説明

間欠回転テーブル式袋詰め包装機

【課題】1台の間欠回転テーブル式袋詰め包装機で、複数種類の袋(例えば通常の平袋、
チャック付き袋、異形袋)に対し包装処理する場合に、袋の種類を切り換える際の袋詰め包装機の調整が容易に、短時間で行えるようにする。
【解決手段】テーブル1が、間欠回転する支軸23に対し軸方向に所定範囲摺動自在かつ回転方向に係合状態で設置される。支軸23の周囲に複数個の調整軸33(1つの直動調整軸33aと残部の従動調整軸33b)が配置され、各調整軸33は同一ピッチの雄ねじ部34を有し、テーブル1に形成された雌ねじ部35に螺合している。直動調整軸33aを回転させると全ての調整軸33が同時に回転し、テーブル1は支軸23に沿って上下方向に摺動し高さ調整され,同時にグリッパー25の高さも調整される。これにより供給される袋3の高さ調整やホッパー等の包装処理部材の高さ調整を行わずに済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠回転テーブル式袋詰め包装機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
間欠回転テーブル式袋詰め包装機は、機台上面に立設するスタンドに鉛直に支持され、駆動源により間欠回転する支軸と、前記支軸上部に設置され前記支軸の間欠回転に伴い水平面内で間欠回転するテーブルと、前記テーブルの周囲に等間隔に設置され前記テーブルの間欠回転に伴い円形の移動経路に沿って間欠移動する複数のグリッパーを備え、供給された袋の両側縁部を前記グリッパーで挟持して袋を吊り下げ、前記テーブルの間欠回転に伴って間欠的に移送するとともに、移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の包装処理工程を順次行うようになっている。
【0003】
図3は一般的な間欠回転テーブル式袋詰め包装機の一例を示すもので、水平面内で一方向(白抜き矢印の向き)に間欠回転するテーブル1の周囲に、複数のグリッパー(個々のグリッパーの挟持部2,2のみ示す)が等間隔に配置され、テーブル1の間欠回転に伴い、グリッパーは円形の移動経路に沿って間欠的に移動する。グリッパーが一回転する間に、グリッパーへの袋3の供給(給袋)、袋3の袋口の開口、袋3への被包装物の充填、袋3の袋口のシール等の種々の包装処理工程が実施される。なお、グリッパーの移動経路は袋3の移送経路でもある。図3では、テーブル1を間欠回転させる支軸は図示省略されている。
【0004】
図3を参照して具体的に説明すると、停止位置Iは給袋工程位置であり、グリッパーに袋3を供給するコンベアマガジン式給袋装置4が配置されている。供給された袋3はグリッパーの一対の挟持部2,2により袋口付近の両側縁部を挟持され、袋口を上向きにして吊り下げられる。
停止位置IIは印字工程位置であり、グリッパーに吊り下げられた袋3の袋面に日付等を印字する印字装置(印字器5のみ図示)が配置されている。
【0005】
停止位置IIIは袋口の開口工程位置であり、互いに接離可能な一対の吸盤6,6と一対の追従式開口ガイド7,7を有する開口装置(吸盤6,6と追従式開口ガイド7,7のみ図示)が配置されている。
停止位置IVは被包装物(固形物)の充填工程位置であり、昇降するホッパー8を有する充填装置(ホッパー8のみ図示)が配置されている。
なお、追従式開口ガイド7,7は、停止位置IIIにおいて開口した袋口に挿入され、直ちに開いて袋口の開口状態を維持し、そのままテーブル1の回転(グリッパー及び袋3の移動)に伴って停止位置IVに移動し、停止位置IVにおいてホッパー8が袋口に挿入された後、上昇して袋口から抜け出し、直ちに停止位置IIIに復帰する。
【0006】
停止位置Vは第1ガス置換工程位置であり、昇降するガス吹込ノズル9を有する第1ガス置換装置(ガス吹込ノズル9のみ図示)が配置されている。
停止位置VIは第2ガス置換工程位置であり、昇降するガス吹込ノズル11を有する第2ガス置換装置(ガス吹込ノズル11のみ図示)が配置されている。停止位置VIではグリッパー(挟持部2,2)の間隔が広がり、袋口を緊張させている。
停止位置VIIは第1シール工程位置であり、開閉する一対の第1熱板12,12を有する第1シール装置(第1熱板12,12のみ示す)が配置されている。
停止位置VIIIは第2シール工程位置であり、一対の第2熱板13,13を有する第2シール装置(第2熱板13,13のみ示す)が配置されている。
【0007】
停止位置IXはシール部冷却及び製品袋放出工程位置であり、一対の冷却板14,14を有する冷却装置(冷却板14,14のみ示す)とシュート15が配置されている。冷却板14,14及び挟持部2,2が開くと製品袋3Aの挟持が解かれ、製品袋3Aはその重さによってシュート15上に自然落下し、シュート15上をガイドされて図示しないベルトコンベア等の搬送装置上に送られ、該搬送装置により所定位置に向けて搬出される。
停止位置Xは不良袋放出工程位置であり、ここでは、不良袋(例えば開口不良等のため袋詰めされなかった空袋等)が放出される。
【0008】
この種の袋詰め包装機では、例えば特許文献1にみられるように、テーブル1は間欠回転する支軸の上端付近に固定され、支軸下端は機台の駆動源に連結している。従って、包装機の設置後は、テーブル1及びグリッパーの高さは基本的に変えられない。
一方、この袋詰め包装機で包装処理をする袋には、図4に例示するように、通常の袋3a、チャック部16が形成されたチャック付き袋3b、及び注出口17を有する異形袋3c等、種々のものがあり、1台の袋詰め包装機で、2種以上の袋に対し包装処理することもある。なお、図4に示す各袋3a〜3cにおいて、斜線を付与した部分は袋口のシール予定箇所である。吸盤6,6による吸着予定箇所が仮想線で丸く示されている。
【0009】
図4(a)に示す通常の袋3aに袋詰め包装する場合、袋3aは、その上縁がグリッパーの挟持部2,2の上端より少し高くなるように該グリッパーに供給される。このときの袋3aの上縁高さ(機台18からの高さ)がH1で示されている。このような袋3aの場合、袋口を開口する吸盤6の高さは、袋3aの上縁近傍に設定される。
図4(b)に示すチャック付き袋3bに袋詰め包装する場合、袋3bは、その上縁高さH2が、通常の袋3aの上縁高さH1より高くなるように(H2>H1)、挟持部2,2に供給する必要がある。これは、チャック部16が袋3bの上縁より下方位置に設けられており、該チャック部16を吸盤6,6で吸着して開口する必要があるからである。
なお、通常の袋であっても、袋の上縁近傍に吊り下げ展示用の穴(チャック付き袋3bの穴19参照)が形成されているような場合は、吸盤6,6が前記穴よりやや下方位置を吸着する必要があるから、袋の上縁高さが、前記穴を形成していない袋3aの場合の高さH1に比べて大きくなるように、グリッパーに供給する必要がある。
【0010】
図4(c)に示す異形袋3cに袋詰め包装する場合、袋口付近の片側縁部(注出口17の両側)が切り欠かれたような形状であるため、グリッパーの挟持部2,2で袋の両側縁部を挟持する際は当該部分を避ける必要がある。従って、異形袋3cは、その上縁高さH3が、通常の袋3aの上縁高さH1より高くなるように(H3>H1)、グリッパーに供給する必要がある(この例ではさらにH3>H2となっている)。なお、この異形袋3cに袋詰め包装する場合、吸盤6,6の上下方向及び水平方向位置が、袋3aや袋3bに袋詰めする場合とは異なっている。
【0011】
従って、同じ包装機で、袋詰め包装を行う袋を通常の袋3aからチャック付き袋3bに変更する場合、グリッパーへ供給する袋の上縁高さを、H1からH2に変更(高くする)する必要がある。逆に、袋詰め包装を行う袋をチャック付き袋3bから通常の袋3aに変更する場合、グリッパーへ供給する袋の上縁高さを、H2からH1に変更(低くする)する必要がある。そのように高さ調整しなければ、吸盤6,6の袋3a又は袋3bに対する吸着位置が不適切となり、袋口の開口不良が生じるおそれがある。
通常の袋3aやチャック付き袋3bから異形袋3cに、あるいは異形袋3cから通常の袋3aやチャック付き袋3bに変更する場合も同様に、グリッパーへ供給する袋の上縁高さを変更する必要がある。
【0012】
グリッパーへ供給する袋の上縁高さを変更するには、給袋装置の設定の一部を変更する必要がある。例えば特許文献2に開示された給袋装置であれば、コンベア終端のストッパの位置を変更し、特許文献3に開示された給袋装置であれば、移送アームの往復回動のストロークを変更(往動高さを変更)することで、グリッパーへ供給する袋の上縁高さを変更することができる。
また、供給する袋の上縁高さを変更すると、多くの場合、合わせて袋口を開口する吸盤、開口ガイド、固形物充填用ホッパー、液体充填ノズル、ガス吹込ノズル、袋口シール用の熱板、冷却板等の包装処理部材の高さ位置の設定も変更する必要が出てくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実公平5−28169号公報
【特許文献2】実用新案登録第2603966号公報
【特許文献3】特開2002−173112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように、1台の間欠回転テーブル式袋詰め包装機で、通常の袋、チャック付き袋、吊り下げ展示用穴を形成した袋、異形袋等、複数種類の袋に対し包装処理する場合、通常、これらの袋はそれぞれ異なる高さでグリッパーに供給する必要がある。このため、袋詰め包装する袋の種類を切り換える際に、給袋装置のほか、通常、各包装処理部材の高さ位置の設定を変更する必要があるが、その調整作業は繁雑で、時間が取られるため生産性の低下も大きかった。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、1台の間欠回転テーブル式袋詰め包装機で、上記のような複数種類の袋に対し包装処理する場合において、袋の種類を切り換える際の袋詰め包装機の調整を容易に、短時間で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、機台上面に立設するスタンドに鉛直に支持され、駆動源により間欠回転する支軸と、前記支軸上部に設置され前記支軸の間欠回転に伴い水平面内で間欠回転するテーブルと、前記テーブルの周囲に等間隔に設置され前記テーブルの間欠回転に伴い円形の移動経路に沿って間欠移動する複数のグリッパーを備え、供給された袋の両側縁部を前記グリッパーで挟持して袋を吊り下げ、前記テーブルの間欠回転に伴って間欠的に移送するとともに、移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の包装処理工程を順次行う間欠回転テーブル式袋詰め包装機において、前記テーブルが前記支軸に対し軸方向に所定範囲摺動自在かつ回転方向に係合状態で設置され、さらに、前記テーブルを前記支軸の軸方向に摺動させ前記テーブル及び前記グリッパーの上下方向位置を調整する位置決め調整機構を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0016】
上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機の望ましい形態として、特に次の点を挙げることができる。
(1)前記位置決め調整機構は、前記支軸の周囲の所定位置に鉛直に立設した状態で配置された複数個の調整軸と、前記支軸に固定され前記調整軸を回転自在に支持する調整軸支持部材と、前記複数個の調整軸を同時に回転させる回転駆動機構を備え、前記複数個の調整軸は同一ピッチの雄ねじ部を有し、前記テーブルに複数個の雌ねじ部が形成され、前記調整軸の雄ねじ部が前記テーブルの雌ねじ部に螺合している(請求項2)。
(2)前記調整軸が1つの直動調整軸と残部の従動調整軸からなり、前記回転駆動機構が、前記直動調整軸を回転させるハンドル又はサーボモータと、前記直動調整軸と従動調整軸の間に配置された伝動機構を備え、前記直動調整軸の回転に伴い前記伝動機構を介して前記従動調整軸が同時に従動回転する(請求項3)。
(3)前記調整軸支持部材は、前記テーブルを挟んで上下に配置され、前記調整軸の上端部及び下端部を支持している(請求項4)。
(4)前記グリッパーは、一対のグリッパーアームの先端部にそれぞれ袋の両側縁部を挟持する挟持部部を有し、前記挟持部部の開閉を行う駆動源が各グリッパーアーム内に配置されたエアシリンダである(請求項5)。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る間欠回転テーブル式袋詰め包装機によれば、1台の間欠回転テーブル式袋詰め包装機で、複数種類の袋に対し包装処理する場合において、袋の種類を切り換える際の袋詰め包装機の調整が容易に、短時間で行えるようになり、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る間欠回転テーブル式袋詰め包装機の要部断面図である。
【図2】その袋詰め包装機におけるグリッパーの挟持部と供給された袋の位置関係を示す図である。
【図3】一般的な間欠回転テーブル式袋詰め包装機の斜視図である。
【図4】従来の間欠回転テーブル式袋詰め包装機におけるグリッパーの挟持部と供給された袋の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1,2を参照し、本発明に係る間欠回転テーブル式袋詰め包装機について具体的に説明する。
この袋詰め包装機の要部基本構造は、特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じである。機台18上に筒状のスタンド21が立設し、スタンド21の内側に中空軸22を介して支軸23が回転自在に支持されている。詳しくは、中空軸22がスタンド21の内側に回転自在に支持され、かつ中空軸22の内側に支軸23が回転自在に支持されている。支軸23の下端には駆動ギア20が固定され、駆動ギア20は機台18の内部に設置された図示しない駆動源に連結されて間欠回転し、これにより支持軸23が間欠回転する。
【0020】
中空軸22の上端部に、特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じく、全周カム24が上下方向に摺動自在にかつ回転方向は係合状態で設置されている。全周カム24は略円盤状の部材で、周囲の円筒部の上面がカム面であり、図示しない昇降装置(特許文献1参照)により昇降させ、かつ高さ(上下方向)の位置決めが可能である。中空軸22の下端にレバー27が固定され、図示しないカムにより進退するロッド28の先端が連結されている。ロッド28が進退することで、中空軸22(及び全周カム24)が所定角度回転し、又は復帰回転する。
【0021】
支軸23の上端近傍にテーブル1が、支軸23に対し軸方向に所定範囲摺動自在かつ回転方向に係合状態で設置されている。この設置形態は特許文献1に記載された袋詰め包装機(特許文献1に記載された袋詰め包装機では支軸に固定されている)と異なる。支持軸23が間欠回転することにより、テーブル1が間欠回転する。この点は特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じである。
テーブル1に星型カム29が回転自在にかつ上下方向は係合状態で設置されている。星型カム29は、図示しない調整装置(特許文献1参照)により、テーブル1に対し回転させ、かつ回転方向の位置決めが可能である。この星型カム29の構造及び機能も特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じである。
【0022】
テーブル1及び星型カム29を挟んで支軸23の上下位置に、調整軸支持部材31,32が固定されている。支軸23の周囲に(支軸23を中心とする円周上に)等角度間隔で複数個の調整軸33(1つの直動調整軸33aと、1又は2以上の従動調整軸33b)が配置され、各調整軸33は星型カム29に形成された長穴を貫通し、上下両端部が前記調整軸支持部材31,32に回転自在に支持されている。各調整軸33には同一ピッチの雄ねじ部34が形成され、テーブル1に形成された雌ねじ部35に螺合している。
【0023】
調整軸支持部材31の直下位置において、支軸23に伝達ギア36が回転自在に支持され、各調整軸に固定された調整ギア37が伝達ギア36の周囲に噛み合っている。直動調整軸33aの上端部には延長軸部38が一体的に形成され、その上端にハンドル39が固定されている。延長軸部38に形成された係合部41と調整軸支持部材31の間に圧縮ばね42が介在し、直動調整軸33aを上方に付勢している。なお、圧縮ばね42は直動調整軸33aのねじ部のガタツキや、ねじ部が機械の振動等により自然にゆるむことを防止する機能を有する。ハンドル39は直動調整軸33aを手動で回転させるためであるが、例えばサーボモータを直動調整軸33aに連結して、自動で回転させるようにしてもよい。
【0024】
ハンドル39を回転すると直動調整軸33aが回転し、同時に伝達ギア36及び調整ギア37を介して全ての従動調整軸33bが回転し、これによりテーブル1が水平状態を保ったまま支軸23に沿って上下方向に摺動し、該テーブル1(及びグリッパー25)を適切な高さに位置決めすることができる。
なお、調整軸支持部材31,32、調整軸33(直動調整軸33a,従動調整軸33b)、テーブル1に形成された雌ねじ部35、伝達ギア36、調整ギア37及びハンドル39等が本発明でいう位置決め調整機構に相当し、伝達ギア36、調整ギア37及びハンドル39等が本発明でいう回転駆動機構に相当し、伝達ギア36及び調整ギア37が本発明でいう伝動機構に相当する。この位置決め調整機構として、全周カム24の昇降装置(特許文献1参照)のような機構を採用することもできる。
【0025】
テーブル1の周囲には、テーブル1の1回の間欠回転の角度と同角度(等間隔)で複数のグリッパー25が設置されている。グリッパー25は、特開2009−298418号公報に記載されたものと同じく、テーブル1に固定された支持軸43に対し回動自在に取り付けられた左右一対の揺動レバー44,44(図1には片側のみ図示)、各揺動レバー44の先端に固定された筒状のグリッパーアーム45、及び各グリッパーアーム45の先端に取り付けられた挟持部2からなる。また、各グリッパーアーム45内には、挟持部2の開閉を行う駆動源としてエアシリンダが配置されている。
左右一対の揺動レバー44,44(グリッパーアーム45,45、及び挟持部2,2)は引張ばね46により内向きに付勢されている。
【0026】
図1において、47はL状レバー、48は全周カム24のカム面上を転動するコロを示す。これらの部材は、揺動レバー44,44(グリッパーアーム45,45)を開閉させる機構の一部であり、前記機構は特許文献1に記載されたものと同じ構造及び機能を有し、各グリッパー25に対応してテーブル1に設置されている。テーブル1と全周カム24が相対回転するとき、コロ48が全周カム24のカム面上を転動し、その際にコロ48が転動するカム面に高低差があれば、L状レバー47が揺動し、左右一対の揺動レバー44,44(グリッパーアーム45,45)が水平面内で互いに開閉し、左右一対の挟持部2,2の対向間隔が変化する。
なお、テーブル1が間欠回転するとき、全周カム24も追従して同角度往動回転し(両者の相対回転はない)、テーブル1が停止したとき、全周カム24は復動回転して元の位置に復帰する(両者の相対回転が生じる)。この点も特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じである。
【0027】
袋詰め包装を行う袋3の袋幅が変わる場合、前記昇降装置により全周カム24を昇降させ、かつその高さ(上下方向)の位置決めを行って、各グリッパー25のグリッパーアーム45,45の対向間隔(挟持部2,2の対向間隔)を調整することができる。全周カム24の高さ(テーブル1に対する相対高さ)により、前記対向間隔の最大間隔が設定される。また、前記調整装置により星型カム29をテーブル1に対し回転させ、かつ回転方向の位置決めを行って、各グリッパー25のグリッパーアーム45,45の対向間隔(挟持部2,2の対向間隔)を調整することができる。テーブル1に対する星型カム29の回転方向位置により、前記対向間隔の最小間隔が設定される。以上の点も特許文献1に記載された袋詰め包装機と同じである。
【0028】
以上述べたとおり、本発明の間欠回転テーブル式袋詰め包装機において、従来の間欠回転テーブル式袋詰め包装機(特許文献1、特開2009−298418号公報参照)と異なる点は、テーブル1を支軸23に対して昇降自在に設置し、かつテーブル1を昇降させてその上下方向位置(高さ)を調整する位置決め調整機構を設置した点である。テーブル1の高さを調整することで、全てのグリッパー25の高さ(挟持部2,2の高さ)が同時に調整される。
【0029】
この袋詰め包装機において、袋詰め包装する袋の種類を切り換える場合、次のような調整を行う。
まず、通常の袋3aに袋詰め包装を行う場合、図2(a)に示すように、袋3aはその上縁がグリッパー25の挟持部2,2の上端より少し高くなるように供給され、袋口を開口する吸盤6の高さは、袋3aの上縁近傍に設定される。袋3aの上縁と挟持部2,2の位置関係、及び袋3aの上縁と吸盤6の高さ位置の関係は、図4(a)に示す従来技術と同じである。
なお、図2において、斜線を付与した部分は袋口のシール予定箇所である。また、吸盤6,6による吸着予定箇所が仮想線で丸く示されている。
【0030】
次に袋詰め包装を行う袋をチャック付き袋3bに変更する場合、図2(b)に示すように、グリッパー25の挟持部2,2の高さ、及び開口装置の吸盤6,6の吸着位置を調整する。具体的には、グリッパー25の挟持部2,2の高さを下げ、開口装置の吸盤6,6の吸着位置をチャック部16の位置まで下げる。挟持部2,2の高さを下げるには、ハンドル39を操作してテーブル1の高さを下げればよい。また、テーブル1の高さを調整するのに伴い、前記昇降装置を操作して全周カム24の高さも調整する(この場合、袋幅が同じであるから、テーブル1の高さの下げ幅と同じだけ下げればよい)。袋3bの上縁と挟持部2,2の位置関係、及び袋3bの上縁と吸盤6の高さ位置の関係は、図4(b)に示す従来技術と同じである。
【0031】
袋詰め包装を行う袋を通常の袋3aから異形袋3cに変更する場合も同様である。図2(c)に示すように、グリッパー25の挟持部2,2の高さ、及び開口装置の吸盤6,6の吸着位置を調整する。具体的には、グリッパー25の挟持部2,2の高さを下げ、開口装置の吸盤6,6の吸着位置も少し下げ、水平方向位置も袋口の開口の中心にずらす。場合によっては袋口の開口ガイド7,7の水平方向位置もずらす。挟持部2,2の高さを下げるには、ハンドル39を操作してテーブル1の高さを下げればよい。また、テーブル1の高さを調整するのに伴い、前記昇降装置を操作して全周カム24の高さも調整する(この場合、袋幅が同じであるから、テーブル1の高さの下げ幅と同じだけ下げればよい)。袋3cの上縁と挟持部2,2の位置関係、及び袋3cの上縁と吸盤6の高さ位置の関係は、図4(c)に示す従来技術と同じである。
【0032】
袋詰め包装を行う袋をチャック付き袋3bや異形袋3cから通常の袋3aに変更する場合も同様に、テーブル1の高さ、全周カム24の高さ、及び開口装置の吸盤6,6の吸着位置を調整すればよい。
なお、上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機において、袋詰め包装を行う袋の切り換えに伴って、常にテーブル1の高さ、全周カム24の高さ、及び開口装置の吸盤6,6の吸着位置の全てを調整する必要があるというわけではない。切り換え前後の袋の形態によっては、テーブル1の高さと全周カム24の高さの調整のみでよい場合もある。
【0033】
上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機では、袋詰め包装を行う袋の切り換えにおいて、給袋装置の調整を行っていない(というより調整不要)から、図2(a)〜(c)に示すとおり、袋3a〜3cの上縁の高さは変わっていない。また、袋3a〜3cの上縁の高さが変わらないから、袋口の開口ガイド、固形物充填用ホッパー、液体充填ノズル、ガス吹込ノズル、袋口シール用の熱板、冷却板等の包装処理部材の高さ位置の設定も変更する必要がない。従って、袋の切り換えに伴う袋詰め包装機の調整が、従来のものに比べて容易に短時間で行うことができる。
【0034】
なお、上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機では、特開2009−298418号公報の開示に沿って、グリッパー25の挟持部2,2の開閉を行う駆動源をエアシリンダとし、これをグリッパーアーム45,45内に配置した。このため、挟持部2,2の開閉駆動機構を別途機台18上に設ける必要がなく、袋詰め包装を行う袋の切り換えに際してグリッパー25自体の調整は何ら行う必要がない。
一方、グリッパー25の挟持部2,2の開閉を、特開平6−156440号公報に記載されているように、機台上の適所(例えば空袋供給工程位置、充填済みの袋の排出工程位置)に設置した開閉駆動機構により行うこともできる。
【0035】
特開平6−156440号公報に記載されたグリッパーは、間欠回転するテーブルに取り付けられた左右一対の揺動レバーと、基部が各揺動レバーに固定されたグリッパーアームと、各グリッパーアームの先端部に内向きに対向配置された挟持部からなり、前記挟持部は、挟持面を放射方向に向けた固定側挟持片と、グリッパーアームの先端部に回動自在に設置された可動側挟持片からなる(以上の点は先に述べた特開2009−298418号公報と同じ)。グリッパーアームには、前記開閉駆動機構の動力を可動側挟持片に伝達する受動部材やロッド、リンク機構等からなる連結機構部、及びグリッパーアームに設置されて可動側挟持片を常時閉方向に付勢する圧縮ばね等が設置されている。そして受動部材には円筒部材(ローラ)が装着され、前記開閉駆動機構の突子が前進して前記円筒部材をテーブルの放射方向に押圧したとき、前記可動側挟持片が開き、前記突子が後退したとき、前記可動側挟持片が圧縮ばねの付勢力で閉じるようになっている。
【0036】
この種のグリッパーを上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機に適用した場合、テーブルの高さ調整を行うと、前記円筒部材の高さも変わる。従って、この場合、前記開閉駆動機構の突子の高さ位置も調整できるようにしておくか、あるいは前記円筒形部材の上下方向長さを十分長く形成し、テーブルの高さ調整に伴って前記円筒形部材の高さ位置が変わっても、前記突子で前記円筒形部材を押圧できるようにしておく必要がある。前者の場合、袋詰め包装を行う袋の切り換えに際して調整箇所が1箇所増え、後者の場合、特にテーブルの高さを上げたとき、突子が比較的長い円筒形部材の下方部分を押圧することになるので、円筒形部材の剛性を高めておく必要がある。いずれにしても、上記間欠回転テーブル式袋詰め包装機には、特開2009−298418号公報に記載されたタイプのグリッパーを適用することがより望ましい。
【符号の説明】
【0037】
1 間欠回転テーブル
2 グリッパーの挟持部
21 スタンド
22 中空軸
23 支軸
24 全周カム
25 グリッパー
29 星型カム
31,32 調整軸支持部材
33 調整軸(直動調整軸33a、従動調整軸33b)
34 雄ねじ部
35 雌ねじ部
36 伝達ギア
37 調整ギヤ
39 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台上面に立設するスタンドに鉛直に支持され、駆動源により間欠回転する支軸と、前記支軸上部に設置され前記支軸の間欠回転に伴い水平面内で間欠回転するテーブルと、前記テーブルの周囲に等間隔に設置され前記テーブルの間欠回転に伴い円形の移動経路に沿って間欠移動する複数のグリッパーを備え、供給された袋の両側縁部を前記グリッパーで挟持して袋を吊り下げ、前記テーブルの間欠回転に伴って間欠的に移送するとともに、移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の包装処理工程を順次行う間欠回転テーブル式袋詰め包装機において、前記テーブルが前記支軸に対し軸方向に所定範囲摺動自在かつ回転方向に係合状態で設置され、さらに前記テーブルを前記支軸の軸方向に摺動させ前記テーブル及び前記グリッパーの上下方向位置を調整する位置決め調整機構を備えることを特徴とする間欠回転テーブル式袋詰め包装機。
【請求項2】
前記位置決め調整機構は、前記支軸の周囲の所定位置に鉛直に立設した状態で配置された複数個の調整軸と、前記支軸に固定され前記調整軸を回転自在に支持する調整軸支持部材と、前記複数個の調整軸を同時に回転させる回転駆動機構を備え、前記複数個の調整軸は同一ピッチの雄ねじ部を有し、前記テーブルに複数個の雌ねじ部が形成され、前記調整軸の雄ねじ部が前記テーブルの雌ねじ部に螺合していることを特徴とする請求項1に記載された間欠回転テーブル式袋詰め包装機。
【請求項3】
前記調整軸が1つの直動調整軸と残部の従動調整軸からなり、前記回転駆動機構が、前記直動調整軸を回転させるハンドル又はサーボモータと、前記直動調整軸と従動調整軸の間に配置された伝動機構を備え、前記直動調整軸の回転に伴い前記伝動機構を介して前記従動調整軸が同時に従動回転することを特徴とする請求項2に記載された間欠回転テーブル式袋詰め包装機。
【請求項4】
前記調整軸支持部材は、前記テーブルを挟んで上下に配置され、前記調整軸の上端部及び下端部を支持していることを特徴とする請求項2又は3に記載された間欠回転テーブル式袋詰め包装機。
【請求項5】
前記グリッパーは、一対のグリッパーアームの先端部にそれぞれ袋の両側縁部を挟持する挟持部を有し、前記挟持部の開閉を行う駆動源が各グリッパーアーム内に配置されたエアシリンダであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された間欠回転テーブル式袋詰め包装機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240962(P2011−240962A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114769(P2010−114769)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】