説明

防火区画貫通部構造およびその施工方法

【課題】床や天井等の水平区画を貫通する配管類の貫通孔に対する位置に依存することなく容易に施工することができ、気密性および耐火性に優れる防火区画貫通部構造を提供すること。
【解決手段】構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔に挿通された配管類と、前記配管類の周囲に設置された保温材と、前記保温材の内部に設置された熱膨張性耐火シートと、前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープと、前記保温材と前記貫通孔との間に隙間なく充填されたシール材と、を有する防火区画貫通部構造であって、
前記熱膨張性耐火シートが、保温材の分離面内部に挿入され、前記熱膨張性耐火テープが、保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周に設置されていることを特徴とする、防火区画貫通部構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や船舶構造物等の構造物の仕切り部に設けられた防火区画貫通部構造およびその施工方法に関し、詳しくは前記構造物の仕切り部の中でも床や天井等の水平区画に設けられた防火区画貫通部構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の構造物の仕切り部の一方で火災が発生した場合でも、炎や煙等が他方へ広がることを防ぐために、建築物等の仕切部には通常区画が設けられている。
この建築物内部に配管類を設置する場合には、この区画を貫通する孔を設け、この貫通孔に配管類を挿通する必要がある。
しかしながら単に配管類を前記の孔に挿通させただけでは火災等の発生時に前記貫通孔を伝わって、炎や煙等が区画の一方から他方へ拡散する問題がある。
【0003】
この問題に対応するためにこれまで様々な構造が提案されている。前記貫通孔を通して炎や煙等が拡散することを防止するために、区画に設けられた貫通孔に複数の配管類が挿通している構造について、前記配管類を通すことのできる開口部を設けた亜鉛メッキ鋼板により前記貫通孔を覆うことにより、前記貫通孔を閉塞させる構造が提案されている(非特許文献1)。
【0004】
図15は従来の第一の防火区画貫通部構造を説明するための模式斜視図である。
建築物等の仕切部に設けられた区画に形成された貫通孔に複数の配管類500が挿通している。前記貫通孔を覆う様に亜鉛メッキ鋼板510を配置した後、目地閉塞部材520を貼着し、前記亜鉛メッキ鋼板510の周囲をビスとボルト530等の固定手段により固定することにより、図15の防火区画貫通部構造を得ることができる。
なお、前記亜鉛メッキ鋼板は、金属ワイヤーネットおよび熱膨張性耐火シートが積層されている(図示せず)。
図15に記載された構造であれば、区画の一方で火災等が発生した場合でも、炎や煙が区画の他方へ広がることを防止することができる。
【0005】
しかしながら、図15に記載された従来の第一の防火区画貫通部構造を施工するためには、あらかじめ亜鉛メッキ鋼板510に対して前記配管類500を通すことのできる開口部を設けておく必要がある。前記亜鉛メッキ鋼板510設けられた開口部の位置が、前記貫通孔における実際の前記配管類500の位置と異なることが施工現場で判明した場合には施工が滞る等の問題がある他、複数の施工現場ごとに異なる複数の亜鉛メッキ鋼板を間違えることなく準備しなければならず、施工のための準備が煩雑であるとの問題がある。
また亜鉛メッキ鋼板510を扱う際に注意深く扱わないと金属ワイヤーネット等の鋭利な端部により作業中に怪我をする可能性もあり、施工が容易ではないとの問題もあった。
【0006】
この一方、容易に施工できる防火区画貫通部構造として、建築物等の仕切部に設けられた区画に形成された貫通孔に円柱状の空芯部を有した円柱状の熱膨張性スポンジ材を挿入した防火区画貫通部構造が提案されている(特許文献1)。
図16は従来の第二の防火区画貫通部構造を説明するための模式断面図である。
図16に示される様に、区画600に貫通孔が設けられていて、配管610がこの貫通孔を挿通している。
前記配管610を包む様に円柱状の空芯部を有した円柱状の熱膨張性スポンジ材620が挿入されている。前記熱膨張性スポンジ材620にはゴム成形体630が接合されていて、配管610と貫通孔との隙間を閉塞している。
この構造であれば簡便に配管610と貫通孔との隙間にゴム成形体630が接合された熱膨張性スポンジ材620を装着することができることから施工性に優れるとされる。
【0007】
しかしながら、前記ゴム成形体630が接合された熱膨張性スポンジ材620の場合、その全体の形状がゴム成形体630により定まるため、区画の貫通孔を挿通する配管610が貫通孔の中心にある場合には問題なく配管610と貫通孔との隙間にゴム成形体630が接合された熱膨張性スポンジ材620を装着することができるが、前記配管610が貫通孔の中心から外れる位置にある場合には配管610と貫通孔との隙間にゴム成形体630が接合された熱膨張性スポンジ材620を装着することが困難となる問題があった。
【0008】
また前記区画が床や天井等の水平区画の場合には階下の火災等の炎に前記ゴム成形体が接合された熱膨張性スポンジ材620が直接さらされるため、火災等の熱により水平区画の貫通孔に装着されている前記ゴム成形体が接合された熱膨張性スポンジ材620が膨張する前に融け落ちることからその耐火性能を十分に発揮できない可能性があった。
水平区画の貫通孔から前記ゴム成形体が接合された熱膨張性スポンジ材620が火災等の熱により融け落ちることを防止するために熱膨張性黒鉛等の含有量を増加させることも考えられるが、前記ゴム成形体が接合された熱膨張性スポンジ材620の重量が増加して落下し易くなったり柔軟性が損なわれたりすることから耐火性能と施工性とを両立させることは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−205472号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】米国3M社技術資料「CS−195+Composite Sheet」 資料番号98−0400−2360−2 1997年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、床や天井等の水平区画を貫通する配管類の貫通孔に対する位置に依存することなく容易に施工することができ、気密性および耐火性に優れる防火区画貫通部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討した結果、熱膨張性耐火シートが、水平区画の貫通孔内にある配管類の周囲に設置された保温材に挿入され、前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、少なくとも熱膨張性耐火シートの挿入位置以下の保温材の外周に設置されている防火区画貫通部構造およびその製造方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち本発明は、
[1]構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔に挿通された配管類と、
前記配管類の周囲に設置された保温材と、
前記保温材の内部に設置された熱膨張性耐火シートと、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープと、
前記保温材と前記貫通孔との間に隙間なく充填されたシール材と、
を有する防火区画貫通部構造であって、
前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材が、分離面を有し、
前記熱膨張性耐火シートが、前記配管類の周囲に設置された保温材の分離面内部に挿入され、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周に設置されていることを特徴とする、防火区画貫通部構造を提供するものである。
【0014】
また本発明は、
[2]前記配管類の周囲に設置された保温材の分離面内部に挿入された前記熱膨張性耐火シートの外周が、前記配管類の周囲に設置された保温材の内部に収まり、
前記配管類の周囲に設置された保温材に対する前記熱膨張性耐火シートの挿入位置が、前記水平区画の垂直方向を基準として、前記水平区画の貫通孔下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔上端の位置を100%としたときに、前記水平区画の貫通孔の25〜75%の範囲のいずれかである、上記[1]に記載の防火区画貫通部構造を提供するものである。
【0015】
また本発明は、
[3]前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記水平区画の貫通孔下端から10mm以上、前記保温材の分離面以下の範囲のいずれかの前記保温材の外周部分を覆う、上記[1]または[2]に記載の防火区画貫通部構造を提供するものである。
【0016】
また本発明は、
[4]周囲に保温材が設置された配管類が、構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔に挿通された構造の施工方法であって、
(1)前記保温材の外周に熱膨張性耐火テープを設置する工程と、
(2)前記保温材に分離面を形成する工程と、
(3)前記保温材の分離面内部に熱膨張性耐火シートを挿入する工程と、
(4)前記水平区画の垂直方向を基準として、前記水平区画の貫通孔下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔上端の位置を100%としたときに、前記保温材の分離面内部に対する前記熱膨張性耐火シートの挿入位置を、前記水平区画の貫通孔の25〜75%の範囲のいずれかの位置に調整すると共に、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記貫通孔内にある保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面の下を覆う様に、前記貫通孔内における熱膨張性耐火テープの位置を調整する工程と、
(5)前記配管類と前記貫通孔との間に隙間なくシール材を充填する工程と、
を少なくとも有する、防火区画貫通部構造の施工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の防火区画貫通部構造は、前記配管類の周囲に設置された保温材の分離面内部に熱膨張性耐火シートが挿入されると共に、前記保温材の外周に熱膨張性耐火テープが設置されているため、水平区画の下部から水平区画の貫通孔に火災の炎が侵入した場合には、貫通孔側面と貫通孔内部から貫通孔を包み込む様に熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープが膨張し、これらの膨張残渣により保温材が溶融焼失した後に生じる貫通孔が閉塞密閉される。
これにより水平区画の下階で火災が発生した場合であっても火災で生じた煙が前記貫通孔を通じて上階に拡散したり延焼したりすることを防止することができる。
【0018】
またこの逆に水平区画の上階で火災が生じた場合には、配管類を熱が伝わって配管類が加熱されるため、上記の場合と同様に貫通孔側面と貫通孔中央付近から貫通孔内部を包み込む様に熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープが膨張し、これらの膨張残渣により保温材が溶融焼失した後に生じる貫通孔が閉塞密閉される。
これにより水平区画の上階で火災が発生した場合であっても火災で生じた煙が前記貫通孔を通じて上階に拡散したり延焼したりすることを防止することができる。
【0019】
また本発明の防火区画貫通部構造は、熱膨張性耐火テープが前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周に設置されている。
このため水平区画の下階で火災が発生した等の場合には前記熱膨張性耐火テープが前記貫通孔内部において水平区画に対して水平方向に膨張する。
前記熱膨張性耐火テープが完全に前記貫通孔内部を閉塞しなくても、この熱膨張性耐火テープの膨張により生じた膨張残渣がこの膨張残渣より上にある保温材や前記保温材の分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シートを支える。
これにより前記保温材が溶融して下階に落下することに伴って前記保温材の分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シートが膨張する前に下階に落下することを防止することができる。
【0020】
また本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、水平区画の貫通孔の中央付近、すなわち前記水平区画の貫通孔下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔上端の位置を100%としたときに、前記水平区画の貫通孔の25〜75%の範囲のいずれかに設置されている。
このため貫通孔内部にある熱膨張性耐火シートの膨張残渣により前記貫通孔の内部を効率よく閉塞させることができるため、貫通孔を火災の炎や煙が移動することを防止することができる。
【0021】
さらに本発明の防火区画貫通部構造は水平区画の貫通孔が閉塞されているため、本発明の防火区画貫通部構造が直接火災等の炎にさらされない場合であっても水平区画の階下や階上で火災等の煙が発生した場合、煙や有毒ガス等が水平区画の一方から他方へ拡散することを防止することができる。
【0022】
また本発明の防火区画貫通部構造は、配管類が貫通孔の中心からずれた場合でも施工することができることから施工性に優れる。
【0023】
さらに本発明の防火区画貫通部構造の施工方法は、簡便な操作により実施することができるため短時間当たりの生産性に優れる。
加えて本発明の防火区画貫通部構造は、亜鉛メッキ鋼板等の重量物を貫通孔に対して設置する作業を必要としないため、施工の際に重量物を下階に落下させる事故がなく施工の安全性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の防火区画貫通部構造を説明するための模式断面図である。
【図2】本発明の防火区画貫通部構造の施工方法を説明するための模式斜視図である。
【図3】配管類の周囲に設置された保温材に分離面を形成する工程を説明するための模式斜視図である。
【図4】本発明に使用する熱膨張性耐火シートを形成する工程を説明するための模式平面図である。
【図5】熱膨張性耐火シートを保温材の分離面に挿入する工程を説明するための模式平面図である。
【図6】熱膨張性耐火シートが保温材の分離面に挿入された構造を説明するための模式断面図である。
【図7】水平区画の貫通孔内部における前記熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープの位置を調整する工程を説明するための模式断面図である。
【図8】実施例1の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
【図9】実施例2における配管類の周囲に設置された保温材に分離面を形成する工程を説明するための模式断面図である。
【図10】実施例3の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
【図11】実施例4の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
【図12】実施例5に使用する熱膨張性耐火シートの形状を説明するための模式平面図である。
【図13】熱膨張性耐火シートの形状の変形例を例示した模式平面図である。
【図14】熱膨張性耐火シートの形状の変形例を例示した模式平面図である。
【図15】従来の第一の防火区画貫通部構造を説明するための模式斜視図である。
【図16】従来の第二の防火区画貫通部構造を説明するための模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は防火区画貫通部構造に関するものであるが、最初に本発明に使用する配管類について説明する。
前記配管類は、建築物、船舶構造物等の構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔を挿通するものである。
前記配管類としては、例えば、冷媒管、熱媒管、水道管、下水管、注排水管、燃料移送管、油圧配管等の液体移送用管類、ガス管、暖冷房用媒体移送管、通気管等の気体移送用管類、電線ケーブル、光ファイバーケーブル、船舶用ケーブル等のケーブル類等、またこれらの液体移送用管類、気体移送用管類、ケーブル類等を内部に挿通させるためのスリーブ等が挙げられる。
これらの中でも施工性の観点から冷媒管、熱媒管、水道管、下水管、注排水管、燃料移送管、油圧配管等の液体移送用管類が好ましく、冷媒管、熱媒管であればさらに好ましい。
【0026】
前記配管類は、液体移送用管類、気体移送用管類、ケーブル類、スリーブ等の一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0027】
前記配管類の形状については特に限定はないが、例えば、前記配管類の長軸方向に対し垂直方向の断面形状が三角形、四角形等の多角形、長方形等の互いの辺の長さが異なる形状、平行四辺形等の互いの内角が異なる形状、楕円形、円形等の形状が挙げられる。これらの中でも、断面形状が円形、四角形等であるものが施工性に優れることから好ましい。
【0028】
前記配管類の断面形状の大きさは、この断面形状の重心からこの断面形状の外郭線までの距離が最も大きい辺の長さを基準として、通常、1〜1000mmの範囲であり、好ましくは5〜750mmの範囲である。
【0029】
前記配管類が液体移送用管類、気体移送用管類、ケーブル類等の場合には、通常0.5mm〜10cmの範囲であり、好ましくは1mm〜5cmの範囲である。
また前記配管類がスリーブの場合には、通常10〜1000mmの範囲であり、好ましくは50〜750mmの範囲である。
【0030】
前記配管類の素材については特に限定はないが、例えば、金属材料、無機材料、有機材料等の一種もしくは二種以上からなるものを挙げることができる。
前記金属材料としては、例えば、鉄、鋼、ステンレス、銅、二以上の金属を含む合金等を挙げることができる。
【0031】
また無機材料としては、例えば、ガラス、セラミック等を挙げることができる。
また有機材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂等を挙げることができる。
前記素材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0032】
本発明に使用する配管類は、前記金属材料管、無機材料管および有機材料管等の一種以上であるが、前記金属材料管、無機材料管および有機材料管等の二種以上を内筒や外筒に使用した積層管として使用することもできる。
前記配管類は金属材料管、有機材料管等が取扱い性の面から好ましく、具体的には鋼管
、銅管、合成樹脂管等であればさらに好ましい。
【0033】
本発明に使用する配管類は、構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔を挿通するものであるが、前記区画としては、建築物の床、天井等、船舶の防火区画や船室に設けられた床、天井等の鋼板等が挙げられる。
これらの水平区画に貫通孔を設けることにより、前記貫通孔に前記配管類を挿通させることが可能である。
【0034】
本発明に使用する前記水平区画の具体例としては、例えば、床や天井等のコンクリートスラブ、耐熱パネル等を挙げることができる。
【0035】
前記耐熱パネルには、例えば、セメント系パネル、無機セラミック系パネル等が使用される。
前記セメント系パネルとしては、例えば、硬質木片セメント板、無機繊維含有スレート板、軽量気泡コンクリート板、モルタル板、プレキャストコンクリート板等が挙げられる。
前記無機セラミック系パネルとしては、例えば、石膏ボード、けい酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、ミネラルウール板、窯業系板等が挙げられる。
【0036】
ここで前記石膏ボードとしては、具体的には焼石膏に鋸屑やパーライト等の軽量材を混入し、両面に厚紙を貼って成形したもので、例えば、普通石膏ボード(JIS A6901準拠:GB−R)、化粧石膏ボード(JIS A6911準拠:GB−D)、防水石膏ボード(JIS A6912準拠:GB−S)、強化石膏ボード(JIS A6913準拠:GB−F)、吸音石膏ボード(JIS A6301準拠:GB−P)等が挙げられる。
【0037】
前記耐熱パネルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0038】
次に本発明に使用する保温材について説明する。
本発明に使用する保温材の素材としては、例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、EPDMフォーム、NBRフォーム等、合成樹脂フォーム等や合成樹脂を成形した有機材料、ガラスウール、セラミックウール、ミネラルウール等の無機材料等が挙げられる。
前記保温材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0039】
次に本発明に使用する熱膨張性耐火シートについて説明する。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、エポキシ樹脂やゴム等の樹脂成分、リン化合物、中和された熱膨張性黒鉛、無機充填材等を含有する熱膨張性樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、ガラスクロス等の無機繊維シート、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔等の一種もしくは二種以上を積層したものを使用することができる。
【0040】
前記無機繊維シートに使用する無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
前記無機繊維層は、前記無機繊維を用いた無機繊維クロスを使用することが好ましい。
また前記無機繊維シートに使用する無機繊維は、金属箔をラミネートしたものを使用することが好ましい。
金属箔ラミネート無機繊維の具体例としては、例えば、アルミニウム箔ラミネートガラスクロス、銅箔ラミネートガラスクロス等がさらに好ましい。
【0041】
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、例えば金属箔層、熱膨張性樹脂層および無機繊維層等を積層すること等により得ることができる。これらの積層には溶融同時押出、熱プレス等の他、接着剤により各層を貼着する手段等を挙げることができる。本発明に使用する熱膨張性耐火シートは金属箔層が最外面にあることが好ましい。
【0042】
本発明に使用する前記熱膨張性耐火シートは市販品を使用することができ、例えば積水化学工業社製フィブロック(商品名。エポキシ樹脂やゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)等を入手して使用することが可能である。
【0043】
また本発明に使用する熱膨張性耐火テープは、前記熱膨張性耐火シートをテープ状に切断したもの等を使用することができる。前記熱膨張性耐火テープは、貼着面に粘着剤を塗布したもの、前記熱膨張性耐火テープを構成する熱膨張性樹脂組成物に粘着成分を添加することにより、前記熱膨張性耐火テープ自体に粘着性を持たせたもの等を使用することができる。
本発明に使用する熱膨張性耐火テープは、金属箔層、熱膨張性樹脂層および無機繊維層等を積層することにより得られたものを使用することが好ましい。
【0044】
また本発明に使用するシール材としては、例えば、JIS A5758により規定されている建築用シーリング材、JIS A6024により規定されている建築補修用注入エポキシ樹脂シーリング材、JIS A6914により規定されている石膏ボード用目地処理材、モルタル、パテ、コーキング等を挙げることができる。前記シール材4は、施工性の観点からクロロプレンゴム等のゴムやシリコーン等に充填材、難燃剤等を配合してなるパテ、コーキング等であれば好ましい。
【0045】
次に本発明について図面に基づき実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
図1は本発明の実施例1の防火区画貫通部構造を説明するための模式断面図である。
実施例1では構造物の仕切り部に設けられた水平区画として、建築物のコンクリート壁1が使用されている。
実施例1に使用した前記コンクリート壁1の厚みは120mmである。
本発明に使用する水平区画の厚みは80〜1000mmの範囲の厚みであることが好ましく、100〜500mmの範囲の厚みであることがより好ましく、110〜300mmの範囲の厚みであればさらに好ましい。
前記コンクリート壁1には円形の貫通孔2が水平区画に対して垂直方向に形成されてる。
実施例1では前記円形の貫通孔2の直径は300mmである。前記貫通孔の直径は通常は80〜500mmの範囲であり、100〜400mmの範囲であれば好ましい。
また前記貫通孔2の断面形状は円形のものに限定されず、四角形等の多角形状、楕円形状等の円形以外の形状であっても施工が可能である。
【0047】
また貫通孔2を冷媒管である配管類3が挿通している。
前記配管類3の外周には保温材4が設けられている。前記保温材4はポリエチレンフォームからなるものであり、冷媒管として使用される前記配管類3の内部の冷媒の温度を一定に保つ役割と、外部からの熱を遮断する役割を果たす。
本発明に使用する保温材4の素材は前記ポリエチレンフォームに限定されず、適宜変更使用することができる。
前記貫通孔2の内周面と前記保温材との距離は、前記配管類3の中心を通る水平区画に平行な直線を基準として25〜120mmの範囲であることが好ましい。
【0048】
図2は本発明の防火区画貫通部構造の施工方法を説明するための模式斜視図である。
配管類3の外周に設けられている保温材4は円筒状の形状を持つ柔軟性を有する材料で形成されていて、前記配管類3に沿って前記保温材4を自由に上下に移動させることができる。
前記保温材4の円筒形状の内筒の直径は前記配管類3の外周よりもやや小さく設定されているため、前記配管類3に沿って前記保温材4を自由に上下に移動させることができる一方で、前記保温材4を保持しなくても前記保温材4は下方向へは落下せずその移動させた位置に留めることができる。
なお説明の便宜上、各図面においては前記配管類3および前記保温材4はその一部のみが模式的に図示されているものであり、要求される前記配管類3および前記保温材4の機能や用途に応じてそれぞれの長さを延長することができることはいうまでもない。
【0049】
まず幅が30〜50mmの熱膨張性耐火テープ5(商品名フィブロックST30、積水化学工業社製)を前記保温材4の外周に貼着する。
前記熱膨張性耐火テープ5は貼着面に粘着層が形成されているため、前記保温材4の外周に沿って前記熱膨張性耐火テープ5を巻くことにより、前記保温材4の外周に前記熱膨張性耐火テープ5を貼着することができる。
【0050】
図3は配管類の周囲に設置された保温材に分離面を形成する工程を説明するための模式斜視図である。
ナイフ等の切断工具を用いて水平区画と平行に前記保温材4を切断し、前記保温材4を上側保温材4aと下側保温材4bに分離する。
この様にして前記上側保温材4aの下面と下側保温材4bの上面に分離面6を形成することができる。
実施例1の場合は前記保温材4を切断することにより分離面6を形成したが、例えば別々の円柱状の保温材を二つ使用することによっても図3に示される分離面6を形成することができる。
【0051】
図4は、本発明に使用する熱膨張性耐火シート7を形成する工程を説明するための模式平面図である。
平面状の積水化学工業社製の商品名フィブロックDS20(参照符号8)を環状に切り取り、熱膨張性耐火シート片7a、7bを得た。
これらの熱膨張性耐火シート片7a、7bを組み合わせることにより環状の熱膨張性耐火シート7とすることができる。
前記環状の熱膨張性耐火シート7の内周の直径は前記配管類3の直径と同じかそれよりも大きく、また前記環状の熱膨張性耐火シート7の外周は、前記保温材4の外周の内側に収まる大きさとなっている。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートの外周は、前記保温材4の外周から、前記保温材4の外周と前記配管類3とを通る直線に沿って前記分離面と平行に内側に20mmまでの範囲にあることが好ましい。
【0052】
図5は、熱膨張性耐火シート7を保温材3の分離面に挿入する工程を説明するための模式平面図であり、図6は熱膨張性耐火シート7が保温材4の分離面に挿入された構造を説明するための模式断面図である。
先の図3により説明した工程により得られた前記保温材4の分離面6に熱膨張性耐火シート片7a、7bを両側から挿入する。
その後、前記上側保温材4aと下側保温材4bとを互いに前記配管類3の上下方向に沿って移動させて、前記熱膨張性耐火シート片7aと7bとを組み合わせてなる前記熱膨張性耐火シート7を介して密着させる。
さらに前記上側保温材4aと下側保温材4bとの分離面6の周囲を耐熱テープ10により貼着する。なお耐熱テープ10は図6において破線にて表示される。
前記耐熱テープ10は、市販品を適宜選択して使用することができる。また、先に説明した熱膨張性耐火テープ5を使用することもできる。
【0053】
図7は、水平区画の貫通孔内部における前記熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープの位置を調整する工程を説明するための模式断面図である。
図7の一点破線a−aは水平区画、すなわちコンクリート壁1に設けられた貫通孔2の下端の位置を示し、一点破線b−bは前記コンクリート壁1に設けられた貫通孔2の上端の位置を示すものである。
前記水平区画の垂直方向を基準として、前記水平区画の貫通孔2の下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔2の上端の位置を100%としたときに、前記保温材4の分離面6内部に対する前記熱膨張性耐火シート7の挿入位置を、前記水平区画の貫通孔2の25〜75%の範囲のいずれかの位置に調整することが好ましい。
前記熱膨張性耐火シート7の挿入位置が前記水平区画の貫通孔2の25%より低い場合には、火災の熱等により、前記熱膨張性耐火シート7が貫通孔2から落下する場合がある。また前記水平区画の貫通孔2の75%より高い場合には、貫通孔2が十分閉塞されない場合がある。
前記範囲は、30〜70%の範囲であればより好ましく、45〜60%の範囲であればさらに好ましい。
また、前記熱膨張性耐火シート7の挿入位置は、貫通孔2の下端から60mm以上の位置であれば好ましい。
【0054】
また本発明においては前記保温材4の外周に設置された熱膨張性耐火テープ5が、前記貫通孔2内にある前記配管類3の周囲に設置された保温材4の外周のうち、少なくとも前記分離面6内部に挿入された熱膨張性耐火シート7以下の保温材4の外周に設置されていることが必要である。
本発明の防火区画貫通部構造が火災等の熱にさらされた場合には前記熱膨張性耐火テープが前記貫通孔内部において水平区画に対して水平方向に膨張する。
この熱膨張性耐火テープの膨張により生じた膨張残渣がこの膨張残渣より上にある保温材や前記保温材の分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シートを支える。
これにより前記保温材が溶融し前記保温材の分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シートが膨張する前に下階に落下することを防止することができる。
【0055】
図7の一点破線c−cは、前記貫通孔2内の熱膨張性耐火シート7の下面を示すものである。
本発明に使用する熱膨張性耐火テープ5は、一点破線a−a以上一点破線c−c以下のいずれかの位置にあることが必要である。
ここで一点破線a−a以上一点破線c−c以下のいずれかの位置にあるとは、一点破線a−a以上一点破線c−c以下の全ての位置であってもよいし、一点破線a−a以上一点破線c−c以下の一部の位置であってもよいという意味である。
なお本発明に使用する熱膨張性耐火テープ5は、一点破線a−a以上一点破線c−c以下のいずれかの位置にあれば、前記熱膨張性耐火テープ5の一部が一点破線c−cより上にあっても差し支えない。
また本発明に使用する熱膨張性耐火テープ5は、前記水平区画の貫通孔下端から10mm以上、前記保温材の分離面以下の範囲のいずれかの前記保温材の外周部分を覆う位置にあればより好ましい。
【0056】
図8は、実施例1の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
前記保温材4と前記貫通孔2との間に隙間なくシール材11を充填することにより、実施例1の防火区画貫通部構造を得ることができる。
実施例1ではシール材11としてモルタルが使用されている。この様に本発明の場合は前記貫通孔2を挿通する配管類3の位置に関わらず、前記保温材4と前記貫通孔2との間に隙間なくシール材11を充填することにより防火区画貫通部構造が得られるから施工性に優れる。
また実施例1の場合は貫通孔2が隙間なく閉塞されているため、水平区画の上階や下階で煙や有毒ガスが発生した場合でもこれらの拡散を防止することができる。
さらに実施例1の防火区画貫通部構造が火災の炎等の熱にさらされた場合には貫通孔2側面と貫通孔2内部から貫通孔2を包み込む様に熱膨張性耐火シート7および熱膨張性耐火テープ5が膨張し、これらの膨張残渣により、前記保温材4が溶融焼失した後の貫通孔が閉塞密閉される。
これにより水平区画の下階等で火災が発生した場合であっても火災で生じた煙が前記貫通孔を通じて上階に拡散したり延焼したりすることを防止することができる。
さらには前記熱膨張性耐火テープ5が水平区画と同じ水平方向に膨張することから、火災等により生じた熱により前記保温材4が溶融した際に前記熱膨張性耐火シート7が下階に落下することを防止することができる。
【実施例2】
【0057】
図9は実施例2における配管類の周囲に設置された保温材に分離面を形成する工程を説明するための模式断面図である。
実施例1の防火区画貫通部構造の場合は、水平区画と平行に前記保温材4を切断して前記保温材4を上側保温材4aと下側保温材4bに分離したが、実施例2の場合には水平区画と平行に前記保温材4を外側から中心部分を残して切断した点が異なる。
それ以外は実施例1の場合と同様である。
実施例2に示される様に、前記保温材4に分離面を形成する際には、前記保温材4を二つに分離することなく形成することも可能である。
【実施例3】
【0058】
図10は、実施例3の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
実施例1の防火区画貫通部構造の場合は、一枚の熱膨張性耐火シート7が保温材4の分離面6内部に挿入されていたが、実施例3の場合には二枚の熱膨張性耐火シート7、7’が保温材4の分離面6、6’内部(熱膨張性耐火シート7、7’の位置と重複しているため図示せず)に挿入されている点が異なる。
それ以外は実施例1の場合と同様である。
二以上の熱膨張性耐火シートが使用される場合には、最下段に設置された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周に熱膨張性耐火テープが設置されていることが好ましい。
また前記保温材4の分離面6、6’内部に対する前記熱膨張性耐火シート7、7’の挿入位置は二以上の熱膨張性耐火シートが使用される場合もあわせて実施例1の場合と同様である。
このため前記保温材4の分離面6内部に対する二以上の前記熱膨張性耐火シートの挿入位置は、前記水平区画の貫通孔2の25〜75%の範囲のいずれかの位置に調整することが好ましい。
本発明においては前記保温材4の外周に設置された熱膨張性耐火テープ5は、前記水平区画の貫通孔下端から10mm以上、前記保温材4の分離面以下の範囲のいずれかの前記保温材4の外周部分を覆うことが好ましい。
ここで前記保温材4の分離面は最下段にある分離面を意味する。このため、複数の分離面が前記保温材4に存在する場合には最下段の分離面以下の範囲のいずれかの前記保温材4の外周部分を覆うことが好ましい。
【実施例4】
【0059】
図11は、実施例4の防火区画貫通部構造を示す模式断面図である。
実施例1の場合には前記保温材4に分離面6が水平区画と平行に形成され、前記分離面6に前記熱膨張性耐火シート7が水平区画と平行に挿入されたが、実施例4の場合は、前記保温材4に分離面6が水平区画に対して斜めに形成され、前記分離面6に前記熱膨張性耐火シート7が水平区画と斜めに挿入されている点が異なる。
この場合には前記熱膨張性耐火シート7の全体が前記水平区画の貫通孔2の25〜75%の範囲のいずれかの位置に収まることが好ましい。
また水平区画に対して熱膨張性耐火シートが斜めに使用される場合には、最も下にある熱膨張性耐火シートの部分以下の保温材の外周に熱膨張性耐火テープが設置されていることが好ましい。
【実施例5】
【0060】
図12は、実施例5に使用する熱膨張性耐火シートの形状を説明するための模式平面図である。
実施例1の場合には平面状の積水化学工業社製の商品名フィブロックDS20(参照符号8)を環状に切り取り、熱膨張性耐火シート片7a、7bを得たが(図4参照)、実施例5の場合には環状に切り取った熱膨張性耐火シート70に一カ所の切断部分20を設けた点が異なる。
この切断部分20の部分を広げて前記保温材4の分離面6に挿入することができる。
その他は実施例1の場合と同様である。
また熱膨張性耐火シートの形状の変形例を図13〜14に示す。
本発明においては実施例1や5の場合の様に円形の環状形状のものに限定されず、例えば、図13に例示する様に多角形の環状形状の熱膨張性耐火シート71、図14に例示する様に二以上を組み合わせて多角形の環状形状とできる熱膨張性耐火シート72等を使用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 コンクリート壁
2 貫通孔
3 配管類
4 保温材
4a 上側保温材
4b 下側保温材
5 熱膨張性耐火テープ
6 分離面
7、7’、70、71、72 熱膨張性耐火シート
7a、7b 熱膨張性耐火シート片
8 フィブロックDS20
10 耐熱テープ
11 シール材
20 切断部分
500 配管類
510 亜鉛メッキ鋼板
520 目地閉塞部材
530 ボルト
600 区画
610 配管
620 熱膨張性スポンジ材
630 ゴム成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔に挿通された配管類と、
前記配管類の周囲に設置された保温材と、
前記保温材の内部に設置された熱膨張性耐火シートと、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープと、
前記保温材と前記貫通孔との間に隙間なく充填されたシール材と、
を有する防火区画貫通部構造であって、
前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材が、分離面を有し、
前記熱膨張性耐火シートが、前記配管類の周囲に設置された保温材の分離面内部に挿入され、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周に設置されていることを特徴とする、防火区画貫通部構造。
【請求項2】
前記配管類の周囲に設置された保温材の分離面内部に挿入された前記熱膨張性耐火シートの外周が、前記配管類の周囲に設置された保温材の内部に収まり、
前記配管類の周囲に設置された保温材に対する前記熱膨張性耐火シートの挿入位置が、前記水平区画の垂直方向を基準として、前記水平区画の貫通孔下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔上端の位置を100%としたときに、前記水平区画の貫通孔の25〜75%の範囲のいずれかである、請求項1に記載の防火区画貫通部構造。
【請求項3】
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記水平区画の貫通孔下端から10mm以上、前記保温材の分離面以下の範囲のいずれかの前記保温材の外周部分を覆う、請求項1または2に記載の防火区画貫通部構造。
【請求項4】
周囲に保温材が設置された配管類が、構造物の仕切り部に設けられた水平区画の貫通孔に挿通された構造の施工方法であって、
(1)前記保温材の外周に熱膨張性耐火テープを設置する工程と、
(2)前記保温材に分離面を形成する工程と、
(3)前記保温材の分離面内部に熱膨張性耐火シートを挿入する工程と、
(4)前記水平区画の垂直方向を基準として、前記水平区画の貫通孔下端の位置を0、前記水平区画の貫通孔上端の位置を100%としたときに、前記保温材の分離面内部に対する前記熱膨張性耐火シートの挿入位置を、前記水平区画の貫通孔の25〜75%の範囲のいずれかの位置に調整すると共に、
前記保温材の外周に設置された熱膨張性耐火テープが、前記貫通孔内にある前記配管類の周囲に設置された保温材の外周のうち、少なくとも前記分離面内部に挿入された熱膨張性耐火シート以下の保温材の外周を覆う様に、前記貫通孔内における熱膨張性耐火テープの位置を調整する工程と、
(5)前記保温材と前記貫通孔との間に隙間なくシール材を充填する工程と、
を少なくとも有する、防火区画貫通部構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−226107(P2011−226107A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95550(P2010−95550)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】