説明

除加湿機

【課題】除湿運転後に、タンク内の水の排水しなくても加湿運転を行えるようにする。
【解決手段】除加湿機1は、除湿ユニット20と、加湿ユニット30と、ファン4と、除湿ユニット20から排出される凝縮水を貯留する除湿タンク2と、加湿ユニット30に供給するための水を貯留する加湿タンク3とを備えている。除湿タンク2は、除湿ユニット20の下方に配置され、加湿タンク3は、加湿ユニット30とファン4の横に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、除湿機能と加湿機能を有する除加湿機が知られている。例えば、特許文献1の除加湿機は、除湿ユニットおよび加湿ロータと、これらに供給する空気流を発生させるためのファンと、タンク(貯水容器)とを有する。タンクは、除湿ユニットおよび加湿ロータの下方に配置されている。加湿ロータには、水を吸収して気化させる気化部材を有している。気化部材にはタンク内の水が供給されるようになっており、気化部材に空気流を通過させることで加湿を行う。また、除湿ユニットは、通過する空気流に含まれる水分を吸着する吸着部材と、吸着部材から放出された水分を凝縮させる凝縮器とを有しており、凝縮水はタンクに貯留される。このようにタンクには、加湿ロータに供給するための水と除湿ユニットで凝縮した水が貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−65966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加湿ロータに供給するための水と除湿ユニットで凝縮した水を1つのタンクに溜めている場合、除湿により生じた水をそのまま加湿に使用することは衛生上できないため、除湿運転の後で加湿運転を行う際には、タンクを除加湿機から取り外して排水してから、新たな水を補充する必要があった。そのため、手間を要するとともに、除湿運転と加湿運転とを自動的に切り換える構成にできないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、除湿運転後に、タンク内の水の排水しなくても加湿運転を行うことができる除加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る除加湿機は、除湿手段と、加湿手段と、前記除湿手段および前記加湿手段に供給する空気流を発生させるファンと、前記除湿手段から排出される凝縮水を貯留する除湿タンクと、前記加湿手段に供給するための水を貯留する加湿タンクとを備え、前記除湿タンクが、前記除湿手段の下方に配置され、前記加湿タンクが、前記加湿手段および前記ファンの少なくとも一方の横に配置されることを特徴とする。
【0007】
この除加湿機では、除湿用のタンクと加湿用のタンクを1つのタンクで兼用せずに別々のタンクで構成しているため、除湿運転の後で加湿運転を行う場合に、タンク内の水を排水する必要がない。
また、除湿手段から水が送られる除湿タンクを除湿手段の下方に配置するため、除湿タンクを効率よく設置できる。また、加湿タンクを加湿手段またはファンの横に配置するため、空気流の流路を邪魔することなく、加湿タンクを効率よく設置できる。
【0008】
第2の発明に係る除加湿機は、第1の発明において、前記加湿手段が、回転駆動される円形状の気化部材を有し、前記加湿タンクは、前記加湿手段の横に配置されており、前記気化部材側の形状が前記気化部材の外周に沿った曲面であることを特徴とする。
【0009】
この除加湿機では、加湿タンクが加湿手段の側部に沿った形状に形成されているため、加湿タンクをスペースの無駄なく配置できる。
【0010】
第3の発明に係る除加湿機は、第1または第2の発明において、前記加湿タンクから供給された水を貯留する加湿トレーを有し、前記除湿タンクが、前記除湿手段と前記加湿トレーの下方に配置されることを特徴とする。
【0011】
この除加湿機では、除湿タンクの配置スペースが大きいため、除湿タンクの容量を大きくできる。
【0012】
第4の発明に係る除加湿機は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記除湿手段の下方に配置され、前記除湿手段から排出された凝縮水を前記除湿タンクに導く水受け部を有することを特徴とする。
【0013】
この除加湿機では、たとえ除湿手段と除湿タンクとが上下方向に離間していても、除湿手段から排出された凝縮水を除湿タンクに確実に導くことができる。
【0014】
第5の発明に係る除加湿機は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、室内湿度を検知する湿度検知手段と、室内温度を検知する温度検知手段とを備え、前記湿度検知手段で検知された室内湿度および前記温度検知手段で検知された室内温度に基づいて、室内湿度が第1湿度以上の場合に除湿運転が行われると共に、室内湿度が第1湿度よりも低い第2湿度以下の場合に加湿運転が行われるようにそれぞれ設定された複数の室内温度範囲にしたがって、除湿運転と加湿運転とを切り換える自動運転モードで運転可能であって、前記複数の室内温度範囲のそれぞれに設定された前記第1湿度及び前記第2湿度が、温度が高い室内温度範囲ほど低いことを特徴とする。
【0015】
この除加湿機では、室内温度と室内湿度に応じて除湿運転と加湿運転とを切り換えるため、無駄な除湿や加湿を防止できる。
また、除湿用のタンクと加湿用のタンクを別々のタンクで構成したことにより、1つのタンクの容量が低減するものの、無駄な除湿や加湿がないため、タンクの排水や給水の頻度が増加するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の発明では、除湿用のタンクと加湿用のタンクを1つのタンクで兼用せずに別々のタンクで構成しているため、除湿運転の後で加湿運転を行う場合に、タンク内の水を排水する必要がない。
また、除湿手段から水が送られる除湿タンクを除湿手段の下方に配置するため、除湿タンクを効率よく設置できる。また、加湿タンクを加湿手段またはファンの横に配置するため、空気流の流路を邪魔することなく、加湿タンクを効率よく設置できる。
【0018】
第2の発明では、加湿タンクが加湿手段の側部に沿った形状に形成されているため、加湿タンクをスペースの無駄なく配置できる。
【0019】
第3の発明では、除湿タンクの配置スペースが大きいため、除湿タンクの容量を大きくできる。
【0020】
第4の発明では、たとえ除湿手段と除湿タンクとが上下方向に離間していても、除湿手段から排出された凝縮水を除湿タンクに確実に導くことができる。
【0021】
第5の発明では、室内温度と室内湿度に応じて除湿運転と加湿運転とを切り換えるため、無駄な除湿や加湿を防止できる。
また、除湿用のタンクと加湿用のタンクを別々のタンクで構成したことにより、1つのタンクの容量が低減するものの、無駄な除湿や加湿がないため、タンクの排水や給水の頻度が増加するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る除加湿機の斜視図である。
【図2】除湿タンクと加湿タンクと加湿ユニットを本体から取り外した状態の除加湿機の斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】除湿ユニットの斜視図である。
【図6】除加湿機の制御ブロック図である。
【図7】室内湿度または室内温度が低下する場合の自動運転モードの制御を説明するための図である。
【図8】室内湿度または室内温度が上昇する場合の自動運転モードの制御を説明するための図である。
【図9】自動運転モード時の室内温度と室内湿度の一例を示すグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る除加湿機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の除加湿機1は、除湿機能、加湿機能、および空気清浄機能を有しており、空気清浄のみを行う空気清浄運転と、空気清浄と除湿を同時に行う除湿運転と、空気清浄と加湿を同時に行う加湿運転のいずれかを行うことができる。図1および図2に示すように、除加湿機1は、本体10と、本体10に対して着脱可能に構成された除湿タンク2、加湿タンク3および加湿ユニット30を備えている。本体10は、ファン4と、空気清浄フィルタユニット5と、除湿ユニット(除湿手段)20と、制御部6(図6参照)とを有する。また、本体10には、室内湿度を検知するための湿度センサ7(図6参照)と、室内温度を検知するための温度センサ8(図6参照)が設けられている。以下の説明において、図1中に示す上下方向、左右方向、前後方向を、単に、上下方向、左右方向、前後方向と称する。
【0024】
本体10の左右両側部の前側部分には吸込口11aが形成されており、本体10の天面の後側部分には、吹出口11bが形成されている。図3に示すように、本体10の内部には、ファン4によって発生する空気流Fを吸込口11aから吹出口11bに導くための流路が形成されている。この流路に上流側から順に、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ユニット30の加湿ロータ31、ファン4が配置されている。ファン4を駆動することにより、吸込口11aから吸い込まれた空気流Fは、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ロータ31を順に通過して、吹出口11bから吹き出される。
【0025】
図2に示すように、本体10の右側部の前側下部には、収容空間10aが形成されており、この収容空間10aに除湿タンク2は収容される。また、本体10の右側部の後側部分には、収容空間10bが形成されており、この収容空間10bに加湿ユニット30と加湿タンク3が収容される。
【0026】
また、本体10の上面には、操作パネル12が設けられている。操作パネル12には、ユーザが運転の開始/停止の操作や、運転モードの切り換えなどを行うためのスイッチが設けられている。本実施形態の除加湿機1は、運転モードとして、加湿運転モード、除湿運転モード、空気清浄モード、および自動運転モードを有する。自動運転モードは、湿度センサ7で検知された室内湿度と温度センサ8で検知された室内温度とに基づいて、加湿運転と空気清浄運転と除湿運転とを自動的に切り換えるモードである。
【0027】
また、操作パネル12には、ユーザに対して、加湿タンク3への水の補充が必要であることを報知するための給水ランプ(図示省略)と、除湿タンク2内の水の排出が必要であることを報知するための満水ランプ(図示省略)とが設けられている。
【0028】
図3に示すように、空気清浄フィルタユニット5は、本体10内の前側部分に配置されている。空気清浄フィルタユニット5は、これを通過する空気中の塵埃や臭気成分を除去する。
【0029】
図5に示すように、除湿ユニット20は、吸着部材21と、循環ファン22と、ヒーター23と、流路形成部材24と、吸着部材21を回転駆動させるためのモーター26(図6参照)とを備えている。また、流路形成部材24は、凝縮器の機能を有する。
【0030】
吸着部材21は、多孔質体で構成されており、水分に対して高い吸着性を有する。吸着部材21は、円形状に形成されており、流路形成部材24に対して回転可能に取り付けられている。吸着部材21の外周端には、歯部(図示省略)が設けられており、この歯部と噛合する図示しない歯車がモーター26によって回転することで、吸着部材21は回転する。
【0031】
循環ファン22は、後方に突出するように流路形成部材24の上部に取り付けられている。ヒーター23は、吸着部材21の後側に配置されている。ヒーター23は、略扇形状であって、吸着部材21の後面の一部(略1/6)を覆うように流路形成部材24に取り付けられている。
【0032】
流路形成部材24は、樹脂製であって、第1流路24aと、第2流路24bと、凝縮部25と、第3流路24cとを有する。循環ファン22、第1流路24a、ヒーター23、第2流路24b、凝縮部25、第3流路24cの順で空気が循環するようになっている。この循環する空気を再生空気という。
【0033】
第1流路24aは、循環ファン22からヒーター23に再生空気を送るための流路である。第2流路24bは、ヒーター23と吸着部材21を通過した再生空気を、凝縮部25に送るための流路である。第2流路24bは、略扇形状であって、吸着部材21の前面の一部分(略1/6)を覆うように形成されている。この第2流路24bとヒーター23とは、吸着部材21を介して対向配置されている。
【0034】
凝縮部25は、第2流路24bから供給された再生空気を、吸着部材21の外周の下側半分に沿って流すように形成されている。また、凝縮部25には、前後方向に貫通する複数の長孔25aが設けられている。この長孔25aの内側を空気流Fが通過する。第3流路24cは、凝縮部25を通過した再生空気を循環ファン22に送るための流路である。また、流路形成部材24の下端部には、凝縮部25において凝縮した水を排出するための排水孔(図示省略)が設けられている。
【0035】
除湿運転時には、吸着部材21のうち、第2流路24bで覆われていない部分に、空気清浄ユニットを通過した空気流Fが通過することで、この空気流Fに含まれる水分が吸着部材21に吸収される。そして、吸着部材21が回転することにより、水分を保持している部分が、ヒーター23と対向する位置まで移動する。
【0036】
一方、循環ファン22を駆動することで、再生空気が循環ファン22から第1流路24aを介してヒーター23に流入する。再生空気は、ヒーター23で加熱された後、吸着部材21を後面側から通過する。この高温の再生空気が通過した領域では、吸着部材21の保持していた水分が気化するため、吸着部材21を通過した再生空気は、吸着部材21から放出された水分を含んだ状態で、第2流路24bに流入する。
【0037】
そして、第2流路24bから凝縮部25に供給された再生空気は、複数の長孔25aの外周面(および流路形成部材24の前壁)と接触することで、空気流Fによって冷却される。これにより、再生空気に含まれる水分が凝縮して、長孔25aの外周面(および流路形成部材24の前壁)に結露が生じる。凝縮水は、流路形成部材24の下端部に設けられた図示しない排水孔を通って除湿タンク2に流れ込む。また、凝縮部25で水分を放出した再生空気は、第3流路24cを通って、循環ファン22に吸い込まれる。
【0038】
また、吸着部材21が回転することで、吸着部材21のうち水分が放出された領域は、ヒーター23と対向する位置から移動して、新たな空気流Fの水分を吸着する。このように吸着部材21は、水分の吸着と放出とを繰り返す。
【0039】
除湿タンク2は、除湿ユニット20の下方に配置されており、凝縮部25で凝縮した水を貯留する。除湿タンク2は、本体10に対して着脱可能となっている。除湿タンク2は、収容空間10aに収容された状態から右側に引き出すことで本体10から取り外され、左側に押し込むことで本体10に取り付けられる。除湿タンク2の右側面は、除加湿機1の外郭の一部を構成している。除湿タンク2は、略矩形状であって、上蓋に凝縮水の流入口(図示省略)を有する。また、除湿タンク2内の水面高さは、図示しないセンサによって検知される。水面高さが所定の高さ以上となると満水ランプが点灯するようになっている。
【0040】
図2および図4に示すように、加湿ユニット30は、加湿ロータ31と、加湿トレー34とを有する。なお、加湿ロータ31が本発明の加湿手段を構成している。
【0041】
加湿トレー34は、収容空間10bの下側部分に収容される。加湿トレー34は、タンク受け部35と、ロータ浸漬部36と、仕切り壁37と、2本のロータ支持柱38とを有する。
【0042】
ロータ浸漬部36とタンク受け部35は、仕切り壁37によって仕切られている。仕切り壁37には、ロータ浸漬部36とタンク受け部35とを連通させる連通孔(図示省略)が形成されている。また、仕切り壁37の上部は、加湿ロータ31の外周面に沿った略円弧状に形成されている。
【0043】
タンク受け部35には、加湿タンク3が配置され、加湿タンク3から供給された水が貯留される。加湿タンク3内に水がある限り、タンク受け部35内の水面高さは満水レベルに保たれるようになっている。また、タンク受け部35内の水面高さは、図示しないセンサによって検知される。水面高さが所定の高さ未満になると給水ランプが点灯するようになっている。
【0044】
ロータ浸漬部36には、タンク受け部35から連通孔(図示省略)を介して供給された水が貯留される。このロータ浸漬部36内の水が、後述する水汲み部33aによって汲み上げられて加湿ロータ31の気化部材32に供給される。
【0045】
加湿ロータ31は、ロータ浸漬部36の上方に配置されている。加湿ロータ31は、円形状であって、ロータ浸漬部36の上縁に設けられた2本のロータ支持柱38に回転自在に支持されている。加湿ロータ31は、水を吸水して気化させる気化部材32と、気化部材32を両側から保持する枠部材33とで構成される。また、加湿ユニット30は、気化部材32の最下部が、ロータ浸漬部36内の水の満水レベルよりも上方に位置するように構成されている。
【0046】
枠部材33の外周面には、歯部が形成されている。本体10には、枠部材33の歯部と噛合する歯車(図示省略)が設けられており、この歯車がモーター9(図6参照)によって回転することで、加湿ロータ31は回転する。また、枠部材33の前面には、複数の水汲み部33aが周方向に並んで設けられている。水汲み部33aは、気化部材32にロータ浸漬部36内の水を供給するためのものである。
【0047】
加湿運転時には、加湿ロータ31が回転することにより、複数の水汲み部33aが順次加湿トレー34内に浸水して、浸水した状態から上昇していく際にロータ浸漬部36内の水を汲み上げる。そして、水汲み部33aが最上位置に近付くにしたがって、水汲み部33a内の水が気化部材32に供給される。そして、水を吸水した状態の気化部材32に空気流Fが通過することで、空気流Fが加湿される。
【0048】
図3および図4に示すように、加湿タンク3は、加湿ロータ31とファン4の右側に配置されており、気化部材32に供給するための水を貯留する。加湿タンク3は、加湿トレー34(および加湿ロータ31)が本体10に装着された状態で、本体10と加湿トレー34に対して着脱可能となっている。加湿タンク3は、本体10に装着された状態から、加湿タンク3の上端部を下端部に対して外側に回転させることで取り外される。加湿タンク3の下端部には、給水口が設けられている。加湿タンク3の右側面は、除加湿機1の外郭の一部を構成している。加湿タンク3の左側面3aは、仕切り壁37に沿った(気化部材33の外周に沿った)曲面に形成されている。
【0049】
制御部6は、除湿運転や加湿運転や空気清浄運転が行われるように、ファン4やモーター9等の動作を制御する。制御部6は、空気清浄運転を行う場合には、ファン4を稼動させて、循環ファン22、ヒーター23、モーター26およびモーター9を停止させる。また、除湿運転を行う場合には、ファン4、循環ファン22、ヒーター23、およびモーター26を稼動させて、モーター9を停止させる。また、加湿運転を行う場合には、ファン4とモーター9を稼動させて、循環ファン22、ヒーター23、およびモーター26を停止させる。
【0050】
制御部6は、自動運転モードが設定された場合、湿度センサ7で検知された室内湿度(以下、単に室内湿度という)と温度センサ8で検知された室内温度(以下、単に室内温度という)とに基づいて、加湿運転、空気清浄運転、除湿運転のいずれかを行うように制御する。
【0051】
具体的には、図7および図8に示すように、温度範囲T1〜T4ごとにそれぞれ設定された加湿切換湿度(第2湿度)H1a〜H4a、第1空清切換湿度H1b〜H4b、第2空清切換湿度H1c〜H4c、除湿切換湿度(第1湿度)H1d〜H4dに基づいて制御を行う。各温度範囲T1〜T4において、加湿切換湿度<第1空清切換湿度<第2空清切換湿度<除湿切換湿度となっている。また、加湿切換湿度H1a〜H4aは、温度が高い温度範囲ほど小さくなっており、同様に、第1空清切換湿度H1b〜H4b、第2空清切換湿度H1c〜H4c、除湿切換湿度H1d〜H4dも、温度が高い温度範囲ほど小さくなっている。なお、各切換湿度は、上述の大小関係を満たすものであれば、図7および図8に示す数値に限定されない。
【0052】
制御部6は、自動運転モードの運転開始時に室内温度が温度範囲T1内の場合、室内湿度が加湿切換湿度H1a以下の場合には加湿運転を行い、室内湿度が除湿切換湿度H1d以上の場合には除湿運転を行い、室内湿度が加湿切換湿度H1aより高く除湿切換湿度H1d未満の場合には空気清浄運転を行うように制御する。
室内温度が温度範囲T2〜T3の場合の制御も、上述の温度範囲T1の場合と同様である。
【0053】
また、制御部6は、加湿運転中で室内温度が温度範囲T1内の場合、室内湿度が第1空清切換湿度H1b以上に上昇した場合(即ち、図8中の領域B1から領域B2に温湿度が変化した場合)には、加湿運転から空気清浄運転に切り換えるように制御する。
また、制御部6は、空気清浄運転中で室内温度が温度範囲T1内の場合、室内湿度が除湿切換湿度H1d以上に上昇した場合(即ち、図8中の領域B3から領域B4に温湿度が変化した場合)には、空気清浄運転から除湿運転に切り換えるように制御する。
また、制御部6は、除湿運転中で室内温度が温度範囲T1内の場合、室内湿度が第2空清切換湿度H1c以下に低下した場合(即ち、図7中の領域A3から領域A2に温湿度が変化した場合)には、除湿運転から空気清浄運転に切り換えるように制御する。
また、制御部6は、空気清浄運転中で室内温度が温度範囲T1内の場合、室内湿度が加湿切換湿度H1a以下に低下した場合(即ち、図7中の領域A2から領域A1に温湿度が変化した場合)には、空気清浄運転から加湿運転に切り換えるように制御する。
室内温度が温度範囲T2〜T3の場合の制御も、上述の温度範囲T1の場合と同様である。
【0054】
また、制御部6は、加湿運転中に室内温度が温度範囲T1の温度から温度範囲T2の温度に上昇し、室内湿度が第1空清切換湿度H2b以上の場合(即ち、図8中の領域B1から領域B4に温湿度が変化した場合)には、加湿運転から空気清浄運転に切り換えるように制御する。
また、制御部6は、空気清浄運転中に室内温度が温度範囲T1の温度から温度範囲T2の温度に上昇し、室内湿度が除湿切換湿度H2d以上の場合(即ち、図8中の領域B2から領域B5に温湿度が変化した場合)には、空気清浄運転から除湿運転に切り換えるように制御する。
室内温度が温度範囲T2から温度範囲T3に上昇した場合、および、温度範囲T3から温度範囲T4に上昇した場合の制御も、上記と同様である。
【0055】
また、制御部6は、除湿運転中に室内温度が温度範囲T2の温度から温度範囲T1の温度に低下し、室内湿度が第2空清切換湿度H1c以下の場合(即ち、図7中の領域A5から領域A2に温湿度が変化した場合)には、除湿運転から空気清浄運転に切り換えるように制御する。
また、制御部6は、空気清浄運転中に室内温度が温度範囲T2の温度から温度範囲T1の温度に低下し、室内湿度が加湿切換湿度H1a以下の場合(即ち、図7中の領域A4から領域A1に温湿度が変化した場合)には、空気清浄運転から加湿運転に切り換えるように制御する。
室内温度が温度範囲T3から温度範囲T2に低下した場合、および、温度範囲T4から温度範囲T3に低下した場合の制御も、上記と同様である。
【0056】
次に、除加湿機1の動作の一例について図9を用いて説明する。
【0057】
自動運転モードの運転開始の操作が行われた時刻を時刻t0とする。時刻t0における室内温度は20℃であって温度範囲T3内の温度である。また、時刻t0における室内湿度は加湿切換湿度H3aより高く除湿切換湿度H3d未満であるため、空気清浄運転が開始される。
【0058】
その後、時刻t1において、室内温度が温度範囲T3で維持された状態で室内湿度が除湿切換湿度H3d以上に上昇すると、空気清浄運転から除湿運転に切り換えられる。その後、時刻t2において、室内温度が温度範囲T3で維持された状態で室内湿度が第2空清切換湿度H3c以下に低下すると、除湿運転から空気清浄運転に切り換えられる。
【0059】
その後、時刻t3において、室内温度が温度範囲T3で維持された状態で室内湿度が加湿切換湿度H3a以下に低下すると、空気清浄運転から加湿運転に切り換えられる。その後、時刻t4において、室内温度が温度範囲T3で維持された状態で室内湿度が第1空清切換湿度H3b以上に上昇すると、加湿運転から空気清浄運転に切り換えられる。
【0060】
その後、時刻t5において、室内温度が20℃よりも低くなって温度範囲T2の温度となると、時刻t5における室内湿度が加湿切換湿度H2a以下であるため、空気清浄運転から加湿運転に切り換えられる。その後、時刻t6において、室内温度が温度範囲T2で維持された状態で室内湿度が第1空清切換湿度H2b以上に上昇すると、加湿運転から空気清浄運転に切り換えられる。
【0061】
<本実施形態の除加湿機の特徴>
本実施形態の除加湿機1では、除湿用のタンクと加湿用のタンクを1つのタンクで兼用せずに別々のタンクで構成しているため、除湿運転の後で加湿運転を行う場合に、タンク内の水を取り換える必要がない。
また、除湿ユニット20から水が送られる除湿タンク2を除湿ユニット20の下方に配置するため、除湿タンク2を効率よく設置できる。また、加湿タンク3を加湿ユニット30とファン4の横に配置するため、空気流の流路を邪魔することなく、加湿タンク3を効率よく設置できる。
【0062】
また、本実施形態の除加湿機1では、加湿タンク3が加湿ユニット30の側部に沿った形状に形成されているため、加湿タンク3をスペースの無駄なく配置できる。
【0063】
また、本実施形態の除加湿機1では、室内温度と室内湿度に応じて除湿運転と加湿運転とを切り換えるため、無駄な除湿や加湿を防止できる。
また、除湿用のタンクと加湿用のタンクを別々のタンクで構成したことにより、1つのタンクの容量が低減するものの、無駄な除湿や加湿がないため、タンクの排水や給水の頻度が増加するのを抑制できる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0065】
図7および図8では、1つの温度範囲の温度幅が10℃となっているが、温度幅は10℃より大きくても小さくてもよい。また、温度範囲ごとに温度幅が異なっていてもよい。また、温度範囲の数は、4つに限定されない。また、温度範囲は、0℃より低い温度や40℃より高い温度に、設定されていてもよい。
【0066】
上記実施形態では、加湿運転から空気清浄運転に切り換える際の基準となる第1空清切換湿度H1b〜H4bは、空気清浄運転から加湿運転に切り換える際の基準となる加湿切換湿度H1a〜H4aより高く設定されているが、同じであってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、除湿運転から空気清浄運転に切り換える際の基準となる第2空清切換湿度H1c〜H4cは、空気清浄運転から除湿運転に切り換える際の基準となる除湿切換湿度H1d〜H4dより低く設定されているが、同じであってもよい。
【0068】
上記実施形態では、自動運転モード時に、加湿運転と除湿運転と空気清浄運転とを切り換えるようになっているが、空気清浄運転を行う代わりに、運転を停止してもよい。
【0069】
除加湿機は、自動運転モードを有していなくてもよい。
【0070】
上記実施形態では、除湿タンク2と加湿トレー34は前後方向に並んで配置されているが、例えば図10に示すように、除湿タンク102の上方に加湿トレー134が配置されていてもよい。この構成によると、除湿タンク102の配置スペースが大きいため、除湿タンク102の容量を大きくできる。
【0071】
上記実施形態では、除湿ユニット20から排出された凝縮水は、直接、除湿タンク2に流れ込むようになっているが、例えば図10に示すように、除湿ユニット20の下方に水受け部127を配置し、この水受け部127によって、除湿ユニット20から排出された凝縮水を除湿タンク102に導くようになっていてもよい。この構成によると、図10のように除湿ユニット20と除湿タンク102とが上下方向に離間している場合であっても、除湿ユニット20から排出された凝縮水を確実に除湿タンクに導くことができる。
【0072】
上記実施形態では、加湿タンク3は、加湿ロータ31とファン4の横に配置されているが、加湿タンク3の配置位置は、加湿ロータおよびファンの一方の横であれば、他方の横(左右方向に隣接)でなくてもよい。
【0073】
上記実施形態では、除湿タンク2を収容する収容空間10aは、右側が開口しており、除湿タンク2は、本体10に取り付けられた状態から右側に引き出すことで本体10から取り外されるようになっているが、この構成に限定されない。収容空間10aは、左側または前側が開口し、除湿タンク2は、左側または前側に引き出すことで取り外されるようになっていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、加湿タンク3は、本体10の右側部分に配置されているが、左側部分に配置されていてもよい。
【0075】
上記実施形態では、加湿タンク3を収容する収容空間10bは右側が開口しており、加湿タンク3は、本体10に取り付けられた状態から上端部を右側に回転させることで本体10から取り外されるようになっているが、この構成に限定されない。収容空間10bは、後側が開口し、加湿タンク3は、その上端部を後側に回転させることで取り外されるようになっていてもよい。
【0076】
上記実施形態では、加湿タンク3は、本体10に取り付けられた状態から上端部を回転させることで本体10から取り外されるようになっているが、加湿タンク3の本体10に対する着脱構造はこれに限定されない。例えば、加湿タンク3を鉛直上方に持ち上げることで、本体10から取り外されるようになっていてもよい。
【0077】
上記実施形態では、加湿タンク3の加湿ロータ31側の面3aは、仕切り壁37に沿った曲面に形成されているが、曲面でなくてもよい。例えば、面3aは、仕切り壁37に沿うように配置された複数の平面で構成されていてもよい。また、例えば、面3aは、左右方向に直交する平面であってもよい。
【0078】
上記実施形態では、加湿ロータ31の枠部材33に設けられた水汲み部33aによって、気化部材32に水を供給するようになっているが、気化部材32に水を供給するための構成はこれに限定されない。例えば、枠部材33に水汲み部33aを設ける代わりに、水汲み部を有する回転体を配置して、この回転体の水汲み部によってロータ浸漬部36内の水を汲み上げて、気化部材に掛けるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明を利用すれば、除湿運転後に、タンク内の水の排水しなくても加湿運転を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
1 除加湿機
2、102 除湿タンク
3 加湿タンク
4 ファン
6 制御部(制御手段)
7 湿度センサ(湿度検知手段)
8 温度センサ(温度検知手段)
20 除湿ユニット(除湿手段)
30 加湿ユニット
31 加湿ロータ(加湿手段)
32 気化部材
34、134 加湿トレー
127 水受け部
T1〜T4 温度範囲(室内温度範囲)
H1a〜H4a 加湿切換湿度(第2湿度)
H1d〜H4d 除湿切換湿度(第1湿度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿手段と、
加湿手段と、
前記除湿手段および前記加湿手段に供給する空気流を発生させるファンと、
前記除湿手段から排出される凝縮水を貯留する除湿タンクと、
前記加湿手段に供給するための水を貯留する加湿タンクとを備え、
前記除湿タンクが、前記除湿手段の下方に配置され、
前記加湿タンクが、前記加湿手段および前記ファンの少なくとも一方の横に配置されることを特徴とする除加湿機。
【請求項2】
前記加湿手段が、回転駆動される円形状の気化部材を有し、
前記加湿タンクは、前記加湿手段の横に配置されており、前記気化部材側の形状が前記気化部材の外周に沿った曲面であることを特徴とする請求項1に記載の除加湿機。
【請求項3】
前記加湿タンクから供給された水を貯留する加湿トレーを有し、
前記除湿タンクが、前記除湿手段と前記加湿トレーの下方に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の除加湿機。
【請求項4】
前記除湿手段の下方に配置され、前記除湿手段から排出された凝縮水を前記除湿タンクに導く水受け部を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の除加湿機。
【請求項5】
室内湿度を検知する湿度検知手段と、
室内温度を検知する温度検知手段とを備え、
前記湿度検知手段で検知された室内湿度および前記温度検知手段で検知された室内温度に基づいて、室内湿度が第1湿度以上の場合に除湿運転が行われると共に、室内湿度が第1湿度よりも低い第2湿度以下の場合に加湿運転が行われるようにそれぞれ設定された複数の室内温度範囲にしたがって、除湿運転と加湿運転とを切り換える自動運転モードで運転可能であって、
前記複数の室内温度範囲のそれぞれに設定された前記第1湿度及び前記第2湿度が、温度が高い室内温度範囲ほど低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の除加湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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