説明

防振装置

【課題】異音の発生を抑制しつつ、ブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができる。
【解決手段】ブラケットと、該ブラケットに連結された第1取付け部材3と、第2取付け部材4と、第1取付け部材3と第2取付け部材4とを弾性的に連結する弾性体5と、を備え、ブラケットおよび第1取付け部材3のうち、いずれか一方に備えられた圧入孔10に、他方に備えられた圧入部が、圧入孔10の軸線O2方向の一方側から圧入されることで、ブラケットと第1取付け部材3とが連結され、圧入孔10の内周面18は内周弾性層9によって形成され、該内周弾性層9には、圧入孔10から圧入部が離脱された状態で、軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、圧入孔10の径方向の内側に向けて張り出す張出量が大きくなる張出部26が形成されている防振装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振装置として、例えば下記特許文献1に示されるような、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結されるブラケットと、該ブラケットに連結された第1取付け部材と、振動発生部および振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、第1取付け部材と第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、を備える構成が知られている。
この防振装置では、第1取付け部材は金属材料によって筒状に形成され、この第1取付け部材内に第2取付け部材および弾性体が配設されている。また、ブラケットは金属材料によって筒状に形成され、このブラケット内に第1取付け部材が、ブラケットの軸線方向の一方側から圧入されることで、ブラケットと第1取付け部材とが連結されている。そして、第1取付け部材は、その外周面から径方向の外側に膨出するとともに、ブラケットにおいて前記軸線方向の他方側を向く端面と接触する突起部を有している。
この防振装置によれば、突起部がブラケットの前記端面に接触することで、第1取付け部材がブラケットから前記軸線方向の一方側に離脱するのを抑制し、ブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−252797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振装置では、第1取付け部材およびブラケットが金属材料で形成されており、金属材料によって形成された前記突起部と前記端面とを接触させているので、前記突起部と前記端面とが離反した後、再度接触することで大きな異音が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、異音の発生を抑制しつつ、ブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができる防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結されるブラケットと、該ブラケットに連結された第1取付け部材と、振動発生部および振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、を備え、前記ブラケットおよび前記第1取付け部材のうち、いずれか一方に備えられた圧入孔に、他方に備えられた圧入部が、前記圧入孔の軸線方向の一方側から圧入されることで、前記ブラケットと前記第1取付け部材とが連結された防振装置であって、前記圧入孔の内周面は内周弾性層によって形成され、該内周弾性層には、前記圧入孔から前記圧入部が離脱された状態で、前記軸線方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、前記圧入孔の径方向の内側に向けて張り出す張出量が大きくなる張出部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、圧入孔の内周面が内周弾性層によって形成されているので、圧入孔に圧入された圧入部の外面が内周弾性層に当接し、圧入部がこの内周弾性層を圧縮変形させることとなる。これにより、圧入部に内周弾性層の弾性復元力が作用して、圧入部を圧入孔内で保持することが可能になり、圧入部が圧入孔から離脱するのを抑えることができる。
また、内周弾性層に前記張出部が形成されているので、仮に圧入部が圧入孔内で前記軸線方向の一方側に移動したとしても、張出部のうち、張出量が最も大きい一方側部分が圧入部によって圧縮変形させられ続けることとなる。これにより、内周弾性層から圧入部に大きな弾性復元力を作用させ続けることが可能になり、圧入部が圧入孔から離脱するのを確実に抑えることができる。
以上より、圧入部が圧入孔から離脱するのを確実に抑えることが可能になり、ブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができる。
【0008】
また、圧入孔の内周面が内周弾性層によって形成されており、圧入部に内周弾性層の弾性復元力を作用させることで、金属材料同士を接触させずにブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができるので、異音の発生を抑制することができる。
【0009】
また、前記張出部は、前記圧入孔から前記圧入部が離脱された状態で、前記軸線方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、張出量が大きくなる階段状に形成されていても良い。
【0010】
この場合、張出部が、圧入孔から圧入部が離脱された状態で、前記軸線方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、張出量が大きくなる階段状に形成されているので、仮に圧入部が圧入孔内で前記軸線方向の一方側に移動しようとしても、この移動を張出部の各段部の角部によって抑制することが可能になり、圧入部が圧入孔から離脱するのをより確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る防振装置によれば、異音の発生を抑制しつつ、ブラケットと第1取付け部材との連結を確保し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る防振装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す防振装置を構成する防振装置本体の縦断面図である。
【図3】図1に示す防振装置を構成するブラケットの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る防振装置の変形例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る防振装置を説明する。
図1に示すように、防振装置1は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結されるブラケット2と、該ブラケット2に連結された第1取付け部材3、振動発生部および振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材4、および第1取付け部材3と第2取付け部材4とを弾性的に連結する弾性体5を有する防振装置本体6と、を備えている。この防振装置1は、図示しない車両における振動発生部であるエンジンを、振動受部である車体へ支持するいわゆるエンジンマウントである。
【0014】
第2取付け部材4は、図示しない車体ブラケットを介して前記車体に連結される。この第2取付け部材4は筒状とされ、例えば金属材料などで形成されている。以下では、この第2取付け部材4の中心軸線O1に沿った方向を上下方向といい、この防振装置1を前記車両に取り付けたときに、上下方向に沿って静荷重(初期荷重)が入力されるバウンド側を下側といい、その反対側であるリバウンド側を上側という。
【0015】
弾性体5は、第2取付け部材4の上端開口部を閉塞するように第2取付け部材4の内周面に加硫接着されている。図示の例では、弾性体5は例えば加硫ゴム材料によって形成されている。
ここで、第2取付け部材4の下端開口部は図示しないダイヤフラムによって閉塞されており、この第2取付け部材4の内部のうち、弾性体5と前記ダイヤフラムとの間に位置する部分は、例えばエチレングリコール、水、シリコーンオイル等からなる液体が充填された液室7となっている。
【0016】
この液室7は、図示しない仕切り部材によって、弾性体5を隔壁の一部とする主液室8と、前記ダイヤフラムを隔壁の一部とする図示しない副液室と、に区画されている。これらの主液室8および副液室は、前記仕切り部材に形成された図示しないオリフィスを介して連結されている。前記オリフィスは、液体が流通することで液柱共振を生じさせる構成となっており、この防振装置1では、振動が入力されると液室7内の液体が主液室8と前記副液室との間で前記オリフィスを通って流通し、この流通時に生じる液柱共振により振動が吸収および減衰される。
【0017】
第1取付け部材3は、第2取付け部材4の上側に配設され、この第1取付け部材3には、軸線O2が第2取付け部材4の中心軸線O1に直交する圧入孔10が備えられている。
以下では、圧入孔10の軸線O2を単に軸線O2といい、この軸線O2に直交する方向を単に径方向という。なおこの防振装置1は、前記軸線O2が前記車両の左右方向に沿った状態で該車両に取り付けられる。
【0018】
第1取付け部材3は、圧入孔10と同軸に配設された本体筒部24と、本体筒部24の内周面を被覆するとともに圧入孔10の内周面18を形成する内周弾性層9と、本体筒部24の外周面を被覆する外周弾性層16と、を備えている。
図2に示すように、本体筒部24は、第2取付け部材4の中心軸線O1に直交する直交面に沿って延在して下面に前記弾性体5が加硫接着された下壁部11と、下壁部11に立設され互いに間隔をあけて対向する一対の側壁部12と、一対の側壁部12の上端間に架設され前記直交面に沿って延在する上壁部13と、を備えており、例えば金属材料で形成されている。
【0019】
下壁部11は、第2取付け部材4の中心軸線O1から、前記軸線O2方向の一方側にずらされて配置されている。下壁部11において第2取付け部材4の中心軸線O1上に位置する部分には、下方に向けて膨出する膨出部14が形成されている。膨出部14は、上方に向けて開口する椀状とされ、この膨出部14には、第2取付け部材4の中心軸線O1回りに間隔をあけて複数の貫通孔15が形成されている。
【0020】
側壁部12は、下壁部11における前記軸線O2方向の中央部に配設され、一対の側壁部12は、前記直交面に沿う方向のうち、前記軸線O2方向に直交する直交方向に間隔をあけて配設されている。これにより、この本体筒部24の中央部24aが、下壁部11の中央部、一対の側壁部12および上壁部13によって構成されるとともに、前記軸線O2回りの全周にわたって延在することとなる。そしてこの本体筒部24は、下壁部11が前記軸線O2方向の両側に向けて突出した筒状となっている。
【0021】
外周弾性層16は、本体筒部24の外周面のうち、一対の側壁部12において前記直交方向の外側を向く外面、および上壁部13の上面をそれぞれ全面にわたって被覆している。また内周弾性層9は、本体筒部24の内周面を全面にわたって被覆している。
以上により、本体筒部24は、弾性体5、内周弾性層9または外周弾性層16を形成する弾性体材料によって全面にわたって被覆されている。なお図示の例では、これらの弾性体5、内周弾性層9および外周弾性層16は一体に形成されている。
【0022】
内周弾性層9において下壁部11の前記膨出部14を被覆する部分は、上下方向に厚肉な厚肉部17となっており、この厚肉部17によって膨出部14内が埋め込まれている。このように、下壁部11が膨出部14を備えるとともに、この膨出部14内が内周弾性層9の厚肉部17によって埋め込まれていることで、この防振装置1のバネ特性が良好に維持されている。
【0023】
そして、この内周弾性層9のうち、本体筒部24の中央部24aを被覆する部分によって、前記圧入孔10の内周面18が形成されている。本実施形態では、圧入孔10を前記軸線O2方向から見た正面視形状は矩形状となっており、圧入孔10の内周面18は、下方を向く上面18a、上方を向く下面18bおよび前記直交方向を向く一対の側面18cによって構成されている。
【0024】
図3に示すように、ブラケット2は前記エンジンに連結される。図示の例では、ブラケット2は、このブラケット2と前記エンジンとを連結する図示しないボルトが挿通されるボルト挿通孔19が形成されたエンジン連結部20と、このエンジン連結部20に突設された棒状の圧入部21と、を備えている。なお図示の例では、圧入部21は四角柱状とされるとともに、圧入部21の外径は圧入孔10の内径よりも大きくなっている。また、圧入部21の外面のうち、上下両面にはそれぞれ、圧入部21の先端面に開口する溝状の肉抜き部23が形成されている。
【0025】
そして図1に示すように、この防振装置1では、第1取付け部材(いずれか一方)3の圧入孔10に、ブラケット(いずれか他方)2の圧入部21が、前記軸線O2方向に圧入されることで、ブラケット2と第1取付け部材3とが連結されている。圧入部21は、前記軸線O2方向の前記一方側から圧入孔10に圧入されている。また図示の例では、ブラケット2のエンジン連結部20の下側部分が、前記軸線O2方向の一方側から第1取付け部材3の本体筒部24に内周弾性層9を介して係合しており、これにより、圧入部21が前記軸線O2方向の他方側に移動することが規制されている。
【0026】
ここで図2に示すように、内周弾性層9のうち、圧入孔10の内周面18を形成する部分には、圧入孔10から圧入部21が離脱された状態で、前記軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて張り出す張出量が大きくなる張出部26が形成されている。図示の例では、張出部26は、内周弾性層9のうち、圧入孔10の上下両面18a、18bを形成する部分にそれぞれ配置され、互いに対向している。この張出部26は、圧入孔10から圧入部21が離脱された状態で、前記軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、径方向の内側に向かう傾斜面27を有している。
【0027】
図1に示すように、以上のように構成された防振装置1では、圧入孔10の内周面18が内周弾性層9によって形成されているので、圧入孔10に圧入された圧入部21の外面が内周弾性層9に当接し、圧入部21がこの内周弾性層9を圧縮変形させることとなる。これにより、圧入部21に内周弾性層9の弾性復元力が作用して、圧入部21を圧入孔10内で保持することが可能になり、圧入部21が圧入孔10から離脱するのを抑えることができる。
【0028】
また、内周弾性層9のうち、圧入孔10の内周面18を形成する部分に前記張出部26が形成されているので、仮に圧入部21が圧入孔10内で前記軸線O2方向の一方側に移動したとしても、張出部26のうち、張出量が最も大きい一方側部分26a(図2参照)が圧入部21によって圧縮変形させられ続けることとなる。これにより、内周弾性層9から圧入部21に大きな弾性復元力を作用させ続けることが可能になり、圧入部21が圧入孔10から離脱するのを確実に抑えることができる。
【0029】
次に、前記防振装置1の製造に際し、前記防振装置本体6を製造する工程の一例について説明する。
この工程では、第1取付け部材3の本体筒部24および第2取付け部材4を表面処理した後、防振装置本体6の図示しない金型内に配置するとともに、前記本体筒部24および第2取付け部材4のゴム接着部分に接着剤を塗布する。その後、前記金型内に未加硫ゴム材料を供給して加硫し、弾性体5、内周弾性層9および外周弾性層16を形成した後、前記金型を構成する第1型部材および第2型部材を前記軸線O2方向に相対的に離間移動させ、前記金型を脱型することで防振装置本体6が形成される。
【0030】
ここで、本実施形態のような第1取付け部材3の本体筒部24には、例えばプレス等で簡素で容易に下向きの凸である膨出部14を形成できる。そして、この膨出部14内を埋め込むように、内周弾性層9が厚肉部17を備えている場合には、この厚肉部17を形成する未加硫ゴム材料を加硫するときにこの未加硫ゴム材料が収縮し易く、いわゆるゴム引けが生じ易いため、内周弾性層9の厚肉部17に凹部が形成されるおそれがある。この場合、緊縛力が不足する場合があるが、その対策として、例えば、金型をアンダーカット加工し、金型のキャビティのうち、内周弾性層9を形成する内周弾性層の形成領域において厚肉部17を形成する部分を、厚肉部17の実際の形状よりも径方向の内側に向けて膨出させることで、前述の凹部の形成を抑制する方法がある。なおこの対策は、本発明の要素と適宜組み合わせて設計することで、より効果を増すこともできる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置1によれば、圧入部21に内周弾性層9の弾性復元力を作用させることで、圧入部21が圧入孔10から離脱するのを確実に抑えることが可能になり、ブラケット2と第1取付け部材3との連結を確保し易くすることができる。
また、圧入孔10の内周面18が内周弾性層9によって形成されており、圧入部21に内周弾性層9の弾性復元力を作用させることで、金属材料同士を接触させずにブラケット2と第1取付け部材3との連結を確保し易くすることができるので、異音の発生を抑制することができる。
【0032】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、圧入部21、圧入孔10は、前記実施形態に示した形状に限られない。
【0033】
また前記実施形態では、張出部26は、前記軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、径方向の内側に向かう傾斜面27を有しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、図4に示す防振装置30のように、張出部26は、圧入孔10から圧入部21が離脱された状態で、前記軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、張出量が大きくなる階段状に形成されていても良い。この張出部26の各段部31において径方向の内側を向く内面32は、前記軸線O2方向に平行に延在している。
この場合、張出部26が、圧入孔10内から圧入部21が離脱された状態で、前記軸線O2方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、張出量が大きくなる階段状に形成されているので、仮に圧入部21が圧入孔10内で前記軸線O2方向の一方側に移動しようとしても、この移動を張出部26の各段部31の角部33によって抑制することが可能になり、圧入部21が圧入孔10から離脱するのをより確実に抑えることができる。
【0034】
また前記実施形態では、張出部26は、内周弾性層9のうち、圧入孔10の上下両面18a、18bを形成する部分にそれぞれ配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、内周弾性層9のうち、圧入孔10の上面18aを形成する部分、または下面18bを形成する部分に配置されていても良く、圧入孔10の側面18cを形成する部分に配置されていても良く、これらの部分のうちの複数に配置されていても良い。
【0035】
また前記実施形態では、圧入孔10内に、ブラケット2の前記圧入部21が、前記軸線O2方向の一方側から圧入されることで、ブラケット2と第1取付け部材3とが連結されているものとしたが、これに限られるものではない。ブラケットおよび第1取付け部材のうち、いずれか一方に備えられた圧入孔に、他方に備えられた圧入部が、圧入孔の軸線方向の一方側から圧入されることで、ブラケットと第1取付け部材とが連結された構成であれば、適宜変更することが可能である。例えば、ブラケットに圧入孔が備えられ、第1取付け部材に圧入部が備えられていても良い。
【0036】
また前記実施形態では、前記軸線O2が第2取付け部材4の中心軸線O1に直交するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、前記軸線O2が、第2取付け部材4の中心軸線O1に交差していても、交差していなくても良い。また前記軸線O2が、前記直交面に沿って延在していても、この直交面に傾斜していても良い。
【0037】
また前記実施形態では、第2取付け部材4内に液室7が設けられているものとしたが、これに限られるものではなく、第2取付け部材内に液室が設けられておらず、防振装置本体が、第1取付け部材および第2取付け部材が単に弾性体によって連結されてなる構成であっても良い。
【0038】
また前記実施形態では、第2取付け部材4が振動受部としての車体に連結され、ブラケット2が振動発生部としてのエンジンに連結されるものとしたが、これに代えて、第2取付け部材が振動発生部に連結され、ブラケットが振動受部に連結される構成であっても良い。
【0039】
また防振装置1は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外の防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用してもよく、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用してもよい。
【0040】
また前記実施形態では、内周弾性層9に前記張出部26を形成するものとしたが、これに代えて、張出部26を形成せずに、圧入部21が、前記軸線O2方向の一方側から他方側に向かうに従い漸次、拡径する構成を採用することも可能である。
【0041】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1、30 防振装置
2 ブラケット
3 第1取付け部材
4 第2取付け部材
5 弾性体
9 内周弾性層
10 圧入孔
18 内周面
21 圧入部
26 張出部
O2 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちの一方に連結されるブラケットと、
該ブラケットに連結された第1取付け部材と、
振動発生部および振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、
前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、を備え、
前記ブラケットおよび前記第1取付け部材のうち、いずれか一方に備えられた圧入孔に、他方に備えられた圧入部が、前記圧入孔の軸線方向の一方側から圧入されることで、前記ブラケットと前記第1取付け部材とが連結された防振装置であって、
前記圧入孔の内周面は内周弾性層によって形成され、
該内周弾性層には、前記圧入孔から前記圧入部が離脱された状態で、前記軸線方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、前記圧入孔の径方向の内側に向けて張り出す張出量が大きくなる張出部が形成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
請求項1記載の防振装置であって、
前記張出部は、前記圧入孔から前記圧入部が離脱された状態で、前記軸線方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、張出量が大きくなる階段状に形成されていることを特徴とする防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−36972(P2012−36972A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177710(P2010−177710)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】