説明

防食グリース組成物および防食架空電線

【課題】 主に架空電線の防食性を担保しつつ、その視認性を高めることができる防食グリース組成物、および該防食グリース組成物を表面に塗布し、または表面に塗布するとともに内部に充填し視認性を高めた防食架空電線を提供する。
【解決手段】 防食グリースに発光物質が含有されてなる防食グリース組成物、および当該防食グリース組成物を塗布または充填し防食性および視認性を向上させた防食架空電線。防食グリース組成物には、さらに反射物質を含有させることができる。発光物質は、蛍光物質または蓄光物質である。また、基油としては、ポリブデンまたはシリコーン油を主成分とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に架空電線に塗布し、または塗布するとともにその内部に充填することで、優れた防食性能を維持しつつ、該架空電線の視認性を向上させることができる防食グリース組成物、および当該組成物を表面に塗布し、または表面に塗布するとともに内部に充填した高い防食性および視認性を有する防食架空電線に関する。
【背景技術】
【0002】
航空法によれば、地上60m以上の高さに架設される架空電線には、昼間障害標識として、直径0.5m以上の球形で、赤色又は黄色の標示物と白の標示物を交互に45mの等間隔に設置することが規定されている。
【0003】
しかし、架空電線に球形標示物を設置した場合、当該標示物が風圧を受けて揺動し、架空電線へ悪影響を及ぼす危険性が高い。また、球形標示物が経年劣化などにより落下した場合、架空電線直下の構造物や動植物に危害を与える恐れがある。さらに、球形標示物が架空電線に設置されていると、架空電線に取り付けられた宙乗り機を運行させて当該架空電線の保守点検作業を行う場合にその運行が妨げられる結果、このような作業に宙乗り機を用いることができず、作業効率が著しく低下することが懸念される。
【0004】
そのため、電力各社は、国土交通大臣の許可を受けて、この標示物の代替策として鉄塔などの支持物に赤色および白色の着色を交互に施すことで対応している。しかし、支持物にこのような着色を施したとしても、例えば夜間に市街地の照明など外部からの光がないところでは、この支持物を視認することは困難であり、ましてや架空電線の視認にいたっては不可能な場合が多い。
【0005】
一方、海上を横断する架空電線や海岸線に近い地域に架設される架空電線には、これを塩害から保護するために、防食グリースを用いてこれを架空電線の表面に塗布し、内部に充填することで防食処理が施されることがある(特許文献1〜8参照)。この防食グリースは、電線の製造時に予め、または電線の架設後に電線表面に塗布され、内部に充填されている。
【0006】
一般に、グリースはその用途により主に潤滑グリースおよび防食グリースに大別され、これらの成分は凡そ基油、増ちょう剤および添加剤などの成分からなる点では共通するが、前者は通常バター状の外観を呈し、耐熱性、耐水性、機械的安定性などが要求されるのに対し、後者は鳥もち状の外観を呈し、退候性、付着性、粘着性、高温時においても電線から垂れ落ちしないことなどが要求される点で潤滑グリースとは異なる。そのため、防食グリースの基油や増ちょう剤には、通常、潤滑用グリースの場合とは異なる材料が使用される。
【特許文献1】特開2004−111100号公報
【特許文献2】特開2004−95338号公報
【特許文献3】特開2004−95337号公報
【特許文献4】特開2003−338221号公報
【特許文献5】特開2002−338981号公報
【特許文献6】特開2002−245864号公報
【特許文献7】特開2001−357724号公報
【特許文献8】特開2001−89783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑み、主に架空電線の防食性を担保しつつ、その視認性を高めることができる防食グリース組成物、および該防食グリース組成物を表面に塗布し、または表面に塗布するとともに内部に充填し視認性を高めた防食架空電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防食グリース組成物は、防食グリースに発光物質が含有されてなることを特徴とする。
【0009】
前記発光物質は、それ自体が可視光、紫外線などの外的な刺激を受けて化学的または物理的に発光する物質である。この発光物質は、常時発光し続けるもの、これが外的な刺激を受けた場合のみ発光するようなもの、または残光性を備え、外的な刺激がなくなった後も所定の時間継続して発光するもののいずれであってもよい。このような発光物質として、蛍光物質や蓄光物質などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用い、または両者を組み合わせて用いることができる。また、本発明においては、前記発光物質には、前記蛍光物質などを成分として含む組成物も含まれるものとする。
【0010】
本発明のグリース組成物には、前記発光物質とともに、反射物質を含有させることが好ましい。ここで、反射物質とは、それ自体が発光しないが、外部からの光や本発明のグリース組成物中に併存する発光物質の発する光を反射するものを指している。
【0011】
また、本発明の防食架空電線は、前記防食グリース組成物が表面に塗布され、または表面に塗布するとともに内部に充填されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、防食グリースに少なくとも発光物質を含有させることとしたので、防食グリースの防食性を維持しながら、夜間においてもその視認性を高めることができる。また、本発明によれば、防食性および視認性に優れた防食架空電線を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における蛍光物質や蓄光物質などの発光物質は、その形態が液体、固体のいずれであってもよい。ここで、液体状の発光物質としては、前記蛍光物質や蓄光物質の懸濁液や公知の発光塗料組成物などが挙げられる。また、固体状の発光物質としては、前記蛍光物質や蓄光物質の顔料や染料などが挙げられる。これらのうちでは、固体状のものが好ましく、なかでも粉粒状を呈しているものがより好ましい。粉粒状の発光物質を用いる場合、その粒度または粒度分布については特に限定されない。
【0014】
蛍光物質としては、例えば、ピレン、ペリレン、アントラセン、ナフタセン、クリセン、トリフェニレン、ペンタフェン、1,2−ベンツピレン、へキサフェン、トリナフチレン、コロネン、テトラセン、ジベンツコロネン、ルブレンなどの縮合環式炭化水素;p−ジフェニルベンゼン(p−ターフェニル)、1,6−ジフェニル−1,3,5,−へキサトリエンや1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテトラエンなどのジフェニルポリエン;テトラフェニル−p−キノジメタン、asy−フェニル−o−トリル−p−キノジメタン、p−ジスチリルベンゼンなどの多環式炭化水素;ヒドロキノンジメチルエーテルに代表されるベンゼン誘導体;ベンジジン、スチルベンの誘導体などの多環式化合物;ナフチルアミンやその誘導体などの縮合環式化合物;チアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、フラボン誘導体、クマリン誘導体、キノリン誘導体、アクリジン誘導体などの複素環式誘導体が挙げられる。これらは、それぞれの蛍光色、本発明の組成物の使用環境および当該使用環境における視認性などを考慮して適宜選択して使用でき、2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
また、蓄光物質としては、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ストロンチウムなどの酸化物や硫化物などにビスマスなどの重金属やユーロピウムやディスプロシウムなどの希土類元素およびその酸化物などを活性化剤として加えたもの、例えば、硫化カルシウム/ビスマス系、硫化カルシウム・ストロンチウム/ビスマス系、硫化亜鉛/銅系、硫化亜鉛・カドミウム/銅系蓄光物質及びアルミン酸ストロンチウム系蓄光物質などが挙げられる。これらは、それぞれの蛍光色や本発明の組成物の使用環境などを考慮して適宜選択して使用でき、2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
発光物質の防食グリースに対する含有量は、少な過ぎる場合には得られる本発明の防食グリース組成物の夜間における視認性が低下することになるので、前記防食グリース組成物の被塗布物に対する塗布性(付着性)や高温時の垂れ落ち性などの物性が当該組成物に用いられる防食グリース成分の物性と比較して大きく劣らない程度に多量とすることが好ましい。具体的には、使用される防食グリースおよび発光物質の種類、適合性および所望の視認性の程度などにより、含有量を一概に特定することはできないが、通常は、発光物質の含有量は防食グリース100重量部に対して約0.5〜50重量部程度とすることが好ましい。この範囲未満では、夜間において本発明の防食グリース組成物を視認することが困難となり、前記範囲を超えた場合には、前記した本発明の防食グリース組成物の被塗布物に対する付着性などの物性が悪化する可能性がある。物性の悪化をある程度甘受できる場合、前記範囲を超えて防食グリースに発光物質を含有させることができる。
【0017】
さらに本発明の防食グリース組成物においては、前記発光物質と共に、反射物質を含有させることが好ましい。反射物質の具体例としては、シリカ、ガラス粉、石英粉、アクリル樹脂粉末などが挙げられる。これらは、粉粒状であれば、特にその粒度または粒度分布については制限されない。これらもまた単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0018】
反射物質の含有量は、前記発光物質の発光による本発明のグリース組成物の視認性を阻害しない程度に多量に添加できる。具体的には、使用される防食グリースおよび発光物質の種類、性状および含有量、使用される反射物質の種類および性状、ならびに所望の視認性の程度などにより一概に特定できないが、反射物質の含有量は防食グリース100重量部に対して約0.5〜20重量部程度とすることが好ましい。
【0019】
本発明の防食グリース組成物に使用される防食グリースは、通常、基油、増ちょう剤および各種添加剤などからなるものである。
【0020】
防食グリースに使用される基油、増ちょう剤および添加剤などのそれぞれはそれ自体公知のものであってもよい。すなわち、基油は、一般には、大気中の腐食性ガスなどの物質の金属表面への接触を防止するために、該金属表面に遮水性の皮膜をつくるのに使用される。この基油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの鉱油類、ポリブデン、シリコーン油、フッ素系油、ジエステル油、フェニルエーテル油などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち好ましくは、シリコーン油もしくはポリブデン、または両者を混合したものを主成分とするのがよく、より好ましくはポリブデンを主成分とするのがよい。ここで、用語「主成分とする」を、シリコーン油若しくはポリブデン、またはこれらの混合物が基油の全量である場合と、基油の大部分であり、残部を前記例示のその他の基油成分が含まれる場合の両方の意味で使用している。
【0021】
シリコーン油は、吸水性が低く、退侯性や電気絶縁性に優れる利点があるので、好適に使用できる。このようなシリコーン油としては、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコーン油は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
ポリブデンは、イソブチレン、1−ブテンなどのブテン類の重合によって得られる液状の低重合体であり、炭化水素の主鎖からなるため、電気絶縁性、化学的安定性に優れるとともに、熱や光に対しても安定であり、耐水性、撥水性、耐老化性などに優れている。また、不純物やワックス分、揮発油分が極めて少ないので、耐熱性に優れ、低い流動点を呈するため、これを基油成分として含有する防食グリースを防食架空電線に塗布などした場合、必要とされる耐寒性に優れる。また、粘着性や付着性に富み、高温においても、電線からの垂れ落ちを抑制できる。
【0023】
このようなポリブデンは、市販品から適宜選択して用いることができ、例えば、新日本石油化学社の日石ポリブデンシリーズLV−7、LV−50、LV−100、HV−15、HV−35、HV−50、HV−100、HV−300(いずれも商品名)など、出光石油化学社の出光ポリブデンシリーズ15H、300H、2000H、15R、35R、100R、300Rなど(いずれも商品名)、日本油脂社のニッサンポリブデンシリーズ015N、3N、5N、10N、30N、200Nなど(いずれも商品名)が挙げられる。このポリブデンは、水添処理されたもの、水添処理されていないもののいずれであってもよい。
【0024】
また、増ちょう剤は、基油の粘性を高め、グリース中に基油を保持するために使用されるものである。この増ちょう剤としては、リチウム石鹸、カルシウム石鹸、アルミニウム石鹸、リチウム・アルミニウム複合石鹸などの金属石鹸類のほか、シリカゲル、ベントナイト、ウレアなどの尿素化合物類などが挙げられる。
【0025】
また、添加剤としては、フェノール系、芳香族アミン系、リン酸エステル系などの酸化防止剤(劣化防止剤または老化防止剤ともいう。);金属スルホネート類やアミン類などの防錆剤;ベンゾトリアゾールなどの腐食防止剤;硫化油脂や塩素化パラフィンなどの極圧剤などのほか、消泡剤、構造安定剤、増粘剤などの公知のものが挙げられる。また、この添加剤のなかには、繊維質添加材も含まれる。繊維質添加材の具体例としては、ガラス繊維、ロックウールなどが挙げられる。これらの添加剤は、必要に応じて適宜選択して防食グリース中に含有させることができる。
【0026】
この防食グリースは、前記各成分を公知の方法によって混合することにより調整することができる。調製に当たっては、前記各成分の全部を一括して混合して調整してもよく、予め鉱油や金属石鹸などを混合して潤滑用としても使用可能なグリースを調製しておき、当該潤滑用グリースにポリブデンなどの基油や繊維質添加材などを混合して調整してもよい。調製後の防食グリースは、その硬さを示すちょう度(JIS K 2220準拠)が約200〜340程度を目安とするのが好ましい。
【0027】
また、本発明においては、公知の防食グリースをそのまま使用することもできる。
【0028】
本発明の防食グリース組成物は、予め調製した防食グリースまたは公知(市販)の防食グリースに発光物質を添加し、またはこれと反射物質とを組み合わせて添加し、公知の調製方法によって得ることができる。また、防食グリースを調製する際に、防食グリースの各成分に発光物質を添加し、またはこれと反射物質とを添加して本発明の防食グリース組成物を調製してもよい。防食グリースに発光物質などを添加するに当たり、必要であれば、前記の各種添加剤のなかから1種または2種以上を適宜選択して添加してもよい。
【0029】
このようにして得られた本発明の防食グリース組成物は、公知の防食グリースと同様に鳥もち状を呈し、塗布性(付着性)が良好であり、高温時の垂れ落ち性に優れたものとなる。
【0030】
本発明の防食架空電線は、前記のような構成からなる本発明の防食グリース組成物を当該電線の金属部分に塗布することにより得られる。例えば、単線または撚り線からなる中心線材の周囲に複数のアルミニウム線またはその合金線が撚り合わされたACSR電線の場合、本発明の防食グリース組成物はその表面に塗布され、内部に充填される。この塗布または充填の方法については特に限定されず、種々の公知の方法を採用することができる。例えば、作業者が適切な工具を用いて電線の表面に塗布し、または電線の内部に充填してもよく、公知の塗布装置などを用いて塗布または充填してもよい。
【0031】
このような塗布装置として、例えば、特開昭52−65876号公報記載の塗布装置などを好適に使用することができる。この塗布装置は、出入り口にそれぞれ電線挿通用二つ割ダイスを有する二つ割り円筒の内側に、両端に移動電線保持用ローラーを備えた複数個のチャンネル支桿を求心方向に調整自在に求心対照的に配置取り付け、移動電線と出口ダイスとを常に同心的に保持した状態で移動電線にグリースを塗布するものである。
【0032】
架空電線の場合、塗布厚は通常4〜5mmとされる。塗布の時期についても特に制限はなく、電線の製造時に塗布または充填することができ、電線を架設した後に塗布などしてもよい。
【実施例】
【0033】
[実施例1〜5]
基油としてポリブデンを主成分とする防食グリースを用い、表1に示す発光物質および反射物質を同表に示す量添加し、公知の方法で調製して5種類の防食グリース組成物を得た。
【0034】
[実施例6]
実施例1〜5に用いた防食グリースの代わりに、基油としてシリコーン油を主成分とする防食グリースを用いた以外は、実施例5と同様の組成とし、同様の方法により防食グリース組成物を得た(表1参照)。
【0035】
[防食架空電線の製造方法]
架空送電線として用いられるアルミニウム送電線(200mm撚り線)を1mの長さに裁断したものを複数本用意した。当該裁断後の送電線の各々に前記防食グリース組成物を素線間に充填し、かつ、撚り線の表面に塗布して、防食架空電線を製造した。
【0036】
[防食架空電線についての評価]
前記製造方法により得られた防食架空電線について、以下の評価を行った。
(1)塗布性
得られたグリース組成物を、前記裁断後の送電線に塗布または充填する際の注入性、付着性および垂れ落ち性を以下の基準によって評価した。
評価基準:
○:注入性が良好であり、電線からの剥がれ落ちが認められなかった
×:グリース組成物の電線への付着性が弱く、剥がれ落ちがみとめられた
【0037】
(2)視認性
昼間、防食架空電線を日光に当てておき、夜間にそれを観察し、つぎの基準により評価した。
評価基準:
◎:よく認識できる
○:認識できる
×:全く認識できない
【0038】
(3)高温での垂れ落ち性
得られた防食架空電線を150℃、100時間放置し、以下の評価基準によって評価した。
評価基準:
○:グリースの垂れ落ちが認められなかった
△:塗布量に対する垂れ落ち量が3%未満であった
×:塗布量に対する垂れ落ち量が3%以上であった
【0039】
(4)防食性
1mm厚のアルミニウム板の表面に、得られたグリースを0.1mmの厚さに塗布して試料を調製し、これを濃度6mol/lの塩酸を入れたデシケータ内に30日間放置した。その後、デシケータから試料を取り出し、表面のグリースを取り除いたアルミニウム板についてその表面粗さを測定し、次の基準により評価した。
評価基準:
○:平均表面粗さが2μm以下であった
×:平均表面粗さが2μmを超えていた
【0040】
実施例1〜6で得られた防食グリース組成物についての前記評価項目の評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から、本発明の防食グリース組成物は、防食グリースに発光物質、または発光物質と反射物質とを含有させたので、視認性が向上しており、特に発光物質の含有量が高い実施例3〜6では、含有量が少ない実施例1および2と比較して優れた視認性を示している。しかも、発光物質などの添加によっても、塗布性、高温での垂れ落ち性および防食性は低下していない。
【0043】
以上説明したように、本発明の防食グリース組成物は、発光物質、所望により反射物質を含有させたので、その防食性能を維持しながら視認性を向上させることができる。また、本発明の防食グリース組成物を架空電線に塗布または充填することで、優れた防食性能と夜間でも視認可能な防食架空電線を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防食グリースに発光物質が含有されてなることを特徴とする防食グリース組成物。
【請求項2】
前記発光物質は、蛍光物質および/または蓄光物質である請求項1に記載の防食グリース組成物。
【請求項3】
前記発光物質の配合量は、防食グリース100重量部に対して、0.5〜50重量部である請求項1または2に記載の防食グリース組成物。
【請求項4】
さらに、反射物質が含有されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食グリース組成物。
【請求項5】
前記反射物質の配合量は、防食グリース100重量部に対して、0.5〜20重量部である請求項4に記載の防食グリース組成物。
【請求項6】
前記防食グリースには、基油の主成分としてポリブデン若しくはシリコーン油が含有されてなる請求項1〜5に記載の防食グリース組成物。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の防食グリース組成物が表面に塗布され、または表面に塗布されるとともに内部に充填されたことを特徴とする防食架空電線。

【公開番号】特開2008−115237(P2008−115237A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298461(P2006−298461)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】