降圧型スイッチングDC/DCコンバータ
【課題】低ノイズ化を実現可能な降圧型スイッチングDC/DCコンバータを提供する。
【解決手段】直流電源Eに接続する入力コイルL1、負荷Rに接続する出力コイルL2、両者のコイルの接続をON/OFFするスイッチS、出力電圧を平滑化する出力コンデンサCを備え、かつ、入力コイルL1とスイッチSとの接続点から第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との直列回路、また、出力コイルL2とスイッチSとの接続点から第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との直列回路を接続し、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点から、スイッチSと相補的にON/OFFするスイッチング素子のダイオードDを介して、第2の中間コンデンサC2とスイッチSとの接続点を接続し、かつ、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1とを、また、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2とを、それぞれ、電磁結合する。
【解決手段】直流電源Eに接続する入力コイルL1、負荷Rに接続する出力コイルL2、両者のコイルの接続をON/OFFするスイッチS、出力電圧を平滑化する出力コンデンサCを備え、かつ、入力コイルL1とスイッチSとの接続点から第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との直列回路、また、出力コイルL2とスイッチSとの接続点から第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との直列回路を接続し、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点から、スイッチSと相補的にON/OFFするスイッチング素子のダイオードDを介して、第2の中間コンデンサC2とスイッチSとの接続点を接続し、かつ、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1とを、また、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2とを、それぞれ、電磁結合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降圧型スイッチングDC/DCコンバータに関する。特に、太陽電池を電力源とする電源システム・機器、バッテリを電力源とする電源システム・機器、バッテリ充放電システム・機器、低ノイズであることが必要な電源システム・機器などに好適に適用可能な低ノイズ降圧型のスイッチングDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を電力源とする惑星探査機において、太陽−惑星探査機間の距離の変動が大きい場合、太陽電池の電圧が大きく変化する。惑星探査機の電源システムとしては、この大きく変化する太陽電池の電圧を所望の電圧に降圧して安定化させて負荷側へ供給することが必要である。このために、このような電源システムには、一般に、電力損失、発熱の少ない、例えば、特許文献1の特開平4−58757号公報「DC−DCコンバータ」に記載のようなスイッチングDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が用いられている。
【0003】
また、惑星探査機のミッションが、惑星の電場、磁場観測などである場合、スイッチングDC/DCコンバータが発生するスイッチングノイズが小さいことが望まれる。
【特許文献1】特開平4−58757号公報(第3−4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータには、以下に示すように、低ノイズ化を実現することができないという問題点がある。
【0005】
図9および図10には、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの回路構成を示している。図9は、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける一般的なBuckコンバータの回路構成を示す回路図であり、リップル電流ΔIに示すように、スイッチSに流れる入力電流がパルス波であり、コイルLに流れる出力電流が三角波である。一方、図10は、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける低ノイズ型のLow Noise Buckコンバータの回路構成を示す回路図であり、リップル電流ΔIL1,ΔICにそれぞれ示すように、コイルL1に流れる入力電流とコンデンサCに流れる出力電流とをともに三角波にすることができる。しかし、図9および図10の従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、用途によっては、まだノイズが大きいという課題がある。
【0006】
つまり、図9に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、スイッチSに流れる入力電流がパルス波であるということは、スイッチング周波数の振幅が大きく、電流の時間変化率が大きい場合、スイッチング周波数のノイズが大きく、スイッチング周波数の高調波のノイズも大きいということを意味している。一方、図10に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、コイルL1に流れる入力電流、コンデンサCに流れる出力電流のいずれも三角波であることによって、図9のようなパルス波の場合よりは低ノイズにすることができるとしても、リップル電流ΔIL1,ΔICに示すように、入力コイルL1、コンデンサCにそれぞれ流れる電流には、入力コイルL1、中間コイルL2の電磁結合の有無によらず、スイッチング周波数およびその高調波のノイズ成分を含んでおり、リップル電流ΔIL1,ΔICを除去する(ゼロリップル化する)ことはできない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、低ノイズ化を実現可能な降圧型スイッチングDC/DCコンバータを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第1の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合する降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【発明の効果】
【0010】
本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0011】
第1に、入力コイルと電磁結合する第1の中間コイル、出力コイルと電磁結合する第2の中間コイルをそれぞれに備えているので、入力コイルおよび出力コイルのリップル電流をゼロリップルにすることができ、ノイズを小さくすることができる。
【0012】
第2に、ノイズが小さく、追加するフィルタを小さくすることができるので、降圧型スイッチングDC/DCコンバータを小型化することができる。
【0013】
第3に、入力コイル、出力コイル、第1の中間コイル、第2の中間コイルの4個のコイルの両端電圧をすべて相等しい値に設定することができるので、すべてのコイルを結合させて、1個のトランスによって構成することも可能であり、降圧型スイッチングDC/DCコンバータをさらに小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0015】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明は、入力コイル、スイッチ、出力コイル、出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、入力側と出力側とに、中間コンデンサと中間コイルとからなる直列回路をスイッチSの両端の位置からそれぞれ並列に接続し、かつ、入力側に接続した中間コンデンサと中間コイルとの接続点からスイッチング素子を介して出力側の中間コンデンサを充電するように接続し、かつ、入力コイルと入力側の中間コイルとを、また、出力コイルと出力側の中間コイルとをそれぞれ電磁結合させた構成を採用することを特徴としている。
【0016】
図1に、本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの一実施形態を示している。図1に示すように、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、入力コイルL1、出力コイルL2、入力側に配置した第1の中間コイルLm1、出力側に配置した第2の中間コイルLm2、入力側に配置した第1の中間コンデンサC1、出力側に配置した第2の中間コンデンサC2、スイッチS、スイッチング素子であるダイオードD、および、平滑用の出力コンデンサCを少なくとも含んで構成され、入力コイルL1および出力コイルL2に流れるリップル電流波形を三角波とするまたは除去する(ゼロリップル化する)ことにより、低ノイズ化を実現することが可能な、降圧型のスイッチングDC/DCコンバータとして構成されている。
【0017】
つまり、図1に示す降圧型のスイッチングDC/DCコンバータにおいては、直流電源Eの正極側に、入力コイルL1、スイッチS、出力コイルL2を経由して負荷Rが接続され、電源電圧Eと負荷R側との負極側は直接接続されている。また、入力側の入力コイルL1とスイッチSとの接続点と電源電圧Eの負極側との間に、入力側に配置する第1の中間コンデンサC1、第1の中間コイルLm1の直列回路が並列接続されている。一方、出力側の出力コイルL2とスイッチSとの接続点と負荷Rの負極側との間に、出力側に配置する第2の中間コンデンサC2、第2の中間コイルLm2の直列回路が並列接続されている。さらに、入力側の第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点は、スイッチング素子のダイオードDを介して、出力側のスイッチSと第2の中間コンデンサC2との接続点に接続されている。
【0018】
図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、直流電源Eの入力電圧Viを指定した出力電圧Voに変換して負荷Rへ供給するために、スイッチSのON時間がスイッチング周波数fに占める比率を
伝達関数d=(出力電圧Vo)/(入力電圧Vi)
となるように、つまり、デューティ比が伝達関数d(0<d<1)と等しくなるように制御している。一方、スイッチング素子のダイオードDは、スイッチSがOFFになっている期間の間、入力側の第1の中間コイルLm1に蓄えた直流電源Eのエネルギーを出力側へ放電して第2の中間コンデンサC2を充電する機能を果たしており、スイッチSとは相補的なスイッチング動作が行われる。この結果、所望の入力電圧Viを伝達関数dにより降圧した所望の出力電圧Voが得られる。
【0019】
また、入力側の入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力側の出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間は、それぞれ、電磁結合状態にあり、相互インダクタンスM1,M2が、それぞれに存在している。ここで、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との結合係数k11および巻数比n11について、次の式(1)が成立するように設定することにより、入力コイルL1に流れるリップル電流ΔIL1をほぼゼロにする(ゼロリップル化する)ことができる。
【数1】
【0020】
同様に、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との結合係数k22および巻数比n22について、それぞれ、次の式(2)が成立するように設定することにより、出力コイルL2に流れるリップル電流ΔIL2をほぼゼロにする(ゼルリップル化する)ことができる。
【数2】
【0021】
図2は、図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図であり、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作例を示すものである。なお、図2(A)が、スイッチSがONの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示し、図2(B)が、スイッチSがOFFの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示し、また、図2(C)は、図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの各ノードにおける電流、電圧波形の一例を示している。
【0022】
図2(A)に示すように、スイッチSがONの場合、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルに励磁電流が流れ、直流電源Eの入力側から負荷Rの出力側に電流が流れる。また、第1の中間コンデンサC1には、放電方向の電流が流れ、第2の中間コンデンサC2には、前半は放電方向の電流が流れ、後半は充電方向の電流が流れる。
【0023】
また、各ノードのリップル電圧、すなわち、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Va、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vb、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vc、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdは、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、次の式(3)によって与えられる。
【数3】
【0024】
一方、図2(B)に示すように、スイッチSがOFFの場合、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルに開放電流が流れ、直流電源Eの入力側から負荷Rの出力側に電流が流れる。また、第1の中間コンデンサC1には、図2(A)のスイッチSがONの場合とは逆方向の、充電方向の電流が流れ、第2の中間コンデンサC2についても、図2(A)のスイッチSがONの場合とは逆方向であり、前半は充電方向の電流が流れ、後半は放電方向の電流が流れる。
【0025】
また、各ノードのリップル電圧、すなわち、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Va、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vb、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vc、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdは、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、次の式(4)によって与えられる。
【数4】
【0026】
図2(A)および図2(B)に示すように、スイッチSがONの場合およびOFFの場合のいずれにおいても、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルには、電流が流れている。それぞれのコイルに流れる電流波形つまりリップル電流波形は、図2(C)に示すように、スイッチSがONのときは、右上がりの三角波となり、スイッチSがOFFのときは、右下がりの三角波となり、立ち上がり、立ち下がり波形が急峻なパルス波にはならない。
【0027】
つまり、図2(C)に示すように、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルに流れるリップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2について、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方ともになしの場合(図2(C)内のリップル電流欄の(a)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(b)の場合)、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(c)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方とも存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(d)の場合)のそれぞれの電流波形は、いずれも、スイッチSのON、OFFのスイッチング周期に対応した三角波の波形となっている。
【0028】
ここで、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、図2(C)に示すように、各リップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2のピーク値は、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方ともになしの場合(図2(C)内のリップル電流欄の(a)の場合)、スイッチSのON時間をtonとすると、次の式(5)によって与えられる。
【数5】
【0029】
また、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(b)の場合)、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(c)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方とも存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(d)の場合)のそれぞれにおいては、図2(C)に示すように、各リップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2のピーク値は、スイッチSのON時間をtonとすると、それぞれ、次の式(6)、式(7)、式(8)によって与えられる。なお、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合が存在する場合、それぞれの結合係数k11,k22、巻数比n11,n22の関係は、前述した式(1)、式(2)の条件が成立しているものとする。
【数6】
【数7】
【数8】
【0030】
また、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VL2,VLm2は、は、図2(C)に示すように、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、詳細は後述するが、スイッチSがONの場合は、次の式(9)によって、スイッチSがOFFの場合は、次の式(10)によって与えられる。
【数9】
【数10】
【0031】
以下に、本発明の一実施形態として図1、図2に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作解析についてさらに詳細に説明する。なお、本動作解析においては、スイッチSは理想スイッチであり、スイッチング素子のダイオードDは理想ダイオードであるものと仮定し、降圧型スイッチングDC/DCコンバータのスイッチング動作を行うスイッチング周波数fのうち、スイッチSがONしている時間をton、スイッチSがOFFしている時間をtoffであるものとする。また、スイッチング周波数fにおける第1の中間コンデンサC1および第2の中間コンデンサC2のインピーダンスはいずれも充分小さく(つまり容量が充分大きく)、第1の中間コンデンサC1は、入力電圧に等しい電圧Viの電圧源、第2の中間コンデンサC2は、出力電圧に等しい電圧Voの電圧源と見なせるものと仮定する。
【0032】
(a)スイッチSがONのとき
まず、スイッチSがONしている状態において、降圧型スイッチングDC/DCコンバータの各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdおよび入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の関係は、次の式(11)に示す通りである。ここに、各ノードの電位とは、前述したように、電位Vaは、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Vaであり、電位Vbは、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vbであり、電位Vcは、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vcであり、電位Vdは、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdである。
【数11】
【0033】
式(11)において、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、次の式(12)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(12)の「⇒」のマーク以降に示している。
【数12】
【0034】
また、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdについては、次の式(13)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(13)の「⇒」マーク以降に示している。
【数13】
【0035】
また、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2は、次の式(14)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(14)の「⇒」マーク以降に示している。
【数14】
【0036】
(b)スイッチSがOFFのとき
一方、スイッチSがOFFのときは、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdおよび入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の関係は、次の式(15)に示す通りである。
【数15】
【0037】
ここで、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、次の式(16)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(16)の「⇒」マーク以降に示している。
【数16】
【0038】
また、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdについては、次の式(17)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(17)の「⇒」マーク以降に示している。
【数17】
【0039】
また、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2は、次の式(18)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(18)の「⇒」マーク以降に示している。
【数18】
【0040】
ここで、降圧型スイッチングDC/DCコンバータコンバータとして正常に動作するためには、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2および各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2が、スイッチSがONの場合とOFFの場合とで相等しいことが必要であり、次の式(19)の条件を満たすことが必要である。
【数19】
【0041】
なお、式(19)において、[ ]は、コイルを示す記号L1,Lm1,L2,Lm2のいずれかをそれぞれ示し、(ON)、(OFF)は、スイッチSのON、OFFをそれぞれ示している。つまり、式(19)の上側の式(9−1)は、
式(12)=式(16)
の関係にあることを示し、式(19)の下側の式(9−2)は、
式(14)=式(18)
の関係にあることを示している。
【0042】
式(19)を解くと、次の式(20)が得られる。
【数20】
【0043】
式(20)は、図1、図2に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータが、入力電圧Viに対してスイッチSのON時間比に応じた出力電圧Voを出力する降圧型コンバータとして動作することを示している。すなわち、本発明の一実施形態の図1に示すスイッチングDC/DCコンバータは、降圧型のコンバータとして動作し、かつ、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流ΔIL1およびΔIL2は、スイッチSがOFF状態からON状態に切り替わる時点から徐々に立ち上がり、ON状態からOFF状態に切り替わる時点から徐々に立ち下がる三角波であることを示している。
【0044】
次に、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの入出力リップル電流の低減さらにゼロリップル化について、さらに説明する。
【0045】
図3は、従来技術の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるリップル電流の低減方法とゼロリップル化の概念を説明する説明図であり、同じ両端電圧が加わる2つのコイルを電磁結合した場合の作用効果について説明している。
【0046】
一般に、図3の項番1に示すように、回路中に、スイッチング周波数に同期して矩形波の同じ両端電圧が発生し、三角波のリップル電流が流れるコイルL1およびコイルL2が存在していたときに、図3の項番2に示すように、これら2個のコイルL1,L2を同極性で電磁結合させた場合、図3の項番3に示すような等価回路となる。つまり、2つのコイルL1,L2の巻数比n、電磁結合の結合係数kとすると、次の式(21)のような、相互インダクタンスMを有するコイルによって、インダクタンス(L1−M)を有するコイルL1′の回路とインダクタンス(L2−M)を有するコイルL2′の回路とが結合された等価回路となる。
【数21】
【0047】
ここで、図3の項番(3−1)のように、結合係数k、巻数比nの関係が、
k=n=1
の関係にある場合、コイルL1とコイルL2とのインダクタンスは相等しく(L1=L2=L)、また、相互インダクタンスMも、コイルL1とコイルL2とのインダクタンスと相等しい値(M=L=L1=L2)になる。その結果、等価回路上のコイルL1′のインダクタンス(L1−M)、コイルL2′のインダクタンス(L2−M)は、いずれも、ほぼ0となり、それぞれのコイルL1,L2のリップル電流を電磁結合前の(1/2)に減少させることができる。
【0048】
また、図3の項番(3−2)のように、結合係数、巻数比の関係が
0≦k=n≦1
の関係にある場合には、次の式(22)に示すように、相互インダクタンスMは、コイルL1のインダクタンスと相等しくなる。その結果、等価回路上のコイルL1′のインダクタンス(L1−M)はほぼ0となり、コイルL2′のインダクタンス(L2−M)は、(L2−L1)として残り、コイルL2′の両端電圧は常に“0”Vとなるため、あるいは、
(コイルL1′側のインピーダンス)≪(コイルL2′側のインピーダンス)
の関係になるため、コイルL1のリップル電流は電磁結合前と変わらないが、コイルL2のリップル電流をゼロ(ゼロリップル)とすることができる。
【数22】
【0049】
また、図3の項番(3−3)のように、結合係数、巻数比の関係が
0≦k=(1/n)≦1
の関係にある場合には、次の式(23)に示すように、相互インダクタンスMは、コイルL2のインダクタンスと相等しくなる。その結果、等価回路上のコイルL2′のインダクタンス(L2−M)はほぼ0となり、コイルL1′のインダクタンス(L1−M)は、(L1−L2)として残り、コイルL1′の両端電圧は常に“0”Vとなるため、あるいは、
(コイルL1′側のインピーダンス)≫(コイルL2′側のインピーダンス)
の関係になるため、コイルL2のリップル電流は電磁結合前と変わらないが、コイルL1のリップル電流をゼロ(ゼロリップル)とすることができる。
【数23】
【0050】
つまり、図3のような入出力を構成するコイルL1およびコイルL2を同極性で電磁結合するような技術では、コイルL1,L2の双方のリップル電流を同時にゼロ(ゼロリップル)にするあるいは低減することは困難である。
【0051】
これに対して、本発明の一実施形態を示す図1のような降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、図2、式(14)および式(18)に示したように、常に、入力コイルL1および第1の中間コイルLm1の両端電圧VL1,VLm1が、また、出力コイルL2および第2の中間コイルLm2の両端電圧VL2,VLm2が、スイッチSのON,OFFの如何によらず、相等しく、
VL1=VLm1
VL2=VLm2
が成立している。
【0052】
特に、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合、つまり、
L1=L2(L1のインダクタンス=L2のインダクタンス)、
Lm1=Lm2(Lm1のインダクタンス=Lm2のインダクタンス)
の場合には、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2および第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VL2,VLm2をスイッチSのON,OFFの如何によらずすべて相等しくすることができ、
VL1=VLm1=Lm1=Lm2
が成立し、各コイルの両端電圧波形を等しくすることができる。
【0053】
したがって、これらの各コイルを適切に結合させることによって、入力コイルL1および/または出力コイルL2のリップル電流を減少させるまたはゼロ(ゼロリップル)にすることができる。図2(C)には、前述したように、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイルのみを電磁結合させて、入力コイルL1に流れる電流のみをゼロリップル化した場合、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルのみを電磁結合させて、出力コイルL2に流れる電流のみをゼロリップル化した場合、および、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイル、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルの両方をそれぞれ電磁結合させて、入力コイルL1および出力コイルL2の双方に流れる電流をゼロリップル化した場合のリップル電流波形を、それぞれ、示している。
【0054】
また、結合させるコイルの組み合わせを入れ換えて、例えば、入力コイルL1と第2の中間コイルLm2、出力コイルL2と第1の中間コイルLm1とを結合させても、同様の効果が得られる。この場合、入力コイルL1と第2の中間コイルLm2とのコイルの巻数比n12と両者の電磁結合の結合係数k12とを相等しく、また、出力コイルL2と第1の中間コイルLm1とのコイルの巻数比n21と両者の電磁結合の結合係数k21とを相等しく設定することにより、入力コイルL1、出力コイルL2に流れる電流をゼロリップル化することができる。
【0055】
(本発明の実施例)
図4に、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として直流電源Eと負荷Rとの間に配置する構成例を示している。図4に示すように、DC/DCコンバータ、バッテリ、太陽電池などの不安定な直流電源Eの電圧を、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータによって降圧安定化させて、電気・電子回路、DC/DCコンバータ、バッテリなどの負荷Rに対して供給する。ここで、図1、図2に示すような降圧型スイッチングDC/DCコンバータの電圧変換制御により、出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックさせて、スイッチSのON時間tonを制御する動作を行う。
【0056】
なお、図4においても、前述したように、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイル、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルをそれぞれ適切に結合させて、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流をゼロリップル化することができる。
【0057】
(実施形態の動作波形の説明)
次に、図1に示すように、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2、第1の中間コンデンサC1、第2の中間コンデンサC2、スイッチS、ダイオードD、および、出力コンデンサCを少なくとも含んで構成され、出力電圧VoをフィードバックしてスイッチSのON時間を制御することによって、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流波形を三角波とするまたは除去する(ゼロリップル化する)ことを可能とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作について、図5、図6の動作波形図を用いてさらに説明する。
【0058】
なお、図5および図6は、いずれも、入力コイルL1、出力コイルL2のリップル電流をともにゼロリップルにすることが可能な下記のような条件で、回路シミュレーションを行った結果の動作波形を示している。
Vi=120V、Vo=50V
L1=L2=118μH(=L)、Lm1=Lm2=50μH(=Lm)
C1=C2=5μF、C=100μF
S=理想スイッチ、D=理想ダイオード
スイッチング周波数=100kHz、ton=4.17μs
【0059】
図5は、図4の実施例つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前述した実施形態の説明とは異なり、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間のコイル間の電磁結合がない場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図であり、図5(A)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2の波形を示し、図5(B)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の波形を示している。
【0060】
図5(A)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルの両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2は相等しい。つまり、スイッチSがONのときには、式(14)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=(Vi−Vo)/2≒35V
となり、スイッチSがOFFのときには、式(18)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=−Vo/2≒−25V
となっている。
【0061】
また、図5(B)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルに流れるリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、スイッチSがONのときには、式(12)に示すように、
ΔIL1=ΔIL2=(Vi−Vo)×ton/(2×L)≒1.2A
ΔILm1=ΔILm2=(Vi−Vo)×ton/(2×Lm)≒2.9A
となり、スイッチSがOFFのときには、式(16)に示すように、
ΔIL1=ΔIL2=Vo×toff/(2×L)
=Vo×(10−ton)/(2×L)≒1.2A
ΔILm1=ΔILm2=Vo×toff/(2×Lm)
=Vo×(10−ton)/(2×Lm)≒2.9A
となっており、スイッチSのON、OFFによらず、相等しい値になる。
【0062】
図6は、図4の実施例つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前述した実施形態の説明と同様、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間のコイル間の電磁結合がある場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図であり、図6(A)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2の波形を示し、図6(B)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の波形を示している。
【0063】
ここで、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との巻数比n11、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との巻数比n22は、次の式(24)に示すように、いずれも、0.65であるものとする。
【数24】
【0064】
また、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との結合係数k11、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との結合係数k22は、次の式(25)に示すように、それぞれ、巻数比n11,n22と等しく、いずれも、0.65であるものとする。
【数25】
【0065】
図6(A)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のすべての両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2は相等し相等しい。つまり、図5の場合と同様、スイッチSがONのときには、式(14)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=(Vi−Vo)/2≒35V
となり、スイッチSがOFFの場合は、式(18)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=−Vo/2≒−25V
となっている。
【0066】
また、図6(B)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2については、入力コイルL1、出力コイルL2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2は、それぞれ、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2と、前述のような値の結合係数k11,k22にて電磁結合することにより、スイッチSのON,OFFによらず、図2に示した場合と同様に、
ΔIL1=ΔIL2≒0A(ゼロリップル)
となる。
【0067】
一方、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流は、図5の場合と同様、スイッチSがONのときには、式(12)に示すように、
ΔILm1=ΔILm2=(Vi−Vo)×ton/(2×Lm)≒2.9A
となり、スイッチSがOFFのときには、式(16)に示すように、
ΔILm1=ΔILm2=Vo×toff/2×Lm
=Vo×(10−ton)/(2×Lm)≒2.9A
となっており、スイッチSのON、OFFによらず、相等しい値になる。
【0068】
(本実施形態の効果の説明)
本実施形態による降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、入力側と出力側とのそれぞれに中間コンデンサC1,C2と中間コイルLm1,Lm2とを備え、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1とを、また、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2とを電磁結合させる構成を採用することにより、次のような効果が得られる。
【0069】
第1に、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流をゼロリップルにすることができ、ノイズを小さくすることができる。
【0070】
第2に、ノイズが小さく、追加するフィルタを小さくすることができるので、降圧型スイッチングDC/DCコンバータを小型化することができる。
【0071】
第3に、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の4個のコイルの両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2をすべて相等しい値に設定することができるので、すべてのコイルを結合させて、1個のトランスによって構成することも可能であり、降圧型スイッチングDC/DCコンバータをさらに小型化することができる。
【0072】
(本発明の他の実施形態)
図7は、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とは異なる構成例を示す構成図であり、図4つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSをバイポーラトランジスタによって構成した例を示している。出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックして、スイッチSとして用いているバイポーラトランジスタのON時間を制御する。なお、スイッチング素子のダイオードDについても、スイッチSと同様、バイポーラトランジスタに代えて構成するようにしても良い。
【0073】
また、図8は本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として図1とはさらに異なる構成例を示す構成図であり、図4つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSおよびダイオードDをそれぞれパワーMOSFETによって構成した例を示している。なお、図8において、パワーMOSFETに並列に接続されているダイオードは、パワーMOSFET寄生ダイオードである。出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックして、スイッチSとして用いているパワーMOSFETのON時間を制御する。さらに、スイッチSとして用いているパワーMOSFETのOFF期間には、ダイオードDの代わりのスイッチング素子として用いているパワーMOSFETをON(同期整流)することによって、スイッチSのパワーMOSFETにおける電力損失を低減することができる。
【0074】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)前記入力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しい上記(1)の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(3)入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第2の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合する降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(4)前記入力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しい上記(3)の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(5)前記スイッチを、バイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成する上記(1)ないし(4)のいずれかの降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(6)前記スイッチング素子を、ダイオードまたはバイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成する上記(1)ないし(5)のいずれかの降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの一実施形態を示す回路図である。
【図2(A)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSがONの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図である。
【図2(B)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSがOFFの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図である。
【図2(C)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける各ノードの電流と電圧波形を示す説明図である。
【図3】従来技術の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるリップル電流の低減方法とゼロリップル化の概念を説明する説明図である。
【図4】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として直流電源と負荷との間に配置する構成例を示す構成図である。
【図5】図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいてコイル間の電磁結合がない場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図である。
【図6】図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいてコイル間の電磁結合がある場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図である。
【図7】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とは異なる構成例を示す構成図である。
【図8】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とはさらに異なる構成例を示す構成図である。
【図9】従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける一般的なBuckコンバータの回路構成を示す回路図である。
【図10】従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける低ノイズ型のLow Noise Buckコンバータの回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0076】
C 出力コンデンサ
C1 第1の中間コンデンサ
C2 第2の中間コンデンサ
D ダイオード
E 直流電源
L1 入力コイル
L2 出力コイル
Lm1 第1の中間コイル
Lm2 第2の中間コイル
R 負荷
S スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、降圧型スイッチングDC/DCコンバータに関する。特に、太陽電池を電力源とする電源システム・機器、バッテリを電力源とする電源システム・機器、バッテリ充放電システム・機器、低ノイズであることが必要な電源システム・機器などに好適に適用可能な低ノイズ降圧型のスイッチングDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を電力源とする惑星探査機において、太陽−惑星探査機間の距離の変動が大きい場合、太陽電池の電圧が大きく変化する。惑星探査機の電源システムとしては、この大きく変化する太陽電池の電圧を所望の電圧に降圧して安定化させて負荷側へ供給することが必要である。このために、このような電源システムには、一般に、電力損失、発熱の少ない、例えば、特許文献1の特開平4−58757号公報「DC−DCコンバータ」に記載のようなスイッチングDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が用いられている。
【0003】
また、惑星探査機のミッションが、惑星の電場、磁場観測などである場合、スイッチングDC/DCコンバータが発生するスイッチングノイズが小さいことが望まれる。
【特許文献1】特開平4−58757号公報(第3−4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータには、以下に示すように、低ノイズ化を実現することができないという問題点がある。
【0005】
図9および図10には、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの回路構成を示している。図9は、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける一般的なBuckコンバータの回路構成を示す回路図であり、リップル電流ΔIに示すように、スイッチSに流れる入力電流がパルス波であり、コイルLに流れる出力電流が三角波である。一方、図10は、従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける低ノイズ型のLow Noise Buckコンバータの回路構成を示す回路図であり、リップル電流ΔIL1,ΔICにそれぞれ示すように、コイルL1に流れる入力電流とコンデンサCに流れる出力電流とをともに三角波にすることができる。しかし、図9および図10の従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、用途によっては、まだノイズが大きいという課題がある。
【0006】
つまり、図9に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、スイッチSに流れる入力電流がパルス波であるということは、スイッチング周波数の振幅が大きく、電流の時間変化率が大きい場合、スイッチング周波数のノイズが大きく、スイッチング周波数の高調波のノイズも大きいということを意味している。一方、図10に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、コイルL1に流れる入力電流、コンデンサCに流れる出力電流のいずれも三角波であることによって、図9のようなパルス波の場合よりは低ノイズにすることができるとしても、リップル電流ΔIL1,ΔICに示すように、入力コイルL1、コンデンサCにそれぞれ流れる電流には、入力コイルL1、中間コイルL2の電磁結合の有無によらず、スイッチング周波数およびその高調波のノイズ成分を含んでおり、リップル電流ΔIL1,ΔICを除去する(ゼロリップル化する)ことはできない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、低ノイズ化を実現可能な降圧型スイッチングDC/DCコンバータを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第1の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合する降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【発明の効果】
【0010】
本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0011】
第1に、入力コイルと電磁結合する第1の中間コイル、出力コイルと電磁結合する第2の中間コイルをそれぞれに備えているので、入力コイルおよび出力コイルのリップル電流をゼロリップルにすることができ、ノイズを小さくすることができる。
【0012】
第2に、ノイズが小さく、追加するフィルタを小さくすることができるので、降圧型スイッチングDC/DCコンバータを小型化することができる。
【0013】
第3に、入力コイル、出力コイル、第1の中間コイル、第2の中間コイルの4個のコイルの両端電圧をすべて相等しい値に設定することができるので、すべてのコイルを結合させて、1個のトランスによって構成することも可能であり、降圧型スイッチングDC/DCコンバータをさらに小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0015】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明は、入力コイル、スイッチ、出力コイル、出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、入力側と出力側とに、中間コンデンサと中間コイルとからなる直列回路をスイッチSの両端の位置からそれぞれ並列に接続し、かつ、入力側に接続した中間コンデンサと中間コイルとの接続点からスイッチング素子を介して出力側の中間コンデンサを充電するように接続し、かつ、入力コイルと入力側の中間コイルとを、また、出力コイルと出力側の中間コイルとをそれぞれ電磁結合させた構成を採用することを特徴としている。
【0016】
図1に、本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの一実施形態を示している。図1に示すように、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、入力コイルL1、出力コイルL2、入力側に配置した第1の中間コイルLm1、出力側に配置した第2の中間コイルLm2、入力側に配置した第1の中間コンデンサC1、出力側に配置した第2の中間コンデンサC2、スイッチS、スイッチング素子であるダイオードD、および、平滑用の出力コンデンサCを少なくとも含んで構成され、入力コイルL1および出力コイルL2に流れるリップル電流波形を三角波とするまたは除去する(ゼロリップル化する)ことにより、低ノイズ化を実現することが可能な、降圧型のスイッチングDC/DCコンバータとして構成されている。
【0017】
つまり、図1に示す降圧型のスイッチングDC/DCコンバータにおいては、直流電源Eの正極側に、入力コイルL1、スイッチS、出力コイルL2を経由して負荷Rが接続され、電源電圧Eと負荷R側との負極側は直接接続されている。また、入力側の入力コイルL1とスイッチSとの接続点と電源電圧Eの負極側との間に、入力側に配置する第1の中間コンデンサC1、第1の中間コイルLm1の直列回路が並列接続されている。一方、出力側の出力コイルL2とスイッチSとの接続点と負荷Rの負極側との間に、出力側に配置する第2の中間コンデンサC2、第2の中間コイルLm2の直列回路が並列接続されている。さらに、入力側の第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点は、スイッチング素子のダイオードDを介して、出力側のスイッチSと第2の中間コンデンサC2との接続点に接続されている。
【0018】
図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータは、直流電源Eの入力電圧Viを指定した出力電圧Voに変換して負荷Rへ供給するために、スイッチSのON時間がスイッチング周波数fに占める比率を
伝達関数d=(出力電圧Vo)/(入力電圧Vi)
となるように、つまり、デューティ比が伝達関数d(0<d<1)と等しくなるように制御している。一方、スイッチング素子のダイオードDは、スイッチSがOFFになっている期間の間、入力側の第1の中間コイルLm1に蓄えた直流電源Eのエネルギーを出力側へ放電して第2の中間コンデンサC2を充電する機能を果たしており、スイッチSとは相補的なスイッチング動作が行われる。この結果、所望の入力電圧Viを伝達関数dにより降圧した所望の出力電圧Voが得られる。
【0019】
また、入力側の入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力側の出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間は、それぞれ、電磁結合状態にあり、相互インダクタンスM1,M2が、それぞれに存在している。ここで、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との結合係数k11および巻数比n11について、次の式(1)が成立するように設定することにより、入力コイルL1に流れるリップル電流ΔIL1をほぼゼロにする(ゼロリップル化する)ことができる。
【数1】
【0020】
同様に、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との結合係数k22および巻数比n22について、それぞれ、次の式(2)が成立するように設定することにより、出力コイルL2に流れるリップル電流ΔIL2をほぼゼロにする(ゼルリップル化する)ことができる。
【数2】
【0021】
図2は、図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図であり、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作例を示すものである。なお、図2(A)が、スイッチSがONの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示し、図2(B)が、スイッチSがOFFの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示し、また、図2(C)は、図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの各ノードにおける電流、電圧波形の一例を示している。
【0022】
図2(A)に示すように、スイッチSがONの場合、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルに励磁電流が流れ、直流電源Eの入力側から負荷Rの出力側に電流が流れる。また、第1の中間コンデンサC1には、放電方向の電流が流れ、第2の中間コンデンサC2には、前半は放電方向の電流が流れ、後半は充電方向の電流が流れる。
【0023】
また、各ノードのリップル電圧、すなわち、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Va、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vb、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vc、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdは、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、次の式(3)によって与えられる。
【数3】
【0024】
一方、図2(B)に示すように、スイッチSがOFFの場合、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルに開放電流が流れ、直流電源Eの入力側から負荷Rの出力側に電流が流れる。また、第1の中間コンデンサC1には、図2(A)のスイッチSがONの場合とは逆方向の、充電方向の電流が流れ、第2の中間コンデンサC2についても、図2(A)のスイッチSがONの場合とは逆方向であり、前半は充電方向の電流が流れ、後半は放電方向の電流が流れる。
【0025】
また、各ノードのリップル電圧、すなわち、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Va、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vb、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vc、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdは、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、次の式(4)によって与えられる。
【数4】
【0026】
図2(A)および図2(B)に示すように、スイッチSがONの場合およびOFFの場合のいずれにおいても、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルには、電流が流れている。それぞれのコイルに流れる電流波形つまりリップル電流波形は、図2(C)に示すように、スイッチSがONのときは、右上がりの三角波となり、スイッチSがOFFのときは、右下がりの三角波となり、立ち上がり、立ち下がり波形が急峻なパルス波にはならない。
【0027】
つまり、図2(C)に示すように、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルに流れるリップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2について、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方ともになしの場合(図2(C)内のリップル電流欄の(a)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(b)の場合)、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(c)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方とも存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(d)の場合)のそれぞれの電流波形は、いずれも、スイッチSのON、OFFのスイッチング周期に対応した三角波の波形となっている。
【0028】
ここで、詳細は後述するが、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、図2(C)に示すように、各リップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2のピーク値は、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方ともになしの場合(図2(C)内のリップル電流欄の(a)の場合)、スイッチSのON時間をtonとすると、次の式(5)によって与えられる。
【数5】
【0029】
また、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(b)の場合)、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合のみが存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(c)の場合)、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2との電磁結合の双方とも存在している場合(図2(C)内のリップル電流欄の(d)の場合)のそれぞれにおいては、図2(C)に示すように、各リップル電流IL1,ILm1,IL2,ILm2のピーク値は、スイッチSのON時間をtonとすると、それぞれ、次の式(6)、式(7)、式(8)によって与えられる。なお、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との電磁結合、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との電磁結合が存在する場合、それぞれの結合係数k11,k22、巻数比n11,n22の関係は、前述した式(1)、式(2)の条件が成立しているものとする。
【数6】
【数7】
【数8】
【0030】
また、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VL2,VLm2は、は、図2(C)に示すように、例えば、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2=L)、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合(Lm1=Lm2=Lm)、詳細は後述するが、スイッチSがONの場合は、次の式(9)によって、スイッチSがOFFの場合は、次の式(10)によって与えられる。
【数9】
【数10】
【0031】
以下に、本発明の一実施形態として図1、図2に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作解析についてさらに詳細に説明する。なお、本動作解析においては、スイッチSは理想スイッチであり、スイッチング素子のダイオードDは理想ダイオードであるものと仮定し、降圧型スイッチングDC/DCコンバータのスイッチング動作を行うスイッチング周波数fのうち、スイッチSがONしている時間をton、スイッチSがOFFしている時間をtoffであるものとする。また、スイッチング周波数fにおける第1の中間コンデンサC1および第2の中間コンデンサC2のインピーダンスはいずれも充分小さく(つまり容量が充分大きく)、第1の中間コンデンサC1は、入力電圧に等しい電圧Viの電圧源、第2の中間コンデンサC2は、出力電圧に等しい電圧Voの電圧源と見なせるものと仮定する。
【0032】
(a)スイッチSがONのとき
まず、スイッチSがONしている状態において、降圧型スイッチングDC/DCコンバータの各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdおよび入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の関係は、次の式(11)に示す通りである。ここに、各ノードの電位とは、前述したように、電位Vaは、入力コイルL1とスイッチSとの接続点aの電圧つまりリップル電圧Vaであり、電位Vbは、第1の中間コンデンサC1と第1の中間コイルLm1との接続点bの電圧つまりリップル電圧Vbであり、電位Vcは、スイッチSと出力コイルL2との接続点cの電圧つまりリップル電圧Vcであり、電位Vdは、第2の中間コンデンサC2と第2の中間コイルLm2との接続点dの電圧つまりリップル電圧Vdである。
【数11】
【0033】
式(11)において、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、次の式(12)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(12)の「⇒」のマーク以降に示している。
【数12】
【0034】
また、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdについては、次の式(13)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(13)の「⇒」マーク以降に示している。
【数13】
【0035】
また、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2は、次の式(14)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(14)の「⇒」マーク以降に示している。
【数14】
【0036】
(b)スイッチSがOFFのとき
一方、スイッチSがOFFのときは、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdおよび入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の関係は、次の式(15)に示す通りである。
【数15】
【0037】
ここで、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、次の式(16)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(16)の「⇒」マーク以降に示している。
【数16】
【0038】
また、各ノードの電位Va,Vb,Vc,Vdについては、次の式(17)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(17)の「⇒」マーク以降に示している。
【数17】
【0039】
また、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2は、次の式(18)の通りであり、また、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく(L1=L2)、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい(Lm1=Lm2)場合について、それぞれ、式(18)の「⇒」マーク以降に示している。
【数18】
【0040】
ここで、降圧型スイッチングDC/DCコンバータコンバータとして正常に動作するためには、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流の大きさΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2および各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VLm2,VL2が、スイッチSがONの場合とOFFの場合とで相等しいことが必要であり、次の式(19)の条件を満たすことが必要である。
【数19】
【0041】
なお、式(19)において、[ ]は、コイルを示す記号L1,Lm1,L2,Lm2のいずれかをそれぞれ示し、(ON)、(OFF)は、スイッチSのON、OFFをそれぞれ示している。つまり、式(19)の上側の式(9−1)は、
式(12)=式(16)
の関係にあることを示し、式(19)の下側の式(9−2)は、
式(14)=式(18)
の関係にあることを示している。
【0042】
式(19)を解くと、次の式(20)が得られる。
【数20】
【0043】
式(20)は、図1、図2に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータが、入力電圧Viに対してスイッチSのON時間比に応じた出力電圧Voを出力する降圧型コンバータとして動作することを示している。すなわち、本発明の一実施形態の図1に示すスイッチングDC/DCコンバータは、降圧型のコンバータとして動作し、かつ、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流ΔIL1およびΔIL2は、スイッチSがOFF状態からON状態に切り替わる時点から徐々に立ち上がり、ON状態からOFF状態に切り替わる時点から徐々に立ち下がる三角波であることを示している。
【0044】
次に、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの入出力リップル電流の低減さらにゼロリップル化について、さらに説明する。
【0045】
図3は、従来技術の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるリップル電流の低減方法とゼロリップル化の概念を説明する説明図であり、同じ両端電圧が加わる2つのコイルを電磁結合した場合の作用効果について説明している。
【0046】
一般に、図3の項番1に示すように、回路中に、スイッチング周波数に同期して矩形波の同じ両端電圧が発生し、三角波のリップル電流が流れるコイルL1およびコイルL2が存在していたときに、図3の項番2に示すように、これら2個のコイルL1,L2を同極性で電磁結合させた場合、図3の項番3に示すような等価回路となる。つまり、2つのコイルL1,L2の巻数比n、電磁結合の結合係数kとすると、次の式(21)のような、相互インダクタンスMを有するコイルによって、インダクタンス(L1−M)を有するコイルL1′の回路とインダクタンス(L2−M)を有するコイルL2′の回路とが結合された等価回路となる。
【数21】
【0047】
ここで、図3の項番(3−1)のように、結合係数k、巻数比nの関係が、
k=n=1
の関係にある場合、コイルL1とコイルL2とのインダクタンスは相等しく(L1=L2=L)、また、相互インダクタンスMも、コイルL1とコイルL2とのインダクタンスと相等しい値(M=L=L1=L2)になる。その結果、等価回路上のコイルL1′のインダクタンス(L1−M)、コイルL2′のインダクタンス(L2−M)は、いずれも、ほぼ0となり、それぞれのコイルL1,L2のリップル電流を電磁結合前の(1/2)に減少させることができる。
【0048】
また、図3の項番(3−2)のように、結合係数、巻数比の関係が
0≦k=n≦1
の関係にある場合には、次の式(22)に示すように、相互インダクタンスMは、コイルL1のインダクタンスと相等しくなる。その結果、等価回路上のコイルL1′のインダクタンス(L1−M)はほぼ0となり、コイルL2′のインダクタンス(L2−M)は、(L2−L1)として残り、コイルL2′の両端電圧は常に“0”Vとなるため、あるいは、
(コイルL1′側のインピーダンス)≪(コイルL2′側のインピーダンス)
の関係になるため、コイルL1のリップル電流は電磁結合前と変わらないが、コイルL2のリップル電流をゼロ(ゼロリップル)とすることができる。
【数22】
【0049】
また、図3の項番(3−3)のように、結合係数、巻数比の関係が
0≦k=(1/n)≦1
の関係にある場合には、次の式(23)に示すように、相互インダクタンスMは、コイルL2のインダクタンスと相等しくなる。その結果、等価回路上のコイルL2′のインダクタンス(L2−M)はほぼ0となり、コイルL1′のインダクタンス(L1−M)は、(L1−L2)として残り、コイルL1′の両端電圧は常に“0”Vとなるため、あるいは、
(コイルL1′側のインピーダンス)≫(コイルL2′側のインピーダンス)
の関係になるため、コイルL2のリップル電流は電磁結合前と変わらないが、コイルL1のリップル電流をゼロ(ゼロリップル)とすることができる。
【数23】
【0050】
つまり、図3のような入出力を構成するコイルL1およびコイルL2を同極性で電磁結合するような技術では、コイルL1,L2の双方のリップル電流を同時にゼロ(ゼロリップル)にするあるいは低減することは困難である。
【0051】
これに対して、本発明の一実施形態を示す図1のような降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、図2、式(14)および式(18)に示したように、常に、入力コイルL1および第1の中間コイルLm1の両端電圧VL1,VLm1が、また、出力コイルL2および第2の中間コイルLm2の両端電圧VL2,VLm2が、スイッチSのON,OFFの如何によらず、相等しく、
VL1=VLm1
VL2=VLm2
が成立している。
【0052】
特に、入力コイルL1と出力コイルL2とのインダクタンスが相等しく、かつ、第1の中間コイルLm1と第2の中間コイルLm2とのインダクタンスが相等しい場合、つまり、
L1=L2(L1のインダクタンス=L2のインダクタンス)、
Lm1=Lm2(Lm1のインダクタンス=Lm2のインダクタンス)
の場合には、入力コイルL1、第1の中間コイルLm1、出力コイルL2および第2の中間コイルLm2の各コイルの両端電圧VL1,VLm1,VL2,VLm2をスイッチSのON,OFFの如何によらずすべて相等しくすることができ、
VL1=VLm1=Lm1=Lm2
が成立し、各コイルの両端電圧波形を等しくすることができる。
【0053】
したがって、これらの各コイルを適切に結合させることによって、入力コイルL1および/または出力コイルL2のリップル電流を減少させるまたはゼロ(ゼロリップル)にすることができる。図2(C)には、前述したように、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイルのみを電磁結合させて、入力コイルL1に流れる電流のみをゼロリップル化した場合、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルのみを電磁結合させて、出力コイルL2に流れる電流のみをゼロリップル化した場合、および、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイル、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルの両方をそれぞれ電磁結合させて、入力コイルL1および出力コイルL2の双方に流れる電流をゼロリップル化した場合のリップル電流波形を、それぞれ、示している。
【0054】
また、結合させるコイルの組み合わせを入れ換えて、例えば、入力コイルL1と第2の中間コイルLm2、出力コイルL2と第1の中間コイルLm1とを結合させても、同様の効果が得られる。この場合、入力コイルL1と第2の中間コイルLm2とのコイルの巻数比n12と両者の電磁結合の結合係数k12とを相等しく、また、出力コイルL2と第1の中間コイルLm1とのコイルの巻数比n21と両者の電磁結合の結合係数k21とを相等しく設定することにより、入力コイルL1、出力コイルL2に流れる電流をゼロリップル化することができる。
【0055】
(本発明の実施例)
図4に、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として直流電源Eと負荷Rとの間に配置する構成例を示している。図4に示すように、DC/DCコンバータ、バッテリ、太陽電池などの不安定な直流電源Eの電圧を、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータによって降圧安定化させて、電気・電子回路、DC/DCコンバータ、バッテリなどの負荷Rに対して供給する。ここで、図1、図2に示すような降圧型スイッチングDC/DCコンバータの電圧変換制御により、出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックさせて、スイッチSのON時間tonを制御する動作を行う。
【0056】
なお、図4においても、前述したように、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との2つのコイル、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との2つのコイルをそれぞれ適切に結合させて、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流をゼロリップル化することができる。
【0057】
(実施形態の動作波形の説明)
次に、図1に示すように、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2、第1の中間コンデンサC1、第2の中間コンデンサC2、スイッチS、ダイオードD、および、出力コンデンサCを少なくとも含んで構成され、出力電圧VoをフィードバックしてスイッチSのON時間を制御することによって、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流波形を三角波とするまたは除去する(ゼロリップル化する)ことを可能とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータの動作について、図5、図6の動作波形図を用いてさらに説明する。
【0058】
なお、図5および図6は、いずれも、入力コイルL1、出力コイルL2のリップル電流をともにゼロリップルにすることが可能な下記のような条件で、回路シミュレーションを行った結果の動作波形を示している。
Vi=120V、Vo=50V
L1=L2=118μH(=L)、Lm1=Lm2=50μH(=Lm)
C1=C2=5μF、C=100μF
S=理想スイッチ、D=理想ダイオード
スイッチング周波数=100kHz、ton=4.17μs
【0059】
図5は、図4の実施例つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前述した実施形態の説明とは異なり、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間のコイル間の電磁結合がない場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図であり、図5(A)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2の波形を示し、図5(B)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の波形を示している。
【0060】
図5(A)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のすべてのコイルの両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2は相等しい。つまり、スイッチSがONのときには、式(14)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=(Vi−Vo)/2≒35V
となり、スイッチSがOFFのときには、式(18)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=−Vo/2≒−25V
となっている。
【0061】
また、図5(B)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルに流れるリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2は、スイッチSがONのときには、式(12)に示すように、
ΔIL1=ΔIL2=(Vi−Vo)×ton/(2×L)≒1.2A
ΔILm1=ΔILm2=(Vi−Vo)×ton/(2×Lm)≒2.9A
となり、スイッチSがOFFのときには、式(16)に示すように、
ΔIL1=ΔIL2=Vo×toff/(2×L)
=Vo×(10−ton)/(2×L)≒1.2A
ΔILm1=ΔILm2=Vo×toff/(2×Lm)
=Vo×(10−ton)/(2×Lm)≒2.9A
となっており、スイッチSのON、OFFによらず、相等しい値になる。
【0062】
図6は、図4の実施例つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前述した実施形態の説明と同様、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との間、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との間のコイル間の電磁結合がある場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図であり、図6(A)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2の波形を示し、図6(B)は、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2の波形を示している。
【0063】
ここで、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との巻数比n11、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との巻数比n22は、次の式(24)に示すように、いずれも、0.65であるものとする。
【数24】
【0064】
また、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1との結合係数k11、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2との結合係数k22は、次の式(25)に示すように、それぞれ、巻数比n11,n22と等しく、いずれも、0.65であるものとする。
【数25】
【0065】
図6(A)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のすべての両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2は相等し相等しい。つまり、図5の場合と同様、スイッチSがONのときには、式(14)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=(Vi−Vo)/2≒35V
となり、スイッチSがOFFの場合は、式(18)に示すように、
VL1=VL2=VLm1=VLm2=−Vo/2≒−25V
となっている。
【0066】
また、図6(B)のシミュレーション結果においては、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の各コイルのリップル電流ΔIL1,ΔIL2,ΔILm1,ΔILm2については、入力コイルL1、出力コイルL2のリップル電流ΔIL1,ΔIL2は、それぞれ、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2と、前述のような値の結合係数k11,k22にて電磁結合することにより、スイッチSのON,OFFによらず、図2に示した場合と同様に、
ΔIL1=ΔIL2≒0A(ゼロリップル)
となる。
【0067】
一方、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2のリップル電流は、図5の場合と同様、スイッチSがONのときには、式(12)に示すように、
ΔILm1=ΔILm2=(Vi−Vo)×ton/(2×Lm)≒2.9A
となり、スイッチSがOFFのときには、式(16)に示すように、
ΔILm1=ΔILm2=Vo×toff/2×Lm
=Vo×(10−ton)/(2×Lm)≒2.9A
となっており、スイッチSのON、OFFによらず、相等しい値になる。
【0068】
(本実施形態の効果の説明)
本実施形態による降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいては、入力側と出力側とのそれぞれに中間コンデンサC1,C2と中間コイルLm1,Lm2とを備え、入力コイルL1と第1の中間コイルLm1とを、また、出力コイルL2と第2の中間コイルLm2とを電磁結合させる構成を採用することにより、次のような効果が得られる。
【0069】
第1に、入力コイルL1および出力コイルL2のリップル電流をゼロリップルにすることができ、ノイズを小さくすることができる。
【0070】
第2に、ノイズが小さく、追加するフィルタを小さくすることができるので、降圧型スイッチングDC/DCコンバータを小型化することができる。
【0071】
第3に、入力コイルL1、出力コイルL2、第1の中間コイルLm1、第2の中間コイルLm2の4個のコイルの両端電圧VL1,VL2,VLm1,VLm2をすべて相等しい値に設定することができるので、すべてのコイルを結合させて、1個のトランスによって構成することも可能であり、降圧型スイッチングDC/DCコンバータをさらに小型化することができる。
【0072】
(本発明の他の実施形態)
図7は、本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とは異なる構成例を示す構成図であり、図4つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSをバイポーラトランジスタによって構成した例を示している。出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックして、スイッチSとして用いているバイポーラトランジスタのON時間を制御する。なお、スイッチング素子のダイオードDについても、スイッチSと同様、バイポーラトランジスタに代えて構成するようにしても良い。
【0073】
また、図8は本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として図1とはさらに異なる構成例を示す構成図であり、図4つまり図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSおよびダイオードDをそれぞれパワーMOSFETによって構成した例を示している。なお、図8において、パワーMOSFETに並列に接続されているダイオードは、パワーMOSFET寄生ダイオードである。出力電圧Voが指定した電圧になるように、出力電圧Voをフィードバックして、スイッチSとして用いているパワーMOSFETのON時間を制御する。さらに、スイッチSとして用いているパワーMOSFETのOFF期間には、ダイオードDの代わりのスイッチング素子として用いているパワーMOSFETをON(同期整流)することによって、スイッチSのパワーMOSFETにおける電力損失を低減することができる。
【0074】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)前記入力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しい上記(1)の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(3)入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第2の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合する降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(4)前記入力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しい上記(3)の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(5)前記スイッチを、バイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成する上記(1)ないし(4)のいずれかの降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
(6)前記スイッチング素子を、ダイオードまたはバイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成する上記(1)ないし(5)のいずれかの降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の降圧型スイッチングDC/DCコンバータの一実施形態を示す回路図である。
【図2(A)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSがONの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図である。
【図2(B)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるスイッチSがOFFの場合の各ノードの電位と電流の流れとを示す説明図である。
【図2(C)】図1に示す降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける各ノードの電流と電圧波形を示す説明図である。
【図3】従来技術の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおけるリップル電流の低減方法とゼロリップル化の概念を説明する説明図である。
【図4】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施例として直流電源と負荷との間に配置する構成例を示す構成図である。
【図5】図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいてコイル間の電磁結合がない場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図である。
【図6】図1の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいてコイル間の電磁結合がある場合のシミュレーション結果の動作波形を示す波形図である。
【図7】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とは異なる構成例を示す構成図である。
【図8】本発明による降圧型スイッチングDC/DCコンバータの実施形態として図1とはさらに異なる構成例を示す構成図である。
【図9】従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける一般的なBuckコンバータの回路構成を示す回路図である。
【図10】従来の降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおける低ノイズ型のLow Noise Buckコンバータの回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0076】
C 出力コンデンサ
C1 第1の中間コンデンサ
C2 第2の中間コンデンサ
D ダイオード
E 直流電源
L1 入力コイル
L2 出力コイル
Lm1 第1の中間コイル
Lm2 第2の中間コイル
R 負荷
S スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第1の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合することを特徴とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記入力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しいことを特徴とする請求項1に記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項3】
入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第2の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合することを特徴とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記入力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しいことを特徴とする請求項3に記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記スイッチを、バイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記スイッチング素子を、ダイオードまたはバイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項1】
入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第1の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合することを特徴とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記入力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しいことを特徴とする請求項1に記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項3】
入力側に配置する入力コイル、出力側に配置する出力コイル、前記入力コイルと前記出力コイルの接続をON/OFFするスイッチ、出力電圧を平滑化する出力コンデンサからなる降圧型スイッチングDC/DCコンバータにおいて、前記入力コイルと前記スイッチとの接続点から第1の中間コンデンサと第1の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記出力コイルと前記スイッチとの接続点から第2の中間コンデンサと第2の中間コイルとからなる直列回路を並列に接続し、かつ、前記第1の中間コンデンサと前記第1の中間コイルとの接続点から、前記スイッチと相補的にON/OFFするスイッチング素子を介して、前記第2の中間コンデンサと前記スイッチとの接続点を接続し、かつ、前記入力コイルと前記第2の中間コイルとを、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとを、それぞれ、電磁結合することを特徴とする降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記入力コイルと前記第2の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しく、また、前記出力コイルと前記第1の中間コイルとのコイルの巻数比と両者の電磁結合の結合係数とが等しいことを特徴とする請求項3に記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記スイッチを、バイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記スイッチング素子を、ダイオードまたはバイポータトランジスタまたはパワーMOSFETによって構成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の降圧型スイッチングDC/DCコンバータ。
【図1】
【図2(A)】
【図2(B)】
【図2(C)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2(A)】
【図2(B)】
【図2(C)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−219333(P2009−219333A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63615(P2008−63615)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(301072650)NEC東芝スペースシステム株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(301072650)NEC東芝スペースシステム株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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