説明

関節屈曲動作予測装置および関節屈曲動作予測方法

【課題】パワーアシスト装置などを円滑に制御するために、装着者の動作意志を早期に予測する。
【解決手段】関節屈曲動作予測装置は、手指関節の屈曲角度を検出する角度センサ1と、角度センサ1を関節に沿わせて装着するための装着部2と、角度センサ1の出力に基づいて関節の屈曲角速度を演算する角速度演算部3と、関節の屈曲角度および屈曲角速度と関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するアルゴリズムを記憶するアルゴリズム記憶部5と、角度センサ1の出力および角速度演算部3の出力に基づいて、記憶されたアルゴリズムにより関節の最終的屈曲状態を予測する予測判定部4と、を有する。予測判定部4は、把持動作を開始する状態の手指関節に特有の屈曲角度および屈曲角速度の条件を開始条件として、この開始条件を満たしたときに、関節の最終的屈曲状態の予測を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人体などの関節の屈曲動作におけるパワーアシストなどに利用可能な関節屈曲動作予測のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に装着して人間の力をアシストするパワーアシスト機器においては、装着者の動作に追従してスムーズな動作を行なうための制御方法が装着者の負担および違和感を低減するために重要となる。理想的には、機器が装着者の意思を検知して自律運転し、操作していることを感じさせない駆動制御技術が望まれている。
【0003】
パワーアシスト機器の一例として、特許文献1に記載された装着型パワーアシスト装置が知られている。これは人の手首または手指の屈曲動作を、空気圧によって湾曲するアクチュエータを利用してアシストする装置である。
【特許文献1】特開2006−294号公報
【非特許文献1】鎌倉矩子 ほか、健常手の把握様式、リハビリテーション医学,vol.15,no.2,1978,65−82
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1ではアシストグラブの制御方法については特に触れられていない。
【0005】
論文等で発表されているパワーアシスト機器の制御方法としては、アシストされる位置とは別の場所の動作をトリガとして動かすものが多い。たとえば右手のアシストをする場合に、左手に取り付けたコントローラを動かすことで右手が同時に動く、といった具合である。ただしこの方式は、アシスト動作を行なうために別の動作を犠牲にするという負担が生じる。
【0006】
人間の意志を検出する方法としては筋電位や神経電位を利用する方法が報告されている。筋電位は筋肉が収縮する前に検出される信号であるため、筋電位によって人の動作を事前に予測することが可能である。しかし、力がアシストされると慣れて筋電位が微弱になる、手のように細い筋肉が集まっている部位では筋電位の測定は難しい、筋電位測定のために電極針を皮膚の適切な位置に取り付ける必要があるなど、応用には課題が多い。脳波、神経電位についても信号が微弱であったりするなど、筋電位と同様に課題の多い技術である。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、パワーアシスト装置などを円滑に制御するために、装着者の動作意志を早期に予測することが可能な装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る関節屈曲動作予測装置は、関節の屈曲角度を検出する角度センサと、前記角度センサを関節に沿わせて装着するための装着部と、前記屈曲角度に基づいて関節の屈曲角速度を演算する角速度演算部と、前記関節の屈曲角度および屈曲角速度と関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するアルゴリズムを記憶するアルゴリズム記憶部と、前記屈曲角度および屈曲角速度に基づいて、前記アルゴリズムにより関節の最終的屈曲状態を予測する予測判定部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る関節屈曲動作予測方法は、角度センサを関節に沿わせて装着するステップと、前記角度センサによって関節の屈曲角度を検出するステップと、前記屈曲角度に基づいて関節の屈曲角速度を演算するステップと、前記関節の屈曲角度および屈曲角速度と関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するアルゴリズムを記憶するステップと、前記屈曲角度および屈曲角速度に基づいて、前記アルゴリズムにより関節の最終的屈曲状態を予測するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、装着者の動作意志を早期に予測することが可能となり、パワーアシスト装置などを円滑に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に、本発明に係る関節屈曲動作予測装置の一実施形態を示す。図1は、この実施形態を示す模式的構成図である。図示のように、この関節屈曲動作予測装置は、角度センサ1、手袋状の装着部2、角速度演算部3、予測判定部4、アルゴリズム記憶部5などを有する。角度センサ1は任意の手指の任意の数の関節部位に設置され、関節の屈曲角度を反映する値を出力する。装着部2は角度センサ1を指関節部に確実に配置する機能をもつ。角速度演算部3は角度センサ1から得られた角度の時系列データを時間微分することにより角速度を計算し、角度および角速度データを予測判定部4に出力する。予測判定部4は、角速度演算部3で得られた角度および角速度データに基づいて、あらかじめ設定されたアルゴリズムにより最終的な屈曲状態を予測し、判定結果を出力する。なお、図1の装着部2およびセンサ1の部分は、左手の甲を見た状態を示している。
【0012】
角度センサ1は狭い関節部でも装着可能なもの、たとえば光ファイバを通る光量変化を検出する方式や、関節の屈曲により生じるワイヤ位置変化量を検出する方式のものが好ましい。具体的には、たとえば、新川電機株式会社から市販されているシェイプセンサS700(商品名)や、株式会社リベックスから市販されているワイヤインパルスコーダ(商品名)などを利用できる。
【0013】
手袋状の装着部2は、なるべく角度センサ1が正確に関節角度を測定できるよう、伸びやたるみの少ない、装着者に適した形状のものを使用することが望ましい。
【0014】
発明者らの実験では、角速度演算部3は、一般的なパーソナルコンピュータで駆動するプログラムを使用し、1ms毎の角度情報を取得し、50Hzのローパスフィルタおよび微分フィルタにより角速度を求めた。
【0015】
予測判定部4のアルゴリズムに関して以下詳細に説明する。
【0016】
人間の把持動作における手指の曲げ形状は、「にぎる」、「つかむ」などのいくつかの形状パターンに分類されることが知られている(非特許文献1)。平常時の手の状態からある把持形状に向かって把持動作を行なう際の指の角度変化および角速度変化を測定すると、把持パターン毎に特徴をもつ時間遷移データが得られる。このデータは個々人で特有である。かかるデータから特徴を抽出し、形状パターンを識別する判別式を角度および角速度を利用して作成することにより、角速度演算部3から得られる数値で把持パターンを分類することができる。この分類に基づいて、判定アルゴリズムの設定値の調整により把持動作が完了する前に判別することができる。それにより、装着者の意思を検出することが可能となる。
【0017】
発明者らは、非特許文献1に記載されているのと同様に、代表的な把持パターンを「にぎる」、「つかむ」、「つまむ」の3種類に分類し、実験を行なった。角度センサを4箇所、すなわち、母指第3関節、示指第2関節、示指第3関節、薬指第2関節に設置した。「にぎる」は円柱状のもの(たとえばPETボトルや手すり)を把持するように、手のひらの奥から5指すべてを使って包み込むような形で物を把持するパターンである。「つかむ」は板状のもの(たとえば本)を把持するように、示指から小指の4本はやや伸び親指を添えるような形の5指で物を把持するパターンである。「つまむ」は比較的小さいものを母指、示指、中指の3指で把持するパターンである。
【0018】
発明者らの実験において予測判定部4にあらかじめ入力した条件式の例を以下に示す。
【0019】
ここで、角度の単位は度(°)、角速度vの単位は度毎秒とする。また、母指第3関節の角度を「母3」、示指第2関節の角度を「示2」、示指第3関節の角度を「示3」、示指第2関節の角度を「薬2」と表す。また、角速度を「v」で表し、たとえば示指第2関節の角速度を「v示2」と表す。また、アンド条件を「∩」、オア条件を「∪」で表す。
【0020】
(1)プリ動作の条件
(要件A)∪(要件B)
ただし、
(要件A)=(母3>5゜)∩{(60゜>示2>15゜)∪(40゜>示3>20゜)}∩(v示2>100)∩(v示3>50)∩(v母3>15)
(要件B)=(母3>0゜)∩(示2>20゜)∩(薬2>20゜)∩(v示2>150)∩(v薬2>50)
(2)プリ動作→にぎる動作の条件
(要件C)∪(要件D)
ただし、
(要件C)=(示2>30゜)∩(示3>30゜)∩(薬2>20゜)∩(v示2>70)∩(v薬2>70)
(要件D)=(示2>30゜)∩(薬2>30゜)∩(v示2>90)∩(v薬2>90)
(3)プリ動作→つかむ動作の条件
(10゜<示2<30゜)∩(示3>20゜)∩(薬2<30゜)∩(v示2>80)∩(v薬2>80)
(4)プリ動作→つまむ動作の条件
(0゜<示2<40゜)∩(示3>20゜)∩(薬2>20゜)∩(v示3>40)∩(v母3>10)∩(|薬2−示2|>20゜)
さらに、図2に、予測判定部4が判定を行なうにあたってのアルゴリズムを示す。まずステップS1にて把持動作の「プリ動作」が判定される。プリ動作とは人間が把持動作をする直前に行なう、手の形をあらかじめ軽く曲げるような動作である。プリ動作は個々人で異なるが、把持動作の開始時に特徴的な動作である。このプリ動作は、指の角度および角速度を用いて、上記条件式で書くことができる。このプリ動作を制御アルゴリズムのトリガ信号とすることにより、アシストする関節自身の動作からトリガを得ることができる。これにより外部トリガを必要としないシステムの設計が可能である。
【0021】
続いてステップS2にて、上記判定式を利用して把持パターンを決定する。判定式は装着者個々人に適した式が用意される必要がある。その結果、ステップS3として示すように、適切な把持パターンに分類され、分類結果が予測判定部4から出力される。発明者らの実験では、上述の、角度および角速度の閾値を利用した判定式により、ある装着者の把持動作をほぼ確実に3種類の把持パターンに分類することが可能であった。
【0022】
ここでプリ動作について説明する。人間が把持動作を行なう時間は手を開いている時間と比べて少ないので、予測判定部4は把持動作を行なうときに動作させるのが好ましい。人間は把持動作を行なう前に、「プリシェイピング」と呼ばれる、把持対象に対応する形に手を屈曲させる性質があることが知られている。プリシェイピング形状は個人差があり、かつ同一人物でもばらつきがあるが、適切な関節角度範囲を複数設定することにより、平常時の手指の状態とプリシェイピング状態を識別することが可能である。発明者らの実験では前記判定式によりプリシェイピング動作を検出することができた。ここでは、プリシェイピング動作を「プリ動作」と呼ぶことにする。
【0023】
プリ動作からさらに把持動作に移行する中で、指関節の動作には各把持パターン毎に明確な差異が生じてくる。図3ないし図5に、3つの把持パターンにおける示指第2関節と示指第3関節の角度変化の代表的な相関関係を示す。「にぎる」動作では500mlPETボトルを、「つかむ」動作では厚さ24mmの箱を、「つまむ」動作では直径40mmの円形物体をそれぞれ把持している。各パターンで明らかに角度変化の相関関係が異なるため、判定式の設定によっては把持動作の開始間もない状態での把持パターンの識別が可能である。ただし指の動作には個人差があり、同人物でも試行毎に一定の動作を行なうわけではないので、判定式を一般化することは難しい。なお、図3ないし図5にて角度の絶対値が負の値になっているのは、手のひらを平坦な場所に置いたときの関節角度を0°としたからである。
【0024】
つぎに、「プリ動作」、「にぎる」、「つかむ」、「つまむ」それぞれのパターンの判定式の定め方を説明する。
【0025】
プリ動作は、物を把持しようと意識して物の前に手を伸ばす段階にて、手指がとっている形である。角度の設定値としては、何も意識せず手を開いている状態から、多少いずれかの関節の角度が曲がっている状態である。プリ動作の形は把持しようとする物体に応じて変化するので、角度の設定に際しては実際に装着者のさまざまな物体に対する把持動作の直前の静止した手の形を測定して、角度分布で得られる測定結果が含まれるような範囲で判定式を設定する。また、角速度の設定値は、把持動作の際はプリ動作は動的に取られるため、把持動作でない状態でたまたま手の形がプリ動作と似た状態になった時にトリガがかかることのないよう、装着者の関節動作速度を考慮して適切な値を設定する。
【0026】
「にぎる」、「つかむ」、「つまむ」の各動作の判定式は、図6ないし図11に示すように、測定される角度変化および角速度変化の時系列データより、それぞれの把持パターンで特徴点を見出だして設定する。たとえば「にぎる」モードでは、図6に示すように示指の第2関節と第3関節の角度が両方とも大きく曲がり、かつ図7に示すように角速度が大きい。「つかむ」モードでは、図8に示すように、示指第2関節があまり屈曲しない。「つまむ」モードでは、図10に示すように、薬指第2関節と母指が大きく屈曲する。このような定性的な特徴から角度と角速度の閾値を具体的に定めることによって判定式とした。
【0027】
判定式が完全に独立した値で設定されていない場合、判定パターンが重複して把持パターンが一つに判定できない状態が起こりうる。図12に本発明の実施形態となるフローチャート2を示す。図12は、図2のフローチャート内のアルゴリズム部分(ステップS2およびステップS3)を詳細に描いたものである。ここでは各把持パターン間の状態遷移を可能とし、さらに各パターンに優先順位を付けることにより、誤判断が起こった場合に回復できること、または重複した場合の制御停止を防止することができる。
【0028】
発明者らの実験では、優先順位を1.「にぎる」2.「つかむ」3.「つまむ」とし、たとえば以下に示すように各遷移の判定式を設定した。この結果より確実に把持形状を予測することができた。
【0029】
(1)にぎる→つかむ動作の条件
(40゜<示2<60゜)∩((示2−示3)<35゜)∩(母3>20゜)
(2)にぎる→つまむ動作の条件
(示2<60゜)∩(示3>30゜)∩(薬2>50゜)∩(母3>20゜)
(3)つかむ→にぎる動作の条件
(要件E)∪(要件F)
ただし、
(要件E)=(示2>60゜)∩(示3>30゜)∩(薬2>30゜)
(要件F)=(示2>60゜)∩(示3>20゜)∩(薬2>40゜)
(4)つかむ→つまむ動作の条件
(要件G)∪(要件H)
ただし、
(要件G)=(20゜<示2<40゜)∩(示3>20゜)∩(薬2>30゜)∩(母3>15゜)
(要件H)=示2<薬2
(5)つまむ→にぎる動作の条件
(示2>60゜)∩(示3>20゜)∩(薬2>20゜)
(6)つまむ→つかむ動作の条件
(要件I)∪(要件J)
ただし、
(要件I)=(示2<60゜)∩(示3>20゜)∩(薬2<5゜)∩(母3>20゜)
(要件J)=(示2<60゜)∩(示3>20゜)∩{(示2/薬2)>1.8}
以上の実施形態の説明は単なる例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、上記各条件式における下限値や上限値は、個人差や目的に応じて調整すべきものである。また各条件式の形式自体も、種々に変更可能である。
【0030】
また、「示2」(b2)は示指第2関節に限らず、中指第2関節とすることができる。同様に、「薬2」(c2)は薬指第2関節に限らず、小指第2関節とすることができる。また、「示3」(d3)は、示指第3関節に限らず、中指、薬指または小指のいずれかの第3関節とすることができる。さらに「母3」(a)は母指第3関節に限らず、母指の第1関節または第2関節とすることができる。ただし上記の場合に、上限値や下限値の具体的な数値については再調整が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る関節屈曲動作予測装置の一実施形態を示す模式的構成図である。
【図2】本発明に係る関節屈曲動作予測装置の一実施形態における制御フローチャートである。
【図3】異なる人による、または異なるときの「にぎる」動作における示指第2関節と示指第3関節の屈曲角度の測定結果の相関関係を示すグラフである。
【図4】異なる人による、または異なるときの「つかむ」動作における示指第2関節と示指第3関節の屈曲角度の測定結果の相関関係を示すグラフである。
【図5】異なる人による、または異なるときの「つまむ」動作における示指第2関節と示指第3関節の屈曲角度の測定結果の相関関係を示すグラフである。
【図6】「にぎる」動作における母指第3関節、示指第2関節、示指第3関節および薬指第2関節の各屈曲角度の時間変化の測定結果を示すグラフである。
【図7】図6の動作における各指関節の屈曲角度データに基づいて得られた各指関節の屈曲角速度の時間変化を示すグラフである。
【図8】「つかむ」動作における母指第3関節、示指第2関節、示指第3関節および薬指第2関節の各屈曲角度の時間変化の測定結果を示すグラフである。
【図9】図8の動作における各指関節の屈曲角度データに基づいて得られた各指関節の屈曲角速度の時間変化を示すグラフである。
【図10】「つまむ」動作における母指第3関節、示指第2関節、示指第3関節および薬指第2関節の各屈曲角度の時間変化の測定結果を示すグラフである。
【図11】図10の動作における各指関節の屈曲角度データに基づいて得られた各指関節の屈曲角速度の時間変化を示すグラフである。
【図12】本発明に係る関節屈曲動作予測装置の一実施形態における制御フローチャートであって、図2のアルゴリズム部分を詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 角度センサ
2 装着部
3 角速度演算部
4 予測判定部
5 アルゴリズム記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節の屈曲角度を検出する角度センサと、
前記角度センサを関節に沿わせて装着するための装着部と、
前記屈曲角度に基づいて関節の屈曲角速度を演算する角速度演算部と、
前記関節の屈曲角度および屈曲角速度と関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するアルゴリズムを記憶するアルゴリズム記憶部と、
前記屈曲角度および屈曲角速度に基づいて、前記アルゴリズムにより関節の最終的屈曲状態を予測する予測判定部と、
を有することを特徴とする関節屈曲動作予測装置。
【請求項2】
前記予測判定部は、把持動作を開始する状態の手指関節に特有の屈曲角度および屈曲角速度の条件を開始条件として、この開始条件を満たしたときに、前記関節の最終的屈曲状態の予測を行なうものであること、を特徴とする請求項1に記載の関節屈曲動作予測装置。
【請求項3】
前記角度センサは一つの手の複数の手指関節の屈曲角度を個別に検出するものであって、
前記アルゴリズムは一つの手の複数の手指関節の屈曲角度および屈曲角速度とその複数の手指関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するものであり、
前記予測判定部は、前記複数の屈曲角度およびそれらに基づく複数の屈曲角速度に基づいて、前記アルゴリズムによりその手の手指関節の最終的屈曲状態を予測するものであること、
を特徴とする請求項2に記載の関節屈曲動作予測装置。
【請求項4】
前記角度センサは、一つの手の母指の一つの関節の屈曲角度aと、同じ手の示指および中指のいずれかの第2関節の屈曲角度b2と、同じ手の薬指および小指のいずれかの第2関節の屈曲角度c2と、同じ手の示指、中指、薬指および小指のいずれかの第3関節の屈曲角度d3とを検出するものであって、
前記アルゴリズムは前記角度センサに基づく各関節の屈曲角度およびそれらの屈曲角度に基づく屈曲角速度と当該手の手指関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するものであること、
を特徴とする請求項3に記載の関節屈曲動作予測装置。
【請求項5】
前記開始条件はつぎの要件(A)または要件(B)のいずれか少なくとも一方を満足することであることを特徴とする請求項4に記載の関節屈曲動作予測装置。
要件(A):
前記屈曲角度aが所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度b2が所定の下限値と上限値の間にあるか、または、前記屈曲角度d3が所定の下限値と上限値の間にあり、かつ、
前記屈曲角度b2に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度d3に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度aに係る角速度が所定の下限値よりも大きい。
要件(B):
前記屈曲角度aが所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度b2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度b2に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2に係る角速度が所定の下限値よりも大きい。
【請求項6】
前記アルゴリズムは、つぎの要件(C)または要件(D)のいずれか少なくとも一方を満足する場合に、当該手の手指関節の最終的屈曲状態は「にぎる」であると予測するものであること、を特徴とする請求項4または請求項5に記載の関節屈曲動作予測装置。
要件(C):
前記屈曲角度b2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度d3が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度b2に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2に係る角速度が所定の下限値よりも大きい。
要件(D):
前記屈曲角度b2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度b2に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2に係る角速度が所定の下限値よりも大きい。
【請求項7】
前記アルゴリズムは、
前記屈曲角度b2が所定の下限値と上限値の間にあり、かつ、
前記屈曲角度d3が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2が所定の上限値よりも小さく、かつ、
前記屈曲角度b2に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2に係る角速度が所定の下限値よりも大きい、
という要件を満足する場合に、当該手の手指関節の最終的屈曲状態は「つかむ」であると予測するものであること、を特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の関節屈曲動作予測装置。
【請求項8】
前記アルゴリズムは、
前記屈曲角度b2が所定の下限値と上限値の間にあり、かつ、
前記屈曲角度d3が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度d3に係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度aに係る角速度が所定の下限値よりも大きく、かつ、
前記屈曲角度c2と前記屈曲角度b2との差の絶対値が所定の下限値よりも大きい、
という要件を満足する場合に、当該手の手指関節の最終的屈曲状態は「つまむ」であると予測するものであること、を特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか一項に記載の関節屈曲動作予測装置。
【請求項9】
角度センサを関節に沿わせて装着するステップと、
前記角度センサによって関節の屈曲角度を検出するステップと、
前記屈曲角度に基づいて関節の屈曲角速度を演算するステップと、
前記関節の屈曲角度および屈曲角速度と関節の最終的屈曲状態との対応関係を定義するアルゴリズムを記憶するステップと、
前記屈曲角度および屈曲角速度に基づいて、前記アルゴリズムにより関節の最終的屈曲状態を予測するステップと、
を有することを特徴とする関節屈曲動作予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−228871(P2008−228871A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70365(P2007−70365)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】