説明

院内感染の検出用の組換え型バクテリオファージ

【課題】細菌性院内感染を検出するための方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、細菌性感染の可能性のある部位の継続的なインビボモニタリングのために用いるか、あるいは患者及び/または医療提供者に対して病原性細菌の存在を感染初期段階で通知するために用いることができる。本発明の方法は、バクテリオファージを使用して、光学的に検出可能なマーカーまたは光学的に検出可能なマーカーを生成可能な酵素をエンコードしている転写可能な遺伝子配列を病原性細菌へ送達することを含む。前記マーカーにより生成された光信号が検出されると、検査部位に病原性細菌が存在することが医療従事者に対して通知される。本発明の方法は、細菌性HAIのあらゆる原因物質を検出可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、院内感染の検出用の組換え型バクテリオファージ関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関(WHO)は、院内感染(HAI)によって毎年150万人ないし300万人が死亡していると推定している。院内感染と一般的に呼ばれているが、院内感染はあらゆる医療サービス施設での治療によって発生し、一般的に、患者の原病状に対する2次的な感染と定義されている。米国では、HAIは、救急治療入院患者全体の5%で発生していると推定され、45億ドルを超える医療コストがかかっている。米国の疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)による米国の病院の調査によれば、2002年には、約170万人がHAIに感染しており、約9万9千人が死亡している。CDCは、「HAIの患者数は、あらゆる現在の届出疾患の患者数を超えており、病院でのHAIによる死亡者数は、米国の人口動態統計の死亡原因の上位10位のうちのいくつかに起因する死亡者数を超えている」と報告している(疾病対策予防センター、「医療ケア関連疾患の推定」、2007年5月30日)。
【0003】
HAIには、手術部位感染(SSI)、カテーテル関連血流感染(CRBSI)、尿路感染(UTI)及び人工呼吸器関連肺炎(VAP)などが含まれ、細菌、ウイルス、菌類または寄生虫により引き起こされ得る。院内感染は、一般的に、大腸菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌などの細菌性生物により引き起こされ得る。CDCの「手術部位感染防止のためのガイドライン(1996)」によれば、これらの病原体種は、1986年から1996年の間に手術部位感染から単離された病原体のうちの上位5位に入る。個々の病原体種が直接的に寄与する感染の百分率のランキングは、SSI、CRBSI、UTI、VAPの間ではわずかしか違わないが、約1ダースよりも少ない数の病原体種が大多数の場合において関与すると一般的に理解されている(例えば、「National Nosocomial infections Surveillance (NNIS) Report, Data Summary from October 1986 - April 1996, May, 1996」を参照されたい)。
【0004】
例えば手洗い及び手袋のための材料及び技術の改良などのHAIを予防するための継続的な努力がなされているが、そのような努力はあまり成功していない。HAIの予防と意識向上の目的で、政府は病院及び医療提供者に対する監督を強化しており、感染の種類をモニタして報告するように法令で定めている。しかし、病院の外来業務が普及し、患者の帰宅後にHAIが判明する場合が増えてきているため、前述したような対策はますます困難になっている。そのため、しばらくの間は診断未確定のまま感染が進行するため、治療及び回復は困難なものとなる。
【0005】
HAIを診断するための改良された方法が現在必要とされている。さらに、外来診察において、例えば患者の自宅で、患者をモニタリングすることができる方法は、非常に有益であると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,491,084号
【特許文献2】米国特許第5,625,048号
【特許文献3】米国特許第5,777,079号
【特許文献4】米国特許第5,804,387号
【特許文献5】米国特許第6,322,783号
【特許文献6】米国特許第6,146,826号
【特許文献7】米国特許第5,491,084号
【特許文献8】米国特許第5,196,524号
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0027241号
【特許文献10】米国特許第7,087,226号
【特許文献11】米国特許第4,897,268号
【特許文献12】米国特許第5,075,109号
【特許文献13】米国特許第5,811,128号
【特許文献14】米国特許第5,407,609号
【特許文献15】PCT公開特許出願第WO 94/20078号
【特許文献16】米国特許第5,894,175号
【特許文献17】PCT公開特許出願第WO 96/06638号
【特許文献18】米国特許第4,389,330号
【特許文献19】米国特許第4,530,840号
【特許文献20】米国特許第6,289,238号
【特許文献21】米国特許第6,441,747号
【特許文献22】米国特許第6,802,811号
【特許文献23】米国特許第6,659,947号
【特許文献24】米国特許第7,294,105号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、院内感染源である病原性細菌の存在または量を検出するための方法が提供される。例えば、本発明の方法は、組換え型バクテリオファージを或る環境内に配置するステップを含む。前記組換え型バクテリオファージは、光学的に検出可能な信号を直接的または間接的に生成可能なタンパク質をエンコードしている外来遺伝物質を含んでいる。
【0008】
組換え型バクテリオファージが病原性細菌と結合すると、遺伝物質が組換え型バクテリオファージから病原性細菌に導入され、病原性細菌が前記タンパク質を発現し始める。一実施形態では、前記タンパク質は、光学的に検出可能な信号を直接的に生成することができる。例えば、前記タンパク質は、励起されたときに、光学的に検出可能な信号を発することができる。別の実施形態では、前記タンパク質は、補因子と互いに相互作用し、光学的に検出可能な信号を直接的に生成する検出可能マーカーを生成することができる。
【0009】
前記光学的に検出可能な信号が発せられると、前記信号は光ファイバケーブルを通じて検出器に送信され、前記環境内における前記病原性細菌の存在または量が検出され得る。
【0010】
別の実施形態では、院内感染源である病原性細菌の存在または量を検出するための携帯型装置が提供される。この携帯型装置は、電源、光検出器、信号処理部、及び或る環境内で前記病原性細菌が検出されたときに信号を発する信号装置をその内部に収容している携帯型筐体を含み得る。この携帯型装置はまた、前記携帯型筐体をユーザの衣服または身体に取り付けるための取り付け手段と、前記筐体から外側に延出し、かつ検査環境内に挿入される光ファイバケーブルとをさらに含む。具体的には、前記光ファイバケーブルは、前記光検出器と光学的に接続されている。加えて、前記光ファイバケーブルは、その外面の少なくとも一部に塗布された送達担体に担持された組換え型バクテリオファージを担持し得る。
【0011】
本発明の他の特徴及び態様を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0013】
【図1】本発明の細菌検出方法の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明に包含される光ファイバのデザインの例を示す。
【図3A】本発明の装置に組み込まれ得る光ファイバ束を示す概略図。
【図3B】本発明の装置に組み込まれ得る光ファイバ束を示す概略図。
【図3C】本発明の装置に組み込まれ得る光ファイバ束を示す概略図。
【図4】本発明の携帯型装置の一部を示す概略図。
【0014】
本明細書及び図面において繰り返し使用される参照符号は、本発明の同一または類似の機構または要素を示すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の様々な実施形態を詳細に説明し、1若しくは複数の実施例を以下に説明する。各実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。実際、本発明の範囲及び精神から逸脱しない限り、様々な変形及び変更が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された機構を、別の実施形態に用いてさらなる別の実施形態を創出することも可能である。したがって、そのような変形または変更は、添付した特許請求の範囲及びその均等物の範囲及び精神から逸脱しない限り、本発明に含まれるものとする。
【0016】
本発明は、一般的に、細菌性HAIを検出するための方法に関する。一実施形態では、本発明の方法は、細菌性感染の可能性のある部位の継続的なインビボ(生体内)モニタリングのために用いるか、あるいは、患者及び/または医療提供者に対して病原性細菌の存在を感染初期段階で通知し、それにより、早期の治療介入を提供し、細菌性感染症からの回復率を向上させるために用いることができる。別の実施形態では、本発明の方法は、患者から採取した液体または組織サンプル内における病原性細菌の存在を検査するためのインビトロ試験に用いることができる。
【0017】
本発明の方法は、バクテリオファージを使用して、光学的に検出可能なマーカーまたは光学的に検出可能なマーカーを生成可能な酵素をエンコードしている転写可能な遺伝子配列を病原性細菌へ送達することを含む。より具体的には、前記遺伝子配列は、光学的に検出可能なマーカーをエンコードしているか、あるいは光学的に検出可能なマーカーを生成可能な酵素をエンコードしている。一般的に、本発明の方法によれば、あらゆるHAIの細菌源が検出可能である。例えば、一部の実施形態では、大腸菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌などを特に対象にしているが、本発明の方法はこれらの細菌に限定されるものではない。本発明の方法によって検出可能な他の一般的なHAIの細菌源には、これらに限定しないが、例えば、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、エンテロコッカス種、エンテロバクター種、肺炎桿菌、ミラビリス変形菌、連鎖球菌種などが含まれる。
【0018】
細菌性病原体の存在の検出に使用可能な光学的に検出可能なマーカーには、生成及び励起されたときに光学的に検出可能な信号を直接的に生成するタンパク質が含まれ得る。例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)やそれの関連変異体が、検出可能マーカーとして使用可能である。緑色蛍光タンパク質は、元々はオワンクラゲ(Aequorea victoria、Aequorea aequorea、Aequorea forskalea)から単離された、238個のアミノ酸(26.9kDa)を含むタンパク質であり、青色光に曝されると緑色蛍光を発する。緑色蛍光タンパク質及びその使用は、当該技術分野で公知である。例えば、Chalfieらによる米国特許第5,491,084号(特許文献1)(この参照により本明細書に組み込まれるものとする)には、緑色蛍光タンパク質を、GFPをエンコードしている遺伝子構築物を有するホスト細胞と共に使用する様々な方法が開示されている。また、Tsienらによる米国特許第5,625,048号(特許文献2)及び米国特許第5,777,079号(特許文献3)(両方ともこの参照により本明細書に組み込まれるものとする)には、野生型のGFPとは互い異なる放射及び励起スペクトルを有する改変されたGFPが開示されている。また、Cormackらによる米国特許第5,804,387号(特許文献4)(この参照により本明細書に組み込まれるものとする)には、改変された励起及び放射スペクトルを有するGFP変異体が開示されている。
【0019】
本明細書で説明したようにして使用するために組換え型ファージによりエンコードされる検出可能マーカーの別の例は、エクオリンである。エクオリンは、アポタンパク質であるアポエクオリンと、補欠分子族であるコエレンテラジンとの2つのサブユニットから構成される。酸素分子の存在下で、前記サブユニットは、カルシウムイオンと結合すると構造変化を起こし、酸化を通じて励起したコレンテルアミド及び二酸化炭素へ変換される機能性タンパク質を形成する。前記コレンテルアミドが弛緩して基底状態になると、青色光が発光される。
【0020】
一実施形態では、タンパク質は、光学的に検出可能な信号を間接的に生成する組換え型バクテリオファージによりエンコードされ得る。例えば、光学的に検出可能なマーカーは、酵素触媒反応の生成物であり得、化学的補因子が酵素と互いに相互作用したときに光学的に検出可能な信号を生成し発することができる。この実施形態では、組換え型ファージは、補因子と互いに相互作用して検出可能なマーカーを生成する酵素をエンコードし得る。例えば、組換え型ファージは、細菌性ルシフェラーゼなどの酵素をエンコードし得る。細菌性ルシフェラーゼは、2つのタンパク質サブユニットα及びβを互いに結合させることにより生成された混合機能オキシダーゼである。この2つのサブユニットを互いに結合させると、長鎖アルデヒド(例えば、ルシフェリン)のフラビン媒介水酸化を触媒してカルボン酸及び励起されたフラビンを生成する2鎖錯体が生成される。前記フラビンが減衰して基底状態になると、光学的に検出可能な信号が発せられる。
【0021】
本発明の方法によれば、組換え型バクテリオファージを使用して、遺伝物質を標的細菌性病原体へ送達することができる。バクテリオファージは、細菌の細胞に対して特異的に引き付けられる可動遺伝因子である。ほとんどのファージは数百ナノメートルの長さであり、六角形のベースプレート、尾部ピン及び尾部繊維を有している(これらは全て、細菌の表面レセプタに対してのファージの特異的結合に関与する)。ファージが細菌と非可逆的に結合した後、ファージの鞘が収縮し、中空コアが細菌エンベロープを介して挿入され、ファージのヘッド(主に遺伝子核酸)の成分が前記細菌へ注入される。その結果、前記外来核酸がホストDNAに組み込まれ、前記細胞の生体機構を乗っ取って前記ファージの遺伝子コードを複製する。
【0022】
したがって、標的細菌に対して特異的なバクテリオファージを、光学的に検出可能なマーカーまたは光学的に検出可能なマーカーを生成可能な酵素をエンコードしている遺伝物質のための送達担体として使用することができる。例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, P.O. Box 1549 Manassas, Va., USA)社製のものか、またはホスト細胞を含んでいる天然源から単離された様々なバクテリオファージが、任意の所与の細菌性細胞のために利用可能である。ファージの種類の一覧は、細菌&バクテリオファージのカタログとして出版されている(ATCC, Rockville, Md. 1989)。100種類以上の細菌属に対して特異的なファージが単離されている(Ackermann, 1996 Arch Virol., 141:2, 209-18.)。他の微生物寄託物が、当該技術分野で公知である。
【0023】
特異的なファージには、これらに限定しないが、大腸菌ファージ(ラムダ、M13、mp18、MS2、Mu、P1、PhiX174、QB、R17、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、U3)、緑膿菌ファージ(Psp1、Psp2、Psp3、Psp4、Psp5、73、119X、B3、D3、EL、F8、F10、F116、gh−1、LKA1、LKD16、M6、PA11、PaP2、PaP3、Pf1、Pf3、phi6、phi8、phi12、phi13、phiCTX、phiKMV、phiKZ、PP7、PRR1)、ブドウ球菌ファージ(94、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、phiNM1、phiNM2、phiNM3、phiNM4、3A、11、29、37、42E、47、52A、53、55、66、69、71、77、80、85、88、92、96、187、2638A、CNPH82、EW、G1、K、PH15、phi13、phi12、phiETA2、phiETA3、phiETA、phiPVL108、phiSLT、PT1028、PVL、ROSA、SAP−2、Twort、X2)、腸内細菌ファージ(186、933W、a3、ES18、f1、fd、FI4184b、fr、G4、HKD22、HK97、HK620、12−2、ID1、ID8、ID11、ID12、ID22、ID34、ID41、ID45、ID52、If1、Ike、JK06、K1−5、K1E、K1F、KU1、L17、ラムダ、M13、Mu、MX1、N4、N15、NC1、NC2、NC5、NC6、NC7、NC10、NC11、NC13、NC16、NC19、NC37、NC41、NC51、NC56、NL95、P2、P4、P7、P22、Phi1、phiK、phiP27、phiX174、PR3、PR4、PR5、PR772、PRD1、PsP3、RP32、RB43、RTP、S13、Sf6、SP6、SP、ST104、T1、T3(strain Luria)、T4、T5、T5(strain ATCC 11303-B5)、T7、VT2−Sakai、WA2、WA3、WA4、WA5、WA6、WA10、WA11)、腸球菌ファージ(phiEF24C)、及び連鎖球菌ファージ(2972、7201、Cp−1、DT1、MM1、MM1 1998、01205、P9、phi3396、Sfi11、Sfi19、Sfi21、SMP)が含まれる。
【0024】
特定の細菌性病原体に対して高レベルの特異性を有する他のバクテリオファージも作成されている。例えば、特異的バクテリオファージに対してサンプルをスクリーニングする方法が、この引用により本明細書に組み込まれるTakahashiによる米国特許第6,322,783号(特許文献5)に記載されており、本明細書で説明したようにして使用するための特異的なバクテリオファージを作成するのに用いられ得る。
【0025】
本明細書で説明したようにして使用されるバクテリオファージは、外来性の転写可能な遺伝子コードを含むように改変された組換え型ファージであり得る。組換え型バクテリオファージは、当該技術分野で公知の任意の方法により作成されるかまたは得られる。一般的に、組換え型バクテリオファージは、DNA配列(例えば、一実施形態では光学的に検出可能なタンパク質をエンコードし得るcDNA配列)の翻訳及び転写を可能にする挿入型DNAカセットを含み得る。
【0026】
DNAカセットは、そのセンス方向にタンパク質をエンコードする任意のDNAを含み得る。例えば、本発明の方法での使用に好適な構築物は、あらゆるGFP、ルシフェラーゼ、エクオリン、または上述したような他の物質をエンコードし得る。
【0027】
GFPをエンコードしているDNAカセットは当該技術分野で公知であり、組換え型ファージに組み込まれ得る。例えば、この引用により本明細書に組み込まれるChalfieらによる米国特許第6,146,826号(特許文献6)及び米国特許第5,491,084号(特許文献7)には、組換え型バクテリオファージの形成に使用されるGFPをエンコードし得るDNA配列が記載されている。
【0028】
マルチユニットタンパク質であるルシフェラーゼなどの酵素の作用により作成され得る検出可能マーカーの場合は、当該技術分野で公知のように、単一のDNAカセットが前記タンパク質のサブユニットの全てをエンコードするか、あるいは、随意的に複数のカセットがバクテリオファージDNAに挿入される。例えば、この引用により本明細書に組み込まれるGustafsonらによる米国特許第5,196,524号(特許文献8)に記載されている融合ンルシフェラーゼluxAB遺伝子をエンコードしている単一の構築物が、組換え型バクテリオファージの作成に使用され得る。
【0029】
エンコードされたタンパク質がタンパク質補因子と互いに相互作用したときに検出可能マーカーが発現される実施形態では、組換え型ファージは前記酵素に加えて前記補因子もエンコードする。例えば、組換え型ファージの遺伝物質は、ルシフェラーゼ酵素のサブユニットの一方または両方に加えて、ルシフェリン基質もエンコードする。補因子をエンコードしている遺伝物質は、主要タンパク質をエンコードしている遺伝物質を提供するのに使用されるものと同一または別のDNAカセット内のバクテリオファージに提供される。例えば、一実施形態では、組換え型バクテリオファージは、前記酵素のためのルシフェリン基質に加えて、ルシフェラーゼタンパク質のサブユニットを両方ともエンコードする単一のDNAカセットを含み得る。一実施形態では、両方ともこの引用により本明細書に組み込まれるEngebrechtらによる「Cell, 32:3, 1983, 773-781」及びSaylorらによる米国特許出願公開第2003/0027241号(特許文献9)に記載されているような、海洋細菌Vibrio fischeriから得られるlux DNAカセットを含んでいる組換え型ファージが使用され得る。この特定の実施形態では、前記完全型カセットは、5つの遺伝子、luxA、luxB、luxC、luxD、及びluxEをエンコードし得る。luxA及びluxBは、上述したように、前記タンパク質のサブユニットα及びβをエンコードしており、luxC及びluxDはルシフェリンアルデヒド基質をエンコードしている。
【0030】
例えばGFP、ルシフェラーゼまたはそれらのサブユニットなどの、センス方向にDNAをエンコードしている主要タンパク質に加えて、DNAカセットはまた、当業者に周知のような、作動可能に結合された適切な調節配列を含み得る。例えば、DNAカセットは、適切な翻訳リーダ配列、プロモータ、並びにポリアデニル化及び転写終結配列のうちの1若しくは複数をエンコードしているDNAを含み得る。
【0031】
組換え型バクテリオファージの作成方法、及び、形成プロセスに使用可能な適切なベクター及びプラスミドは、当業者に周知である。例えば、組換え型バクテリオファージを使用してDNAを細菌へ送達することは、例えば、Clarkらによる「Trends in Biotechnology, 24(5):2122-218」、及びWestwaterらによる「Microbiology 148 (pt4):943-950」に記載されている。同様に、組換え型ルシフェラーゼレポーターファージ及びその作成方法は、当該技術分野で公知である(例えば、Riskらによる「J. Clin. Microb., Dec. 1997, 3225-3231」を参照されたい)。
【0032】
組換え型バクテリオファージは、さらに、他の追加された遺伝物質も含み得る。例えば、通常環境下では、バクテリオファージのDNAに感染した細菌は、或る期間の経過後に溶解し、複製されたファージの拡散をもたらす。例えば、本発明の方法のいくつかの実施形態では、細菌の溶解によりエンドトキシン及び/または病原性因子が放出されるのを抑制するのに加えて、検出可能マーカーの濃度が向上するようにするために、感染した細菌が溶解するのを防止することが好ましい。そのため、ファージ遺伝物質を細菌に挿入した後に細菌が溶解するのを防止するために、本明細書で説明したようにして使用される組換え型ファージに対しての追加的な遺伝子操作がなされる。例えば、Ramachandranらによる米国特許第7,087,226号(特許文献10)(この引用により本明細書に組み込まれる)には、細菌性ホストを効率的に溶解しないリシン欠損型バクテリオファージが記載されている。
【0033】
本発明によれば、組換え型バクテリオファージは、標的細菌が存在し得る或る環境内に、前記環境内における病原体の存在を検出するために配置される。例えば、本明細書で説明したような1若しくはそれ以上の組換え型バクテリオファージが、創傷部、カテーテル部位、外科用ドレーン部位、気管内(ET)チューブ部位などの、インビボにおける細菌性感染の可能性のある部位に配置される。別の実施形態では、バクテリオファージは、患者から採取した組織または液体サンプルと共に、インビトロ環境内に配置される。インビトロ環境は、細菌がファージによって遺伝子的に形質転換され、その結果として光学的に検出可能な信号を発するように、前記サンプル内のあらゆる生細菌の生存を促進するように制御され得る。
【0034】
図1は、本発明の検出方法の一実施形態を概略的に示す。この特定の検出方法によれば、検出可能マーカーをエンコードする遺伝物質24を含んでいる組換え型バクテリオファージ20が、病原性細菌22と特異的に結合する。最初の結合後、バクテリオファージ20の遺伝物質24が細菌22に挿入され、取り込まれる。このとき、細菌の生物機構が前記遺伝子コードを転写し、それにより検出可能マーカーが作成される。検出可能マーカー(vλ)により生成された光信号が、装置100(詳細については後述する)により検出され、装置100から適切な通知が提供される。装置100からの通知を受けた後、前記病原体に対する適切な医療介入が行われる。
【0035】
本発明の方法は、互いに異なる種類の複数の病原体を同時に検出するのに用いることができる。例えば、互いに異なる種類の細菌性病原体に対して特異的な複数の組換え型バクテリオファージを、病原性細菌が存在し得る感染可能性部位またはインビトロ環境内に配置する。前記組換え型バクテリオファージは、所望に応じて、複数の互いに同一の検出可能マーカーまたは複数の互いに異なる検出可能マーカーをエンコードするように改変される。例えば、複数の互いに異なるファージの全てが、同一の検出可能マーカーをエンコードし得る。マーカーが検出されると、検査対象領域に病原体が存在することを医療従事者に通知し、関与している特異的な細菌を決定するためのさらなる調査の必要性を知らせる。別の実施形態では、互いに異なるファージが、互いに異なるマーカーをエンコードし得る。この実施形態によれば、検出された信号の特徴を判断することにより、感染に関与している特異的な細菌に関する情報を提供する。随意的に、上述した2つの方法の組み合わせを使用することもできる。例えば、例えば、第1の属(例えば大腸菌)の各メンバに対して特異的な全てのファージが第1の検出可能マーカーをエンコードし、第2の属(例えばブドウ球菌属)の各メンバに対して特異的な全てのファージが第2の検出可能マーカーをエンコードするようにして、ファージを分類することもできる。関与している特異的病原体の決定には追加的な検査が必要であるが、発せられた光信号のその後の検出により、医療従事者に対して細菌性感染の一般的な種類を知らせることができる。
【0036】
一般的に、組換え型バクテリオファージは、任意の適切な送達担体によって標的部位に送達される。例えば、液体担体(例えば、滅菌生理食塩水)が送達担体として使用され得、前記液体担体にバクテリオファージを加えた液体混合物が、検査部位に単純に塗布される。単純な液体送達担体は、いくつかのインビトロ検出方法において好ましい。例えば、患者から採取した創傷流体、血液、血清、膣液、尿などの対象生体サンプルを、組換え型細菌を含んでいる液体と混合させる。前記混合物を、そのサンプル内に存在するあらゆる細菌によるファージ遺伝物質の取り込みを促進する条件下でインビトロ培養し(例えば、関与している細菌の特性に一般的に依存する約30分ないし約4時間(他の実施形態ではそれ以上)の培養期間の後に)、その後、検出可能マーカーにより生成された信号について前記サンプルを検査する。
【0037】
他の実施形態では、例えば一部のインビボ用途では、他の送達担体が好ましい。例えば、送達担体は、組換え型バクテリオファージを検査部位(例えば、創傷部、ドレーン挿入部位などの内部)に或る期間に渡って保持するために使用され得る。
【0038】
一実施形態では、送達担体は、親水性であり得る。親水性の送達担体は免疫抑制反応を引き起こす可能性が低いので、送達担体が親水性であることは、一部のインビボ検出方法では好ましい。しかし、このことは本発明に必須ではなく、他の実施形態では、送達担体は例えば疎水性ポリマーマトリクスなどの疎水性材料を含み得る。
【0039】
送達担体は分解性ポリマーマトリクスであり得、例えば、一実施形態ではヒドロゲルであり得る。例えば、送達担体は、インビボ検査部位に配置され得る生体適合性ヒドロゲルを含み得る。ヒドロゲルは一般的に、構造安定性を維持しながら、高度に水和化された(例えば、約20%ないし99%以上の水重量)ポリマーマトリクスを含む。適切なヒドロゲルマトリクスは、架橋されていないヒドロゲルか、あるいは架橋されたヒドロゲルを含み得る。加えて、水性環境で使用した場合にマトリクスが分解されるように、架橋されたヒドロゲル送達担体は、加水分解可能な部分を含み得る。例えば、送達担体は、加水分解可能な架橋剤(例えば、ポリ乳酸)などの架橋されたヒドロゲルを含み得、インビボで分解可能であり得る。分解性送達担体はまた、該担体のインビボ検査部位に続く位置が予め定められた分解速度を有するように形成され得る(すなわち、前記分解性送達担体は、予め定められた分解速度を有する持続放出送達担体である)。
【0040】
ヒドロゲルを含んでいる生分解可能なポリマーマトリクスには、天然バイオポリマー(グリコサミノグリカン、多糖、タンパク質など)や、当該技術分野で公知の合成ポリマーが含まれる。ヒドロゲル送達担体の作成に使用することができるポリマー材料の非限定的な一覧には、これらに限定しないが、デキストラン、ヒアルロン酸、キチン、ヘパリン、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、乳酸のポリマーまたはコポリマー、グリコール酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、エポキシド、シリコン、ポリオール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、及びそれらの誘導体)、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、架橋されたアルギン酸ガム)、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物、ペクチン、ゼラチン、架橋タンパク質、及びペプチドなどが含まれる。
【0041】
ヒドロゲルを含んでいる生分解性ポリマーマトリクスは、当該技術分野で公知の任意の方法に従って作成され得る。例えば、ヒドロゲルは、様々な成分と単に接触したときか、または特定の外部条件(温度やpHなど)の存在下で接触したときに、自己集合(自己組立て)され得る。あるいは、前記集合(組立て)は、前記成分の混合後に、任意の公知の方法に従って誘導され得る。例えば、多官能性モノマーまたはマクロマの段階的または連鎖的重合化が、光重合、温度依存重合及び/または化学的活性化重合を介して誘導され得る。随意的に、ヒドロゲルは、開始剤の存在下で重合され得る。例えば、ヒドロゲルは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)製のIrgacureR光開始剤またはDarocurR光開始剤などの適切な開始剤の存在下で光重合され得る。別の実施形態では、カチオン開始剤が使用され得る。例えば、Ca2+、Mg2+、Al3+、La3+またはMn2+などの多価元素カチオンが使用され得る。さらなる別の実施形態では、例えばポリリシンまたはポリアルギニンなどのポリカチオン性ポリペプチドが開始剤として使用され得る。
【0042】
送達担体の成分はまた、自己集合性マトリクスを提供するようにデザインされ得る。例えば、ヒドロゲル前躯体が、1若しくはそれ以上の組換え型バクテリオファージと共に患者に投与され、前駆体の投与後、生理的条件下で、前記ヒドロゲルマトリクスが自己集合し得る。例えば、ヒドロゲル前駆体は、コラーゲン、ラミニン、プロエラスチンペプチドなどの自己集合性バイオポリマーを含み得る。自己集合性ヒドロゲルポリマーには、当該技術分野で公知のように、領域に従って自己整列し得る合成ポリマーが含まれ得る。例えば、親水性の、比較的電荷が中性の合成ポリペプチド(例えば、ポリグリシンまたはポリリシン)が前記自己整列機能を行うように改変される。ポリペプチドは、水溶性カルボジイミドなどのカルボキシ活性化架橋剤を使用して架橋され得る。このような架橋剤は、自己集合性タンパク質またはその他の自己集合性マクロ分子をポリペプチドに結合させるために使用され得る。この方法の一例には、コラーゲンまたはラミニンとポリリシンとのカルボジイミド結合の形成が含まれる。他の水酸化成分も同様の方法で結合され得る。例えば、ポリビニルアルコールもまた、当該技術分野で公知のように、エポキシ活性化手法か、またはその側鎖に沿った重合可能メタクリル基を介した架橋化により、ポリペプチドと結合され得る。
【0043】
別の実施形態では、好ましい反応基を含めるために誘導化された前駆体を用いることにより、自己集合性かつ生分解性のポリマーマトリクスが生成される。例えば、このタイプのヒドロゲルは、特定の反応部分により誘導化された第1の前駆体、及び、前記第1の前駆体上の前記第1の部分と選択的に反応する第2の部分により誘導化されたまたは前記第2の部分を含む第2の前駆体を使用して集合され得る。同様に、各々が互いに同一のまたは異なる種類のポリマーと共役する2つの部分(結合を形成すべく反応する部分)を有する反応性対を使用して、他のそのようなヒドロゲルを生成することもできる。例えば、前記反応性対対は、抗体と抗原との対か、またはアビジンとビオチンとの対(例えば、ストレプトアビジンとビオチンとの対)であり得る。
【0044】
他の実施形態では、送達担体は、自己集合性マトリクスを含む必要はない。例えば、1若しくはそれ以上の組換え型バクテリオファージが組み込まれている分解性マトリクス送達担体が、前記マトリクスを集合化させた後に、適切な投与方法に従って患者に投与される。例えば、ファージの存在下でのヒドロゲルの形成を介してか、濃度勾配に沿っての前記ファージのヒドロゲルへの吸収を介してか、または、任意のその他の方法に従って、ヒドロゲル送達担体に組換え型ファージが搭載され得、前記組換え型ファージを搭載したヒドロゲルはその後、細菌性感染の可能性のある部位に配置される。
【0045】
当該技術分野で公知のように、送達担体は、時間の経過に従って分解するように構成される。したがって、送達担体(例えば、ヒドロゲル)が時間経過に従って分解されると、バクテリオファージが検査部位に放出される。その結果、前記検査部位において持続的な放出効果が提供され、一回に全てのバクテリオファージが病原性細菌との相互作用のために使用される送達システムと比べると、検査期間を長くすることができる。
【0046】
或る送達担体は、ヒドロゲル成分を必要としない。例えば、或る送達担体は、検査部位に配置された後に前記検査部位に放出するための組換え型バクテリオファージをカプセル化(被包)するための生分解性のポリマー性コーティングを含み得る。例えば、或る送達担体は、組換え型ファージをカプセル化(被包)する生分解性の微粒子を含み得る。組換え型ファージは、ヒドロゲルまたは他の二次的な担体と共に微粒子内に保持され得る(ただし、このことは必須ではない)。使用することができる生分解性コーティングには、例えば、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリ(ラクチド?コ?グリコリド)、ポリアクリレート、ポリアンヒドライド、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリフォスファゼン、ポリサッカロイド、タンパク質性ポリマー(ゼラチン、フィブリンなど)、多糖の可溶性誘導体、タンパク質性ポリマーの可溶性誘導体、ポリペプチド、ポリエステル、ポリオルトエステルなど、あるいは、それらの混合物または配合物を含有するコーティングが含まれる。例示的な生分解性のミクロスフェア(高分子微粒子)には、例えば、Ticeらによる米国特許第4,897,268号(特許文献11)、米国特許第5,075,109号(特許文献12)、米国特許第5,811,128号(特許文献13)、及び米国特許第5,407,609号(特許文献14)が含まれる(これらの全ては、この引用により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0047】
多糖には、例えば、ポリ−1,4−グルカン(例えば、デンプン、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン及びそれらの混合物)が含まれ得る。親水性または疎水性の生分解性ポリマーは、ポリ−1,4−グルカンの水溶性誘導体であり得、そのようなものには、加水分解化アミロペクチン、加水分解化アミロペクチンのヒドロキシアルキル誘導体(例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ヒドロキシエチルアミロース、ジアルデヒドデンプンなどの)が含まれ得る。
【0048】
好ましい送達担体は、検出スキームの特定の用途に左右される。例えば、ポリ乳酸は、比較的長い分解期間を示し(例えば、インビボで約1年)、この特殊なホモポリマーは、そのような分解速度が所望される及び/または許容される環境において使用され得る。
【0049】
他の例示的な遅延放出担体には、非液体の親水性コア(例えば、架橋された多糖またはオリゴ糖)内にカプセル化された組換え型ファージ、及び随意的に両親媒性化合物(例えば、リン脂質)を含んでいる外側層を有する粒子が含まれ得る。そのようなものは、例えば、DanielらによるPCT公開特許出願第WO 94/20078号(特許文献15)、Perrinらによる米国特許第5,894,175号(特許文献16)、及びDidierらによるPCT公開特許出願第WO 96/06638号(特許文献17)に記載されている(これらの全ては、この引用により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0050】
マイクロカプセルは、例えば、組換え型バクテリオファージを有機溶媒内に溶解または分散させ、ポリマー担体物質を前記溶媒内に分散させることにより作成される。その後、前記組換え型ファージ及び前記ポリマーを含んでいる前記溶媒を、連続相処理媒体内に分散させる。前記溶媒の一部を蒸発させた後、組換え型ファージを浮遊状態で含んでいるマイクロカプセルが形成される。残りの溶媒はその後、マイクロカプセルから抽出して排出される。例示的な形成方法は、この引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4,389,330号(特許文献18)及び米国特許第4,530,840号(特許文献19)に詳細に記載されている。
【0051】
送達担体は、組換え型バクテリオファージに加えて他の物質も担持し得る。例えば、検出可能マーカーが補因子の存在下で生成される実施形態では、主要タンパク質を形成する際に前記必要な補因子が近傍に存在し検出可能マーカー及び光学的に検出可能な信号が生成されるように、送達担体は補因子を担持し得る。
【0052】
送達担体は、任意の適切な方法に従って、或る部位に配置され得る。例えば、医療処置中に、組換え型バクテリオファージが送達担体(例えば、液体、ヒドロゲル、微小粒子)と共に、検査部位に単純に配置され得る。例えば、手術部位を閉じる前に、該手術部位に、組換え型ファージを搭載した送達担体が配置され得る。
【0053】
一実施形態では、細菌性ファージが、医療デバイスと共に検査部位に送達される。例えば、送達担体(例えば、ゲル)が、例えばカテーテル、外科用ドレーン、ETチューブなどの医療デバイスの表面に塗布される。前記医療デバイスはその後、送達担体及び組換え型ファージを検査部位に保持することを助ける。
【0054】
検出可能な信号が生成されたときに、前記信号を検出し、検出した信号を適切な人物に送信するのにセンサが使用される。例えば、好ましい一実施形態では、本発明の方法は、光ファイバベースのセンサを使用し、1若しくはそれ以上の光ファイバが感染可能性部位に配置される。随意的に、光ファイバケーブルのセンサは、本明細書で記載したようにして組換え型バクテリオファージを担持する送達担体を担持し得る。
【0055】
例えば治癒過程を通じて及び細菌性感染が発生する可能性の高い期間が経過するまでモニタリングするために、検査部位に比較的長期間に渡って留置することが可能な生体適合性材料から形成された光ファイバを使用することが好ましい。例えば、SSIを検出する場合は、手術後の約30日間、検査部位を感染についてモニタリングすることが好ましい。他の種類の感染を検出する場合、モニタリング期間は、より長いかまたはより短い期間であることが好ましい。例えば、CRBSIを検出する場合、静脈内カテーテルが所定位置に保持されている期間中はモニタリングは継続される(数時間から数週間までの範囲で)。例えば、約72時間から約96時間の範囲である。加えて、光ファイバの断面積は小さいので、光ファイバを除去するときは、検査部位から該部位の組織を過度に損傷させることなく容易に除去することができる。
【0056】
図2は、一部の開示された検出方法に従って、センサとして使用され得る光ファイバのいくつかの実施形態を概略的に示す。光ファイバは、それを通じて光が伝達されるコア30と、外側クラッド層32とを含む。コア材料とクラッド材料との屈折率の差が、コア/クラッド界面において内部全反射が生じる臨界角θを規定する。したがって、臨界角を超える角度で前記界面に入射した光線は完全に反射されるので、光ファイバによる光の伝達が可能となる。
【0057】
光ファイバは、一般的に、約10mmを超えるコア直径を有するマルチモードファイバを含み得る。任意の特定の実施形態での好ましいコア直径は、いくつかあるシステムパラメータのうちで特に、励起光の特性(必要とされる場合)及び/または発光の特性に依存し得る。例えば、励起源がレーザである実施形態では、コア直径は、約50mmないし約100mmであり得、例えば一実施形態では約80mmであり得る。他の実施形態では、例えば、多波長発光ダイオード(LED)を使用した場合などの励起光源がレスコヒーレント放射(less coherent radiation)を生成する実施形態では、より大きい、例えば約90mmないし約400mmのコア直径を有する光ファイバを使用することが好ましい。
【0058】
ファイバのコアとクラッドとの間の境界は、ステップインデックス型ファイバのように急激であり得るか、あるいはグレーデッドインデックス型ファイバのように緩やかであり得る。グレーデッドインデックス型ファイバはファイバを通じて伝達されるマルチモードの分散を減少させるのである実施形態では好ましい。しかし、グレーデッドインデックス型ファイバの使用は本発明の方法において必須ではなく、特に、光ファイバの長さが分散について大きな懸念を持たない長さである実施形態の場合は、代わりに、ステップインデックス型ファイバを使用することもできる。
【0059】
光ファイバは、感染可能性部位(一実施形態では手術部位)において安全に配置及び保持され得る、滅菌された生体適合性材料から作成され得る。例えば、任意の適切な種類のガラスから作成された光ファイバが使用され得る。前記ガラスには、これらに限定しないが、シリカガラス、フッ化ジルコネートガラス、フルオロアルミン酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、または、光ファイバのコア及びクラッドを形成し得る同様のものが含まれる。
【0060】
ポリマー光ファイバ(POF)もまた、本発明に包含される。例えば、適切なアクリレート製のコア/クラッドの組み合わせ(例えば、ポリメチルメタクリレート)から作成された光ファイバ使用され得る。ある実施形態では、光ファイバの曲げに起因するPOFで通常発生する損失を低減させるために、マルチコアPOFを使用することが好ましい。このことは、光ファイバが使用中に非線形に配置される実施形態などでは好ましい。
【0061】
光ファイバの終端部は、所望の形状に形成され得る。例えば、図2の2A〜2Eに示すように、研磨または他の方法により光ファイバの終端面を特定の角度に形成することにより、図2の2A〜2Eに矢印で示すように光ファイバの視野を回転させる間に光ファイバの受光角度α及び収集効率を維持することができる。光ファイバの終端部の角度に応じて、光ファイバ軸に対して最大で約90度まで、光が光ファイバ内に入射することが可能となる(図2の2E参照)(例えば、Utzingerらによる「Journal of Biomedical Optics, 8(1):121-147, 2003」を参照されたい)。
【0062】
センサの光ファイバは、光ファイバの終端部に加えて、光ファイバの長さに沿った位置で光を検出するように形成され得る。例えば、励起光(必要とされる場合)及び形質転換された細菌の存在に起因して発せられた検出可能信号が、その位置から光ファイバ内に入ることができるように、光がクラッドを(随意的に所定の角度で)通過することを可能にすべく光ファイバの長さに沿った位置が曲げられるかまたは切欠される。例えば、光ファイバのクラッドは、光ファイバに「ウインドウ」を形成するために、予め定めさられた角度で曲げられるかまたは切欠される。このようにして、単一の光ファイバで、より広い領域に渡って、形質転換された細菌から信号を検出することができる。
【0063】
本明細書で説明したようにして使用される光ファイバセンサには、前記センサの特定のデザインに応じて、単一の光ファイバまたは複数の光ファイバから構成される光ファイバケーブルを含み得る。例えば、複数の光ファイバを束ねて、インビボ検査部位に配置されるサイズ(例えば、断面直径が約1.5mm未満)の単一の光ファイバケーブルを構成することができる。
【0064】
光ファイバ束またはケーブルに複数の光ファイバが使用される場合、個々の光ファイバは、より広い検出角度を提供するために互いに関連して形成及び構成される。例えば、図3A、図3B及び図3Cは、複数の光ファイバ6を束ねて構成した光ファイバケーブル40の互いに異なる実施形態を示す。例えば、図3Aに示すように、複数の光ファイバの終端面を全体として単一の断面領域となるように形成すると、複数の光ファイバの組み合わせによりカバーされる領域の総面積が単一の光ファイバの面積よりも大きくなるので、向上した光収集性が得られる。図3Bに示す実施形態では、様々な方向からの光を収集することができるように、光ケーブル40に含まれる複数の光ファイバの各終端面の形状が互いに異なるように構成されている。図3Cに示す実施形態では、光収集領域の軸長さを増加させ、それにより、光ファイバの軸方向の検査面積を増大させることができるように、光ファイバの終端部の位置が、光ファイバの長さ方向に互いにずれている。当然ながら、これらのデザインの組み合わせ、並びに、上述した方法及び当該技術分野で公知の方法を含む信号収集領域を増大させるための他の光ファイバのデザインも用いることができる。
【0065】
複数の光ファイバ40から構成される光ファイバ束またはケーブルは、一般的に、光ファイバの柔軟性を維持しながら複数の光ファイバを互いに一体化することができる任意の生体適合性シース(鞘)によって集合化ユニットとして束ねられる。例えば、光ファイバケーブルは、柔軟性ポリウレタン製の外側シースを含み得る。
【0066】
本発明によれば、1若しくは複数の光ファイバが、その一実施形態を図4に概略的に示す携帯型装置に含まれ得るセンサの一部として使用され得る。図4に見られるように、装置100は、筐体20内に収容され得る複数の部品を含み得る。
【0067】
筐体20は、例えば、患者による持ち運びや患者への取り付けが容易なサイズを有する成形プラスチック筐体であり得る。例えば、筐体20は、患者の衣服や身体に取り付けられるようにするためのクリップやループなどを含み得る。一実施形態では、筐体20の表面に生体適合性接着剤が配され、患者の皮膚に直接的に貼着される。一般に、筐体20は、患者が持ち運んでも目立たないように、及び患者の動作を妨げないように比較的小型であり得、例えば約10cm×約8cm×約5cmのサイズよりも小さいサイズであり得る。筐体20は、その内部に収容した前記部品を完全に取り囲むか、あるいは部分的に取り囲む。例えば、筐体20は、筐体20の内部へのアクセスを提供するアクセスポート(図示せず)を含み得る。ある実施形態では、前記アクセスポートは、当該技術分野では公知のように、取り外し可能なカバーにより覆われる。
【0068】
筐体20内に保持される第1の部品は、電源2である。電源2は、ある実施形態では、励起源4及び後述する他の作動部品に電力を供給するように構成されている。例示的な構成では電源2はバッテリに相当するが、他の電源も使用可能なことは当業者であれば理解できるであろう。例えば、筐体内に収容される電源は、外部電源から供給された電流を電源を必要とする残りの部品のための適切な電源に変換するのに必要な部品を含み得るので、そのような場合は、外部交流(AC)電源へ接続される電源を使用することができる。
【0069】
前述したように、電源2は、ある実施形態では、励起源4に電力を供給するように構成され得る。特に、形質転換された細菌により発現される検出可能なマーカーが、検出可能な信号を発するために外部源からの励起を必要とする実施形態では、励起源4は筐体20内に含まれ得る。例えば、GFPを発現するように細菌が形質転換された実施形態では、前記マーカーが光学的に検出可能な信号を発するために、前記マーカーに励起信号が提供される。したがって、そのような実施形態では、センサは、励起源4を含み得る。しかし、他の実施形態では、例えば、光学的に検出可能な信号がルシフェラーゼ・ルシフェリンの相互作用によって提供される実施形態では励起源は不要となるので、筐体20内に励起源4を収容する必要はない。
【0070】
図示した例示的な構成では、励起源4は発光ダイオード(LED)に相当する。しかし、繰り返すが、励起源には様々なものを使用することができ、これらに限定しないが、レーザーダイオードや白熱光源などが使用され得る。励起源4は、所望または必要に応じて、白色光源、非白色多波長源、または単一波長源に相当し得る。好ましい例示的な構成では、それらの励起源の中で電力消費が低いLEDが選択される。励起源4から供給される励起エネルギーの波長は、赤外線(IR)から紫外線(UV)までの任意の適切な波長であり得る。一般に、好ましい励起エネルギー波長は、検出可能マーカーの特定のデザインに依存し得る。例えば、一種類の細菌が標的とされるか、あるいは複数の細菌性病原体が標的とされ、複数の互いに異なる細菌性ファージが全て同一の検出可能マーカーをエンコードするように改変された実施形態では、励起源4は単一の励起波長を提供する。しかし、他の実施形態では、例えば、複数の互いに異なる検出可能マーカーが検出され、前記マーカーのいくつかまたは全部が互いに異なる励起波長に応答する場合、所望に応じて、複数の単一の波長源からの信号の組み合わせを用いてか、あるいは単一のインコヒーレント光源を用いて、励起源は複数の波長を提供する。
【0071】
図示のように、励起エネルギー源4は、光ファイバ6に光学的に接続される。光ファイバ6は、筐体20から検査領域(例えば、手術部位、または他の創傷部)へ向かって外側に延出するように構成される。図4では単一の光ファイバ6が図示されているが、本発明はこのことに限定されず、上述したように別の実施形態ではセンサは単一のケーブル内に複数の光ファイバを含み得ることを理解されたい。また、適切なビームスプリッタやミラーなどを利用して、随意的に単一の信号励起エネルギー源を複数の光ファイバに光学的に接続することが可能であることは、当業者には理解できるであろう。
【0072】
さらに、前述したように、複数の励起エネルギー源を使用することができる。そのような構成では、検査領域に複数の励起波長が伝達されるように、各励起源は1若しくは複数の光ファイバに光学的に接続される。
【0073】
筐体20内には、光ファイバ6に接続された光検出器8が収容される。光検出器8は、フォトダイオードやフォトレジスタなどに相当し得る。光検出器8は、背景光を除去し、光検出器8での総入力光信号を1若しくは複数の診断に関連する発光ピークに減少させることができる光フィルタやビームスプリッタなどを含み得る。光検出器8は、標的発光ピークに比例する信号を生成することができる。生成された信号は、ライン10を通じて信号処理部12に送信される。
【0074】
信号処理部12は、例えば、光検出器8から受信した光信号を検出部位における細菌濃度と関連付けるため、及びライン14を通じて信号装置16へ送信される検出信号を生成するために、ライン10を介して受信した光検出器8の出力信号の強度または他の特性を評価するように構成されたマイクロプロセッサを含み得る。したがって、検出信号が、標的病原体の既知濃度に相当する予め定められた閾値に達すと、信号装置16から認識可能な信号の通知が開始される。例示的な構成では、認識可能な信号は装置100の装着者が認識可能な可視信号または可聴信号であり、信号装置16によって筐体の内部または表面から通知される。例えば、可視信号の通知は、随意的に、可読出力として信号を提供する液晶ダイオード(LCD)装置またはその同等物の使用を含み得る。例えば、可視信号は、装置100の表面で、例えば「医者を呼びましょう」、「病院に行きましょう」などの指示として提供される。
【0075】
筐体20自体から可視信号及び/または可聴信号を通知することに加えてまたはその代わりに、信号装置16は、認識可能な信号の通知の開始時に、電磁信号を受信機18へ送信する送信機を含み得る。受信機18は、信号装置16から離間配置されている。例えば、受信機18は、ユーザの身体上における信号装置16から離間した位置か、ユーザにより選択された(ユーザの家や職場などにおける)ユーザの身体から離れている適切な位置か、あるいは、患者の検査部位の状態変化に関する情報を適切な医療関係者が迅速に知ることができるように医療施設などのモニタリング施設に配置され得る。別の実施形態では、ユーザと他者(例えば、医療関係者)との両方に、検査部位の状態変化の情報を知らせることができるように、認識可能な信号が複数の受信機に送信され得る。装置100から離間配置された受信機への信号の送信は、当該技術分野で公知のラジオ周波数伝送方式または他の無線伝送方式を用いて実施され得る。例えば、無線電話またはインターネット通信方式を用いて公知の方法によって離れた場所へ信号を送信することができる。
【0076】
本発明の装置及び方法と共に使用することができる無線通信システムは、例えば、この参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる、Bessonらによる米国特許第6,289,238号(特許文献20)、Khairらによる米国特許第6,441,747号(特許文献21)、Slepianによる米国特許第6,802,811号(特許文献22)、Carterらによる米国特許第6,659,947号(特許文献23)、及びIslamによる米国特許第7,294,105号(特許文献24)に開示されている部品及びシステムを含み得る。
【0077】
以上、本発明の特定の実施形態について詳細に説明したが、本明細書中で説明された本発明の実施形態の改変及び変更が可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
院内感染源である病原性細菌の存在または量を検出するための方法であって、
光学的に検出可能な信号を直接的または間接的に生成するタンパク質をエンコードしている外来遺伝物質を担持している組換え型バクテリオファージを或るインビボ環境内に配置するステップと、
前記インビボ環境内で、前記組換え型バクテリオファージを病原性細菌に結合させるステップと、
前記外来遺伝物質を前記組換え型バクテリオファージから前記病原性細菌に導入するステップと、
前記病原性細菌から前記タンパク質を発現させるステップと、
前記光学的に検出可能な信号を生成するステップと、
前記光学的に検出可能な信号を、光ファイバケーブルを通じて検出器へ送信するステップと、
前記インビボ環境内における前記病原性細菌の存在または量を検出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記組換え型バクテリオファージを前記インビボ環境内に配置する前記ステップの間は、
前記組換え型バクテリオファージが送達担体内に保持された状態であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記送達担体が分解性ポリマーマトリクスからなることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記送達担体が微粒子を含み、
前記組換え型バクテリオファージを前記インビボ環境内に配置する前記ステップの間は、
前記組換え型バクテリオファージが前記微粒子内にカプセル化された状態であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記送達担体を分解し、前記送達担体から前記組換え型バクテリオファージを放出するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5に記載の方法であって、
前記組換え型バクテリオファージが、リシン欠損型であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6に記載の方法であって、
前記タンパク質が、前記光学的に検出可能な信号を直接的に生成することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記タンパク質が、緑色蛍光タンパク質またはその色変異体であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6に記載の方法であって、
前記タンパク質を補因子と接触させるステップをさらに含み、
前記タンパク質が前記補因子と互いに相互作用して、前記光学的に検出可能な信号を直接的に生成する検出可能マーカーを生成するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記バクテリオファージが、補因子をエンコードしている遺伝物質を担持しており、
当該方法が、前記病原性細菌から前記補因子を発現させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、
前記補因子を前記インビボ環境内に配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、
前記タンパク質がルシフェラーゼ酵素であり、前記補因子がルシフェリンであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12に記載の方法であって、
前記組換え型バクテリオファージを前記インビボ環境内に医療デバイスと共に配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13に記載の方法であって、
前記インビボ環境内における前記病原性細菌の存在または量に関する情報を受信機へ送信するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記情報を前記受信機へ無線通信方式を用いて送信することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15に記載の方法であって、
励起信号を前記インビボ環境へ送信するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
院内感染源である病原性細菌の存在または量を検出するための携帯型装置であって、
電源、光検出器、信号処理部、及び或る環境内で前記病原性細菌が検出されたときに信号を発する信号装置を収容している携帯型筐体と、
前記携帯型筐体をユーザの衣服または身体に取り付けるための取り付け手段と、
前記光検出器と光学的に接続され、前記筐体から外側へ或る長さで延在し、かつ前記環境内に挿入される光ファイバケーブルと、
光学的に検出可能な信号を直接的または間接的に生成するタンパク質をエンコードしている外来遺伝物質を担持している組換え型バクテリオファージを担持する送達担体であって、前記光ファイバケーブルの外面の少なくとも一部に配される送達担体とを含むことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、
前記携帯型筐体が、前記環境内における前記病原性細菌の存在または量に関する情報を受信機へ送信するための送信機をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の装置であって、
前記送達担体が分解性ポリマーマトリクスであることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項17ないし請求項19に記載の装置であって、
前記携帯型筐体が、前記光ファイバケーブルに光学的に接続された励起源をさらに収容していることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項17ないし請求項20に記載の装置であって、
前記携帯型筐体が、前記信号装置と電気的に接続された送信機をさらに含み、
前記信号装置から発せられた信号を前記送信機から送信するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、
前記送信機と無線通信する受信機をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項17ないし請求項22に記載の装置であって、
前記環境内において前記病原性細菌を検出したときに、前記信号装置が複数の信号を発するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項17ないし請求項23に記載の装置であって、
前記タンパク質が、緑色蛍光タンパク質またはその色変異体であることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項17ないし請求項23に記載の装置であって、
前記タンパク質がルシフェラーゼであることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−507494(P2011−507494A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537546(P2010−537546)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053655
【国際公開番号】WO2009/074893
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】