説明

防災システム

【課題】従来のP型の中継器に接続されている回線を1つのP型の分散中継器に接続するだけでLANへの接続を可能とし、LAN上の情報を簡便にイントラネット又はインターネット等の異なるネットワーク上で共有することができる防災システムを得ることを目的とする。
【解決手段】LAN11を介して接続された例えば火災受信機1、P型分散中継器4等の複数の端末装置のうち、P型分散中継器4には、内部に動作制御を行うメイン制御部41及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニット43が含まれ、メイン制御部41には、複数の回線に接続された複数の火災感知器等の接続機器を回線単位で監視制御するための回線監視制御部42が接続されるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防災システムに関し、特に複数の火災受信機をLANで接続したり、或いはメインとなる火災受信機と単独で監視制御可能な複数の分散処理用中継器をLANで接続したりするようなLANを用いた防災システムにおいて、P型(回線監視型)分散中継器や、防災情報を異なるネットワークに配信する配信サーバ(HTTPサーバ)をLANに接続可能とするようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防災システムは、メインとなる1つの火災受信機と単独で監視制御可能な複数の分散処理用中継器をLANで接続するようにした分散型LANシステムである(例えば、特許文献1参照)。
また、もう1つの防災システムは、複数の火災受信機をLANで接続するようにした受信機LANシステムである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−217088号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開2002−170177号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の分散型LANシステムや受信機LANシステムに用いられる火災受信機は、火災感知器等の接続機器を伝送信号により監視制御するいわゆるR型の火災受信機が用いられ、これに対応して分散処理用中継器も、R型の方式で接続機器を監視制御するものであった。
このようなLANシステムが適用される現場を考えると、新築の場合には当初から全てR型の火災受信機や分散処理用中継器の対応で設置することが可能である。
【0004】
しかし、既存の建物を含めてLANシステムを一つに統合する場合、回線監視の方式、いわゆるP型の設備が既に設置されている建物があると、それをR型の設備として全面改修しなければならないという問題があった。
また、P型の火災受信機に接続されている回線を利用しようとする場合には、回線の信号を受信してR型分散中継器に伝送する中継器とLANに接続するためのR型分散中継器との2部品が必要であり、その分コストがかかると共に配線の手間がかかるといういう問題があった。
【0005】
さらに、防災システムにLANを用いるときに、そのLANに一般の端末機器を接続することは、LAN上における情報信号の情報量が増えて防災関係の情報の遅延をもたらし、他の障害によるLAN遮断の影響を受けることも考えられるため、従来から専用のLANを用いなければならず、そのためにLAN上の情報を簡便にイントラネット又はインターネット等のネットワーク上で共有することはできないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、P型の設備が設置された建物を、既存のP型の設備を利用しながらLANシステムとして統合できるようにすること、具体的には、従来のP型の火災受信機に接続されている回線を1つのP型分散中継器に接続するだけでLANへの接続を可能とし、また、LAN上の情報を簡便にイントラネット又はインターネット等の異なるネットワーク上で共有することができる防災システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る防災システムは、火災受信機等からなる複数の端末装置がLANを介して接続される防災システムにおいて、前記複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、複数の回線に接続された複数の火災感知器等の接続機器を回線単位で監視制御するための回線監視制御部が接続されているものである。
【0008】
また、本発明に係るもう1つの防災システムは、火災受信機等からなる複数の端末装置がLANを介して接続される防災システムにおいて、前記複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、前記LAN上の信号に基づく防災情報を、異なるネットワークへの配信処理を行う伝送処理部が接続されているものである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明における防災システムは、LANを介して接続された火災受信機等からなる複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、回線に接続された複数の火災感知器等の接続機器を回線単位で、監視制御するための回線監視制御部が接続されているので、P型の設備が既に設置されている建物をLANシステムに統合してリニューアルする場合に、端末装置の回線監視制御部に建物に既に設置されているP型の火災受信機に接続されている接続端末群の回線を付け替えるだけで済み、従来のようにR型の設備として全面改修しなければならなかったり、また、回線の信号を受信してR型分散中継器に伝送する中継器とLANに接続するためのR型分散中継器との2部品が不要となり、コストの低減化が図れると共に配線の手間も少なくなるという効果がある。
【0010】
また、もう1つの本発明における防災システムは、LANを介して接続された火災受信機等からなる複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、前記LAN上の信号に基づく防災情報を、異なるネットワークへの配信処理を行う伝送処理部が接続されているので、端末装置のメイン制御部はLAN上の信号に基づく防災情報を伝送処理部より異なるネットワークに配信することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施の形態1の防災システムの構成を示すブロック図、図2は同防災システムの火災受信機の構成を示すブロック図、図3は同防災システムのP型分散中継器の構成を示すブロック図、図4は同防災システムのHTTPサーバの構成を示すブロック図である。
図において、管理番号#1〜#3は火災の監視・制御処理を行うR型の火災受信機1である。各火災受信機1は、伝送路であるループ形成されたLAN11と接続しており、それぞれLAN11を介して防災情報の信号のやりとりを行う。LAN11に接続している火災受信機1には別の管理番号を割り当てているが、各火災受信機1は同一の構成をしている。LAN11は、例えばRS485の規格に基づくものである。
100は、それぞれの火災受信機1と伝送線を介して接続している接続機器群である。その接続機器群100は図示の火災感知器Sの他に地区音響装置B、被制御機器ER等で構成されている。本実施の形態ではこれらを特に区別する必要はない。なお、R型とは、火災感知器S等の接続機器を伝送信号により監視制御する方式である。
【0012】
#4は火災監視等の情報を地図表示するCRT表示盤2、#5は火災監視等の情報を文字表示する分散表示機3、#6は火災受信機1と同様に火災の監視・制御処理を行うP型(回線監視型)の分散中継器4、#7はシステム内の情報を他のネットワークに配信するインターフェースとしてのHTTPサーバ5で、これらはいずれもLAN11と接続されている。
P型の分散中継器4は回線毎に入力型接続機器群101と出力型接続機器群102とが回線毎に接続されるように構成されている。その入力型接続機器群101は火災感知器S、火災発信機P等からなり、出力型接続機器群102は地区音響装置B、防排煙機器、消火用機器等の被制御機器ER等からなる。なお、P型とは、火災感知器S等の接続機器を回線単位で監視制御する方式である。
HTTPサーバ5はLAN11に接続されると共に、LAN11とは異なるネットワークである例えばインターネットと接続することができる。
【0013】
#8〜#9は、上記と同様のR型の火災受信機1で、これらの火災受信機1は、#4のCRT表示盤2にLAN11とは別にループ形成された追加のLAN21に接続されている。
#10は火災受信機1と同様に火災の監視・制御処理を行うR型分散中継器6で、伝送線を介して、上記接続機器群100と同様の図示しない接続機器群が接続され、#8、#9の火災受信機1と同様に、追加のLAN21と接続されている。
また、R型分散中継器6には、追加のLAN21にさらに追加された分岐伝送路としての分岐LAN22を介して#11で示すCRT表示盤2が接続されている。
【0014】
次に、図2に示す火災受信機1の構成について説明する。
一例として、#1の火災受信機1は、火災受信機1としての動作制御を行うメイン制御部31と、火災の監視・制御に関する操作入力を行うと共に火災の監視状態等の防災情報を表示する表示操作部32と、接続機器群100と接続され、接続機器群100の火災信号等の端末情報を伝送により送受信する端末伝送部33と、メイン制御部31とLAN11との間で防災情報の信号のやりとりを行う伝送LANユニット34とで構成されている。制御ユニットの一例としてのこれら表示操作部32、端末伝送部33は、メイン制御部31とバスBを介して接続されている。
【0015】
その伝送LANユニット34は、火災信号等の防災情報の信号の送受信に関する伝送制御を行う伝送制御部35と、メイン制御部31と伝送制御部35とを接続するインターフェースである送受信部36と、いずれか1つのポートへの入力に基づき、他の各ポートへ出力を行い、出力後は所定時間入力を遮断するアクティブHUBとしての先着判定再送回路部37と、先着判定再送回路部37とLAN11との間で信号のやりとりを行う4つの送受信ポートA〜D38とで構成されている。この伝送LANユニット34は信号線Lを介してメイン制御部31と接続されている。
【0016】
その先着判定再送回路部37は、伝送制御部35および各送受信ポートA〜D38のいずれかからの防災情報の信号着信があると、その信号をその他の伝送制御部35及び送受信ポートA〜D38に出力するとともに、送信した各送受信ポートA〜D38からの信号着信を所定時間禁止する。
伝送制御部35はハンドセットHS又は伝送制御部35からの音声データをAD/DA処理して出力する音声回路39と接続されている。
各送受信ポートA〜D38はそれぞれLAN11と接続される入出力ポートaと先着判定再送回路部37と接続される入力ポートb及び出力ポートcを有している。
それら4つの送受信ポートA〜D38の入出力ポートa、入力ポートb及び出力ポートcは通常、防災情報の信号が入出力されるように開いている。
【0017】
なお、CRT表示盤2は火災受信機1と同様のメイン制御部と伝送LANユニットとを有し、更に制御ユニットとしてCRT表示部を有して構成され、操作部を必要に応じて設けることができる。
また、分散表示機3は火災受信機1と同様のメイン制御部と伝送LANユニットとを有し、更に制御ユニットとして地区窓等の表示部を有して構成され、操作部を必要に応じて設けることができる。
さらに、R型分散中継器7は、火災受信機1と実質的に同一の構成で、火災受信機1と相違するところは火災受信機1の構成のうち、表示操作部32がないことである。
【0018】
次に、図3に示すP型分散中継器4の構成について説明する。
一例として、#6のP型分散中継器4は、P型分散中継器4としての動作制御を行うメイン制御部41と、各回線毎に接続された接続機器群を回線単位で監視制御する回線監視制御部42と、メイン制御部41とLAN11との間で防災情報の信号のやりとりを行う伝送LANユニット43とで構成されている。制御ユニットの一例としてのその回線監視制御部42は、メイン制御部41とバスBを介して接続されている。
その回線監視制御部42は回線に接続された火災感知器Sや火災発信機Pを有してなる入力型接続機器群101からの火災信号を、回線単位で受信する入力監視部44と、回線に接続された地区音響装置B、防排煙機器、消火用機器等の被制御機器ER等を有してなる出力型接続機器群102への制御出力を、回線単位で出力する出力制御部45とで構成されている。
【0019】
その伝送LANユニット43は、図1の伝送LANユニット34と同様の構成であり、火災信号等の防災情報の信号の送受信に関する伝送制御を行う伝送制御部46と、メイン制御部41と伝送制御部46とを接続するインターフェースである送受信部47と、いずれか1つのポートへの入力に基づき、他の各ポートへ出力を行い、出力後は所定時間入力を遮断する先着判定再送回路部48と、先着判定再送回路部48とLAN11との間で信号のやりとりを行う4つの送受信ポートA〜D49とで構成されている。この伝送LANユニット43は信号線Lを介してメイン制御部41と接続されている。
その先着判定再送回路48は、伝送制御部46および各送受信ポートA〜D49のいずれかからの防災情報の信号着信があると、その信号をその他の伝送制御部46及び送受信ポートA〜D49に出力するとともに、送信した各送受信ポートA〜D49からの信号着信を所定時間禁止する。
伝送制御部46はハンドセットHS又は伝送制御部46からの音声データをAD/DA処理して出力する音声回路50と接続されている。
【0020】
次に、図4に示すHTTPサーバ5の構成について説明する。
一例として、#7のHTTPサーバ5は、HTTPサーバ5としての動作制御を行うメイン制御部51と、火災の監視状態等の防災情報を記憶する記憶部52と、インターネット、イントラネット等の異なるネットワークに防災情報を配信する伝送処理部53と、メイン制御部51とLAN11との間で防災情報の信号のやりとりを行う伝送LANユニット54とで構成されている。制御ユニットの一例としてのこれら記憶部52、伝送処理部53は、メイン制御部51とバスBを介して接続されている。
【0021】
その伝送LANユニット54は、図1の伝送LANユニット34と同様の構成であり、火災信号等の防災情報の信号の送受信に関する伝送制御を行う伝送制御部55と、メイン制御部51と伝送制御部55とを接続するインターフェースである送受信部56と、いずれか1つのポートへの信号の入力の基づき、他の各ポートへ信号の出力を行い、出力後は所定時間入力を遮断する先着判定再送回路部57と、先着判定再送回路部57とLAN11との間で信号のやりとりを行う4つの送受信ポートA〜D58とで構成されている。この伝送LANユニット54は信号線Lを介してメイン制御部51と接続されている。
その先着判定再送回路57は、伝送制御部55および各送受信ポートA〜D58のいずれかからの防災情報の信号着信があると、その信号をその他の伝送制御部55及び送受信ポートA〜D58に出力するとともに、送信した各送受信ポートA〜D58からの信号着信を所定時間禁止する。
【0022】
次に、本発明の実施の形態1の防災システムの動作について説明する。
例えば、#1の火災受信機1に接続されている接続機器群100が検知した火災等の火災信号は#1の火災受信機1に送出され、その火災受信機1のメイン制御部31では火災信号に基づいて火災と判断したら火災信号に関する防災情報を伝送LANユニット34に送る。
伝送LANユニット34の伝送制御部35では、送受信部36を介して受信した防災情報を先着判定再送回路部37に送り、先着判定再送回路部37は防災情報をそれぞれの入力ポートbを経て4つの送受信ポートA〜D38に送出するとともに、それぞれの出力ポートcを所定時間閉じることで、送信した各送受信ポートA〜D38からの信号着信を所定時間禁止する。
各送受信ポートA〜D38は入出力ポートaより防災情報をLAN11に出力する。先着判定再送回路部37における前記したポート等の制御、前記信号着信の所定時間の禁止によって、システム全体での防災情報の信号の流れが一義的に一方向となって、各端末装置に入力される。
従って、#1の火災受信機1を除く、LAN11、21、22に接続されている他の全ての端末装置である火災受信機1、CRT表示盤2、分散表示機3、P型分散中継器4及びHTTPサーバ5等は、#1の火災受信機1についての防災情報を受信することができるため、#1の火災受信機1についての防災情報をLAN11、21、22により他の全ての端末装置が共有することができる。
【0023】
また、例えば#7のHTTPサーバ5において、防災情報の信号が送受信ポートA58の入出力ポートaに入力されると、送受信ポートA58はその出力ポートcからその信号を先着判定再送回路部57に出力する。そうすると、先着判定再送回路部57は送受信ポートA58の入力ポートbを閉じると共に他の送受信ポートB〜D58の出力ポートcを所定時間閉じるとともに、開いている入力ポートbから他の送受信ポートB〜D58にその信号を出力する。
また、その信号は、伝送制御部55、送受信部56を介してメイン制御部51に通知されて記憶され、伝送処理部53を介して他のネットワークへ送出する制御、つまり、制御ユニットに対して必要な制御がなされる。他の送受信ポートB〜D58はそれぞれ入力された信号を入出力ポートaからLAN11に出力する。
先着判定再送回路部57における前記したポート等の制御によって、システム全体での防災情報の信号の流れが一義的に一方向となって、各端末装置に入力される。
従って、HTTPサーバ5を除く、LAN11、21、22に接続されている他の(後続の)全ての端末装置である火災受信機1、CRT表示盤2、分散表示機3及びP型分散中継器4は、HTTPサーバ5を介して防災情報の信号を受信することができるため、HTTPサーバ5からの防災情報の信号をLAN11、21、22により全ての端末装置が共有することができる。
【0024】
さらに、この実施の形態1の防災システムでは、既設のP型火災受信機で独立して稼動している建物を新たにLANシステムに組み入れてリニューアルする場合に、そのLAN11に既設のP型火災受信機の代替としてP型分散中継器4を接続することができる。
そのP型分散中継器4は分散中継器4としての動作制御を行うメイン制御部41と、各回線毎に接続された接続機器群を監視制御する回線監視制御部42と、メイン制御部41とLAN11との間で防災情報の信号のやりとりを行う伝送LANユニット43とを有しており、伝送LANユニット43は火災受信機1の伝送LANユニット34と同様に、防災情報の信号をLAN11を介して他の端末装置とでやりとりすることができるので、回線監視制御部42に建物に既に設置されているP型火災受信機に接続されている入力型接続機器群101と出力型接続機器群102に接続されている回線を付け替えるだけで済み、従来のようにP型設備の接続機器群、回線、火災受信機という構成全てをR型設備に全面改修しなければならなかったり、または、回線の信号を受信してR型分散中継器に伝送する中継器とLANに接続するためのR型分散中継器との2部品が不要となりコストの低減化が図れると共に配線の手間も少なくなった。
【0025】
また、回線監視制御部42は入力型接続機器群101からの火災信号を、回線単位で受信する入力監視部44と、出力型接続機器群102への制御出力を、回線単位で出力する出力制御部45とを有しているので、建物に既に設置されているP型火災受信機に接続されている入力型接続機器群101と出力型接続機器群102とその回線をそのまま利用することができる。
また、このP型分散中継器4はその伝送LANユニット43が火災受信機1の伝送LANユニット34と同様の先着判定再送回路部48と4つの送受信ポートA〜D49とを有しているので、P型分散中継器4を除く、LAN11、21、22に接続されている他の全ての端末装置は、P型分散中継器4についての防災情報を受信することができるため、P型分散中継器4についての防災情報をLAN11、21、22により他の全ての端末装置が共有することができる。
【0026】
また、この実施の形態の防災システムのLAN11には、システム内の情報を他のネットワークに配信するHTTPサーバ5が接続されており、そのHTTPサーバ5はLAN11、21、22に接続されている他の全ての端末装置の防災情報の信号を受信することができるため、他の全ての端末装置の防災情報の信号を伝送処理部53よりLAN11とは異なるネットワークであるインターネット又はイントラネットに配信することができることとなった。また、HTTPサーバ5は異なるネットワークからの情報を伝送処理部53を介して受信することもできる。
【0027】
なお、異なるネットワークがこの実施の形態の防災システムが設備される同じ建物内に配設するようにすれば、異なるネットワークに汎用のパソコンを設けるだけで、集中的に防災監視を行うことができ、CRT表示盤2、分散表示機3等の代替とすることが可能である。
また、メイン制御部51はHTTPサーバ5の伝送処理部53を介して防災情報を異なるネットワークに配信させるが、異なるネットワークからの情報を受信しないようにすることもできる。これはセキュリティ上、外部からの情報によりウイルス感染したり、データの改竄が行われないようにしたものである。
【0028】
また、この実施の形態1の防災システムのLAN11に接続されている全ての端末装置である火災受信機1、CRT表示盤2、分散表示機3、P型分散中継器4及びHTTPサーバ5には、同様の伝送LANユニット34、43、54が設けられており、それぞれの伝送LANユニット34、43、54は4つの送受信ポートA〜Dが設けられている。
そして、この実施の形態1では、2つの送受信ポートA、BがLAN11に接続され、それ以外の送受信ポートC、Dは空きとなっている。
従って、この実施の形態1を示す図1のように、例えば#4のCRT表示盤2の伝送LANユニットの空きとなっている2つの送受信ポートC、Dに追加のLAN21を接続することができる。追加のLAN21が2つの送受信ポートC、Dに接続されると、LANが2ループに構成されることとなり、増設ループを形成することができる。
この場合、2つの送受信ポートC、Dに追加のLAN21を接続するだけよく、LAN11を再配線する必要がないために、配線が容易であり、LANを自由な形に拡張することができる。
なお、追加のLAN21について、#4のCRT表示盤2の空きとなっている2つの送受信ポートC、Dの両方を使わなくてもよく、例えば、送受信ポートDの替わりに、#5の分散表示機3の送受信ポートC(空いていれば)を用いても、ループを構成できる。すなわち、送受信ポートは3つあれば、追加のLANをループ接続できる。
【0029】
このようにして接続された追加のLAN21に#8、#9の2つの火災受信機1や#10のR型分散中継器6を接続し、さらに#10のR型分散中継器6の伝送LANユニットの空きとなっている2つの送受信ポートのいずれかに#11のCRT表示盤2を接続した場合にも、結果的に1つの大きなLANにこれらの端末装置が接続されたのと同じとなり、全ての端末装置が互いに他の端末装置の防災情報を共有することが可能となる。
このように、端末装置を、ループ接続、スター接続、バス接続等、様々な形態で接続することができる。
上記実施の形態1では、CRT表示盤2の伝送LANユニットの空きとなっている2つの送受信ポートC、Dに追加のLAN21を接続するようにしたものであるが、それ以外の火災受信機1、分散表示機3、P型分散中継器4、HTTPサーバ5、R型分散中継器6の伝送LANユニットの空きとなっている2つの送受信ポートに追加のLANを接続することができることはいうまでもない。
なお、各端末装置の送受信ポートは4個であるので、LAN11にループ接続された各端末装置に、更に追加のLANをループ接続して、2重ループにすることもできる。
【0030】
また、上記実施の形態1では、端末装置が火災受信機1の場合に、メイン制御部31は、装置内にバスBを配置し、そのバスBに例えば表示操作部32や端末伝送部33というような必要な制御ユニットを設け、バスBを介して該制御ユニットと信号の送受信を行うと共に、伝送LANユニット34は、直接信号を送受信する信号線Lを介して前記メイン制御部31と接続するようにしているのは、メイン制御部31が必要な制御ユニットと伝送LANユニット34とを区別し、例えばバスBに障害が出ても伝送LANユニット34がLAN通信をできて、バス障害情報もLAN出力できるようにするためと、火災受信機1としてはバスBに必要な制御ユニットとして表示操作部32や端末伝送部33を設けるが、端末装置をP型分散中継器とする場合にはバスBに必要な制御ユニットとして回線監視制御部42を設け、端末装置をHTTPサーバ5とする場合にはバスBに必要な制御ユニットとして記憶部52や伝送処理部53を設けるようにして、端末装置の基本的な構成を変えないで、用途に応じた必要な制御ユニットを設けることで、各種用途の端末装置を製作できるように製造における汎用性を持たせるためである。
また、各端末装置は、伝送LANユニットの装着の有無によって、LANシステムに対応させたり、又はスタンドアローンの設備として利用することができ、汎用性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る防災システムの構成を示すブロック図。
【図2】同防災システムの火災受信機の構成を示すブロック図。
【図3】同防災システムのP型分散中継器の構成を示すブロック図。
【図4】同防災システムのHTTPサーバの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0032】
1 火災受信機、2 CRT表示盤、3 分散表示機、4 P型分散中継器、5 HTTPサーバ、6 R型分散中継器、L1 伝送路、L2 追加の伝送路、L3 分岐伝送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機等からなる複数の端末装置がLANを介して接続される防災システムにおいて、
前記複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、複数の回線に接続された複数の火災感知器等の接続機器を回線単位で監視制御するための回線監視制御部が接続されていることを特徴とする防災システム。
【請求項2】
前記回線監視制御部は、各回線から入力信号を受信する入力監視部と、各回線への出力信号を出力する出力制御部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の防災システム。
【請求項3】
火災受信機等からなる複数の端末装置がLANを介して接続される防災システムにおいて、
前記複数の端末装置の少なくとも一つには、内部に動作制御を行うメイン制御部及び防災情報の送受信に関する伝送制御を行う伝送LANユニットが含まれ、該メイン制御部に、前記LAN上の信号に基づく防災情報を、異なるネットワークへの配信処理を行う伝送処理部が接続されていることを特徴とする防災システム。
【請求項4】
前記異なるネットワークは、防災システムが設備される同じ建物内に配設されていることを特徴とする請求項3記載の防災システム。
【請求項5】
前記メイン制御部は、前記伝送処理部を介して防災情報を配信するが、外部からの情報を受信しない、或いは前記伝送処理部を介して防災情報を配信すると共に外部からの情報を受信することを特徴とする請求項3記載の防災システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−188231(P2007−188231A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4946(P2006−4946)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】