説明

防犯用の窓

【課題】開けた窓より侵入者が侵入しようとすると、それを検知して自動的に閉じてロックする防犯用の窓を提供する。
【解決手段】サッシ枠4の下縁には、ボールネジ7を配置した筐5が添設され、ボールネジ7には窓枠2の縦枠部分2Bに取着のクランプ9に連結されるナット8が螺着される。開いた窓より侵入者が侵入しようとし、第1のセンサーがそれを検出すると、制御装置16によりモータ6が起動し、ボールネジ7が回転してナット8を移動させ、窓を閉じると共に、ブザーより警報音が発生し、かつライトが点灯する。窓が閉じると、モータ6を起動し、ボールネジを回転させない限り閉じた窓が開くことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯用の窓に関する。
【背景技術】
【0002】
窓には、鋼ないしアルミサッシよりなるサッシ枠に取付けられるガラス戸よりなる窓がサッシ枠のレールに沿い移動して開閉する引き違いタイプのもの、窓が観音開き或いは片開きするタイプのものなどがあり、その開閉はいずれも人手によって行われているが、窓の開閉が自動的に行えるようにしたものも知られる。下記特許文献1に示されるものがそうで、サッシ枠のレール上に移動可能に支持され、レール上を進退して開閉する窓、或いはヒンジによって枢動可能に支持され、押し引きすることにより開閉する窓と、該窓を開閉させるギヤードモータ、ボールネジ機構、ピニオンラック機構、エアシリンダー等の作動機構と、該作動機構の起動停止を制御する制御装置とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−62381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窓の開閉は、換気、採風、保温、風雨の遮断等のために行われるが、ときには窓を開けたままで就寝したり、窓を開けたまま閉め忘れて外出することがある。
【0005】
本発明は、防犯上の観点から開けた窓より侵入者が侵入しようとすると、それを検知して自動的に閉じる防犯用の窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、サッシ枠のレール上に移動可能に支持され、レール上を進退して開閉する窓、或いはヒンジによって枢動可能に支持され、押し引きすることにより開閉する窓において、該窓を開閉させる作動機構と、窓の屋外側に設置され、窓からの侵入者を検知する第1のセンサーと、侵入者を検知した該第1のセンサーからの出力により窓を閉じるように前記作動機構を作動させる制御装置とからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、窓を閉じた状態でロックするロック機構を有し、前記制御装置は、作動機構を作動して窓を閉じたのち、ロック機構を制御して窓をロックすることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、作動機構は、ボールネジと、該ボールネジを回転させるモータと、前記ボールネジに螺着されると共に、前記窓に連結されるナットよりなるボールネジ機構よりなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3に係る発明において、前記制御装置は前記第1のセンサーからの出力により警報音の発生装置及び若しくはライトの点灯装置に出力させ、警報音及び若しくはライトを点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、開いた窓より侵入者が侵入しようとすると、第1のセンサーがそれを検知して窓が自動的に閉まるようになり、就寝中、或いは家を留守にしていて窓が開いたままになっていても、開いた窓からの侵入者の侵入を防止し、防犯効果を挙げることができる。
【0011】
請求項2に係る発明においては、窓が閉じると、ロックされ、窓が開かなくなって侵入者の侵入を防ぐことができる。
【0012】
請求項3に係る発明においては、窓はモータを起動してボールネジを回転駆動させない限り開閉することはなく、したがってロック機構を別に設けなくても窓は閉じた状態でロック状態となり、侵入者の侵入を防ぐことができる。
【0013】
請求項4に係る発明によると、開いた窓より侵入者が侵入しようとすると、窓が自動的に閉まると共に、警報音が発生したり、ライトが点灯し、防犯効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る防犯用窓の模式図。
【図2】図1のA−A線での断面図。
【図3】クランプの別の例の正面図。
【図4】窓を閉じた状態に係止する係止レバーの正面図。
【図5】窓をロックするロック機構の部分断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、ガラス戸よりなる左右の窓1A、1Bよりなり、各窓1A、1Bはそれぞれ、鋼ないしアルミサッシよりなる矩形の窓枠2と、該窓枠2に嵌められる窓ガラス3より構成され、各窓1A、1Bはそれぞれ図2に示すサッシ枠4のレール4Aに移動可能に支持され、開閉可能となっている。サッシ枠4の下縁には、該下縁に沿って断面角パイプ状の上面を開口した筐5が固着され、該筐内にはモータ6により回転駆動されるボールネジ7が筐5の長手方向に沿って回転可能に軸支されている。そして前記前記ボールネジ7に螺着され、かつ筐5内にスライド可能であると共に、回転不可に装着されたナット8がボールネジ7の回転によりボールネジ7に沿って筐5内を進退するようになっており、前記モータ6、ボールネジ7及びナット8よりなるボールネジ機構が請求項1に係る発明の作動機構の1例を構成している。
【0016】
なお、前記筐5はサッシ枠4とは別体をなしてサッシ枠4に添設されるようにしてもよいが、好ましくはボールネジ機構と共にサッシ枠4にビルトインして一体形成される。
【0017】
前記ボールネジ7は長手方向の一半を左ネジ、他半を右ネジに構成し、ボールネジの一方向の回転により両窓1A、1Bが閉じ、ボールネジの逆方向の回転により両窓1A、1Bが開くように構成するのが望ましい。
【0018】
ボールネジ機構よりなる前記作動機構の別の例としては、ピニオンラック機構、エアシリンダー等の往復直線運動機構を例示することができる。
【0019】
ボールネジ機構を構成する前記ナット8は、窓1Bの窓枠2を構成する上下の横枠部分と、左右の縦枠部分のうち、一方の縦枠部分(図1においては、左右の窓を閉じたとき、互いに重なり合う側の縦枠部分2Bを示しているが、図示しない別の一側の縦枠部分であってもよい)を手動操作で左右より挟み込むことにより着脱可能に固定されるクランプ9とロッド11(図2)により連結され、前記ナット8がボールネジ7の回転によりボールネジ7に沿って進退すると、窓1Bが左右に移動して開閉するようになっている。
【0020】
図示するクランプ9は前記縦枠部分2Bを挟み込む一対のプレート9aと、両プレート9aを連結するボルト9bの突出端に捩じ込まれるナット9cよりなっているが、クランプ9は図示する構造に限定されるものではない。
【0021】
図3はクランプ13の別の例を示すもので、一対のプレート14のうち、一方のプレートは図示していないが、前記ナット8に固定され、他方のプレートは前記一方のプレート14より突設されるロッド15にスライド可能に取付けられている。そして他方のプレート14とロッド頭部15aとの間のロッド15にはコイルバネ16が装着され、コイルバネ16の作用に抗してプレート14間の間隔を拡げた状態で、前記縦枠部分2Bに嵌着したのちは、コイルバネ16の作用によりプレート14が前記縦枠部分2Bを挟着してクランプできるようになっている。図3に示すクランプ13を用いれば、前記縦枠部分2Bへの着脱を簡易に行うことができる。
【0022】
窓の屋外には、図示していないが、窓からの侵入者を検知する第1のセンサーが設けられている。この第1のセンサーは既知のもので、例えば赤外線の発光部と受光部よりなり、受光部への赤外線の受光が遮断されると、出力するタイプのもの、侵入者の踏み込みよる圧力上昇を検知する感圧センサー、侵入者の体温を検知する赤外線センサー等を用いることができる。
【0023】
前記ボールネジ機構のモータ6の起動停止を制御する制御装置16は、前記第1のセンサーからの出力信号によりモータ6を起動し、ボールネジ7を回転駆動して窓を開閉できるようになっている。
【0024】
前記第1のセンサーの出力によって制御装置16はまた、よく知られた構造の警報音発生装置のブザー及びライトの点灯装置に出力し、警報音を発生させると共に、ライトを点灯させるようになっている。
【0025】
前記窓1Aは、図4に示すように窓枠2の左右の縦枠部分のうち、一側(図1において左側)の縦枠部分に手動操作により係脱可能に係止する係止レバー18によって開くのが拘束されるようになっている。この係止レバー18は、一側が操作部18aになっていて、サッシ枠4、筐5又はサッシ枠5が取付けられる図示しない木枠等に起倒可能に軸支され、操作部18aの操作により係止レバー18を図の実線位置に倒すと、係止レバー先端が窓枠3の縦枠部分2Bに係止して窓1Aが開くのを拘束できるようになっており、係止レバー18を図4の一点鎖線で示すように起すと、係止レバー先端が窓1Aの縦枠部分2Bより離間して窓1Aの拘束を解除し、窓1が自由に開閉できるようになっている。
【0026】
窓1Aが開かないようにする構成としては、以上のほか、例えば図5に示すように窓枠2の適所に横向きのスリット21を備えた突片22を側方に突出して設けると共に、中間部を例えばサッシ枠1或は該サッシ枠1が取付けられる木枠に回動可能に軸着したベルクランク状のロックレバー23と、前記制御装置16により制御されるソレノイド24を設け、該ソレノイド24の励磁により図5の一点鎖線に示すように突出するピン25がロックレバー23の一側を押し込んで、ロックレバー他端部を前記スリット21に乾挿させ、これにより窓1Aをロックする機構を用いることができる。
【0027】
本実施形態の窓によると、開いた窓1Bより侵入者が侵入しようとし、これを第1のセンサーが検知すると、制御装置16がモータ6を起動し、窓を閉じると共に、ブザーにより警報音を発生させ、かつライトを点灯させる。
【0028】
窓1Bはモータ6を起動してボールネジ7を回転駆動する以外、窓1Bを押し引きして直接開閉することはできないため、窓1Bが閉じると、外部から窓1Bを開くことはできず、窓1Bを壊す以外、窓からの侵入は阻止される。なお窓1Bを閉じたのちのモータ6の駆動停止は、窓を閉じたときのセンサーからの出力により、或いはモータ6の出力がしきい値を越えたとき、制御装置16からの出力により行われる。
【0029】
以上は、窓1Bを開閉する作動機構としてボールネジ機構を使用した例を示したが、窓1Bを開閉可能で、窓を閉じたのちでも開くことができ機構、例えばピニオンラック機構を用いる場合には、窓1Bを閉じたのちに、侵入者が窓を開くことができないようにするロック機構を設けることが望まれる。このロック機構としては、例えば図4に示すような係止レバー18の起倒をソレノイドやエアシリンダー、その他のアクチュエイターによって行う機構や、図5に示すようなロック機構を用いることができる。
【0030】
前記ロック機構による窓1Bのロックは、窓1Bを閉じたのちに行われ、そのため窓1Bを閉じたとき、これを検出する第2のセンサー、例えばタッチセンサーを設け、該第2のセンサーからの出力により前記制御装置16が前記ソレノイドその他のアクチュエイターを作動させるようにする。
【0031】
前述の実施形態は、本発明を両窓1A、1Bが共にスライドして開閉する引き違いタイプの窓に適用した例を示すものであるが、開閉する窓が一つのものや、窓が押し引きにより観音開きするタイプのもの、1つの窓よりなって押し引きにより開閉するタイプのもの等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1A、1B・・窓
2・・窓枠
2A、2B・・縦枠部分
3・・窓ガラス
4・・サッシ枠
5・・筐
6・・モータ
7・・ボールネジ
8・・ナット
9、13・・クランプ
16・・制御装置
18・・係止レバー
21・・スリット
22・・突片
23・・ロックレバー
24・・ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠のレール上に移動可能に支持され、レール上を進退して開閉する窓、或いはヒンジによって枢動可能に支持され、押し引きすることにより開閉する窓において、該窓を開閉させる作動機構と、窓の屋外側に設置され、窓からの侵入者を検知する第1のセンサーと、侵入者を検知した該第1のセンサーからの出力により窓を閉じるように前記作動機構を作動させる制御装置とからなることを特徴とする防犯用の窓。
【請求項2】
窓を閉じた状態でロックするロック機構を有し、前記制御装置は、作動機構を作動して窓を閉じたのち、ロック機構を制御して窓をロックすることを特徴とする請求項1記載の防犯用の窓。
【請求項3】
作動機構は、ボールネジと、該ボールネジを回転させるモータと、前記ボールネジに螺着されると共に、前記窓に連結されるナットよりなるボールネジ機構よりなることを特徴とする請求項1記載の防犯用の窓。
【請求項4】
前記制御装置は前記第1のセンサーからの出力により警報音の発生装置及び若しくはライトの点灯装置に出力させ、警報音及び若しくはライトを点灯させることを特徴とする請求項1ないし3記載の防犯用の窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104174(P2013−104174A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246693(P2011−246693)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(597119323)有限会社バン.ウォーク (1)
【Fターム(参考)】