説明

防犯スクリーン装置

【課題】ドライバー等のツールの差し入れを可及的回避して当該ツールによる破壊を抑制し、或いは、当該ツールによる破壊作業を極力長時間化し、且つ、当該作業の困難性を視認することができるようにする。
【解決手段】建物10の外壁11に設けられる開口部12を屋外側から覆う防犯スクリーン装置1は、開口部12に対向して設けられる面材2と、該面材2と開口部12の間に介在して当該面材2を開口部12前方に保持する枠体3と、を備える。枠体3は、面材2の裏面の周縁部21に面接触する裏当て部と、該裏当て部から面材2の厚さ相当の高さを有して立ち上がって面材2の小口部に僅かな隙間を有して対向又は当接する筋状のフィン32とを備え、面材2は、フィン32に周囲を包囲された状態で裏当て部に固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯スクリーン装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、建物の外壁に設けられる防犯スクリーン装置の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、泥棒などの侵入防止といった防犯を目的として、建物外壁に形成される窓等を屋外側から面格子によって覆うことがなされている(例えば特許文献1,2参照)。しかし、従来の面格子には、体が侵入できない設計になっているものの格子間隔が広く、また、面格子自体が外壁や開口部からある程度離間して取り付けられるものがあり、この場合、当該面格子と窓の間には、上下左右から手指、さらにはバール、ドライバー、ペンチ等といった各種ツールを窓にアクセスできるだけの隙間があることがある。仮に、このような面格子が設けられている当該窓が開錠、開放状態にある場合、その隙間から、前述のツールを挿入されて他の開口を開錠されたり、危険物を投入されたりする心配がある。このように、従来の面格子は、防犯といっても、窓が施錠されていることを前提としているので、施錠忘れをしたとき前記の理由によって防犯性能は著しく劣るものとなっている。
【0003】
かかる問題を解決すべく、特許文献3には、建物の開口部にパンチングメタルをそのまま嵌めこんだ構成が開示されている。当該構成においては、パンチングメタルを開口部と同じ大きさに形成して当該開口部にはめ込むと共に、当該パンチングメタルの周縁部にL字状のアングルを設け、当該アングル部材によってパンチングメタルを開口部の枠体に取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−336438号公報
【特許文献2】特開2006−37451号公報
【特許文献3】特開2003−148060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、当該構成の面格子においては、パンチングメタルを開口部の大きさと同じ大きさに形成する必要を生じ、複数の大きさを有する開口部に対応し難いのみならず、パンチングメタルの大きさを極めて正確に形成しなければ開口部とパンチングメタルの間に隙間が生じることがある。このように隙間が生じてしまうと、当該隙間にドライバー等を差し入れてパンチングメタルを破壊し、開口部がこじ開けられるおそれがある点、あるいはそのような可能性を露見している点で、防犯機能や迷惑行為抑止力が十分でない場合がある。また、たとえパンチングメタルを正確な大きさに形成する場合でも、従来技術のように当該パンチングメタルをアングル部材により留めつける構成であると、当該パンチングメタルと開口部の隙間にドライバー等を差し入れることによって、当該ドライバー等の先端部をアングルと開口部の枠の間に差し入れることができ、当該箇所を支点として梃子(てこ)の原理を効かせることができる場合があり、やはりパンチングメタルの破壊につながるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ドライバー等のツールの差し入れを可及的回避して当該ツールによる破壊等の迷惑行為を抑制できる、或いは、当該ツールによる破壊作業を極力長時間化することができ、且つ、当該作業の困難性を視認することができる防犯スクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決すべく、本発明は、
建物の外壁に設けられる開口部を屋外側から覆う防犯スクリーン装置であって、
前記開口部に対向して設けられる面材と、
該面材と前記開口部の間に介在して当該面材を前記開口部前方に保持する枠体と、
を備え、
該枠体は、前記面材の裏面の周縁部に面接触する裏当て部と、該裏当て部から前記面材の厚さ相当の高さを有して立ち上がって前記面材の小口部に僅かな隙間を有して対向又は当接する筋状のフィンとを備え、
前記面材は、前記フィンに周囲を包囲された状態で前記裏当て部に固着されている
ことを特徴としている。
【0008】
これによれば、面材の周縁部が枠体の裏当て部に固着されているので、他者によるドライバー等のツールの差し入れ、破壊といった迷惑行為を可及的回避することができる。また、当該枠体には、面材の厚さ相当の高さを有する筋状のフィンが設けられ、枠体に面材を取り付けることで当該面材はフィンで包囲されることとなり、これによって、枠体の裏当て部と面材との継ぎ目(隙間)はフィンによりふさがれ、当該継ぎ目へのツールの挿入が防止されることとなる。また、当該フィンと面材との間の継ぎ目(隙間)が顕在化することとなるが、当該継ぎ目の深さは実質上面材の厚さ程度であり、当該フィンの基端部は裏当て部に連結されているので、ツールの先端部の端縁部を僅かに差し入れることができたとしても、それ以上のツールの差し入れは裏当て部により防止されることとなる。このため、当該継ぎ目が顕在化するといえども、当該継ぎ目にツールを深く差し入れることはできず、これによって、充分な梃子の原理を効かせるための支点(及び作用点)を確保することができず、ツールによるこじ開けを防止することができる。また、このように梃子の原理を充分に効かせることができないので、こじ開けるための時間も長期に亘るものとなる。
【0009】
(2)前記面材は、平板状のパンチングメタルにより形成されていることが好ましい。
【0010】
パンチングメタルにより形成された面材(例えば多孔質板)は、その開口孔は一般には極小であることから防犯性に優れる。また、当該面材は居住者等からの視界や通気性を確保しやすい。
【0011】
(3)防犯スクリーン装置において、前記フィンは、前記面材の厚さ相当の高さを有する立上り部と、該立上り部から前記面材の表面に向けて突出するフランジ部を備え、該フランジ部が前記裏当て部に対向した状態で延在することで前記立上り部を底部とする深溝部が形成され、該深溝部に前記面材の周縁部を差し入れ、当該フランジ部と裏当て部とを締結部材により締結して前記面材の周縁部を裏当て部に固着することが好ましい。
【0012】
このようなフィンを備えた枠体によれば、当該枠体と面材の周縁部との間に隙間ができ難く、防犯性のさらなる向上を図ることが可能である。また、パッキンなどの充填材を要しない納めとすることもできる。
【0013】
(4)防犯スクリーン装置において、前記フィンは、前記面材の厚さ相当の高さを有する立上り部と、該立上り部から前記面材の表面に向けて僅かに突出する鍔部を備え、該鍔部と前記裏当て部との間に前記立上り部を底部とする浅溝部が形成され、該浅溝部に前記面材の周縁部を差し入れて該面材を保持していることも好ましい。
【0014】
このように比較的小さなフィンを採用することで、防犯性を確保しつつ、面材の平面性が強調された意匠を構築することが可能となる。
【0015】
(5)防犯スクリーン装置において、前記枠体は、外壁の枠体取り付け面にパッキン部材を介して密着していることが好ましい。
【0016】
一般的に、枠体の壁面への取り付け面には多少なりとも不陸(ふりく)があるのに対し、本発明によれば、弾力性があるパッキン部材を当該取り付け面に介することで密着度を向上させることができる。
【0017】
(6)防犯スクリーン装置において、前記枠体の端部に、隣接する枠体との干渉を回避する切断面が形成されていることが好ましい。これによれば、隣接する枠体どうしの重なりを排除して面一にするなどし、隙間が生じるのを回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ドライバー等のツールの差し入れを可及的回避して当該ツールによる破壊等の迷惑行為を抑制でき、また、当該ツールによる破壊作業を極力長時間化することができ、且つ、当該作業の困難性を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る防犯スクリーン装置等の側面図である。
【図2】防犯スクリーン装置1の平面図である。
【図3】防犯スクリーン装置を構成する枠体等の一例を示す図である。
【図4】隣接する枠体の形状例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す枠体等の図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す防犯スクリーン装置の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す枠体等の図である。
【図8】隣接する枠体の形状例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態を示す中枠体等の図である。
【図10】本発明の第3の実施形態を示す防犯スクリーン装置の斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を示す枠体等の図である。
【図12】本発明の第4の実施形態を示す枠体や外壁等の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る防犯スクリーン装置の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
本発明に係る防犯スクリーン装置1は、建物10の外壁11に設けられる開口部(一例として、浴室の窓)12を屋外側から覆う装置である。本実施形態の防犯スクリーン装置1は、多孔質板(面材)2とこれを保持する枠体3とを備えている。
【0022】
枠体3は、多孔質板2と開口部12の間に介在して当該多孔質板2を開口部12の前方に保持する部材である(図1、図2等参照)。枠体3は、外壁11の枠体取り付け面11a(例えば、開口部12の枠(窓枠)など)に密着するように取り付けられている。本実施形態では、上下左右に配置された4つの枠体3によって矩形の多孔質板2の各辺を支えるようにしている。また、本実施形態の枠体3は、裏当て部31とフィン32とを備えている。枠体3の裏当て部31は、多孔質板2の裏面の周縁部(符号21で示す)に面接触する部位として形成されている。
【0023】
本実施形態における枠体3は長筒状である。各枠体3の角部は隣接する枠体3と干渉しないよう斜めの切断面(例えば45°のカット)として互いに突き合わされている(図4参照)。また、隣接する枠体3どうしを直接またはL字のアングル部材6等を用いて緊結されている。
【0024】
枠体3において、外壁11の枠体取り付け面11aとの接触面36は平面状で、枠体取り付け面11aに隙間なく密着するようになっている(図3参照)。この枠体3を外壁11に固定するための部材(固定部材7)は、当該枠体3の一部を支持するピース状のもの(部分的に形成されたもの)でもよいし、枠体の長尺方向に沿って延在する長尺状のものでもよい。固定部材7が、枠体3の全周を囲繞する長尺状のものであれば、建物10の躯体(外壁11)と当該枠体3との隙間をなくすという機能も果たしうる。固定部材7の取り付け方は特に限定されないが、外部からは取り外せないようにするといった観点からすれば建物10の室内側から取り付けることが好ましい(図1、図2参照)。こうした場合に、固定部材7は外部から見えず、尚かつ接触できないのでその面でも防犯性は高くなる。なお、固定部材7を取り付ける際には、例えば窓枠と網戸とのが隙間を無くすための板状部分などを利用することができる。
【0025】
枠体3のフィン32は、裏当て部31から立ち上がって多孔質板2の小口部(符号22で示す)に僅かな隙間を有して対向又は当接するように形成されている。フィン32の立上がり幅は、多孔質板2の厚さ相当程度であることが好ましい。上述の多孔質板2は、フィン32に周囲(の小口部22)を包囲され裏当て部31に固着された状態で取り付けられている(図1等参照)。
【0026】
多孔質板2は、外壁11の開口部12に対向する面材の一例として設けられている。多孔質板2の孔(図6等の符号23参照)は、例示すれば直径1.5mm〜2mm程度の円形またはそれに匹敵する多角形が多数穿たれた極小のものであることが好ましい。このような孔23によれば、蚊などの害虫が外部から侵入するのを阻止することができる。また、多孔質板2に穿たれた孔23の開口率は、例えば40%〜60%の間であれば、当該多孔質板2の強度を保ちつつ、これら孔23を通じての通風換気や視界も保ちやすくなるという点で好ましい。なお、当該多孔質板2において、孔23以外に貫通孔はない。
【0027】
また、多孔質板2の形状や材質は特に限定されないが、表面に曲げ、凹凸、起伏のないものであることが好ましい。このような多孔質板2によれば組立て前の保管が簡単であり、収納容積が減るのでコストが抑えられる。また、曲げ加工すると、曲げ箇所の塗装が剥げて補修の必要が生じうることがあるが、表面に曲げのない多孔質板2によればそのようなこともない。このような多孔質板2としては、例えば矩形のパンチングメタル等を採用することができる。パンチングメタルにより形成された多孔質板2は、その孔23が一般には極小であることから防犯性に優れ、また、居住者等からの視界や通気性を確保しやすい。
【0028】
本実施形態の多孔質板2は、見付け(正面)側からビス4などの締結部材によって枠体3に取り付けられている(図1、図2参照)。ビス4としては、枠体3の反対側から貫通することのない程度の長さものが用いられている。
【0029】
なお、開口部12の見付け(横幅)が特に長いといった場合、枠体3に中枠体3Aを加えることができる(図2参照)。この場合には、左右ないし上下に分割された多孔質板2を用いることができる。各多孔質板2は、この中枠体3Aに対してもビス4によって取り付けられていることが好ましい(図2参照)。このような中枠体3Aは、建物10の外壁11に密着していなくてよい。中枠体3Aは、多孔質板2の1枚のサイズが、製造上、あるいは板材の強度などといった理由により制限されて防犯スクリーン装置1の全体よりも小さいとき、継ぎ部として利用しうるものであり、便宜である。
【0030】
本実施形態の防犯スクリーン装置1によれば、多孔質板2の周縁部21が枠体3の裏当て部31に固着された状態となっているので、他者による隙間へのツールの差し入れ、破壊といった迷惑行為を回避することができる。仮に、一般の面格子の場合には、ボルトクリッパにより切断される事件が発生しているが、本実施形態の防犯スクリーン装置1の場合には隙間がないのでボルトクリッパを挟みこめないので、「防犯性」が高い。要は、「防犯性」は、侵入者を防ぐばかりでなくツールの侵入(棹状のものを入れられて他の開口を開けられてしまったり、さらには危険物で外から脅されたりすることなど)や危険物の投入も防ぐことを意味すると解せられるところ、この防犯スクリーン装置1によれば種々の迷惑行為に及ばせないだけの抑止力を発揮することによって防犯性を向上させることも期待できる。
【0031】
また、当該枠体3には多孔質板2を包囲(囲繞)し、枠体3の裏当て部31と多孔質板2との継ぎ目(隙間)を塞ぐフィン32が設けられていることから、当該継ぎ目へのツールの挿入が防止される。また、フィン32と多孔質板2との間に顕在化しうる継ぎ目(隙間)についても、当該継ぎ目の深さは実質上多孔質板2の厚さ程度であり、尚かつ当該フィン32の基端部は裏当て部31に連結されているので、ツールの先端部の端縁部を僅かに差し入れることができたとしても、それ以上のツールの差し入れを防止することができる。このため、当該継ぎ目が顕在化するといえども、当該継ぎ目にツールを深く差し入れることはできず、これによって、充分な梃子の原理を効かせるための支点(及び作用点)を確保することができず、ツールによるこじ開けを防止することができる。また、このように梃子の原理を充分に効かせることができないので、仮にこじ開けるにしても長い時間を要することになる。
【0032】
また、枠体3の角部どうしを突き合わせた場合、これらの間には継ぎ目部が形成されるが、本実施形態の防犯スクリーン装置1においてはフィン32の幅が小さいことから、正面から視認できる継ぎ目部はフィン32の幅に相当する部分のみであり、その他の継ぎ目部は多孔質板2によって覆われ見えない。このように、本実施形態ではフィン32の幅を著しく小さくしているので、そもそもツールを入れ難く、入れたとしても梃子を効かせにくい。また、フィン32の幅が小さいことを視認できるので、他者にとっては、継ぎ目にツールを入れようという動機を生じさせ難い。
【0033】
さらに、本実施形態の防犯スクリーン装置1においては、多孔質板2を採用していることからこの点でも防犯性に優れ、また、蚊などの害虫の侵入防止性能にも優れる。しかも、防犯ラインは当該多孔質板2となることから、サッシやガラスに防犯性を持たせなくてもよく、施錠を忘れたり、窓を開けたまま外出したり、窓を開けたまま寝たりしても安心であり、網戸も不要である。また、猫などの屋内飼いのペットは、窓を開けていると通常の網戸を破壊したり傷つけたりする可能性があるが、多孔質板は破壊できないのでそのような心配がなく、かつ、窓を開けた通風換気状態でもペットが逃げ出す心配もない。
【0034】
<第2の実施形態>
本実施形態におけるフィン32は、立上り部32aと、該立上り部32aから折れ曲がるようにして多孔質板2の表面に向けて突出するフランジ部32bを備えている(図5、図6参照)。このフィン32は、裏当て部31から立ち上がって多孔質板2の小口部(符号22で示す)に僅かな隙間を有して対向又は当接するように形成されている。
【0035】
このようにフランジ部32bが裏当て部31に対向した状態で延在することで、枠体3の見付け部(手前側)であって枠体3の裏当て部31と表面側のフィン32の間には、立上り部32aを底部とする深溝部(差込み溝)33が形成されている。本実施形態では、該深溝部33に多孔質板2の周縁部21を差し入れ、当該フランジ部32bと裏当て部31とをビス(締結部材)4により締結して多孔質板2の周縁部21を裏当て部31に固着している。なお、フィン32の立上がり幅は、多孔質板2の厚さ相当であることが好ましい。このようなフィン32より、多孔質板2はその周囲を包囲された状態で裏当て部31に固着された状態で取り付けられる。
【0036】
本実施形態では、ビス(例えばワンウェイビスや防犯ビスなど)4で、多孔質板2の周縁部21を裏当て部31に緊結している。本実施形態において枠体3の裏当て部31は面であるから、ビス4を設けやすい。また、多孔質板2の剥離防止の補助部材として両面テープ等を裏当て部31に貼り強度を上げることもできる。なお、本実施形態のフィン32は、枠体3の見付け部(当該部材を正面から見たときに前方に見える面)に接するように取り付けられているのであって、枠体3の見込み部(当該部材の側面、つまり奥行き方向の面)に取り付けられてはいない(図2等参照)。
【0037】
一般に、枠体3に平板状の防犯面材が差し込まれているだけであれば、防犯面材自体に大きな力が加えられた場合、当該防犯面材が歪んで枠体3から抜けてしまうおそれがある。この点、本実施形態の防犯スクリーン装置1においては、1枚の多孔質板2の周囲は枠体3によって囲まれ、その枠体3にビス(ワンウェイビス・防犯ビスなど)4で固定されているので、多孔質板2に力が加わった際に当該多孔質板2自体は歪むかもしれないが、枠体3からは抜け出にくい。また、多孔質板2が枠体3を強度的に補強し、防犯スクリーン装置1全体の強度を増すことになる。
【0038】
また、一般に、平板状の防犯面材を押さえる通常の枠は、平板が抜けにくくなるように差込部の奥行きが深いことが多い。ところが、このような場合、防犯面材を摩擦なく差込むために差込部の隙間の幅をある程度とらなくてはならなくなるので、当該差込部の幅と多孔質板2の残りの隙間を解消し、防犯面材がぐらつかないようにするために、ビードで固定したり、パッキンで押さえたりしなくてはならなくなる。しかし、パッキンやビードは弾性体で作られるので、そこに、ドライバーやバールなどのツールを差し込まれ、梃子の原理で枠体3より強度の劣る平板が壊されることが懸念される。この点、本実施形態の防犯スクリーン装置1においては、上述のような形状のフィン32を備えた枠体3により、当該枠体3と多孔質板2の周縁部21との間に隙間ができ難くなるので、パッキンなどの充填材を要しない納めとすることもできる。
【0039】
<第3の実施形態>
本実施形態におけるフィン32は、多孔質板2の厚さ相当の高さを有する立上り部32aと、該立上り部32aから多孔質板2の表面に向けて僅かに突出する鍔部32cを備えている。また、本実施形態では、該鍔部32と裏当て部31との間に、立上り部32aを底部とする浅溝部34を形成し、該浅溝部34に多孔質板2の周縁部21を差し入れて多孔質板2を保持している(図7、図9参照)。なお、図9は中途部に設けられる枠体3を図示している。
【0040】
枠体3は、例えば上下左右4つの長尺上のフレーム部材を、45°カットされた端面どうし突き合わせたり、或いは角部を形成するL字状の部材の両端部に上記長尺状のフレーム部材を突き合わせたりして形成されるが、場合によっては、これら突き合わせて形成される接合部間において、突き合わされるフレーム部材のフランジ部間や、フレーム部材とL字アングル部材間に隙間が生じ、当該隙間にツール等を入れやすいものとなるおそれがある。この点、本実施形態の防犯スクリーン装置1によれば、僅かに突出する鍔部32cを設けているので、これら鍔部32c間の隙間の長さは僅かなものとなり(図8参照)、やはりツール等を差し入れ難いものとなる。また、本実施形態の防犯スクリーン装置1によれば、一見してツールを差し入れる隙間が全く見当たらないため、そもそも当該防犯スクリーン装置1を破壊しようとする動機を抑えることも可能である(図10参照)。さらに、本実施形態では比較的小さなフィン32を採用することで、防犯性を確保しつつ、多孔質板2の平面性が強調された意匠を構築することが可能である。
【0041】
なお、立上り部32aの上端部からの鍔部32cの突出量は、例えば多孔質板2の厚さ相当である。かかる鍔部32cの構成によれば、浅溝部にツール等を差し入れ難く、あるいは差し入れたとしても梃子の作用を効かせ難く、さらには、フィン32にツールからのモーメントを作用させ難く、フィン32自体の剛性も向上する。また、パンチングメタルの孔23と実部(孔23以外の部分)とが連続してギザギザ状となっている場合や、施工誤差との関連から枠体3の一端から他端に向かうに連れて徐々にフィン32の立上り部32aから離間して設置されている場合などにおいて、鍔部32cによれば多孔質板2の周縁部21を隠すことができるという効果がある。
【0042】
<第4の実施形態>
本実施形態では、外壁11の枠体取り付け面11aと枠体3との間にパッキン部材5を介在させ、当該パッキン部材5を介して枠体3を密着させるようにしている(図11、図12参照)。枠体3との間に隙間が出来ないように、パッキン部材5が圧着されて収縮した時の厚みを吸収できるパッキン収納溝35を枠体3に設けておくことも好ましい。一般に、外壁11の枠体取り付け面11aには多少なりとも不陸があるのに対し、本実施形態の防犯スクリーン装置1においては、弾力性があるパッキン部材5を接触面に設けることで密着度を向上させることができる。また、このようにして密着度を向上させれば、蚊などの害虫侵入防止を強化することにもつながる。さらには、枠体3を外壁11の枠体取り付け面11aにパッキン部材5を介して密着させることで、外壁11の壁面の汚れが開口部12に向かって入ってこないという利点もある。
【0043】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、集合住宅の住戸において共同廊下側の窓は、通路の直近にあり、住戸住人のプライバシーが侵害されるおそれがある。また通路からすぐ手が届いてしまうため悪戯で何かを投げ込まれてしまうかもしれない。したがってせっかくの窓であっても閉じた状態で通風換気ができない状況になることとは起こりうると考えられる。このような窓に上述の防犯スクリーン装置1を設置することで、窓が開放状態であっても防犯性が高く、かつ、多孔質板2によって中が見えにくい状態とすることができ、更に、窓底面の高さをひとの目の高さ以上にすることで覗かれないようにもすることができる。要は、上述した実施形態では建物10の開口部12の一例として浴室の窓を示したがこれは一例にすぎず、このほか、このように共用廊下に面した外壁に設けられた高窓など、種々の開口部12において本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、建物の外壁に設けられる開口部を屋外側から覆う防犯スクリーン装置に適用して好適である。
【符号の説明】
【0045】
1…防犯スクリーン装置、2…多孔質板(面材)、3…枠体、4…ビス(締結部材)、5…パッキン部材、10…建物、11…外壁、11a…枠体取り付け面、12…開口部、21…周縁部、22…小口部、31…裏当て部、32…フィン、32a…立上り部、32b…フランジ部、32c…鍔部、33…深溝部、34…浅溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に設けられる開口部を屋外側から覆う防犯スクリーン装置であって、
前記開口部に対向して設けられる面材と、
該面材と前記開口部の間に介在して当該面材を前記開口部前方に保持する枠体と、
を備え、
該枠体は、前記面材の裏面の周縁部に面接触する裏当て部と、該裏当て部から前記面材の厚さ相当の高さを有して立ち上がって前記面材の小口部に僅かな隙間を有して対向又は当接する筋状のフィンとを備え、
前記面材は、前記フィンに周囲を包囲された状態で前記裏当て部に固着されている
ことを特徴とする防犯スクリーン装置。
【請求項2】
前記面材は、平板状のパンチングメタルにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防犯スクリーン装置。
【請求項3】
前記フィンは、前記面材の厚さ相当の高さを有する立上り部と、該立上り部から前記面材の表面に向けて突出するフランジ部を備え、該フランジ部が前記裏当て部に対向した状態で延在することで前記立上り部を底部とする深溝部が形成され、該深溝部に前記面材の周縁部を差し入れ、当該フランジ部と裏当て部とを締結部材により締結して前記面材の周縁部を裏当て部に固着することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防犯スクリーン装置。
【請求項4】
前記フィンは、前記面材の厚さ相当の高さを有する立上り部と、該立上り部から前記面材の表面に向けて僅かに突出する鍔部を備え、該鍔部と前記裏当て部との間に前記立上り部を底部とする浅溝部が形成され、該浅溝部に前記面材の周縁部を差し入れて該面材を保持していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防犯スクリーン装置。
【請求項5】
前記枠体は、外壁の枠体取り付け面にパッキン部材を介して密着していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の防犯スクリーン装置。
【請求項6】
前記枠体の端部に、隣接する枠体との干渉を回避する切断面が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の防犯スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−233326(P2012−233326A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101433(P2011−101433)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】