説明

防護柵

【課題】道路や橋梁の側縁におけるコンクリートにて成形された地覆部にアンカーボルトによって固定されるベースを備え、地覆部上に地覆部の長手方向に沿って適当間隔で並設される支柱と、該支柱に横架される梁とで構成される防護柵において、ベースと地覆部との間に水が入り込んで、そのまま留まることによる地覆部の劣化やベースの腐食を防止する。
【解決手段】ベース4の下面両側に同じ高さの下駄5を突設し、地覆部9に設置したとき、ベース4と地覆部9との間に流路12を形成し、流れ込んだ雨水が排水できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や橋梁の側縁のコンクリートにて成形された地覆部上に設置される防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の防護柵は一般に地覆部に一定間隔で並設される支柱と、該支柱に横架される梁とで構成され、支柱は下端にベースを備え、該ベースに形成のボルト通し孔にコンクリートにて成形された地覆部に植設のアンカーボルトを通して、ボルト通し孔より突出するアンカーボルト端にナットを捩じ込んでベースを地覆部に固定するようになっている。
【0003】
コンクリート地覆部は、表面を円滑に成形することが困難であるため、地覆部上に固定されたベースと地覆部との間には、微小な隙間が生じがちで、生じた隙間に雨水が入り込み、そのまま長期に滞留することにより、地覆部の劣化や金属製のベースが腐食するおそれがあった。そのためベースの周りの隙間にコーキング材を充填する必要があった。
【0004】
防護柵の支柱に関しては、地覆部に設置されるベースを断面凹形に形成して地覆部との間に隙間を設けたものも知られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−156167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される防護柵の支柱は、ベースが別体で、支柱本体にボルトにて連結されるようになっており、ベースが断面凹形に形成されるのは、地覆部との間にボルト頭部が納まる空隙を形成するためである。このベースでは、ベース左右の側縁が地覆部に接地し、地覆部との接地面積が小さくなるため、地覆部との接地部分で隙間が生じにくく、コーキングする際には、コーキング範囲がベースの前後ですんで作業性を向上できる利点があるが、コーキングはあくまでも地覆部とベースとの間に雨水が入り込まないようにするためのものである。
【0007】
本発明は、従来技術とは思想を変え、雨水がベースと地覆部との間に入り込まないようにするのではなく、入り込んだ雨水を流出させ、滞留させないようにして被覆部の劣化やベースの腐食を生じさせないようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、道路や橋梁の側縁におけるコンクリートにて成形された地覆部にアンカーボルトによって固定されるベースを備え、地覆部上に地覆部の長手方向に沿って適当間隔で並設される支柱と、該支柱に横架される梁とで構成される防護柵であって、前記ベースには下面両側に前記地覆部への接地部が突設され、前記地覆部への取付状態において、地覆部とベースとの間の接地部間に雨水が流水する流路が形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係わる発明は、前記接地部には1ないし複数の通水口が適当間隔で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係わる発明によると、ベースと地覆部との間に雨水が入り込まないようにする従来技術とは発想を転換し、ベース下に入り込んだ雨水が流出して滞留しないようにし、これにより地覆部の劣化やベースの腐食を生じないようにできること、従来のようなベース周りのコーキングを不要にし、そのための手間が掛からないこと、地覆部との接地面積が少なくなるため、地覆部の表面に多少の凹凸があっても各支柱は、その向きを揃えて並設し易くなること等の効果を有する。
【0011】
地覆部の表面は地覆部の長手方向に傾斜するものや地覆部の長手方向と直交する道路幅方向に傾斜するものがあるが、請求項2記載の発明のようにベースと地覆部との間に入り込んだ雨水が流路を通っても、また接地部に形成した通水口を通って流出できるようにしておくと、地覆部の表面がどの向きに傾斜していてもベース下に入り込んだ雨水が滞ることなく排水可能となり、地覆部の劣化やベースの腐食をより確実に防止できること、地覆部との接地面積がより少なくなり、並設される各支柱の向きをより揃え易くなること等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】地盤部上に設置された本実施形態の防護柵の斜視図。
【図2】支柱下端のベース部分の斜視図。
【図3】地覆部上に取付けた支柱の部分断面正面図。
【図4】ベースの別の実施形態の裏側の斜視図。
【図5】ベースの更に別の実施形態の裏側の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の防護柵について図面により説明する。
図1に示す防護柵1は、道路や橋梁の側縁のコンクリートにて成形される地覆部に該地覆部の長手方向に沿って一定間隔で並設され、二枚の板を適宜の間隔を存して組み合わせてなる支柱2と、該支柱2に横架される梁3とで構成され、支柱2は下端にベース4を例えば溶接にて一体に固着し、ベース4は下面の前後両側に同じ高さをなす接地部である下駄5を一体形成すると共に、前後左右の四隅にボルト通し孔6を形成している(図2)。
【0014】
地覆部への防護柵1の設置は、常法のように先ずコンクリートによる地覆部の成形時にアンカーボルト8を所要数植設する。ついで地覆部9から突出する各ボルト8の突出部分にベース4のボルト通し孔6をそれぞれ通してベース4を地覆部上に設置し、ボルト通し孔6より突出する各ボルト突出端にそれぞれナット11を捩じ込み締着する。
【0015】
図3は、以上のようにして設置された防護柵1を示すもので、ベース4と地覆部9との間には、下駄間に雨水が流水する流路12が形成されるようになっている。
【0016】
本実施形態によると、ベース4を地覆部上に図示するように設置した場合、流路12は、地覆部9の長手方向を向くようになり、地覆部9がその長手方向に傾斜していると、ベース下に入り込んだ雨水は流路12を通り抜け、ベース下に留まることはない。
【0017】
前記実施形態のベース4は、下駄5がベース両側に連続して形成されているが、別の実施形態では、下駄5に通水口が適当間隔で形成される。図4及び図5は、その一例を示すもので、図4は、下駄13の中央部を切り欠いて通水口14を形成したもの、図5は、一定間隔に突出形成した駒16で下駄を形成し、駒間に通水口17を形成したものである。なお、図5に示す駒16は横断面が正方形をなしているが、正方形以外の多角形であってもよいし、断面円形若しくは楕円形であってもよい。
【0018】
図4及び図5に示す前記各実施形態のように、下駄に通水口14、17が形成されていると、地覆部9が例え地覆部9の長手方向と直交する道路幅方向に傾斜していても雨水はベース下に留まることなく排水することができる。
【0019】
なお、図4及び図5に示すベース15は厚みが均一になっているが、左右両側の下駄13より中央部に向かって厚みが漸減又は漸増した太鼓腹状をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1・・防護柵
2・・支柱
3・・梁
4、15・・ベース
5、13・・下駄
6・・ボルト通し孔
8・・アンカーボルト
9・・地覆部
11・・ナット
12・・流路
14、17・・通水口
16・・駒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路や橋梁の側縁におけるコンクリートにて成形された地覆部にアンカーボルトによって固定されるベースを備え、地覆部上に地覆部の長手方向に沿って適当間隔で並設される支柱と、該支柱に横架される梁とで構成される防護柵であって、前記ベースには下面両側に前記地覆部への接地部が突設され、前記地覆部への取付状態において、地覆部とベースとの間の接地部間に雨水が流水する流路が形成されることを特徴とする防護柵。
【請求項2】
前記接地部には1ないし複数の通水口が適当間隔で形成されることを特徴とする請求項1記載の防護柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−197634(P2012−197634A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63549(P2011−63549)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】