防振架台
【課題】上架台及び下架台が防振体及び軸部材を介して連結された防振架台において、上架台に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台の過度の変形を抑える。
【解決手段】各々長尺の角パイプ材からなる上架台5及び下架台7の間に防振体11を介在させてなる一対の架台ユニット3が、横並びに配設され、且つ、互いに対をなす上架台5の両端部同士が梁部材9によって連結されている防振架台である。上架台5の両端部には、耐震ボルト23と協働する上側耐震ブラケット19が設けられている一方、下架台7の両端部には、当該下架台7を補強し且つ当該耐震ボルト23を固定するための下側耐震ブラケット21が設けられている。下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aと、当該頂壁部21aの横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部21bとを有し、且つ、当該下架台7の内側に嵌着されている。
【解決手段】各々長尺の角パイプ材からなる上架台5及び下架台7の間に防振体11を介在させてなる一対の架台ユニット3が、横並びに配設され、且つ、互いに対をなす上架台5の両端部同士が梁部材9によって連結されている防振架台である。上架台5の両端部には、耐震ボルト23と協働する上側耐震ブラケット19が設けられている一方、下架台7の両端部には、当該下架台7を補強し且つ当該耐震ボルト23を固定するための下側耐震ブラケット21が設けられている。下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aと、当該頂壁部21aの横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部21bとを有し、且つ、当該下架台7の内側に嵌着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空調装置等、振動の大きな設備機器を設置するための防振架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振架台では、当該防振架台が設置されている構造物(例えば、ビルの屋上の床版)等への振動の伝播を防止するために、設備機器を受ける上架台及び構造物等に設置される下架台の間に防振体を介在させるものが多い。このように、上架台及び下架台の間に防振体を介在させた防振架台には、上架台と下架台とが近接離間可能となり且つ両者が分離しないように、下架台の両端部に連結ボルト(軸部材)を固定するための下側ブラケットが設けられる一方、上架台の両端部に当該連結ボルトと協働する上側ブラケットが設けられたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、基台(下架台)の両端部に、板材を折り曲げてなる取付金具(下側ブラケット)が基台の外側から嵌着された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−267524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のもののように、下側ブラケット121が下架台107の端部に外側から嵌着された構造では(図13a参照)、以下のような問題がある。すなわち、図13(b)の白抜き矢印で示すように、軸部材123を上側に引っ張る力が作用した場合(不図示の上架台に引張力が加わった場合)には、下側ブラケット121は変形することなく上方に変位する一方、下架台107だけが上方に窄むように大きく変形する。これに対し、図13(c)の黒抜き矢印で示すように、軸部材123を下側に押し込む力が作用した場合(上架台に下向きの圧縮力が加わった場合や上架台に水平の専断力が作用して軸部材123が傾いて斜め下方に押し込まれた場合)には、下側ブラケット121の脚部121bが大きく広がるように変形するとともに下架台107が下方に拉げるように大きく変形するおそれがある。なお、図13中の符合127と符合129は、軸部材123を下側ブラケット121及び下架台107を固定するための、ナットを示す。
【0006】
換言すると、下側ブラケット121が下架台107の端部に外側から嵌着された構造では、下架台107の強度を増すために剛性の高い下側ブラケット121を用いても、下側ブラケット121と下架台107とがばらばらに変形する(各々異なる変形挙動を呈する)ため、下側ブラケット121が補強材としての役割を果たし難いという問題がある。
【0007】
ここで、下架台の過度の変形を抑えるために、例えば、下架台の肉厚を極端に厚くすることや多数のリブ等を設けて断面二次モーメント等を増大させることが考えられるが、かかる構造では、防振架台の重量が増すとともに、製作工数が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上架台及び下架台が防振体及び軸部材を介して連結された防振架台において、上架台に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台の過度の変形を抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明では、開断面を有する下側ブラケットを閉断面を有する下架台の内側に嵌着することで、上架台に大きな力が加わった際の、下側ブラケットの変形挙動と下架台の変形挙動とを略一致させるようにしている。
【0010】
第1の発明は、各々長尺の角パイプ材からなる上架台及び下架台の間に防振体を介在させてなる架台ユニットが、横並びに配設され且つ梁部材によって連結されている防振架台であって、上記上架台の両端部には、軸部材と協働する上側ブラケットが設けられている一方、上記下架台の両端部には、当該下架台を補強し且つ当該軸部材を固定するための下側ブラケットが設けられており、上記下側ブラケットは、頂壁部と、当該頂壁部の、上記架台ユニットの配列方向である横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部とを有し、且つ、当該下架台の内側に嵌着されていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明によれば、頂壁部と側壁部とを有し、開断面を有する下側ブラケットが、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台の内側に嵌着されているので、軸部材を上側に引っ張る力が作用した場合に、下架台が上方に窄むように変形しようとすると、下架台の内面が下側ブラケットの頂壁部の外面に密着し、両者の変形挙動が略一致する。一方、軸部材を下側に押し込む力が作用した場合に、下側ブラケットの両側壁部が横方向に開くように変形しようとすると、下側ブラケットの側壁部の外面が下架台の内面に密着し、両者の変形挙動が略一致する。
【0012】
このように、下側ブラケットと下架台との変形挙動を略一致させることで、下架台及び下側ブラケットのうち一方を変形させようとすると、必ず他方が変形することから、下架台及び下側ブラケットが、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、変形し難くなる。
【0013】
したがって、上架台に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記下側ブラケットには、縦方向外側の端部に、横方向に延びる張出壁部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明によれば、下架台の安定度が増すことから、据え付け時に、梁部材によって他の架台ユニットと未だ連結されていない架台ユニットが倒れるのを抑えることができるとともに、防振架台の組み立て完了後は、下架台のぐらつき等が抑えられるので、架台ユニットを梁部材によって連結した防振架台全体が捻れるのを抑えることができる。
【0016】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記下側ブラケットは、頂壁部の縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部をさらに有しており、上記張出壁部は、上記妻壁部と一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明によれば、下側ブラケットは、下架台が延びる縦方向から見て断面略コ字状に形成されているのみならず、横方向から見て断面略L字状に形成されているので、その断面性能が向上し、軸部材を介して作用する力に対してより高い耐久性を得ることができる。
【0018】
また、張出壁部は、妻壁部と一体に形成されているので、下側ブラケットを容易に製作することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る防振架台によれば、頂壁部と側壁部とを有し、開断面を有する下側ブラケットが、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台の内側に嵌着されているので、下架台が上方に窄むように変形しようとすると、下架台の内面が下側ブラケットの頂壁部及び側壁部の外面に密着する一方、下側ブラケットの両側壁部が横方向に開くように変形しようとすると、下側ブラケットの側壁部の外面が下架台の内面に密着するので、両者の変形挙動が略一致する。このように、下側ブラケットと下架台との変形挙動が略一致することで、下側ブラケット及び下架台が、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、変形し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る防振架台を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図2】下側耐震ブラケットを示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図3】ガイド部材及び上側耐震ブラケットの分解斜視図であり、同図(a)はガイド部材の斜視図であり、同図(b)は上側耐震ブラケットの斜視図である。
【図4】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の斜視図である。
【図5】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大側面図である。
【図6】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大正面図である。
【図7】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大平面図である。
【図8】ガイド部材を上側耐震ブラケットに組み付けた状態を示す斜視図である。
【図9】梁部材を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図10】梁部材の上架台への組み付け作業を説明する斜視図である。
【図11】下側耐震ブラケットの下架台への取付構造を示す正面図であり、同図(a)は耐震ボルトに力が作用していない状態を示し、同図(b)は耐震ボルトを上側に引っ張る力が作用した状態を示し、同図(c)は耐震ボルトを下側に押し込む力が作用した状態を示す。
【図12】その他の実施形態に係る下側耐震ブラケットを示す図である。
【図13】従来の下側耐震ブラケットの下架台への取付構造を示す正面図であり、同図(a)は耐震ボルトに力が作用していない状態を示し、同図(b)は耐震ボルトを上側に引っ張る力が作用した状態を示し、同図(c)は耐震ボルトを下側に押し込む力が作用した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る防振架台を所謂エアコン防振台に適用した実施形態を示し、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。図示の如く、この防振架台1は、図示しないエアコン室外機を設置するためのものであり、上架台5及び下架台7を有する長尺状の架台ユニット3(所謂レール式防振台である)を横並びに一対、並べて配設し、それらの両端に後述する梁部材9,9を架け渡して、連結している。
【0023】
なお、以下の説明では、上架台5の延びる方向を縦方向とし、当該上架台5の配列方向を横方向とする。また、以下では、図1(a)において右下に位置するコーナー部について説明するが、その他のコーナー部についても、右下に位置するコーナー部とほぼ同様の構成である。
【0024】
この防振架台1では、対をなす架台ユニット3,3は同じものであり、各々断面矩形状の角パイプ材(例えば構造用角形鋼管等)からなる長尺の上架台5及び下架台7が、互いに上下方向に所定の間隔を空けて配置され、その間には縦方向に離れて2つのアイソレータ(防振体)11,11が介設されている。アイソレータ11は、上架台5及び下架台7の間の振動伝達を軽減するものであり、例えばコイルばねとゴムを一体成形したものや樹脂ケース内にコイルばねを内蔵したものが用いられる。
【0025】
本実施形態の架台ユニット3においては、上架台5よりも下架台7が長くなっており、その両端部がそれぞれ上架台5の端部よりも縦方向外側に突出している。下架台7の両端部におけるこの突出する部位の内側には、それぞれ、図2に示す、下架台7を補強し且つ耐震ボルト(軸部材)23を固定するための下側耐震ブラケット(下側ブラケット)21が取り付けられている。
【0026】
この下側耐震ブラケット21は、鉄板を曲げ加工してなり、略矩形状の頂壁部21aと、当該頂壁部21aの横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部21b,21bとを有していて、縦方向から見て下方が開放した断面略コ字状に形成されている。この頂壁部21aには、耐震ボルト23が挿通される丸孔21eと、下架台7を基礎に固定するアンカーボルト(図示せず)の挿通される長孔21fとが形成されている。
【0027】
下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aが下架台7の上壁7aの下面に接触するように、下架台7の両端部の内側に嵌着されている。なお、本実施形態の防振架台1では、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bと、下架台7の側壁7b,7bとの間には隙間が空いているが(図11(a)参照)、例えば、下側耐震ブラケット21の板厚を厚くして、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bと、下架台7の側壁7bとを接触させてもよい。
【0028】
また、図11(a)の例では、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端と、下架台7の下壁7cとの間には隙間が空いているが、これは、下架台7の側壁7bと下壁7cとのコーナー部に形成されたR部と、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端とが干渉するのを避けるためである。したがって、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端部をコーナー部の内面に沿うような形状に形成して、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端と、下架台7の下壁7cとを接触させてもよく、このようにすれば、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bが下架台を補強するリブとして機能するので、より高い耐久性が得られる。
【0029】
さらに、下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aの縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部21cを有していて、横方向から見て断面略L字状に形成されている。このため、下側耐震ブラケット21の横方向における断面性能が向上することから、上架台5から耐震ボルト23を介してこれらに作用する力に対して高い耐久性が得られるようになっている。
【0030】
また、妻壁部21cには、横方向内側の側壁部21bよりもさらに横方向内側(対をなす下架台7に向かって)に張り出す略矩形状の張出部(張出壁部)21dが一体に形成されている。このため、下架台7が横方向内側に傾いても、張出部21dが頬杖材として機能するので、下架台7の安定度が増すようになっている。これにより、据え付け時に、梁部材9によって対をなす架台ユニット3と未だ連結されていない架台ユニット3が倒れるのを抑えることができるとともに、防振架台1の組み立て完了後は、下架台7のぐらつき等が抑えられるので、防振架台1全体が捻れるのを抑えることができる。
【0031】
一方、上架台5,5の両端部にはそれぞれ、図3(b)に示す上側耐震ブラケット(上側ブラケット)19が取り付けられていて、これら上側耐震ブラケット19及び下側耐震ブラケット21は、耐震ボルト23とともに、以下に述べるように下架台7との間に、上架台5との相対変位を規制するための耐震ストッパ13を構成している。
【0032】
−耐震ストッパ−
図1(a)において右下に位置するコーナー部について図4〜図7に拡大して示すように、上側耐震ブラケット19は、下架台7から上方に延びる耐震ボルト23と協働して耐震ストッパ13を構成する。上側耐震ブラケット19は、鉄板を曲げ加工及び溶接してなり、縦方向外側且つ横方向外側の角が隅切りされた略矩形状の床壁部19aと、この床壁部19aの縦方向内側の側縁から上方に立ち上がる竪壁部19bと、床壁部19aの横方向内側の側縁から上方に立ち上がる側壁部19cとを備えている。これら竪壁部19b及び側壁部19cは、その側縁同士が溶接されて平面視で略L字状に連繋している。
【0033】
側壁部19cには、図7に示すように、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面に沿って延びる内側延出部19fが形成されている。この内側延出部19fには、横方向に延びる断面矩形のネジ孔19hが貫通形成されており、当該ネジ孔19hに挿通されるネジ25と、これに螺合するナット26とによって、内側延出部19fは上架台5の横方向内側の側壁5bに締結されている。
【0034】
竪壁部19bの上縁には、角パイプである上架台5の下壁5dの端縁に沿って折り曲げられて、その下壁5dの上面に沿って縦方向内側に延びる延出部19eが形成されている。この延出部19eの縦方向内側の側縁には、上方に折れ曲がる妻壁部19gが形成されており、当該妻壁部19g及び内側延出部19fは、その側縁同士が平面視で略L字状に連繋している。
【0035】
さらに、竪壁部19bの横方向外側の側縁には、縦方向内側に折り曲げられて上架台5の横方向外側の側壁5cの外面に沿って延びる外側延出部19dが形成されている。この外側延出部19dには、横方向に延びる断面矩形のネジ孔19hが形成されており、当該ネジ孔19hに挿通されるネジ25により、外側延出部19dが上架台5の横方向外側の側壁5cに締結されている。
【0036】
図3(b)に示すように上側耐震ブラケット19の側壁部19cには、縦方向外側の側縁に凸辺19jが形成されていて、後述するように梁部材9との結合に用いられる。また、上側耐震ブラケット19の床壁部19aには、上下方向に延びるボルト貫通孔19iが貫通形成されていて、当該ボルト貫通孔19iに耐震ボルト23の軸部が遊嵌状態で挿通されている。耐震ボルト23は、その軸部が下側耐震ブラケット21(丸孔21e)とこれに重なる下架台7の上壁7aとを貫通して上向きに延びるように配設されていて、この軸部の付け根に螺合するナット27,29によって、下架台7の上壁7aに締結されている。
【0037】
また、図5に示すように、耐震ボルト23の軸部において上側耐震ブラケット19の床壁部19aのボルト貫通孔19iに挿入されている部位には、ゴムブッシュ31が外挿されている。このゴムブッシュ31は、ボルト貫通孔19iよりも少しだけ直径の小さな円筒部と、その上に連なる鍔部とからなり、この鍔部がボルト貫通孔19iの周縁部に上方から接触している。また、その鍔部の上には平座金33を介在させて耐震ボルト23の軸部にナット35が螺合されている。
【0038】
すなわち、図4〜図7においては上側耐震ブラケット19の床壁部19a上にゴムブッシュ31の鍔部が接触する状態を示しているが、これは防振架台1を使用しないときであり、防振架台1を使用するときにはナット35の位置を調整して、床壁部19aの上面とゴムブッシュ31の鍔部下面との間に適当な大きさ(約2〜3mm程度)の隙間を形成する。このことで、地震等による上架台5及び下架台7の上下方向の相対変位を適切に規制することができる。
【0039】
しかも、地震等によって上架台5及び下架台7が比較的大きく相対変位したときでも、上側耐震ブラケット19と耐震ボルト23や平座金33との、即ち金属製部材同士の接触が回避される。尚、上側耐震ブラケット19の床壁部19aとその下方の下架台7との間隔は、上架台5に許容される傾きの上限等から例えば30mmくらいとされている。
【0040】
なお、図4及び図7に示す符号5eは、上架台5を室外機の底部に固定する締結ボルト(図示せず)を挿通するために、上架台5の上壁5aに貫通形成された丸穴を示す。
【0041】
−梁部材の嵌合構造−
本実施形態では、前記の如き構成の上側耐震ブラケット19に、図3(a)に示すガイド部材15を取り付け、当該ガイド部材15に、梁部材9の横方向両端部を嵌め込んで、しっかりと結合できるようにしている。
【0042】
ガイド部材15は、鉄板を曲げ加工したものであり、横方向に相対向する2つのガイド側壁部(第1壁部)15a,15aと、当該ガイド側壁部15a,15aの上縁同士を繋ぎ且つ当該ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁よりもさらに縦方向外側に延びるガイド頂壁部(第2壁部)15bと、当該ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁の下部(略下半分)から縦方向外側に延びるガイド延出部(第3壁部)15c,15cとを有している。
【0043】
ガイド頂壁部15bは、略矩形状に形成されており、前記した上側耐震ブラケット19の床壁部19aの上方に、その上面が上架台5の上壁5aの上面と面一なるように位置付けられている。このガイド頂壁部15bには、開口部15iが貫通形成されていて、当該開口部15iから耐震ボルト23を締め付ける際に用いる固定具(図示せず)を挿入できるようになっている。また、この開口部15iを区画する縦方向外側の縁部には下方に突起する打出し部(突起部)15jが形成されており、この打出し部15jは、後述する梁部材9の貫通孔17fに対応する位置に形成されていて、当該貫通孔17fに嵌り込むようになっている。
【0044】
さらに、ガイド頂壁部15bの縦方向外側の端部には、より具体的には、当該ガイド頂壁部15bの、後述する梁部材9の頂板部17aと重なる部分には、横方向両側の側縁で下方に折り曲げられてR部15kを介して下方に延び、且つ、縦方向にも延びるガイド突出壁部(第4壁部)15d,15dが形成されている。これらガイド突出壁部15d,15dは、図6に示すように、横方向における両ガイド側壁部15a,15aの内側に形成されている。
【0045】
ガイド側壁部15a,15aは、各々略矩形状に形成されており、その縦方向外側の側縁に凸辺15h,15hがそれぞれ形成されている(図8参照)。また、両ガイド側壁部15a,15aの縦方向内側の側縁には、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面及び外側の側壁5cの外面に沿って延びる取付壁部15e,15eがそれぞれ形成されている。これら取付壁部15e,15eには、上側耐震ブラケット19の内側延出部19f及び外側延出部19dに形成されたネジ孔19h,19hと同形同大の、横方向に延びる断面矩形のネジ孔15f,15fがそれぞれ形成されている。
【0046】
ガイド部材15は、図8に示すように、取付壁部15e,15eを、上側耐震ブラケット19の内側延出部19fと外側延出部19dとの間に挟むとともに、取付壁部15e,15eのネジ孔15f,15fと、内側延出部19f及び外側延出部19dのネジ孔19h,19hとを合わせる(横方向から見て重なる)ようにして、上側耐震ブラケット19に取り付けられている。このように、鉄板を曲げ加工してなるガイド部材15を、鉄板を曲げ加工及び溶接してなる上側耐震ブラケット19に取り付けることによって、ガイド部材15及び上側耐震ブラケット19は、剛性の高い立体構造となっているとともに、複雑な形状でありながら容易に製造できるようになっている。
【0047】
そうして、ガイド部材15は、取付壁部15e,15eが上架台5の側壁5b,5cと上側耐震ブラケット19の内側及び外側延出部19f,19dとに挟まれた状態で、ネジ孔15f,19hに挿通される上記ネジ25と、これに螺合するナット26とによって、上側耐震ブラケット19と共締めで上架台5の側壁5b,5cに締結されている。より詳しくは、図7に示すように、ガイド部材15の横方向内側の取付壁部15eは、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面と上側耐震ブラケット19の内側延出部19fの外面とに挟まれた状態で、また、ガイド部材15の横方向外側の取付壁部15eは、上架台5の横方向外側の側壁5cの外面と上側耐震ブラケット19の外側延出部19dの内面とに挟まれた状態で、上架台5の側壁5b,5cに締結されている。
【0048】
ガイド延出部15c,15cの上縁は、縦方向外側に向かうほど下方に傾斜しており、これら上縁の縦方向外側の端部には、上方に向かって突起するストッパー部(係合部)15g,15gがそれぞれ形成されている。また、ガイド延出部15c,15cの上縁における、ストッパー部15g,15gの縦方向内側には、下方に凹む凹部15l,15lがそれぞれ形成されている。
【0049】
上述の如く、各ガイド延出部15c,15cは、各ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁の下部から縦方向外側に延びているので、ガイド側壁部15aとガイド延出部15cとは、横方向から見て略L字状をなしている。さらに、ガイド頂壁部15bは、ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁よりもさらに縦方向外側に延びているので、ガイド頂壁部15bの下面と、ガイド側壁部15aの縦方向外側の側縁と、ガイド延出部15cの上縁とは、図5に示すように、横方向から見て略コ字状をなしている。このようにガイド部材15を形成することにより、ガイド頂壁部15bとガイド側壁部15aとガイド延出部15cとは、後述する梁部材9の取付部17が嵌め込まれる、縦方向外側に開口する嵌合部37を構成している。
【0050】
これに対し、互いに対をなす上架台5,5を連結する梁部材9は、ZAM鋼板(登録商標)を曲げ加工したものであり、図9に示すように、ガイド部材15の縦方向外側に配設され、横方向に延びる梁部材本体(第4板部)9aと、当該梁部材本体9aの上縁から縦方向内側に突設され、嵌合部37に嵌め込まれる取付部17とを有している。
【0051】
梁部材本体9aは、図9(b)に示すように、逆T字状に形成されていて、その下縁には、剛性を高めるために斜め上方に折り曲げられた、折返し部9bが形成されている。また、梁部材本体9aの下端部おける横方向両外側の側縁には、横方向両外側に突起する突起片9c,9cがそれぞれ形成されている。これら突起片9c,9cは、梁部材9が上架台5に取り付けられた状態で、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁に当たるようになっている。なお、この突起片9cの上端を、上側耐震ブラケット19の側壁部19cの縦方向外側の側縁に形成された凸辺19jの下端に当てることで、梁部材9をガイド部材15に嵌め込む際の、上下方向における位置決めが容易になる。
【0052】
取付部17は、梁部材本体9aの上縁で折り曲げられて縦方向内側に延びる頂板部(第1板部)17aと、当該頂板部17aの縦方向内側の側縁から下方に延びる竪板部(第2板部)17bと、当該竪板部17bの下縁から縦方向外側に向かうほど下方に傾斜して延びる傾斜板部(第3板部)17cとを有している。なお、頂板部17aと梁部材本体9aとのなす角度は、横方向から見てガイド頂壁部15bと上側耐震ブラケット19の側壁部19cの縦方向外側の側縁(上架台5の縦方向外側端)とのなす角度よりも小さく設定されている。また、頂板部17aと傾斜板部17cとのなす角度は、ガイド頂壁部15bの下面とガイド延出部15cの上縁とのなす角度よりも大きく設定されている。
【0053】
このように、頂板部17a、竪板部17b及び傾斜板部17cは、横方向から見て略コ字状をなしているとともに、傾斜板部17cが縦方向外側に向かうほど下方に傾斜しているので、主として上下方向に弾性変形し易くなっている。
【0054】
頂板部17aには、図9(a)に示すように、ガイド突出壁部15d,15dに対応する位置に、縦方向に延び且つ縦方向内側に開口する切欠き溝部(溝部)17d,17dが2つ形成されている。これら切欠き溝部17d,17dに挟まれる舌状部17eは、取付部17を嵌合部37に嵌め込む際にガイド突出壁部15d,15dが引っ掛からないように、平面視で半円形状に形成されており、当該舌状部17e(ガイド頂壁部15bと重なる部分)には、貫通孔17fが形成されている。
【0055】
このように形成された取付部17を、図10に示すように、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁を横方向内側のガイド突出壁部15dに、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁を横方向外側のガイド突出壁部15dに当てながら、各嵌合部37に縦方向外側から嵌め入れると、傾斜板部17cがストッパー部15gに当接することで、取付部17は主として上下方向に弾性変形しながら嵌合部37に入り込む。
【0056】
そうして、梁部材9を小槌等を用いて縦方向外側から叩くことによって、傾斜板部17cがストッパー部15gを乗り越えると、頂板部17aの上面とガイド頂壁部15bの下面と、竪板部17bの縦方向内側面とガイド側壁部15aの縦方向外側の側縁と、傾斜板部17cの下面とガイド延出部15cの上縁とがそれぞれ接触した状態で、取付部17が嵌合部37に嵌め込まれる。このとき、傾斜板部17cは、その縦方向外側端がストッパー部15gに引っ掛かるように、当該ストッパー部15gとガイド側壁部15aとの間に挟まれるとともに、梁部材本体9aの突起片9c,9cが、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁に当たる。
【0057】
また、ガイド突出壁部15d,15dは、2つ切欠き溝部17d,17dにそれぞれ入り込み、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げる一方、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げる。さらに、ガイド頂壁部15bに形成された打出し部15jは、頂板部17aの貫通孔17fに嵌り込む。
【0058】
このように、取付部17を嵌合部37に嵌め込むと、上述の如く、頂板部17aと傾斜板部17cとのなす角度が、ガイド頂壁部15bの下面とガイド延出部15cの上縁とのなす角度よりも大きく設定されていることから、頂板部17aがガイド頂壁部15bの下面を上方に押圧するとともに傾斜板部17cがガイド延出部15cの上端縁を下方に押圧するので、図5の白抜き矢印の方向に作用するモーメントによる、梁部材9とガイド部材15との緩みが規制される。
【0059】
また、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げ、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げることから、頂板部17aがガイド頂壁部15bの下面に強く押し付けられるので、上下方向における、梁部材9とガイド部材15との相対的な移動が規制される。
【0060】
さらに、このように頂板部17aとガイド頂壁部15bとが強く密着しているとともに、頂板部17aと梁部材本体9aとのなす角度が、横方向から見てガイド頂壁部15bと、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁とのなす角度よりも小さく設定されているので、梁部材本体9aの突起片9c,9cが側壁部19cを締め付けるように押圧する。換言すると、頂板部17aと梁部材本体9aとが、上架台5の端部を、あたかも上方及び縦方向外側から挟むように、梁部材9が上架台5に取り付けられることから、図5の白抜き矢印の方向に作用するモーメントによる、梁部材9とガイド部材15との緩みがより一層規制される。
【0061】
一方、取付部17が嵌合部37に嵌め込まれることにより、傾斜板部17cの縦方向外側端がストッパー部15g,15gに引っ掛かる(係合する)とともに、ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁に形成された凸辺15h,15hが竪板部17bを押圧するので、縦方向における、梁部材9と上架台5との相対的な移動が規制される。
【0062】
また、ガイド頂壁部15bに形成された打出し部15jが、頂板部17aの貫通孔17fに嵌り込むことで、縦方向における、梁部材9と上架台5との相対的な移動が一層規制される。
【0063】
さらに、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げ、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げることで、頂板部17aが当該ガイド突出壁部15dによって横方向内側及び外側に押圧されるので横方向における、梁部材9とガイド部材15との相対的な移動が規制される。
【0064】
加えて、縦方向に延びるガイド突出壁部15dを縦方向に延びる切欠き溝部17d,17dに嵌挿する構造とすることにより、例えば、凸状部を凹状部に嵌めたようなものとは異なり、平面視で架台ユニット3と梁部材9とのなす角度が変化し難くなるので、長方形状に組み立てられた防振架台1が、平行四辺形状に変形するのを抑えることができる。
【0065】
なお、組み立てた防振架台1を分解する場合には、ガイド延出部15c,15cの上縁における、ストッパー部15gの縦方向内側に形成された凹部15lに、例えばドライバー等の細長い工具を挿入する。そうして、当該凹部15lの下縁を支点として、工具の持手部を押し下げると、傾斜板部17cが工具の先端部によって上方に押し上げられ、傾斜板部17cの縦方向外側端とストッパー部15gとの係合が解除される。
【0066】
そうして、傾斜板部17cとストッパー部15gとの係合が解かれた状態で、梁部材9を縦方向外側に引っ張ると、取付部17が各嵌合部37から簡単に外れる。このように、本実施形態の防振架台1は、組み立て作業のみならず分解作業も容易なものとなっているが、逆に、凹部15lに工具を挿入して、意図的に傾斜板部17cとストッパー部15gとの係合が解か内ない限り、分解され難い構造となっている。
【0067】
以上のように構成されている本実施形態に係る防振架台では、図11(a)に示すように、頂壁部21aと側壁部21b,21bとを有し、下方に開いた断面略コ字状に形成された下側耐震ブラケット21が、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台7の内側に嵌着されていることから、上側耐震ブラケット19の床壁部19aがゴムブッシュ31の鍔部及び平座金33を介して耐震ボルト23に螺合しているナット35を上方に押し上げるような大きな力や、床壁部19aが耐震ボルト23に螺合しているナット27,29を下方又は斜め下方に押し下げるような大きな力が、上架台5に作用した場合には、下側耐震ブラケット21と下架台7とが、以下のような変形挙動を呈する。
【0068】
すなわち、図11(b)の白抜き矢印で示すように、上架台5に引張力が加わった場合など耐震ボルト23を上側に引っ張る力が作用すると、下架台7が上方に窄むように変形しようとする。このとき、下架台7の上壁7aが略く字状に曲がると、当該上壁7aが下側耐震ブラケット21の頂壁部21aに密着することで、当該頂壁部21aも略く字状に曲がり、下側耐震ブラケット21及び下架台7の変形挙動が略一致する。このように、下架台7を上方に窄ませるには、下側耐震ブラケット21をも変形させねばならないことから、上記図13(b)に示した、下側ブラケット121と下架台107とが各々異なる変形挙動を呈する場合(下架台107のみが変形する場合)に比して、より大きな引張力が必要になる。したがって、下側耐震ブラケット21及び下架台7に作用する力に対して高い耐久性が得られ、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0069】
なお、下架台7の上壁7aが略く字状に曲がると、下側耐震ブラケット21の頂壁部21aも略く字状に曲がるので、下架台7の側壁7b,7bと、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bとは直ぐには接触しないが、下架台7及び下側耐震ブラケット21の変形が進み、架台7の上壁7a及び下側耐震ブラケット21の頂壁部21aのみならず、下架台7の側壁7b,7bと、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bとが密着すると、それ以降の下架台7の変形をさらに抑えることができる。
【0070】
一方、図11(c)の黒抜き矢印で示すように、上架台5に下向きの圧縮力が加わった場合や、上架台5に水平方向の専断力が作用して耐震ボルト23が傾いて斜め下方に押し込まれた場合など、耐震ボルト23を下側に押し込む力が作用すると、下端同士が繋がれていない下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bが横方向に開くように変形しようとする。このとき、下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bの下端が横方向に広がると、当該側壁部21b,21bが下架台7の側壁7b,7bに密着し、下側耐震ブラケット21及び下架台7の変形挙動が略一致する。このように、下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bを横方向に開かせるためには、閉断面を有する(側壁7b,7bの下端が繋がれている)下架台7をも変形させねばならないことから、上記図13(c)に示した、下側ブラケット121及び下架台107が各々異なる変形挙動を呈する場合(下側耐震ブラケット121が下架台107に比べて大きく変形する場合)に比して、より大きな押込力が必要になる。したがって、下側耐震ブラケット21及び下架台7に作用する力に対して高い耐久性が得られ、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0071】
−効果−
本実施形態によれば、下側耐震ブラケット21と下架台7との変形挙動が略一致することで、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、下側耐震ブラケット21及び下架台7の有する断面性能(断面係数や断面2次モーメント等)が発揮され、耐震ボルト23を介してこれらに作用する力に対して高い耐久性が得られる。
【0072】
したがって、上架台5に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0073】
また、頬杖材として機能する張出部21dを妻壁部21cに形成することによって、下架台7の安定度が増すことから、据え付け時に、梁部材9によって対をなす架台ユニット3と未だ連結されていない架台ユニット3が倒れるのを抑えることができ、且つ、防振架台1の組み立て完了後は、下架台7のぐらつき等が抑えられるので、防振架台1全体が捻れるのを抑えることができる。
【0074】
さらに、下側耐震ブラケット21は、下架台7が延びる縦方向から見て断面略コ字状に形成されているのみならず、横方向から見て断面略L字状に形成されているので、その断面性能が向上し、耐震ボルト23を介して作用する力に対してより高い耐久性を得ることができる。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0076】
上記実施形態では、張出部21dは、横方向内側のみに突出するように形成されているが、これに限らず、設置スペースに合わせて、例えば図12に示すように、張出部21dを横方向両側に突出するように形成してもよい。このようにすれば、両張出部21d,21dが横方向両側で頬杖材として機能することから、据え付け時の架台ユニット3や組み立て完了の後防振架台1の安定度をより一層高めることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、張出部21dは妻壁部21cと一体に形成されているが、これに限らず、例えば、側壁部21bを縦方向外側に延ばし、当該延ばした部位を横方向に折り曲げることにより、張出部21dを形成してもよい。
【0078】
さらに、上記実施形態では、上側耐震ブラケット19として、梁部材9を嵌め込むためのガイド部材15を取り付けたものを用いたが、縦方向から見て断面略コ字状に形成された下側耐震ブラケット21が、閉断面を有する下架台7の内側に嵌着されているのであれば、上側耐震ブラケット19をどのような形状に形成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、鉄板を単に曲げ加工することで、下側耐震ブラケット21を形成したが、例えば、側壁部21bの縦方向外側の側縁を、妻壁部21c又は張出部21dに溶接するようにしてもよい。
【0080】
さらに、上記実施形態では、架台ユニット3を一対としたが、これに限らず、3つ以上の架台ユニット3を配設するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、下側耐震ブラケット21の側壁部21bを縦方向にストレートに延びるように形成したが、これに限らず、例えば、側壁部21bの一部に横方向内側に凹み上下方向に延びるVリブを形成するようにしてもよい。このようにすれば、重量を増大させることなく、下側耐震ブラケット21の剛性をさらに高めることができる。
【0082】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、振動の大きな設備機器を設置するための防振架台等について有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 防振架台
3 架台ユニット
5 上架台
7 下架台
9 梁部材
11 アイソレータ(防振体)
13 耐震ストッパ
19 上側耐震ブラケット(上側ブラケット)
21 下側耐震ブラケット(下側ブラケット)
21a 頂壁部
21b 側壁部
21c 妻壁部
21d 張出部(張出壁部)
23 耐震ボルト(軸部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空調装置等、振動の大きな設備機器を設置するための防振架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振架台では、当該防振架台が設置されている構造物(例えば、ビルの屋上の床版)等への振動の伝播を防止するために、設備機器を受ける上架台及び構造物等に設置される下架台の間に防振体を介在させるものが多い。このように、上架台及び下架台の間に防振体を介在させた防振架台には、上架台と下架台とが近接離間可能となり且つ両者が分離しないように、下架台の両端部に連結ボルト(軸部材)を固定するための下側ブラケットが設けられる一方、上架台の両端部に当該連結ボルトと協働する上側ブラケットが設けられたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、基台(下架台)の両端部に、板材を折り曲げてなる取付金具(下側ブラケット)が基台の外側から嵌着された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−267524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のもののように、下側ブラケット121が下架台107の端部に外側から嵌着された構造では(図13a参照)、以下のような問題がある。すなわち、図13(b)の白抜き矢印で示すように、軸部材123を上側に引っ張る力が作用した場合(不図示の上架台に引張力が加わった場合)には、下側ブラケット121は変形することなく上方に変位する一方、下架台107だけが上方に窄むように大きく変形する。これに対し、図13(c)の黒抜き矢印で示すように、軸部材123を下側に押し込む力が作用した場合(上架台に下向きの圧縮力が加わった場合や上架台に水平の専断力が作用して軸部材123が傾いて斜め下方に押し込まれた場合)には、下側ブラケット121の脚部121bが大きく広がるように変形するとともに下架台107が下方に拉げるように大きく変形するおそれがある。なお、図13中の符合127と符合129は、軸部材123を下側ブラケット121及び下架台107を固定するための、ナットを示す。
【0006】
換言すると、下側ブラケット121が下架台107の端部に外側から嵌着された構造では、下架台107の強度を増すために剛性の高い下側ブラケット121を用いても、下側ブラケット121と下架台107とがばらばらに変形する(各々異なる変形挙動を呈する)ため、下側ブラケット121が補強材としての役割を果たし難いという問題がある。
【0007】
ここで、下架台の過度の変形を抑えるために、例えば、下架台の肉厚を極端に厚くすることや多数のリブ等を設けて断面二次モーメント等を増大させることが考えられるが、かかる構造では、防振架台の重量が増すとともに、製作工数が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上架台及び下架台が防振体及び軸部材を介して連結された防振架台において、上架台に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台の過度の変形を抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明では、開断面を有する下側ブラケットを閉断面を有する下架台の内側に嵌着することで、上架台に大きな力が加わった際の、下側ブラケットの変形挙動と下架台の変形挙動とを略一致させるようにしている。
【0010】
第1の発明は、各々長尺の角パイプ材からなる上架台及び下架台の間に防振体を介在させてなる架台ユニットが、横並びに配設され且つ梁部材によって連結されている防振架台であって、上記上架台の両端部には、軸部材と協働する上側ブラケットが設けられている一方、上記下架台の両端部には、当該下架台を補強し且つ当該軸部材を固定するための下側ブラケットが設けられており、上記下側ブラケットは、頂壁部と、当該頂壁部の、上記架台ユニットの配列方向である横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部とを有し、且つ、当該下架台の内側に嵌着されていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明によれば、頂壁部と側壁部とを有し、開断面を有する下側ブラケットが、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台の内側に嵌着されているので、軸部材を上側に引っ張る力が作用した場合に、下架台が上方に窄むように変形しようとすると、下架台の内面が下側ブラケットの頂壁部の外面に密着し、両者の変形挙動が略一致する。一方、軸部材を下側に押し込む力が作用した場合に、下側ブラケットの両側壁部が横方向に開くように変形しようとすると、下側ブラケットの側壁部の外面が下架台の内面に密着し、両者の変形挙動が略一致する。
【0012】
このように、下側ブラケットと下架台との変形挙動を略一致させることで、下架台及び下側ブラケットのうち一方を変形させようとすると、必ず他方が変形することから、下架台及び下側ブラケットが、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、変形し難くなる。
【0013】
したがって、上架台に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記下側ブラケットには、縦方向外側の端部に、横方向に延びる張出壁部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明によれば、下架台の安定度が増すことから、据え付け時に、梁部材によって他の架台ユニットと未だ連結されていない架台ユニットが倒れるのを抑えることができるとともに、防振架台の組み立て完了後は、下架台のぐらつき等が抑えられるので、架台ユニットを梁部材によって連結した防振架台全体が捻れるのを抑えることができる。
【0016】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記下側ブラケットは、頂壁部の縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部をさらに有しており、上記張出壁部は、上記妻壁部と一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明によれば、下側ブラケットは、下架台が延びる縦方向から見て断面略コ字状に形成されているのみならず、横方向から見て断面略L字状に形成されているので、その断面性能が向上し、軸部材を介して作用する力に対してより高い耐久性を得ることができる。
【0018】
また、張出壁部は、妻壁部と一体に形成されているので、下側ブラケットを容易に製作することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る防振架台によれば、頂壁部と側壁部とを有し、開断面を有する下側ブラケットが、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台の内側に嵌着されているので、下架台が上方に窄むように変形しようとすると、下架台の内面が下側ブラケットの頂壁部及び側壁部の外面に密着する一方、下側ブラケットの両側壁部が横方向に開くように変形しようとすると、下側ブラケットの側壁部の外面が下架台の内面に密着するので、両者の変形挙動が略一致する。このように、下側ブラケットと下架台との変形挙動が略一致することで、下側ブラケット及び下架台が、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、変形し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る防振架台を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図2】下側耐震ブラケットを示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図3】ガイド部材及び上側耐震ブラケットの分解斜視図であり、同図(a)はガイド部材の斜視図であり、同図(b)は上側耐震ブラケットの斜視図である。
【図4】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の斜視図である。
【図5】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大側面図である。
【図6】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大正面図である。
【図7】上架台の端部と梁部材の端部とが結合されるコーナー部の拡大平面図である。
【図8】ガイド部材を上側耐震ブラケットに組み付けた状態を示す斜視図である。
【図9】梁部材を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【図10】梁部材の上架台への組み付け作業を説明する斜視図である。
【図11】下側耐震ブラケットの下架台への取付構造を示す正面図であり、同図(a)は耐震ボルトに力が作用していない状態を示し、同図(b)は耐震ボルトを上側に引っ張る力が作用した状態を示し、同図(c)は耐震ボルトを下側に押し込む力が作用した状態を示す。
【図12】その他の実施形態に係る下側耐震ブラケットを示す図である。
【図13】従来の下側耐震ブラケットの下架台への取付構造を示す正面図であり、同図(a)は耐震ボルトに力が作用していない状態を示し、同図(b)は耐震ボルトを上側に引っ張る力が作用した状態を示し、同図(c)は耐震ボルトを下側に押し込む力が作用した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る防振架台を所謂エアコン防振台に適用した実施形態を示し、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。図示の如く、この防振架台1は、図示しないエアコン室外機を設置するためのものであり、上架台5及び下架台7を有する長尺状の架台ユニット3(所謂レール式防振台である)を横並びに一対、並べて配設し、それらの両端に後述する梁部材9,9を架け渡して、連結している。
【0023】
なお、以下の説明では、上架台5の延びる方向を縦方向とし、当該上架台5の配列方向を横方向とする。また、以下では、図1(a)において右下に位置するコーナー部について説明するが、その他のコーナー部についても、右下に位置するコーナー部とほぼ同様の構成である。
【0024】
この防振架台1では、対をなす架台ユニット3,3は同じものであり、各々断面矩形状の角パイプ材(例えば構造用角形鋼管等)からなる長尺の上架台5及び下架台7が、互いに上下方向に所定の間隔を空けて配置され、その間には縦方向に離れて2つのアイソレータ(防振体)11,11が介設されている。アイソレータ11は、上架台5及び下架台7の間の振動伝達を軽減するものであり、例えばコイルばねとゴムを一体成形したものや樹脂ケース内にコイルばねを内蔵したものが用いられる。
【0025】
本実施形態の架台ユニット3においては、上架台5よりも下架台7が長くなっており、その両端部がそれぞれ上架台5の端部よりも縦方向外側に突出している。下架台7の両端部におけるこの突出する部位の内側には、それぞれ、図2に示す、下架台7を補強し且つ耐震ボルト(軸部材)23を固定するための下側耐震ブラケット(下側ブラケット)21が取り付けられている。
【0026】
この下側耐震ブラケット21は、鉄板を曲げ加工してなり、略矩形状の頂壁部21aと、当該頂壁部21aの横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部21b,21bとを有していて、縦方向から見て下方が開放した断面略コ字状に形成されている。この頂壁部21aには、耐震ボルト23が挿通される丸孔21eと、下架台7を基礎に固定するアンカーボルト(図示せず)の挿通される長孔21fとが形成されている。
【0027】
下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aが下架台7の上壁7aの下面に接触するように、下架台7の両端部の内側に嵌着されている。なお、本実施形態の防振架台1では、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bと、下架台7の側壁7b,7bとの間には隙間が空いているが(図11(a)参照)、例えば、下側耐震ブラケット21の板厚を厚くして、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bと、下架台7の側壁7bとを接触させてもよい。
【0028】
また、図11(a)の例では、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端と、下架台7の下壁7cとの間には隙間が空いているが、これは、下架台7の側壁7bと下壁7cとのコーナー部に形成されたR部と、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端とが干渉するのを避けるためである。したがって、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端部をコーナー部の内面に沿うような形状に形成して、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bの下端と、下架台7の下壁7cとを接触させてもよく、このようにすれば、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bが下架台を補強するリブとして機能するので、より高い耐久性が得られる。
【0029】
さらに、下側耐震ブラケット21は、頂壁部21aの縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部21cを有していて、横方向から見て断面略L字状に形成されている。このため、下側耐震ブラケット21の横方向における断面性能が向上することから、上架台5から耐震ボルト23を介してこれらに作用する力に対して高い耐久性が得られるようになっている。
【0030】
また、妻壁部21cには、横方向内側の側壁部21bよりもさらに横方向内側(対をなす下架台7に向かって)に張り出す略矩形状の張出部(張出壁部)21dが一体に形成されている。このため、下架台7が横方向内側に傾いても、張出部21dが頬杖材として機能するので、下架台7の安定度が増すようになっている。これにより、据え付け時に、梁部材9によって対をなす架台ユニット3と未だ連結されていない架台ユニット3が倒れるのを抑えることができるとともに、防振架台1の組み立て完了後は、下架台7のぐらつき等が抑えられるので、防振架台1全体が捻れるのを抑えることができる。
【0031】
一方、上架台5,5の両端部にはそれぞれ、図3(b)に示す上側耐震ブラケット(上側ブラケット)19が取り付けられていて、これら上側耐震ブラケット19及び下側耐震ブラケット21は、耐震ボルト23とともに、以下に述べるように下架台7との間に、上架台5との相対変位を規制するための耐震ストッパ13を構成している。
【0032】
−耐震ストッパ−
図1(a)において右下に位置するコーナー部について図4〜図7に拡大して示すように、上側耐震ブラケット19は、下架台7から上方に延びる耐震ボルト23と協働して耐震ストッパ13を構成する。上側耐震ブラケット19は、鉄板を曲げ加工及び溶接してなり、縦方向外側且つ横方向外側の角が隅切りされた略矩形状の床壁部19aと、この床壁部19aの縦方向内側の側縁から上方に立ち上がる竪壁部19bと、床壁部19aの横方向内側の側縁から上方に立ち上がる側壁部19cとを備えている。これら竪壁部19b及び側壁部19cは、その側縁同士が溶接されて平面視で略L字状に連繋している。
【0033】
側壁部19cには、図7に示すように、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面に沿って延びる内側延出部19fが形成されている。この内側延出部19fには、横方向に延びる断面矩形のネジ孔19hが貫通形成されており、当該ネジ孔19hに挿通されるネジ25と、これに螺合するナット26とによって、内側延出部19fは上架台5の横方向内側の側壁5bに締結されている。
【0034】
竪壁部19bの上縁には、角パイプである上架台5の下壁5dの端縁に沿って折り曲げられて、その下壁5dの上面に沿って縦方向内側に延びる延出部19eが形成されている。この延出部19eの縦方向内側の側縁には、上方に折れ曲がる妻壁部19gが形成されており、当該妻壁部19g及び内側延出部19fは、その側縁同士が平面視で略L字状に連繋している。
【0035】
さらに、竪壁部19bの横方向外側の側縁には、縦方向内側に折り曲げられて上架台5の横方向外側の側壁5cの外面に沿って延びる外側延出部19dが形成されている。この外側延出部19dには、横方向に延びる断面矩形のネジ孔19hが形成されており、当該ネジ孔19hに挿通されるネジ25により、外側延出部19dが上架台5の横方向外側の側壁5cに締結されている。
【0036】
図3(b)に示すように上側耐震ブラケット19の側壁部19cには、縦方向外側の側縁に凸辺19jが形成されていて、後述するように梁部材9との結合に用いられる。また、上側耐震ブラケット19の床壁部19aには、上下方向に延びるボルト貫通孔19iが貫通形成されていて、当該ボルト貫通孔19iに耐震ボルト23の軸部が遊嵌状態で挿通されている。耐震ボルト23は、その軸部が下側耐震ブラケット21(丸孔21e)とこれに重なる下架台7の上壁7aとを貫通して上向きに延びるように配設されていて、この軸部の付け根に螺合するナット27,29によって、下架台7の上壁7aに締結されている。
【0037】
また、図5に示すように、耐震ボルト23の軸部において上側耐震ブラケット19の床壁部19aのボルト貫通孔19iに挿入されている部位には、ゴムブッシュ31が外挿されている。このゴムブッシュ31は、ボルト貫通孔19iよりも少しだけ直径の小さな円筒部と、その上に連なる鍔部とからなり、この鍔部がボルト貫通孔19iの周縁部に上方から接触している。また、その鍔部の上には平座金33を介在させて耐震ボルト23の軸部にナット35が螺合されている。
【0038】
すなわち、図4〜図7においては上側耐震ブラケット19の床壁部19a上にゴムブッシュ31の鍔部が接触する状態を示しているが、これは防振架台1を使用しないときであり、防振架台1を使用するときにはナット35の位置を調整して、床壁部19aの上面とゴムブッシュ31の鍔部下面との間に適当な大きさ(約2〜3mm程度)の隙間を形成する。このことで、地震等による上架台5及び下架台7の上下方向の相対変位を適切に規制することができる。
【0039】
しかも、地震等によって上架台5及び下架台7が比較的大きく相対変位したときでも、上側耐震ブラケット19と耐震ボルト23や平座金33との、即ち金属製部材同士の接触が回避される。尚、上側耐震ブラケット19の床壁部19aとその下方の下架台7との間隔は、上架台5に許容される傾きの上限等から例えば30mmくらいとされている。
【0040】
なお、図4及び図7に示す符号5eは、上架台5を室外機の底部に固定する締結ボルト(図示せず)を挿通するために、上架台5の上壁5aに貫通形成された丸穴を示す。
【0041】
−梁部材の嵌合構造−
本実施形態では、前記の如き構成の上側耐震ブラケット19に、図3(a)に示すガイド部材15を取り付け、当該ガイド部材15に、梁部材9の横方向両端部を嵌め込んで、しっかりと結合できるようにしている。
【0042】
ガイド部材15は、鉄板を曲げ加工したものであり、横方向に相対向する2つのガイド側壁部(第1壁部)15a,15aと、当該ガイド側壁部15a,15aの上縁同士を繋ぎ且つ当該ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁よりもさらに縦方向外側に延びるガイド頂壁部(第2壁部)15bと、当該ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁の下部(略下半分)から縦方向外側に延びるガイド延出部(第3壁部)15c,15cとを有している。
【0043】
ガイド頂壁部15bは、略矩形状に形成されており、前記した上側耐震ブラケット19の床壁部19aの上方に、その上面が上架台5の上壁5aの上面と面一なるように位置付けられている。このガイド頂壁部15bには、開口部15iが貫通形成されていて、当該開口部15iから耐震ボルト23を締め付ける際に用いる固定具(図示せず)を挿入できるようになっている。また、この開口部15iを区画する縦方向外側の縁部には下方に突起する打出し部(突起部)15jが形成されており、この打出し部15jは、後述する梁部材9の貫通孔17fに対応する位置に形成されていて、当該貫通孔17fに嵌り込むようになっている。
【0044】
さらに、ガイド頂壁部15bの縦方向外側の端部には、より具体的には、当該ガイド頂壁部15bの、後述する梁部材9の頂板部17aと重なる部分には、横方向両側の側縁で下方に折り曲げられてR部15kを介して下方に延び、且つ、縦方向にも延びるガイド突出壁部(第4壁部)15d,15dが形成されている。これらガイド突出壁部15d,15dは、図6に示すように、横方向における両ガイド側壁部15a,15aの内側に形成されている。
【0045】
ガイド側壁部15a,15aは、各々略矩形状に形成されており、その縦方向外側の側縁に凸辺15h,15hがそれぞれ形成されている(図8参照)。また、両ガイド側壁部15a,15aの縦方向内側の側縁には、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面及び外側の側壁5cの外面に沿って延びる取付壁部15e,15eがそれぞれ形成されている。これら取付壁部15e,15eには、上側耐震ブラケット19の内側延出部19f及び外側延出部19dに形成されたネジ孔19h,19hと同形同大の、横方向に延びる断面矩形のネジ孔15f,15fがそれぞれ形成されている。
【0046】
ガイド部材15は、図8に示すように、取付壁部15e,15eを、上側耐震ブラケット19の内側延出部19fと外側延出部19dとの間に挟むとともに、取付壁部15e,15eのネジ孔15f,15fと、内側延出部19f及び外側延出部19dのネジ孔19h,19hとを合わせる(横方向から見て重なる)ようにして、上側耐震ブラケット19に取り付けられている。このように、鉄板を曲げ加工してなるガイド部材15を、鉄板を曲げ加工及び溶接してなる上側耐震ブラケット19に取り付けることによって、ガイド部材15及び上側耐震ブラケット19は、剛性の高い立体構造となっているとともに、複雑な形状でありながら容易に製造できるようになっている。
【0047】
そうして、ガイド部材15は、取付壁部15e,15eが上架台5の側壁5b,5cと上側耐震ブラケット19の内側及び外側延出部19f,19dとに挟まれた状態で、ネジ孔15f,19hに挿通される上記ネジ25と、これに螺合するナット26とによって、上側耐震ブラケット19と共締めで上架台5の側壁5b,5cに締結されている。より詳しくは、図7に示すように、ガイド部材15の横方向内側の取付壁部15eは、上架台5の横方向内側の側壁5bの内面と上側耐震ブラケット19の内側延出部19fの外面とに挟まれた状態で、また、ガイド部材15の横方向外側の取付壁部15eは、上架台5の横方向外側の側壁5cの外面と上側耐震ブラケット19の外側延出部19dの内面とに挟まれた状態で、上架台5の側壁5b,5cに締結されている。
【0048】
ガイド延出部15c,15cの上縁は、縦方向外側に向かうほど下方に傾斜しており、これら上縁の縦方向外側の端部には、上方に向かって突起するストッパー部(係合部)15g,15gがそれぞれ形成されている。また、ガイド延出部15c,15cの上縁における、ストッパー部15g,15gの縦方向内側には、下方に凹む凹部15l,15lがそれぞれ形成されている。
【0049】
上述の如く、各ガイド延出部15c,15cは、各ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁の下部から縦方向外側に延びているので、ガイド側壁部15aとガイド延出部15cとは、横方向から見て略L字状をなしている。さらに、ガイド頂壁部15bは、ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁よりもさらに縦方向外側に延びているので、ガイド頂壁部15bの下面と、ガイド側壁部15aの縦方向外側の側縁と、ガイド延出部15cの上縁とは、図5に示すように、横方向から見て略コ字状をなしている。このようにガイド部材15を形成することにより、ガイド頂壁部15bとガイド側壁部15aとガイド延出部15cとは、後述する梁部材9の取付部17が嵌め込まれる、縦方向外側に開口する嵌合部37を構成している。
【0050】
これに対し、互いに対をなす上架台5,5を連結する梁部材9は、ZAM鋼板(登録商標)を曲げ加工したものであり、図9に示すように、ガイド部材15の縦方向外側に配設され、横方向に延びる梁部材本体(第4板部)9aと、当該梁部材本体9aの上縁から縦方向内側に突設され、嵌合部37に嵌め込まれる取付部17とを有している。
【0051】
梁部材本体9aは、図9(b)に示すように、逆T字状に形成されていて、その下縁には、剛性を高めるために斜め上方に折り曲げられた、折返し部9bが形成されている。また、梁部材本体9aの下端部おける横方向両外側の側縁には、横方向両外側に突起する突起片9c,9cがそれぞれ形成されている。これら突起片9c,9cは、梁部材9が上架台5に取り付けられた状態で、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁に当たるようになっている。なお、この突起片9cの上端を、上側耐震ブラケット19の側壁部19cの縦方向外側の側縁に形成された凸辺19jの下端に当てることで、梁部材9をガイド部材15に嵌め込む際の、上下方向における位置決めが容易になる。
【0052】
取付部17は、梁部材本体9aの上縁で折り曲げられて縦方向内側に延びる頂板部(第1板部)17aと、当該頂板部17aの縦方向内側の側縁から下方に延びる竪板部(第2板部)17bと、当該竪板部17bの下縁から縦方向外側に向かうほど下方に傾斜して延びる傾斜板部(第3板部)17cとを有している。なお、頂板部17aと梁部材本体9aとのなす角度は、横方向から見てガイド頂壁部15bと上側耐震ブラケット19の側壁部19cの縦方向外側の側縁(上架台5の縦方向外側端)とのなす角度よりも小さく設定されている。また、頂板部17aと傾斜板部17cとのなす角度は、ガイド頂壁部15bの下面とガイド延出部15cの上縁とのなす角度よりも大きく設定されている。
【0053】
このように、頂板部17a、竪板部17b及び傾斜板部17cは、横方向から見て略コ字状をなしているとともに、傾斜板部17cが縦方向外側に向かうほど下方に傾斜しているので、主として上下方向に弾性変形し易くなっている。
【0054】
頂板部17aには、図9(a)に示すように、ガイド突出壁部15d,15dに対応する位置に、縦方向に延び且つ縦方向内側に開口する切欠き溝部(溝部)17d,17dが2つ形成されている。これら切欠き溝部17d,17dに挟まれる舌状部17eは、取付部17を嵌合部37に嵌め込む際にガイド突出壁部15d,15dが引っ掛からないように、平面視で半円形状に形成されており、当該舌状部17e(ガイド頂壁部15bと重なる部分)には、貫通孔17fが形成されている。
【0055】
このように形成された取付部17を、図10に示すように、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁を横方向内側のガイド突出壁部15dに、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁を横方向外側のガイド突出壁部15dに当てながら、各嵌合部37に縦方向外側から嵌め入れると、傾斜板部17cがストッパー部15gに当接することで、取付部17は主として上下方向に弾性変形しながら嵌合部37に入り込む。
【0056】
そうして、梁部材9を小槌等を用いて縦方向外側から叩くことによって、傾斜板部17cがストッパー部15gを乗り越えると、頂板部17aの上面とガイド頂壁部15bの下面と、竪板部17bの縦方向内側面とガイド側壁部15aの縦方向外側の側縁と、傾斜板部17cの下面とガイド延出部15cの上縁とがそれぞれ接触した状態で、取付部17が嵌合部37に嵌め込まれる。このとき、傾斜板部17cは、その縦方向外側端がストッパー部15gに引っ掛かるように、当該ストッパー部15gとガイド側壁部15aとの間に挟まれるとともに、梁部材本体9aの突起片9c,9cが、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁に当たる。
【0057】
また、ガイド突出壁部15d,15dは、2つ切欠き溝部17d,17dにそれぞれ入り込み、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げる一方、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げる。さらに、ガイド頂壁部15bに形成された打出し部15jは、頂板部17aの貫通孔17fに嵌り込む。
【0058】
このように、取付部17を嵌合部37に嵌め込むと、上述の如く、頂板部17aと傾斜板部17cとのなす角度が、ガイド頂壁部15bの下面とガイド延出部15cの上縁とのなす角度よりも大きく設定されていることから、頂板部17aがガイド頂壁部15bの下面を上方に押圧するとともに傾斜板部17cがガイド延出部15cの上端縁を下方に押圧するので、図5の白抜き矢印の方向に作用するモーメントによる、梁部材9とガイド部材15との緩みが規制される。
【0059】
また、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げ、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げることから、頂板部17aがガイド頂壁部15bの下面に強く押し付けられるので、上下方向における、梁部材9とガイド部材15との相対的な移動が規制される。
【0060】
さらに、このように頂板部17aとガイド頂壁部15bとが強く密着しているとともに、頂板部17aと梁部材本体9aとのなす角度が、横方向から見てガイド頂壁部15bと、上側耐震ブラケット19の側壁部19cにおける縦方向外側の側縁とのなす角度よりも小さく設定されているので、梁部材本体9aの突起片9c,9cが側壁部19cを締め付けるように押圧する。換言すると、頂板部17aと梁部材本体9aとが、上架台5の端部を、あたかも上方及び縦方向外側から挟むように、梁部材9が上架台5に取り付けられることから、図5の白抜き矢印の方向に作用するモーメントによる、梁部材9とガイド部材15との緩みがより一層規制される。
【0061】
一方、取付部17が嵌合部37に嵌め込まれることにより、傾斜板部17cの縦方向外側端がストッパー部15g,15gに引っ掛かる(係合する)とともに、ガイド側壁部15a,15aの縦方向外側の側縁に形成された凸辺15h,15hが竪板部17bを押圧するので、縦方向における、梁部材9と上架台5との相対的な移動が規制される。
【0062】
また、ガイド頂壁部15bに形成された打出し部15jが、頂板部17aの貫通孔17fに嵌り込むことで、縦方向における、梁部材9と上架台5との相対的な移動が一層規制される。
【0063】
さらに、横方向内側の切欠き溝部17dの横方向内側の側縁が、横方向内側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げ、且つ、横方向外側の切欠き溝部17dの横方向外側の側縁が、横方向外側のガイド突出壁部15dのR部15kに乗り上げることで、頂板部17aが当該ガイド突出壁部15dによって横方向内側及び外側に押圧されるので横方向における、梁部材9とガイド部材15との相対的な移動が規制される。
【0064】
加えて、縦方向に延びるガイド突出壁部15dを縦方向に延びる切欠き溝部17d,17dに嵌挿する構造とすることにより、例えば、凸状部を凹状部に嵌めたようなものとは異なり、平面視で架台ユニット3と梁部材9とのなす角度が変化し難くなるので、長方形状に組み立てられた防振架台1が、平行四辺形状に変形するのを抑えることができる。
【0065】
なお、組み立てた防振架台1を分解する場合には、ガイド延出部15c,15cの上縁における、ストッパー部15gの縦方向内側に形成された凹部15lに、例えばドライバー等の細長い工具を挿入する。そうして、当該凹部15lの下縁を支点として、工具の持手部を押し下げると、傾斜板部17cが工具の先端部によって上方に押し上げられ、傾斜板部17cの縦方向外側端とストッパー部15gとの係合が解除される。
【0066】
そうして、傾斜板部17cとストッパー部15gとの係合が解かれた状態で、梁部材9を縦方向外側に引っ張ると、取付部17が各嵌合部37から簡単に外れる。このように、本実施形態の防振架台1は、組み立て作業のみならず分解作業も容易なものとなっているが、逆に、凹部15lに工具を挿入して、意図的に傾斜板部17cとストッパー部15gとの係合が解か内ない限り、分解され難い構造となっている。
【0067】
以上のように構成されている本実施形態に係る防振架台では、図11(a)に示すように、頂壁部21aと側壁部21b,21bとを有し、下方に開いた断面略コ字状に形成された下側耐震ブラケット21が、角パイプ材からなる、閉断面を有する下架台7の内側に嵌着されていることから、上側耐震ブラケット19の床壁部19aがゴムブッシュ31の鍔部及び平座金33を介して耐震ボルト23に螺合しているナット35を上方に押し上げるような大きな力や、床壁部19aが耐震ボルト23に螺合しているナット27,29を下方又は斜め下方に押し下げるような大きな力が、上架台5に作用した場合には、下側耐震ブラケット21と下架台7とが、以下のような変形挙動を呈する。
【0068】
すなわち、図11(b)の白抜き矢印で示すように、上架台5に引張力が加わった場合など耐震ボルト23を上側に引っ張る力が作用すると、下架台7が上方に窄むように変形しようとする。このとき、下架台7の上壁7aが略く字状に曲がると、当該上壁7aが下側耐震ブラケット21の頂壁部21aに密着することで、当該頂壁部21aも略く字状に曲がり、下側耐震ブラケット21及び下架台7の変形挙動が略一致する。このように、下架台7を上方に窄ませるには、下側耐震ブラケット21をも変形させねばならないことから、上記図13(b)に示した、下側ブラケット121と下架台107とが各々異なる変形挙動を呈する場合(下架台107のみが変形する場合)に比して、より大きな引張力が必要になる。したがって、下側耐震ブラケット21及び下架台7に作用する力に対して高い耐久性が得られ、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0069】
なお、下架台7の上壁7aが略く字状に曲がると、下側耐震ブラケット21の頂壁部21aも略く字状に曲がるので、下架台7の側壁7b,7bと、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bとは直ぐには接触しないが、下架台7及び下側耐震ブラケット21の変形が進み、架台7の上壁7a及び下側耐震ブラケット21の頂壁部21aのみならず、下架台7の側壁7b,7bと、下側耐震ブラケット21の側壁部21b,21bとが密着すると、それ以降の下架台7の変形をさらに抑えることができる。
【0070】
一方、図11(c)の黒抜き矢印で示すように、上架台5に下向きの圧縮力が加わった場合や、上架台5に水平方向の専断力が作用して耐震ボルト23が傾いて斜め下方に押し込まれた場合など、耐震ボルト23を下側に押し込む力が作用すると、下端同士が繋がれていない下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bが横方向に開くように変形しようとする。このとき、下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bの下端が横方向に広がると、当該側壁部21b,21bが下架台7の側壁7b,7bに密着し、下側耐震ブラケット21及び下架台7の変形挙動が略一致する。このように、下側耐震ブラケット21の両側壁部21b,21bを横方向に開かせるためには、閉断面を有する(側壁7b,7bの下端が繋がれている)下架台7をも変形させねばならないことから、上記図13(c)に示した、下側ブラケット121及び下架台107が各々異なる変形挙動を呈する場合(下側耐震ブラケット121が下架台107に比べて大きく変形する場合)に比して、より大きな押込力が必要になる。したがって、下側耐震ブラケット21及び下架台7に作用する力に対して高い耐久性が得られ、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0071】
−効果−
本実施形態によれば、下側耐震ブラケット21と下架台7との変形挙動が略一致することで、各々異なる変形挙動を呈する場合に比して、下側耐震ブラケット21及び下架台7の有する断面性能(断面係数や断面2次モーメント等)が発揮され、耐震ボルト23を介してこれらに作用する力に対して高い耐久性が得られる。
【0072】
したがって、上架台5に大きな力が加わった場合でも、簡単な構造で下架台7の過度の変形を抑えることが可能となる。
【0073】
また、頬杖材として機能する張出部21dを妻壁部21cに形成することによって、下架台7の安定度が増すことから、据え付け時に、梁部材9によって対をなす架台ユニット3と未だ連結されていない架台ユニット3が倒れるのを抑えることができ、且つ、防振架台1の組み立て完了後は、下架台7のぐらつき等が抑えられるので、防振架台1全体が捻れるのを抑えることができる。
【0074】
さらに、下側耐震ブラケット21は、下架台7が延びる縦方向から見て断面略コ字状に形成されているのみならず、横方向から見て断面略L字状に形成されているので、その断面性能が向上し、耐震ボルト23を介して作用する力に対してより高い耐久性を得ることができる。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0076】
上記実施形態では、張出部21dは、横方向内側のみに突出するように形成されているが、これに限らず、設置スペースに合わせて、例えば図12に示すように、張出部21dを横方向両側に突出するように形成してもよい。このようにすれば、両張出部21d,21dが横方向両側で頬杖材として機能することから、据え付け時の架台ユニット3や組み立て完了の後防振架台1の安定度をより一層高めることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、張出部21dは妻壁部21cと一体に形成されているが、これに限らず、例えば、側壁部21bを縦方向外側に延ばし、当該延ばした部位を横方向に折り曲げることにより、張出部21dを形成してもよい。
【0078】
さらに、上記実施形態では、上側耐震ブラケット19として、梁部材9を嵌め込むためのガイド部材15を取り付けたものを用いたが、縦方向から見て断面略コ字状に形成された下側耐震ブラケット21が、閉断面を有する下架台7の内側に嵌着されているのであれば、上側耐震ブラケット19をどのような形状に形成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、鉄板を単に曲げ加工することで、下側耐震ブラケット21を形成したが、例えば、側壁部21bの縦方向外側の側縁を、妻壁部21c又は張出部21dに溶接するようにしてもよい。
【0080】
さらに、上記実施形態では、架台ユニット3を一対としたが、これに限らず、3つ以上の架台ユニット3を配設するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、下側耐震ブラケット21の側壁部21bを縦方向にストレートに延びるように形成したが、これに限らず、例えば、側壁部21bの一部に横方向内側に凹み上下方向に延びるVリブを形成するようにしてもよい。このようにすれば、重量を増大させることなく、下側耐震ブラケット21の剛性をさらに高めることができる。
【0082】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、振動の大きな設備機器を設置するための防振架台等について有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 防振架台
3 架台ユニット
5 上架台
7 下架台
9 梁部材
11 アイソレータ(防振体)
13 耐震ストッパ
19 上側耐震ブラケット(上側ブラケット)
21 下側耐震ブラケット(下側ブラケット)
21a 頂壁部
21b 側壁部
21c 妻壁部
21d 張出部(張出壁部)
23 耐震ボルト(軸部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々長尺の角パイプ材からなる上架台及び下架台の間に防振体を介在させてなる架台ユニットが、横並びに配設され且つ梁部材によって連結されている防振架台であって、
上記上架台の両端部には、軸部材と協働する上側ブラケットが設けられている一方、上記下架台の両端部には、当該下架台を補強し且つ当該軸部材を固定するための下側ブラケットが設けられており、
上記下側ブラケットは、頂壁部と、当該頂壁部の、上記架台ユニットの配列方向である横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部とを有し、且つ、当該下架台の内側に嵌着されていることを特徴とする防振架台。
【請求項2】
請求項1記載の防振架台において、
上記下側ブラケットには、縦方向外側の端部に、横方向に延びる張出壁部が設けられていることを特徴とする防振架台。
【請求項3】
請求項2記載の防振架台において、
上記下側ブラケットは、頂壁部の縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部をさらに有しており、
上記張出壁部は、上記妻壁部と一体に形成されていることを特徴とする防振架台。
【請求項1】
各々長尺の角パイプ材からなる上架台及び下架台の間に防振体を介在させてなる架台ユニットが、横並びに配設され且つ梁部材によって連結されている防振架台であって、
上記上架台の両端部には、軸部材と協働する上側ブラケットが設けられている一方、上記下架台の両端部には、当該下架台を補強し且つ当該軸部材を固定するための下側ブラケットが設けられており、
上記下側ブラケットは、頂壁部と、当該頂壁部の、上記架台ユニットの配列方向である横方向両側の側縁から下方に延びる側壁部とを有し、且つ、当該下架台の内側に嵌着されていることを特徴とする防振架台。
【請求項2】
請求項1記載の防振架台において、
上記下側ブラケットには、縦方向外側の端部に、横方向に延びる張出壁部が設けられていることを特徴とする防振架台。
【請求項3】
請求項2記載の防振架台において、
上記下側ブラケットは、頂壁部の縦方向外側の側縁から下方に延びる妻壁部をさらに有しており、
上記張出壁部は、上記妻壁部と一体に形成されていることを特徴とする防振架台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−112159(P2011−112159A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269216(P2009−269216)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
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