説明

防犯用蓄光剤噴射装置

【課題】強盗行為などを行った犯人が店舗の出入り口から逃走するとき、SWの操作によって犯人に目印になる蓄光剤を自動的に吹き付け、犯人の早期逮捕を支援すること。
【解決手段】噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射ボンベを、ボンベホルダーに装填する。平常時はボンベホルダーをロック状態にし、噴射ボンベを閉栓状態にして待機位置に保持する。ボンベホルダーが待機位置にあるとき、LEDからなる励起光源は噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与えて蓄光させる。犯罪行為が発生した非常時には、ロック状態を開放し、噴射ボンベを噴射位置に案内して開栓状態にする。こうして動作信号が入力されると、出入口から逃走する犯人に対して、1秒以内に液状又は泡状の蓄光剤を噴射させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強盗行為などを行った犯人が施設の出口から逃走するとき、犯人に目印になる蓄光剤を噴きつけ、犯人の早期逮捕を支援するための防犯用蓄光剤噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアや金融機関の店内に強盗犯人が押し入ったとき、蛍光塗料などの落ちにくい塗料を強盗犯人に付着させて、その後強盗犯人の追跡の手がかかりとする方法がある。この塗料を強盗犯人に付着させる方法の1つとして、カラーボールを用いる方法がある。カラーボールは、物又は人にぶつけると、ボールが破裂して中から塗料が飛び出すものである。
【0003】
また他の方法として、遠隔操作により強盗犯人に向けて塗料を噴射する噴射装置がある。この噴射装置は、電源スイッチなどによる遠隔操作によって、出入口に設けた噴射口から塗料を噴射するものである。この方法の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
図1に示すように、銀行などの建物11に来客用のカウンタ12があるものとする。建物11の一部に出入口13があり、そこには自動ドア14が設けられている。この場合玄関スペース15の壁16に防犯用噴射装置SPが埋め込まれている。犯人が強盗行為をして出入口13から逃走するとき、店員が図示しないスイッチを操作して玄関スペース15で塗料を噴射するようになっている。
【0005】
いずれの場合も、塗料を手がかりに強盗犯人を特定するものである。上記のような犯罪行為が夜間に行われた場合、塗料の付着を目立ちやすくするため、蛍光剤や蓄光剤を用いる方法がある。犯人の身体の一部に蓄光剤が浴びせかけられ、犯人が拘束されたとする。このとき紫外光を含む励起光を照射すると、蓄光剤が励起されて残光し、犯人が暗闇にいても塗料の付着が容易に確認できる。このような用途に利用できる防犯用マーキングスプレーが特許文献2に開示されている。
【0006】
図2は上記したマーキング塗料を噴射できる防犯用マーキングスプレー20の一部を破断した斜視図である。マーキングスプレー20は、本体部21としてのマーキング液24及び噴射剤25、これらを含むスプレー容器22、噴出ボタン23、ノズル26、キャップ27から成る。マーキング液は蛍光性又は蓄光性を有する成分を含む。キャップ27を外して噴出ボタン23を押すと、マーキング液24がノズル26の先端から噴出する。マーキング液24が蛍光性又は蓄光性を有するので、紫外線などを照射すると、マーキング液自身が発光し、暗闇でも認識できる。
【0007】
このような防犯用マーキングスプレー20は小型であり、それ自身で噴射機能が発揮されるので、常備品として、また緊急時用として、被害者になる恐れのある人が身の回りに携帯して外出できる。
【0008】
前述したカラーボールの場合、強盗犯人に対して遠くからカラーボールを投げつけた場合、命中率が低く、必ずしもカラーボールが犯人に当たるとは限らない。また強盗犯人に投げつけて当たったとしても、店員と強盗犯人との距離が近い場合、店員が危険にさらされることがある。例え命中しても、カラーボールの破裂状態にばらつきが生じ、衣服に塗料が付着しているのか否かの区別がはっきりしない場合がある。
【0009】
また前述した噴射装置の場合、例え噴射溶液が蓄光剤であっても、予め蓄光剤が紫外線などて励起されていないため、犯人が暗闇の店外に出たときは蓄光剤が自ら発光しない。このため犯人を特定することは困難であり、犯人を見失う可能性が高い。
【0010】
また特許文献1で開示されている防犯用スプレー装置は、玄関の壁16に埋め込む装置であるため、建物の内装を含む設備費が高くつく。従ってこの噴射装置は、既存の建物、例えば開店中のコンビニエンスストアへの取り付けには不向きである。
【0011】
また前述した防犯用マーキングスプレー20の場合は、被害者が直接犯人に向けて噴射しなければならない。コンビニエンスストアや金融機関の店内に強盗犯人が押し入ったとき、店員が即座に防犯用マーキングスプレー20を取り出せるとは限らない。また店員の危機管理の意識がまちまちで、犯罪行為が発生しても、店員が犯罪に気がつくまでの時間が状況によってはばらつく。また強盗や犯罪行為のパターンも様々である。店員が犯罪行為に気がついたとき、犯人は既に出入口から逃走体制に入っていることが多い。このため、例え防犯用マーキングスプレー20を取り出したところで、犯人の場所までスプレー液が届かない。
【0012】
またいずれの方法であっても、普通の塗料を用いる限り、夜間に強盗行為が行われて犯人が暗闇の店外にでた場合、塗料の付着が確認されにくく、犯人の姿が見えにくいので、犯人を見逃してしまうことが多い。
【特許文献1】特開2001−101536号
【特許文献2】実用新案登録第3071086号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、液状又は泡状の蓄光剤を犯罪行為者に対して高い確率で自動的に且つ高速に付着させることのでき、且つ噴射機構が簡単で、メンテンスが容易であり、装置の価格が安価であり、噴射機能の経年変化のない防犯用蓄光剤噴射装置を提供することを目的とする。
【0014】
このため開発のポイントを以下のように設定した。
1:噴射ボンベ(以下、ボンベという)は液状又は泡状の噴射方式を用いる。この方が純粋液と比較して付着効果が大きい。粉体の噴射方式もあるが、この方式では風で拡散しやすく、付着が散漫になり易い。また蓄光剤に対する予備蓄光が困難である。
2:ノズルの詰まりや蓄光液の沈着防止のため、実際の稼動時にボンベを反転させるようにする。このため、ボンベとボンベホルダーの自重を利用して回転トルクを発生させ、そのトリガー機構としてソレノイドやリンクレバー等を用いる。
3:既存の店舗が容易に採用できるよう、装置の価格が安価になる機構を採用する。このため、一回の噴射で動作が終了する機構を用い、そのボンベは使い捨て方式とする。従って再度の動作をさせる場合、ボンベを交換してボンベホルダーの姿勢を手動で初期状態に戻すようにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するために、本発明の防犯用蓄光剤噴射装置は、逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射容器を噴射ボンベとするとき、ロック状態では前記噴射ボンベを閉栓状態にして待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたときは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内して開栓状態にするボンベホルダーと、前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とするものである。
【0016】
この課題を解決するために、本発明の防犯用蓄光剤噴射装置は、逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射容器を噴射ボンベとするとき、ロック状態では前記噴射ボンベを閉栓状態にして待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたときは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内して開栓状態にするボンベホルダーと、前記噴射ボンベを装脱する装填位置に前記ボンベホルダーを保持する安全防止ロック部と、前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、前記作動ロック部に対してロック解除の動作信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とするものである。
【0017】
この課題を解決するために、本発明の防犯用蓄光剤噴射装置は、逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射ボンベと、前記噴射ボンベのノズル部を押圧する噴射レバーを有し、ロック状態では前記噴射ボンベを待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたきは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内するボンベホルダーと、前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、前記ボンベホルダーが待機位置及び装填位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の閉栓位置に保持し、前記ボンベホルダーが噴射位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の開栓位置に回動させるアクチュエータ部と、前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とするものである。
【0018】
この課題を解決するために、本発明の防犯用蓄光剤噴射装置は、逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射ボンベと、前記噴射ボンベのノズル部を押圧する噴射レバーを有し、ロック状態では前記噴射ボンベを待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたきは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内するボンベホルダーと、前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、前記噴射ボンベを装脱する装填位置に前記ボンベホルダーを保持する安全防止ロック部と、前記ボンベホルダーが待機位置及び装填位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の閉栓位置に保持し、前記ボンベホルダーが噴射位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の開栓位置に回動させるアクチュエータ部と、前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とするものである。
【0019】
ここで前記制御回路部は、起動信号を与える操作スイッチと、噴射対象が特定の場所を通過したことを検出して通過信号を発生する人感センサーとを有し、前記操作スイッチから起動信号が入力された後、前記人感センサーから通過信号が入力されたときにのみ、前記作動ロック部に対して前記動作信号を与えるようにしてもよい。
【0020】
ここで前記アクチュエータ部は、前記噴射装置本体の筐体に固定された円盤状の部材であって、外周面に略同一曲率半径の摺動面が形成され、前記摺動面の一部に切り欠きが設けられたカムと、先端に前記カムの摺動面に従動するカムフォロワーを持つヒンジ連結レバーと、前記ヒンジ連結レバーを前記カムの摺動面に従動させる与圧を与えるスプリングと、を具備し、前記カムフォロワーが前記カムの切り欠きに入ったとき、前記ボンベホルダーの噴射レバーを前記開栓位置に移動させるようにしてもよい。
【0021】
ここで前記励起光源は、少なくとも紫外線を発光するLEDとしてもよい。
【0022】
ここで前記噴射ボンベは、透明の容器に蓄光体を含む溶液及び圧縮ガスが充填されたものとしてもよい。
【0023】
ここで前記噴射ボンベは、待機位置で前記蓄光体を含む溶液が容器の下側に位置し、噴射位置では前記ノズル部が下方向に向けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、液状又は泡状の蓄光剤を予め励起しておき、強盗犯罪行為があったときは、店舗などの出入り口から犯人に向けて蓄光済みの蓄光剤を付着させることができる。このため夜間でも犯人の追跡が容易になる。また噴射装置に人感センサーを接続し、この人感センサーを出入口に取り付けることにより、店舗の店員が強盗行為に気がついて噴射装置の起動スイッチを操作したとき、犯人が出入口などの有効射程範囲に入ったタイミングで噴射装置を動作させ、犯人に対して蓄光剤を確実に付着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態における防犯用蓄光剤噴射装置について説明する。図3は防犯用蓄光剤噴射装置30のシステム構成図である。防犯用蓄光剤噴射装置は噴射装置本体31、電源部を含む制御回路部32、操作スイッチ33、センサー34を含んで構成される。操作スイッチ33は、店員が犯罪行為を発見し、犯人が逃走すると判断したときに店員が操作するスイッチである。操作スイッチ(SW)33はカウンタに取り付けるのがよい。詳しくは、操作スイッチ33の位置は、レジスタの付近やカウンタテーブルの裏面が望ましく、誤操作されない場所がよい。この操作スイッチ33は、噴射装置本体31のプリセットを行うものであって、出入口36に取り付けたセンサー34からの通過信号によって制御回路部32が動作し、実際の噴射タイミングが決定される。これは強盗犯人が犯罪行為をしてから、店外に逃走するには時間差があり、ボンベの有効噴射時間が短いことにも関係する。
【0026】
図4は、防犯用蓄光剤噴射装置の取り付け位置を示す概念図である。コンビニエンスストア35の出入口36の天井部分37に噴射装置本体31を取り付ける。また防犯用蓄光剤噴射装置の操作スイッチ33をカウンタに取り付ける。なおセンサー34を取り付けない場合は、操作スイッチ33の起動信号によって噴射装置本体31が動作する。またセンサー34を設ける代わりに、出入口36のドアの開放と連動するようにしてもよい。自動ドアの場合は、その駆動ユニットの信号を用い、手動ドアの場合はリミットSWの信号を用いることができる。
【0027】
本実施の形態では、蓄光剤は予め紫外線を含む励起光で励起しておく。これは蓄光剤の噴射と同時に、強盗犯人の衣服、頭髪、その他の身体部分に付着した場合、暗闇であっても即座に付着を識別できるからである。通常、噴射装置本体内のボンベは、ノズル部分は上になるように傾斜してボンベホルダーに保持する。蓄光剤を平面的に塗布した蓄光パネルと異なり、本実施の形態ではボンベ内に蓄光体が液体で詰まった状態になっている。このため励起光を照射しても、ボンベの中心部の蓄光体には励起光が届きにくい。従ってその分、励起光の光量を増加させねばならない。
【0028】
このため、ボンベと励起光源であるLEDとの位置関係、及びLEDの設置個数などについて検討した。図5はボンベ44とLED41との位置関係を示す説明図である。基本的には図5(a)、(b)に示すように、ボンベの外周の軸対照となる位置から蓄光剤を励起することが好ましい。そこでLEDの配置箇所、数の組み合わせとして、片側3個、両側3個の計6個、両側2個の計4個における蓄光効果を検討した。またボンベとLEDとの距離として、10mm、20mm、30mmの場合の蓄光効果を検討した。その結果、3つのLEDを用い、3つのLEDからボンベの外壁までの距離を夫々10mm、20mm、30mmとした。
【0029】
次に蓄光剤の照射時間と残光時間との関係を調べた。図6は照射時間及び残光時間と、残光量照度との関係を示す特性図である。ここでは照射時間Tsとして、15秒、30秒、60秒、5分、10分、60分、120分の場合の残光量照度を調べた。LEDによる照射時間を120分とした場合、120分までの照射時間における残光量照度を調べると、曲線K1のようになる。120分で励起を中止すると、残光時間Tzと残光量照度との関係は曲線K2のようになる。
【0030】
このような特性から判断して、残光量照度は100分程度の照射で飽和することがわかる。また飽和値をLmとすると、100分以上の照射後では、飽和値Lmの1/3程度の残光照度L0が得られる。この残光照度に応じたマーキングが犯人の身体から識別できる。
【0031】
本実施の形態における噴射機構を主体とする噴射装置本体の構造について、図7を用いて説明する。図7(a)は、噴射装置本体の横側面図であり、図7(b)は背部側面図である。図7において噴射装置本体は、小型の本体ケース42と透明の蓋43に噴射機構が内蔵されたものとなっている。本実施の形態では本体ケース42はアルミニュームの板金製とするが、樹脂を用いた成型品でも良い。蓋43を透明としたのは、噴射機構を目視可能とし、ボンベの状態を点検容易にするためである。
【0032】
ボンベ44の概観図を図8に示す。ホンベ44は、ボンベ本体44a、ボンベキャップ44b、ノズル44c、ノズルガイド45からなり、ボンベ本体44aの内部には溶剤を含む蓄光剤、圧縮ガスが充填されている。溶剤を含む蓄光剤、圧縮ガスをエアゾルともいう。ボンベ本体44aは透明なガラス成型品であり、防爆対策として透明な樹脂フィルムでラップされている。ノズルガイド45は、ストレートパイプ製のノズル44cに対して外部から押圧力を与えるもので、圧入によりノズル44cと一体になり、ノズル部が形成される。ノズルガイド45の外形形状は富士山状であり、その平均外径は後述する噴射レバーの開口部の径より大きい。ノズル44c又はノズルガイド45に30N以上でストロークが3mmの押圧力を与えると、ボンベ44は開栓状態となる。
【0033】
図7に示すように、噴射機構は大別してボンベホルダー46、作動ロック部47、アクチュエータ部48、安全防止ロック部49、アーム50から構成される。ボンベホルダー46は、ボンベ44を保持して待機位置と噴射位置とに回動するホルダーである。なお安全防止ロック部49がロック状態にあるとき、作動ロック部47がロック解除状態になっても、ボンベホルダー46は待機位置から噴射位置に至る途中のロック位置に保持される。このロック位置をボンベの充填位置ともいう。
【0034】
ボンベホルダー46単体の構造図を図9に示す。ボンベホルダー46は、ホルダー46a、噴射レバー46b、噴射レバー用のヒンジ部46c、ボンベ押さえ46d、ボンベ押さえのヒンジ部46e、係止片46fを有している。ホルダー46aはボンベ44の外周部を保持するものであり、同軸の2つの回転軸46gを有している。一方の回転軸46gは、本体ケース42に固定されたアーム51に軸支され、他方の回転軸46gは後述するカム48aに軸支される。
【0035】
噴射レバー46bは、ホルダー46aに対してヒンジ部46cを介して第1位置又は第2位置に回動する板状部材である。噴射レバー46bは、第1位置でボンベ44のノズルガイド45を開放してボンベ44を閉栓状態にし、第2位置でノズルガイド45を強く押圧することにより、ボンベ44を開栓状態にする。第1位置における噴射レバー46bの押圧力と、第2位置における噴射レバー46bの押圧力とは、共に一端がホルダー46aの一部に係合されたコイルスプリング(図示せず)の引張力によって保持される。噴射レバー46bには、ボンベ44のノズル44cの外径より大きく、ノズルガイド45の有効外径と同等の径を有する開口が設けられる。
【0036】
ヒンジ部46cは、ホルダー46aに対して噴射レバー46bを回動自在に保持するもので、ここでは蝶番が用いられる。なおホルダー46aと噴射レバー46bとを樹脂で一体成形する場合、支点部分の肉厚を薄くすることにより、ヒンジ部46cも一体成形できる。
【0037】
ボンベ押さえ46dは、ホルダー46aに対してヒンジ部46eを介してボンベ44のボトム部を柔軟に保持する板状部材である。ボンベ押さえ46dには、ボンベ44の長さのばらつき、ボンベ44の形状の相違に追随できるよう、樹脂製のパッドが取り付けられる。長さのばらつきに対してはパッドの弾性変形で吸収でき、形状の相違にはパッドの厚みを変更することで対応できる。
【0038】
ヒンジ部46eは、ホルダー46aに対してボンベ押さえ46dを回動自在に保持するもので、ここでも蝶番が用いられる。なおホルダー46aとボンベ押さえ46dとを樹脂で一体成形する場合、噴射レバー46bの場合と同様、ヒンジ部46eもホルダー46aと一体成形できる。ホルダー46aに取り付けられた係止片46fは、待機時のホルダー46aにおいて、後述する作動ロック部のラッチレバーと係合する部材である。
【0039】
次にアクチュエータ部48について、図10(a)、(b)、(c)を用いて説明する。アクチュエータ部48は、カム48a、カムフォロワー48b、カムフォロワー用のスプリング48c、ヒンジ連結レバー48d、ピン48eを有している。カムe48aは円盤状の部材であり、その外周側面は同一回転半径を有する摺動面となっている。カム48aの中心を原点とし、正規の姿勢で取り付けられた噴射装置の鉛直方向をy軸とし、水平方向をx軸とし、原点を中心として+x軸からの回転角をθする。θ=(−90°+Δ)からCW方向のθ=(+270°−Δ)の範囲では、原点から見た摺動面の半径は一定である。そしてθ=(+270°−Δ)からθ=(−90°+Δ)までの範囲では切り欠き48fが設けられている。この切り欠き48fの深さは摺動面から見てD1とし、切り欠き48fの幅はD2とする。
【0040】
図10(a)は待機位置を示し、図10(b)はロック位置(ボンベの装填位置)を示し、(c)は噴射位置を示す。カムフォロワー48bは低摩擦係数を持つ樹脂製で、その断面が凸状の部材である。凸部の幅はD2より狭く、長さはD1より少し短い。ヒンジ連結レバー48dは、カムフォロワー48bと一体となるよう連結され、ピン48eに一端が取り付けられたスプリング48cによってカム48aの中心方向に引っ張られている。なお、カムフォロワー48bとヒンジ連結レバー48dとは、樹脂による一体成形で実現できる。
【0041】
図10(a)の待機位置では、カムフォロワー48bがθ=15°の位置にあり、カムフォロワー48bの凸部がカム48aの摺動面に乗っている。図10(b)のロック位置でも、カムフォロワー48bの凸部がカム48aの摺動面に乗っている。図10(c)の噴射位置では、カムフォロワー48bがθ=−90°の位置にある。この位置では、ヒンジ連結レバー48dがスプリング48cの強い引張力を受け、カムフォロワー48bの凸部がカム48aの切り欠き48fに嵌り込む。
【0042】
作動ロック部47について、図11を用いて説明する。作動ロック部47はラッチレバー47a、ソレノイド47b、リンクレバー47c、復帰スプリング47dを含んで構成される。作動ロック部47は待機状態にあるボンベホルダー46を、ソレノイド47bの通電により噴射位置まで回動させるため、ロックの解除を行うものである。ソレノイド47bは例えばDC駆動タイプとし、ACアダプターと起動スイッチにより直流電源が供給されることにより、引き込み動作をする。復帰スプリング47dは一端がピンを介して本体ケース42に固定され、他端はリンクレバー47cに係合し、図11の右側にリンクレバー47cを引き寄せている。ラッチレバー47aは、一端がリンクレバー47cと係合し、軸47eにより回動自在に保持されている。ラッチレバー47aの一部には係合凹部47fが形成され、ボンベホルダー46の係止片46fと待機位置で係合する。
【0043】
安全防止ロック部49について、図12を用いて説明する。安全防止ロック部49は、ケース49a、リリースレバー49b、ストッパ用パッド49c、解除用シャフト49dを含んで構成される。安全防止ロック部49は、ボンベホルダー46をボンベの装填位置に保持するものである。新しいボンベ44をボンベホルダー46に装填するとき、ノズルガイド45を不用意に押したり、ボンベホルダー45が噴射位置に不用意に来ると、蓄光剤が噴射する恐れがある。これを防止するため、安全防止ロック部49が設けられる。蓋43が開いて状態ではボンベ44が噴射位置にまで回転しないように、リリースレバー49bがボンベホルダー46の背後を押圧して制止する。リリースレバー49bは図示しないコイルスプリングにより、紙面の手前方向に引き寄せられている。蓋43が閉まると、解除用シャフト49dが押され、リリースレバー49bは紙面の裏方向に押されて、この位置でのロックが解除される。
【0044】
本体ケース42には図7(a)に示すように励起光源52が設けられている。図13(a)は励起光源52の平面図であり、図13(b)は側面図である。励起光源52はLED基板52aに複数個のLED52bが取り付けられたもので、紫外光を含む励起光をボンベ44内の蓄光剤に放射する。
【0045】
以上のように構成された防犯用蓄光剤噴射装置について、噴射機構を主体とする動作説明をする。ボンベを装填するには、まず蓋43を開く。このとき図12に示す解除用シャフト49dは、その片端が蓋43に当接しなくなり、開放される。次にリリースレバー49bがスプリングの引張力によって紙面の手前方向に持ち上げられる。
【0046】
初期状態の防犯用蓄光剤噴射装置において、ボンベ44がまだボンベホルダー46に充填されていなく、アクチュエータ部48は図10(a)の位置にあるとする。ユーザは図3の操作スイッチ33をオンにする。すると図3の制御回路部32に起動信号が与えられ、且つセンサー34から犯人の通過信号が与えられると、ソレノイド47bが短時間励起される。この後直ちに、図7又は図11の作動ロック部47が動作し、ラッチレバー47aがCCW方向に回動する。なお、制御回路部32の電源をオフにし、手動で作動ロック部47を動かしても良い。
【0047】
次に手動でボンベホルダー46をCW方向に回動させる。このときアクチュエータ部48は図10(b)の位置まで回動し、図12のリリースレバー49bの先端に当接して停止する。この状態でノズルガイド45が取り付けられたボンベ44をボンベホルダー46に装填する。次に手動でボンベホルダー46をCCW方向に回動させ、アクチュエータ部48を図10(a)の待機位置に移動させる。このときは既にソレノイド47bがオフ状態なので、ボンベホルダー46の係止片46fが図11に示すラッチレバー47aの係合凹部47fと係合する。こうしてボンベ44を装填したボンベホルダー46が待機位置にロックされる。この状態を図14に示す。
【0048】
図3の制御回路部32が商用電源に接続されているので、励起光源52のLEDが発光し、紫外線や可視光が出力される。ボンベ本体44aは透明なガラス製なので、紫外線や可視光がこの位置のボンベ本体44aに入射される。こうして蓄光剤が励起されて蓄光する。
【0049】
次にコンビニエンスストアなどの店舗に強盗犯人が押し入り、犯人がレジスタの現金を強奪したり、商品を万引きしたとする。店員がこの強盗行為に気がつき、説得を行うもこれに応じず、現金や商品を持ち逃げする場合を想定する。このとき店員はすぐさま操作スイッチ33をオンにする。このやがて犯人が図4に示すように出入り口36から逃走しようとすると、図3のセンサー34が犯人の通過を検出する。このセンサー34は検知物体の方向を識別可能な人感センサーとし、ドアが開いて外から正規の客が入っても動作せす、店内から外に出る人にのみ通過信号を出力する。この通過信号によって制御回路部32が動作し、図7又は図11のソレノイド47bが短時間オンになる。この後の噴射機構の状態を図15に示す。
【0050】
次にホンベ44を保持したボンベホルダー46の自重により回転モーメントが生じる。このため、ボンベホルダー46が回転軸46gを中心としてCW方向に回動する。蓋43が締められているので、安全防止ロック部49が動作せず、アクチュエータ部48は図10の(c)の位置、即ちボンベホルダーe2は図16(a)、(b)に示す状態となる。(a)は噴射装置本体の横側面図であり、(b)は背部側面図である。このときはスプリング48cの引張力で、カムフォロワー48bがカム48aの切り欠き48fに素早く嵌り込む。このため、図9又は図16(b)に示す噴射レバー46bによって、ボンベ44のノズルガイド45が強く押される。この後、ボンベ内のガス圧により、蓄光剤が泡状または霧状に噴射される。そして犯人の頭部又は衣服には蓄光剤が降りかかる。
【0051】
このような強盗行為が夜間に行われ、犯人が暗闇に逃走しても、蓄光剤自身が特殊な色で残光しているので、第3者又は通報を受けた警察官が犯人を捕まえ易くなる。
【0052】
再度、防犯用蓄光剤噴射装置を使用可能にセットするには、蓋43を開いて、噴射レバー46bをCW方向に強く押し、ボンベホルダー46をCCW方向に回動させ、図17(a)、(b)に示す状態にロックすればよい。この状態では、ボンベ44の周辺部が開放されているので、ユーザがボンベ44を容易に取り外すことできる。
【0053】
以上の実施の形態では下記の仕様(数値)が得られた。尚、各仕様における数値は、噴射装置本体の設置箇所によって変更される。
1−1:放射能力として、高さ2.5mから蓄光剤を放出して、床面でφ1m以上の放射範囲が得られた。
1−2:放射時間を20秒程度である。
1−3:ボンベの容積を100ccとし、ボンベ内の含有物は、蓄光原液70g、イオン水10g、圧縮性の高圧ガスとした。
1−4:ホンベのノズルに関して、ストロークは3mm、開栓に必要な押圧力は約30Nである。
【0054】
本発明の防犯用蓄光剤噴射装置によれば、次のような効果が得られる。
2−1:液状、泡状の蓄光剤を噴射する噴射装置を、店舗などの出入り口に防犯用として設置することにより、確実に蓄光剤を犯人に付着させることができる。
2−2:予め励起光源により蓄光された蓄光剤を噴射させることにより、夜間でも犯人の追跡が容易になる。
2−3:蓄光剤の励起光源として紫外線用のLEDを使用することにより、励起光源の長寿命化を図ることができる。
2−4:待機状態では噴射ボンベの溶液が、ノズル部に進入しないような角度でボンベを維持するので、液状、泡状のエアゾールを噴射する際のノズル部の詰まりを防止することができる。そして噴射時にはボンベホルダーを回転動作させ、ノズル部を下向きの噴射方向、即ち犯人の方向に向けることにより、噴射ミスを少なくすることができる。
2−5:噴射装置に人感センサーを設けることにより、店舗の店員が強盗行為に気がついて噴射装置の起動スイッチを操作したとき、犯人が有効射程範囲に入ったタイミングで噴射装置を動作させ、犯人に対して確実に蓄光剤を付着させることができる。
2−6:透明の容器(ボンベ)を用いて噴射の前に蓄光剤を蓄光(励起)しておくことで、蓄光した状態の蓄光剤が犯人の体に付着させることができる。このため、暗闇においても犯人を容易に見分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来例における防犯用スプレー装置の構成図である。
【図2】従来例におけるマーキングスプレーの一部切り欠き概観図である。
【図3】本発明の防犯用蓄光剤噴射装置のシステム構成図である。
【図4】噴射装置本体の取り付け例を示す説明図である。
【図5】ボンベと励起光源との位置関係を示す配置図である。
【図6】蓄光剤の照射時間と残光量照度との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の噴射装置本体の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の防犯用蓄光剤噴射装置に用いられるボンベの外観図である。
【図9】噴射装置本体に用いられるボンベホルダーの構成図である。
【図10】噴射装置本体に用いられるアクチュエータ部の動作原理図である。
【図11】噴射装置本体に用いられる作動ロック部の構成図である。
【図12】噴射装置本体に用いられる安全防止ロック部の構成図である。
【図13】噴射装置本体に用いられる励起光源の構成図である。
【図14】噴射装置本体の待機状態を示す側面図である。
【図15】噴射装置本体のロックが外れかけた状態を示す側面図である。
【図16】噴射装置本体の噴射状態を示す側面図である。
【図17】噴射装置本体のロック状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
30 防犯用蓄光剤噴射装置
31 噴射装置本体
32 制御回路部
33 操作スイッチ
34 センサー
35 店舗(コンビニエンスストア)
36 出入口
37 天井
41 LED
42 本体ケース
43 蓋
44 ボンベ
46 ボンベホルダー
46a ホルダー
46b 噴射レバー
46c 第1のヒンジ部
46d ボンベ押さえ
46e 第2のヒンジ部
46f 係止片
46g 回転軸
47 作動ロック部
47a ラッチレバー
47b ソレノイド
47c リンクレバー
47d 復帰スプリング
47e 軸
47f 係合凹部
47g ピン
48 アクチュエータ部
48a カム
48b カムフォロワー
48c カムフォロワー用スプリング
48d ヒンジ連結レバー
48e ピン
49 安全防止ロック部
49a ケース
49b リリースレバー
49c ストッパ用パッド
49d 解除用シャフト
50 アーム
52 励起光源
52a LED基板
52b LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、
噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射容器を噴射ボンベとするとき、ロック状態では前記噴射ボンベを閉栓状態にして待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたときは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内して開栓状態にするボンベホルダーと、
前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、
前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、
前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とする防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項2】
逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、
噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射容器を噴射ボンベとするとき、ロック状態では前記噴射ボンベを閉栓状態にして待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたときは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内して開栓状態にするボンベホルダーと、
前記噴射ボンベを装脱する装填位置に前記ボンベホルダーを保持する安全防止ロック部と、
前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、
前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、
前記作動ロック部に対してロック解除の動作信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とする防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項3】
逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、
噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射ボンベと、
前記噴射ボンベのノズル部を押圧する噴射レバーを有し、ロック状態では前記噴射ボンベを待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたきは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内するボンベホルダーと、
前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、
前記ボンベホルダーが待機位置及び装填位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の閉栓位置に保持し、前記ボンベホルダーが噴射位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の開栓位置に回動させるアクチュエータ部と、
前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、
前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とする防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項4】
逃走経路付近に噴射装置本体が設置され、逃走が見込まれる犯罪者などの噴射対象に対して、蓄光剤を含むエアゾルを噴射して付着させることで、噴射対象を識別又は特定可能にするための防犯用蓄光剤噴射装置であって、
噴射用の蓄光剤溶液と圧縮性ガスを充填した噴射ボンベと、
前記噴射ボンベのノズル部を押圧する噴射レバーを有し、ロック状態では前記噴射ボンベを待機位置に保持し、前記ロック状態が開放されたきは、前記噴射ボンベを噴射位置に案内するボンベホルダーと、
前記ボンベホルダーを待機状態に留め、動作信号が与えられたときには前記待機状態のロックを解除する作動ロック部と、
前記噴射ボンベを装脱する装填位置に前記ボンベホルダーを保持する安全防止ロック部と、
前記ボンベホルダーが待機位置及び装填位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の閉栓位置に保持し、前記ボンベホルダーが噴射位置にある場合には、前記噴射レバーを前記ノズル部の開栓位置に回動させるアクチュエータ部と、
前記ボンベホルダーが待機位置にあるとき、装填された前記噴射ボンベ内の蓄光剤に対して紫外線を含む励起光を与える励起光源と、
前記作動ロック部に対してロック解除の起動信号を与える制御回路部と、を具備することを特徴とする防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項5】
前記制御回路部は、起動信号を与える操作スイッチと、噴射対象が特定の場所を通過したことを検出して通過信号を発生する人感センサーとを有し、
前記操作スイッチから起動信号が入力された後、前記人感センサーから通過信号が入力されたときにのみ、前記作動ロック部に対して前記動作信号を与えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ部は、
前記噴射装置本体の筐体に固定された円盤状の部材であって、外周面に略同一曲率半径の摺動面が形成され、前記摺動面の一部に切り欠きが設けられたカムと、
先端に前記カムの摺動面に従動するカムフォロワーを持つヒンジ連結レバーと、
前記ヒンジ連結レバーを前記カムの摺動面に従動させる与圧を与えるスプリングと、を具備し、
前記カムフォロワーが前記カムの切り欠きに入ったとき、前記ボンベホルダーの噴射レバーを前記開栓位置に移動させることを特徴とする請求項3又は4記載の防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項7】
前記励起光源は、少なくとも紫外線を発光するLEDであることを特徴とする請求項1〜4記載の防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項8】
前記噴射ボンベは、透明の容器に蓄光体を含む溶液及び圧縮ガスが充填されたものであることを特徴とする請求項3又は4記載の防犯用蓄光剤噴射装置。
【請求項9】
前記噴射ボンベは、待機位置で前記蓄光体を含む溶液が容器の下側に位置し、噴射位置では前記ノズル部が下方向に向けられることを特徴とする請求項8記載の防犯用蓄光剤噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−178595(P2006−178595A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369104(P2004−369104)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(504117176)シャープエンジニアリング株式会社 (2)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】