説明

防食処理方法

0.86〜0.91g/cmの密度および少なくとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーからなる層を備える接着テープが金属表面上に施されること、ならびにこの層が溶融して防食層が形成されるようにその接着テープが加熱されることを特徴とする、金属表面、特に金属部材の端縁および形状移行部の防食処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する金属表面の防食処理方法および金属表面の防食処理のための自己接着性接着剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材は、多様な分野で使用される。その際、それらはさまざまな天候条件に曝されるので、多くの場合に防食処理が必要となる。これについて、特に金属部材上に防食層を全面に塗布するための種々の方法が知られている。例えば独国特許第102006006910号B3(特許文献1)は、保護すべき金属表面上に亜鉛ラメラコーティングの形で防食層を施与する方法を開示している。亜鉛ラメラコーティングの施与は、浸漬法または噴霧法によって行われる。従来技術から公知のさらなる一方法では、陰極析出型電着塗料中に金属表面を浸漬することによって防食処理が行われる(独国特許第102005059314号A1)(特許文献2)。前記の両方法に共通しているのは、防食層が、処理すべき金属表面の比較的広い面、特に全面に施与されることである。
【0003】
しかしながら、特に自動車工業では、小さな面、すなわち金属部材の端縁および形状移行部の表面も、防食層によって腐食を防止する必要がある。このために、通例、微細シームシーラントを手作業でまたはロボットによって塗布する。微細シーム用の材料として、通常はポンプ輸送可能なPVC−プラスチゾルが使用される。これを、金属表面に局所的に噴霧し、続いてブラシで滑らかに塗り広げる。原理的に端縁および形状移行部に適したこの方法では、車両の製造に必要な光学的品質で微細シームを仕上げることが困難である。むしろ表面は粗いままであることが多く、不均一な塗着を肉眼で認識することができる。さらに、完全な防食を確保するための塗着が完全であることは保証されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102006006910号B3
【特許文献2】独国特許第102005059314号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、多額の費用をかけずに実施可能な、そして特に金属部材の端縁および形状移行部の保護にも使用することができる、金属表面の防食処理方法を提供するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、請求項1の前提部分の特徴を有する金属表面の防食処理方法において、請求項1の特徴部分の特徴によって解決される。請求項11による接着テープの使用は同等の解決策を提供する。有利な形態および発展形態は、それぞれの従属請求項の対象である。
【0007】
本発明によれば、溶融可能な特別なポリオレフィン層を有する接着テープが、対応する方法において金属表面上に良好な防食層を形成することができ、したがって防食処理に適することが示された。さらに実験の際に、適切な自己接着性配合物を用いて滑らかな表面が形成できることを示すことができた。このような滑らかな表面は、観察者にとって肉眼で均一な表面構造を有し、そのうえ平らである。金属表面に防食層を形成するためにこのような接着テープを使用すると、取扱いが簡単なので特に有利である。自己接着作用があるので、溶融可能層を表面上に特に簡単に施与し、さらなる工程段階の前にそこで予備固定することができる。このような設計は、特に小さな面に使用するのにも適している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による方法では、接着テープを当該の金属表面上に施与し、続いて加熱する。この層は、加熱によって軟化し、加熱の際に金属表面上に広がり、接合部に流れ込むことができ、その際に閉じた通常は滑らかな防食層を形成するような材料である。また一実施形態では、接着テープを、金属表面に施与する前にすでに、その層が溶融するように、加熱しておくこともできる。
【0009】
したがって、本発明は、0.86〜0.91g/cmの密度および少なくとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーからなる層を有する接着テープを金属表面に施与し、この層が溶融して防食層が形成されるように加熱することによる、金属表面の、特に金属部材の端縁および形状移行部の防食処理の方法に関する。接着テープという概念は、ロール形だけでなく断片、打抜き品、ラベルおよび他の適用形態(Darreichungsform)も包含する。本発明は、また、特に前記請求項の一つによる方法における、金属表面を防食処理するための、かかる接着テープの使用にも関する。金属表面とは、元素金属だけを意味するのではなく、表面が、粗面化、下塗り、陰極析出型電着塗装などの防錆処理、または他の通常の仕上げ処理(Veredlungsverfahren)によって処理されていてもよい。この方法の好ましい形態は、自動車ボディーの接合部の封止である。
【0010】
オレフィンポリマーは、接着剤には不適切であると当業者には見なされていた。それにもかかわらず、驚くべきことには、0.86〜0.91g/cm、好ましくは0.86〜0.88g/cm、特に好ましくは0.86〜0.87g/cmの密度、および少なくとも105℃、好ましくは少なくとも115℃、特に好ましくは少なくとも135℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーから、顕著な接着性を有する接着テープ用接着剤を製造することができる。したがってこのような接着剤は、接着テープの性質に加えて、加熱後に防食層を形成する溶融可能層の性質も同時に備える。
【0011】
別の実施形態では、溶融可能層は、金属表面上に固定するために、好ましくはポリアクリレートをベースとする感圧接着剤を備える。これは特に溶融可能層が適用温度で十分に粘着しない場合に有利である。溶融可能な軟質ポリオレフィンからなる層を備える接着テープを使用すると、方法の簡単さおよび技術的性質の点でプラスチゾル・ペーストの塗着よりも優れた粘弾性防食層が形成されることは、当業者にとって驚くべきことであった。
【0012】
この接着テープは、輸送、貯蔵または打抜きのために、好ましくは少なくとも片側にライナー、すなわち例えばシリコーンで覆したフィルムまたはシリコーン紙を備える。
【0013】
本発明のオレフィンポリマーは、好ましくは8g/10min未満、特に好ましくは1.5g/10min未満のメルトインデックスを示す。このオレフィンポリマーの曲げ弾性率は、好ましくは50MPa未満、特に好ましくは26MPa未満、特に17MPa未満である。
【0014】
オレフィンポリマーは、例えばポリプロピレン樹脂であり、例えばブロックコポリマーとして、グラフトポリマーとして、またはヘテロ相ポリプロピレン(耐衝撃性ポリプロピレン、または完全に正しいわけではないが慣例的にポリプロピレンブロックコポリマーと呼ばれる)の場合のようないわゆるリアクター・ブレンドとして、さまざまに構成されていてよい。このポリプロピレン樹脂は、モノマーであるプロピレンとさらなるオレフィン(例えばエチレンまたはブテン)をランダムな分布で含む、古典的な非ヘテロ相ポリプロピレンランダムコポリマーではない。それは、このポリマーがわずかな剪断強度、接着力および耐熱性しか達成できないからである。このポリプロピレン樹脂は、好ましくはブロックコポリマー、グラフトポリマーまたはヘテロ相ポリプロピレンである。しかしながら、結晶融点がなお本発明の範囲内にあるかぎり、ヘテロ相ポリプロピレンは結晶成分中に少量のコモノマーを有していてもよい。要求される技術的性質がタクティシティー(立体規則性)の制御によって達成されるならば、ポリプロピレン樹脂は、ホモポリマーでもよい。このオレフィンポリマーは、主成分としてプロピレンの代わりにエチレンまたはブテンを有していてもよい。
【0015】
このオレフィンポリマーは、好ましくはエチレンまたはプロピレンと、C〜C10−オレフィン、特に好ましくはC〜C10−α−オレフィンから選択された少なくとも1種のさらなるコモノマーとを含む。エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−(1)、エチレンとオクテン−(1)、プロピレンとブテン−(1)のコポリマー、またはエチレン、プロピレンおよびブテン−(1)のターポリマーが特に適切である。
【0016】
ポリオレフィンの密度は、ISO1183に従って決定し、g/cmで表される。メルトインデックスは、ISO1133に従って2.16kgで試験し、g/10minで表される。試験温度は、当業者に周知のようにプロピレンベースのポリオレフィンの場合には230℃であり、エチレンベースのポリマーの場合には190℃である。曲げ弾性率(flexural modulus)は、ASTM D790(2%伸長時の割線弾性係数)に従って決定することができる。結晶融点(Tcr)および融解熱は、DSC(Mettler DSC822)を用いてISO3146に従って10℃/minの加熱速度で決定し、いくつかの融解ピークが生じた場合、最高の温度を有するピークを選択する。それは、樹脂または軟化剤を改変した場合に、100℃よりも高い融解ピークだけが調合物において維持され、効果を及ぼすが、一方、100℃よりも著しく低い融点は維持されず、製品の性質に影響を及ぼさないからである。この方法に従って加熱した場合に、その層は溶融しなければならないが、腐食層を備える完成品は使用温度で十分な耐熱性も示すべきなので、結晶融点の選択は重要である。オレフィンポリマーの融解熱は、一方ではその層の弾性および塑性的性質を、他方では高温での溶融挙動を決定し、それは、3〜15J/g、特に好ましくは5〜18J/gである。
【0017】
オレフィンポリマーが著しい量の(100phr超)接着樹脂を受け入れられることが明らかになった。接着樹脂によって、金属表面だけではなく、それに続くプラスチゾル層または塗膜層への層の接着性にも影響を及ぼすことができる。さらに、この樹脂によって、層の溶融挙動、ならびに防食層の動的力学的性質を調整することができる。
【0018】
接着樹脂の量は、好ましくは50〜300phr、特に好ましくは100〜200phrである(phrは、100重量部の樹脂またはゴム、すなわちここではオレフィンポリマーに対する重量部を意味する)。接着樹脂の多分散性は、重量平均モル質量分布と数平均モル質量分布の比であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。樹脂量以外に、多分散性が、性質にとって重要な役割を果たす。したがって接着樹脂としては、2.1未満、好ましくは1.8未満、特に好ましくは1.6未満の多分散性を有する接着樹脂を使用する。さらなるパラメータは、接着樹脂の融点(DIN ISO4625に従って決定)である。
【0019】
接着樹脂として、好ましくは部分水素化もしくは完全水素化されたロジン(例えばバルサム樹脂)またはロジンム誘導体(例えば不均化、二量体化またはエステル化ロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが明らかになった。テルペンフェノール樹脂は、水素化樹脂と同様に、特に高い老化耐久性を特色とする。炭化水素樹脂も好ましいが、炭化水素樹脂はおそらくその極性ゆえに適合性が高い。これは、例えばクマロン−インデン樹脂などの芳香族樹脂、またはスチレンもしくはα−メチルスチレンをベースとする樹脂、またはピペリレンなどのC−モノマーの重合からの、またはクラッキングのC−もしくはC−画分からの、またはβ−ピネンもしくはδ−リモネンもしくはその組合せなどのテルペンからの、好ましくは部分または完全水素化された脂環式炭化水素樹脂、および芳香族炭化水素樹脂またはシクロペンタジエンポリマーの水素化によって得られた炭化水素樹脂である。
【0020】
所望の性質とするために、本発明の層は、好ましくは、例えば脂肪族(パラフィンまたは分岐)および脂環式(ナフテン性)鉱物油、アジピン酸、フタル酸、トリメリト酸およびクエン酸のエステル、羊毛ロウなどのロウ、液状ゴム(例えば低分子ニトリル−、ブタジエン−またはポリイソプレンゴム)、イソブテンホモポリマーおよび/またはイソブテン−ブテン−コポリマーからの液状重合物、接着樹脂、特に上記のクラスの接着樹脂の原料をベースとする、融点が40℃未満の液状−および軟性樹脂などの液体軟化剤を含む。特に好ましいのは、イソブテンおよび/またはブテンからの液状重合物、鉱物油、およびPVC−プラスチゾルコーティングのようなエステルである。
【0021】
層の性質を最適化するために、この層は、充填材、顔料、酸化防止剤、または架橋剤のようなさらなる添加剤を含むことができる。適切な充填材および顔料は、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ケイ酸塩およびケイ酸である。
【0022】
本発明の層の製造は、溶液からならびに溶融物から行うことができる。好ましい製造および加工方法は、溶融物から行われる。後者の場合、適切な製造工程には、バッチ法も、連続法も含まれる。特に好ましいのは、押出機を用いた連続製造、およびそれに続く接着剤層を伴うまたは伴わないライナー上への直接被覆である。
【0023】
本発明の層と場合によってはその後に施与されるプラスチゾル層またはコーティング層との付着性を最適化するために、本発明の層を改変することができる。その例は、コロナ放電またはプラズマによる物理処理、水素化ニトリルゴム、塩化ビニリデンポリマーのような接着促進物質を用いた、またはその後の塗装のためにポリオレフィン製のプラスチック部品(例えば自動車バンパー)に下塗りするための当業者に公知のプライマーによるコーティングである。さらにこの目的のために、表面を、例えばPVC、ポリエステル(PEN、PET)またはポリスチレンのようなフィルムで改変してもよい。
【0024】
さらに、多くの場合、プラスチゾル層から防食層への軟化剤の移動、または防食層から塗膜層への軟化剤の移動を回避するためにバリア層が重要である。これは、例えば塩化ビニリデンポリマーによるコーティングでも、ポリエステルフィルムの施与でもよい。
【0025】
本発明の層は、少なくとも50μm、好ましくは少なくとも100μm、特に好ましくは少なくとも200μmの層厚を有するべきである。そのうえ層厚は、最大750μm、好ましくは最大600μm、特に好ましくは最大400μmであるべきである。層厚の選択によって、一方では本発明の層が溶融した場合に、金属表面が十分に覆われ、他方ではその層が不均等に広がらず(例えば流動しすぎず)、防食層の層厚が大きくなりすぎないようになる。
【0026】
使用のためには、接着テープをまずロール上に巻取ることが特に適切であることが判明した。後で、接着テープをこのロールから引き出し、または打抜き品として金属表面上に施与することができる。
【0027】
本方法においては、その層は好ましくは少なくとも90℃、特に好ましくは少なくとも110℃、特に少なくとも130℃で溶融する。
【0028】
一般的な用語「接着テープ」は、本発明の文脈では、二次元に広がったフィルムまたはフィルム片、長尺で幅の限られたテープ、テープ片など、最後に打抜き品またはラベルなど、全ての平面状構造物を包含する。
【0029】
以下にいくつかの例によって本発明をさらに詳細に説明するが、それにより本発明が限定されることはない。
【0030】
例の原料:
NOTIO PN−0040: プロピレンとブテン−(1)のコポリマー(場合により少量のエチレンも含む)、メルトインデックス4g/10min、密度0.868g/cm、曲げ弾性率42MPa、結晶融点159℃、融解熱5.2J/g
Softell CA02: プロピレンとエチレンのコポリマー、メルトインデックス0.6g/10min、密度0.870g/cm、曲げ弾性率20MPa、結晶融点142℃、融解熱9.9J/g
PB 8640M: 1−ブテンといくらかのエチレンのコポリマー、メルトインデックス1g/10min、密度0.906g/cm、曲げ弾性率300MPa、結晶融点113℃
Vistamaxx 1100: プロピレンとエチレンののコポリマー、メルトインデックス2g/10min、密度0.862g/cm、曲げ弾性率13.6MPa、結晶融点161℃
LD 251: LDPE、メルトインデックス8g/10min、密度0.9155g/cm、曲げ弾性率180MPa、結晶融点104℃
Engage 7467: エチレンとブテン−(1)のコポリマー、メルトインデックス1.2g/10min、密度0.862g/cm、曲げ弾性率4MPa、結晶融点34℃
Ondina 933: ホワイト油(パラフィン−ナフテン系鉱物油)
Palatinol N: ジイソノニルフタレート
Regalite R1100: 水素化芳香族炭化水素樹脂、融点100℃、多分散性1.9
Foral 85: ロジンの完全水素化グリセリンエステル、融点85℃、多分散性1.2
Irganox 1726: 硫黄ベースの二次酸化防止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤
【0031】
例1
接着テープは、以下の成分からなる厚さ300μmの感圧接着性溶融コーティングを備えるシリコーン紙からなる。
100phrのNOTIO PN−0040
200phrのRegalite R1100
30phrのPalatinol N
1phrのIrganox 1726
【0032】
2枚の、互いに10mm重なり合った厚さ0.5mmのKTL処理薄鋼板の接合部に20mmの幅で接着テープを接着させ、シリコーン紙を剥がす。
【0033】
続いてこの構造物を170℃で40分間加熱する。加熱によって、金属表面上にポリオレフィン層が溶融して、均等に流れた防食層が形成される。金属板の冷却後に、防食層は滑らかな表面を示す。その際、両方の金属板の間の板の端縁はまだ認められるが、接合部は完全に封止されている。
【0034】
続いて金属板をさまざまな環境条件に曝す。このために、温度を約−5℃と70℃との間で交互に変化させる。防食層は、熱膨張の交互変化にもかかわらず、その動的力学的性質ゆえに剥げ落ちない。
【0035】
この腐食層を備えるさらなる板を200mmの曲率半径で曲げる。このとき防食層は剥げ落ちない。
【0036】
並行して、このような板にPVCおよびDINPベースの下面保護−プラスチゾルを施与し、165℃で15分間硬化させた。プラスチゾル層は板上および防食層上に問題なく接着する。
【0037】
例2
接着テープは、以下のような構成である。
− シリコーン化ポリエステルフィルム
− 40μmの溶剤型アクリル感圧接着剤
− 以下の成分からなる250μmの溶融コーティング:
100phrのSoftell CA02
200phrのRegalite R1100
30phrのOndina 933
1phrのIrganox 1726、
− 1μmのPVDC−コポリマー(Saran F 310)
【0038】
ライナーを取り除いた後に、2枚の、互いに10mm重なり合った厚さ0.5mmのKTL処理薄鋼板の接合部に、20mmの幅で接着テープを接着させ、シリコーン紙を剥がす。
【0039】
続いてこの構造物を165℃で20分間加熱する。加熱によって、金属表面上にポリオレフィン層が溶融して、均等に流れた防食層が形成される。金属板の冷却後に防食層は滑らかな表面を示す。その際、両方の金属板の間の板の端縁はまだ認められるが、接合部は完全に封止されている。
【0040】
続いて金属板をさまざまな環境条件に曝す。このために、温度を約−5℃と70℃との間で交互に変化させた。防食層は、熱膨張の交互変化にもかかわらず、その動的力学的性質ゆえに剥げ落ちない。
【0041】
この腐食層を備えるさらなる板を200mmの曲率半径で曲げる。このとき防食層は剥げ落ちない。
【0042】
並行して、このような板に2−K−PU−自動車用塗料をコーティングし、140℃で10分間乾燥および硬化させる。塗料は、板上および防食層上に問題なく接着する。
【0043】
例3
接着テープは、以下のような構成である。
− 厚さ25μmのシリコーン化ポリエステルフィルム
− 40μmの溶剤型アクリル感圧接着剤
− 以下の成分からなる、250μmの溶融コーティング:
100phrのPB 8640M
100phrのForal 85
1phrのIrganox 1726、
− 25μmの両面エッチング処理されたPETフィルム
【0044】
試験は、曲げ検査を除いて例2と同様に実施し、結果は同様に問題なしである。
【0045】
例4
接着テープは、以下のような構成である。
− 厚さ25μmのシリコーン化ポリエステルフィルム
− 40μmの溶剤型アクリル感圧接着剤
− 以下の成分からなる、250μmの溶融コーティング:
100phrのVistamaxx 1100
100phrのRegalite R1100
1phrのIrganox 1726、
− 25μmの両面エッチング処理されたPETフィルム
【0046】
試験は、曲げ試験を除いて例2と同様に実施し、結果は同様に問題なしである。
【0047】
比較例1
例1に記載したように実施するが、NOTIO PN−0040の代わりにLD 251を用いる。防食層の形成は問題なしである。交替耐候試験では、防食層の末端で剥離現象が生じる。曲げ試験では防食層が完全に剥がれ落ちる。プラスチゾル層は板上に問題なく接着するが、防食層上には接着しない。
【0048】
比較例2
例1に記載したように実施するが、NOTIO PN−0040の代わりにEngage 7467を用いる。防食層の形成は不完全であり、厚さが不均等である。接合部の上部端縁で防食層が部分的に流れ落ちた。曲げ検査では防食層が完全に剥がれ落ちる。プラスチゾル層は板上に問題なく接着するが防食層には接着しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面の、特に金属部材の端縁および形状移行部の防食処理方法において、0.86〜0.91g/cmの密度および少なくとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーからなる層を有する接着テープが前記金属表面上に施与されること、ならびに前記層が溶融して防食層が形成されるように前記接着テープが加熱されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記オレフィンポリマーの密度が、0.86〜0.88g/cm、好ましくは0.86〜0.87g/cmであり、かつ/または前記オレフィンポリマーが、少なくとも105℃の、好ましくは少なくとも115℃の、特に好ましくは少なくとも135℃の結晶融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オレフィンポリマーが、8g/10min未満、好ましくは1.5g/10min未満のメルトインデックス、および50MPa未満、好ましくは26MPa未満、特に17MPa未満の曲げ弾性率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記オレフィンポリマーが、エチレンまたはプロピレンと、C〜C10オレフィン、好ましくはC〜C10−α−オレフィンから選択される少なくとも1種のさらなるコモノマーとを有し、特に好ましくは、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−(1)、エチレンとオクテン−(1)、プロピレンとブテン−(1)のコポリマー、またはエチレン、プロピレンおよびブテン−(1)のターポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3の少なくともいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記オレフィンポリマーが、ポリプロピレンベースのブロックコポリマー、グラフトポリマーまたはヘテロ相ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記層の厚さが、50〜750μm、好ましくは100〜600μm、特に好ましくは200〜400μmであることを特徴とする、請求項1〜5の少なくともいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記防食層の表面が、後で施与されるプラスチゾル層または塗膜層に対する十分な付着性が確保されるように改変されることを特徴とする、請求項1〜6の少なくともいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記層が、少なくとも90℃、好ましくは少なくとも110℃、さらに好ましくは少なくとも130℃で溶融することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記層が感圧接着性であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記層と前記金属表面との間に感圧接着剤が存在することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
特に請求項1〜10のいずれか一つに記載の特徴部分に従って形成された接着テープの、金属表面の防食処理のための、特に請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法における使用。

【公表番号】特表2012−515639(P2012−515639A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545709(P2011−545709)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050069
【国際公開番号】WO2010/084031
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】