説明

開閉部の噴霧剤の噴霧機構

【課題】左右2つの当接部のいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で押栓が押され、噴霧量が同じとなる。
【解決手段】2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔229L、229Rは、押栓231の復帰力によってともに同じ上方向に同じ力で付勢されている。左側の当接部227Lが押されると、ロッド224に反時計周りの回転モーメントが働く。2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rのうち、軸ピン突起223R/長孔229Rの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Lが長孔229L内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。右側の当接部227Rが押されると、これらと逆の動きとなって、やはり押し下げ部228が押栓231を押す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、住宅、アパート、マンション等の居住空間内には、様々な臭いが滞留している。それらの臭いの発生源は、その居住空間内にある家具、壁紙又は、居住者が着用する衣服や靴などである。特に、衣服、靴その他は、人体から発せられる汗や皮脂に、細菌が作用して発せられる様々な臭いと、それら衣服、靴固有の臭いが混ざりあい複雑な臭いとなっている。それらの臭いは、一般に生活臭と呼ばれ、その居住空間内に生活する者には、気にならないが、外部の人間にとっては、異臭と感じる場合がある。
【0002】
そこで、それらの臭いを消すべく、様々な消臭剤や芳香剤(以下「噴霧剤」という)が用いられている。このような噴霧剤を扉に取り付けて、扉の開閉に伴って、自動的に噴霧を行うものが考えられてきている。
【0003】
【特許文献1】特願2005−243482号(未公開)
【特許文献2】特開2003−184451号公報
【特許文献3】実願平02−055500号(実開平04−014685号)のマイクロフィルム
【特許文献4】特開2000−189033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような扉の開閉に伴って自動的に噴霧を行うには、扉または扉の周囲の壁などに噴霧機構を取り付けなくてはならない。しかしながら、扉には種々の種類があり、右側で開閉するもの、左側で開閉するもの、室内側に開くもの、室外側に開くもの、回動式、スライド式などがあり、さらには窓を考慮に入れると、上側で開閉するもの、下側で開閉するものなどがさらに付け加わる。
【0005】
このような種々の種類の開閉部に噴霧機構を対応させるには、多くの種類の噴霧機構を用意しなくてはならなかった。本発明の目的は、種々の種類の開閉部に1つの装置で対応できる噴霧機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の噴霧機構では、上記扉が閉じられるときまたは開かれるとき、上記枠体の外面または扉の外面に当接する当接部であって、この当接部は上記押し下げ部に連結され、この当接部は上記押し下げ部を挟んで少なくとも2つ設けられ、 この当接部と押し下げ部との間の少なくとも2箇所に設けられた長孔と、 この長孔内それぞれに入り込む少なくとも2つの突起であって、この突起は長孔内を移動可能であり、 この長孔と突起との一方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の一方に設けられ、この長孔と突起との他方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の他方に設けられ、 上記2つの長孔は円弧状に湾曲しており、一方の長孔の円弧の中心は、他方の長孔に入り込んでいる突起にあるようにした。
【発明の効果】
【0007】
当接部は噴霧剤入り容器の押し下げ部を挟んで少なくとも2つ設けられているから、扉または枠体が、噴霧機構の右側または左側、上側または下側、どちらから当接しても、噴霧できる。
【0008】
また、押し下げ部と当接部とは、2つ以上の長孔と突起と固定されるから、押し下げ部と当接部とは固定機構に対して振らつかず、安定して噴霧できる。さらに、押し下げ部と当接部とは、2つ以上の長孔と突起と固定されるから、押し下げ部と当接部とにかかる力は、この2つ以上の固定箇所に分散され、噴霧機構の強度を保つことができ、磨耗・劣化しにくくなる。
【0009】
また、2つの長孔は円弧状に湾曲しており、一方の長孔の円弧の中心は、他方の長孔に入り込んでいる突起にあるから、一方の突起を中心として、他方の突起が長孔内を移動でき、2つの当接部のいずれが当接しても、押し下げ部は噴霧剤入り容器の押栓を押し下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)噴霧機構の構造(第一実施例)
図1乃至図3は開閉部の噴霧剤の噴霧機構の第一実施例の全体外観を示す。開閉部201の四角枠状の枠体202の中には扉203(開閉体)が収納され、この扉203の左縁と上記枠体202左側との間には複数の兆番が取り付けられ、当該扉203が左縁を中心軸として右側で水平方向に回動可能に開閉可能となっている。この開閉部201によって、二つの空間が仕切られる。
【0011】
図1に示すように、この扉203の室内側の左側には縦に細長い方形板状の金属製の台座204が着脱自在に固定されている。この固定は木ねじ、くぎ、シート磁石、面ファスナー、両面テープ、接着剤などによる。図2に示すように、この台座204の左右両側は延出され手前に折り曲げられて中央折り曲げ部205L、205Rが形成されている。この中央折り曲げ部205L、205Rの中央には縦に延びる係合穴206L、206Rが形成されている。
【0012】
上記台座204の左右両縁の上端も延出され手前に折り曲げられて上部折り曲げ部207L、207Rが形成されている。この上部折り曲げ部207L、207Rの上縁はさらに互いに内向きに折り曲げられストッパー部208L、208Rが形成されている。このストッパー部208L、208Rが噴霧剤入り容器230の首部に係合して、噴霧剤入り容器230が上方または下方へスライドするのが防止される。
【0013】
金属製のカバー部210は方形板状であり、このカバー部210の両側は奥側に折り曲げられ側面部211L、211Rが形成されている。この側面部211L、211Rの先端縁は上記台座204の中央折り曲げ部205L、205Rの係合穴206L、206Rに係合して、中央折り曲げ部205L、205Rを両側から内側に付勢可能となっている。
【0014】
このカバー部210の上部両側は、上記側面部211L、211Rとは分離され、奥側に折り曲げられ、しかも上に向かって窄まっていて、上端カバー部212L、212Rが形成されており、この上端カバー部212L、212Rによって噴霧剤入り容器230が上方へスライドされるのが防止される。このカバー部210の中央には縦に伸びる覗き窓213が形成されている。
【0015】
上記上端カバー部212L及び212Rの間は、切欠されていて、挟み込み部214となっていて、この挟み込み部214の中央には突起が形成されている。この突起を含む挟み込み部214には、小さいスポンジまたは布(吸収体)などが挟み込まれたり、この突起に差し込まれたりする。このスポンジまたは布には、噴霧剤入り容器230の押栓231から噴霧剤が噴霧されたとき、垂れた噴霧剤が吸収されて、噴霧される噴霧剤のうち一部または全部が吸収される。
【0016】
これにより、垂れた噴霧剤を吸収して、噴霧機構を汚れないようにすることができる。また、このようなスポンジまたは布に噴霧剤を吸収させることによって、スポンジまたは布から噴霧剤を蒸発させて、噴霧剤の効果を持続させることができる。このようなスポンジまたは布の形状は花、動物など種々の形状にすることもできる。
【0017】
さらに、扉(開閉体)203をゆっくり開閉したときには、噴霧剤が勢いよく噴霧されず噴霧剤が垂れてしまうことがある。このような場合の噴霧剤の垂れを上記スポンジまたは布に吸収させることもできる。これにより、噴霧機構が汚れるのを防止することができる。
【0018】
上記台座204の中央折り曲げ部205L、205Rの間に噴霧剤入り容器230を収納し、カバー部210を台座204に取り付けると、カバー部210の側面部211L、211Rが、台座204の中央折り曲げ部205L、205Rを外側から挟持する。すると、噴霧剤入り容器230が両側から挟持され容易に落下しないようになる。また、覗き窓213を通して、噴霧剤入り容器230の中の噴霧剤の残量を確認できる。
【0019】
噴霧剤入り容器230は、内部に噴霧剤が入れられて、上部の押栓231が押されることにより当該噴霧剤が噴射口232から噴射される。この押栓231の押しを解除すると、押栓231は元に復帰する。このような噴霧剤入り容器230は、中央折り曲げ部205L、205Rによる挟持、ストッパー部208L、208Rの係合、上端カバー部212L、212Rなどによって、扉203の外面に固定される。
【0020】
上記台座204の上部折り曲げ部207L、207Rのさらに上の両側は延出されて手前側に折り曲げられ、さらに外側に折り曲げられ、軸支面221L、221Rが形成されている。この軸支面221L、221Rの中央にはねじ穴222L、222Rが形成されていて、このねじ穴222L、222R内面にはねじ溝が形成されている。
【0021】
上記ねじ穴222L、222Rの両方には、軸ピン突起223L、223Rが着脱自在にねじ留め固定されている。ねじ穴222L、222Rなどを有する上記台座204は左右対称であり、噴霧剤入り容器230の押栓231に対して、ねじ穴222L、222Rは左右対称の位置にある。
【0022】
上記軸ピン突起223L、223Rを介して、ほぼ「U」字型の板状のロッド224が取り付けられている。このロッド224の斜め下に延びる両端は当接部227L、227Rとなっていて、この当接部227L、227Rは、上記枠体202の外面に当接するようになっている。
【0023】
このロッド224の当接部227L、227Rに挟まれた、ほぼ水平な中央部分は押し下げ部228となっていて、この押し下げ部228は、上記当接部227L、227Rが枠体202の外面に当接することによって、上記噴霧剤入り容器230の押栓231を押し下げる。当接部227L、227Rと押し下げ部228とは一体形成によって連結されているが、分離されていてボルトとナットとで互いに連結されていてもよい。
【0024】
この押し下げ部228の下縁は下方へ突出して湾曲している。したがって、押栓231を押し下げるとき、押栓231の上面を押し下げ部228の下縁は滑らかにスリップすることができる。したがって、噴霧剤入り容器230の噴霧がスムーズに行なわれる。
【0025】
上記ロッド224の上記当接部227L、227Rと押し下げ部228と間の2つの折曲部分には、長孔229L、229Rが形成されている。この長孔229L、229R内には、上記軸ピン突起223L、223Rが外れないように入り込んでおり、台座204にロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228とが取り付けられることになる。
【0026】
噴霧剤入り容器230の中には、液体の消臭剤、防臭剤、芳香剤、消毒剤、除菌剤、抗菌剤、殺菌剤、殺虫剤、殺鼠剤またはこれらの2種類以上の混合剤などの噴霧剤が収納されている。この噴霧剤入り容器230の上部には押栓231が設けられ、この押栓231を押し込むと、この押栓231の噴射口232から噴霧剤が霧状に噴霧される。
【0027】
図1乃至図3の実施例では、扉203を閉じるときに噴霧剤の噴霧が行われる。扉203を閉じているときには、ロッド224の押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押したままとなる。しかし、上記押栓231の中にはポンプと弁とが内蔵され、噴霧剤入り容器230の中には、噴霧圧力をつくる液化ガスなどの圧力ガスは封入されていない。
【0028】
したがって、上記噴霧剤入り容器230の押栓231は一回の押し込みで一定量だけの噴霧剤が噴射され、押栓231を押し込んだままとしても、噴霧剤の噴霧は終了するので、噴霧剤が出っぱなしになることはない。扉203を開いているときには、ロッド224の押し下げ部228の押栓231への押し込みは開放/解除される。
【0029】
上記当接部227L、227Rの突出方向は、垂直方向に対して、10度乃至55度、望ましくは15度乃至45度、より望ましくは20度乃至35度であり、45度以下でもよい。これにより、扉203の開閉力を円滑に噴霧剤入り容器230の押栓231に伝達できる。
【0030】
この角度が大きいと、押し下げ部228が押栓231を押すストロークを大きくできるし、当接部227L、227Rが噴霧剤入り容器230にぶつからなくなる。この角度が小さいと、当接部227L、227Rを押す力を小さくでき、当接部227L、227Rの先端が磨耗しなくなる。この当接部227L、227Rの先にローラが取り付けられてもよい。
【0031】
(2)ロッド224(当接部227、227、押し下げ部228)(第一実施例)
図4及び図5は、ロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔229L、229R及び軸ピン突起223L、223Rとの第一実施例を示す。長孔229L、229Rは、軸ピン突起223L、223Rを中に挿通させて、軸ピン突起223L、223Rに対して移動可能となっている。
【0032】
この2つの長孔229L、229Rは円弧状に湾曲しており、一方の長孔229Lの円弧の中心は、他方の長孔229Rに入り込んでいる軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔229Rの円弧の中心は、一方の長孔229Lに入り込んでいる軸ピン突起223Lにある。
【0033】
上記噴霧剤入り容器230の押栓231を押し下げる押し下げ部228の位置は、2つの軸ピン突起223または2つの長孔229L、229Rの中間点にある。また、この中間点を中心として、上記2つの当接部227L、227Rの先端が上記扉203の外面または枠体202の外面に当接する位置は互いに対称位置にある。
【0034】
これにより、2つの当接部227L、227Rのいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で押栓231が押され、噴霧量が同じとなる。なお、場合によって、押し下げ部228の位置は、2つの軸ピン突起223または2つの長孔229L、229Rの中間点から一方へずれた位置にあってもよい。また、2つの当接部227L、227Rの先端が上記扉203の外面または枠体202の外面に当接する位置は互いに対称位置からずれた位置にあってもよい。
【0035】
上記噴霧剤入り容器230の押栓231は押されると復帰の付勢力が働き、この結果、上記2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔229L、229Rは、同じ方向に付勢される。この結果、軸ピン突起223L、223Rは、長孔229L、229Rの下縁に当接する。この押栓231の付勢によって、ロッド224を復帰させるためのバネなどの弾性体は不要となる。
【0036】
上記当接部227L、227Rが上記扉203の外面または枠体202の外面に当接すると、上記押栓231の付勢による回転モーメントによって、上記2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rのうち、より大きな力が働く方が支点とされ、他方の軸ピン突起223L(223R)は長孔229R(229R)内を移動するようにして、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0037】
例えば、図4の例では、2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔229L、229Rは、押栓231の復帰力によってともに同じ上方向に同じ力で付勢されている。図4の左側の当接部227Lが押されると、ロッド224に反時計周りの回転モーメントが働く。
【0038】
そうすると、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rのうち、軸ピン突起223R/長孔229Rの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Lが長孔229L内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0039】
また、図5の右側の当接部227Rが押されると、ロッド224に時計周りの回転モーメントが働く。そうすると、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rのうち、軸ピン突起223L/長孔229Lの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Rが長孔229R内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0040】
このように、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rは、いずれか一方が支点となり、他方がロッド224の傾動ガイドとなって、押栓231を押すことができる。また、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rは、ロッド224の傾動方向によって、支点と傾動ガイドとが支障なく切換えられる。
【0041】
上記軸ピン突起223L、223Rが、長孔229L、229Rの下縁に当接するときにおいて、長孔229Lの円弧の中心が軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔229Rの円弧の中心が軸ピン突起223Lにある。
【0042】
(3)ロッド224(当接部227、227、押し下げ部228)(第二実施例)
図6及び図7は、ロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔226L、226R及び軸ピン突起223L、223Rとの第二実施例を示す。長孔226L、226Rは、軸ピン突起223L、223Rを中に挿通させて、軸ピン突起223L、223Rに対して移動可能となっている。
【0043】
この2つの長孔226L、226Rは円弧状に湾曲しており、一方の長孔226Lの円弧の中心は、他方の長孔226Rに入り込んでいる軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔226Rの円弧の中心は、一方の長孔226Lに入り込んでいる軸ピン突起223Lにある。
【0044】
上記噴霧剤入り容器230の押栓231を押し下げる押し下げ部228の位置は、2つの軸ピン突起223または2つの長孔229L、229Rの中間点にある。また、この中間点を中心として、上記2つの当接部227L、227Rの先端が上記扉203の外面または枠体202の外面に当接する位置は互いに対称位置にある。
【0045】
これにより、2つの当接部227L、227Rのいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で押栓231が押され、噴霧量が同じとなる。なお、場合によって、押し下げ部228の位置は、2つの軸ピン突起223または2つの長孔229L、229Rの中間点から一方へずれた位置にあってもよい。また、2つの当接部227L、227Rの先端が上記扉203の外面または枠体202の外面に当接する位置は互いに対称位置からずれた位置にあってもよい。
【0046】
上記噴霧剤入り容器230の押栓231は押されると復帰の付勢力が働き、この結果、上記2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔226L、226Rは、同じ方向に付勢される。この結果、軸ピン突起223L、223Rは、長孔226L、226Rの下縁に当接する。この押栓231の付勢によって、ロッド224を復帰させるためのバネなどの弾性体は不要となる。
【0047】
上記当接部227L、227Rが上記扉203の外面または枠体202の外面に当接すると、上記押栓231の付勢による回転モーメントによって、上記2つの軸ピン突起223L、223R/長孔226L、226Rのうち、より大きな力が働く方が支点とされ、他方の軸ピン突起223L(223R)は長孔226R(226R)内を移動するようにして、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0048】
例えば、図6の例では、2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔226L、226Rは、押栓231の復帰力によってともに同じ上方向に同じ力で付勢されている。図6の左側の当接部227Lが押されると、ロッド224に時計周りの回転モーメントが働く。
【0049】
そうすると、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔226L、226Rのうち、軸ピン突起223L/長孔226Lの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Rが長孔226R内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0050】
また、図7の右側の当接部227Rが押されると、ロッド224に反時計周りの回転モーメントが働く。そうすると、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔226L、226Rのうち、軸ピン突起223R/長孔226Rの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Lが長孔229L内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。
【0051】
このように、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rは、いずれか一方が支点となり、他方がロッド224の傾動ガイドとなって、押栓231を押すことができる。また、2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rは、ロッド224の傾動方向によって、支点と傾動ガイドとが支障なく切換えられる。
【0052】
上記軸ピン突起223L、223Rが、長孔226L、226Rの下縁に当接するときにおいて、長孔226Lの円弧の中心が軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔226Rの円弧の中心が軸ピン突起223Lにある。したがって、この第二実施例のロッド224の長孔226L、226Rの形成位置と、上記第一実施例のロッド224の長孔229L、229Rの形成位置とは異なっている。
【0053】
しかし、同じであってもよい。これにより、軸ピン突起223L、223Rをねじ穴222L、222Rから外して、第一実施例のロッド224を上下逆にして取り付けて、軸ピン突起223L、223Rをねじ穴222L、222Rに螺合すれば、第二実施例となる。他の構成、作用、動作は、上記実施例と同じであり、その説明を省略する。
【0054】
(4)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、軸ピン突起223L、223Rはロッド224側に設けられ、長孔229L、229R、226L、226Rは軸支面221L、221R側に設けられてもよい。
【0055】
この場合、上記図4乃至図7において、長孔229L、229R、226L、226Rの上縁に軸ピン突起223L、223Rが当接する。そして、上記軸ピン突起223L、223Rが、長孔226L、226Rの上縁に当接するときにおいて、長孔226L、229Lの円弧の中心が軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔226R、229Rの円弧の中心が軸ピン突起223Lにある。
【0056】
また、扉203は回動式のほか、スライド式の扉でも実施可能である。この場合、図1乃至図3の例でいけば、扉203を右から左にスライドさせて閉じるときには、扉203の左側に噴霧機構が取り付けられ、扉203を左から右にスライドさせて閉じるときには、扉203の右側に噴霧機構が取り付けられる。これにより、扉を閉じるときに、ロッド224の当接部227Lまたは227Rが枠体202に当接する。
【0057】
さらに、本噴霧機構は、扉203の外面側ではなく、枠体202の外面側に取り付けてもよい。この場合、図1乃至図3と同じ向きで枠体202の左枠の内側面に左側の中央折り曲げ部205が取り付けられて台座204が枠体202の左枠に固定され、扉203に突起物が設けられ、扉203が閉じられるとき、この突起物がロッド224の当接部227を当接して押すことになる。
【0058】
以上のようなことは、扉203の開閉の向きが左右逆になっても可能である。この場合、枠体202の右枠の内側外面に右側の中央折り曲げ部205Rが取り付けられて台座204が枠体202の右枠に固定される等して、扉203に突起物が設けられて、扉203が閉じられるとき、この突起物がロッド224の当接部227を当接して押すことになる。以上のことは、回動式のほか、スライド式の扉でも同様の構造によって実施可能である。
【0059】
以上のようなことは、扉203を閉じるときに噴霧するものであったが、扉203を開くときに噴霧するものでもよい。この場合、扉203を開いてある位置まで移動したときに噴霧できるようにすることになり、この位置の扉203の外面に上記噴霧機構を取り付け、一方枠体202から延出された突起物が設けられ、この突起物に当該噴霧機構のロッド224の当接部227が当接することになる。
【0060】
これは回動式/スライド式いずれでも同様の構造で可能であるし、扉203の開閉の向きが左右逆になっていても同様の構造で可能である。ここで、本噴霧機構を、扉203外面側ではなく、枠体202外面側に取り付けてもよい。この場合、上記枠体202外面に上記噴霧機構を取り付け、一方扉203から延出された突起物が設けられ、この突起物に当該噴霧機構のロッド224の当接部227が当接することになる。
【0061】
噴霧機構が設けられる場所は、開閉される扉203の表側/裏側・外側/内側のどちらの側でもよいし、扉203の左側/右側/上側/下側など、どの位置でもよい。これにより、上記扉203の出入りする側縁と反対側付近、回動される扉203の回動中心軸付近、またはスライドされる扉203の上記枠体202と重なる側に設けられたり、上記扉203の出入りする側縁側付近、回動される扉203の回動中心軸と反対側付近、またはスライドされる扉203の上記枠体202と重なる側と反対側に設けられたりすることになる。
【0062】
以上のようなことは、扉203が回動式のほか、スライド式であっても実施可能である。この場合の構造は上述した。以上のようなことは、扉203の外面側ではなく、枠体202の外面側に取り付けてもよい。この場合の構造も上述した。以上のようなことは、扉203の開閉の向きが左右逆になっても実施可能である。この場合の構造も上述した。以上のようなことは、扉203を閉じるときのほか、扉203を開くときに噴霧するものでも実施可能である。この場合の構造も上述した。
【0063】
開閉部/開閉体は、上述の水平方向に回動またはスライドするもののほか、上側で開閉するもの、下側で開閉するもの、上下に開閉するものでも、斜め方向に開閉するものであってもよい。この場合、上述の実施例につき、向きを時計回りにほぼ90度(0度〜90度)または反時計回りにほぼ90度(0度〜90度)回転させたり、または表裏逆にしたりすればよい。
【0064】
左側の当接押込み機構であるロッド224、軸ピン突起223L、ねじ穴222Lと、右側の当接押込み機構であるロッド224、軸ピン突起223R、ねじ穴222Rとは、左右対称である。したがって、扉203(開閉体)の開閉方向が左右逆になるとき、そのまま取り付け位置を左右切換えるだけでよく、細かい位置調整を左右で変える必要がなくなり、当接押込み機構の取り付け位置を左右でほぼ同じ位置にできる。
【0065】
しかし、ねじ穴222Lと222Rとの位置、軸支面221Lと221Rとの位置/寸法、軸ピン突起223L、223Rの左右両位置は左右対称の位置になくてもよい。これにより、当接押込み機構の取り付け位置を左右で若干変える必要が生じるが、左右付け替えることはやはり可能となる。また、本噴霧機構を左右で付け替えるとき、元の取り付け位置と付け替え位置とは扉203の同じ水平位置にあってもよいし、対角線方向にずれていてもよいし、その他の方向にずれていてもよい。
【0066】
また、ロッド(当接押込み機構)224の形状は、U字状のほか、V字状、W字状、O字状、H字状、横向きE字状、横向きC字状、T字状、X字状、環状、方形状、正方形状、多角形状、円形状、楕円形状などでもよいし、ロッド224の数も2以上重なっていてもよい。厚さも厚くて、板状以外でもよい。
【0067】
また、枠体202は、扉203の周囲だけでなく、扉203の周りの壁、柱、梁、鴨居、敷居、床、これらの突起物または付加物などまでの広い範囲までも含んでもよい。扉203は、扉/ドアのほか、窓、戸、鎧戸、ふすま、障子、蓋、引き出しなどに用いられても良い。
【0068】
噴霧剤入り容器230は円柱状/円筒状であったが、楕円柱状、角柱状、球状、卵型状、直方体状、立方体状、ひょうたん型など、どのような形状でもよい。噴霧剤入り容器230の取り付けられる向きは縦向きのほか、横向き、上下逆向き、斜め向きなど、どのような向きでもよい。
【0069】
さらに、本噴霧機構が備えられる場所/用途は、応接室/玄関/寝室/トイレ/風呂/物置/押入/車庫/門/エレベータなどの住居/店舗/工場/オフィス/公共施設等の建築物/施設の自動扉/回転ドア/扉/窓/蓋/引き出し/シャッター、乗用車/列車/船舶/航空機などの乗り物の扉/窓/蓋/引き出し、冷蔵庫/洗濯機/電子レンジなどの家電製品の扉/窓/蓋/引き出し、洋服ダンス/本棚/食器棚/収納ケース/机などの家具/事務用家具の扉/窓/蓋/引き出し、温室/家畜舎/納屋/冷凍室など農林牧畜水産業施設の扉/窓/蓋/引き出し等でもよい。
【0070】
また、噴霧剤入り容器230としては、高圧のガスが封入され、この圧力で噴霧剤/薬液が噴出されても良い。噴霧剤入り容器230としては、電動式のポンプによって芳香剤(消臭剤その他の薬液)が噴霧される方式が用いられても良い。具体的には、電動ポンプによってボトル内に蓄えられた薬液が吸い出され、極めて小さな穴から霧状で噴射される。そして、電動ポンプの運転と停止とを支持するスイッチのオン/オフが上記第一実施例及び第二実施例のロッド224の動作で制御される。
【0071】
さらに、第一実施例及び第二実施例の噴霧剤入り容器230の押栓231を押し込む力が、電磁石のオン/オフで生成されてもよい。例えば、電磁石が働く(通電される)ことで、電磁石のコアが動き、このコアによって押栓231が押し込まれる。逆に、電磁石への電流が遮断されると、電磁石のコアがスプリングなどの働きで元の位置に復帰され、押栓231を押し込む力が消失されることで、噴霧剤/薬液の噴霧が停止される。
【0072】
その他に、エアーポンプが用いられても良い。エアーポンプとは、以下の物である。可撓性のある素材、例えばポリエステルなどで全体が作られ、しかも側部に蛇腹を有する容器であって、押しつぶされると、一つの小さな穴から内部の空気が勢いよく押し出される構造のものである。そして、押しつぶす力が開放されると、容器全体が元の形状に戻される。
【0073】
このようなエアーポンプが、扉203の屋内側または屋外側に取り付けられており、さらに、エアーポンプの空気排出口がスプレーのノズルを押し下げるようにパイプで繋げられている。そして、スライドドアが閉じられたとき、このドア横の柱にエアーポンプが押しつぶされることで、ポンプ内の空気が勢いよく押し出される。この結果、噴霧剤入り容器230の押栓231が押し下げられるので、噴霧剤入り容器230内の薬液が噴霧される。
【0074】
エアーポンプなどによって圧縮空気が作られる場合、上記各実施例のような噴霧剤入り容器230でなく、噴霧剤/薬液が封入された単なる瓶が用いられても良い。そして、その瓶の上部にエアーポンプの圧縮空気がパイプで導かれることで、内部液体がその圧縮空気で押し出されて、瓶上部に設置された微小穴のあいたノズルから、その液体が散布されてもよい。
【0075】
また、噴霧剤入り容器230の押栓231を押し下げるのに、スライドドア横にある柱で発生される左右運動が、縦運動に変換されるものが用いられるならば、如何なるものが用いられても良い。例えば、三角形の外形を有する楔や、カム、テコ、マグネット、電磁石等様々なものがある。
【0076】
また例えば、スライドドアが当接される柱によって、カムの端に繋げられたロッドが左右方向に押される。そして、その左右方向に押されたロッドで、カムが回転されるので、そのカムの他方の端に別のロッドが縦方向に運動される。そして、その縦運動されるロッドによって噴霧剤入り容器230の押栓231が押し下げられても良い。
【0077】
さらにまた、噴霧剤入り容器230の押栓231に代えて、電動式のバルブによって開閉されてもよい。例えば、噴霧剤入り容器230から引き出されたパイプの途中に電動式の開閉バルブを備え、さらにその開閉バルブの先に噴霧用のノズル口が接続される。
【0078】
さらにまた、薬液が封入されるスプレー全体が造花や、人形、アンティーク家具、アンティーク瓶などで覆われても良いし、スプレー自体がそれら装飾瓶や人形そのものであってもよい。これにより、スプレー自体の外的美観を改善させることができる。
【0079】
長孔226L、226Rに対して同心円弧の長孔がさらに設けられても良い。この長孔には、軸ピン突起223L、223Rが、移動可能なように嵌め込まれてもまたは遊嵌されても良い。
【0080】
(5)他の発明の効果
[1]扉が取り付けられる枠体に対して、当該扉が開閉される、二つの空間を仕切るための開閉部と、 この開閉部の扉に設けられ、内部に噴霧剤が入れられて、押すことにより当該噴霧剤を噴射口から噴射させ、この押しを解除すると、元に復帰する押栓を備えた噴霧剤入り容器と、に対して、 この噴霧剤入り容器を、上記開閉部の扉の外面または上記枠体の外面に固定する固定機構と、 この固定機構に取りつけられ、上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げる押し下げ部と、 上記扉が閉じられるときまたは開かれるとき、上記枠体の外面または扉の外面に当接する当接部であって、この当接部は上記押し下げ部に連結され、この当接部は上記押し下げ部を挟んで少なくとも2つ設けられ、 この当接部と押し下げ部との間の少なくとも2箇所に設けられた長孔と、 この長孔内それぞれに入り込む少なくとも2つの突起であって、この突起は長孔内を移動可能であり、 この長孔と突起との一方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の一方に設けられ、この長孔と突起との他方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の他方に設けられ、 上記2つの長孔は円弧状に湾曲しており、一方の長孔の円弧の中心は、他方の長孔に入り込んでいる突起にあることを特徴とする開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【0081】
[2]上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げ部が押し下げる位置は、上記2つの突起の中間点にあることを特徴とする請求項1記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、2つの当接部のいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で噴霧剤入り容器の押栓が押され、噴霧量が同じとなる。
【0082】
[3]上記2つの突起の中間点を中心として、上記2つの当接部が上記扉の外面または枠体の外面に当接する位置は互いに対称位置にあることを特徴とする請求項1または2記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、2つの当接部のいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で噴霧剤入り容器の押栓が押され、噴霧量が同じとなる。
【0083】
[4]上記噴霧剤入り容器の押栓の復帰の付勢によって、上記2つの突起及び上記2つの長孔は、同じ方向に付勢され、 上記当接部が当接すると、当該当接の付勢による回転モーメントによって、上記2つの突起及び長孔のうち、より大きな力が働く方を支点とし、他方の突起は長孔内を移動するようにして、押し下げ部が噴霧剤入り容器の押栓を押すことを特徴とする請求項1、2または3記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【0084】
これにより、2つの突起/長孔は、いずれか一方が支点となり、他方が傾動ガイドとなって、押栓を押すことができ、2つの突起/長孔は、傾動方向によって、支点と傾動ガイドとが支障なく切換えられ、また噴霧機構の左右の切換えが円滑になる。
【0085】
[5]上記扉が閉じられるときに、上記当接部は上記扉または上記枠体に当接して、上記押し下げ部は、上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、扉を閉じて扉から離れるときに噴霧が行なわれるので、扉を通過するまたは開け閉めする人に、噴霧剤がかかることがない。
【0086】
[6]上記扉が開かれるときに、上記当接部は上記扉または上記枠体に当接して、上記押し下げ部は、上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、扉を開けて扉に近づくときに噴霧が行なわれるので、扉を通過するまたは開け閉めする人が、不快な臭いなどを嗅いでしまうことがなくなる。
【0087】
[7]上記固定機構は、上記扉の外面に固定されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、噴霧剤入り容器内の噴霧剤が扉の開閉でよく撹拌され沈殿することがなくなる。
【0088】
[8]上記固定機構は、上記枠体の外面に固定されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、扉の開閉で、噴霧剤の噴霧機構が揺すられることがなくなり、噴霧機構が故障しにくくなる。
【0089】
[9]上記固定機構は、上記扉の出入りする側縁付近、回動される扉の回動中心軸とは反対側付近、またはスライドされる扉の上記枠体と重なる側とは反対側に設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、扉を開閉する人に近い箇所で噴霧が行なわれるので、扉を通過するまたは開け閉めする人が、不快な臭いなどを嗅いでしまうことがなくなる。
【0090】
[10]上記固定機構は、上記扉の出入りする側縁と反対側付近、回動される扉の回動中心軸付近、またはスライドされる扉の上記枠体と重なる側に設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、扉を開閉する人から離れた箇所で噴霧が行なわれるので、扉を通過するまたは開け閉めする人に、噴霧剤がかかることがない。また、扉を通過するまたは開け閉めする人が、不快な臭いなどを嗅いでしまうことがないようにすることと、扉を通過するまたは開け閉めする人に、噴霧剤がかかることがないようにすることとを、切換え選択できる。
【0091】
[11]上記扉は回動されて開閉することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、回動式の扉でも噴霧を自動的に行なうことができる。
【0092】
[12]上記扉はスライドされて開閉することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、スライド式の扉でも噴霧を自動的に行なうことができる。また、回動式の扉でもスライド式の扉でも、切換/選択してどちらでも噴霧を自動的に行なうことができる。
【0093】
[13]上記扉は水平方向に開閉することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、左右方向または前後方向などに開閉する窓または扉などでも、噴霧を自動的に行なうことができる。
【0094】
[14]上記扉は垂直方向に開閉することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、上下方向などに開閉する窓または扉などでも、噴霧を自動的に行なうことができる。また、左右方向または前後方向などに開閉する窓または扉などでも、または上下方向などに開閉する窓または扉などでも、切換/選択して噴霧を自動的に行なうことができる。
【0095】
[15]上記噴霧剤を噴射口の付近に噴霧剤を吸収する吸収体を取り付け、噴霧される噴霧剤のうち一部または全部を吸収することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、噴霧剤が垂れても噴霧機構が汚れないし、吸収体から蒸発する噴霧剤によって噴霧剤の効果を持続させることができる。
【0096】
[16]上記噴霧剤入り容器の押栓に対する、当接押込み機構の押し込み量の大きさは調節可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、噴霧剤の噴霧量を多くしたり少なくしたりして調整することができる。
【0097】
[17]噴霧剤入り容器の押栓は1回の押し込みで一定量だけの噴霧剤が噴射されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。これにより、押栓を押し続けても、噴霧剤が出っぱなしにならない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
この2つの長孔229L、229Rは円弧状に湾曲しており、一方の長孔229Lの円弧の中心は、他方の長孔229Rに入り込んでいる軸ピン突起223Rにあり、他方の長孔229Rの円弧の中心は、一方の長孔229Lに入り込んでいる軸ピン突起223Lにある。上記噴霧剤入り容器230の押栓231を押し下げる押し下げ部228の位置は、2つの軸ピン突起223または2つの長孔229L、229Rの中間点にある。また、この中間点を中心として、上記2つの当接部227L、227Rの先端が上記扉203の外面または枠体202の外面に当接する位置は互いに対称位置にある。これにより、左右2つの当接部のいずれが押されても、同じストロークかつ同じ力で押栓が押され、噴霧量が同じとなる。
【0099】
2つの軸ピン突起223L、223R及び上記2つの長孔229L、229Rは、押栓231の復帰力によってともに同じ上方向に同じ力で付勢されている。左側の当接部227Lが押されると、ロッド224に反時計周りの回転モーメントが働く。2つの軸ピン突起223L、223R/長孔229L、229Rのうち、軸ピン突起223R/長孔229Rの方に大きな力が働き、ここが支点となって、軸ピン突起223Lが長孔229L内を移動するように、ロッド224全体が傾き、押し下げ部228が噴霧剤入り容器230の押栓231を押す。右側の当接部227Rが押されると、これらと逆の動きとなって、やはり押し下げ部228が押栓231を押す。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】開閉部の噴霧剤の噴霧機構の第一実施例の開閉部全体を示す。
【図2】開閉部の噴霧剤の噴霧機構の第一実施例の分解斜視を示す。
【図3】開閉部の噴霧剤の噴霧機構の第一実施例の当接/押込み状態を示す。
【図4】左の当接部227Lが押されるときのロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔229L、229R及び軸ピン突起223L、223Rとを示す。
【図5】右の当接部227Rが押されるときのロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔229L、229R及び軸ピン突起223L、223Rとを示す。を示す。
【図6】第二実施例において、左の当接部227Lが押されるときのロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔226L、226R及び軸ピン突起223L、223Rとを示す。
【図7】第二実施例において、右の当接部227Lが押されるときのロッド224の当接部227L、227Rと押し下げ部228と、長孔226L、226R及び軸ピン突起223L、223Rとを示す。
【符号の説明】
【0101】
201…開閉部、202…枠体、
203…扉(開閉体)、204…台座(固定機構)、
205L、205R…中央折り曲げ部(固定機構)、
206L、206R…係合穴、
207L、207R…上部折り曲げ部、
208L、208R…ストッパー部(固定機構)、
210…カバー部、211L、211R…側面部(固定機構)、
212L、212R…上端カバー部(固定機構)、
213…覗き窓、214…挟み込み部、
221L、221R…軸支面(固定機構)、
222L、222R…ねじ穴(当接押込み機構・軸支部)、
223L、223R…軸ピン突起(当接押込み機構・軸支部)、
224…ロッド、225…軸穴(当接押込み機構・軸支部)、
226L、226R…長孔、227L、227R…当接部、
228…押し下げ部、229L、229R…長孔、
230…噴霧剤入り容器、231…押栓、232…噴射口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉が取り付けられる枠体に対して、当該扉が開閉される、二つの空間を仕切るための開閉部と、
この開閉部の扉に設けられ、内部に噴霧剤が入れられて、押すことにより当該噴霧剤を噴射口から噴射させ、この押しを解除すると、元に復帰する押栓を備えた噴霧剤入り容器と、に対して、
この噴霧剤入り容器を、上記開閉部の扉の外面または上記枠体の外面に固定する固定機構と、
この固定機構に取りつけられ、上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げる押し下げ部と、
上記扉が閉じられるときまたは開かれるとき、上記枠体の外面または扉の外面に当接する当接部であって、この当接部は上記押し下げ部に連結され、この当接部は上記押し下げ部を挟んで少なくとも2つ設けられ、
この当接部と押し下げ部との間の少なくとも2箇所に設けられた長孔と、
この長孔内それぞれに入り込む少なくとも2つの突起であって、この突起は長孔内を移動可能であり、
この長孔と突起との一方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の一方に設けられ、この長孔と突起との他方は、押し下げ部及び当接部または上記固定機構の他方に設けられ、
上記2つの長孔は円弧状に湾曲しており、一方の長孔の円弧の中心は、他方の長孔に入り込んでいる突起にあることを特徴とする開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項2】
上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げ部が押し下げる位置は、上記2つの突起の中間点にあることを特徴とする請求項1記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項3】
上記2つの突起の中間点を中心として、上記2つの当接部が上記扉の外面または枠体の外面に当接する位置は互いに対称位置にあることを特徴とする請求項1または2記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項4】
上記噴霧剤入り容器の押栓の復帰の付勢によって、上記2つの突起及び上記2つの長孔は、同じ方向に付勢され、
上記当接部が当接すると、当該当接の付勢による回転モーメントによって、上記2つの突起及び長孔のうち、より大きな力が働く方を支点とし、他方の突起は長孔内を移動するようにして、押し下げ部が噴霧剤入り容器の押栓を押すことを特徴とする請求項1、2または3記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項5】
上記扉が閉じられるときに、上記当接部は上記扉または上記枠体に当接して、上記押し下げ部は、上記噴霧剤入り容器の押栓を押し下げることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項6】
上記固定機構は、上記扉の外面に固定されることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。
【請求項7】
上記固定機構は、上記扉の出入りする側縁と反対側付近、回動される扉の回動中心軸付近、またはスライドされる扉の上記枠体と重なる側に設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の開閉部の噴霧剤の噴霧機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−94438(P2008−94438A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278858(P2006−278858)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(399117567)
【出願人】(506343830)
【Fターム(参考)】