防振架台
【課題】振動源を内蔵する重量機器の床面設置に好適な防振架台を提供する。
【解決手段】既設の基礎6の上面の四隅に、転倒防止部材4を取り付けるための取付孔6eを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。次いで、吸振部材3を基礎6上に設置する。具体的には、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部を基礎6の貫通孔6cに差し込む。次に、固定用ボルト4aを取付孔6eに取り付けることより、転倒防止部材4を基礎6に仮固定する。架台本体2を、吸振部材3のアタッチメント3a部分が凹部2aに収容されるように載置する。架台本体2の載置後に、機器7を架台本体2上に載置し、機器脚部7aを固定ボルト7bにより架台本体2に固定する。最後に、転倒防止部材4を固定用ボルトにより架台本体2の端部から5mm程度離して固定することにより、図1の状態となり設置が完了する。
【解決手段】既設の基礎6の上面の四隅に、転倒防止部材4を取り付けるための取付孔6eを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。次いで、吸振部材3を基礎6上に設置する。具体的には、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部を基礎6の貫通孔6cに差し込む。次に、固定用ボルト4aを取付孔6eに取り付けることより、転倒防止部材4を基礎6に仮固定する。架台本体2を、吸振部材3のアタッチメント3a部分が凹部2aに収容されるように載置する。架台本体2の載置後に、機器7を架台本体2上に載置し、機器脚部7aを固定ボルト7bにより架台本体2に固定する。最後に、転倒防止部材4を固定用ボルトにより架台本体2の端部から5mm程度離して固定することにより、図1の状態となり設置が完了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防振架台に関し、特に、ガスエンジン等の振動発生源を内蔵する重量機器の設置に好適な防振架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振架台は、金属製の枠構成材を矩形状に形成した上枠及び下枠により構成されていた。この場合、各枠材を溶接固定するものにあっては、運搬時に中央空間部分がデッドスペースとなり、輸送コストが嵩むという問題があった。一方、各枠材をボルト・ナットなどにより締結するものにあっては、分解して搬送可能であるため上述の問題は解消されるが、長期間使用すると、振動発生源である機器の振動によりボルト・ナットが次第に緩み、ガタツキが生じるという問題があった。
【0003】
このような問題を解消するため、上枠と下枠の間に吸振部材(バネ)を介装し、さらに転倒防止を兼ねる連結部材で上枠と下枠を接続する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。図11はこのような防振架台100を示すものであり、設置面GLに据え付けられる下枠101と、振動発生源103が取り付けられる上枠102と、下枠101と上枠102との間に介装される吸振部材104と、コーナー部材101a及びコーナー部材102aの連結ボルト孔(いずれも図示せず)間を挿通する連結ボルト105と、を主要構成とする。ここに、連結ボルト105の先端部は、上部コーナー部材102aの連結ボルト孔に摺動自在に挿通されている。
【特許文献1】特開2008−19890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防振架台100によれば、分解して搬送可能であり、かつ、吸振部材により振動によるボルト・ナットの緩みを防止することができる。
しかしながら防振架台100においては、吸振部材104のバネの反力を利用して架台形状を維持するものであり、上枠102に機器荷重が掛かった状態で連結ボルト105がフリーになり、吸振機能が働く構造となっている。このため、機器の重量に応じて連結部高さを調整する必要があり、現場組み立てが非常に難しいという問題がある。
また、枠体で構成されているため、運転時に中央空間内において反響音又は共鳴音が拡大し、問題となる。
さらに、設置安定化を図るため、一体として重心を低く設定する必要があるところ、金属製枠体を用いているため、コスト的に重量増加に一定の限界があるため、設置の自由度が少ない。
また、防振部材が外気に直接露出する部分が多く、耐久性に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記各課題を解決するためのものであって、以下の内容を要旨とする。すなわち、本発明に係る防振架台は、
(1)設置基礎の上部に配置され、固定用部材を用いて振動発生源を有する機器を固定する架台本体と、設置基礎と架台本体の間に介装される吸振部材と、設置基礎の端部に固定され、かつ、架台本体の位置変動を抑止する転倒防止部材と、を備えた防振架台であって、架台本体は、上面に該固定用部材の受け部と、下面に吸振部材の上端部を収容可能とする凹部と、を備え、吸振部材は、該凹部と、設置基礎面に設けた吸振部材の下端部を収容する吸振部材収容孔と、の間に介装され、て成ることを特徴とする。
本発明において「設置基礎」とは、その上側に吸振部材を介装させて架台本体を載置可能なものであればよく、例えば専用又は汎用の機器基礎(ベース)や犬走り等を含む。
「固定用部材」とは、「受け部」と協働して機器と架台本体とを固定する部材をいい、固定ボルトとアンカーボルトの関係を含む。
(2)前記架台本体が、コンクリート材質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来必要であった下側架台(枠体)に替えて、既存の設置基礎(汎用ベースや犬走り等)を利用することができるため、設置の自由度が増加し、また、コストダウン可能という効果がある。
また、防振架台の心臓部である吸振部材の取り付けは、現場で設置基礎側に設けた収容孔と設置基礎面に設けた緩嵌孔の間に配置すればよく、調整不要で簡易な設置が可能となる。
また、犬走り等のコンクリート基礎上に防振架台を設置する場合であっても、これを利用して容易に設置することができる。
また、機器本体の底面が架台本体と密着して設置されるため、反響音又は共鳴音による騒音が拡大しないという効果がある。
また、防振部材が架台本体と設置基礎との間に収容される構造であるため、外気に直接露出する部分が少なく、耐久性が向上するという効果がある。
【0007】
さらに、架台本体をコンクリートにより構成した防振架台にあっては、型枠による量産が可能であり、また、低コストで防振効果を上げるための重量増加が可能である。
また、コンクリートは腐食に強いため、従来の金属製の防振架台と比較して耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る防振架台の実施形態について、図1乃至13を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
(第一の実施形態)
本実施形態は、既設のコンクリート基礎を利用して、本発明に係る防振架台を設置する態様に係る。
図1は、本発明の一実施形態に係る防振架台1の断面(図2においてA−A’矢視図)構成を示す図である。
図2(a)は、防振架台1の短辺側面構成を示す図である。同(b)は底面構成を示す図である。
図3は、吸振部材5の詳細展開図である。
図4(a)は、コンクリート基礎6の側面構成を示す図である。同(b)は正面構成を示す図である。
図5は、転倒防止部材4の詳細構成図である。
図6は、本実施形態における機器7の防振架台1への設置方法を示す図である。
【0009】
図1、2を参照して、防振架台1は振動発生源を有する機器7を載置するための架台本体2と、機器7による振動を吸収する4個の吸振部材3と、架台の転倒を防止する転倒防止部材4と、を主要構成として備えている。架台本体2は吸振部材3を介して既設のコンクリート基礎6の上部に載置される。
架台本体2はコンクリート製で薄板状に形成され、下面の4隅には転倒防止部材4固定時のスパナ掛け容易化のための切欠部2bが設けられている。各切欠部2bの近傍には、吸振部材3の上端部を収容するための4個の凹部2aが設けられている。なお、凹部2aは、垂直方向位置が基礎6の貫通孔6cと一致する位置に設けられている。
凹部の内径は、後述する吸振部材3のスプリングパッド3bが、多少の遊びをもって収容される大きさに構成されている。また、上面の4隅には、機器7固定のための取付孔6bが設けられており、各取付孔内部には不図示のアンカープラグが打ち込まれている。
【0010】
図3を参照して、吸振部材3は、アタッチメント3aと、吸振機能を備えたスプリングパッド3bと、基礎6表面との摩擦を確保するズレ止めゴム3cと、の3層により構成されている。アタッチメント3aは金属部3eの表面に、滑り止め用のゴムパッド3fが貼付されており、架台本体2の凹部2aに収容された状態で、スプリングパッド3bが凹部2aから飛び出すことを防止するように構成されている。スプリングパッド3bは、中央部に4個の吸振部3gを備えている。吸振部3gは、内部に弾性体(バネ)(図示せず)がモールドされており、その表面をサージング防止機能を有する粘弾性部材で覆う構造を備えている。ズレ止めゴム3cは下面側には突出部3hを備えており、基礎6の貫通孔6cに突出部3hを差し込むことにより、位置固定するように構成されている。
【0011】
図4を参照して、既設のコンクリート基礎6は、2連の基礎ユニット6aを接続部材6bにより接続してなり、架台本体2と同一寸法に構成されている。各基礎ユニット6aには貫通孔6c(犬走り上に設置する際のアンカー打ち込み用)が既に穿けられている。
図5を参照して、転倒防止部材4はチャネル形状を有し、基礎6上に置かれる下側面4aに固定用ボルト4a挿通のためのボルト孔4bが設けられている。チャネル間距離hは、架台本体2を載置したときに、上側面4cと架台本体2の上面との間に5mm程度の隙間を持たせる高さに構成されている。
【0012】
防振架台1は以上のように構成されており、次に、図6を参照して機器7の防振架台1への設置方法について説明する。
(a)最初に、既設の基礎6の上面の四隅に、転倒防止部材4を取り付けるための取付孔6eを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。次いで、吸振部材3を基礎6上に設置する。具体的には、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部3hを、基礎6の貫通孔6cに差し込む。
(b)次に、固定用ボルト4aを取付孔6eのアンカープラグに取り付けて、転倒防止部材4を基礎6に仮固定する。
(c)架台本体2を、吸振部材3のアタッチメント3a部分が、架台本体2の凹部2aに収容されるように載置する。
(e)架台本体2載置後に、機器7を架台本体2上に載置し、機器脚部7aを固定ボルト7bにより架台本体2に固定する。最後に、転倒防止部材4を架台本体2の端部から5mm程度離して固定することにより、設置が完了する(図1の状態)。
【0013】
なお、本実施形態では、既設のコンクリート基礎6を利用して機器を設置する例を示したが、地表面又は犬走り上に汎用又は専用の基礎を新たに置き、その上に本発明の防振架台を設置する形態とすることもできる。
また、吸振部材3をコンクリート基礎6のアンカーボルト貫通孔6cに収容する例を示したが、貫通孔と架台本体の凹部2aの垂直位置が一致しない場合には、基礎面に新たに吸振部材3の収容孔を穿ける形態とすることもできる。
【0014】
(第二の実施形態)
さらに図7,8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が上述の実施形態と異なる点は、既設のコンクリート基礎6に替えて、犬走りを利用して防振架台1を取り付けることである。防振架台1の構成については、第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図7は、本実施形態における機器設置工程を示す図である。図8は、防振架台1を取り付けた状態を示す図である。
図7(a)を参照して、最初に建物周囲に巡らされている犬走り21の機器設置エリアについて、傾斜を削って水平面22を形成する。次に同図(b)に示すように、水平面22に転倒防止部材4固定用の取付孔24を穿け(4箇所)、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。さらに、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部3hを収容するための収容孔23を設ける(4箇所)。
次いで同図(c)に示すように、吸振部材3の突出部3hを基礎6の収容孔23に差し込み、また、転倒防止部材4を固定用ボルト4aにより仮固定する。
さらに図8を参照して、架台本体2を吸振部材3のアタッチメント3a部分が凹部2aに収容されるように載置する。架台本体2の取り付け完了後に、機器7を固定ボルト7bにより脚部7a部分で固定し、設置が完了する。
【0015】
なお、本実施形態では犬走り部の基礎が堅固であり、防振架台1及び機器7の設置に耐えうる場合の対応を示したが、基礎が十分でない場合には、水平面形成後にコンクリート基礎を置き、コンクリート基礎と犬走りを貫通するアンカーボルトを地面に打ち込んで、基礎とすることもできる。
【実施例】
【0016】
本発明の効果を確認するため、第一の実施形態の既設基礎に相当するガスエンジン発電ユニット専用基礎(商品名「スマートベース」)に本発明の防振架台を取り付け、その上に発電ユニットを設置して、運転時の防振性能を評価した。評価は、専用基礎の周囲4箇所に振動センサ(加速度計)を取り付け、運転時の周波数−加速度特性を測定することにより行った。
図9は、本発明の防振架台を用いた場合、図10は専用基礎に直接発電ユニットを設置した場合の測定結果を示す。なお、各グラフは、4つの測定箇所のうち最大数値を示した箇所(図9は右側前方、図10は左側前方)における特性を表示した。
専用基礎上に直接発電ユニットを設置した場合(図10)には、右側前方において加速度最大値が約0.5m/s2(周波数32Hz周辺)であるのに対して、本発明の防振架台を用いたときは(図9)、最大値が約0.05m/s2(周波数32Hz周辺)と約1/10に減少しており、本発明による効果が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明はガスエンジン発電機に限らず、振動発生源を内蔵する重量機器用の防振架台として広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態に係る防振架台1の側面構成を示す図である。
【図2】防振架台1の短辺側面構成(a)及び底面構成(b)を示す図である。
【図3】吸振部材5の詳細展開図である。
【図4】コンクリート基礎6の側面構成(a)及びは正面構成(b)を示す図である。
【図5】転倒防止部材4の詳細構成を示す図である。
【図6】第一の実施形態における防振架台1及び機器7の設置工程を示す図である。
【図7】第二の実施形態における防振架台1及び機器7の設置工程を示す図である。
【図8】第二の実施形態における機器7設置状態を示す図である。
【図9】本発明の防振架台を用いた場合の周波数−加速度特性測定結果を示すグラフである。
【図10】専用基礎に直接機器を設置した場合の周波数−加速度特性測定結果を示すグラフである。
【図11】従来の防振架台100を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・・・防振架台
2・・・・架台本体
2a・・・凹部
2b・・・切欠部
3・・・・吸振部材
4・・・・転倒防止部材
5・・・・吸振部材
6・・・・コンクリート基礎
6e・・・取付孔
7・・・・機器
21・・・犬走り
23・・・収容孔
24・・・取付孔
【技術分野】
【0001】
本発明は防振架台に関し、特に、ガスエンジン等の振動発生源を内蔵する重量機器の設置に好適な防振架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振架台は、金属製の枠構成材を矩形状に形成した上枠及び下枠により構成されていた。この場合、各枠材を溶接固定するものにあっては、運搬時に中央空間部分がデッドスペースとなり、輸送コストが嵩むという問題があった。一方、各枠材をボルト・ナットなどにより締結するものにあっては、分解して搬送可能であるため上述の問題は解消されるが、長期間使用すると、振動発生源である機器の振動によりボルト・ナットが次第に緩み、ガタツキが生じるという問題があった。
【0003】
このような問題を解消するため、上枠と下枠の間に吸振部材(バネ)を介装し、さらに転倒防止を兼ねる連結部材で上枠と下枠を接続する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。図11はこのような防振架台100を示すものであり、設置面GLに据え付けられる下枠101と、振動発生源103が取り付けられる上枠102と、下枠101と上枠102との間に介装される吸振部材104と、コーナー部材101a及びコーナー部材102aの連結ボルト孔(いずれも図示せず)間を挿通する連結ボルト105と、を主要構成とする。ここに、連結ボルト105の先端部は、上部コーナー部材102aの連結ボルト孔に摺動自在に挿通されている。
【特許文献1】特開2008−19890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防振架台100によれば、分解して搬送可能であり、かつ、吸振部材により振動によるボルト・ナットの緩みを防止することができる。
しかしながら防振架台100においては、吸振部材104のバネの反力を利用して架台形状を維持するものであり、上枠102に機器荷重が掛かった状態で連結ボルト105がフリーになり、吸振機能が働く構造となっている。このため、機器の重量に応じて連結部高さを調整する必要があり、現場組み立てが非常に難しいという問題がある。
また、枠体で構成されているため、運転時に中央空間内において反響音又は共鳴音が拡大し、問題となる。
さらに、設置安定化を図るため、一体として重心を低く設定する必要があるところ、金属製枠体を用いているため、コスト的に重量増加に一定の限界があるため、設置の自由度が少ない。
また、防振部材が外気に直接露出する部分が多く、耐久性に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記各課題を解決するためのものであって、以下の内容を要旨とする。すなわち、本発明に係る防振架台は、
(1)設置基礎の上部に配置され、固定用部材を用いて振動発生源を有する機器を固定する架台本体と、設置基礎と架台本体の間に介装される吸振部材と、設置基礎の端部に固定され、かつ、架台本体の位置変動を抑止する転倒防止部材と、を備えた防振架台であって、架台本体は、上面に該固定用部材の受け部と、下面に吸振部材の上端部を収容可能とする凹部と、を備え、吸振部材は、該凹部と、設置基礎面に設けた吸振部材の下端部を収容する吸振部材収容孔と、の間に介装され、て成ることを特徴とする。
本発明において「設置基礎」とは、その上側に吸振部材を介装させて架台本体を載置可能なものであればよく、例えば専用又は汎用の機器基礎(ベース)や犬走り等を含む。
「固定用部材」とは、「受け部」と協働して機器と架台本体とを固定する部材をいい、固定ボルトとアンカーボルトの関係を含む。
(2)前記架台本体が、コンクリート材質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来必要であった下側架台(枠体)に替えて、既存の設置基礎(汎用ベースや犬走り等)を利用することができるため、設置の自由度が増加し、また、コストダウン可能という効果がある。
また、防振架台の心臓部である吸振部材の取り付けは、現場で設置基礎側に設けた収容孔と設置基礎面に設けた緩嵌孔の間に配置すればよく、調整不要で簡易な設置が可能となる。
また、犬走り等のコンクリート基礎上に防振架台を設置する場合であっても、これを利用して容易に設置することができる。
また、機器本体の底面が架台本体と密着して設置されるため、反響音又は共鳴音による騒音が拡大しないという効果がある。
また、防振部材が架台本体と設置基礎との間に収容される構造であるため、外気に直接露出する部分が少なく、耐久性が向上するという効果がある。
【0007】
さらに、架台本体をコンクリートにより構成した防振架台にあっては、型枠による量産が可能であり、また、低コストで防振効果を上げるための重量増加が可能である。
また、コンクリートは腐食に強いため、従来の金属製の防振架台と比較して耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る防振架台の実施形態について、図1乃至13を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
(第一の実施形態)
本実施形態は、既設のコンクリート基礎を利用して、本発明に係る防振架台を設置する態様に係る。
図1は、本発明の一実施形態に係る防振架台1の断面(図2においてA−A’矢視図)構成を示す図である。
図2(a)は、防振架台1の短辺側面構成を示す図である。同(b)は底面構成を示す図である。
図3は、吸振部材5の詳細展開図である。
図4(a)は、コンクリート基礎6の側面構成を示す図である。同(b)は正面構成を示す図である。
図5は、転倒防止部材4の詳細構成図である。
図6は、本実施形態における機器7の防振架台1への設置方法を示す図である。
【0009】
図1、2を参照して、防振架台1は振動発生源を有する機器7を載置するための架台本体2と、機器7による振動を吸収する4個の吸振部材3と、架台の転倒を防止する転倒防止部材4と、を主要構成として備えている。架台本体2は吸振部材3を介して既設のコンクリート基礎6の上部に載置される。
架台本体2はコンクリート製で薄板状に形成され、下面の4隅には転倒防止部材4固定時のスパナ掛け容易化のための切欠部2bが設けられている。各切欠部2bの近傍には、吸振部材3の上端部を収容するための4個の凹部2aが設けられている。なお、凹部2aは、垂直方向位置が基礎6の貫通孔6cと一致する位置に設けられている。
凹部の内径は、後述する吸振部材3のスプリングパッド3bが、多少の遊びをもって収容される大きさに構成されている。また、上面の4隅には、機器7固定のための取付孔6bが設けられており、各取付孔内部には不図示のアンカープラグが打ち込まれている。
【0010】
図3を参照して、吸振部材3は、アタッチメント3aと、吸振機能を備えたスプリングパッド3bと、基礎6表面との摩擦を確保するズレ止めゴム3cと、の3層により構成されている。アタッチメント3aは金属部3eの表面に、滑り止め用のゴムパッド3fが貼付されており、架台本体2の凹部2aに収容された状態で、スプリングパッド3bが凹部2aから飛び出すことを防止するように構成されている。スプリングパッド3bは、中央部に4個の吸振部3gを備えている。吸振部3gは、内部に弾性体(バネ)(図示せず)がモールドされており、その表面をサージング防止機能を有する粘弾性部材で覆う構造を備えている。ズレ止めゴム3cは下面側には突出部3hを備えており、基礎6の貫通孔6cに突出部3hを差し込むことにより、位置固定するように構成されている。
【0011】
図4を参照して、既設のコンクリート基礎6は、2連の基礎ユニット6aを接続部材6bにより接続してなり、架台本体2と同一寸法に構成されている。各基礎ユニット6aには貫通孔6c(犬走り上に設置する際のアンカー打ち込み用)が既に穿けられている。
図5を参照して、転倒防止部材4はチャネル形状を有し、基礎6上に置かれる下側面4aに固定用ボルト4a挿通のためのボルト孔4bが設けられている。チャネル間距離hは、架台本体2を載置したときに、上側面4cと架台本体2の上面との間に5mm程度の隙間を持たせる高さに構成されている。
【0012】
防振架台1は以上のように構成されており、次に、図6を参照して機器7の防振架台1への設置方法について説明する。
(a)最初に、既設の基礎6の上面の四隅に、転倒防止部材4を取り付けるための取付孔6eを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。次いで、吸振部材3を基礎6上に設置する。具体的には、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部3hを、基礎6の貫通孔6cに差し込む。
(b)次に、固定用ボルト4aを取付孔6eのアンカープラグに取り付けて、転倒防止部材4を基礎6に仮固定する。
(c)架台本体2を、吸振部材3のアタッチメント3a部分が、架台本体2の凹部2aに収容されるように載置する。
(e)架台本体2載置後に、機器7を架台本体2上に載置し、機器脚部7aを固定ボルト7bにより架台本体2に固定する。最後に、転倒防止部材4を架台本体2の端部から5mm程度離して固定することにより、設置が完了する(図1の状態)。
【0013】
なお、本実施形態では、既設のコンクリート基礎6を利用して機器を設置する例を示したが、地表面又は犬走り上に汎用又は専用の基礎を新たに置き、その上に本発明の防振架台を設置する形態とすることもできる。
また、吸振部材3をコンクリート基礎6のアンカーボルト貫通孔6cに収容する例を示したが、貫通孔と架台本体の凹部2aの垂直位置が一致しない場合には、基礎面に新たに吸振部材3の収容孔を穿ける形態とすることもできる。
【0014】
(第二の実施形態)
さらに図7,8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が上述の実施形態と異なる点は、既設のコンクリート基礎6に替えて、犬走りを利用して防振架台1を取り付けることである。防振架台1の構成については、第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図7は、本実施形態における機器設置工程を示す図である。図8は、防振架台1を取り付けた状態を示す図である。
図7(a)を参照して、最初に建物周囲に巡らされている犬走り21の機器設置エリアについて、傾斜を削って水平面22を形成する。次に同図(b)に示すように、水平面22に転倒防止部材4固定用の取付孔24を穿け(4箇所)、アンカープラグ(図示せず)を打ち込む。さらに、吸振部材3のズレ止めゴム3c突出部3hを収容するための収容孔23を設ける(4箇所)。
次いで同図(c)に示すように、吸振部材3の突出部3hを基礎6の収容孔23に差し込み、また、転倒防止部材4を固定用ボルト4aにより仮固定する。
さらに図8を参照して、架台本体2を吸振部材3のアタッチメント3a部分が凹部2aに収容されるように載置する。架台本体2の取り付け完了後に、機器7を固定ボルト7bにより脚部7a部分で固定し、設置が完了する。
【0015】
なお、本実施形態では犬走り部の基礎が堅固であり、防振架台1及び機器7の設置に耐えうる場合の対応を示したが、基礎が十分でない場合には、水平面形成後にコンクリート基礎を置き、コンクリート基礎と犬走りを貫通するアンカーボルトを地面に打ち込んで、基礎とすることもできる。
【実施例】
【0016】
本発明の効果を確認するため、第一の実施形態の既設基礎に相当するガスエンジン発電ユニット専用基礎(商品名「スマートベース」)に本発明の防振架台を取り付け、その上に発電ユニットを設置して、運転時の防振性能を評価した。評価は、専用基礎の周囲4箇所に振動センサ(加速度計)を取り付け、運転時の周波数−加速度特性を測定することにより行った。
図9は、本発明の防振架台を用いた場合、図10は専用基礎に直接発電ユニットを設置した場合の測定結果を示す。なお、各グラフは、4つの測定箇所のうち最大数値を示した箇所(図9は右側前方、図10は左側前方)における特性を表示した。
専用基礎上に直接発電ユニットを設置した場合(図10)には、右側前方において加速度最大値が約0.5m/s2(周波数32Hz周辺)であるのに対して、本発明の防振架台を用いたときは(図9)、最大値が約0.05m/s2(周波数32Hz周辺)と約1/10に減少しており、本発明による効果が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明はガスエンジン発電機に限らず、振動発生源を内蔵する重量機器用の防振架台として広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態に係る防振架台1の側面構成を示す図である。
【図2】防振架台1の短辺側面構成(a)及び底面構成(b)を示す図である。
【図3】吸振部材5の詳細展開図である。
【図4】コンクリート基礎6の側面構成(a)及びは正面構成(b)を示す図である。
【図5】転倒防止部材4の詳細構成を示す図である。
【図6】第一の実施形態における防振架台1及び機器7の設置工程を示す図である。
【図7】第二の実施形態における防振架台1及び機器7の設置工程を示す図である。
【図8】第二の実施形態における機器7設置状態を示す図である。
【図9】本発明の防振架台を用いた場合の周波数−加速度特性測定結果を示すグラフである。
【図10】専用基礎に直接機器を設置した場合の周波数−加速度特性測定結果を示すグラフである。
【図11】従来の防振架台100を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・・・防振架台
2・・・・架台本体
2a・・・凹部
2b・・・切欠部
3・・・・吸振部材
4・・・・転倒防止部材
5・・・・吸振部材
6・・・・コンクリート基礎
6e・・・取付孔
7・・・・機器
21・・・犬走り
23・・・収容孔
24・・・取付孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置基礎の上部に配置され、固定用部材を用いて振動発生源を有する機器を固定する架台本体と、
該設置基礎と該架台本体の間に介装される吸振部材と、
該設置基礎の端部に固定され、かつ、該架台本体の位置変動を抑止する転倒防止部材と、を備えた防振架台であって、
該架台本体は、上面に該固定用部材の受け部と、下面に吸振部材の上端部を収容可能とする凹部と、を備え、
該吸振部材は、該凹部と、該設置基礎面に設けた吸振部材の下端部を収容する吸振部材収容孔と、の間に介装され、
て成ることを特徴とする防振架台。
【請求項2】
前記架台本体が、コンクリート材質であることを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
【請求項1】
設置基礎の上部に配置され、固定用部材を用いて振動発生源を有する機器を固定する架台本体と、
該設置基礎と該架台本体の間に介装される吸振部材と、
該設置基礎の端部に固定され、かつ、該架台本体の位置変動を抑止する転倒防止部材と、を備えた防振架台であって、
該架台本体は、上面に該固定用部材の受け部と、下面に吸振部材の上端部を収容可能とする凹部と、を備え、
該吸振部材は、該凹部と、該設置基礎面に設けた吸振部材の下端部を収容する吸振部材収容孔と、の間に介装され、
て成ることを特徴とする防振架台。
【請求項2】
前記架台本体が、コンクリート材質であることを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−112389(P2010−112389A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282767(P2008−282767)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(390024877)トーセツ株式会社 (28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(593080294)株式会社カンドー (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(390024877)トーセツ株式会社 (28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(593080294)株式会社カンドー (20)
【Fターム(参考)】
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