説明

防護柵とその緩衝構造ユニット及びこれを用いた改良方法

【課題】新設及び既設の防護柵において、緩衝構造の信頼性に優れ、現場での施工性を向上することができる緩衝構造ユニットを提供する。
【解決手段】所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に横ロープ材3を多段に設けた防護柵に用いる緩衝構造ユニット11である。この緩衝構造ユニット11は、支柱2,2間に設ける緩衝具取付材12と、この緩衝具取付材12に多段に設けられ緩衝具13と、この緩衝具13に把持され横ロープ材3に連結する緩衝ロープ材14とを備える。緩衝具取付材12と緩衝具13と緩衝ロープ材14とを組み立ててユニット化することにより、信頼性の高い製品が得られ、また、新設と既設を問わず、現場での施工性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪崩・落石等における防護柵とその緩衝構造ユニット及びこれを用いた改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防護柵として、地上に間隔を置き建て込んだ端末パイプ支柱及び中間パイプ支柱に複数段のケーブルとともに金網を張設したものや、適宜の間隔を置き建て込んだH型鋼の端末支柱及び中間支柱と、これら支柱間に張設した複数段のケーブル及び金網とを備えた防護柵(例えば特許文献1)が知られている。
【0003】
また、支柱間に設ける横ロープ材を把持し、該横ロープ材に加わる張力を横ロープ材の摩擦摺動により吸収するロープ用緩衝具(例えば特許文献2)が提案されており、この緩衝具はUボルトを備え、このUボルトを連結する連結部を、前記支柱に設けている。
【0004】
一方、多段に設けた横ロープ材の間隔を保持するために間隔保持材が用いられ、横ロープ材を固定する間隔保持材同士を摩擦連結した間隔保持装置(例えば特許文献3)がある。
【特許文献1】特開平7−197423号公報
【特許文献2】特開2003−313828号公報
【特許文献3】特開2002−356815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2のようは緩衝具を備えた防護柵は、その緩衝作用により落石などのエネルギー吸収効果に優れたものとなるが、Uボルトと把持具を備えた緩衝具を用いるため、防護柵の構造が複雑になる面がある。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の防護柵において、金網などが損傷し、補修工事を行なったとしても、現状を維持するだけで、エネルギー吸収効果を向上することはできない。そこで、補修工事の際に緩衝具を取付けることが考えられるが、H鋼などの支柱に直接緩衝具を連結することはできないため、支柱に連結部を取付け、或いは支柱を加工する必要が生じ、補修工事において簡単に改造することができない。
【0007】
一方、上記間隔保持装置では、間隔保持材に一定値以上の力が作用したとき、間隔保持材が相互に摺動して横ロープ材の間隔が開き、エネルギー吸収効果を発揮することができるが、横ロープ材を把持する緩衝具に比べて、エネルギー吸収効果は乏しい。
【0008】
ところで、従来技術のものは、いずれも緩衝構造を現場で組み立てるものであるが、工場で組み立てることができれば、作業性と信頼性を向上することができ、新設及び既設の防護柵における施工性の向上を図ることができる。
【0009】
そこで、本発明は、エネルギー吸収効果を向上することができる防護柵を提供することを目的とし、また、新設及び既設の防護柵において、緩衝構造の信頼性に優れ、現場での施工性を向上することができる緩衝構造ユニットを提供することを目的とし、既設の防護柵においてエネルギー吸収効果を向上することができる防護柵の改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵において、前記支柱間に緩衝具取付材を非固定状態で配置し、この緩衝具取付材に前記横ロープ材を把持する緩衝具を設けたものである。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記緩衝具により前記緩衝具取付材の両側に配置した前記横ロープ材を把持したものである。
【0012】
また、請求項3の発明は、前記緩衝具取付材の下部を凸状に形成すると共に、該緩衝具取付材の下部を接地したものである。
【0013】
また、請求項4の発明は、前記緩衝具と前記緩衝具取付材に挿通したボルトにより前記緩衝具を前記緩衝具取付材に固定したものである。
【0014】
また、請求項5の発明は、前記緩衝具取付材に、前記ボルトを挿通する円弧状の長孔を穿設したものである。
【0015】
また、請求項6の発明は、前記緩衝具を前記緩衝具取付材の反山側に設けたものである。
【0016】
また、請求項7の発明は、前記緩衝具取付材の反山側の左右縁部に円弧状部を設けたものである。
【0017】
また、請求項8の発明は、前記横ロープ材の端部に前記緩衝具に係止するストッパーを設けたものである。
【0018】
また、請求項9の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵に用いる緩衝構造ユニットにおいて、前記支柱間に設ける緩衝具取付材と、この緩衝具取付材に多段に設けられ緩衝具と、この緩衝具に把持され前記横ロープ材に連結する緩衝ロープ材とを備えるものである。
【0019】
また、請求項10の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた既設の防護柵の改良方法において、前記支柱間に設ける緩衝具取付材と、この緩衝具取付材に多段に設けられ緩衝具と、この緩衝具に把持された緩衝ロープ材とを備える緩衝構造ユニットを用い、前記横ロープ材に前記緩衝ロープ材を接続して前記支柱間に前記緩衝具取付材を設ける改良方法である。
【0020】
また、請求項11の発明は、前記緩衝ロープ材は、その端部に連結部を有し、前記横ロープ材を切断し、この切断端と前記連結部とを前記切断端に巻き付ける巻付ブリップにより連結する改良方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の構成によれば、緩衝具取付材に緩衝具により横ロープ材を多段に設けることにより、落石等の衝撃力が加わった部分の横ロープ材のみでなく、その上下複数本の横ロープ材と緩衝具とにより前記衝撃力を吸収することができる。
【0022】
また、請求項2の構成によれば、緩衝具取付材の両側に位置する横ロープ材をそれぞれ緩衝具により把持して緩衝具取付材に取り付けることができる。
【0023】
また、請求項3の構成によれば、設置場所に縦断勾配が有る場合でも、緩衝具取付材の下部が凸状に形成されているため、緩衝具取付材を略垂直に配置することができる。
【0024】
また、請求項4の構成によれば、ボルトを用いて緩衝具を緩衝具取付材に簡便に取り付けることができる。
【0025】
また、請求項5の構成によれば、設置場所に縦断勾配が有り、横ロープ材を斜めに配置した場合でも、長孔に対するボルト位置を調整して緩衝具の向きを横ロープ材に合わせることができる。
【0026】
また、請求項6の構成によれば、落石が緩衝具に直接衝突することがない。
【0027】
また、請求項7の構成によれば、落石等の衝撃力を受けて緩衝具取付材が反山側に移動した場合、横ロープ材が円弧状部に当たるから、緩衝具取付材の角部などに横ロープ材が当たって横ロープ材が損傷することを防止できる。
【0028】
また、請求項8の構成によれば、横ロープ材が摩擦摺動した後、緩衝具にストッパーが係止して摺動が停止する。
【0029】
また、請求項9の構成によれば、緩衝具取付材と緩衝具と緩衝ロープ材とを組み立ててユニット化することにより、信頼性の高い製品が得られ、また、新設と既設を問わず、現場での施工性を向上することができる。
【0030】
また、請求項10の構成によれば、既設の防護柵を改良してエネルギー吸収効果を向上することができる。
【0031】
また、請求項11の構成によれば、現場で既設の横ロープ材を切断し、その切断端とユニットの連結部とを連結することにより、改良作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な防護柵と緩衝構造ユニットを採用することにより、従来にない防護柵と緩衝構造ユニット及びその改良工法が得られ、その防護柵について記述する。
【実施例1】
【0033】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図6は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、衝撃吸収柵である落石防護柵100は、斜面あるいは斜面に並んで基礎たるコンクリート基礎1を設け、このコンクリート基礎1に複数の支柱2…を立設する。前記支柱2は、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例ではH型鋼を用い、その下端を前記コンクリート基礎1に固着している。前記支柱2間には横ロープ材3,3が上下段に設けられている。また、支柱2,2の間は金網5により遮蔽されている。尚、支柱2は上記のように基礎に固定してもよいし、下部を地中に建て込んで固定してもよいし、下部を斜面などに位置固定すると共に、山側と谷側の控えロープ材により固定してもよい。
【0034】
前記支柱2,2間には、図3に示す緩衝構造ユニット11が設けられている。この緩衝構造ユニット11は、コ字形鋼などからなる緩衝具取付材12と、前記横ロープ材3に対応して前記緩衝具取付材12に取り付けられた緩衝具13と、この緩衝具13により把持された一対の緩衝用ロープ材14,14とを備える。また、図4に示すように、前記緩衝具取付材12の下部には、左右両側に中央から両側に向かって僅かに高くなる傾斜部12Aを形成し、中央部12Bが下方に突出して低くなる凸状に形成している。尚、緩衝具取付材12の下部を円弧状の凸状としてもよい。
【0035】
そして、前記緩衝具取付材12の下部は、自由端であって、基礎1の上面1Aに非固定状態で載置され、移動可能に設けられている。
【0036】
前記緩衝具取付材12は、外面が平坦な平板部15の両側に前後方向の前後片部16,16を一体に備えた断面略コ字状をなし、平板部15の左右縁部には、円弧状部を構成する丸棒17,17が溶接等により固定されている。
【0037】
図6及び図7などに示すように、前記緩衝具13は、前記横ロープ材3を所定の摩擦力で把持する一対の把持体21,21を備え、これら把持体21,21の合せ面に、横ロープ材3に嵌合する一対の嵌合溝22,22を形成し、両把持体21,21は、ボルト23とナット24を備えた締付固定手段23,23により締め付けられ、且つ前記緩衝具取付材12に上下方向多段に固定される。
【0038】
前記把持体21は、支柱2の高さ方向に長い略矩形のブロック状をなし、使用状態で、横方向をなす前記嵌合溝22,22が上下に並ぶ。また、使用状態で、前記嵌合溝22,22を挟んだ把持体21,21の上下には、前記ボルト23を挿通する挿通孔23A,23Aが穿設されている。図5に示すように、それら挿通孔23A,23Aに対応して、前記緩衝具取付材12の平板部15には、円弧状の長孔23B,23Bが上下に穿設され、これら長孔23B,23Bは仮想円K上に位置して対向して配置されている。
【0039】
尚、この例では、ボルト23を、緩衝具取付材12の内面から長孔23B,貫通孔23Aに挿通し、先端にナット24を螺合している。また、ボルト23の頭部と緩衝具取付材12の間にワッシャ25を配置し、ナット24と把持体21との間にワッシャ25を配置している。
【0040】
図2に示すように、横ロープ材の一部を構成する前記緩衝用ロープ材14は、その両端に輪部31,31Aが備けられ、これら輪部31,31Aの基端は、ストッパーである鉄クランプ32が加締め固定されている。また、一方の輪部31の内周には、金属製の補強部材33が設けられている。そして、1つの緩衝具13の上下に緩衝用ロープ材14,14を配置し、上下の緩衝用ロープ材14,14の補強部材33を設けた輪部31,31を、左右異なる位置に配置している。尚、両方の輪部31,31Aに補強部材33を設けてもよい。
【0041】
また、前記支柱2,2には、間隔保持材36が設けられ、この間隔保持材36に、多段に設けた横ロープ材3がUボルトなどの固定手段37により固定されている。また、横ロープ材3は前記固定手段37により支柱2に固定されている。
【0042】
次に、前記緩衝構造ユニット11を既設の防護柵100の改良に用いる例について説明する。緩衝具取付材12を配置する位置で、既設の防護柵100の横ロープ材3を切断する。尚、緩衝用ロープ材14は、既設の横ロープ材3より硬度が低いものを用いる。横ロープ材3の切断端3Tと前記一方の輪部31とは、巻付グリップ34により連結する。この巻付グリップ34は、図8に示すように、複数素線よりなるワイヤーの中間部分にループ部34Aを形成し、このループ部分34Aに連なる両方の脚部34B,34Bに所定のピッチで撚りを与えたものであり、使用にあたっては、ループ部34Aを輪部31に挿通し、脚部34B,34Bを端部3Tの撚りに沿って順次巻き付けることにより連結される。
【0043】
そして、横ロープ材3の端部3Tに緩衝用ロープ材14を連結した後、他方の輪部31Aを引っ張ることにより、緩衝用ロープ材14に連結した横ロープ材3を張ることができ、この状態でボルト23を締めて緩衝用ロープ材14を把持固定する。また、緩衝具取付材12の下部をコンクリート基礎1に接地する。これにより、複数の横ロープ材3に緩衝具取付材12の自重が加わることがない。
【0044】
また、既設の横ロープ材3が斜めに設けられている場合は、長孔23Bに挿通したボルト23を緩めて、垂直方向の緩衝具取付材12に対して、緩衝具13の向きを横ロープ材3に合わせて調整した後、ナット24を締めて固定する。また、緩衝具取付材12の下部は、中央側が下方に向かって突出する凸状に形成されているから、コンクリート基礎1の上面1Aが斜めになっていても、垂直方向に配置する緩衝具取付材12を安定して接地することができる。
【0045】
このように本実施例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に横ロープ材3を多段に設けた防護柵において、支柱2,2間に緩衝具取付材12を非固定状態で配置し、この緩衝具取付材12に横ロープ材3を把持する緩衝具13を設けたから、落石等の衝撃力が加わった部分の横ロープ材3のみでなく、その上下複数本の横ロープ材3と緩衝具13とにより前記衝撃力を吸収することができる。
【0046】
また、このように本実施例では、緩衝具13により緩衝具取付材12の両側に配置した横ロープ材3を把持したから、緩衝具取付材12の両側に位置する横ロープ材3をそれぞれ緩衝具13により把持して緩衝具取付材12に取り付けることができる。
【0047】
また、このように本実施例では、緩衝具取付材12の下部を凸状に形成すると共に、該緩衝具取付材12の下部を接地したから、横ロープ材3を斜めに配置した場合でも、緩衝具取付材12の下部が凸状に形成されているため、緩衝具取付材12を略垂直に配置することができる。
【0048】
また、このように本実施例では、緩衝具13と緩衝具取付材12に挿通したボルト23により緩衝具13を緩衝具取付材12に固定したから、ボルト23を用いて緩衝具13を緩衝具取付材12に簡便に取り付けることができる。
【0049】
また、このように本実施例では、緩衝具取付材12に、ボルト23を挿通する円弧状の長孔23Bを穿設したから、横ロープ材3を斜めに配置した場合でも、円弧状の長孔23Bに対するボルト位置を調整して緩衝具13の向きを横ロープ材3に合わせることができる。
【0050】
また、このように本実施例では、緩衝具14を緩衝具取付材12の反山側に設けたから、落石が緩衝具14に直接衝突することがない。
【0051】
また、このように本実施例では、緩衝具取付材12の反山側の左右縁部には円弧状部たる丸棒17を設けたから、落石等の衝撃力を受けて緩衝具取付材12が反山側に移動した場合、横ロープ材3が丸棒17に当たるから、緩衝具取付材12の角部などに横ロープ材3が当たって横ロープ材3が損傷することを防止できる。
【0052】
また、このように本実施例では、横ロープ材3の端部に緩衝具14に係止するストッパーたる鉄クランプ32を設けたから、横ロープ材3が摩擦摺動した後、緩衝具14に鉄クランプ32が係止して摺動が停止する。
【0053】
また、実施例上の効果として、輪部31Aを形成する鉄クランプ32によりストッパーを兼用することができ、別個にストッパーを設ける必要がない。
【0054】
また、このように本実施例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に横ロープ材3を多段に設けた防護柵に用いる緩衝構造ユニットにおいて、支柱2,2間に設ける緩衝具取付材12と、この緩衝具取付材12に多段に設けられ緩衝具13と、この緩衝具13に把持され横ロープ材3に連結する緩衝ロープ材14とを備えるから、緩衝具取付材12と緩衝具13と緩衝ロープ材14とを組み立ててユニット化することにより、信頼性の高い製品が得られ、また、新設と既設を問わず、現場での施工性を向上することができる。
【0055】
また、このように本実施例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に横ロープ材3を多段に設けた既設の防護柵100の改良方法において、支柱2,2間に設ける緩衝具取付材12と、この緩衝具取付材12に多段に設けられ緩衝具13と、この緩衝具13に把持され緩衝ロープ材14とを備える緩衝構造ユニット11を用い、横ロープ材3に緩衝ロープ材14を接続して支柱2,2間に緩衝具取付材12を設けるから、既設の防護柵100を改良してエネルギー吸収効果を向上することができる。
【0056】
また、このように本実施例では、緩衝ロープ材14は、その端部に連結部たる輪部31を有し、横ロープ材3を切断し、この切断端3Tと輪部31とを切断端3Tに巻き付ける巻付ブリップ34により連結するから、現場で既設の横ロープ材3を切断し、その切断端3Tとユニット11の輪部31とを連結することにより、改良作業を容易に行うことができる。
【0057】
また、実施例上の効果として、緩衝ロープ材14には、他方の端部に輪部31Aを設けたから、横ロープ材3と連結した後、輪部31Aを引っ張ることにより横ロープ材3を張設することができる。さらに、緩衝用ロープ材14は、既設の横ロープ材3より硬度が低いものを用いたから、緩衝具13に把持して高い摩擦力を得ることができる。
【実施例2】
【0058】
図8及び図9は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、緩衝用ロープ材14Aが、隣合う緩衝具取付材12,12間の長さを有し、前記緩衝用ロープ材14Aを前記隣合う緩衝具取付材12,12の緩衝具13,13に把持し、前記緩衝用ロープ材14Aの両端には前記輪部31A,31Aが設けられている。
【0059】
また、端末の支柱3側の緩衝具13には、前記緩衝用ロープ材14Aと前記緩衝用ロープ材14とを把持し、この緩衝用ロープ材14の輪部31と端末の支柱3の横ロープ材3Aの端部とを前記巻付グリップ34により連結している。
【0060】
また、既設の支柱3に取り付ける場合は、既設の支柱3の固定手段37を外し、既設の横ロープ材3を撤去し、前記緩衝用ロープ材14Aを前記固定手段37により既設の支柱3に固定する。
【0061】
このように本実施例においても、請求項1〜8に対応して、上記実施例1と同様の作用,効果を奏する。
【0062】
尚、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、緩衝具を支柱の後側(反山側)に設けたが、請求項6以外では、緩衝具を支柱の前側(山側)に設けてもよい。また、緩衝具はロープ材を所定の把持力で把持し、所定以上の張力を受けた場合、ロープ材が摩擦摺動するものであれば、各種タイプのものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1を示す防護柵の背面図である。
【図2】同上、緩衝構造ユニットの平面図である。
【図3】同上、防護柵の側面図である。
【図4】同上、緩衝具取付材の背面図である。
【図5】同上、緩衝具取付材の要部の拡大背面図である。
【図6】同上、緩衝具の分解平面図である。
【図7】同上、緩衝具の把持体の正面図である。
【図8】同上、巻付グリップの正面図である。
【図9】本発明の実施例2を示す防護柵の背面図である。
【図10】同上、防護柵の要部の平面図である。
【符号の説明】
【0064】
100 防護柵
1 コンクリート基礎
1A 上面
2 支柱
3 横ロープ材
3T 切断端
11 緩衝構造ユニット
12 緩衝具取付材
13 緩衝具
14 緩衝用ロープ材
17 丸棒(円弧状部)
21 把持体
22 嵌合溝
23 ボルト
23B 長孔
31 輪部
31A 輪部
32 鉄クランプ(ストッパ)
34 巻付グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵において、前記支柱間に緩衝具取付材を非固定状態で配置し、この緩衝具取付材に前記横ロープ材を把持する緩衝具を設けたことを特徴とする防護柵。
【請求項2】
前記緩衝具により前記緩衝具取付材の両側に配置した前記横ロープ材を把持したことを特徴とする請求項1記載の防護柵。
【請求項3】
前記緩衝具取付材の下部を凸状に形成すると共に、該緩衝具取付材の下部を接地したことを特徴とする請求項1又は2記載の防護柵。
【請求項4】
前記緩衝具と前記緩衝具取付材に挿通したボルトにより前記緩衝具を前記緩衝具取付材に固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防護柵。
【請求項5】
前記緩衝具取付材に、前記ボルトを挿通する円弧状の長孔を穿設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防護柵。
【請求項6】
前記緩衝具を前記緩衝具取付材の反山側に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防護柵。
【請求項7】
前記緩衝具取付材の反山側の左右縁部に円弧状部を設けたことを特徴とする請求項6記載の防護柵。
【請求項8】
前記横ロープ材の端部に前記緩衝具に係止するストッパーを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の防護柵。
【請求項9】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵に用いる緩衝構造ユニットにおいて、前記支柱間に設ける緩衝具取付材と、この緩衝具取付材に多段に設けられ緩衝具と、この緩衝具に把持され前記横ロープ材に連結する緩衝ロープ材とを備えることを特徴とする緩衝構造ユニット。
【請求項10】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた既設の防護柵の改良方法において、
前記支柱間に設ける緩衝具取付材と、この緩衝具取付材に多段に設けられ緩衝具と、この緩衝具に把持された緩衝ロープ材とを備える緩衝構造ユニットを用い、
前記横ロープ材に前記緩衝ロープ材を接続して前記支柱間に前記緩衝具取付材を設けることを特徴とする防護柵の改良方法。
【請求項11】
前記緩衝ロープ材は、その端部に連結部を有し、前記横ロープ材を切断し、この切断端と前記連結部とを前記切断端に巻き付ける巻付ブリップにより連結することを特徴とする請求項10記載の防護柵の改良方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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