説明

防風性布帛およびその製造方法

【課題】 編物であって、優れた防風性を有する布帛を提供する。
【解決手段】 編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与した布帛であって、前記編物のゲージ数が2.54cm当たり20以上、前記編物を構成する糸が20デシテックス以上で得ることができる。また、ゲージ数が2.54cm当たり20以上、前記編物を構成する糸が20デシテックス以上の編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与することによって製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防風性を有する繊維布帛に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防風性布帛として、通気性を有していながら防風性を有する織物が知られている。このような防風性布帛は、繊維布帛の糸の密度を上げ、風を通りにくくすることにより通気性を有しつつ防風性が付与されている。このような高密度の織物は防風性を有しているために、冷たい風が衣服内に侵入することを防ぎ保温性を発揮し、かつ、通気性も有するため、衣服内の蒸れを抑制するといった効果を有し、冬物や春秋物のコート、ジャンパーなどの一般衣服やウインドブレーカーなどの運動用衣服にも用いられている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−57219
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、織物であれば十分な防風性を付与することができるが、編物では、高密度の編物を用いることにより、ある程度の防風性を付与することはできるが、十分ではなかった。
そこで、編物の片面に樹脂膜を積層することが考えられる。しかしながら、フィルムを編物に貼り合わせたものでは、防風性は得られるものの通気性がなくなってしまう問題があった。
【0005】
また、編物の片面に樹脂溶液をコーティング法にて付与することも考えられるが、織物に比べ高密度化しがたい編物では、樹脂溶液を塗布すると、樹脂溶液が塗布された面の反対面にまで含浸してしまい、外観品位が低下したり、十分な防風性がえられないといった問題を有していた。特に、伸びやすい編物では樹脂溶液の塗布時に張力がかかり、糸と糸の隙間が大きく開き、上記の含浸の問題が顕著であった。
【0006】
したがって、本発明では、上記の課題を解決し、編物であって、通気性を有していながら優れた防風性を有する布帛を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる防風性布帛は以下の構成を有する。
(1)本発明の防風性布帛は、編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与した布帛であって、前記編物のゲージ数が2.54cm当たり20以上、前記編物を構成する糸が20デシテックス以上である。
(2)前記編物のゲージ数が2.54cmあたり30以上、50以下であることを特徴とする上記(1)記載の防風性布帛。
【0008】
(3)前記編物を構成する糸が20デシテックス以上、170デシテックス以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の防風性布帛。
(4)JIS L1096A法(フラジール形法)にて測定した通気度が5cm/cm・s以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防風性布帛。
(5)本発明の防風性布帛の製造方法は、ゲージ数が2.54cm当たり25以上、編物を構成する糸が20デシテックス以上の編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる防風性布帛は、編物でありながら通気性とすぐれた防風性を有する。従って、本発明の防風性布帛を用いて衣服等を製造すれば、動きやすくかつ保温性に優れ、身体から出される汗によるムレを抑制した衣服などの繊維製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る防風性布帛について説明をおこなう。
【0011】
(実施形態)
本発明の防風性布帛は、編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与した布帛であって、前記編物のゲージ数が2.54cm当たり25以上、前記編物を構成する糸が20デシテックス以上である。
【0012】
本発明の編物とは、その繊維素材として、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、アクリル、レーヨン、アセテート、ポリ乳酸、大豆蛋白、絹、羊毛、綿、麻などの化学繊維、天然繊維等いかなるものからなるものであってよく、また、これらの繊維の混繊、混紡、交編等なされているものであってもよい。
【0013】
また、本発明の編物は、経編、緯編(丸編)いずれであってもよい。
緯編としては、平編、ゴム編、パール編、両面編などが挙げられ、また、これらの変化組織であってもよい。
また、経編としては、シングルデンビー編、シングルコード編、シングルアトラス編などが挙げられ、また、ダブル編やこれらの変化組織であってもよい。
【0014】
前記編物は、防風性、通気性、樹脂の含浸防止、風合いの観点よりゲージ数が2.54cm当たり20以上であるとよい。また上限は、100以下であるとよい。より好ましくは、ゲージ数が2.54cm当たり25以上、60以下、さらに好ましくは30以上、50以下であるとよい。ゲージ数が20未満であると樹脂溶液が編物の樹脂溶液付与面の反対面にまで含浸し外観品位が低下するおそれがある。また、ゲージ数が100超となると風合いが硬化するおそれがあり、また、特殊な装置の開発や生産性が大きく低下するおそれがある。なお。編物のゲージ数とは、編物を編むときの2.54cmあたりのゲージの数をいう。
【0015】
また、編物を構成する糸は、モノフィラメント、マルチフィラメントを用いることができるが、マルチフィラメントが好ましい。マルチフィラメントを用いれば、防風性、樹脂の含浸防止、風合いの観点より好ましい。
【0016】
また、編物を構成する糸の太さは、20デシテックス以上が好ましく、また、上限は1000デシテックス以下が好ましい。防風性、通気性、樹脂溶液の含浸防止、風合いの観点からは、20デシテックス以上、170デシテックス以下、さらに好ましくは20デシテックス以上、100デシテックス以下のマルチフィラメントがより好ましい。さらに60デシテックス以下のマルチフィラメントがよい。糸の太さが20デシテックス未満であると樹脂溶液が編物の樹脂溶液塗布面の反対面にまで含浸し外観品位が低下するおそれがある。また、糸の太さが1000超となると風合いが硬化するおそれがある。
【0017】
トレーニングウエアー、ダウンジャケット、ウインドブレーカー、コート、ブレザー、セーター、下着、スラックス、作業服などスポーツ用衣服をふくめた衣服に用いるための防風性布帛との観点からは、特に編物のゲージ数は2.54cm当たり30以上、50以下であり、かつ、糸は20デシテックス以上、100デシテックス以下のものを用いるとよい。
【0018】
一般的には、樹脂溶液をコーティング法により付与した際に、樹脂溶液が表面(樹脂溶液を塗布した面が裏面の場合)まで含浸することを防ぐ場合には、ゲージ数ではなく、編物の密度(2.54cmあたりのウエル及びコース)を規定することを考えることが考えられるが、ゲージ数を上記の範囲の編物を用い、かつ、糸も上記の範囲のものを用いることで、工程上安定して、塗布面とは反対の面までの樹脂溶液の含浸を防ぎ外観品位に優れ、かつ、防風性、風合いの優れた防風性布帛が得られる。
【0019】
また、樹脂溶液を塗布する際の編物の密度(塗工密度)は、コース30〜80、ウエル30〜80であると樹脂溶液の含浸防止(外観品位)の観点より好ましい。上記の編物を用いると、防風性布帛の製造工程中にコース30〜80、ウエル30〜80の編物は容易に調整でき、生産が容易であり、品質も安定する。
なお、得られる防風性布帛の密度(仕上げ密度)は、塗工密度と変えても良いが、コース30〜80、ウエル30〜80の範囲であると、防風性の観点より好ましい。
【0020】
また、編物は、染色加工、捺染加工、撥水加工、制電加工、吸水加工、SR加工、抗菌防臭加工、制菌加工、消臭加工、紫外線遮蔽加工、防炎加工、カレンダー加工などを施してもよい。
含浸防止の観点からは、編物には撥水加工および/またはカレンダー加工を施すとよい。
【0021】
また、本発明の樹脂溶液とは、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、ナイロン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、塩化ビニルなどの樹脂を溶媒に溶解させたものや水に分散させたもの、また、加熱し液化させたものなどが挙げられる。
【0022】
樹脂溶液に用いられる溶媒として、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン(TOL)、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルサルフォキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール(IBA)、メタノールなどが挙げられ、これらを単独、または、複数種配合して用いてもよい。
【0023】
樹脂溶液には、各種添加剤を添加してもよい。例えば、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、カルボジイミド系などの架橋剤、多孔質シリカ、活性炭などの移行昇華防止剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、柔軟剤、浸透剤、撥水剤、乳化剤、増粘剤、などを挙げることができる。
【0024】
また、本発明では編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与するのであるが、コーティング法としては、公知のコーティング法を用いることができ、ナイフコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、リバースコータ、押出しコータなどを用いて、編物の片面に樹脂溶液を塗布することにより、樹脂溶液を編物に付与する。
【0025】
編物の片面に樹脂溶液をコーティング法にて付与した後、乾燥や冷却などをおこない、樹脂膜が編物の片面に形成される。
編物の片面に形成された樹脂膜は、樹脂溶液を塗布した面側の編物を構成する糸及び糸を構成する繊維の表面を埋め、膜を形成しており、編物の片面全体を覆っている。また、この樹脂膜は無孔質膜であってもよいが孔や亀裂を有していてもよい。通気性の観点からは1〜500μm程度の孔を有しているものがよい。
【0026】
本発明の防風性布帛は、JIS L1096A法(フラジール形法)にて測定した通気度が10cm/cm・s以下である。より好ましくは5cm/cm・s以下であるとよい。さらに1cm/cm・s以下が良く、1cm/cm・s以下であれば秒速5〜10m程度の風をも防ぐことができる。また、さらに0.5cm/cm・s以下が良く、0.5cm/cm・s以下であれば秒速10m程度の風をも防ぐことができる。
防風性の観点からは、通気度は低いほうが好ましいが、衣服内のムレを抑えるとの観点からは0.1cm/cm・s以上が好ましい。
【0027】
また、編物は、一般的に織物に比べ伸縮性に優れていることより、身体にフィットしているものが多く、衣服として着用すると、肘や膝において、その動きに追従し、数十%伸長されることがある。この場合、編物の片面に形成された樹脂膜が編物に追従し、伸縮するものが好ましいが、伸長時、樹脂膜が裂けるものであってもよい。
【0028】
伸長時に樹脂膜が裂けた場合であっても、編物は伸縮性があるため、伸長方向の力が除去され、縮んだ際、裂けた膜にて形成された開口部も小さくなり、防風性の大きな低下を抑制することができる。伸長時の樹脂膜の裂けを抑制するとの観点からは、用いる樹脂として伸縮性を有するポリウレタンを用いると好ましい。
【0029】
次に、本発明の防風性布帛の製造方法について説明をおこなう。
本発明では、ゲージ数が2.54cm当たり20以上、編物を構成する糸が20デシテックス以上の編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与する。
【0030】
編物は、前記のものが用いられ、必要に応じ、湯洗い、精練、リラックス、熱セット等を行う。本発明に規定の編物を用いる場合には、湯洗い、精練、リラックス、熱セット等は、公知の方法で行えばよい。もちろん本発明の以外の他の性能を付与するため、特殊な条件にて湯洗い、精練、リラックス、熱セット等を行うことを否定するものではない。
【0031】
また、必要に応じ、染色加工、捺染加工、撥水加工、制電加工、吸水加工、SR加工、抗菌防臭加工、制菌加工、消臭加工、紫外線遮蔽加工、防炎加工、カレンダー加工をおこなってもよい。
特に、樹脂溶液の編物への含浸を抑制するために、撥水加工および/またはカレンダー加工をおこなうとよい。
撥水加工は、フッ素系、シリコーン系、パラフィン系などの撥水剤を、パディング法やスプレー法などで、編物に付与した後、40℃〜140℃にて10秒〜600秒程度にて乾燥し、必要に応じ、130℃〜200℃にて5秒〜300秒程度、熱処理を行う。
カレンダー加工は、公知の方法で行えばよく特に限定されるものではないが、室温(5℃)〜200℃、圧力(線圧)100〜350kg/cm(980〜3430N/cm)程度にておこなうとよい。
【0032】
次に、編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与する。コーティング法は、前記のコータ等を用い編物の片面に樹脂溶液を塗布することにより付与する。
樹脂溶液を塗布した後、40℃〜140℃にて10秒〜600秒乾燥し、必要に応じ、130℃〜200℃にて5秒〜300秒程度、熱処理を行う。
また、乾燥を省略し、上記の熱処理条件にて、乾燥と熱処理を同時におこなってもよい。
乾燥や熱処理は、用いた樹脂や添加剤の特性に応じ、適宜設定すればよい。
【0033】
次に、必要に応じ染色加工、捺染加工、撥水加工、制電加工、吸水加工、SR加工、抗菌防臭加工、制菌加工、消臭加工、紫外線遮蔽加工、防炎加工、カレンダー加工、仕上げセットを公知の方法でおこなってもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」は質量部、「%」は質量%である。また、各種物性等は以下の方法にて測定した。
(樹脂膜の状態)
電子顕微鏡(SEMEDX Type H形、日立サイエンスシステムズ製)を用い100倍にて観察を行い測定した。
【0035】
(通気度)
JIS L1096A法―2010(フラジール形法)に準じて測定した。
(耐水圧)
JIS L1092−2009 耐水度試験(静水圧法) A法(低水圧法)にて測定をおこなった。
【0036】
(洗濯処理)
JIS L0217 103法に準じて洗濯処理を20回おこなった。なお、洗濯時間を25分、1回あたりのすすぎ時間を10分とし処理したものを5回の洗濯処理とし、この作業を4回行い、20回の洗濯処理とした。乾燥は、20回の洗濯処理の後、つり干しにて1回をおこなった。
【0037】
(外観品位)
編物の樹脂溶液を塗布した面の反対面への樹脂の含浸の状態を観察し、反対面への樹脂の含浸がないものを「○」、少し観られるもの「△」、明らかに樹脂が反対面まで含浸しているもの「×」とした。
【0038】
(実施例1)ポリエステル繊維を用いた編物(天竺、46ゲージ、56デシテックス/96フィラメント)を、分散染料でブルーに染色し、熱セットをおこなった。次に、パディング法にてアサヒガードAG710(旭硝子製、フッ素系撥水剤)5%水溶液を編物に付与し、120℃、30秒乾燥し、次に150℃、30秒熱処理を行い撥水処理した布帛をもちいた。
【0039】
次に、コーティング法により下記樹脂溶液を布帛の片面に付与した(ナイフコータを用い、樹脂溶液を布帛の片面に塗布。)。引続き110℃、60秒乾燥し、次に150℃、30秒仕上げセットを行い防風性布帛を得た。
【0040】
(樹脂溶液)パラクロンAM−1800(固形分18%) 100部(溶剤系アクリル樹脂、根上工業株式会社製)コロネートL 1.5部(イソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン工業株式会社製)
【0041】
得られた防風性布帛の性能を表1に記した。また、防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0042】
(比較例1) 編物に樹脂溶液を塗布しない以外は実施例1と同様の加工をおこない布帛を得た。布帛の性能を表1に記した。得られた布帛は、風合いは柔らかいものの防風性はなかった。
【0043】
(実施例2) 編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として下記のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0044】
(樹脂溶液)バンスターX1640B3(固形分 50%) 100部(水系アクリル樹脂、中部サイデン株式会社製)S100 2部(増粘剤、中部サイデン株式会社製)
【0045】
(実施例3) 編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例2に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0046】
(実施例4)編物として表1に記載のものに、樹脂溶液を付与する前に170℃にてカレンダー処理を施したものを用いた。また、樹脂溶液として、下記のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ほとんど孔が確認されなかった。風合いは柔らかいものであった。
【0047】
(樹脂溶液)ハイドランWLS−208(固形分30%) 100部(水系ポリウレタン、DIC株式会社製)WB40−100 1部(イソシアネート系架橋剤、旭化成ケミカルズ株式会社製)S100 2部(増粘剤、中部サイデン株式会社製)
【0048】
(実施例5) 編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例1のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0049】
(実施例6)
編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例4に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0050】
(実施例7)
編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例2に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、ところどころ小さな孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0051】
(実施例8)
編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例2に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、いたるところに孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。なお、編物に塗布した樹脂がわずかに、樹脂溶液を塗布した面の裏面にまで含浸している箇所があった。
【0052】
(実施例9)
編物として表1に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。防風性布帛の樹脂溶液を塗布した面は樹脂膜で覆われており、いたるところに孔が確認された。風合いは柔らかいものであった。
【0053】
(比較例2)
編物として表1に記載のものを用い、樹脂溶液として実施例2に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして、防風性布帛を得た。得られた防風性布帛の性能を表1に記した。得られた布帛は、樹脂溶液を付与した面の反対側の面にまで大量に含浸し、外観品位が悪く、衣服用の布帛としては使用できないものであった。
【0054】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の防風性編物は、編物でありながらすぐれた防風性を有するため、衣服等を製造すれば、動きやすくかつ保温性に優れ、身体から出される汗によるムレを抑制した衣服が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与した布帛であって、前記編物のゲージ数が2.54cm当たり20以上、前記編物を構成する糸が20デシテックス以上である防風性布帛。
【請求項2】
前記編物のゲージ数が2.54cmあたり30以上、50以下であることを特徴とする請求項1記載の防風性布帛。
【請求項3】
前記編物を構成する糸が20デシテックス以上、170デシテックス以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の防風性布帛。
【請求項4】
JIS
L1096A法(フラジール形法)にて測定した通気度が5cm/cm・s以下である請求項1〜3のいずれかに記載の防風性布帛。
【請求項5】
ゲージ数が2.54cm当たり20以上、編物を構成する糸が20デシテックス以上の編物の片面に樹脂溶液をコーティング法により付与することを特徴とする防風性布帛の製造方法。

【公開番号】特開2012−153986(P2012−153986A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11177(P2011−11177)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000184687)小松精練株式会社 (110)
【Fターム(参考)】