が経過した後に、扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ作動信号を入力するようにし、これにより、ブレーキ212がオンとなるようにしてもよい。これによると、扉体全閉感知スイッチ82の作動タイミングの誤差によって扉体2の全閉直前でブレーキ212がオンしてしまうことを防ぐことができるので、扉体全閉感知スイッチ82の感知位置を厳格に決めなくても済む。
【0110】
一方、平常時において、出入口5を扉体2で閉鎖するためや、扉体2の開閉動作の試験を行うために、全開状態に保持されている扉体2を閉鎖動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ20Cを操作(押下)する。これにより、[閉]スイッチ20Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力され、この閉信号は、連動中継器130を中継して扉体用自動閉鎖装置241へ入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。
【0111】
なお、この平常時における扉体2の閉鎖動作の開始から、扉体2が全閉位置に達するまでの扉装置の動作(連動中継器130、扉体用自動閉鎖装置241、扉体用開閉機210、扉体用障害物感知装置133の動作)は、前述した非常時における扉体2の閉鎖動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0112】
なお、本実施形態では、前述したように、火災発生等の非常時において、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在し、この障害物が扉体用障害物感知装置133により感知された場合には、扉体2の閉鎖動作を停止させるようになっていたが、非常時には、扉体2で防災区画を形成する必要性から、扉体用障害物感知装置133の作動を無効化するようにしてもよい。すなわち、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在しても、扉体2の閉鎖動作を停止させる制御は行わないようにしてもよい。これにより、障害物が取り除かれた場合には、扉体2はねじりコイルばね16のばね力で全閉位置まで閉鎖動作し、この全閉位置に達した扉体2により防災区画が形成される。
【0113】
一方、非常時や平常時において、一度全閉位置まで閉鎖動作させた扉体2を再び全開位置まで開放動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下)する。これにより、[開]スイッチ20Aから連動中継器130へ開信号(開放動作指示信号)が入力され、この開信号は、連動中継器130を中継して扉体用開閉機制御盤242へ入力される。これにより、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させる制御と、モータ211を逆駆動させる制御を実行する。この結果、扉体2は、図1に示す矢印B方向への回動動作である開放動作を開始する。なお、上述した扉体用開閉機制御盤242による扉体用開閉機210のブレーキ212の解除は、開閉機210のソレノイド145への通電(解除電力の供給)によるものである。
【0114】
扉体2の開放動作中に、この扉体2の開放動作方向に障害物が存在し、この障害物が赤外線センサ方式の扉体用障害物感知装置245により感知された場合には、扉体用障害物感知装置245からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130から扉体用開閉機制御盤242へ障害物感知信号が入力され、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、障害物に当接したまたは当接しそうな扉体2の開放動作は停止する。この障害物を取り除いた後、扉体2を開放動作させる場合には、扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下する)。
【0115】
また、扉体2が全開位置に達すると、扉体開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチが作動し、この開放限リミットスイッチ82から連動中継器130へ全開信号が入力される。これにより、連動中継器130から扉体用開閉機制御盤242へ全開信号が入力され、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、扉体2の開放動作は停止する。すなわち、扉体2の全開状態が保持される。
【0116】
なお、扉体2の開放動作中に、扉体開閉操作部20の[停]スイッチ20Bが操作(押下)されると、この[停]スイッチ20Bから連動中継器130へ停信号(動作停止指示信号)が入力され、この停信号は、連動中継器130を中継して扉体用開閉機制御盤242へ入力される。これにより、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、扉体2の開放動作は停止する。
【0117】
なお、本実施形態では、扉体2の開閉動作が開始されるときには、連動中継器130から動作報知部118へ作動電力が供給され、この動作報知部118により、これから扉体2の開閉動作が開始される旨の報知が行われる。また、扉体2が開閉動作中に、扉体用障害物感知装置133,245による障害物感知がされたときには、動作報知部118により、障害物感知がされた旨等の異常報知が行われる。
【0118】
なお、非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から防災信号BSが連動中継器130に入力されず、扉体2が閉鎖動作を行わなかった場合には、扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ119Cを操作することにより、平常時と同様に扉体2を閉鎖動作させることができる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態では、非常時や平常時において、一度全閉位置まで閉鎖動作させた扉体2を再び全開位置まで開放動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下)する。これにより、扉体2は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で開放動作する。すなわち、本実施形態では、扉体2の開放動作は電動で行われ、従来のように、扉体2を人の手で開放動作させる必要がなくなる。
【0120】
このため、本実施形態によると、扉装置の管理運用にかかる人件費を削減することができるようになる。
【0121】
また、本実施形態では、扉体2の全開状態の保持は、扉体2を開放動作させるための扉体用開閉機210のブレーキ212により行われる。
【0122】
このため、本実施形態によると、従来のような扉体全開保持手段、すなわち、扉体を収納するための扉体収納部に設けられ、扉体に設けられた係止部が係止する被係止部を有するラッチ機構(いわゆる電磁レリーズ)は不要となる。
【0123】
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力が伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aが、扉体2の回動軸となっているが、この第2かさ歯車226の軸部226Aの下端は、扉体2の幅方向への長さを有するアーム部材228を介して扉体2の上端部に取り付けられている。
【0124】
このため、本実施形態によると、アーム部材228の長さを変更することにより、扉体2の上端部における第2かさ歯車226軸部226Aの下端との連結位置を、自由に変更することができる。
【0125】
なお、本実施形態に係る扉装置を、平常時において扉体2で出入口5を開閉するためのみに使用される管理専用扉装置とする場合には、すなわち、非常時において扉体2で出入口5を閉鎖させる必要がない場合には、図4及び図5に示す感知器18や防災センター操作盤19が接続される連動中継器130は不要となる。この場合には、扉体開閉操作部20の「閉」スイッチ20Cの操作で扉体用自動閉鎖装置241にDC24V信号が入力するようにし、また、扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20からの開信号、[閉]スイッチ20Cからの閉信号、[停]スイッチ20Cからの停信号が、直接扉体開閉制御盤242に入力されるようにする必要がある。
【0126】
図16は、以上説明した第1の実施形態における扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力が伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aと扉体2との連結構造の別実施形態を示す図3と同様の図である。
【0127】
この図16に示されている実施形態は、扉体2に結合された軸部材250と、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部と、をカップリング251で連結するものである。
【0128】
図17〜図19は、第2の実施形態に係る開閉装置を示す図であり、図17は、図1と同様に本実施形態に係る開閉装置の全体正面図であり、図18及び図19は、図4及び図5と同様に、本実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図である。図18は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、平常時において使用されない或いは動作しない装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっており、図19は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、非常時において使用されない或いは動作しない装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっている。なお、図17において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。また、図18及び図19では、扉体用障害物感知装置245の表示は省略されている。
【0129】
なお、以下に説明する各実施形態において、前述した第1の実施形態と同じ部材、機器、装置等については同じ符号を付し、これらの部材、機器、装置等についての説明は省略する。
【0130】
図17に示すように、本実施形態に係る開閉装置は、平常時においては、建物に形成された開口部である出入口90を開閉体であるシャッターカーテン101と扉体2とで開閉する扉装置付開口部用シャッター装置(言い換えると、袖扉付開口部用シャッター装置)として機能し、火災発生等の非常時においては、出入口90を閉鎖することにより防災区画を形成するための扉装置付防災用シャッター装置(言い換えると、袖扉付防災用シャッター装置)として機能する管理及び防災併用開閉装置となっている。
【0131】
図17に示されている本実施形態に係るシャッター装置は、出入口90の左側に配置され、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン101が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。
【0132】
なお、シャッターカーテン101と扉体2とで開閉される出入口90は、壁等の左右の建物躯体6と、全閉となったときのシャッターカーテン101と扉体2の下端部が当たる相手部材となっている床7と、図示しない天井部材と、全閉位置に達した扉体2の上端部が当たる戸当たり部6Cとで囲まれている。
【0133】
図17に示すように、出入口90の右側を開閉するための本実施形態に係る扉装置は、前述の第1の実施形態に係る扉装置とほぼ同様の構成、構造を有しており、以下、本実施形態に係る扉装置が第1の実施形態に係る扉装置と異なる主な点について説明する。
【0134】
図17〜図19から分かるように、本実施形態に係る扉装置では、扉体2のみを開閉動作させるための前述の第1の実施形態の扉体開閉操作部20は設けられていない。
【0135】
図18及び図19に示されているように、本実施形態に係る開閉装置には、平常時において、扉体2及びシャッターカーテン101の開閉操作を行うための押しボタン型スイッチで構成される電動開閉操作部119と、火災発生等の非常時において、扉体2及びシャッターカーテン101を手動で閉鎖操作するための押しボタン型スイッチで構成される非常閉鎖操作部132と、を備えている。
【0136】
本実施形態では、平常時において、電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作を行い、[開]スイッチ119Aを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した開放動作を行う。また、非常時において、非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作を行う。
【0137】
図17に示すように、シャッターカーテン101を繰り出し、巻き取るための巻取軸106は、出入口90に対して図示しない天井部材で仕切られている天井裏空間91に水平方向を軸方向として配置され、巻取軸106の軸方向両端部は支持部材である左右のブラケット104,105で回転自在に支持されている。これらのブラケット104,105は、天井裏空間91に存在する建物躯体6に、ボルト等の止着具で結合されている。巻取軸106にはシャッターカーテン101の上端部が結合されており、このシャッターカーテン101は、カーテン本体101Aと、このカーテン本体101Aの下端に設けられている座板101Bとを有する。カーテン本体101Aは多数のスラットの連設で形成され、このようにスラット式となっているシャッターカーテン101は、平常時には巻取軸106に巻き取られている。
【0138】
図17に示すように、左右一対のブラケット104,105のうち一方のブラケット105には、モータ111とブレーキ112の組み合わせ(図18及び図19参照)からなるシャッター用開閉機110が取り付けられ、このシャッター用開閉機110は巻取軸106とチェーン、ホイール等からなる駆動力伝達手段107を介して連結されている。なお、シャッター用開閉機110及び駆動力伝達手段107は、前述の第1の実施形態の扉体用開閉機210及び駆動力伝達手段230と同様の形状、構造、機能を有している。
【0139】
シャッター用開閉機110は、巻取軸106を駆動させるための駆動装置、言い換えると、シャッターカーテン101を開閉動作(開閉移動)させるための駆動装置となっている。また、図示されていないが、シャッター用開閉機110の駆動軸の回転力は、この駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、巻取軸106の一方の端部(図17では右端部)に取り付けられた被動スプロケットホイールと、これらのスプロケットホイールの間に架け渡されたローラチェーンとによる前記駆動力伝達手段107を経て巻取軸106に伝達される。
【0140】
巻取軸106からのシャッターカーテン101の繰り出し、巻き取りは巻取軸106の正逆回転によってなされ、シャッターカーテン101の左右方向である幅方向の両端部のうちの一方の端部、すなわち、扉体2と隣接する側の端部とは反対側の端部(図17では左端部)は、出入口90の左枠となっている柱、壁等の建物躯体6に取り付けられているガイド部材であるガイドレール103にスライド自在に挿入されている。また、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの他方の端部(図17では右端部)は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部3C,3Eのうち、シャッターカーテン101と隣接する側の端部3Eに扉体2の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成された溝部3Fにスライド自在に挿入されている。このため、巻取軸106の正逆回転によって天井部材に配設されているまぐさ102を通過して行われるシャッターカーテン101の上下方向への移動である開閉動作は、シャッターカーテン101の幅方向両側に配置されていて、鉛直方向を長さ方向としているガイドレール103や、全閉位置に達した扉体2に形成されたガイド部である溝部3Fに案内されながら行われる。
【0141】
本実施形態では、上述したように、シャッターカーテン101の開閉動作は、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全閉位置に達した扉体2に形成されたガイド部である溝部3Fに案内されながら行われる。
【0142】
このため、本実施形態では、扉体2及びシャッターカーテン101を閉鎖動作させる場合、まず扉体2を全閉位置まで閉鎖動作させた後に、シャッターカーテン101を閉鎖動作させる必要がある。一方、扉体2及びシャッターカーテン101を開放動作させる場合、まずシャッターカーテン101を全開位置まで開放動作させた後に、扉体2を開放動作させる必要がある。
【0143】
前述したように、本実施形態に係るシャッター用開閉機110は、前述の第1の実施形態に係る図6に示す扉体用開閉機210と同様の形状、構造、機能を有している。このため、以下において、シャッター用開閉機110、モータ111、ブレーキ112の説明をする場合は、図6を参照しながら行い、その際、図6に示す扉体用開閉機210、モータ211、ブレーキ212を、シャッター用開閉機110、モータ111、ブレーキ112に置き換えてこれらの説明をする。
【0144】
また、本実施形態に係るシャッター用自動閉鎖装置134も、前述の第1の実施形態に係る図7〜図15に示す扉体用自動閉鎖装置241と同様の形状、構造、機能を有している。このため、以下において、シャッター用自動閉鎖装置134の説明をする場合は、図7〜図15を参照しながら行い、その際、図7〜図9、図12、図14に示す扉体用自動閉鎖装置241をシャッター用自動閉鎖装置134に置き換えてこのシャッター用自動閉鎖装置134の説明をする。
【0145】
図18及び図19に示されているシャッター用開閉機制御盤113は、連動中継器130で中継される電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aからの開信号(開放動作指示信号)、[閉]スイッチ119Cからの閉信号(閉鎖動作指示信号)、[停]スイッチ119Bからの停信号(停止動作指示信号)に従い、シャッター用開閉機110のブレーキ112の解除や復帰(図6に示すソレノイド145の通電(解除電力の供給)や通電停止(解除電力の供給停止))や、モータ111の駆動(駆動電力の供給)や駆動停止(駆動電力の供給停止)を行う。
【0146】
また、シャッター用開閉機制御盤113は、シャッターカーテン101が全開位置に達したときに作動(ON)する上限リミットスイッチと、シャッターカーテン101が全閉位置(本実施形態では、床7よりも若干下の位置)に達したときに作動(ON)する下限リミットスイッチからなる上下限リミットスイッチ122からの上限リミット信号(全開信号)や下限リミット信号(全閉信号)に従い、シャッター用開閉機110のブレーキ112の復帰や、モータ111の駆動停止を行う。
【0147】
なお、シャッター用開閉機制御盤113は、連動中継器130や扉体用開閉機制御盤242と同様に、商用電源120から供給される電力で動作するものである。
【0148】
また、本実施形態では、シャッターカーテン101の閉鎖動作中にこの閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための座板スイッチ115がリード線116を介して連動中継器130に接続されている。このリード線116は、シャッターカーテン101の開閉動作とともに、まぐさ102配置されたコードリール114に巻き取られ、繰り出されるものである。
【0149】
シャッターカーテン101の座板101Bの閉じ側(閉鎖動作方向)の先端部は、開閉動作方向である上下方向に移動可能な可動部となっており、座板スイッチ115は、座板101Bの不動部に設けられており、シャッターカーテン101の閉じ動作中に座板101Bの可動部が障害物に当接し、この可動部が開き側(開放動作方向)に後退することにより作動するスイッチとなっている。座板スイッチ115が作動することにより、この座板スイッチ115から連動中継器130へ障害物感知信号が入力される。このように、本実施形態では、シャッターカーテン101の閉鎖動作中にこの閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための有線式の障害物感知装置が備えられている。
【0150】
本実施形態では、連動中継器130には、シャッター用開閉機110及び扉体用開閉機210を除く主要な装置が接続されている。
【0151】
連動中継器130の主な機能には、電動開閉操作部119からの操作信号(開信号、閉信号、停信号)をシャッター用開閉機制御盤113及び扉体用開閉機制御盤242へ中継すること、非常閉鎖操作部132からの作動信号をシャッター用自動閉鎖装置134及び扉体用自動閉鎖装置241へ中継すること、シャッターカーテン101の電動降下(電動による閉鎖動作)中における障害物感知時の反転制御を行うこと、停電時における各機器への非常電源(バッテリー)を供給すること、防災信号BSを中継し、シャッター用自動閉鎖装置134及び扉体用自動閉鎖装置241へ連続(継続的に)発報すること、非常時のシャッターカーテン101の閉鎖動作中における障害物感知時に、シャッター用自動閉鎖装置134へ復旧動作、再作動動作の制御を行うこと、扉体2の閉鎖動作中における障害物感知時に、扉体用自動閉鎖装置241へ復旧動作の制御を行うこと、扉体2、シャッターカーテン101の順に閉鎖動作させる制御を行うこと、シャッターカーテン101、扉体2の順に開放動作させる制御を行うこと、電動開閉操作部119からの操作信号が閉信号である場合や、非常閉鎖操作部132からの操作信号が作動信号がある場合には、扉体用自動閉鎖装置241へ作動信号を入力すること等がある。なお、これらの機能は、別個の制御盤に分離して実現するようにしてもよい。
【0152】
なお、前述の第1の実施形態の実施形態と同様に、連動中継器130は、停電時に使用される予備電源(バッテリー)を内蔵しており、処理待機状態においては、この予備電源の充電を行う。このように、連動中継器130は、扉体2と、シャッターカーテン101とを連動して開閉動作させるための開閉制御手段となっている。
【0153】
平常時におけるシャッターカーテン101の開閉動作制御を行う連動中継器130の基本動作は、まず電動開閉操作部119からの操作信号(開信号、閉信号、停信号)をシャッター用開閉機制御盤113へ中継する。電動による閉鎖動作(電動降下)中に障害物が感知された場合には、シャッターカーテン101を反転上昇させる制御(開放動作制御)をシャッター用開閉機制御盤113に指示(シャッター用開閉機110に停止指示信号、開放指示信号を入力)する。なお、シャッターカーテン101の開閉動作中は、動作報知部118を作動させる。
【0154】
前述したように、上下限リミットスイッチ122の上限リミットスイッチの設定位置は、シャッターカーテン101の全開位置である。一方、下限リミットスイッチの設定位置は、床7よりも若干下の高さ位置であり、これは、閉鎖動作中のシャッターカーテン101の座板スイッチ115の故障によるオーバーラン(シャッターカーテン101の巻取軸106から繰り出しオーバー)を検知するためのものある。すなわち、下限リミットスイッチは、座板スイッチ115の故障診断を行うための座板スイッチ故障診断手段となっている。
【0155】
増設リミットスイッチ131の設定位置は、床7から若干上の高さ位置(例えば20mm程度)である。すなわち、増設リミットスイッチ131は、閉鎖動作中のシャッターカーテン101が、床7から若干上の高さ位置まで達した(閉じ移動した)ときに作動(ON)するものである。
【0156】
前述したように、扉体用自動閉鎖装置241と同様の形状、構造、機能を有するシャッター用自動閉鎖装置134には、非常時において、扉体用自動閉鎖装置241の作動により扉体用開閉機210のブレーキ212が解除されて閉鎖動作を開始した扉体2が全閉位置に達する(扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)する)ことで、連動中継器130から作動信号が入力される。これにより、復帰状態となっているシャッター用開閉機110のブレーキ112が解除され、シャッターカーテン101が閉鎖動作(自重降下)するものである。
【0157】
前述したように、電動開閉操作部119の近傍に配置されている非常閉鎖操作部132は、押しボタン型スイッチである[作動]スイッチ132Aと[復帰]スイッチ132Bとを有し、これらは、平常時には操作されないようにアクリル樹脂製のカバーで覆われている。
【0158】
非常時において、何らかの原因で感知器18や防災センター操作盤19から防災信号BSが連動中継器130へ入力されず、扉体用自動閉鎖装置241が作動しなかった場合に使用されるものであり、この非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aを管理者等の人間が操作することにより、非常閉鎖操作部132から防災信号BSと同等の信号である作動信号(DC24V)を連動中継器130へ入力させるものである。このため、非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aは、非常時に、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させるための扉体用自動閉鎖装置241を、手動により強制的に作動させる非常時閉鎖操作手段となっている。一方、[復帰]スイッチ132Bは、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除状態にしている扉体用自動閉鎖装置241を元の状態に戻す(復帰させる)ため使用されるものである。
【0159】
平常時において、電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cが操作(押下)されると、[閉]スイッチ119Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力された連動中継器130は、シャッター用開閉機制御盤113へ閉信号を入力する。閉信号が入力されたシャッター用開閉機制御盤113から、シャッター用開閉機110のソレノイド145へ解除電力が供給され、このソレノイド145が通電されることにより、ブレーキ112がオフ(解除状態)となる。この後、シャッター用開閉機制御盤113から、シャッター用開閉機110のモータ111に駆動電力が供給されることにより、モータ111の駆動軸140が正回転し、このモータ111の駆動軸140の回転力は、駆動力伝達手段107を経て巻取軸106に伝達される。これにより、巻取軸106から繰り出されることによるシャッターカーテン101の閉鎖動作が開始される。
【0160】
次に、火災発生等の非常時において、シャッターカーテン101の全開状態を保持しているシャッター用開閉機110のブレーキ112を解除するための本実施形態に係るシャッター用自動閉鎖装置134の動作について説明する。
【0161】
図19に示すように、火災発生等の非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)が入力されると、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241へ作動信号(DC24V)が入力され、扉体2がねじりコイルばね16のばね力で閉鎖動作を開始する。そして、扉体2が全閉位置に達し、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)すると、この扉体全閉感知スイッチ82から連動中継器130へ扉体全閉信号が入力される。この後、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134の図示しないブレーキ制御回路へ制御信号である作動信号(DC24V)が入力される。この作動信号の入力でシャッター用自動閉鎖装置134の第1スライド部材150がスライドし、この第1スライド部材の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧するため、前述したように、この第1部分147Aがレバー部材147の第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動する。これにより、シャッター用開閉機110のブレーキ112のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドし、これにより、それまでオン(復帰状態)となっていたブレーキ112は、オフ(解除状態)となる。
【0162】
このため、シャッター用開閉機110ブレーキ112により全開状態が保持されていたシャッターカーテン101は、巻取軸106よりも下側の部分の座板101B等の自重により、巻取軸106を正回転させながら下向きに閉鎖動作(閉じ移動)することになり、シャッター用開閉機110の前述した駆動軸140も駆動力伝達手段107(図17参照)を介して自由回転し、シャッターカーテン101はシャッター上下限リミットスイッチ122のうちの下限リミットスイッチが作動(ON)するまで自重降下する。
【0163】
この後、第2スライド部材155は図7に示す元の位置に戻るが、第1スライド部材150は、前述したように、屈曲レバー部材165のローラ166が係合していることにより、図14の位置で停止したままとなり、シャッター用開閉機110のブレーキ112のオフ(解除)の状態が継続される。すなわち、シャッターカーテン101の自重降下中は、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧する状態が継続される。
【0164】
シャッターカーテン101の自重降下(閉鎖動作)中において、このシャッターカーテン101の閉鎖動作方向に障害物が存在し、シャッターカーテン101の座板101Bに設けられている座板スイッチ115がこの障害物に当接することにより作動(ON)した場合、座板スイッチ115からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。これにより、第1スライド部材150は、ばね164に蓄圧されたばね力で元の位置までスライドする。
【0165】
この結果、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧していた状態は解除される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ112がオン(復帰状態)となるため、シャッター用開閉機110の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段107を介して駆動軸140と連結されている巻取軸106の自由回転も阻止される。この結果、障害物に当接したシャッターカーテン101の自重降下は停止する。
【0166】
この停止中のシャッターカーテン10から障害物が取り除かれると、座板スイッチ115から連動中継器130への障害物感知信号の入力が停止する。この後、タイマーによる設定時間が経過した後、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134へは、このシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させるための(ブレーキ112を再度解除させるための)作動信号(DC24V)が入力される。
【0167】
なお、座板スイッチ115を備える閉鎖動作中のシャッターカーテン101が全閉位置(床7)に達する際のシャッターカーテン101の動作制御仕様、すなわち、下限停止動作仕様には、第1仕様である床面停止仕様と、第2仕様である床面押し込み仕様と、がある。要するに、下限停止動作仕様の違いは、シャッターカーテン101の閉鎖動作制御を行うに際して、床7を障害物として取り扱うか否かである。この動作仕様(動作モード)の設定は、連動中継器130に設けられたディップスイッチを操作することによりできる。
【0168】
この下限停止動作仕様の違いによるシャッターカーテン101の閉鎖動作制御については後述するが、例えば、下限停止動作仕様が第1仕様(床面停止仕様)である場合には、自重降下中のシャッターカーテン101が全閉位置である床7に達することにより、このシャッターカーテン101の座板スイッチ115が作動(ON)した場合には、上述した床7を障害物として感知した場合の処理(座板スイッチ115から連動中継器130への障害物感知信号の入力、及び連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134への復帰信号の入力)が行われる。
【0169】
次に、平常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の流れを図20〜図23のフローチャート図により説明する。
【0170】
図20に示すように、操作待機状態(ステップS301−NO)となっている電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cが管理者により操作されて作動(ON)した場合、すなわち、電動開閉操作部119から連動中継器130へ扉体2を閉鎖動作させるための閉信号(閉鎖指示信号)が入力された場合(ステップS301−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御が開始される(ステップS302)。
【0171】
このステップS302の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS303)。このステップS303において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS303−NO)には、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS304)。これにより、動作報知部118による扉体2の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(ステップS305)。
【0172】
一方、前記ステップS303において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS303−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の開始指示を行う(図22に示すステップS321)。
【0173】
前記ステップS305の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS306)。このステップS306において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS306−NO)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力を開始する(ステップS307)。これにより、オン(復帰)状態となっていた扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される(ステップS308)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212により回動が阻止されていた扉体2の回動軸は回動自在となる。すなわち、扉体2の開閉動作が可能となる。
【0174】
一方、前記ステップS306において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS306−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(図21に示すステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0175】
前記ステップS308の後は、扉体2の閉鎖が所定時間以内に正常に行われた否かを判定するための扉体閉鎖監視タイマーのカウントが開始される(ステップS309)。また、このステップS309の後、ねじりコイルばね16のばね力による扉体2の閉鎖動作が開始される(ステップS310)。
【0176】
このステップS310の後、前述したステップS306と同様に、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS311)。このステップS311において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS311−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0177】
一方、前記ステップS311において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS311−NO)には、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS313)。このステップS313において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS313−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0178】
一方、ステップS313において、[停]スイッチ119Bが作動していない場合(ステップS313−NO)には、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過したか否かの判定処理(ステップS313)が行われる。このステップS313において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS314−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0179】
一方、ステップS314において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップS314−NO)には、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップ315)。このステップS315において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS315−NO)には、前記ステップS311の処理へ戻る。
【0180】
一方、ステップS315において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS315−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS316)。
【0181】
このステップS316の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS317)が行われる。このステップS317において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS317−NO)には、前記ステップS311の処理へ戻る。
【0182】
一方、ステップS317において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS317−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS318)。また、扉体全閉感知スイッチ82からの全閉感知信号が扉体用自動閉鎖装置241へ入力され、扉体用自動閉鎖装置241は元の状態に復帰する(ステップS319)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が復帰(ON)する(ステップS320)。
【0183】
このステップS320の後、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の開始指示を実行する(ステップS321)。
【0184】
このステップS321の後、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始され(ステップS322)、この後、シャッターカーテン101の閉鎖動作(電動降下)が開始される(ステップS323)。
【0185】
このステップS323の後、上下限リミットスイッチ122のうちの下限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理、すなわち、下限リミットスイッチからのシャッター下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS324)。
【0186】
このステップS324において、下限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS324−YES)には、座板スイッチ115が故障し、シャッターカーテン101がオーバーランしていると判定できるため、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS325)、この後、動作報知部118によるシャッター装置の故障報知が行われ(ステップS326)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0187】
一方、前記ステップS324において、下限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS324−NO)には、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理、すなわち、座板スイッチ115からのシャッター障害物感知信号の入力の判定処理が行われる(ステップS327)。
【0188】
このステップS327において、座板スイッチ115が作動(ON)している場合(ステップS327−YES)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の一般的な動作制御処理(シャッターカーテン101を停止させた後、所定時間(例えば2秒間)反転上昇させ、この後、停止させる)を実行する(ステップS328)。そして。このステップS228の後は、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS330)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0189】
一方、前記ステップS327において、座板スイッチ115が作動(ON)していない場合(ステップS327−NO)には、[停]スイッチ119Bの作動(ON)の判定処理、すなわち、[停]スイッチ119Bからの停信号の入力の判定処理が行われる(ステップS329)。
【0190】
このステップS329において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)している場合(ステップS329−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS330)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0191】
一方、前記ステップS329において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS329−NO)には、ディップスイッチの操作により設定された下限停止動作仕様の判定処理、すなわち、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS331)。
【0192】
このステップS331において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合、言い換えると、床面停止仕様である場合(ステップS331−NO)には、前記ステップS324の判定処理に戻る。
【0193】
一方、前記ステップS331において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS331−YES)には、増設リミットスイッチ131の作動(ON)の判定処理、すなわち、増設リミットスイッチ131からの増設下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS332)。
【0194】
このステップS332において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)していない場合(ステップS332−NO)には、前記ステップS324の判定処理に戻る。
【0195】
一方、前記ステップS332において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)している場合(ステップS332−YES)には、座板スイッチ115の作動を無効させる時間をカウントするための座板スイッチ作動無効タイマーのカウントが開始され(ステップS333)、これにより、座板スイッチ115の作動が無効化される、すなわち、座板スイッチ115からの障害物感知信号の入力が無効化される(ステップS334)。
【0196】
このステップS334の後、下限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS335)。
【0197】
このステップS335において、下限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS335−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS336)、この後、動作報知部118によるシャッター装置の故障報知が行われ(ステップS337)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0198】
一方、前記ステップS335において、下限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS335−NO)には、[停]スイッチ119Bの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS338)。
【0199】
このステップS338において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)している場合(ステップS338−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS339)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0200】
一方、前記ステップS338において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS338−NO)には、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過しているか否かの判定処理が行われる(ステップS340)。
【0201】
このステップS340において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS340−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS339)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0202】
一方、前記ステップS340において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップ340−NO)には、前記ステップS335の判定処理へ戻る。
【0203】
次に、平常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御の流れを図24〜図26のフローチャート図により説明する。
【0204】
図24に示すように、操作待機状態(ステップS351−NO)となっている電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aが管理者により操作されて作動(ON)した場合、すなわち、電動開閉操作部119から連動中継器130へ扉体2を開放動作させるための開信号(開放指示信号)が入力された場合(ステップS351−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御が開始される(ステップS352)。
【0205】
このステップS352の後、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS353)。
【0206】
このステップS353の後、上下限リミットスイッチ122のうちの上限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理、すなわち、上限リミットスイッチからのシャッター上限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS354)。
【0207】
このステップS354において、上限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS354−NO)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の開始指示を行う(ステップS355)。
【0208】
一方、前記ステップS354において、上限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS354−YES)には、動作報知部118による扉体2の開放動作を事前報知する処理が開始される(図25に示すステップS368)。
【0209】
前記ステップS355の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS356)。このステップS356において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS356−NO)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS357)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS358)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0210】
一方、前記ステップS356において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS356−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS359)。
【0211】
このステップS359の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS360)が行われる。このステップS360において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS360−NO)には、前記ステップS356の処理へ戻る。
【0212】
一方、ステップS360において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS360−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の開放動作を事前報知する処理が開始される(ステップS361)。この後、シャッターカーテン101の電動上昇(開放動作)が開始される(ステップS362)。
【0213】
このステップS362の後、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS363)。このステップS363において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS363−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS364)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS365)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0214】
一方、前記ステップS363において、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS363−NO)には、上限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS366)。
【0215】
このステップS366において、上限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS365−NO)には、前記ステップS363の判定処理へ戻る。
【0216】
一方、前記ステップS366において、上限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS366−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を行う(ステップS367)。このステップS367の後、動作報知部118による扉体2の開放動作を事前報知する処理が開始される(ステップS368)。
【0217】
このステップS368の後、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の開始指示を行う(ステップS369)。これにより、扉体2の電動開放が開始される(ステップS370)。
【0218】
このステップS370の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS371)。このステップS371において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS371−YES)には、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS374)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS375)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0219】
一方、前記ステップ371において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS371−NO)には、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS372)。このステップS372において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS372−YES)には、前記ステップS374以降の処理が行われる。
【0220】
一方、前記ステップ372において、[停]スイッチ119Bが作動していない場合(ステップS372−NO)には、扉体用開閉機210に設けられている扉体開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチの作動(ON)(開放限信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS373)。このステップS373において、開放限リミットスイッチが作動していない場合(ステップS373−NO)には、前記ステップS371の判定処理に戻る。
【0221】
一方、前記ステップS373において、開放限リミットスイッチが作動している場合(ステップS373−YES)には、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS374)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS375)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0222】
次に、火災発生等の非常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の流れを図27〜図30のフローチャート図により説明する。
【0223】
図27に示すように、防災信号BS又は非常閉鎖操作部132からの作動信号入力待機状態(ステップS401−NO)となっている連動中継器130に防災信号BSや作動信号が入力された場合(ステップS401−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御が開始される(ステップS402)。
【0224】
このステップS402の後、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS403)。
【0225】
このステップS403の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS404)。このステップS404において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS404−NO)には、これにより、動作報知部118による扉体2の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(ステップS405)。
【0226】
一方、前記ステップS404において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS404−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(図29に示すステップS420)。
【0227】
前記ステップ405の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS406)。このステップS406において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS406−NO)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力を開始する(ステップS407)。これにより、オン(復帰)状態となっていた扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される(ステップS408)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ213により回動が阻止されていた扉体2の回動軸は回動自在となる。すなわち、扉体2の閉鎖動作が可能となる。
【0228】
一方、前記ステップS406において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS406−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(図29に示すステップS420)。
【0229】
前記ステップS408の後は、ねじりコイルばね16のばね力による扉体2の閉鎖動作が開始される(ステップS409)。また、このステップS409の後、扉体2の閉鎖が所定時間以内に正常に行われた否かを判定するための扉体閉鎖監視タイマーのカウントが開始される(ステップS410)。
【0230】
このステップS410の後、前述したステップS406と同様に、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS411)。このステップS411において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS411−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0231】
一方、前記ステップS411において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS411−NO)には、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過したか否かの判定処理(ステップS412)が行われる。このステップS412において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS412−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0232】
一方、ステップS412において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップS412−NO)には、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS413)。このステップS413において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS413−NO)には、前記ステップS411の処理へ戻る。
【0233】
一方、ステップS413において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS413−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS414)。
【0234】
このステップS414の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS415)が行われる。このステップS415において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS415−NO)には、前記ステップS411の処理へ戻る。
【0235】
一方、ステップS415において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS415−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0236】
このステップS416の後、扉体用開閉機210のブレーキ212を復帰させるための復帰信号が、扉体用自動閉鎖装置241へ入力され(ステップS417)、これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が復帰する(ステップS418)。
【0237】
このステップS418の後、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始され(ステップS420)、この後、シャッター用自動閉鎖装置134へこのシャッター用自動閉鎖装置134を作動させるための作動信号が入力される(ステップS421)。この作動信号の入力によるシャッター用自動閉鎖装置134の作動で、シャッター用開閉機110ブレーキ112が解除される(ステップS422)。これにより、シャッターカーテン101の閉鎖動作(自重降下)が開始される(ステップS423)。
【0238】
このステップS423の後、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理、すなわち、座板スイッチ115からのシャッター障害物感知信号の入力の判定処理が行われる(ステップS424)。
【0239】
このステップS424において、座板スイッチ115が作動(ON)している場合(ステップS424−YES)には、ディップスイッチの操作により設定された下限停止動作仕様の判定処理、すなわち、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS425)。
【0240】
なお、座板スイッチ115が作動(ON)することにより、座板スイッチ115からシャッター用自動閉鎖装置134へ障害物感知信号が入力され、これにより、解除状態となっていたシャッター用開閉機110のブレーキ112が復帰状態となるため、シャッターカーテン101の自重降下は停止している。
【0241】
前記ステップS425において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合、言い換えると、床面停止仕様である場合(ステップS425−NO)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の動作制御処理(障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなるまでシャッターカーテン101を停止させ、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなった場合には、所定時間後(例えば10秒後)にシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させて、シャッターカーテン101を再降下させる)を実行する(ステップS426)。なお、このステップS426の後は、前記ステップS424の判定処理へ戻る。
【0242】
前記ステップS425において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS425−YES)には、停電(商用電源120からの電力供給不可)の判定処理が行われる(ステップS427)。
【0243】
このステップS427において、停電である場合(ステップS427−YES)には、前記ステップS426の処理を実行する。
【0244】
一方、前記ステップS427において、停電でない場合(ステップS427−NO)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の動作制御処理(停止させたシャッターカーテン101を所定時間(例えば2秒間)反転上昇させた後、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなるまでシャッターカーテン101を停止させ、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなった場合には、所定時間後(例えば10秒後)にシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させて、シャッターカーテン101を再降下させる)を実行する(ステップS428)。このステップS428において、「反転上昇」とは、連動中継器130からシャッター用開閉機制御盤113への指示に基づくシャッター用開閉機110のモータ111の駆動(逆駆動)によるものであり、このときのシャッター用開閉機110のブレーキ112の解除は、シャッター用開閉機110のソレノイド145への通電(解除電力の供給)によるものである。なお、このステップS428の後は、前記ステップS424の判定処理へ戻る。
【0245】
前記ステップS424において、座板スイッチ115が作動(ON)してない場合(ステップS424−NO)には、増設リミットスイッチ131の作動(ON)の判定処理、すなわち、増設リミットスイッチ131からの増設下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS429)。
【0246】
このステップS429において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)していない場合(ステップS429−NO)には、前記ステップS424の判定処理に戻る。
【0247】
一方、前記ステップS429において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)している場合(ステップS429−YES)には、防災盤等へ閉鎖確認信号を入力する(ステップS427)。このステップS427の後、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS428)。
【0248】
このステップS428において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS428−YES)には、座板スイッチ115の作動を無効させる時間をカウントするための座板スイッチ作動無効タイマーのカウントが開始され(ステップS429)、これにより、座板スイッチ115の作動が無効化される、すなわち、座板スイッチ115からの障害物感知信号の入力が無効化される(ステップS430)。
【0249】
このステップS430の後、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過しているか否かの判定処理が行われる(ステップS431)。
【0250】
このステップS431において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過してない場合(ステップS431−NO)には、このステップS431の判定処理を繰り返す。
【0251】
一方、ステップS431において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS431−YES)には、シャッター用自動閉鎖装置134へ障害物感知信号を入力する(ステップS432)。これにより、シャッター用自動閉鎖装置134は、解除状態となっていたシャッター用開閉機110のブレーキ112を復帰させる(ステップS433)。この結果、シャッターカーテン101の自重による閉鎖動作は停止する(ステップS434)。
【0252】
また、前記ステップS428において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合(ステップS428−NO)には、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS435)。
【0253】
このステップS435において、座板スイッチ115が作動(ON)していない場合(ステップS435−NO)には、このステップS435を繰り返す。
【0254】
一方、このステップS435において、座板スイッチ115が作動(ON)した場合、すなわち、床7に当接することにより座板スイッチ115が作動した場合(ステップS435−YES)には、前記ステップS432以降の処理を実行し、これにより、シャッターカーテン101の自重による閉鎖動作は停止する。
【0255】
以上説明した本実施形態によると、前述の第1の実施形態と同様に、扉体2の開放動作は電動により行わせることができ、それだけ、開閉装置(袖扉付シャッター装置)の管理運用にかかる人件費を削減できるようになる。
【0256】
また、本実施形態によると、非常時において、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作をさせることができるだけでなく、平常時においても、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作及び開放動作をさせることができる。
【0257】
なお、本実施形態に係る開閉装置を、平常時において扉体2及びシャッターカーテン101で出入口90を開閉するためのみに使用される管理専用開閉装置(袖扉付シャッター装置)とする場合には、すなわち、非常時において扉体2及びシャッターカーテン101で出入口90を閉鎖させる必要がない場合には、図18及び図19に示す感知器18や防災センター操作盤19が接続される連動中継器130からバッテリー、防災信号BSに対する連動機能を省略することができる。
【0258】
図31は、第3の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。また、図32及び図33は、図4及び図5と同様に本実施形態に係る開閉装置を構成する主要な装置のブロック線図であり、図32は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、図33は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものである。なお、図31において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。
【0259】
図31に示されているように、本実施形態に係る開閉装置では、開閉体は、1個のシャッターカーテン101と、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部に並設された2個の扉体2,2´とで構成されている。また、本実施形態に係る開閉装置では、図32及び図33に示すように、各扉体用の扉体用開閉機210,210´、扉体用開閉機制御盤242、242´、扉体用自動閉鎖装置241,241´、開閉限リミットスイッチ240,240´、扉体全閉感知スイッチ82,82´、扉体用障害物感知装置133,133´、扉体用障害物感知装置245,245´が備えられている。
【0260】
本実施形態では、前述した各実施形態と同様に、扉体2,2´は、扉体用開閉機210,210´のモータ211,211´の駆動軸の回転力で、電動による開放動作が行われるようになっている。
【0261】
開放動作していた扉体2,2´が全開位置に達すると、扉体用開閉機210,210´のモータ211,211´の駆動軸は、この扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´の制動力により回転しないため、扉体2,2´の回動は阻止される。これにより、扉体2,2´の全開状態は、扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´で保持される。このため、本実施形態では、扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´は、扉体2を全開状態に保持するための扉体全開保持手段となっている。
【0262】
本実施形態における連動中継器130により実行される閉鎖動作制御は、概ね前述した第2の実施形態と同じであるが、シャッターカーテン101の開閉動作は、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部が2個の扉体2,2´に設けられたガイド部である溝部3Fで案内されて行われるため、まず2個の扉体2,2´の閉鎖動作を開始(同時でもよく、あるいは時間差を置いてもよい)させ、これらの扉体2,2´の両方が全閉位置に達した(扉体全閉感知スイッチ82,82´の両方が作動(ON)した後に、シャッターカーテン101を閉鎖動作させる必要がある。なお、2個の扉体2,2´の閉鎖動作の開始は、シャッターカーテン101が全開位置に達している(上限リミットスイッチが作動(ON)している)ことが前提となる。
【0263】
一方、本実施形態における連動中継器130により実行される開放動作制御も、概ね前述した第2の実施形態と同じであるが、まず、シャッターカーテン101の開放動作を開始させ、このシャッターカーテン101が全開位置に達した(開閉限リミットスイッチ131が作動(ON)した)後に、扉体2,2´を開放動作させる必要がある。
【0264】
図34は、第4の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。この図34に示されているように、本実施形態に係る開閉装置を構成する開閉体は、1個の扉体2と2個のシャッターカーテン101,101´となっている。なお、図34において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。
【0265】
2個のシャッターカーテン101,101´のうちの一方のシャッターカーテン101は、扉体2の幅方向に並設されるものである。また、2点鎖線で一部が示されている他方のシャッターカーテン101´は、扉体2に対して直角に配置されるものである。言い換えると、シャッターカーテン101´は、このシャッターカーテン101´と扉体2同士が直交するように配置されるものである。
【0266】
なお、図34は、扉体2が全閉位置に達した後、シャッターカーテン101,101´(1点鎖線で示す)が矢印H方向(下方向)へ閉鎖動作している途中を示すものである。なお、図34では、シャッターカーテン101´を制御する装置類、配線の表示は省略している。
【0267】
図35は、図34の平面レイアウト図を簡略化して示した図であり、1個の扉体2と2個のシャッターカーテン101,101´を簡略化して示した図である。図35から分かるように、本実施形態に係る開閉装置は、主として、火災発生時等の非常時において、1個の扉体と2個のシャッターカーテン101,101´により防災区画を形成するための開閉装置となっている。なお、図35に示すように、扉体2の閉鎖動作方向はA方向であり、開放動作方向はB方向である(後述の図38及び図39の実施形態も同様)。
【0268】
この図35に示すように、本実施形態では、扉体2の幅方向に並設されるシャッターカーテン101の開閉動作は、2個のガイド部により案内されるものであり、2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部に形成された溝部3Fとなっており、シャッターカーテン101側へ開口したこの溝部3Fは、扉体本体3の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成されている。2個のガイド部のうちの他方は、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの扉体2側の端部とは反対側の端部が対向する壁6の凹部に立設されたガイドレール61の溝部61Aとなっている。なお、この溝部61Aを有するガイド部材であるガイドレール61は、床7からまぐさ102の高さ位置までの上下方向の長さを有している。これらの溝部3F,61Aは、シャッターカーテン101の幅方向の端部がスライド自在に挿入されるものとなっている。
【0269】
このため、シャッターカーテン101の開閉動作は、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全開位置に達した状態の扉体2の扉体本体3に形成された溝部3Fに案内され、他方の端部は、壁6の凹部に立設されたガイドレール61の溝部61Aに案内されながら行われる。
【0270】
また、図35に示すように、本実施形態では、扉体2に対して直角に配置されるシャッターカーテン101´の開閉動作も、2個のガイド部により案内されるものであり、2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部であって、シャッターカーテン101´と対向する側の面に形成された溝部3Gとなっており、シャッターカーテン101´側へ開口したこの溝部3Gは、扉体本体3の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成されている。2個のガイド部のうちの他方は、シャッターカーテン101´の幅方向の両端部のうちの扉体2側の端部とは反対側の端部が対向する壁6の凹部に立設されたガイドレール62の溝部62Aとなっている。なお、この溝部62Aを有するガイド部材であるガイドレール62は、床7からまぐさ102の高さ位置までの上下方向の長さを有している。これらの溝部3G,62Aは、シャッターカーテン101´の幅方向の端部がスライド自在に挿入されるものとなっている。
【0271】
このため、シャッターカーテン101´の開閉動作は、シャッターカーテン101´の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全開位置に達した状態の扉体2の扉体本体3に形成された溝部3Gに案内され、他方の端部は、壁6の凹部に立設されたガイドレール62の溝部62Aに案内されながら行われる。
【0272】
図36及び図37は、図4及び図5と同様に本実施形態に係る開閉装置を構成する主要な装置のブロック線図であり、図36は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、図37は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものである。
【0273】
図36に示すように、本実施形態では、連動中継器は、連動中継器130,130´の2個あり、連動中継器130は、シャッターカーテン101を開閉動作するために、シャッター用開閉機制御盤113、シャッター用開閉機110、増設リミットスイッチ131、上下限リミットスイッチ122、シャッター用自動閉鎖装置134、扉体全閉感知スイッチ82等の間で信号の受け渡しを行う。一方、連動中継器130´は、シャッターカーテン101´を開閉動作するために、シャッター用開閉機制御盤113´、シャッター用開閉機110´、増設リミットスイッチ131´、上下限リミットスイッチ122、シャッター用自動閉鎖装置134´、扉体全閉感知スイッチ82等の間で信号の受け渡しを行う。
【0274】
前述したように、2個のシャッターカーテン101,101´の開閉動作を案内するための2個のガイド部の一方は、扉体2に設けられている。
【0275】
したがって、本実施形態では、非常時(平常時においても同様)におけるこれらのシャッターカーテン101、101´の閉鎖動作は、扉体2が先に全閉位置に達している(全閉状態が保持されている)ことが前提条件となる。すなわち、扉体2が全閉位置に達することにより図36及び図37に示す扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していることが前提条件となる。
【0276】
このため、本実施形態では、扉体2が図35に示す矢印A方向へ閉鎖動作を開始した後、この扉体2が全閉位置に達することにより扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)し、この扉体全閉感知スイッチ82からの扉体全閉信号が、連動中継器130.130´のそれぞれに入力される。これにより、非常時の場合には、連動中継器130,130´からシャッター用自動閉鎖装置134,134´へ作動信号が入力され、この作動信号が入力されたシャッター用自動閉鎖装置134によるシャッター用開閉機110,110´のブレーキ112,112´が解除される。この結果、シャッターカーテン101,101´の自重降下が開始する。
【0277】
なお、2個のシャッターカーテン101,101´の閉鎖動作の順序は関係なく、同時に閉鎖動作を開始させてもよく、どちらか一方を先に、すなわち、時間差をおいて閉鎖動作を開始させてもよい。
【0278】
図38は、扉体2とシャッターカーテン101,101´の配置位置(平面レイアウト)の変形例を示す図35と同様の平面レイアウト図である。この第1変形例が図35の実施形態と異なるのは、扉体2がシャッターカーテン101,101´の側とは反対の側に配置されて開閉動作を行う点だけである。
【0279】
図39は、扉体2とシャッターカーテン101,101´の配置位置(平面レイアウト)のさらなる変形例を示す図35と同様の平面レイアウト図である。この第2変形例は、2個のシャッターカーテン101,101´の両方が、扉体2に対して直角に配置されるものである。
【0280】
この第2変形例では、シャッターカーテン101の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部であって、シャッターカーテン101と対向する側の面に形成された前記溝部3Gとなっている。なお、シャッターカーテン101の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの他方は、前述したガイドレール61の溝部61Aとなっている。
【0281】
これと同様に、シャッターカーテン101´の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101´側の端部であって、シャッターカーテン101´と対向する側の面に形成された溝部3Hとなっている。なお、シャッターカーテン101´の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの他方は、前述したガイドレール62の溝部62Aとなっている。
【0282】
なお、以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態(第4の実施形態、第4の実施形態の第1変形例、第4の実施形態の第2変形例)において、扉体2の開放動作は、2個のシャッターカーテン101,101´が先に全開位置に達している(全開状態が保持されている)ことが前提条件となる。すなわち、シャッターカーテン101,101´が全開位置に達することにより上下限リミットスイッチ122,122´の上限リミットスイッチが作動(ON)していることが前提条件となる。
【0283】
このため、図34〜図37、図38、図39の各実施形態では、電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aが操作され、シャッターカーテン101,101´が上方向への開放動作を開始した後、シャッターカーテン101,101´が全閉位置に達することにより上下限リミットスイッチ122,122´のうちの上限リミットスイッチが作動(ON)し、この上限リミットスイッチからのシャッター全開信号が連動中継器130,130´のそれぞれに入力される。これにより、連動中継器130,130´から扉体用開閉機制御盤242へ扉体開放指示信号が入力される。扉体用開閉機制御盤242では、連動中継器130,130´両方からの扉体開放指示信号が入力されたとき、扉体用開閉機210のモータ211へ駆動電力、ブレーキ212へ解除電力を入力する。これにより、扉体2は、図35に示す矢印B方向への電動による開放動作を開始する。
【0284】
以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態に係る開閉装置は、複数のシャッターカーテンを扉体(袖扉)の幅方向に並設できない現場(設置場所)にも設置することができる。すなわち、第4の実施形態によると、様々な現場の納まりニーズに対応することが可能となる。
【0285】
なお、以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態では、連動中継器は、2個のシャッターカーテン101,101´の動作を個別に制御できるように2個設けたが、連動中継器は、2個のシャッターカーテン101,101´共用の1個の連動中継器としてもよい。
【0286】
なお、以上説明した各実施形態において、扉体全閉感知スイッチの作動の有無にかかわらずにシャッターカーテンを電動開閉できるメンテナンスモードを備えてもよい。
【0287】
なお、以上説明した各実施形態において、扉体の閉鎖動作時や開放動作時の障害物の感知する扉体用障害物感知装置は省略することも可能である。その場合には、扉体の開閉動作時の障害物に対する安全策を講じることが好ましい。
【0288】
また、以上説明した各実施形態において、動作報知部も省略することも可能である。
【0289】
なお、以上説明した各実施形態において、防災信号BS(作動信号)におけるDC24Vとは、信号送出側(送信側)から供給されるもの(信号送出側の有電圧信号出力)や、信号受入側(受信側)から供給されるもの(信号送出側の無電圧接点信号出力)も含むものである。
【0290】
以上説明した各実施形態では、平常時における扉体2の閉鎖動作は、ねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で行われるものであったが、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で行われるようにしてもよい。すなわち、平常時における扉体2の閉鎖動作は、電動で行われるようにしてもよい。
【0291】
また、以上説明した各実施形態では、平常時の扉体の開閉動作において、扉体用障害物感知装置による障害物感知が行われたとき、扉体用開閉機のモータの駆動力で扉体を所定時間反転動作(閉鎖動作中の場合は開放動作、開放動作中の場合は閉鎖動作)をさせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0292】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された扉装置や、少なくとも1個の扉体と少なくとも1個のシャッターカーテンを備えた扉体(袖扉)付シャッター装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0293】
2,2´ 扉体
3F,3G,3H ガイド部である溝部
16 付勢手段であるねじりコイルばね
101、101´ シャッターカーテン
112,112´ 回動軸回動阻止手段である扉体用開閉機のブレーキ
130,130´ 開閉制御手段である連動中継器
140 駆動装置の駆動軸
210,210´ 駆動装置である扉体用開閉機
224 第1かさ歯車225
224A 第1かさ歯車225の軸部
226 第2かさ歯車226
226A 回動軸である第2かさ歯車226の軸部
221 駆動スプロケットホイール
222 被動スプロケットホイール
223 ローラチェーン
228 アーム部材
230 駆動力伝達手段
250 軸部材
251 カップリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体を備えた開閉装置に係り、例えば、出入口や窓等の開口部を開閉体で開閉するための開口部用(管理用)開閉装置、開閉体で防災区画を形成するための防災用開閉装置、開口部用(管理用)と防災用の両方の用途で使用される管理及び防災併用開閉装置等、より具体的には、例えば、防火扉装置や袖扉付防災用シャッター装置等に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、火災発生等の非常時に出入口等の開口部等を扉体で閉鎖することにより防災区画をするための防災用開閉装置である防火扉装置(言い換えると防火戸装置)が示されている。この防火扉装置では、平常時の扉体は、扉体全開保持手段によって全開状態に保持されており、火災発生等の非常時には、防災信号が扉体全開保持手段に入力されることで扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態が解除される。これにより、全開保持状態が解除された扉体は、この扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段により、全閉位置に達するまで自動閉鎖するようになっている。この結果、出入口等の開口部等は、全閉位置に達した扉体で閉鎖された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−18579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したように、非常時に出入口等の開口部等を閉鎖していた扉体や、平常時に前記開口部等を閉鎖(開閉試験時における閉鎖も含む)していた扉体を、元の状態である全開状態に戻すためには、従来より、ビル等の建物の管理者等の人間が、扉体を全開位置まで手動で開放動作させていた。
【0005】
このように、従来の防火扉装置においては、一度全閉状態にした扉体を再び全開状態に戻すためには、扉体を人の手で開放動作させる必要があり、またその労力の他に開放動作には、防火扉装置の場所まで出向かなければならないなど、それだけ人件費がかっていた。このため、防火扉装置の管理運用にかかる人件費を削減するための工夫が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、管理運用にかかる人件費を削減できるようになる開閉装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る開閉装置は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体と、前記扉体を全開状態に保持するための扉体全開保持手段と、少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための駆動装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、開閉体を構成する少なくとも1個の扉体が、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した後、この全閉位置に達した(全閉状態にある)扉体の開放動作は、駆動装置により行わせることができる。すなわち、本発明では、扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体の開放動作は、人の手ではなく、駆動装置により行わせることができる。
【0009】
このため、本発明によると、開閉装置の管理運用にかかる人件費を削減できるようになる。
【0010】
本発明では、駆動装置は、「少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための」とあるので、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除された扉体の全閉位置までの閉鎖動作も、駆動装置により行わせるようにしてもよい。
【0011】
本発明において、開閉体を構成する扉体は、回動軸を中心に回動自在となっていてもよく、回動自在となっていなくてもよい。前者の場合における扉体の一例は、開き戸(片開き戸でもよく、両開き戸でもよい)であり、後者の場合における扉体の一例は、扉体の幅方向である左右方向に移動する引き戸である。
【0012】
また、本発明において、駆動装置の形式、構造は任意なものでよく、扉体が回動軸を中心に回動自在となっている場合には、駆動装置は、例えば、回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により回動軸へ伝達されるものとなる。
【0013】
ここで、駆動力伝達手段の形式、構造は任意なものでよく、この駆動力伝達手段の第1の例は、駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動スプロケットホイールと、駆動スプロケットホイールと前記被動スプロケットホイールとの間に架け渡された無端走行部材であるローラチェーンと、を含んで構成されるものである。また、駆動力伝達手段の第2の例は、駆動軸に取り付けられた駆動プーリと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動プーリと、駆動プーリと前記被動プーリとの間に架け渡された無端走行部材であるタイミングベルトと、を含んで構成されるものである。これらの例では、回動軸は、第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車の軸部となる。なお、扉体と駆動力伝達手段との配置関係によっては、被動軸を回動軸としてもよい。この場合には、被動軸に第1かさ歯車を設ける必要はなく、この第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車も必要ない。
【0014】
本発明において、回動軸と扉体との連結構造は任意なものでよく、この連結構造の第1の例は、回動軸の下端部が、扉体の上端部における回動中心部から突出して取り付けられた軸部材と、カップリング(軸継手)により結合されているものである。
【0015】
また、連結構造の第2の例は、回動軸の下端部が、扉体の幅方向への長さを有するアーム部材を介して扉体に取り付けられているものである。
【0016】
以上の本発明において、扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【0017】
前者の場合によると、付勢手段の付勢力により扉体が閉鎖動作するので、管理者等の人間が扉体を閉鎖動作させる労力を省くことができる。このため、扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていることが好ましい。
【0018】
扉体が前述したように回動軸を中心に回動自在となっている場合における付勢手段の形状、構造は任意なものでよく、例えば、一端が扉体に係止され、他端が扉体に対して不動となっている不動部材に係止され、扉体が開放動作することによりばね力が蓄圧されるねじりコイルばね等のばねである弾性部材でもよく、油圧等の流体圧等でもよい。
【0019】
なお、上述した付勢手段に加えて、全閉位置に達する直前の扉体に対して閉鎖方向への付勢力を付与する付勢補助手段も備えるようにしてもよい。この付勢補助手段の形状、構造も任意なものでよく、例えば、この付勢補助手段の第1の例として、全閉位置に達した扉体が当接する戸当たりに配置され、扉体における全閉位置に達した時に前記戸当たりと対向する部分に配置された金属製部材を引き寄せる磁性部材を挙げることができる。また、付勢補助手段の第2の例として、扉体における全閉位置に達した時に戸当たりと対向する部分に配置され、前記戸当たりに配置された金属製部材が引き寄せられる磁性部材を挙げることができる。
【0020】
本発明において、扉体が、前述したように、回動軸を中心に回動自在となっている場合において、扉体全開保持手段の形状、構造は任意なものでよく、その第1の例は、回動軸の回動を阻止するための回動軸回動阻止手段である。ここで、「回動軸の回動を阻止する」には、前述したように、駆動装置が回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力が駆動力伝達手段により回動軸へ伝達されるものとなっている場合には、駆動装置の駆動軸の回転を阻止することが含まれる。このため、駆動装置の具体例として、駆動軸を有するモータ(直流モータでもよく、交流モータでもよい)と、この駆動軸の回転を阻止するためのブレーキと、を含んで構成される開閉機を挙げることができ、この例では、開閉機を構成するブレーキが回動軸回動阻止手段となる。
【0021】
また、扉体全開保持手段の形状、構造の第2の例は、扉体を収納するための扉体収納部に設けられ、扉体に設けられた係止部が係止する被係止部を有するラッチ機構である。
【0022】
本発明において、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための扉体全開保持解除手段は、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を電気式に解除するものでもよく、機械式に解除するものでよい。
【0023】
前者の場合における扉体全開保持解除手段の形式、構造は任意なものでよく、火災発生等の非常時に、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための非常時扉体全開保持状態解除手段として、例えば、煙及び/又は熱を感知する感知器や、防災センター操作盤等を挙げることができる。非常時扉体全開保持解除手段となっているこれらの装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号である防災信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。なお、非常時扉体全開保持状態解除手段の他の例として、非常時に、上述した感知器や防災センター操作盤等の装置が作動しなかった場合に、手動で解除するための非常時用閉鎖操作装置を挙げることができる。これによると、非常時用閉鎖操作装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号である操作信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。
このため、非常時扉体全開保持状態解除手段は、扉体全開保持手段へこの扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第1解除信号を入力するための第1解除信号入力手段となっている。
【0024】
一方、平常時に、扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための平常時扉体全開保持状態解除手段は、例えば、扉体を手動で解除するための平常時用閉鎖操作装置である。これによると、平常時用閉鎖操作装置から扉体全開保持手段へ、この扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第2解除信号である操作信号が入力されることにより、扉体の全開保持状態が解除される。このため、平常時扉体全開保持状態解除手段は、扉体全開保持手段へこの扉体全開保持手段による扉体の全開保持状態を解除するための第2解除信号を入力するための第2解除信号入力手段となっている。
【0025】
なお、本発明において、前述したように、扉体が回動軸を中心に回動自在となっている場合には、閉鎖動作中の扉体が全閉位置に達すると、この扉体が開口上部の戸枠体の段差等の戸当たりに当接することで、扉体は全閉状態で停止する。
【0026】
なお、扉体の開閉回動角度、すなわち、扉体の全開位置から全閉位置までの回動角度は任意であり、例えば、90度でもよく、180度でもよく、270度でもよく、また、このような90度単位の角度ではなく、任意の角度でもよい。
【0027】
以上の本発明において、開閉体は、1個の扉体のみから構成されるものでもよく、1個の扉体と1個のシャッターカーテンとから構成されるものでもよく、1個の扉体と複数個のシャッターカーテンとから構成されるものでよく、複数個の扉体と1個のシャッターカーテンとから構成されるものでよく、複数個の扉体と複数個のシャッターカーテンとから構成されるものでもよい。
【0028】
本発明において、開閉体が、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成されるものである場合には、これらの扉体とシャッターカーテンの配置位置は任意であり、例えば、シャッターカーテンは、扉体とこの扉体の幅方向に隣接して並設されるもの(言い換えると、シャッターカーテンの幅方向と扉体の幅方向とが同一方向となるように並設されるもの)でもよく、扉体に対して直角に配置されるもの(言い換えると、シャッターカーテンの幅方向と扉体の幅方向とが直交するように配置されるもの)でもよく、シャッターカーテン及び/又は扉体が複数個ある場合には、これらを複合したものでもよい。
【0029】
なお、シャッターカーテンが、上述したように、扉体とこの扉体の幅方向に隣接して並設されるものである場合には、扉体の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテンと隣接する側の端部には、シャッターカーテンの開閉動作の際に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と隣接する側の端部を案内するためのガイド部を、扉体の幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成するようにしてもよい。これによると、シャッターカーテンの開閉動作(開閉移動)を案内するためのガイド部材(案内部材)が不要となる。
【0030】
また、シャッターカーテンが、上述したように、扉体に対して直角に配置されるものである場合には、扉体の表裏面のうちのシャッターカーテンの幅方向の端部と対向する側の面には、シャッターカーテンの開閉動作の際に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と対向する側の端部を案内するためのガイド部を、扉体の幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成するようにしてもよい。これによると、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部材が不要となる。
【0031】
本発明において、開閉体が、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成されている場合には、前記扉体と前記シャッターカーテンとを連動して開閉動作(開放動作及び/又は閉鎖動作)させるための開閉制御手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【0032】
前者の場合によると、少なくとも1個の扉体と、少なくとも1個のシャッターカーテンと、を含んで構成される開閉体の開閉動作を円滑に行わせることができるようになる。なお、後者の場合は、例えば、少なくとも1個の扉体と少なくとも1個のシャッターカーテンとを常時手動で開閉動作させるものとなっている場合である。
【0033】
本発明において、シャッターカーテンの開閉動作方向(開閉移動方向)は、上下方向でもよく、左右方向でもよく、これらの方向に対する傾き角を有する方向でもよい。
【0034】
本発明において、上述した開閉制御手段を備える必要がある場合の一例として、シャッターカーテンの開閉動作方向は上下方向であって下方向が閉鎖動作方向となっており、扉体の幅方向(言い換えると、左右方向)の端部には、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が前記幅方向と直交する方向である長さ方向(言い換えると、上下方向)略全長に渡って形成されている場合を挙げることができる。
【0035】
この例では、扉体が全閉位置まで閉鎖動作するまでシャッターカーテンを閉鎖動作させることができないため、開閉制御手段は、扉体が全閉位置まで閉鎖動作した後にシャッターカーテンの閉鎖動作を開始させる制御を実行し、シャッターカーテンが全開位置まで開放動作した後に扉体の開放動作を開始させる制御を実行するものとなる。
【0036】
なお、扉体の幅方向の端部に、シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が形成されていない場合には、シャッターカーテンと扉体との間に、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの扉体と隣接する側の端部を案内するためのガイド部材(いわゆる中柱)を立設する必要がある。この場合には、シャッターカーテンの開閉動作は、扉体の開閉動作と独立して行わせることができ、シャッターカーテンと扉体の開閉順序は任意である。すなわち、シャッターカーテンの開放動作(閉鎖動作)は、扉体の開放動作(閉鎖動作)と独立して行わせることができる。
【0037】
以上の本発明において、扉体の閉鎖動作中と開放動作中のうちの少なくとも閉鎖動作中に、この扉体の動作方向に存在する障害物を感知するための扉体障害物感知手段を備えていてもよい。
【0038】
ここで、扉体障害物感知手段の形式、構造は任意であり、例えば、障害物に接触することによりこの障害物を感知する接触式のものでもよく、障害物に接触しないでこの障害物を感知する非接触式のものでもよい。後者の場合は、例えば、赤外線センサでもよく、超音波センサ等でもよい。
【0039】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体を備えた任意な開閉装置に適用することができ、例えば、出入口や窓、建物内の空間や通路等の開口部等を開閉体で開閉するための開口部用開閉装置や、開閉体で前記開口部等に防災区画を形成するための防災用開閉装置等に適用することができる。なお、この防災用開閉装置には、エレベータや階段等の昇降手段の近辺の空間と、この空間を除く一般の室内空間との間を開閉体で遮断するための昇降手段用開閉装置も含まれる。
【0040】
より具体的には、本発明は、例えば、防犯や空調等のために、出入口や窓、建物内の空間や通路等の開口部等を扉体で開閉するための開口部用扉装置や、平常時には、前記開口部等を扉体で開閉するとともに、非常時には扉体の閉鎖により前記開口部等に防災区画を形成するための管理及び防災併用扉装置や、また、前記開口部等を扉体とシャッターカーテンとで開閉する開口部用扉装置付シャッター装置(いわゆる、開口部用袖扉付シャッター装置)や、平常時には前記開口部等を扉体とシャッターカーテンとで開閉するとともに、非常時には扉体とシャッターカーテンとの閉鎖により前記開口部等に防災区画を形成するための管理及び防災併用扉装置付シャッター装置(いわゆる、管理及び防災併用袖扉付シャッター装置)等の各種開閉装置に適用することができる。
【0041】
なお、本発明において、シャッターカーテンには、防煙垂れ幕、防煙垂れ壁、オーニング(テント生地で作られた窓際に設置する日よけ、雨よけ等)が含まれる。
【0042】
また、本発明において、シャッターカーテンが巻取軸から繰り出され、巻き取られるものとなっている場合において、この巻取軸に、シャッターカーテンの下方への閉鎖動作(動(閉じ移動)で戻しばね力が蓄圧される戻しばねが配置され、シャッターカーテンの上方への開放動作(開き移動)が、この戻しばねに蓄圧された戻しばね力が補助力として利用されて行われるようになっていてもよい。
【0043】
また、本発明において、シャッターカーテンは、任意のカーテン構成部材で構成されてよく、シャッターカーテンの全体又は主要部が同じ種類のカーテン構成部材、例えば、スラットで形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部がシートや、パネル、ネット、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等により形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部が、これらのスラットと、シートと、パネルと、ネットと、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等とのうち、複数のカーテン構成部材の組み合わせで形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、開閉装置の管理運用にかかる人件費を削減できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図2】図2は、図1のS2−S2線断面図である。
【図3】図3は、図2のS3−S3線矢視図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図6】図6は、扉体用開閉機の内部構造を示す断面図である。
【図7】図21は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す平面図である。
【図8】図8は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す側面図である。
【図9】図9は、扉体用自動閉鎖装置の内部構造を示す正面図である。
【図10】図10は、図7で示されている扉体用自動閉鎖装置を構成する第1スライド部材のみを示した図である。
【図11】図11は、図7で示されている扉体用自動閉鎖装置を構成する第2スライド部材のみを示した図である。
【図12】図12は、図8において、第1及び第2スライド部材の手前側に配置されている部材、装置を除外して示した図である。
【図13】図13は、図7で示されている第1及び第2スライド部材、屈曲レバー部材等のみを示す図である。
【図14】図14は、図7に示す第1スライド部材が扉体用開閉機のブレーキを解除するまでスライドしたときを示す図である。
【図15】図15は、図14で示されている第1及び第2スライド部材、屈曲レバー部材等のみを示す図である。
【図16】図16は、扉体用開閉機のモータの駆動軸の回転力が伝達されるかさ歯車と扉体との連結構造の別実施形態を示す図3と同様の図である。
【図17】図17は、第2の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図18】図18は、第2の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図19】図19は、第2の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図20】図20は、平常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の閉鎖動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図21】図21は、図20のフローチャート図の続きを示す図である。
【図22】図22は、図20のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図23】図23は、図20のフローチャート図のまたさらなる続きを示す図である。
【図24】図24は、平常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の開放動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図25】図25は、図24のフローチャート図の続きを示す図である。
【図26】図26は、図24のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図27】図27、非常時における連動中継器により実行される第2の実施形態に係る開閉装置の開閉体の閉鎖動作制御の流れを示すフローチャート図である。
【図28】図28は、図27のフローチャート図の続きを示す図である。
【図29】図29は、図27のフローチャート図のさらなる続きを示す図である。
【図30】図30は、図27のフローチャート図のまたさらなる続きを示す図である。
【図31】図31は、第3の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図32】図32は、第3の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図33】図33は、第3の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図34】図34は、第4の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。
【図35】図35は、図34の平面レイアウト図を簡略化して示した図である。
【図36】図36は、第4の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、平常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図37】図37は、第4の実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図であり、非常時に各装置間を流れる信号を矢印付の実線で示した図である。
【図38】図38は、図35に示されている平面レイアウトの変形例を示す図である。
【図39】図39は、図35に示されている平面レイアウトのさらなる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示されている本発明の第1の実施形態に係る開閉装置は、例えば、建物内の通路(廊下)や非常階段の出入口等の開口部に設置される1個の扉体2で構成された扉装置である。すなわち、本実施形態では、開閉体は1個の扉体2で構成されるものとなっている。
【0047】
建物躯体である壁6には、全開位置に達した扉体2を収納可能な凹部6Aが形成されており、この凹部6Aが全開位置に達した扉体2を収納するための扉体収納部(言い換えると、戸袋)6Aとなっている。鋼鉄等の金属製のパネル部材で形成された扉体2は、平常時は、前記扉体収納部6Aに収納されており、この扉体2の全開状態は、後述する扉体全開保持手段により保持されるようになっている。
【0048】
平常時において全開状態が保持されている扉体2は、火災発生等の非常時には、後述する扉体全開保持手段による扉体2の全開保持状態が解除され、扉体2は、後述する付勢手段により全閉位置まで閉鎖動作する。これにより、図1に示す出入口5は、全閉位置に達した扉体2により閉鎖され、火災により発生した炎や煙が遮断される。なお、扉装置が建物内の廊下の通路に設置される場合には、全閉位置に達した扉体2により通路に防災区画が形成される。
【0049】
図1に示すように、扉体2には、潜り扉体(潜り戸)4が設けられており、このため、扉体2は、潜り扉体4と、扉体2からこの潜り扉体4を除いた部分である扉体本体3と、を含んで構成されている。非常時には、この潜り扉4を開放動作させることにより、扉体2で仕切られた他方の空間(図1では、非常階段が設置されている空間)へ移動することができるようになる。また、扉体2よりも寸法の小さな潜り扉体4を開放動作することにより、火災等で発生した煙の他方の空間への流出や、他方の空間からの流入をより少なくさせることができる。
【0050】
本実施形態に係る扉装置では、平常時において、任意に開閉して出入口5の開閉管理ができるようになっており、出入口5からの外部の人間の侵入を防止する等の防犯上等の理由から(特に夜間や休日時)、扉体2を閉鎖動作させて出入口5を閉鎖させることができる。なお、この場合には、全閉位置に達した扉体2は、図示されない電気錠等のロック手段により施錠されて全閉状態が保持される。また、潜り扉体4も、図1に示すロック手段4Aにより施錠されて全閉状態が保持される。また、本実施形態に係る扉装置では、平常時において、扉体2の開閉動作の試験を行うために、扉体2を試験的に開閉動作させることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る開閉装置である扉装置は、火災発生等の非常時においては、出入口5等の開口部を閉鎖することで防災区画を形成する防火扉装置(言い換えると、防火戸装置)として機能し、平常時においては、防犯等の理由で出入口5等の開口部を閉鎖することで外部の人間の侵入を阻止するための開口部用扉装置(言い換えると、管理用扉装置)として機能する管理及び防災併用扉装置となっている。
【0052】
図1に示すように、出入口5に対して図示しない天井部材で仕切られている天井裏空間91には、扉体全開保持手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した扉体2を開放動作させるための駆動装置である扉体用開閉機210が配置されている。すなわち、本実施形態に係る扉装置には、扉体2に対して少なくとも開放動作方向(図1に示す矢印B方向)への回転駆動力を付与するための駆動装置となっている扉体用開閉機210が備えられている。
【0053】
図2は、図1のS2−S2線断面図であり、図3は、図2のS3−S3線矢視図である。図4及び図5は、本実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図である。図4は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、平常時において使用されない或いは動作しない(火災発生時等の非常時において使用される或いは動作する)装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっており、図5は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、非常時において使用されない或いは動作しない(平常時において使用される或いは動作する)装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっている。また、図6は、扉体用開閉機210の内部構造を示す断面図である。
【0054】
図4〜図6に示すように、モータ211とブレーキ212からなる扉体用開閉機210は、図2に示すように、壁等の建物躯体6に取り付けられたブラケット205にビス等の止着具で固定されている。また、図3に示すように、軸方向が水平方向となっている第1かさ歯車224の軸部224Aがブラケット205で回転自在に支持されており、この第1かさ歯車224と噛み合い、軸方向が垂直方向となっている第2かさ歯車226の軸部227もブラケット205に回転自在に支持されている。
【0055】
図2に示されているように、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力は、この駆動軸140に取り付けられた駆動スプロケットホイール221と、第1かさ歯車224の軸部224Aが取り付けられた被動スプロケットホイール222と、これらのスプロケットホイール221,222の間に架け渡された無端走行部材であるローラチェーン223とによる駆動力伝達手段230を経て第2かさ歯車226に伝達される(図3参照)。
【0056】
図2及び図3に示すように、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部は、扉体2の幅方向である左右方向(水平方向)への長さを有するアーム部材228に連結部材227を介して連結されている。そして、アーム部材228は、扉体2の扉体本体3の上端部に取付部材229により取り付けられている。このように、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部は、アーム部材228を介して扉体2の上端部に取り付けられており、扉体2は、第2かさ歯車226の軸部226Aに吊り下げ支持された状態となっている。
【0057】
このため、本実施形態では、扉体2は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力で回動自在となっており、第2かさ歯車226の軸部226Aが、扉体2の回動軸となっている。
【0058】
また、扉体本体3の端部3Cの下部内部には、扉体2に対して不動となっている不動部材である床7に取り付けられた上下方向に延びる図示しない軸部材が配置されている。この軸部材の外周部には、上下方向への長さを有する螺旋状のねじりコイルばね16が配置されており、このねじりコイルばね16と軸部材は、扉体本体3の内側に取り付けられた水平方向に延びるアーム部を有する筒状部材に収納されている。ねじりコイルばね16の一端は、前記筒状部材に係止されており、一方、ねじりコイルばね16の他端は、前記軸部材に係止されている。このため、扉体2の下部は、上述した軸部材を中心に回動自在となっている。
【0059】
ねじりコイルばね16は、扉体2が開放動作(図1に示す矢印B方向へ回動動作)することにより、扉体2を閉鎖方向(図1に示す矢印A方向)への動作を付勢するばね力が蓄圧されるようになっており、扉体2が全開位置に達したときに蓄圧されるばね力は最大となる。
【0060】
このため、後述する扉体全開保持手段による扉体2の全開保持状態が解除されると、扉体2は、ねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されながら、全閉位置まで閉鎖動作することになる。このため、扉体2に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段となっている。
【0061】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る開閉装置では、扉体用開閉機210は、扉体用開閉機制御盤242に接続されており、扉体用開閉機210のモータ211とブレーキ212の動作制御は、この扉体用開閉機制御盤242により行われる。
【0062】
また、本実施形態に係る開閉装置は、図4及び図5に示すように、危害防止用連動中継器130(以下「連動中継器130」という)が備えられており、この連動中継器130には、上記扉体用開閉機制御盤242、扉体2を開閉操作するための扉体開閉操作部20、火災発生等の非常時に防災信号BS(DC24V)を連動中継器130へ入力する感知器18や防災センター操作盤19、扉体2を閉鎖動作させるために扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させる扉体用自動閉鎖装置241、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための扉体用障害物感知装置133、扉体2の開放動作中にこの扉体2の開放動作方向に存在する障害物を感知するための扉体用障害物感知装置245、扉体2が全閉位置に達したことを感知するための扉体全閉感知スイッチ82、扉体2の動作の開始や異常を外部に報知するための動作報知部118等が接続されている。
【0063】
図1に示すように、扉体用障害物感知装置133は、扉体2が全閉位置に達したときにアーム部材228が当接するストッパ部232(図2も参照)に設けられており、扉体用障害物感知装置245は、扉体収納部6Aの上方の壁6に設けられている。どちらも赤外線センサ方式の障害物感知装置となっている扉体用障害物感知装置133,245は、図4及び図5に示すように、障害物を感知したときに障害物感知信号を連動中継器130に入力する。
【0064】
また、図1に示すように、扉体全閉感知スイッチ82は、扉体2が全閉位置に達したときに当接する戸当たり部6Cに設けられており、この扉体全閉感知スイッチ82は、扉体2の扉体本体3の上端部が当接することにより作動(ON)し、扉体全閉信号を連動中継器130へ入力するものである。
【0065】
また、図1に示すように、扉体開閉操作部20は、扉体収納部6Aの側縁部の近傍の壁6に設けられており、この扉体開閉操作部20は、押しボタン型スイッチである扉体2を開放動作させるための[開]スイッチ20Aと、扉体2を閉鎖動作させるための[閉]スイッチ20Cと、開閉動作中の扉体2を停止させるための[停]スイッチ20Bと、を備えている。[開]スイッチ20Aが操作(押下)されると、この[開]スイッチ20Aから連動中継器130へ開信号(開放動作指示信号)が入力され、[閉]スイッチ20Cが操作(押下)されると、この[閉]スイッチ20Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力され、[停]スイッチ20Bが操作(押下)されると、この[停]スイッチ20Bから連動中継器130へ停信号(動作停止指示信号)が入力される。
【0066】
連動中継器130は、平常時には、扉体開閉操作部20から入力された操作信号(開信号、停信号、閉信号)を中継し、これらの信号を扉体用開閉機制御盤242や扉体用自動閉鎖装置241へ入力する機能を有している。また、連動中継器130は、火災発生等の非常時には、感知器18や防災センター操作盤19から入力された防災信号BSを中継し、扉体用自動閉鎖装置241へ入力する機能も有している。
【0067】
なお、図4及び図5に示すように、連動中継器130及び扉体用開閉機制御盤242は、商用電源120からの電力供給で作動する。扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させるための解除電力や、モータ211を駆動させるための駆動電力は、扉体用開閉機制御盤242から供給される。また、連動中継器130は、停電時に使用される予備電源(バッテリ)を内蔵しており、処理待機状態においては、この予備電源の充電を行う。このため、連動中継器130は、停電時には、内蔵された予備電源からの電力供給により作動する。
【0068】
なお、図4及び図5に示すように、扉体用開閉機制御盤242には、開放動作中の扉体2が開放限(全開位置)に達することにより作動(ON)する開放限リミットスイッチと、閉鎖動作中の扉体2が閉鎖限(全閉位置)に達することにより作動(ON)する閉鎖限リミットスイッチと、を有する開閉限リミットスイッチ240が接続されているが、本実施形態では、開放限リミットスイッチのみが使用される。
【0069】
なお、動作報知部118は、連動中継器130からの作動電力の供給により作動するものである。また、この動作報知部118による報知は、例えば、音声、ブザーやサイレン等の音によるものでもよく、赤色灯等の光によるものでもよく、これらを併用(複合)したものでもよい。
【0070】
感知器18は、火災発生等の非常時において、この火災等で発生した煙及び/又は熱を感知し、連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)を入力するものである。
【0071】
また、防災センター操作盤19は、火災発生等の非常時において、防災センターの人間により操作されるものであり、感知器18と同様に、連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)を入力するものである。
【0072】
火災発生等の非常時には、感知器18や防災センター操作盤19からの防災信号BSが連動中継器130で中継されて扉体用自動閉鎖装置241に入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。また、平常時に、扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ119Cが操作(押下)されると、[閉]スイッチ119Cからの閉信号(閉鎖動作指示信号)が連動中継器130で中継されて扉体用自動閉鎖装置241に作動信号(DC24V)として入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。
【0073】
本実施形態では、前述したように、扉体2の開放動作は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で行われる。すなわち、扉体2の開放動作は電動で行われる。開放動作していた扉体2が全開位置に達すると、開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチが作動(ON)し、扉体用開閉機制御盤242によるモータ211の駆動停止、ブレーキ212の復帰が行われる。これにより、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140は、この扉体用開閉機210のブレーキ212の制動力により回転しないため、モータ211の駆動軸140の回転力が駆動力伝達手段により伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aも回転しない。この結果、扉体2の回動は阻止される。このように、扉体2の全開状態は、扉体用開閉機210のブレーキ212で保持される。
【0074】
このため、本実施形態では、扉体用開閉機210のブレーキ212は、扉体2を全開状態に保持するための扉体全開保持手段となっている。そして、扉体用開閉機210のブレーキ212は、扉体2の回動軸である第2かさ歯車226の軸部226Aの回動を阻止するための回動軸回動阻止手段となっている。
【0075】
前述したように、図6は、扉体用開閉機210の内部構造を示す断面図である。なお、この図6において、扉体用開閉機210の左側の部分は一部省略(簡略化)して示されている。この図6に示されているように、扉体用開閉機210は、直流又は交流のモータ211とブレーキ212とを軸方向に並設したものであり、モータ211の駆動軸140は、このモータ211の回転する回転子111Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸140におけるブレーキ212側の端部には、円盤状のブレーキシュー141が結合されている。ブレーキ212には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸142が設けられ、このブレーキ軸142には、ブレーキシュー141と軸方向に対面するブレーキドラム143が結合されている。通常時のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、ばね144でモータ211側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー141とブレーキドラム143との圧接によりブレーキ212はオン(復帰状態)となっている。したがって、このときのモータ211の駆動軸140は、ブレーキ212の制動力によって回転しない。
【0076】
一方、ブレーキ212に配置されているソレノイド145が、扉体用開閉機制御盤242から供給される電力(解除電力)により通電されたときには、このソレノイド145の磁力により、ブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、ばね144に抗してモータ211から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー141とブレーキドラム143との圧接が解除され、ブレーキ212はオフ(解除状態)となる。したがって、このときには、モータ211の駆動軸140は、扉体用開閉機制御盤242から供給される電力(駆動電力)のコイル146への通電により回転できることになる。
【0077】
また、図6に示されているとおり、ブレーキ軸142におけるモータ211側とは反対側の端部にはレバー部材147が配置されている。このレバー部材147はブレーキ軸142を貫通したものであって、ブレーキ軸142を境界として区分される第1部分147Aと第2部分147Bとからなる。第1部分147Aには第1屈曲部147Cが形成され、第2部分147Bには第2屈曲部147Dが形成されている。第1部分147AにC方向、すなわち、モータ211側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分147Aが第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動するため、ブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドする。このため、ソレノイド145に通電しなくても、ブレーキ212をオフとすることができる。
【0078】
このように第1部分147AにC方向への荷重が作用することは、扉体用開閉機210に取り付けられている具体的な構造を後述する扉体用自動閉鎖装置241によって行われる。
【0079】
次に、火災発生等の非常時や平常時において、扉体2の全開状態を保持している扉体用開閉機210のブレーキ212を解除するための本実施形態に係る扉体用自動閉鎖装置241の構造について説明する。
【0080】
図7は、扉体用開閉機210の上部に隣接配置(図2及び図6参照)された扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す平面図であり、図8は、扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す側面図であり、図9は、扉体用自動閉鎖装置241の内部構造を示す正面図である。なお、これらの図7〜図9は、連動中継器130からの作動信号が扉体用自動閉鎖装置241へ入力される前の状態を示す図である。
【0081】
図7及び図8に示すように、扉体用自動閉鎖装置241のケースとなっている機枠149には、互いに対向する2個の側面部である立上り部149B,149Eが設けられている。これらの立上り部149B,149Eに形成された貫通孔149C,149Fに、2個の立上り部149B,149Eに跨る長さを有している板状の第1スライド部材150が水平方向にスライド自在に挿入されている。これと同様に、これらの立上り部149B,149Eに形成された貫通孔149D,149Gに、2個の立上り部149B,149Eに跨る長さを有している板状の第2スライド部材155が水平方向にスライド自在に挿入されている。図7、及び機枠149の立上り部149Eの一部が破断されている図9に示すように、機枠149内において、第1スライド部材150は、第2スライド部材155よりも下方に配置されている。
【0082】
図10は、図7で示されている第1スライド部材150のみを示した図である。この図10に示すように、第1スライド部材150は、板材で形成された第1部材151及び第2部材153と、扉体用自動閉鎖装置241を作動させるための作動部材152とで構成されており、第1スライド部材150の主要部となっている第1部材151の前端(先端)は、下向きに屈曲した屈曲部151Aとなっており、この屈曲部151Aに作動部材152が取り付けられている。また、第1部材151の後方には、凹部151Bが形成されている。一方、第2部材153は、上向きに屈曲した第1屈曲部153Aと、下向きに屈曲した第2屈曲部153B及び第3屈曲部153Cとを有しており、この第2部材153は、図10に示すように、ビス等の止着具で第1部材151に止着されている。
【0083】
なお、図7に示すように、第1スライド部材150の第3屈曲部には、ばね164の一端が係止され、このばね164の他端は、機枠149の底部149Aに立設固定された係止部材163に係止されており、第1スライド部材150が矢印D方向にスライドすることにより、ばね164には矢印D方向とは反対の方向への戻しばね力が蓄圧される。
【0084】
図11は、図7で示されている第2スライド部材155のみを示した図である。また、図12は、図8において、第1スライド部材150及び第2スライド部材155の手前側に配置されている部材、装置を除外して示した図である。
【0085】
図11に示すように、第2スライド部材155は、板材で形成された第1部材156と第2部材157と第3部材158とで構成されている。また、図12に示すように、ビス等の止着具で第1部材156に止着されている第2部材157の上部は、機枠149に取り付けられた図7に示す直流モータ161の駆動軸に取り付けられたピニオン162に噛合するラック部157Aとなっている。また、第3部材158は、図11に示すように、第1スライド部材150のスライド方向と直交する方向に屈曲した第1屈曲部158Aと、ビス等の止着具で第1部材156に止着される下向きに屈曲した第2屈曲部158Bと、水平部158Cとからなっている。
【0086】
なお、前述したように、第1スライド部材150は、機枠149内において、第2スライド部材155よりも下方に配置されており、また、図7、図9及び図12に示すように、第2スライド部材155を構成する第3部材158の第1屈曲部158Aが、第1スライド部材150を構成する第2部材153の第1屈曲部153Aと後方から対向、接触するように配置されている。
【0087】
図13は、図7で示されている第1スライド部材150、第2スライド部材155、具体的な構造を後述する屈曲レバー部材165等のみを示す図である。
【0088】
図7に示されているように、扉体用自動閉鎖装置241の機枠149の底部149Aには、ソレノイド170が取り付けられており、このソレノイド170のプランジャ171には、ばね172のばね力がプランジャ171をソレノイド170から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ171の先端には、図7及び図8に示すように略コ字状に屈曲した被係止部材173が連結されており、この被係止部材173に、中心軸165Aを中心に回動自在となっている略L字形の屈曲レバー部材165(図13も参照)の一方の端部が係止されている。図7及び図8に示すように、トリガーレバー部材となっているこの屈曲レバー部材165の他方の端部には、ローラ166が回転自在に設けられている。
【0089】
図7及び図13に示すように、このローラ166と対面する第1スライド部材150の部分には前述した凹部151Bが形成されている。また、扉体用自動閉鎖装置241には、屈曲レバー部材165に中心軸165Aを中心とするG方向への回動力を付与するためのばね167が設けられており、このばね167の一端は、屈曲レバー部材165の立上り部165Bに係止され、ばね167の他端は、機枠149の底部149Aに設けられた係止部材168に係止されている。
【0090】
図7及び図8に示されているとおり、扉体用自動閉鎖装置241には、屈曲レバー部材165が中心軸165Aを中心とするG方向への回動を行うことにより作動するマイクロスイッチ180と、第2スライド部材155が矢印D方向へスライドすることにより作動するマイクロスイッチ181が設けられている。
【0091】
マイクロスイッチ180は、作動部材であるアクチュエータ180Aが、中心軸165Aを中心とするG方向への回動を行う屈曲レバー部材165の立上り部165Bに当接可能に配置され、マイクロスイッチ181は、作動部材であるアクチュエータ181Aが、矢印D方向へスライドする第2スライド部材158の水平部158Cの下面に当接可能に配置される。
【0092】
次に、火災発生等の非常時における扉体用自動閉鎖装置241の動作について説明する。図5に示すように、火災発生等の非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)が入力されると、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241の図示しないブレーキ制御回路へ制御信号である作動信号(DC24V)が入力される。この作動信号の入力で扉体用自動閉鎖装置241の直流モータ161が正駆動し、この直流モータ161の駆動軸161Aに取り付けられたピニオン162は、図8に示す矢印E方向への回転を開始する。これにより、ピニオン162に噛合しているラック部157Aを有する第2スライド部材155は、図7に示す矢印D方向へスライドする。
【0093】
前述したように、第2スライド部材155を構成する第3部材158の第1屈曲部158Aは、第1スライド部材150を構成する第2部材153の第1屈曲部153Aの後方でこの第1屈曲部153Aと対向接触するように配置されている。
【0094】
このため、第2スライド部材155が矢印D方向へスライドすると、この第2スライド部材155の第1屈曲部153Aが、第1スライド部材150の第1屈曲部153Aを後方から矢印D方向へ押すことになる。これにより、第1スライド部材150は、第2スライド部材155とともに矢印D方向へスライドする。
【0095】
図14は、図7で示されている第1スライド部材150が、第2スライド部材155とともに扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される位置まで矢印D方向へスライドしたときを示す図である。また。図15は、図14で示されている第1スライド部材150、第2スライド部材155、屈曲レバー部材165、ばね164,167等のみを示した図である。
【0096】
第1スライド部材150と第2スライド部材155とが、図14に示す位置までスライドすることにより、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧するため、前述したように、この第1部分147Aがレバー部材147の第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動する。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドし、これにより、それまでオン(復帰状態)となっていたブレーキ212は、オフ(解除状態)となる。
【0097】
これにより、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140は自由回転状態となり、また、このモータ211の駆動軸140の回転力が駆動力伝達手段により伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aも自由回転状態となる。
【0098】
このため、全開状態が保持されていた扉体2は、ねじりコイルばね16に蓄圧されていたばね力により、図1に示す矢印A方向へ回動する閉鎖動作を開始し、扉体2は、シャッター開閉限リミットスイッチ240のうちの閉鎖限(閉鎖動作限)リミットスイッチが作動(ON)するまで閉鎖動作する。
【0099】
第1スライド部材150及び第2スライド部材155が、図14に示す位置までスライドすることにより、屈曲レバー部材165は、ばね167のばね力で矢印G方向(図7及び図13参照)へ回動し、この屈曲レバー部材165のローラ166が第1スライド部材150の凹部151Bに係合する。これにより、第1スライド部材150の後退が阻止された状態となり、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧する状態が継続される。すなわち、扉体用開閉機210のブレーキ212のオフ(解除)の状態が継続される。
【0100】
また、屈曲レバー部材165は、ばね167のばね力で矢印G方向へ回動し、この屈曲レバー部材165のローラ166が第1スライド部材510の凹部151Bに係合することにより、図14に示すように、屈曲レバー部材165の立上り部165Bがマイクロスイッチ180のアクチュエータ180Aを押圧するため、マイクロスイッチ180が作動する。これにより、扉体用自動閉鎖装置241に備えられている図示しないブレーキ制御装置から、扉体用開閉機210のブレーキ212の作動確認信号が連動中継器130へ入力される。また、マイクロスイッチ180の作動により、ブレーキ制御装置内には、直流モータ161の駆動を停止するための回路が生成され、これにより、直流モータ161の正駆動は停止する。
【0101】
また、第1スライド部材150が矢印D方向(図7参照)へスライドすることにより、この第2スライド部材155の水平部158Cの下面が、図9や図14に示すように、マイクロスイッチ181のアクチュエータ181Aを押圧するため、マイクロスイッチ181が作動する。これにより、ブレーキ制御装置内には、直流モータ161が逆駆動するための回路が生成する。なお、この回路を生成させるために、図14に示す第1スライド部材150の第2部材153の第2屈曲部153Bの側面にアクチュエータ182Aが押圧されるマイクロスイッチ182を使用するようにしてもよい。
【0102】
この後、直流モータ161の逆駆動により、第2スライド部材155は矢印D方向とは反対の方向にスライドするが、このスライドによりマイクロスイッチ181の作動が停止するので、直流モータ161の逆駆動は停止する。この結果、スライドしていた第2スライド部材155は元の位置で停止する。
【0103】
このように、第2スライド部材155は図7に示す元の位置に戻るが、第1スライド部材150は、前述したように、屈曲レバー部材165のローラ166が係合していることにより、図14の位置で停止したままとなり、扉体用開閉機210のブレーキ212のオフ(解除)の状態が継続される。
【0104】
扉体2の閉鎖動作中において、この扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在し、この障害物が赤外線センサ方式の扉体用障害物感知装置133により感知された場合には、この扉体用障害物感知装置133からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。この結果、ソレノイド170が励磁されてプランジャ171が吸引されるため、このプランジャ171の先端に連結された被係止部材173に一方の端部が係止されている屈曲レバー部材165は、図7に示す矢印G方向とは反対の方向へ回動する。
【0105】
これにより、第1スライド部材150の凹部151Bに係合していた屈曲レバー部材165のローラ166は、この凹部151Bから離脱する。このため、ローラ166との係合で後退が阻止されていた第1スライド部材150は、ばね164に蓄圧されたばね力で、元の位置までスライドする。
【0106】
この結果、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介して扉体用開閉機210のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧していた状態は解除される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ212がオン(復帰状態)となるため、扉体用開閉機210の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段230を介して駆動軸140と連結されている第2かさ歯車226の軸部226Aの自由回転も阻止される。この結果、障害物に当接したまたは当接しそうな扉体2の閉鎖動作は停止する。
【0107】
なお、この停止中の扉体2から障害物が取り除かれると、扉体用障害物感知装置133から連動中継器130への障害物感知信号の入力が停止するが、この後、タイマーによる設定時間が経過した後、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241へは、この扉体用自動閉鎖装置241を再作動させるための(ブレーキ212を再度解除させるための)作動信号が入力されようにしてもよい。
【0108】
なお、閉鎖動作中の扉体2が全閉位置に達すると、扉体全閉感知スイッチ82が作動し、この扉体全閉感知スイッチ82から連動中継器130へ全閉信号が入力される。これにより、扉体用障害物感知装置133により障害物が感知された場合と同様に、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ212がオン(復帰状態)となるため、扉体用開閉機210の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段230を介して駆動軸140と連結されている第2かさ歯車226の軸部226Aの自由回転も阻止される。この結果、扉体2の閉鎖動作は停止する。すなわち、扉体2の全閉状態が保持される。
【0109】
なお、連動中継器130は、扉体2が全閉位置に達したときに当接する戸当たり部6Cに設けられている扉体全閉感知スイッチ82からの全閉信号が入力されたとき、所定時間が経過した後に、扉体用自動閉鎖装置241のDCソレノイド170へ作動信号を入力するようにし、これにより、ブレーキ212がオンとなるようにしてもよい。これによると、扉体全閉感知スイッチ82の作動タイミングの誤差によって扉体2の全閉直前でブレーキ212がオンしてしまうことを防ぐことができるので、扉体全閉感知スイッチ82の感知位置を厳格に決めなくても済む。
【0110】
一方、平常時において、出入口5を扉体2で閉鎖するためや、扉体2の開閉動作の試験を行うために、全開状態に保持されている扉体2を閉鎖動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ20Cを操作(押下)する。これにより、[閉]スイッチ20Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力され、この閉信号は、連動中継器130を中継して扉体用自動閉鎖装置241へ入力される。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が解除され、全開状態が保持されていた扉体2は、前述したねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で付勢されて閉鎖動作を開始する。
【0111】
なお、この平常時における扉体2の閉鎖動作の開始から、扉体2が全閉位置に達するまでの扉装置の動作(連動中継器130、扉体用自動閉鎖装置241、扉体用開閉機210、扉体用障害物感知装置133の動作)は、前述した非常時における扉体2の閉鎖動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0112】
なお、本実施形態では、前述したように、火災発生等の非常時において、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在し、この障害物が扉体用障害物感知装置133により感知された場合には、扉体2の閉鎖動作を停止させるようになっていたが、非常時には、扉体2で防災区画を形成する必要性から、扉体用障害物感知装置133の作動を無効化するようにしてもよい。すなわち、扉体2の閉鎖動作中にこの扉体2の閉鎖動作方向に障害物が存在しても、扉体2の閉鎖動作を停止させる制御は行わないようにしてもよい。これにより、障害物が取り除かれた場合には、扉体2はねじりコイルばね16のばね力で全閉位置まで閉鎖動作し、この全閉位置に達した扉体2により防災区画が形成される。
【0113】
一方、非常時や平常時において、一度全閉位置まで閉鎖動作させた扉体2を再び全開位置まで開放動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下)する。これにより、[開]スイッチ20Aから連動中継器130へ開信号(開放動作指示信号)が入力され、この開信号は、連動中継器130を中継して扉体用開閉機制御盤242へ入力される。これにより、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させる制御と、モータ211を逆駆動させる制御を実行する。この結果、扉体2は、図1に示す矢印B方向への回動動作である開放動作を開始する。なお、上述した扉体用開閉機制御盤242による扉体用開閉機210のブレーキ212の解除は、開閉機210のソレノイド145への通電(解除電力の供給)によるものである。
【0114】
扉体2の開放動作中に、この扉体2の開放動作方向に障害物が存在し、この障害物が赤外線センサ方式の扉体用障害物感知装置245により感知された場合には、扉体用障害物感知装置245からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130から扉体用開閉機制御盤242へ障害物感知信号が入力され、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、障害物に当接したまたは当接しそうな扉体2の開放動作は停止する。この障害物を取り除いた後、扉体2を開放動作させる場合には、扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下する)。
【0115】
また、扉体2が全開位置に達すると、扉体開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチが作動し、この開放限リミットスイッチ82から連動中継器130へ全開信号が入力される。これにより、連動中継器130から扉体用開閉機制御盤242へ全開信号が入力され、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、扉体2の開放動作は停止する。すなわち、扉体2の全開状態が保持される。
【0116】
なお、扉体2の開放動作中に、扉体開閉操作部20の[停]スイッチ20Bが操作(押下)されると、この[停]スイッチ20Bから連動中継器130へ停信号(動作停止指示信号)が入力され、この停信号は、連動中継器130を中継して扉体用開閉機制御盤242へ入力される。これにより、扉体用開閉機制御盤242は、扉体用開閉機210のモータ211の逆駆動を停止させる制御と、ブレーキ212を復帰させる制御を実行する。この結果、扉体2の開放動作は停止する。
【0117】
なお、本実施形態では、扉体2の開閉動作が開始されるときには、連動中継器130から動作報知部118へ作動電力が供給され、この動作報知部118により、これから扉体2の開閉動作が開始される旨の報知が行われる。また、扉体2が開閉動作中に、扉体用障害物感知装置133,245による障害物感知がされたときには、動作報知部118により、障害物感知がされた旨等の異常報知が行われる。
【0118】
なお、非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から防災信号BSが連動中継器130に入力されず、扉体2が閉鎖動作を行わなかった場合には、扉体開閉操作部20の[閉]スイッチ119Cを操作することにより、平常時と同様に扉体2を閉鎖動作させることができる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態では、非常時や平常時において、一度全閉位置まで閉鎖動作させた扉体2を再び全開位置まで開放動作させるためには、管理者等の人間が扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20Aを操作(押下)する。これにより、扉体2は、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で開放動作する。すなわち、本実施形態では、扉体2の開放動作は電動で行われ、従来のように、扉体2を人の手で開放動作させる必要がなくなる。
【0120】
このため、本実施形態によると、扉装置の管理運用にかかる人件費を削減することができるようになる。
【0121】
また、本実施形態では、扉体2の全開状態の保持は、扉体2を開放動作させるための扉体用開閉機210のブレーキ212により行われる。
【0122】
このため、本実施形態によると、従来のような扉体全開保持手段、すなわち、扉体を収納するための扉体収納部に設けられ、扉体に設けられた係止部が係止する被係止部を有するラッチ機構(いわゆる電磁レリーズ)は不要となる。
【0123】
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力が伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aが、扉体2の回動軸となっているが、この第2かさ歯車226の軸部226Aの下端は、扉体2の幅方向への長さを有するアーム部材228を介して扉体2の上端部に取り付けられている。
【0124】
このため、本実施形態によると、アーム部材228の長さを変更することにより、扉体2の上端部における第2かさ歯車226軸部226Aの下端との連結位置を、自由に変更することができる。
【0125】
なお、本実施形態に係る扉装置を、平常時において扉体2で出入口5を開閉するためのみに使用される管理専用扉装置とする場合には、すなわち、非常時において扉体2で出入口5を閉鎖させる必要がない場合には、図4及び図5に示す感知器18や防災センター操作盤19が接続される連動中継器130は不要となる。この場合には、扉体開閉操作部20の「閉」スイッチ20Cの操作で扉体用自動閉鎖装置241にDC24V信号が入力するようにし、また、扉体開閉操作部20の[開]スイッチ20からの開信号、[閉]スイッチ20Cからの閉信号、[停]スイッチ20Cからの停信号が、直接扉体開閉制御盤242に入力されるようにする必要がある。
【0126】
図16は、以上説明した第1の実施形態における扉体用開閉機210のモータ211の駆動軸140の回転力が伝達される第2かさ歯車226の軸部226Aと扉体2との連結構造の別実施形態を示す図3と同様の図である。
【0127】
この図16に示されている実施形態は、扉体2に結合された軸部材250と、第2かさ歯車226の軸部226Aの下端部と、をカップリング251で連結するものである。
【0128】
図17〜図19は、第2の実施形態に係る開閉装置を示す図であり、図17は、図1と同様に本実施形態に係る開閉装置の全体正面図であり、図18及び図19は、図4及び図5と同様に、本実施形態に係る開閉装置を構成する主な装置のブロック線図である。図18は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、平常時において使用されない或いは動作しない装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっており、図19は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、非常時において使用されない或いは動作しない装置間は矢印無しの破線で結んだ表示となっている。なお、図17において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。また、図18及び図19では、扉体用障害物感知装置245の表示は省略されている。
【0129】
なお、以下に説明する各実施形態において、前述した第1の実施形態と同じ部材、機器、装置等については同じ符号を付し、これらの部材、機器、装置等についての説明は省略する。
【0130】
図17に示すように、本実施形態に係る開閉装置は、平常時においては、建物に形成された開口部である出入口90を開閉体であるシャッターカーテン101と扉体2とで開閉する扉装置付開口部用シャッター装置(言い換えると、袖扉付開口部用シャッター装置)として機能し、火災発生等の非常時においては、出入口90を閉鎖することにより防災区画を形成するための扉装置付防災用シャッター装置(言い換えると、袖扉付防災用シャッター装置)として機能する管理及び防災併用開閉装置となっている。
【0131】
図17に示されている本実施形態に係るシャッター装置は、出入口90の左側に配置され、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン101が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。
【0132】
なお、シャッターカーテン101と扉体2とで開閉される出入口90は、壁等の左右の建物躯体6と、全閉となったときのシャッターカーテン101と扉体2の下端部が当たる相手部材となっている床7と、図示しない天井部材と、全閉位置に達した扉体2の上端部が当たる戸当たり部6Cとで囲まれている。
【0133】
図17に示すように、出入口90の右側を開閉するための本実施形態に係る扉装置は、前述の第1の実施形態に係る扉装置とほぼ同様の構成、構造を有しており、以下、本実施形態に係る扉装置が第1の実施形態に係る扉装置と異なる主な点について説明する。
【0134】
図17〜図19から分かるように、本実施形態に係る扉装置では、扉体2のみを開閉動作させるための前述の第1の実施形態の扉体開閉操作部20は設けられていない。
【0135】
図18及び図19に示されているように、本実施形態に係る開閉装置には、平常時において、扉体2及びシャッターカーテン101の開閉操作を行うための押しボタン型スイッチで構成される電動開閉操作部119と、火災発生等の非常時において、扉体2及びシャッターカーテン101を手動で閉鎖操作するための押しボタン型スイッチで構成される非常閉鎖操作部132と、を備えている。
【0136】
本実施形態では、平常時において、電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作を行い、[開]スイッチ119Aを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した開放動作を行う。また、非常時において、非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aを操作(押下)することにより、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作を行う。
【0137】
図17に示すように、シャッターカーテン101を繰り出し、巻き取るための巻取軸106は、出入口90に対して図示しない天井部材で仕切られている天井裏空間91に水平方向を軸方向として配置され、巻取軸106の軸方向両端部は支持部材である左右のブラケット104,105で回転自在に支持されている。これらのブラケット104,105は、天井裏空間91に存在する建物躯体6に、ボルト等の止着具で結合されている。巻取軸106にはシャッターカーテン101の上端部が結合されており、このシャッターカーテン101は、カーテン本体101Aと、このカーテン本体101Aの下端に設けられている座板101Bとを有する。カーテン本体101Aは多数のスラットの連設で形成され、このようにスラット式となっているシャッターカーテン101は、平常時には巻取軸106に巻き取られている。
【0138】
図17に示すように、左右一対のブラケット104,105のうち一方のブラケット105には、モータ111とブレーキ112の組み合わせ(図18及び図19参照)からなるシャッター用開閉機110が取り付けられ、このシャッター用開閉機110は巻取軸106とチェーン、ホイール等からなる駆動力伝達手段107を介して連結されている。なお、シャッター用開閉機110及び駆動力伝達手段107は、前述の第1の実施形態の扉体用開閉機210及び駆動力伝達手段230と同様の形状、構造、機能を有している。
【0139】
シャッター用開閉機110は、巻取軸106を駆動させるための駆動装置、言い換えると、シャッターカーテン101を開閉動作(開閉移動)させるための駆動装置となっている。また、図示されていないが、シャッター用開閉機110の駆動軸の回転力は、この駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、巻取軸106の一方の端部(図17では右端部)に取り付けられた被動スプロケットホイールと、これらのスプロケットホイールの間に架け渡されたローラチェーンとによる前記駆動力伝達手段107を経て巻取軸106に伝達される。
【0140】
巻取軸106からのシャッターカーテン101の繰り出し、巻き取りは巻取軸106の正逆回転によってなされ、シャッターカーテン101の左右方向である幅方向の両端部のうちの一方の端部、すなわち、扉体2と隣接する側の端部とは反対側の端部(図17では左端部)は、出入口90の左枠となっている柱、壁等の建物躯体6に取り付けられているガイド部材であるガイドレール103にスライド自在に挿入されている。また、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの他方の端部(図17では右端部)は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部3C,3Eのうち、シャッターカーテン101と隣接する側の端部3Eに扉体2の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成された溝部3Fにスライド自在に挿入されている。このため、巻取軸106の正逆回転によって天井部材に配設されているまぐさ102を通過して行われるシャッターカーテン101の上下方向への移動である開閉動作は、シャッターカーテン101の幅方向両側に配置されていて、鉛直方向を長さ方向としているガイドレール103や、全閉位置に達した扉体2に形成されたガイド部である溝部3Fに案内されながら行われる。
【0141】
本実施形態では、上述したように、シャッターカーテン101の開閉動作は、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全閉位置に達した扉体2に形成されたガイド部である溝部3Fに案内されながら行われる。
【0142】
このため、本実施形態では、扉体2及びシャッターカーテン101を閉鎖動作させる場合、まず扉体2を全閉位置まで閉鎖動作させた後に、シャッターカーテン101を閉鎖動作させる必要がある。一方、扉体2及びシャッターカーテン101を開放動作させる場合、まずシャッターカーテン101を全開位置まで開放動作させた後に、扉体2を開放動作させる必要がある。
【0143】
前述したように、本実施形態に係るシャッター用開閉機110は、前述の第1の実施形態に係る図6に示す扉体用開閉機210と同様の形状、構造、機能を有している。このため、以下において、シャッター用開閉機110、モータ111、ブレーキ112の説明をする場合は、図6を参照しながら行い、その際、図6に示す扉体用開閉機210、モータ211、ブレーキ212を、シャッター用開閉機110、モータ111、ブレーキ112に置き換えてこれらの説明をする。
【0144】
また、本実施形態に係るシャッター用自動閉鎖装置134も、前述の第1の実施形態に係る図7〜図15に示す扉体用自動閉鎖装置241と同様の形状、構造、機能を有している。このため、以下において、シャッター用自動閉鎖装置134の説明をする場合は、図7〜図15を参照しながら行い、その際、図7〜図9、図12、図14に示す扉体用自動閉鎖装置241をシャッター用自動閉鎖装置134に置き換えてこのシャッター用自動閉鎖装置134の説明をする。
【0145】
図18及び図19に示されているシャッター用開閉機制御盤113は、連動中継器130で中継される電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aからの開信号(開放動作指示信号)、[閉]スイッチ119Cからの閉信号(閉鎖動作指示信号)、[停]スイッチ119Bからの停信号(停止動作指示信号)に従い、シャッター用開閉機110のブレーキ112の解除や復帰(図6に示すソレノイド145の通電(解除電力の供給)や通電停止(解除電力の供給停止))や、モータ111の駆動(駆動電力の供給)や駆動停止(駆動電力の供給停止)を行う。
【0146】
また、シャッター用開閉機制御盤113は、シャッターカーテン101が全開位置に達したときに作動(ON)する上限リミットスイッチと、シャッターカーテン101が全閉位置(本実施形態では、床7よりも若干下の位置)に達したときに作動(ON)する下限リミットスイッチからなる上下限リミットスイッチ122からの上限リミット信号(全開信号)や下限リミット信号(全閉信号)に従い、シャッター用開閉機110のブレーキ112の復帰や、モータ111の駆動停止を行う。
【0147】
なお、シャッター用開閉機制御盤113は、連動中継器130や扉体用開閉機制御盤242と同様に、商用電源120から供給される電力で動作するものである。
【0148】
また、本実施形態では、シャッターカーテン101の閉鎖動作中にこの閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための座板スイッチ115がリード線116を介して連動中継器130に接続されている。このリード線116は、シャッターカーテン101の開閉動作とともに、まぐさ102配置されたコードリール114に巻き取られ、繰り出されるものである。
【0149】
シャッターカーテン101の座板101Bの閉じ側(閉鎖動作方向)の先端部は、開閉動作方向である上下方向に移動可能な可動部となっており、座板スイッチ115は、座板101Bの不動部に設けられており、シャッターカーテン101の閉じ動作中に座板101Bの可動部が障害物に当接し、この可動部が開き側(開放動作方向)に後退することにより作動するスイッチとなっている。座板スイッチ115が作動することにより、この座板スイッチ115から連動中継器130へ障害物感知信号が入力される。このように、本実施形態では、シャッターカーテン101の閉鎖動作中にこの閉鎖動作方向に存在する障害物を感知するための有線式の障害物感知装置が備えられている。
【0150】
本実施形態では、連動中継器130には、シャッター用開閉機110及び扉体用開閉機210を除く主要な装置が接続されている。
【0151】
連動中継器130の主な機能には、電動開閉操作部119からの操作信号(開信号、閉信号、停信号)をシャッター用開閉機制御盤113及び扉体用開閉機制御盤242へ中継すること、非常閉鎖操作部132からの作動信号をシャッター用自動閉鎖装置134及び扉体用自動閉鎖装置241へ中継すること、シャッターカーテン101の電動降下(電動による閉鎖動作)中における障害物感知時の反転制御を行うこと、停電時における各機器への非常電源(バッテリー)を供給すること、防災信号BSを中継し、シャッター用自動閉鎖装置134及び扉体用自動閉鎖装置241へ連続(継続的に)発報すること、非常時のシャッターカーテン101の閉鎖動作中における障害物感知時に、シャッター用自動閉鎖装置134へ復旧動作、再作動動作の制御を行うこと、扉体2の閉鎖動作中における障害物感知時に、扉体用自動閉鎖装置241へ復旧動作の制御を行うこと、扉体2、シャッターカーテン101の順に閉鎖動作させる制御を行うこと、シャッターカーテン101、扉体2の順に開放動作させる制御を行うこと、電動開閉操作部119からの操作信号が閉信号である場合や、非常閉鎖操作部132からの操作信号が作動信号がある場合には、扉体用自動閉鎖装置241へ作動信号を入力すること等がある。なお、これらの機能は、別個の制御盤に分離して実現するようにしてもよい。
【0152】
なお、前述の第1の実施形態の実施形態と同様に、連動中継器130は、停電時に使用される予備電源(バッテリー)を内蔵しており、処理待機状態においては、この予備電源の充電を行う。このように、連動中継器130は、扉体2と、シャッターカーテン101とを連動して開閉動作させるための開閉制御手段となっている。
【0153】
平常時におけるシャッターカーテン101の開閉動作制御を行う連動中継器130の基本動作は、まず電動開閉操作部119からの操作信号(開信号、閉信号、停信号)をシャッター用開閉機制御盤113へ中継する。電動による閉鎖動作(電動降下)中に障害物が感知された場合には、シャッターカーテン101を反転上昇させる制御(開放動作制御)をシャッター用開閉機制御盤113に指示(シャッター用開閉機110に停止指示信号、開放指示信号を入力)する。なお、シャッターカーテン101の開閉動作中は、動作報知部118を作動させる。
【0154】
前述したように、上下限リミットスイッチ122の上限リミットスイッチの設定位置は、シャッターカーテン101の全開位置である。一方、下限リミットスイッチの設定位置は、床7よりも若干下の高さ位置であり、これは、閉鎖動作中のシャッターカーテン101の座板スイッチ115の故障によるオーバーラン(シャッターカーテン101の巻取軸106から繰り出しオーバー)を検知するためのものある。すなわち、下限リミットスイッチは、座板スイッチ115の故障診断を行うための座板スイッチ故障診断手段となっている。
【0155】
増設リミットスイッチ131の設定位置は、床7から若干上の高さ位置(例えば20mm程度)である。すなわち、増設リミットスイッチ131は、閉鎖動作中のシャッターカーテン101が、床7から若干上の高さ位置まで達した(閉じ移動した)ときに作動(ON)するものである。
【0156】
前述したように、扉体用自動閉鎖装置241と同様の形状、構造、機能を有するシャッター用自動閉鎖装置134には、非常時において、扉体用自動閉鎖装置241の作動により扉体用開閉機210のブレーキ212が解除されて閉鎖動作を開始した扉体2が全閉位置に達する(扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)する)ことで、連動中継器130から作動信号が入力される。これにより、復帰状態となっているシャッター用開閉機110のブレーキ112が解除され、シャッターカーテン101が閉鎖動作(自重降下)するものである。
【0157】
前述したように、電動開閉操作部119の近傍に配置されている非常閉鎖操作部132は、押しボタン型スイッチである[作動]スイッチ132Aと[復帰]スイッチ132Bとを有し、これらは、平常時には操作されないようにアクリル樹脂製のカバーで覆われている。
【0158】
非常時において、何らかの原因で感知器18や防災センター操作盤19から防災信号BSが連動中継器130へ入力されず、扉体用自動閉鎖装置241が作動しなかった場合に使用されるものであり、この非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aを管理者等の人間が操作することにより、非常閉鎖操作部132から防災信号BSと同等の信号である作動信号(DC24V)を連動中継器130へ入力させるものである。このため、非常閉鎖操作部132の[作動]スイッチ132Aは、非常時に、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除させるための扉体用自動閉鎖装置241を、手動により強制的に作動させる非常時閉鎖操作手段となっている。一方、[復帰]スイッチ132Bは、扉体用開閉機210のブレーキ212を解除状態にしている扉体用自動閉鎖装置241を元の状態に戻す(復帰させる)ため使用されるものである。
【0159】
平常時において、電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cが操作(押下)されると、[閉]スイッチ119Cから連動中継器130へ閉信号(閉鎖動作指示信号)が入力された連動中継器130は、シャッター用開閉機制御盤113へ閉信号を入力する。閉信号が入力されたシャッター用開閉機制御盤113から、シャッター用開閉機110のソレノイド145へ解除電力が供給され、このソレノイド145が通電されることにより、ブレーキ112がオフ(解除状態)となる。この後、シャッター用開閉機制御盤113から、シャッター用開閉機110のモータ111に駆動電力が供給されることにより、モータ111の駆動軸140が正回転し、このモータ111の駆動軸140の回転力は、駆動力伝達手段107を経て巻取軸106に伝達される。これにより、巻取軸106から繰り出されることによるシャッターカーテン101の閉鎖動作が開始される。
【0160】
次に、火災発生等の非常時において、シャッターカーテン101の全開状態を保持しているシャッター用開閉機110のブレーキ112を解除するための本実施形態に係るシャッター用自動閉鎖装置134の動作について説明する。
【0161】
図19に示すように、火災発生等の非常時において、感知器18や防災センター操作盤19から連動中継器130へ防災信号BS(DC24V)が入力されると、連動中継器130から扉体用自動閉鎖装置241へ作動信号(DC24V)が入力され、扉体2がねじりコイルばね16のばね力で閉鎖動作を開始する。そして、扉体2が全閉位置に達し、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)すると、この扉体全閉感知スイッチ82から連動中継器130へ扉体全閉信号が入力される。この後、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134の図示しないブレーキ制御回路へ制御信号である作動信号(DC24V)が入力される。この作動信号の入力でシャッター用自動閉鎖装置134の第1スライド部材150がスライドし、この第1スライド部材の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧するため、前述したように、この第1部分147Aがレバー部材147の第2屈曲部147Dを支点としてC方向へ揺動する。これにより、シャッター用開閉機110のブレーキ112のブレーキ軸142及びブレーキドラム143は、C方向と同じ方向であるC’方向へスライドし、これにより、それまでオン(復帰状態)となっていたブレーキ112は、オフ(解除状態)となる。
【0162】
このため、シャッター用開閉機110ブレーキ112により全開状態が保持されていたシャッターカーテン101は、巻取軸106よりも下側の部分の座板101B等の自重により、巻取軸106を正回転させながら下向きに閉鎖動作(閉じ移動)することになり、シャッター用開閉機110の前述した駆動軸140も駆動力伝達手段107(図17参照)を介して自由回転し、シャッターカーテン101はシャッター上下限リミットスイッチ122のうちの下限リミットスイッチが作動(ON)するまで自重降下する。
【0163】
この後、第2スライド部材155は図7に示す元の位置に戻るが、第1スライド部材150は、前述したように、屈曲レバー部材165のローラ166が係合していることにより、図14の位置で停止したままとなり、シャッター用開閉機110のブレーキ112のオフ(解除)の状態が継続される。すなわち、シャッターカーテン101の自重降下中は、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧する状態が継続される。
【0164】
シャッターカーテン101の自重降下(閉鎖動作)中において、このシャッターカーテン101の閉鎖動作方向に障害物が存在し、シャッターカーテン101の座板101Bに設けられている座板スイッチ115がこの障害物に当接することにより作動(ON)した場合、座板スイッチ115からの障害物感知信号が連動中継器130へ入力される。これにより、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134のDCソレノイド170へ、このソレノイド170を作動(励磁)させるための作動信号が入力される。これにより、第1スライド部材150は、ばね164に蓄圧されたばね力で元の位置までスライドする。
【0165】
この結果、第1スライド部材150の前端に設けられている作動部材152が、図6で示されている被作動部材148を介してシャッター用開閉機110のレバー部材147の第1部分147Aを図6のC方向に押圧していた状態は解除される。これにより、それまでオフ(解除状態)となっていたブレーキ112がオン(復帰状態)となるため、シャッター用開閉機110の駆動軸140の自由回転が阻止され、駆動力伝達手段107を介して駆動軸140と連結されている巻取軸106の自由回転も阻止される。この結果、障害物に当接したシャッターカーテン101の自重降下は停止する。
【0166】
この停止中のシャッターカーテン10から障害物が取り除かれると、座板スイッチ115から連動中継器130への障害物感知信号の入力が停止する。この後、タイマーによる設定時間が経過した後、連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134へは、このシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させるための(ブレーキ112を再度解除させるための)作動信号(DC24V)が入力される。
【0167】
なお、座板スイッチ115を備える閉鎖動作中のシャッターカーテン101が全閉位置(床7)に達する際のシャッターカーテン101の動作制御仕様、すなわち、下限停止動作仕様には、第1仕様である床面停止仕様と、第2仕様である床面押し込み仕様と、がある。要するに、下限停止動作仕様の違いは、シャッターカーテン101の閉鎖動作制御を行うに際して、床7を障害物として取り扱うか否かである。この動作仕様(動作モード)の設定は、連動中継器130に設けられたディップスイッチを操作することによりできる。
【0168】
この下限停止動作仕様の違いによるシャッターカーテン101の閉鎖動作制御については後述するが、例えば、下限停止動作仕様が第1仕様(床面停止仕様)である場合には、自重降下中のシャッターカーテン101が全閉位置である床7に達することにより、このシャッターカーテン101の座板スイッチ115が作動(ON)した場合には、上述した床7を障害物として感知した場合の処理(座板スイッチ115から連動中継器130への障害物感知信号の入力、及び連動中継器130からシャッター用自動閉鎖装置134への復帰信号の入力)が行われる。
【0169】
次に、平常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の流れを図20〜図23のフローチャート図により説明する。
【0170】
図20に示すように、操作待機状態(ステップS301−NO)となっている電動開閉操作部119の[閉]スイッチ119Cが管理者により操作されて作動(ON)した場合、すなわち、電動開閉操作部119から連動中継器130へ扉体2を閉鎖動作させるための閉信号(閉鎖指示信号)が入力された場合(ステップS301−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御が開始される(ステップS302)。
【0171】
このステップS302の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS303)。このステップS303において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS303−NO)には、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS304)。これにより、動作報知部118による扉体2の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(ステップS305)。
【0172】
一方、前記ステップS303において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS303−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の開始指示を行う(図22に示すステップS321)。
【0173】
前記ステップS305の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS306)。このステップS306において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS306−NO)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力を開始する(ステップS307)。これにより、オン(復帰)状態となっていた扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される(ステップS308)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212により回動が阻止されていた扉体2の回動軸は回動自在となる。すなわち、扉体2の開閉動作が可能となる。
【0174】
一方、前記ステップS306において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS306−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(図21に示すステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0175】
前記ステップS308の後は、扉体2の閉鎖が所定時間以内に正常に行われた否かを判定するための扉体閉鎖監視タイマーのカウントが開始される(ステップS309)。また、このステップS309の後、ねじりコイルばね16のばね力による扉体2の閉鎖動作が開始される(ステップS310)。
【0176】
このステップS310の後、前述したステップS306と同様に、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS311)。このステップS311において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS311−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0177】
一方、前記ステップS311において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS311−NO)には、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS313)。このステップS313において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS313−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0178】
一方、ステップS313において、[停]スイッチ119Bが作動していない場合(ステップS313−NO)には、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過したか否かの判定処理(ステップS313)が行われる。このステップS313において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS314−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS312)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0179】
一方、ステップS314において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップS314−NO)には、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップ315)。このステップS315において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS315−NO)には、前記ステップS311の処理へ戻る。
【0180】
一方、ステップS315において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS315−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS316)。
【0181】
このステップS316の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS317)が行われる。このステップS317において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS317−NO)には、前記ステップS311の処理へ戻る。
【0182】
一方、ステップS317において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS317−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS318)。また、扉体全閉感知スイッチ82からの全閉感知信号が扉体用自動閉鎖装置241へ入力され、扉体用自動閉鎖装置241は元の状態に復帰する(ステップS319)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が復帰(ON)する(ステップS320)。
【0183】
このステップS320の後、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の開始指示を実行する(ステップS321)。
【0184】
このステップS321の後、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始され(ステップS322)、この後、シャッターカーテン101の閉鎖動作(電動降下)が開始される(ステップS323)。
【0185】
このステップS323の後、上下限リミットスイッチ122のうちの下限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理、すなわち、下限リミットスイッチからのシャッター下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS324)。
【0186】
このステップS324において、下限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS324−YES)には、座板スイッチ115が故障し、シャッターカーテン101がオーバーランしていると判定できるため、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS325)、この後、動作報知部118によるシャッター装置の故障報知が行われ(ステップS326)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0187】
一方、前記ステップS324において、下限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS324−NO)には、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理、すなわち、座板スイッチ115からのシャッター障害物感知信号の入力の判定処理が行われる(ステップS327)。
【0188】
このステップS327において、座板スイッチ115が作動(ON)している場合(ステップS327−YES)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の一般的な動作制御処理(シャッターカーテン101を停止させた後、所定時間(例えば2秒間)反転上昇させ、この後、停止させる)を実行する(ステップS328)。そして。このステップS228の後は、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS330)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0189】
一方、前記ステップS327において、座板スイッチ115が作動(ON)していない場合(ステップS327−NO)には、[停]スイッチ119Bの作動(ON)の判定処理、すなわち、[停]スイッチ119Bからの停信号の入力の判定処理が行われる(ステップS329)。
【0190】
このステップS329において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)している場合(ステップS329−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS330)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0191】
一方、前記ステップS329において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS329−NO)には、ディップスイッチの操作により設定された下限停止動作仕様の判定処理、すなわち、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS331)。
【0192】
このステップS331において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合、言い換えると、床面停止仕様である場合(ステップS331−NO)には、前記ステップS324の判定処理に戻る。
【0193】
一方、前記ステップS331において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS331−YES)には、増設リミットスイッチ131の作動(ON)の判定処理、すなわち、増設リミットスイッチ131からの増設下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS332)。
【0194】
このステップS332において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)していない場合(ステップS332−NO)には、前記ステップS324の判定処理に戻る。
【0195】
一方、前記ステップS332において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)している場合(ステップS332−YES)には、座板スイッチ115の作動を無効させる時間をカウントするための座板スイッチ作動無効タイマーのカウントが開始され(ステップS333)、これにより、座板スイッチ115の作動が無効化される、すなわち、座板スイッチ115からの障害物感知信号の入力が無効化される(ステップS334)。
【0196】
このステップS334の後、下限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS335)。
【0197】
このステップS335において、下限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS335−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS336)、この後、動作報知部118によるシャッター装置の故障報知が行われ(ステップS337)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0198】
一方、前記ステップS335において、下限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS335−NO)には、[停]スイッチ119Bの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS338)。
【0199】
このステップS338において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)している場合(ステップS338−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS339)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0200】
一方、前記ステップS338において、[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS338−NO)には、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過しているか否かの判定処理が行われる(ステップS340)。
【0201】
このステップS340において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS340−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の停止指示を実行し(ステップS339)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御は終了する。
【0202】
一方、前記ステップS340において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップ340−NO)には、前記ステップS335の判定処理へ戻る。
【0203】
次に、平常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御の流れを図24〜図26のフローチャート図により説明する。
【0204】
図24に示すように、操作待機状態(ステップS351−NO)となっている電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aが管理者により操作されて作動(ON)した場合、すなわち、電動開閉操作部119から連動中継器130へ扉体2を開放動作させるための開信号(開放指示信号)が入力された場合(ステップS351−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御が開始される(ステップS352)。
【0205】
このステップS352の後、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS353)。
【0206】
このステップS353の後、上下限リミットスイッチ122のうちの上限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理、すなわち、上限リミットスイッチからのシャッター上限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS354)。
【0207】
このステップS354において、上限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS354−NO)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の開始指示を行う(ステップS355)。
【0208】
一方、前記ステップS354において、上限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS354−YES)には、動作報知部118による扉体2の開放動作を事前報知する処理が開始される(図25に示すステップS368)。
【0209】
前記ステップS355の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS356)。このステップS356において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS356−NO)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS357)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS358)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0210】
一方、前記ステップS356において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS356−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS359)。
【0211】
このステップS359の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS360)が行われる。このステップS360において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS360−NO)には、前記ステップS356の処理へ戻る。
【0212】
一方、ステップS360において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS360−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の開放動作を事前報知する処理が開始される(ステップS361)。この後、シャッターカーテン101の電動上昇(開放動作)が開始される(ステップS362)。
【0213】
このステップS362の後、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS363)。このステップS363において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS363−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS364)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS365)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0214】
一方、前記ステップS363において、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bが作動(ON)していない場合(ステップS363−NO)には、上限リミットスイッチの作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS366)。
【0215】
このステップS366において、上限リミットスイッチが作動(ON)していない場合(ステップS365−NO)には、前記ステップS363の判定処理へ戻る。
【0216】
一方、前記ステップS366において、上限リミットスイッチが作動(ON)している場合(ステップS366−YES)には、シャッター用開閉機制御盤113へシャッターカーテン101の開放動作制御の停止指示を行う(ステップS367)。このステップS367の後、動作報知部118による扉体2の開放動作を事前報知する処理が開始される(ステップS368)。
【0217】
このステップS368の後、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の開始指示を行う(ステップS369)。これにより、扉体2の電動開放が開始される(ステップS370)。
【0218】
このステップS370の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS371)。このステップS371において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS371−YES)には、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS374)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS375)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0219】
一方、前記ステップ371において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS371−NO)には、電動開閉操作部119の[停]スイッチ119Bの作動(ON)(停信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS372)。このステップS372において、[停]スイッチ119Bが作動した場合(ステップS372−YES)には、前記ステップS374以降の処理が行われる。
【0220】
一方、前記ステップ372において、[停]スイッチ119Bが作動していない場合(ステップS372−NO)には、扉体用開閉機210に設けられている扉体開閉限リミットスイッチ240のうちの開放限リミットスイッチの作動(ON)(開放限信号の入力)の判定処理が行われる(ステップS373)。このステップS373において、開放限リミットスイッチが作動していない場合(ステップS373−NO)には、前記ステップS371の判定処理に戻る。
【0221】
一方、前記ステップS373において、開放限リミットスイッチが作動している場合(ステップS373−YES)には、扉体用開閉機制御盤242へ扉体2の開放動作制御の停止指示を実行し(ステップS374)、動作報知部118への作動電力の供給を停止し(ステップS375)、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の開放動作制御は終了する。
【0222】
次に、火災発生等の非常時において連動中継器130により実行される扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御の流れを図27〜図30のフローチャート図により説明する。
【0223】
図27に示すように、防災信号BS又は非常閉鎖操作部132からの作動信号入力待機状態(ステップS401−NO)となっている連動中継器130に防災信号BSや作動信号が入力された場合(ステップS401−YES)には、連動中継器130による扉体2及びシャッターカーテン101の閉鎖動作制御が開始される(ステップS402)。
【0224】
このステップS402の後、動作報知部118へ作動電力の供給を開始する(ステップS403)。
【0225】
このステップS403の後、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS404)。このステップS404において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS404−NO)には、これにより、動作報知部118による扉体2の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(ステップS405)。
【0226】
一方、前記ステップS404において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS404−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(図29に示すステップS420)。
【0227】
前記ステップ405の後、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS406)。このステップS406において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS406−NO)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力を開始する(ステップS407)。これにより、オン(復帰)状態となっていた扉体用開閉機210のブレーキ212が解除される(ステップS408)。これにより、扉体用開閉機210のブレーキ213により回動が阻止されていた扉体2の回動軸は回動自在となる。すなわち、扉体2の閉鎖動作が可能となる。
【0228】
一方、前記ステップS406において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS406−YES)には、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始される(図29に示すステップS420)。
【0229】
前記ステップS408の後は、ねじりコイルばね16のばね力による扉体2の閉鎖動作が開始される(ステップS409)。また、このステップS409の後、扉体2の閉鎖が所定時間以内に正常に行われた否かを判定するための扉体閉鎖監視タイマーのカウントが開始される(ステップS410)。
【0230】
このステップS410の後、前述したステップS406と同様に、扉体用障害物感知装置133の作動の判定処理が行われる(ステップS411)。このステップS411において、扉体用障害物感知装置133が作動している場合(ステップS411−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0231】
一方、前記ステップS411において、扉体用障害物感知装置133が作動していない場合(ステップS411−NO)には、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過したか否かの判定処理(ステップS412)が行われる。このステップS412において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS412−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0232】
一方、ステップS412において、扉体閉鎖監視タイマーの設定時間が経過していない場合(ステップS412−NO)には、扉体全閉感知スイッチ82の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS413)。このステップS413において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していない場合(ステップS413−NO)には、前記ステップS411の処理へ戻る。
【0233】
一方、ステップS413において、扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)している場合(ステップS413−YES)には、扉体2の全閉状態が所定時間継続しているか否かを判定するための扉体全閉監視タイマーのカウントが開始される(ステップS414)。
【0234】
このステップS414の後、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過しているか否かの判定処理(ステップS415)が行われる。このステップS415において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過していない場合(ステップS415−NO)には、前記ステップS411の処理へ戻る。
【0235】
一方、ステップS415において、扉体全閉監視タイマーで設定された時間が経過している場合、すなわち、扉体2の全閉状態が所定時間継続している場合(ステップS415−YES)には、扉体用自動閉鎖装置241への作動信号の入力が停止される(ステップS416)。
【0236】
このステップS416の後、扉体用開閉機210のブレーキ212を復帰させるための復帰信号が、扉体用自動閉鎖装置241へ入力され(ステップS417)、これにより、扉体用開閉機210のブレーキ212が復帰する(ステップS418)。
【0237】
このステップS418の後、動作報知部118によるシャッターカーテン101の閉鎖動作を事前報知する処理が開始され(ステップS420)、この後、シャッター用自動閉鎖装置134へこのシャッター用自動閉鎖装置134を作動させるための作動信号が入力される(ステップS421)。この作動信号の入力によるシャッター用自動閉鎖装置134の作動で、シャッター用開閉機110ブレーキ112が解除される(ステップS422)。これにより、シャッターカーテン101の閉鎖動作(自重降下)が開始される(ステップS423)。
【0238】
このステップS423の後、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理、すなわち、座板スイッチ115からのシャッター障害物感知信号の入力の判定処理が行われる(ステップS424)。
【0239】
このステップS424において、座板スイッチ115が作動(ON)している場合(ステップS424−YES)には、ディップスイッチの操作により設定された下限停止動作仕様の判定処理、すなわち、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS425)。
【0240】
なお、座板スイッチ115が作動(ON)することにより、座板スイッチ115からシャッター用自動閉鎖装置134へ障害物感知信号が入力され、これにより、解除状態となっていたシャッター用開閉機110のブレーキ112が復帰状態となるため、シャッターカーテン101の自重降下は停止している。
【0241】
前記ステップS425において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合、言い換えると、床面停止仕様である場合(ステップS425−NO)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の動作制御処理(障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなるまでシャッターカーテン101を停止させ、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなった場合には、所定時間後(例えば10秒後)にシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させて、シャッターカーテン101を再降下させる)を実行する(ステップS426)。なお、このステップS426の後は、前記ステップS424の判定処理へ戻る。
【0242】
前記ステップS425において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS425−YES)には、停電(商用電源120からの電力供給不可)の判定処理が行われる(ステップS427)。
【0243】
このステップS427において、停電である場合(ステップS427−YES)には、前記ステップS426の処理を実行する。
【0244】
一方、前記ステップS427において、停電でない場合(ステップS427−NO)には、障害物感知時におけるシャッターカーテン101の動作制御処理(停止させたシャッターカーテン101を所定時間(例えば2秒間)反転上昇させた後、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなるまでシャッターカーテン101を停止させ、障害物が除去されて座板スイッチ115がOFFとなった場合には、所定時間後(例えば10秒後)にシャッター用自動閉鎖装置134を再作動させて、シャッターカーテン101を再降下させる)を実行する(ステップS428)。このステップS428において、「反転上昇」とは、連動中継器130からシャッター用開閉機制御盤113への指示に基づくシャッター用開閉機110のモータ111の駆動(逆駆動)によるものであり、このときのシャッター用開閉機110のブレーキ112の解除は、シャッター用開閉機110のソレノイド145への通電(解除電力の供給)によるものである。なお、このステップS428の後は、前記ステップS424の判定処理へ戻る。
【0245】
前記ステップS424において、座板スイッチ115が作動(ON)してない場合(ステップS424−NO)には、増設リミットスイッチ131の作動(ON)の判定処理、すなわち、増設リミットスイッチ131からの増設下限信号の入力の判定処理が行われる(ステップS429)。
【0246】
このステップS429において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)していない場合(ステップS429−NO)には、前記ステップS424の判定処理に戻る。
【0247】
一方、前記ステップS429において、増設リミットスイッチ131が作動(ON)している場合(ステップS429−YES)には、防災盤等へ閉鎖確認信号を入力する(ステップS427)。このステップS427の後、下限停止動作仕様が第1仕様である床面押し込み仕様であるかの判定処理が行われる(ステップS428)。
【0248】
このステップS428において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様である場合(ステップS428−YES)には、座板スイッチ115の作動を無効させる時間をカウントするための座板スイッチ作動無効タイマーのカウントが開始され(ステップS429)、これにより、座板スイッチ115の作動が無効化される、すなわち、座板スイッチ115からの障害物感知信号の入力が無効化される(ステップS430)。
【0249】
このステップS430の後、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過しているか否かの判定処理が行われる(ステップS431)。
【0250】
このステップS431において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過してない場合(ステップS431−NO)には、このステップS431の判定処理を繰り返す。
【0251】
一方、ステップS431において、座板スイッチ作動無効タイマーの設定時間が経過している場合(ステップS431−YES)には、シャッター用自動閉鎖装置134へ障害物感知信号を入力する(ステップS432)。これにより、シャッター用自動閉鎖装置134は、解除状態となっていたシャッター用開閉機110のブレーキ112を復帰させる(ステップS433)。この結果、シャッターカーテン101の自重による閉鎖動作は停止する(ステップS434)。
【0252】
また、前記ステップS428において、下限停止動作仕様が床面押し込み仕様でない場合(ステップS428−NO)には、座板スイッチ115の作動(ON)の判定処理が行われる(ステップS435)。
【0253】
このステップS435において、座板スイッチ115が作動(ON)していない場合(ステップS435−NO)には、このステップS435を繰り返す。
【0254】
一方、このステップS435において、座板スイッチ115が作動(ON)した場合、すなわち、床7に当接することにより座板スイッチ115が作動した場合(ステップS435−YES)には、前記ステップS432以降の処理を実行し、これにより、シャッターカーテン101の自重による閉鎖動作は停止する。
【0255】
以上説明した本実施形態によると、前述の第1の実施形態と同様に、扉体2の開放動作は電動により行わせることができ、それだけ、開閉装置(袖扉付シャッター装置)の管理運用にかかる人件費を削減できるようになる。
【0256】
また、本実施形態によると、非常時において、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作をさせることができるだけでなく、平常時においても、扉体2とシャッターカーテン101とが連動した閉鎖動作及び開放動作をさせることができる。
【0257】
なお、本実施形態に係る開閉装置を、平常時において扉体2及びシャッターカーテン101で出入口90を開閉するためのみに使用される管理専用開閉装置(袖扉付シャッター装置)とする場合には、すなわち、非常時において扉体2及びシャッターカーテン101で出入口90を閉鎖させる必要がない場合には、図18及び図19に示す感知器18や防災センター操作盤19が接続される連動中継器130からバッテリー、防災信号BSに対する連動機能を省略することができる。
【0258】
図31は、第3の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。また、図32及び図33は、図4及び図5と同様に本実施形態に係る開閉装置を構成する主要な装置のブロック線図であり、図32は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、図33は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものである。なお、図31において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。
【0259】
図31に示されているように、本実施形態に係る開閉装置では、開閉体は、1個のシャッターカーテン101と、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部に並設された2個の扉体2,2´とで構成されている。また、本実施形態に係る開閉装置では、図32及び図33に示すように、各扉体用の扉体用開閉機210,210´、扉体用開閉機制御盤242、242´、扉体用自動閉鎖装置241,241´、開閉限リミットスイッチ240,240´、扉体全閉感知スイッチ82,82´、扉体用障害物感知装置133,133´、扉体用障害物感知装置245,245´が備えられている。
【0260】
本実施形態では、前述した各実施形態と同様に、扉体2,2´は、扉体用開閉機210,210´のモータ211,211´の駆動軸の回転力で、電動による開放動作が行われるようになっている。
【0261】
開放動作していた扉体2,2´が全開位置に達すると、扉体用開閉機210,210´のモータ211,211´の駆動軸は、この扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´の制動力により回転しないため、扉体2,2´の回動は阻止される。これにより、扉体2,2´の全開状態は、扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´で保持される。このため、本実施形態では、扉体用開閉機210,210´のブレーキ212,212´は、扉体2を全開状態に保持するための扉体全開保持手段となっている。
【0262】
本実施形態における連動中継器130により実行される閉鎖動作制御は、概ね前述した第2の実施形態と同じであるが、シャッターカーテン101の開閉動作は、このシャッターカーテン101の幅方向の両端部が2個の扉体2,2´に設けられたガイド部である溝部3Fで案内されて行われるため、まず2個の扉体2,2´の閉鎖動作を開始(同時でもよく、あるいは時間差を置いてもよい)させ、これらの扉体2,2´の両方が全閉位置に達した(扉体全閉感知スイッチ82,82´の両方が作動(ON)した後に、シャッターカーテン101を閉鎖動作させる必要がある。なお、2個の扉体2,2´の閉鎖動作の開始は、シャッターカーテン101が全開位置に達している(上限リミットスイッチが作動(ON)している)ことが前提となる。
【0263】
一方、本実施形態における連動中継器130により実行される開放動作制御も、概ね前述した第2の実施形態と同じであるが、まず、シャッターカーテン101の開放動作を開始させ、このシャッターカーテン101が全開位置に達した(開閉限リミットスイッチ131が作動(ON)した)後に、扉体2,2´を開放動作させる必要がある。
【0264】
図34は、第4の実施形態に係る開閉装置の全体正面図である。この図34に示されているように、本実施形態に係る開閉装置を構成する開閉体は、1個の扉体2と2個のシャッターカーテン101,101´となっている。なお、図34において、装置間を結ぶ線は便宜上一部省略されている。
【0265】
2個のシャッターカーテン101,101´のうちの一方のシャッターカーテン101は、扉体2の幅方向に並設されるものである。また、2点鎖線で一部が示されている他方のシャッターカーテン101´は、扉体2に対して直角に配置されるものである。言い換えると、シャッターカーテン101´は、このシャッターカーテン101´と扉体2同士が直交するように配置されるものである。
【0266】
なお、図34は、扉体2が全閉位置に達した後、シャッターカーテン101,101´(1点鎖線で示す)が矢印H方向(下方向)へ閉鎖動作している途中を示すものである。なお、図34では、シャッターカーテン101´を制御する装置類、配線の表示は省略している。
【0267】
図35は、図34の平面レイアウト図を簡略化して示した図であり、1個の扉体2と2個のシャッターカーテン101,101´を簡略化して示した図である。図35から分かるように、本実施形態に係る開閉装置は、主として、火災発生時等の非常時において、1個の扉体と2個のシャッターカーテン101,101´により防災区画を形成するための開閉装置となっている。なお、図35に示すように、扉体2の閉鎖動作方向はA方向であり、開放動作方向はB方向である(後述の図38及び図39の実施形態も同様)。
【0268】
この図35に示すように、本実施形態では、扉体2の幅方向に並設されるシャッターカーテン101の開閉動作は、2個のガイド部により案内されるものであり、2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部に形成された溝部3Fとなっており、シャッターカーテン101側へ開口したこの溝部3Fは、扉体本体3の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成されている。2個のガイド部のうちの他方は、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの扉体2側の端部とは反対側の端部が対向する壁6の凹部に立設されたガイドレール61の溝部61Aとなっている。なお、この溝部61Aを有するガイド部材であるガイドレール61は、床7からまぐさ102の高さ位置までの上下方向の長さを有している。これらの溝部3F,61Aは、シャッターカーテン101の幅方向の端部がスライド自在に挿入されるものとなっている。
【0269】
このため、シャッターカーテン101の開閉動作は、シャッターカーテン101の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全開位置に達した状態の扉体2の扉体本体3に形成された溝部3Fに案内され、他方の端部は、壁6の凹部に立設されたガイドレール61の溝部61Aに案内されながら行われる。
【0270】
また、図35に示すように、本実施形態では、扉体2に対して直角に配置されるシャッターカーテン101´の開閉動作も、2個のガイド部により案内されるものであり、2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部であって、シャッターカーテン101´と対向する側の面に形成された溝部3Gとなっており、シャッターカーテン101´側へ開口したこの溝部3Gは、扉体本体3の長さ方向(上下方向)全長に渡って形成されている。2個のガイド部のうちの他方は、シャッターカーテン101´の幅方向の両端部のうちの扉体2側の端部とは反対側の端部が対向する壁6の凹部に立設されたガイドレール62の溝部62Aとなっている。なお、この溝部62Aを有するガイド部材であるガイドレール62は、床7からまぐさ102の高さ位置までの上下方向の長さを有している。これらの溝部3G,62Aは、シャッターカーテン101´の幅方向の端部がスライド自在に挿入されるものとなっている。
【0271】
このため、シャッターカーテン101´の開閉動作は、シャッターカーテン101´の幅方向の両端部のうちの一方の端部が、全開位置に達した状態の扉体2の扉体本体3に形成された溝部3Gに案内され、他方の端部は、壁6の凹部に立設されたガイドレール62の溝部62Aに案内されながら行われる。
【0272】
図36及び図37は、図4及び図5と同様に本実施形態に係る開閉装置を構成する主要な装置のブロック線図であり、図36は、平常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものであり、図37は、火災発生時等の非常時において動作する装置間を流れる信号を矢印付の実線で示したものである。
【0273】
図36に示すように、本実施形態では、連動中継器は、連動中継器130,130´の2個あり、連動中継器130は、シャッターカーテン101を開閉動作するために、シャッター用開閉機制御盤113、シャッター用開閉機110、増設リミットスイッチ131、上下限リミットスイッチ122、シャッター用自動閉鎖装置134、扉体全閉感知スイッチ82等の間で信号の受け渡しを行う。一方、連動中継器130´は、シャッターカーテン101´を開閉動作するために、シャッター用開閉機制御盤113´、シャッター用開閉機110´、増設リミットスイッチ131´、上下限リミットスイッチ122、シャッター用自動閉鎖装置134´、扉体全閉感知スイッチ82等の間で信号の受け渡しを行う。
【0274】
前述したように、2個のシャッターカーテン101,101´の開閉動作を案内するための2個のガイド部の一方は、扉体2に設けられている。
【0275】
したがって、本実施形態では、非常時(平常時においても同様)におけるこれらのシャッターカーテン101、101´の閉鎖動作は、扉体2が先に全閉位置に達している(全閉状態が保持されている)ことが前提条件となる。すなわち、扉体2が全閉位置に達することにより図36及び図37に示す扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)していることが前提条件となる。
【0276】
このため、本実施形態では、扉体2が図35に示す矢印A方向へ閉鎖動作を開始した後、この扉体2が全閉位置に達することにより扉体全閉感知スイッチ82が作動(ON)し、この扉体全閉感知スイッチ82からの扉体全閉信号が、連動中継器130.130´のそれぞれに入力される。これにより、非常時の場合には、連動中継器130,130´からシャッター用自動閉鎖装置134,134´へ作動信号が入力され、この作動信号が入力されたシャッター用自動閉鎖装置134によるシャッター用開閉機110,110´のブレーキ112,112´が解除される。この結果、シャッターカーテン101,101´の自重降下が開始する。
【0277】
なお、2個のシャッターカーテン101,101´の閉鎖動作の順序は関係なく、同時に閉鎖動作を開始させてもよく、どちらか一方を先に、すなわち、時間差をおいて閉鎖動作を開始させてもよい。
【0278】
図38は、扉体2とシャッターカーテン101,101´の配置位置(平面レイアウト)の変形例を示す図35と同様の平面レイアウト図である。この第1変形例が図35の実施形態と異なるのは、扉体2がシャッターカーテン101,101´の側とは反対の側に配置されて開閉動作を行う点だけである。
【0279】
図39は、扉体2とシャッターカーテン101,101´の配置位置(平面レイアウト)のさらなる変形例を示す図35と同様の平面レイアウト図である。この第2変形例は、2個のシャッターカーテン101,101´の両方が、扉体2に対して直角に配置されるものである。
【0280】
この第2変形例では、シャッターカーテン101の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101側の端部であって、シャッターカーテン101と対向する側の面に形成された前記溝部3Gとなっている。なお、シャッターカーテン101の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの他方は、前述したガイドレール61の溝部61Aとなっている。
【0281】
これと同様に、シャッターカーテン101´の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの一方は、扉体2の扉体本体3の幅方向の両端部のうちのシャッターカーテン101´側の端部であって、シャッターカーテン101´と対向する側の面に形成された溝部3Hとなっている。なお、シャッターカーテン101´の開閉動作を案内する2個のガイド部のうちの他方は、前述したガイドレール62の溝部62Aとなっている。
【0282】
なお、以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態(第4の実施形態、第4の実施形態の第1変形例、第4の実施形態の第2変形例)において、扉体2の開放動作は、2個のシャッターカーテン101,101´が先に全開位置に達している(全開状態が保持されている)ことが前提条件となる。すなわち、シャッターカーテン101,101´が全開位置に達することにより上下限リミットスイッチ122,122´の上限リミットスイッチが作動(ON)していることが前提条件となる。
【0283】
このため、図34〜図37、図38、図39の各実施形態では、電動開閉操作部119の[開]スイッチ119Aが操作され、シャッターカーテン101,101´が上方向への開放動作を開始した後、シャッターカーテン101,101´が全閉位置に達することにより上下限リミットスイッチ122,122´のうちの上限リミットスイッチが作動(ON)し、この上限リミットスイッチからのシャッター全開信号が連動中継器130,130´のそれぞれに入力される。これにより、連動中継器130,130´から扉体用開閉機制御盤242へ扉体開放指示信号が入力される。扉体用開閉機制御盤242では、連動中継器130,130´両方からの扉体開放指示信号が入力されたとき、扉体用開閉機210のモータ211へ駆動電力、ブレーキ212へ解除電力を入力する。これにより、扉体2は、図35に示す矢印B方向への電動による開放動作を開始する。
【0284】
以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態に係る開閉装置は、複数のシャッターカーテンを扉体(袖扉)の幅方向に並設できない現場(設置場所)にも設置することができる。すなわち、第4の実施形態によると、様々な現場の納まりニーズに対応することが可能となる。
【0285】
なお、以上説明した図34〜図37、図38、図39の各実施形態では、連動中継器は、2個のシャッターカーテン101,101´の動作を個別に制御できるように2個設けたが、連動中継器は、2個のシャッターカーテン101,101´共用の1個の連動中継器としてもよい。
【0286】
なお、以上説明した各実施形態において、扉体全閉感知スイッチの作動の有無にかかわらずにシャッターカーテンを電動開閉できるメンテナンスモードを備えてもよい。
【0287】
なお、以上説明した各実施形態において、扉体の閉鎖動作時や開放動作時の障害物の感知する扉体用障害物感知装置は省略することも可能である。その場合には、扉体の開閉動作時の障害物に対する安全策を講じることが好ましい。
【0288】
また、以上説明した各実施形態において、動作報知部も省略することも可能である。
【0289】
なお、以上説明した各実施形態において、防災信号BS(作動信号)におけるDC24Vとは、信号送出側(送信側)から供給されるもの(信号送出側の有電圧信号出力)や、信号受入側(受信側)から供給されるもの(信号送出側の無電圧接点信号出力)も含むものである。
【0290】
以上説明した各実施形態では、平常時における扉体2の閉鎖動作は、ねじりコイルばね16に蓄圧されたばね力で行われるものであったが、扉体用開閉機210のモータ211の駆動力で行われるようにしてもよい。すなわち、平常時における扉体2の閉鎖動作は、電動で行われるようにしてもよい。
【0291】
また、以上説明した各実施形態では、平常時の扉体の開閉動作において、扉体用障害物感知装置による障害物感知が行われたとき、扉体用開閉機のモータの駆動力で扉体を所定時間反転動作(閉鎖動作中の場合は開放動作、開放動作中の場合は閉鎖動作)をさせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0292】
本発明は、空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された扉装置や、少なくとも1個の扉体と少なくとも1個のシャッターカーテンを備えた扉体(袖扉)付シャッター装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0293】
2,2´ 扉体
3F,3G,3H ガイド部である溝部
16 付勢手段であるねじりコイルばね
101、101´ シャッターカーテン
112,112´ 回動軸回動阻止手段である扉体用開閉機のブレーキ
130,130´ 開閉制御手段である連動中継器
140 駆動装置の駆動軸
210,210´ 駆動装置である扉体用開閉機
224 第1かさ歯車225
224A 第1かさ歯車225の軸部
226 第2かさ歯車226
226A 回動軸である第2かさ歯車226の軸部
221 駆動スプロケットホイール
222 被動スプロケットホイール
223 ローラチェーン
228 アーム部材
230 駆動力伝達手段
250 軸部材
251 カップリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体と、前記扉体を全開状態に保持するための扉体全開保持手段と、少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための駆動装置と、を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、前記扉体は、回動軸を中心に回動自在となっており、前記駆動装置は、前記回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により前記回動軸へ伝達されることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉装置において、前記駆動力伝達手段は、前記駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動スプロケットホイールと、前記駆動スプロケットホイールと前記被動スプロケットホイールとの間に架け渡されたローラチェーンと、を含んで構成され、前記回動軸は、前記第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車の軸部であることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉装置において、前記回動軸の下端部は、前記扉体の上端部における回動中心部から突出して取り付けられた軸部材と、カップリングにより結合されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項3に記載の開閉装置において、前記回動軸の下端部は、前記扉体の幅方向への長さを有するアーム部材を介して前記扉体に取り付けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の開閉装置において、前記扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の開閉装置において、前記扉体全開保持手段は、前記回動軸の回動を阻止するための回動軸回動阻止手段であることを特徴とする開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の開閉装置において、前記開閉体は、少なくとも1個の前記扉体と、少なくとも1個の前記シャッターカーテンと、を含んで構成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項9】
請求項8に記載の開閉装置において、前記扉体と前記シャッターカーテンとを連動して開閉動作させるための開閉制御手段を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項10】
請求項9に記載の開閉装置において、前記シャッターカーテンの開閉動作方向は上下方向であって下方向が閉鎖動作方向となっており、前記扉体の幅方向の端部には、前記シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が前記幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成されており、前記開閉制御手段は、前記扉体が全閉位置まで閉鎖動作した後に前記シャッターカーテンの閉鎖動作を開始させる制御を実行し、前記シャッターカーテンが全開位置まで開放動作した後に前記扉体の開放動作を開始させる制御を実行することを特徴とする開閉装置。
【請求項1】
空間を仕切るための少なくとも1個の扉体で構成された開閉体と、前記扉体を全開状態に保持するための扉体全開保持手段と、少なくとも前記扉体全開手段による全開保持状態が解除されて全閉位置まで閉鎖動作した前記扉体を開放動作させるための駆動装置と、を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、前記扉体は、回動軸を中心に回動自在となっており、前記駆動装置は、前記回動軸を駆動させるための駆動軸を有し、この駆動軸の回転力は、駆動力伝達手段により前記回動軸へ伝達されることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉装置において、前記駆動力伝達手段は、前記駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、第1かさ歯車の軸部に取り付けられた被動スプロケットホイールと、前記駆動スプロケットホイールと前記被動スプロケットホイールとの間に架け渡されたローラチェーンと、を含んで構成され、前記回動軸は、前記第1かさ歯車に噛合する第2かさ歯車の軸部であることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉装置において、前記回動軸の下端部は、前記扉体の上端部における回動中心部から突出して取り付けられた軸部材と、カップリングにより結合されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項3に記載の開閉装置において、前記回動軸の下端部は、前記扉体の幅方向への長さを有するアーム部材を介して前記扉体に取り付けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の開閉装置において、前記扉体に対して閉鎖動作方向への付勢力を付与する付勢手段を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の開閉装置において、前記扉体全開保持手段は、前記回動軸の回動を阻止するための回動軸回動阻止手段であることを特徴とする開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の開閉装置において、前記開閉体は、少なくとも1個の前記扉体と、少なくとも1個の前記シャッターカーテンと、を含んで構成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項9】
請求項8に記載の開閉装置において、前記扉体と前記シャッターカーテンとを連動して開閉動作させるための開閉制御手段を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項10】
請求項9に記載の開閉装置において、前記シャッターカーテンの開閉動作方向は上下方向であって下方向が閉鎖動作方向となっており、前記扉体の幅方向の端部には、前記シャッターカーテンの開閉動作を案内するためのガイド部が前記幅方向と直交する方向である長さ方向略全長に渡って形成されており、前記開閉制御手段は、前記扉体が全閉位置まで閉鎖動作した後に前記シャッターカーテンの閉鎖動作を開始させる制御を実行し、前記シャッターカーテンが全開位置まで開放動作した後に前記扉体の開放動作を開始させる制御を実行することを特徴とする開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2012−127167(P2012−127167A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282203(P2010−282203)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】
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