説明

防汚性保護フィルム、防汚性粘着保護フィルム及び屋外用マーキングフィルム

【課題】 プラスチックフィルム基材上に防汚層が形成されてなる防汚性保護フィルムであって、防汚層のプラスチックフィルム基材との密着性に優れる共に、長期間の屋外曝露を受けても透明性、防汚機能が低下しない防汚性保護フィルム及び防汚性粘着保護フィルム並びにそれを用いた屋外用マーキングフィルムを提供すること。
【解決手段】 防汚層を油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物からなる層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防汚性保護フィルム、防汚性粘着保護フィルム及び屋外用マーキングフィルムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、プラスチックフィルム基材上に防汚層が形成されてなり、防汚層のプラスチックフィルム基材との密着性に優れる共に、長期間の屋外曝露を受けても透明性、防汚機能が低下しない防汚性保護フィルム及び防汚性粘着保護フィルム並びにそれを用いた屋外用マーキングフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
マーキングフィルムは、塗装に比べデザインの統一性・量産性・施工の簡便性に優れ、「貼る塗料」として屋外看板や自動車の装飾・表示素材として、屋外で使用されることが多いが、屋外に曝露した際には雨風でホコリ、ゴミ等の付着が起こり外観を損なうことになる。そのため、表面の汚れの防止と保護を目的とした防汚性保護フィルムをオーバーラミネートすることがしばしば行われる。
【0003】
この防汚性保護フィルムは、マーキングフィルムに限らず、表面の汚れの防止と保護を必要とする物に適用するものであり、プラスチックフィルム基材上に、防汚層が形成されてなるものである。
【0004】
防汚層としては、親水性又は疎水性を有する材料からなるものが多く設計されており、例えば、アルコキシ基等の加水分解基とアルキル基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基等を有するシラン化合物(例えば、特許文献1、2参照)、酸化チタン等の光触媒(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
しかしながら、シラン化合物を使用した場合は、基材との密着性が充分でなく、また、酸化チタン等の光触媒を使用した場合には、防汚機能を発揮させるには紫外線を必要とする。さらに、透明性を必要とする用途には不向きである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−59953号公報
【特許文献2】特開2004−246239号公報
【特許文献3】特開2003−306563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況下で、防汚層のプラスチックフィルム基材との密着性に優れると共に、長期間の屋外曝露を受けても透明性、防汚機能が低下しない防汚性保護フィルム及び防汚性粘着保護フィルム並びにそれを用いた屋外用マーキングフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、防汚層を油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物からなる層とすることにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)プラスチックフィルム基材上に油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物からなる防汚層が形成されてなる防汚性保護フィルム、
(2)防汚層の厚みが0.01〜10μmである、上記(1)の防汚性保護フィルム、
(3)油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物が、架橋剤としてアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂を使用して架橋されたものである、上記(1)〜(2)のいずれかの防汚性保護フィルム、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの防汚性保護フィルムにおいて、プラスチックフィルム基材の防汚層が形成されていない面に粘着剤層が形成されてなる防汚性粘着保護フィルム、及び
(5)上記(4)の防汚性粘着保護フィルムが表面に貼付されてなる屋外用マーキングフィルム、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
木発明の防汚性保護フィルム及び防汚性粘着保護フィルム並びにそれを用いた屋外用マーキングフィルムは、防汚層のプラスチックフィルム基材との密着性に優れる共に、使用直後から防汚機能を発揮し、しかも長期間の屋外曝露を受けても透明性、防汚機能が低下しないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の防汚性保護フィルムで用いるプラスチックフィルム基材としては、特に限定されず、使用目的や状況に応じて適宜選択することができるが、屋外用マーキングフィルム等への適用を考慮すると、透明で耐候性のあるものが好ましく、ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル系樹脂フィルム等を挙げることができる。これらのプラスチックフィルム基材の中では、透明性と耐候性だけではなく、防汚層との密着性に優れることから、PETフィルム及びアクリル系樹脂フィルムが好ましい。
プラスチックフィルム基材の厚さも、使用目的や状況に応じて適宜選択することができるが、通常は10〜500μmの範囲が好ましく、特には15〜300μmの範囲であることが好ましい。
【0011】
本発明の防汚性保護フィルムにおける防汚層は、油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂(以下の記述において「変性アルキッド樹脂」ということがある。)の架橋物からなる層である。
油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂及びシリコーン変性アルキッド樹脂は、多価アルコール、多塩基酸及び各々に対応する変性剤の縮合反応によって得られる樹脂である。
【0012】
該アルキッド樹脂の原料として用いられる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソルビットなどの四価以上の多価アルコールを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメット酸などの芳香族多塩基酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸などの脂肪族不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物などのディールズ・アルダー反応による多塩基酸などを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
変性剤としては、油脂変性アルキッド樹脂及び脂肪酸変性アルキッド樹脂の場合は、例えばオクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸、あるいはヤシ油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油及びこれらの脂肪酸などを用いることができる。
これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
シリコーン変性アルキッド樹脂の場合は、変性剤としては、例えばアルコキシシリル基やシラノール基を有する化合物、具体的にはジメチルポリシロキサンを主成分とするオルガノポリシロキサンなどを用いることができ、メチル基の一部がフェニル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、水酸基、ビニル基などによって置換されていても良い。
【0016】
本発明の効果である、基材との密着性と耐久性とに優れる防汚層とするためには、変性アルキッド樹脂の変性率は、油脂変性アルキッド樹脂及び脂肪酸変性アルキッド樹脂の場合は、5〜60質量%の範囲が好ましく、シリコーン変性アルキッド樹脂の場合は、1〜30質量%の範囲が好ましい。
ここで変性率とは、変性アルキッド樹脂全体に対する変性剤の配合量を表すものとする
【0017】
変性アルキッド樹脂を架橋するのに使用する架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂の他、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びフェノール樹脂を例示することができる。
架橋を十分に行うには、これらの架橋剤の使用量は、変性アルキッド樹脂100質量部に対して30〜90質量部の範囲が好ましく、特に40〜90質量部の範囲が好ましい。
【0018】
変性アルキッド樹脂の架橋は、酸性触媒の存在下で行うのが好ましい。この酸性触媒としては特に制限はなく、従来アルキッド樹脂の架橋反応触媒として知られている公知の酸性触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような酸性触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸やメタンスルホン酸などの有機系の酸性触媒が好適である。
この酸性触媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋反応を効率的に行うには、その使用量は、変性アルキッド樹脂と架橋剤との合計100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲が好ましい。
【0019】
以上のような変性アルキッド樹脂、架橋剤及び酸性触媒は、所望により用いられる各種添加成分と共に、それぞれ所定の割合で有機溶媒中に加え、塗工に適した固形分濃度、通常は0.1〜10質量%に調整した防汚層形成用塗工液とし、これをプラスチックフィルム基材上に塗工し、架橋反応させて防汚層を形成する。
【0020】
この際用いられる有機溶媒としては、各配合成分に対する溶解性が良好であって、それらに対して不活性な公知の溶剤の中から適宜選択して用いることができる。このような溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
また、所望により用いられる各種添加成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、マット化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0022】
このように調製された防汚層形成用塗工液を、例えばバーコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法など、従来公知の塗工方法により、プラスチックフィルム基材の上に塗工し、100〜160℃程度の温度で、0.2〜5分間加熱することにより架橋・硬化させ、防汚層を形成することができる。
このようにして形成された防汚層の厚さは、塗膜の耐久性を持たせるためには、0.01μm以上が好ましく、基材との密着性を良好にするためには、10μm以下が好ましい。即ち、防汚層の厚さは0.01〜10μmの範囲が好ましく、特に0.1〜5μmの範囲が好ましい。
【0023】
本発明は、また、以上のようにして得られた本発明の防汚性保護フィルムのプラスチックフィルム面、即ちプラスチックフィルム基材の防汚層の形成されていない面に粘着剤層が形成された防汚性粘着保護フィルムをも提供するものである。
粘着剤層を形成するための粘着剤としては特に制限はなく、例えばアクリル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系等の通常の粘着剤を例示することができるが、耐候性や透明性の点からはアクリル系の粘着剤が好ましい。
【0024】
アクリル系の粘着剤としては、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、これに共重合可能な他のビニルモノマーを共重合して得られるものが適当である。
アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシルなどが挙げられる。これに共重合されるビニルモノマーは、得られる粘着剤の粘着力や凝集力を調節するために用いられるものであり、具体的には例えば、アルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;水酸基含有アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;アクリルアミド;アクリロニトリル;スチレン;酢酸ビニル;ビニルピロリドン等が例示できる。
【0025】
アクリル系の粘着剤には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等の架橋剤を配合する。
架橋剤の配合量は、必要とする密着性を得るためには、アクリル系共重合ポリマーの官能基当量で0.5〜30mmolの範囲が好ましく、特に1〜20mmolの範囲が好ましい。
【0026】
粘着剤中には、必要に応じて粘着性付与剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の従来より配合されることのある各種添加剤を含有させることは任意であるが、特に屋外で比較的長期にわたって暴露されることを想定すると、耐候性を向上する機能を有する酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合しておくことが推奨される。
【0027】
粘着剤層の厚み(乾燥後)は、十分な粘着性(タック)や粘着力を得るには5μm以上とすることが好ましく、フィルム端部からの糊の染み出しや、ゴミの付着、更に、剥離する時に粘着剤層が凝集破壊を起こして、糊残りを生じることを防ぐためには、40μm以下であることが好ましい。即ち、粘着剤層の厚みは5〜40μmが好ましく、特に10〜30μmが好ましい。
【0028】
粘着剤層を設ける方法は、防汚性保護フィルムのプラスチックフィルム面に直接塗付してもよく、また、剥離材に粘着剤を塗布した後、粘着剤層をマーキングフィルム用基材面と貼り合わせてもよい。ここで、粘着剤を塗布する方法としては、例えばバーコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法などの従来公知の塗工方法が挙げられる。
【0029】
本発明は、また、以上のようにして得られた本発明の防汚性粘着保護フィルムが表面に貼付されてなる屋外用マーキングフィルムをも提供するものである。
但し、本発明の防汚性保護フィルムは、屋外用マーキングフィルムへの適用が特に有効であるが、それに限らず、窓ガラス、ショーウィンドウ、液晶等のディスプレイ、ラベル等の防汚性と表面保護を必要とする種々の物体に広く使用しうるものである。
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各種試験・評価は次の方法に行った。
【0031】
(1)促進耐候性試験
防汚性粘着保護フィルムをガラス板の表面に粘着剤層を接して貼付したものについて、サンシャインスーパーロングライフウエザオメーター(スガ試験機社性、型式:WEL−SUN−HCH)を使用して、50時間の促進耐候性試験(曝露試験)を行った。
【0032】
(2)撥水性
防汚性粘着保護フィルムをガラス板の表面に粘着剤層を接して貼付したものについて、接触角測定器(共和界面化学社製、型式:CA−X150)を使用し、防汚性保護フィルムの防汚層面にマイクロシリンジから水滴を滴下し、接触角を測定した。
【0033】
(3)耐薬品性
防汚性粘着保護フィルムをガラス板の表面に粘着剤層を接して貼付したものについて、防汚性保護フィルムの防汚層面を、トルエン又はエタノールを滲み込ませたウエスで、10回(片道15cmで10往復)拭いた際の表面状態の変化を目視観察し、次の基準で評価した。
○:変化が見られない。
×:防汚層の基材からの剥離がみられる。
【0034】
(4)防汚層の密着性
防汚性保護フィルムの防汚層面を、摩擦堅牢試験機(大栄化学精機製作所製「RT−200」)で、研磨は研磨片として厚み80μmの無延伸ポリプロピレンを使用して、荷重1kg、研磨回数50往復の条件で試験を行い、表面状態の変化を目視観察し、次の基準で評価した。
○:防汚層の曇り、脱落が見られない。
△:防汚層の曇り、脱落が少し見られる。
×:防汚層の曇り、脱落が多く見られる。
【0035】
(5)耐汚染性
防汚性粘着保護フィルムをガラス板の表面に粘着剤層を接して貼付したものについて、屋外に放置し、1ヶ月間経過後の防汚層の汚れ状況を目視観察し、次の基準で評価した。
○:防汚層の汚れがほとんど見られない。
×:防汚層の汚れが明らかに見られる。
【0036】
実施例1
ステアリン酸変性アルキッド樹脂とメチル化メラミン樹脂との混合物(日立化成ポリマー社製、商品名:テスファイン303、固形分50質量%)100質量部とp−トルエンスルホン酸1質量部をトルエンに溶解し、固形分含有量5質量%の防汚層形成用塗工液とした。
この防汚層形成用塗工液を、厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製、商品名:ルミラー)の表面に、マイヤーバーを使用して塗工し、150℃で2分間加熱し、厚さ0.5μmの防汚層を形成した。
その後、PETフィルムの反対の面に、アクリル系粘着剤(リンテック社製、商品名:PLシン)を、アプリケーターを使用して塗工し、100℃で1分間加熱し、厚さ20μmの粘着層を形成した。
得られた防汚性粘着保護フィルムについて、促進耐候性試験前後の撥水性及び耐薬品性、防汚層の密着性、耐汚染性を測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0037】
実施例2
防汚層形成用塗工液を、アルキッド樹脂とメチル化メラミン樹脂の混合物にフェニル基置換アルキル基をもつジメチルポリシロキサンを20質量%添加したシリコーン変性アルキッド樹脂(信越化学社製、商品名:KS−882、固形分50質量%)100質量部とp−トルエンスルホン酸1質量部をトルエンに溶解し、固形分含有量5質量%とした塗工液に変えた以外は実施例1と同様に実施して、防汚性粘着保護フィルムを得た。
得られた防汚性粘着保護フィルムについて、促進耐候性試験前後の撥水性及び耐薬品性、防汚層の密着性、耐汚染性を測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0038】
比較例1
防汚層を形成しない以外は実施例1と同様に実施して、粘着保護フィルム(粘着層付きPETフィルム)を得た。
得られた粘着保護フィルムについて、促進耐候性試験前後の撥水性及び耐薬品性、耐汚染性を測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0039】
比較例2
防汚層形成用塗工液を、フルオロシリコーン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:SYL-OFF Q2−7785)100質量部、ヒドロシラン系付加型架橋剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:SYL-OFF Q2−7560)4質量部及び塩化白金酸(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:BY24−808)4質量部をヘプタンに溶解し、固形分含有量5質量%とした溶液に変えた以外は実施例1と同様に実施して、防汚性粘着保護フィルムを得た。
得られた防汚性粘着保護フィルムについて、促進耐候性試験前後の撥水性及び耐薬品性、防汚層の密着性、耐汚染性を測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0040】
比較例3
防汚層形成用塗工液を、無変性アルキッド樹脂(日立化成ポリマー社製、商品名:テスラック2403−60、固形分60質量%)100質量部とメチル化メラミン樹脂(三和ケミカル社製、商品名:ニカラックMX−750LM、固形分75.5質量%)120質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施して、防汚性粘着保護フィルムを得た。
得られた防汚性粘着保護フィルムについて、促進耐候性試験前後の撥水性及び耐薬品性、防汚層の密着性、耐汚染性を測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1より、実施例の防汚性粘着保護フィルムは、耐薬品性、防汚層の密着性、耐汚染性がいずれも良好であると共に、長期間の屋外曝露を受けても防汚機能が低下しないことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム基材上に油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物からなる防汚層が形成されてなる防汚性保護フィルム。
【請求項2】
防汚層の厚みが0.01〜10μmである、請求項1に記載の防汚性保護フィルム。
【請求項3】
油脂変性アルキッド樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂又はシリコーン変性アルキッド樹脂の架橋物が、架橋剤としてアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂を使用して架橋されたものである、請求項1〜2のいずれかに記載の防汚性保護フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の防汚性保護フィルムにおいて、プラスチックフィルム基材の防汚層が形成されていない面に粘着剤層が形成されてなる防汚性粘着保護フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の防汚性粘着保護フィルムが表面に貼付されてなる屋外用マーキングフィルム。


【公開番号】特開2006−272690(P2006−272690A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93581(P2005−93581)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】