説明

間仕切り用カーテン布

【課題】 従来の間仕切り用カーテン布Kは、その編成組織の問題により、オサ枚数の多いラッシェル機でしか編成できなかった。また、必要な長さの間仕切り用カーテンを得るためには裁断・縫製処理を行っていたが、縫製箇所に段差ができ埃が溜まる、或いは硬くなるなどの問題があった。また、セット機による加工穴傷問題も縫製により隠さざるを得ず、ここにも縫製処理により発生する問題があった。
【解決手段】 以上の問題を解決するために、本発明においては、使用オサ枚数の少ない編成組織を提案して、ラッシェル機のみならず、トリコット機でも編成可能な組織、構成の間仕切り用カーテン布Kを提供する。そして、間仕切り用カーテン布Kの下端近傍に長さ調整用切断部Sを設け、縫製処理なしで必要な長さに調整できる構造とした。また、仕上げ用捨て耳部Vを設けることにより、間仕切り用カーテン本体には加工穴傷が付かない手段を講じたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で使用される間仕切り用カーテンに関する。
詳しくは、経編機で編成され、上部にネット部を有し、その下方に地組織部を有する、主につり下げ用に使用される間仕切り用カーテンを製造するために供される間仕切り用カーテン布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、間仕切り用カーテン布は、経編機であるラッシェル機で編成されていた。
そして、その間仕切り用カーテン布で製造される間仕切り用カーテンの構成は、図7に示すように最上部に吊り下げ用用具を取り付けるための上辺部Tを有し、その下方に所要の高さを有するネット部Nを有し、更にその下方に遮蔽機能用の地組織部Gを有する。
そしてその4方が縫製されていた。
ネット部Nは、天井に取り付けられた防火用スプリンクラーから発せられる散水の障害にならないよう通水可能な寸法の通水用穴目Pを有する。同時にこのネット部Nは、明かり取り機能、更には通風性機能をも有する。
【0003】
そして、この通水用穴目Pは、鎖組織と挿入組織の組み合わせで角目(正方形もしくは長方形)に編成されていた。
例えば、図8に示すように9ウエールの間隔をおいて2本の鎖組織1を繰り返し配列し、同時に、これらの鎖組織1を、互いに反対方向に挿入される2種の挿入組織51、52で連結することで鎖組織1に対する張力のバランスをとり、角目Eを形成していた。
つまり、ネット部Nを形成するために、編機において少なくとも3種類の組織(鎖組織1と2種類の挿入組織51、52)を3枚のオサを用いて編成する必要があり、使用可能な編機が限定されるなどの問題があった。
【0004】
また、従来は、例えば、病室の天井の高さが異なる場合、それに応じた長さに合わせて裁断し、これを縫製処理して必要な長さの間仕切り用カーテンを提供していた。
ところが、裁断・縫製による対応は、間仕切り用カーテンの裾を折り曲げて縫製することとなるので折り曲げた部分の厚みが増して硬くなり、その結果、つり下げた際の裾のなだらかなウエーブが得られないなどの見栄えの低下の他、折り曲げて縫製することにより生ずる段差部分に埃がたまり、衛生上良くない問題等も発生する。
【0005】
更に、他の一つに、仕上げ加工時に発生する問題が挙げられる。
間仕切り用カーテン布は、染色、仕上げを行う際、ピンテンターと言われる幅出し機によってセットする。
このピンテンターの特徴は、セットの際に編地の耳部近傍にピンによる加工穴傷が付くところにある。
この加工穴傷問題の解消手段としては、加工穴傷が見えないようにその部分を包み込むように縫製処理を実施していた。
ところが、上記したように縫製による折り畳みには問題があることから、この加工穴傷処理が大きな問題点となっていた。
【特許文献1】特開2002−438
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上説明したように、従来の間仕切り用カーテン布の編成においては、そのネット部Nの角目Eが、鎖組織1と2種類の挿入組織51、52との合計3種類の組織で形成されていたので、少なくとも3枚のオサが必要となり、編成糸の準備に時間がかかることや、使用可能な編機が限定されてしまうなどの問題がある。
例えば、汎用されているトリコット機ではオサ枚数が4枚あるのみ(2枚のみのものもある)で、ネット部Nの編成に3枚のオサを使用してしまっては、地組織部G等の他の部分を編成するためのオサが不足して編成ができない。
よって、これらの間仕切り用カーテン布はオサ枚数の多いラッシェル機で生産されているのが現状であった。
【0007】
また、必要な長さの間仕切り用カーテン布を得るためには、裁断・縫製の手段しかなく、上記したように縫製することによる問題が派生する。
各種長さに応じた編地を編成する手段は、編成準備に手間がかかるばかりでなく、ロット管理等の点でも非効率的であるなどの問題がある。
更に、セット機のピンによる加工穴傷問題も縫製処理に頼らざるを得ず、長さ調整と同様、縫製処理による問題を解決できなかった。
このように、従来の間仕切り用カーテン布に関しては解決すべき多くの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の問題を解決するために、図2に示すように、本発明においては使用オサ枚数の少ない新しいネット部N組織を提案して、ラッシェル機のみならず、トリコット機でも編成可能な組織、構成を有する間仕切り用カーテン布Kを提供する。
そして、図1(A)に示すように間仕切り用カーテン布Kの下端近傍には長さ調整用切断部Sを設けて、必要な長さに調整できる構造を提供する。
また、間仕切り用カーテン布Kの上・下端両方に、または下端にのみに、仕上げ用捨て耳部Vを設けて、加工穴傷問題を解消する。
【0009】
即ち本発明は、(1)、上辺部Tとネット部Nと地組織部Gとを主構成部とする間仕切り用カーテン布Kであって、上辺部Tと、地組織部Gの上方、並びに下方部分とが他の部分に比較して厚地部Aに形成され、同時に主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、仕上げ用捨て耳部Vが除去可能に連結されている間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0010】
そして、(2)、仕上げ用捨て耳部Vが、引き裂き可能な連結糸31により、コード組織3(1−0/2−3)で連結されている上記(1)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0011】
そしてまた、(3)、上辺部Tとネット部Nと地組織部Gとを主構成部とする間仕切り用カーテン布Kであって、上辺部Tと、地組織部Gの上方、並びに下方部分とが他の部分に比較して厚地部Aに形成され、同時に主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、仕上げ用捨て耳部Vが引き裂き除去可能に連結されていて、かつ、地組織部Gの下方部分の厚地部Aに、複数の長さ調整用切断部Sが引き裂き可能に形成されている間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0012】
そしてまた、(4)、長さ調整用切断部Sが、引き裂き可能な連結糸31により、コード組織3(1−0/2−3)で形成されている上記(3)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0013】
そしてまた、(5)、ネット部Nが、並列して配設される2本のデンビー組織2(1−2/1−0)と1本のコード組織3(1−0/2−3)とを主組織とする柱部Hを一定の間隔で配列し、この互いに隣接する柱部H間に、前記2本のデンビー組織2からそれぞれ伸びる連結用コード組織4(1−0/13−14/1−0/13−14)で形成される連結部Rを一定の間隔で配設して連結することにより形成されている上記(1)、(3)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0014】
そしてまた、(6)、ネット部Nの柱部Hが、並列して配設される2本のデンビー組織2(1−2/1−0)と1本のコード組織3(1−0/2−3)により3ウエ−ル(W1、W2、W3)に形成されていて、その中央ウエ−ル位置(W2)に1本の鎖組織1が配設されている上記(1)、(3)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0015】
そしてまた、(7)、地組織部Gに一定の間隔で静電防止糸53が挿入されている上記(1)、(3)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0016】
そしてまた、(8)、主構成部の編成糸Yに抗菌機能糸が用いられている上記(1)、(3)記載の間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0017】
そしてまた、(9)、4枚オサ(フロントオサF、ミドルオサM2、ミドルオサM1、バックオサB)の組織で編成される、上辺部Tとネット部Nと地組織部Gとを主構成部とする間仕切り用カーテン布Kであって、上辺部Tが鎖組織1(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)とで形成され、ネット部Nが、並列して配設される2本のデンビー組織2(ミドルオサM2:1−2/1−0)と、1本のコード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)を主組織とする一定の間隔を持って配列される3ウエール(W1、W2、W3)からなる柱部Hと、この互いに隣接する柱部H間に、前記2本のデンビー組織2からそれぞれ伸びる連結用コード組織4(ミドルオサM2:1−0/13−14/1−0/13−14)で形成される連結部Rを一定の間隔で配設して連結することにより形成され、同時に3ウエ−ル(W1、W2、W3)からなる柱部Hの中央ウエ−ル位置(W2)には1本の鎖組織1(フロントオサF:0−1/1−0)が配設されていて、更に、地組織部Gが、鎖組織1(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)と、静電防止糸53を一定の間隔で挿入するための挿入組織5(バックオサB:1−1/0−0)とで形成され、そして、上辺部Tと、地組織部Gの上方、下方部分とが他の部分に比較して厚地部Aに形成され、しかも、主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、鎖組織1(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)とで形成される仕上げ用捨て耳部Vが、引き裂き可能な連結糸31によりコード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)で連結されていて、かつ、地組織部Gの下方部分の厚地部Aには、複数の長さ調整用切断部Sが、引き裂き可能な連結糸31により、コード組織3(ミドルオサM1:1−0/2−3)で形成されている間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0018】
そしてまた、(10)、コース方向(C−C´)に一定幅に切断した後、主構成部に連結されている仕上げ用捨て耳部Vを除去して、更には、所要長さに合わせて長さ調整用切断部Sを切断し、これを縦方向にして、その両端を縫製し、上辺部Tに吊り下げ用用具を取り付けることで、間仕切り用カーテンMを得ることができる間仕切り用カーテン布Kに存する。
【0019】
なお、本発明の目的に沿ったものであれば、上記(1)から(10)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の間仕切り用カーテン布Kは、ネット部Nと地組織部Gが共に、鎖組織1とデンビー組織2とコード組織3とを主とする組織であるため、これらの組織を互いに共用できることから、オサ枚数が少なくて済み、トリコット機で編成することができる。
その結果、柔軟で緻密な風合いが得られるばかりでなく、高速生産が可能となり生産の効率化が図られる。
また、柱部Hと柱部Hを連結する連結部Rが柱部Hを構成しているデンビー組織2から伸びる飛び数の多い連結用コード組織4で形成されているため、従来の挿入組織による連結部に比べて目づれがないなどの利点が得られる。
【0021】
そして、ピンテンター加工のための仕上げ用捨て耳部Vを有しているため、仕上げ後、その仕上げ用捨て耳部Vを除去することで、ピンテンターによる加工穴傷を隠すための裁断処理や縫製処理等の工程の省略が可能となる。
この時、仕上げ用捨て耳部は引き裂き可能な連結糸で主構成部に連結されているため、容易に引き裂き除去できる。
また、上辺部Tと、地組織部Gの上方、下方部分とが厚地部Aに形成されていて丈夫であるため、間仕切り用カーテンKとして吊り下げた際、ネット部Nと地組織部Gとの繋ぎ箇所で地組織部Gが垂れる等の問題もなく安定した形態が維持される。
【0022】
更に、地組織部Gの下方部分の厚地部Aには、引き裂き切断可能な長さ調整用切断部Sを有しているため、必要に応じて不要部分を容易に引き裂き除去できるので、所要の長さを得るための裁断や縫製処理が省略でき、折り重ね縫製により生ずる問題等も解消できる。
同時に、編成工程においても、長さに応じた多くのロットを用意する必要がなく、編成準備時間等の短縮や編成糸のロスの低減が図られ生産効率が上昇する等の利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の間仕切り用カーテン布Kは、トリコット機により、間仕切り用カーテンMを真横にした状態で編成方向Dに向かって編み下ろされる。
つまり、図1(A)に示すようにトリコット機で編成される本間仕切り用カーテン布Kは、そのコース方向に切断(C−C´)して、コース方向Cを縦にし、ウエール方向Wを横にして、吊り下げて使用される。
このようにして得られる間仕切り用カーテンM〔図1(B)〕の長さLはトリコット機上での編み幅で決定され、同時に、幅WTはコース方向に切断することで決定されるので大小自在に設定できる。
【0024】
図1(A)に示すように、本間仕切り用カーテン布Kは上辺部Tとネット部Nと地組織部Gとで構成される主構成部と、この主構成部の上端と下端、または下端のみに、除去可能に連結される仕上げ用捨て耳部Vとで構成され、同時に上辺部Tと地組織部Gの上方部分、下方部分は他に比較して厚地部Aに形成されていて、更に地組織部Gの下方部分の厚地部Aには、適宜数の長さ調整用切断部Sが形成されている。
【0025】
その大きさの1例としては、ほぼ250cmの長さL(トリコット機上では編み幅)を有し、約2cmの仕上げ用捨て耳部Vと、約8cm幅の上辺部Tと、約72cm高さのネット部Nと、約166cm高さの地組織部Gと、約2cm幅の仕上げ用捨て耳部Vとで構成される。
主構成部の上端の仕上げ用捨て耳部Vは、上辺部Tに取り付けられる吊り下げ用用具の様態によっては、加工穴傷が目立たない場合があり、その時は必要とされない。
但し、下端の仕上げ用捨て耳部Vは常に有することを基本とする。
本形態では、主構成部の上端、下端両方に仕上げ用捨て耳部Vを有する。
【0026】
上辺部Tは、厚地部Aに形成されていて間仕切り用カーテンMを吊り下げた際の重量に耐え得る強さを有する。
同時に、地組織部Gの上方部分も約3cm幅に渡って厚地部Aに形成されていて、ネット部Nとの連結において、ネット部Nの連結部R〔図4(A)、(C)に示す〕で維持されていない部分が波打ったように垂れ下がるのを防ぐ。
更に、地組織部Gの下方部分も、約15cm幅に渡って厚地部Aに形成されていて、縫製不要のしっかりした下方部分が形成される。
加えて厚地にすることで重量が増し、重りの役目を果たして吊り下げた際、適度な安定感が得られる。
【0027】
そして、地組織部Gの下方部分の厚地部Aには、長さ調節用切断部Sを約3cm間隔で設け、求める長さに応じて不要な部分を取り去り、長さ調整ができる設定となっている。
本形態では15cmの厚地部Aの中に3cm間隔で4箇所の長さ調整用切断部Sを有している。
この長さ調整は、間仕切り用カーテン布Kを編成し、仕上げ加工を施した後の製造工程で行うか、或いは商品となった間仕切り用カーテンMを使用する際に、使用者の立場で使用環境に応じて行うことができる。
【0028】
図2に示すように、仕上げ用捨て耳部Vは、主構成部の上端、下端に連結されるが、その連結は加工工程で受ける負荷に対しては分離しない程度の強度を持ち、なおかつ、仕上げ後、容易に引き裂き可能な強度を有する連結糸31で連結される。
長さ調整用切断部Sに関しても、通常の使用状態では、容易に切断されることがない強度で、しかも、長さ調節の際には、人手で引き裂き切断が可能な程度の連結糸31で形成される。
【0029】
そして、地組織部Gには約2.5cm間隔で静電防止糸53を挿入して静電防止機能を付与すると同時に、本編地全体に渡って、リサイクル糸であるエコタイプの抗菌糸を用いて使い勝手の良い間仕切り用カーテンMを提供する。
【実施例1】
【0030】
以下、図面に従い、本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明の間仕切り用カーテン布Kは、トリコット機〔(株)カールマイヤー社製、28ゲージ、4枚オサ〕により4枚オサを使用して編成される。
4枚オサは、図3の説明図に示すように編機前方からフロントオサF、ミドルオサM2、ミドルオサM1、バックオサBの4枚である。
【0031】
図2に示すように、フロントオサFでは、鎖組織1(0−1/1−0)を編成し、そして、ミドルオサM1ではコード組織3(1−0/2−3)を編成し、バックオサBでは、挿入組織5(1−1/0−0)が編成される。
【0032】
そして、ミドルオサM2では、図4(A)に示すように、ネット部N(柱部H、連結部R)の形成に使用される組織が編成される。
ここで、理解を容易にするために、図4(B)に柱部Hの組織拡大図を、図4(C)に連結部Rの組織拡大図を示す。
図4(A)、(B)、(C)において、ネット部Nは、ミドルオサM2により並列して配設される2本のデンビー組織2(1−2/1−0)と、ミドルオサM1で編成される1本のコード組織3(1−0/2−3)との組み合わせで形成される3ウエール(W1、W2、W3)からなる柱部Hを、約1cmの間隔で64本配設し、これらの互いに隣接する柱部H間に、前記2本のデンビー組織2からそれぞれ伸びる連結用コード組織4(1−0/13−14/1−0/13−14)で形成される連結部Rを約2cmの間隔で配設して柱部Hを連結することにより形成される。
そして、3ウエ−ル(W1、W2、W3)からなる柱部Hの中央ウエ−ル位置(W2)にはフロントオサFにより1本の鎖組織1が配設されていて柱部の伸びを適度に抑え、ネット部Nの形態安定性を得ている。
なお、図4(A)において、図の複雑化を避けるために柱部Hにおける連結部R箇所には、鎖組織1、デンビー組織2,並びにコード組織3は記載してない。
【0033】
ここで、図5に示すように各部と使用オサとの関係を説明すれば、両端の仕上げ用捨て耳部VはフロントオサFとミドルオサM1で、上辺部TもフロントオサFとミドルオサM1で、ネット部NはフロントオサFとミドルオサM2とミドルオサM1とで、地組織部GはフロントオサFとミドルオサM1とバックオサBとで編成される。
また、組織面で言えば、図2に示すように両端の仕上げ用捨て耳部Vは、鎖組織1とコード組織3で、上辺部Tも鎖組織1とコード組織3で、そして、図4に示すようにネット部Nは、鎖組織1とデンビー組織2と連結用コード組織4とコード組織3で、地組織部Gは鎖組織1とコード組織3と挿入組織5で、更に仕上げ用捨て耳部Vと主構成部との連結はコード組織3で、同じく長さ調整用切断部Sもコード組織3で形成される。
【0034】
次に使用される編成糸Yについて詳細に説明する。
鎖組織1を編成するフロントオサF、並びにネット部Nを形成するミドルオサM2には、リサイクル糸であるエコタイプのポリエステルウーリー糸(167dtex/48f)が用いられる。
また、コード組織3を編成するミドルオサM1には抗菌機能糸であるポリエステルウーリー糸(84dtex/30f)が用いられるが、同じミドルオサM1の中で、仕上げ用捨て耳部Vの連結糸31と長さ調整用切断部Sには、ポリエステルモノフィラメント糸(33dtex/1f)を用いる。
【0035】
図2に示すように、仕上げ用捨て耳部Vの連結部分と長さ調整用切断部Sにはポリエステルモノフィラメント糸のみが存在して切断しやすくするために、その両側のポリエステルウーリー糸(84dtex/30f)は排除されている。
この33dtexのポリエステルモノフィラメント糸は、仕上げ加工工程で受ける負荷や、使用時での負荷には十分耐え得る強度を持つとともに、手で引き裂くことが可能な強度である。
そして、バックオサBには静電防止糸53(84dtex/26f)が用いられる。
【0036】
以上のように4枚オサを用いて、それぞれの組織、編成糸によって本発明に係る間仕切り用カーテン布Kが得られるが、厚地部Aにおいては、図6に示すように、ミドルオサM1のコード組織3に一本おきに他の部分のコード組織3の編成糸Yより太い編成糸YDを用いている。
本実施例では、ガイド1本おきに2本の編成糸を通糸して2倍の太さとしている。
つまり、編成糸を2本、1本、2本、1本・・・の繰り返しで通糸して編成する。
厚地部Aの全てを他より太い編成糸で編成するのに比較して、本方法で得られる厚地部Aは、適宜な硬さを有し、同時に間仕切り用カーテンMとしての柔軟性を損なわない特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1(A)】本発明の間仕切り用カーテン布の模式図である。
【図1(B)】間仕切り用カーテン布Kで製造される間仕切り用カーテンの模式図である。
【図2】間仕切り用カーテン布の組織図の一部を示す。
【図3】オサ配置に関する説明図である。
【図4】図4(A)は、ネット部の柱部Hと連結部Rの組織図であり、図4(B)は、柱部Hの組織拡大図であり、また、図4(C)は、連結部Rの組織拡大図である。
【図5】間仕切り用カーテン布Kの各部を形成するのに使用されるオサを示す図である。
【図6】間仕切り用カーテン布Kの厚地部Aの組織図である。
【図7】従来の間仕切り用カーテンの模式図である。
【図8】従来の間仕切り用カーテンのネット部の組織図である。
【符号の説明】
【0038】
1 鎖組織
2 デンビー組織
3 コード組織
31 連結糸
4 連結用コード組織
5 挿入組織
51 挿入組織
52 挿入組織
53 静電防止糸
A 厚地部
B バックオサ
C コース方向
D 編成方向
E 角目
F フロントオサ
G 地組織部
H 柱部
K 間仕切り用カーテン布
L 長さ
M 間仕切り用カーテン
M2 ミドルオサ
M1 ミドルオサ
N ネット部
P 通水用穴目
R 連結部
S 長さ調整用切断部
T 上辺部
V 仕上げ用捨て耳部
W ウエ−ル方向
WT 幅
Y 編成糸
YD 太い編成糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺部とネット部と地組織部とを主構成部とする間仕切り用カーテン布であって、上辺部と、地組織部の上方、並びに下方部分とが他の部分に比較して厚地部に形成され、同時に主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、仕上げ用捨て耳部が除去可能に連結されていることを特徴とする間仕切り用カーテン布。
【請求項2】
仕上げ用捨て耳部が、引き裂き可能な連結糸により、コード組織(1−0/2−3)で連結されていることを特徴とする請求項1記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項3】
上辺部とネット部と地組織部とを主構成部とする間仕切り用カーテン布であって、上辺部と、地組織部の上方、並びに下方部分とが他の部分に比較して厚地部に形成され、同時に主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、仕上げ用捨て耳部が引き裂き除去可能に連結されていて、かつ、地組織部の下方部分の厚地部に、複数の長さ調整用切断部が引き裂き可能に形成されていることを特徴とする間仕切り用カーテン布。
【請求項4】
長さ調整用切断部が、引き裂き可能な連結糸により、コード組織(1−0/2−3)で形成されていることを特徴とする請求項3記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項5】
ネット部が、並列して配設される2本のデンビー組織(1−2/1−0)と1本のコード組織(1−0/2−3)とを主組織とする柱部を一定の間隔で配列し、この互いに隣接する柱部間に、前記2本のデンビー組織からそれぞれ伸びる連結用コード組織(1−0/13−14/1−0/13−14)で形成される連結部を一定の間隔で配設して連結することにより形成されていることを特徴とする請求項1または3記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項6】
ネット部の柱部が、並列して配設される2本のデンビー組織(1−2/1−0)と1本のコード組織(1−0/2−3)により3ウエ−ルに形成されていて、その中央ウエ−ル位置に1本の鎖組織が配設されていることを特徴とする請求項1または3記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項7】
地組織部に一定の間隔で静電防止糸が挿入されていることを特徴とする請求項1または3記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項8】
主構成部の編成糸に抗菌機能糸が用いられていることを特徴とする請求項1または3記載の間仕切り用カーテン布。
【請求項9】
4枚オサ(フロントオサF、ミドルオサM2、ミドルオサM1、バックオサB)の組織で編成される、上辺部とネット部と地組織部とを主構成部とする間仕切り用カーテン布であって、
上辺部が鎖組織(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)とで形成され、
ネット部が、並列して配設される2本のデンビー組織(ミドルオサM2:1−2/1−0)と、1本のコード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)とを主組織とする一定の間隔を持って配列される3ウエールからなる柱部と、この互いに隣接する柱部間に、前記2本のデンビー組織からそれぞれ伸びる連結用コード組織(ミドルオサM2:1−0/13−14/1−0/13−14)で形成される連結部を一定の間隔で配設して連結することにより形成され、
同時に3ウエ−ルからなる柱部の中央ウエ−ル位置には1本の鎖組織(フロントオサF:0−1/1−0)が配設されていて、
更に、地組織部が、鎖組織(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)と、静電防止糸を一定の間隔で挿入するための挿入組織(バックオサB:1−1/0−0)とで形成され、
そして、上辺部と、地組織部の上方、下方部分とが他の部分に比較して厚地部に形成され、
しかも、主構成部の上端と下端の両端に、または下端のみに、鎖組織(フロントオサF:0−1/1−0)とコード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)とで形成される仕上げ用捨て耳部が、引き裂き可能な連結糸によりコード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)で連結されていて、
かつ、地組織部の下方部分の厚地部には、複数の長さ調整用切断部が、引き裂き可能な連結糸により、コード組織(ミドルオサM1:1−0/2−3)で形成されていることを特徴とする間仕切り用カーテン布。
【請求項10】
コース方向に一定幅に切断した後、主構成部に連結されている仕上げ用捨て耳部を除去して、更には、所要長さに合わせて長さ調整用切断部を切断し、これを縦方向にして、その両端を縫製し、上辺部に吊り下げ用用具を取り付けることで、間仕切り用カーテンを得ることができることを特徴とする間仕切り用カーテン布。

【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−144191(P2006−144191A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338648(P2004−338648)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(393018358)福井経編興業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】