説明

除湿機

【課題】凝縮器の冷却流路の壁厚を薄くして、熱伝達性を向上させる。
【解決手段】除湿機の凝縮器40は、空気中の水分を吸着した吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、再生空気中の水分を凝縮させるものであって、再生空気が通過する隙間40bが形成されるように積層された複数枚の伝熱シート42を有する。複数枚の伝熱シート42は、筒状孔部(43Aまたは43B)をそれぞれ有している。複数枚の伝熱シート42の筒状孔部は、積層状態において連通して冷却空気Fが通過する冷却流路40aを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器を備えた除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、除湿機として、吸着部材に空気を通過させて除湿を行う除湿機が知られている。この除湿機では、水分を吸着した吸着部材に、加熱された再生空気を通過させることで、吸着部材を乾燥させて再生させる。また、除湿機は、吸着部材を通過した再生空気から水分を除去するために凝縮器を備えている。凝縮器は、吸着部材を通過した再生空気を冷却空気によって冷却して、再生空気中の水分を凝縮させる。
【0003】
例えば特許文献1の除湿機の凝縮器は、再生空気が通過する樹脂製の筺体と、筺体内に配置された複数の筒状部材とを有する。筺体の対向する2つの壁部には、筒状部材と連通する貫通孔が形成されており、筺体の一方の壁部の貫通孔から流入した冷却空気は、筒状部材を通過して、他方の壁部の貫通孔から排出されるようになっている。また、筒状部材は、筺体の一方の壁部と、射出成形によって一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−2117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冷却空気が通過する筒状部材を射出成形で形成する場合、筒状部材の厚さを、溶融した樹脂が流れやすい厚さ以上にする必要がある。そのため、筒状部材の熱伝達性が低く、熱交換効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、筒状部材を金属で形成する場合においても、筒状部材の強度を維持するためには、ある程度の厚みが必要となるため、上記と同様の問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、凝縮器の冷却流路の壁厚を薄くして熱伝達性を向上させることができる除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る除湿機は、空気中の水分を吸着して除湿する吸着部材と、前記吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、前記再生空気中の水分を凝縮させる凝縮器とを備え、前記凝縮器は、前記再生空気が通過する隙間が形成されるように積層された複数枚の伝熱シートを有し、前記複数枚の伝熱シートは、積層状態において連通して前記冷却空気が通過する冷却流路を構成する冷却流路形成部をそれぞれ有していることを特徴とする。
【0009】
この除湿機では、伝熱シートの隙間に流入した再生空気は、冷却流路の外周面と接触することで、冷却流路内を流れる冷却空気によって冷却される。冷却流路は、複数枚の伝熱シートにそれぞれ形成された冷却流路形成部を連通させることで構成されているため、1つの筒状部材で冷却流路を構成する場合に比べて、冷却流路の壁厚を薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0010】
第2の発明に係る除湿機は、第1の発明において、前記複数枚の伝熱シートが、積層方向に押圧された状態で配置されていることを特徴とする。
【0011】
この除湿機では、伝熱シートが積層方向に押圧された状態で配置されているため、積層方向に隣接する筒状孔部の嵌合部分が密着するため、嵌合部分から冷却空気が漏れるのを防止できる。
【0012】
第3の発明に係る除湿機は、第1または第2の発明において、前記伝熱シートが、前記再生空気を通過させるための連通孔を有していることを特徴とする。
【0013】
この除湿機では、冷却流路内の冷却空気の温度は上流側ほど低くなるので、伝熱シートに連通孔が設けられておらず、伝熱シートの隙間同士が連通していない場合、再生空気の冷却にムラが生じることがあるが、本発明では、伝熱シートに形成された連通孔によって、伝熱シートの隙間同士が連通するため、再生空気を冷却流路の流路方向に移動させることができる。そのため、再生空気の冷却をより均一化できる。
【0014】
第4の発明に係る除湿機は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記複数枚の伝熱シートを収容し且つ前記再生空気が通過する流路を構成するケーシングを備え、前記ケーシングが、前記複数枚の伝熱シートの上方または横方に、前記再生空気の排出口を有することを特徴とする。
【0015】
この除加湿機では、伝熱シートの隙間を通過した再生空気は、伝熱シートの上方または横方に設けられた排出口から排出されるため、伝熱シートの隙間の下端部に凝縮水が表面張力によって保持されている場合であっても、再生空気をスムーズに排出できる。
【0016】
第5の発明に係る除湿機は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、前記複数枚の伝熱シートの前記冷却流路形成部が、筒状孔部であって、前記筒状孔部の先端部が、その先端側に隣接する伝熱シートの前記筒状孔部に嵌合されることを特徴とする。
【0017】
この除湿機では、隣接する2枚の伝熱シートの筒状孔部を嵌合させて連結しているため、伝熱シートの位置ずれが生じにくい。
【0018】
第6の発明に係る除湿機は、第5の発明において、前記複数枚の伝熱シートは、前記筒状孔部の形状の異なる2枚の前記伝熱シートを含むシート組が複数積層された構成であって、前記シート組の2つの前記筒状孔部の先端部が、突き合わされた状態で嵌合されることを特徴とする。
【0019】
この除湿機では、隣接する2枚の伝熱シートの筒状孔部の先端同士を突き合わせて嵌合しているため、再生空気の流路と冷却流路の間のシートを1枚のみにすることができる。
【0020】
第7の発明に係る除湿機は、第5または第6の発明において、前記筒状孔部の先端側開口の縁に、前記伝熱シートの面方向と平行な環状面が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この除湿機では、筒状孔部が、伝熱シートに形成した凸部に打ち抜き加工することで形成される場合、打ち抜き加工は、打ち抜かれる部分(先端側開口となる部分)の周囲を挟持しながら行うため、打ち抜かれる部分の周囲に、打ち抜き方向に垂直な環状面を有することで、打ち抜き加工を行いやすくなる。したがって、筒状孔部を形成しやすい。
【0022】
第8の発明に係る除湿機は、第1〜第7の発明のいずれかにおいて、前記伝熱シートが、熱可塑性樹脂または金属で構成されていることを特徴とする。
【0023】
この除湿機では、伝熱シートが熱可塑性樹脂または金属で構成されているため、加熱プレス加工などで冷却流路形成部を形成しやすい。
【0024】
第9の発明に係る除湿機は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記複数枚の伝熱シートを収容するケーシングを備え、前記ケーシングは、前記冷却流路の上流側に配置されるとともに前記冷却流路と連通する孔を有する金属製の壁部を有することを特徴とする。
【0025】
この除湿機では、冷却空気を金属製の壁部に向かって流すことで、その一部が壁部の孔を通って冷却流路に流入して再生空気を冷却するとともに、壁部に接触する冷却空気によって、ケーシング内の再生空気を冷却することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0027】
第1の発明では、伝熱シートの隙間に流入した再生空気は、冷却流路の外周面と接触することで、冷却流路内を流れる冷却空気によって冷却される。冷却流路は、複数枚の伝熱シートにそれぞれ形成された冷却流路形成部を連通させることで構成されているため、1つの筒状部材で冷却流路を構成する場合に比べて、冷却流路の壁厚を薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0028】
第2の発明では、伝熱シートが積層方向に押圧された状態で配置されているため、積層方向に隣接する筒状孔部の嵌合部分が密着するため、嵌合部分から冷却空気が漏れるのを防止できる。
【0029】
第3の発明では、冷却流路内の冷却空気の温度は上流側ほど低くなるので、伝熱シートに連通孔が設けられておらず、伝熱シートの隙間同士が連通していない場合、再生空気の冷却にムラが生じることがあるが、本発明では、伝熱シートに形成された連通孔によって、伝熱シートの隙間同士が連通するため、再生空気を冷却流路の流路方向に移動させることができる。そのため、再生空気の冷却をより均一化できる。
【0030】
第4の発明では、伝熱シートの隙間を通過した再生空気は、伝熱シートの上方または横方に設けられた排出口から排出されるため、伝熱シートの隙間の下端部に凝縮水が表面張力によって保持されている場合であっても、再生空気をスムーズに排出できる。
【0031】
第5の発明では、隣接する2枚の伝熱シートの筒状孔部を嵌合させて連結しているため、伝熱シートの位置ずれが生じにくい。
【0032】
第6の発明では、隣接する2枚の伝熱シートの筒状孔部の先端同士を突き合わせて嵌合しているため、再生空気の流路と冷却流路の間のシートを1枚のみにすることができる。
【0033】
第7の発明では、筒状孔部が、伝熱シートに形成した凸部に打ち抜き加工することで形成される場合、打ち抜き加工は、打ち抜かれる部分(先端側開口となる部分)の周囲を挟持しながら行うため、打ち抜かれる部分の周囲に、打ち抜き方向に垂直な環状面を有することで、打ち抜き加工を行いやすくなる。したがって、筒状孔部を形成しやすい。
【0034】
第8の発明では、伝熱シートが熱可塑性樹脂または金属で構成されているため、加熱プレス加工などで冷却流路形成部を形成しやすい。
【0035】
第9の発明では、冷却空気を金属製の壁部に向かって流すことで、その一部が壁部の孔を通って冷却流路に流入して再生空気を冷却するとともに、壁部に接触する冷却空気によって、ケーシング内の再生空気を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿機の斜視図である。
【図2】除湿タンクと加湿タンクと加湿ユニットを本体から取り外した状態の除湿機の斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】除湿ユニットの斜視図である。
【図6】除湿ユニットの一部の分解斜視図である。
【図7】除湿ユニットの一部の断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】伝熱シートの部分拡大図であって、(a)は筒状孔部を嵌合させる前の状態を示し、(b)は筒状孔部を嵌合させた状態を示す。
【図10】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の部分断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の部分断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の部分断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の部分断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の部分断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、除湿機能、加湿機能、および空気清浄機能を有する除加湿機に本発明を適用した一例である。図1および図2に示すように、本実施形態の除加湿機1は、本体10と、本体10に対して着脱可能に構成された除湿タンク2、加湿タンク3および加湿ユニット30を備えている。本体10は、ファン4と、空気清浄フィルタユニット5と、除湿ユニット20とを収容している。除加湿機1は、空気清浄のみを行う空気清浄運転と、空気清浄と除湿を同時に行う除湿運転と、空気清浄と加湿を同時に行う加湿運転のいずれかを行うことができる。以下の説明において、図1中に示す上下方向、左右方向、前後方向を、単に、上下方向、左右方向、前後方向と称する。
【0038】
本体10の左右両側部の前側部分には吸込口11aが形成されており、本体10の天面の後側部分には、吹出口11bが形成されている。図3に示すように、本体10の内部には、ファン4によって発生する空気流Fを吸込口11aから吹出口11bに導くための流路が形成されている。この流路に上流側から順に、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ユニット30の加湿ロータ31、ファン4が配置されている。ファン4を駆動することにより、吸込口11aから吸い込まれた空気流Fは、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ロータ31を順に通過して、吹出口11bから吹き出される。
【0039】
図3に示すように、空気清浄フィルタユニット5は、本体10内の前側部分に配置されている。空気清浄フィルタユニット5は、これを通過する空気中の塵埃や臭気成分を除去する。
【0040】
図2および図4に示すように、加湿ユニット30は、加湿ロータ31と、加湿トレー34とを有する。
【0041】
加湿トレー34は、タンク受け部35と、ロータ浸漬部36と、仕切り壁37と、2本のロータ支持柱38とを有する。ロータ浸漬部36とタンク受け部35は、仕切り壁37によって仕切られている。仕切り壁37には、ロータ浸漬部36とタンク受け部35とを連通させる連通孔(図示省略)が形成されている。タンク受け部35には、加湿タンク3が配置され、加湿タンク3から供給された水が貯留される。加湿タンク3内に水がある限り、タンク受け部35内の水面高さは満水レベルに保たれるようになっている。ロータ浸漬部36には、タンク受け部35から連通孔(図示省略)を介して供給された水が貯留される。このロータ浸漬部36内の水が、後述する水汲み部33aによって汲み上げられて加湿ロータ31の気化部材32に供給される。
【0042】
加湿ロータ31は、ロータ浸漬部36の上方に配置されている。加湿ロータ31は、円形状であって、ロータ浸漬部36の上縁に設けられた2本のロータ支持柱38に回転自在に支持されている。加湿ロータ31は、水を吸水して気化させる気化部材32と、気化部材32を両側から保持する枠部材33とで構成される。また、加湿ユニット30は、気化部材32の最下部が、ロータ浸漬部36内の水の満水レベルよりも上方に位置するように構成されている。
【0043】
枠部材33の外周面には、歯部が形成されている。本体10には、枠部材33の歯部と噛合する歯車(図示省略)が設けられており、この歯車がモーター(図示省略)によって回転することで、加湿ロータ31は回転する。また、枠部材33の前面には、複数の水汲み部33aが周方向に並んで設けられている。水汲み部33aは、気化部材32にロータ浸漬部36内の水を供給するためのものである。
【0044】
加湿運転時には、加湿ロータ31が回転することにより、複数の水汲み部33aが順次加湿トレー34内に浸水して、浸水した状態から上昇していく際にロータ浸漬部36内の水を汲み上げる。そして、水汲み部33aが最上位置に近付くにしたがって、水汲み部33a内の水が気化部材32に供給される。そして、水を吸水した状態の気化部材32に空気流Fが通過することで、空気流Fが加湿される。
【0045】
図3および図4に示すように、加湿タンク3は、加湿ロータ31とファン4の右側に配置されており、気化部材32に供給するための水を貯留する。加湿タンク3は、加湿トレー34(および加湿ロータ31)が本体10に装着された状態で、本体10と加湿トレー34に対して着脱可能となっている。
【0046】
除湿タンク2は、除湿ユニット20の下方に配置されており、第3流路24cで凝縮した水を貯留する。除湿タンク2は、本体10に対して着脱可能となっている。
【0047】
図5に示すように、除湿ユニット20は、吸着部材21と、循環ファン22と、ヒーター23と、流路形成部材24と、流路形成部材24に収容された凝縮器40(図6参照)とを備えている。
【0048】
吸着部材21は、多孔質体で構成されており、水分に対して高い吸着性を有する。吸着部材21は、円形状に形成されており、流路形成部材24に対して回転可能に取り付けられている。吸着部材21の外周端には、歯部(図示省略)が設けられている。除湿ユニット20は、この歯部に噛合する歯車(図示省略)と、この歯車を駆動するためのモーターとを有している。歯車をモーターによって回転させることで、吸着部材21は回転する。
【0049】
循環ファン22は、後方に突出するように流路形成部材24の上部に取り付けられている。ヒーター23は、吸着部材21の後側に配置されている。ヒーター23は、略扇形状であって、吸着部材21の後面の一部(略1/6)を覆うように流路形成部材24に取り付けられている。
【0050】
流路形成部材24は、第1流路24aと、第2流路24bと、第3流路24cと、第4流路24dとを有する。循環ファン22、第1流路24a、ヒーター23、第2流路24b、第3流路24c、第4流路24dの順で空気が循環するようになっている。この循環する空気を再生空気という。
【0051】
第1流路24aは、循環ファン22からヒーター23に再生空気を送るための流路である。第2流路24bは、ヒーター23と吸着部材21を通過した再生空気を、第3流路24cに送るための流路である。第2流路24bは、略扇形状であって、吸着部材21の前面の一部分(略1/6)を覆うように形成されている。この第2流路24bとヒーター23とは、吸着部材21を介して対向配置されている。
【0052】
第3流路24cは、第2流路24bから供給された再生空気を、吸着部材21の外周の下側半分に沿って流すように形成されている。図6および図7に示すように、第3流路24cは、複数枚の伝熱シート42の左上方に、再生空気流入口25aを有し、複数枚の伝熱シート42の右上方に、再生空気排出口25bを有する。第3流路24cは、例えばアルミなどの金属で形成された前蓋26aと、樹脂製の本体部26bとによって形成されている。
【0053】
第3流路24cは、複数枚の伝熱シート42からなる凝縮器40を収容しており、本発明のケーシングを構成する。図5および図6に示すように、前蓋26aには、凝縮器40に空気流F(冷却空気)を供給するための複数の冷却空気流入孔27aが形成されている。また、本体部26bの後壁には、凝縮器40を通過した空気流F(冷却空気)を排出するための複数の冷却空気排出孔27bが形成されている。また、図7に示すように、第3流路24cの下端面は、左右方向中央に向かって低くなるように形成されており、左右方向中央部には、凝縮器40において凝縮した水を排出するための排水孔28が形成されている。
【0054】
第4流路24dは、第3流路24cを通過した再生空気を循環ファン22に送るための流路である。
【0055】
図6および図8に示すように、凝縮器40は、前後方向に積層された複数枚の伝熱シート42で構成されている。複数枚の伝熱シート42は、前蓋26aと本体部26bの後壁とによって積層方向に押圧された状態で、第3流路24cに配置されている。前後方向から見て、伝熱シート42は、本体部26bの内側とほぼ同じ形状であって、複数枚の伝熱シート42は、図7に示すように、本体部26bの内面と本体部26bに設けられた突起29とによって保持されて、上下左右方向に位置ずれしないようになっている。
【0056】
図8に示すように、凝縮器40は、伝熱シート42A、42Bからなるシート組41が、複数積層された構成となっている。つまり、複数枚の伝熱シート42は、2種類の伝熱シート42A、42Bで構成されている。伝熱シート42Aには、後方(図8中右方)に突出する複数の筒状孔部43Aが形成されており、伝熱シート42Bには、前方(図8中左方)に突出する複数の筒状孔部43Bが形成されている。複数枚の伝熱シート42A、42Bの筒状孔部43A、43Bが連通することで、冷却流路40aを構成している。また、冷却流路40aは、第3流路24cの冷却空気流入孔27aおよび冷却空気排出孔27bと連通している。
【0057】
図9(a)に示すように、筒状孔部43Aの先端側開口の縁部には、伝熱シート42Aの面方向と平行な環状面44Aが形成されている。環状面44Aの外周には、環状面44Aよりも突出した突起45Aが形成されている。また、筒状孔部43Bの先端側開口の縁部には、伝熱シート42Bの面方向と平行な環状面44Bが形成されている。環状面44Bは、筒状孔部43Bの突出先端に形成されている。筒状孔部43Bは、径が変化することで形成された段差部45Bを有する。図9(b)に示すように、1つのシート組41の筒状孔部43A、43Bの先端部は、突き合わされた状態で嵌合される。詳細には、環状面44Aと環状面44Bが当接した状態で、突起45Aと段差部45Bとが嵌合する。なお、図8は、筒状孔部43Aと筒状孔部43Bとの間に隙間があるように表示されているが、これは嵌合状態をわかりやすく表示した模式図であって、実際には、密着している。
【0058】
1つのシート組41の筒状孔部43A、43Bが、突き合わされた状態で嵌合されることにより、シート組41を構成する2つの伝熱シート42A、42Bの間には、隙間40bが確保される。この隙間40bを再生空気が通過する。
【0059】
また、複数枚の伝熱シート42は積層方向に押圧されているため、隣接するシート組41の伝熱シート42Aと伝熱シート42Bとは、ほぼ隙間のない状態で接触する。また、複数枚の伝熱シート42のうち最も前側と最も後側の伝熱シート42は、前蓋26aと本体部26bの後壁にそれぞれ接触している。また、伝熱シート42には、再生空気を通過させるための複数の連通孔46が形成されている。この連通孔46によって、隣接するシート組41の隙間40b同士が連通する。なお、図8は、隣接するシート組41の間、伝熱シート42と前壁26aとの間、伝熱シート42と本体部26bの後壁との間に、隙間があるように表示されているが、これは模式図であって、実際には密着している。
【0060】
伝熱シート42の材料は、例えば、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂や、アルミなどの金属である。また、伝熱シート42が樹脂で形成されている場合、その厚みは例えば0.2〜0.5mmであって、金属で形成されている場合の厚みは例えば0.3〜0.5mmである。また、本実施形態の筒状孔部43A、45Bは、平板状の伝熱シートに真空成形やプレス成形によって凸部を形成した後、この凸部の端面に打ち抜き加工によって穿孔することで形成される。
【0061】
除湿運転時には、吸着部材21のうち、第2流路24bで覆われていない部分に、空気清浄ユニットを通過した空気流Fが通過することで、この空気流Fに含まれる水分が吸着部材21に吸収される。そして、吸着部材21が回転することにより、水分を保持している部分が、ヒーター23と対向する位置まで移動する。
【0062】
一方、循環ファン22を駆動することで、再生空気が循環ファン22から第1流路24aを介してヒーター23に流入する。再生空気は、ヒーター23で加熱された後、吸着部材21を後面側から通過する。この高温の再生空気が通過した領域では、吸着部材21の保持していた水分が気化するため、吸着部材21を通過した再生空気は、吸着部材21から放出された水分を含んだ状態で、第2流路24bに流入する。
【0063】
そして、第2流路24bから第3流路24cに供給された再生空気は、複数枚の伝熱シート42の隙間40bに流入して、筒状孔部43A、43Bの外周面と接触することで、空気流Fによって冷却される。これにより、再生に含まれる水分が凝縮して、筒状孔部43A、43Bの外周面に結露が生じる。凝縮水は、流路形成部材24の下端部に設けられた排水孔28を通って除湿タンク2に流れ込む。また、第3流路24cで水分を放出した再生空気は、第4流路24dを通って、循環ファン22に吸い込まれる。
【0064】
また、吸着部材21が回転することで、吸着部材21のうち水分が放出された領域は、ヒーター23と対向する位置から移動して、新たな空気流Fの水分を吸着する。このように吸着部材21は、水分の吸着と放出とを繰り返す。
【0065】
<本実施形態の除加湿機1の特徴>
本実施形態の除加湿機1では、冷却流路40aは、複数枚の伝熱シート42にそれぞれ形成された筒状孔部(43A、43B)を連通させることで構成されているため、1つの筒状部材で冷却流路を構成する場合に比べて、冷却流路の壁厚を薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態の凝縮器40は、伝熱シート42の隙間40bに再生空気を通過させるため、再生空気が伝熱シート42に接触することで、再生空気の熱を伝熱シート42に放熱させて、再生空気を冷却することができる。
【0067】
また、本実施形態では、シート組41を構成する伝熱シート42A、42Bの筒状孔部43A、43Bを嵌合させて連結しているため、伝熱シート42の位置ずれが生じにくい。
【0068】
また、本実施形態では、伝熱シート42が積層方向に押圧された状態で配置されているため、積層方向に隣接する筒状孔部43A、43Bの嵌合部分が密着するため、嵌合部分から冷却空気が漏れるのを防止できる。また、伝熱シート42が積層方向に押圧されていることで、隣接するシート組41の伝熱シート42Aと伝熱シート42Bとが密着するため、シート組41の間から冷却流路が漏れるのを防止できる。
【0069】
また、同じ形状のシートを積層する場合は、テーパー部分が重なり、再生空気の流路と冷却流路の間に複数枚のシートが重なる箇所が生じるが(図11参照)、本実施形態では、シート組41を構成する伝熱シート42A、43Bの筒状孔部43A、43Bの先端同士を突き合わせて嵌合しているため、再生空気の流路と冷却流路の間のシートを1枚のみにすることができる。
【0070】
上述したように、筒状孔部43A、43Bは、伝熱シート42に形成した凸部に打ち抜き加工することで形成されている。打ち抜き加工は、打ち抜かれる部分(先端側開口となる部分)の周囲を挟持しながら行うため、打ち抜かれる部分の周囲に、打ち抜き方向に垂直な環状面44A、44Bを有することで、打ち抜き加工を行いやすくなる。したがって、筒状孔部43A、43Bを形成しやすい。
【0071】
また、冷却流路40a内の冷却空気の温度は下流側ほど高くなるので、伝熱シート42に連通孔46が設けられておらず、伝熱シート42の隙間40b同士が連通していない場合、再生空気の冷却にムラが生じることがあるが、本実施形態では、伝熱シート42に形成された連通孔46によって、伝熱シート42の隙間40b同士が連通するため、再生空気を冷却流路40aの流路方向に移動させることができる。そのため、再生空気の冷却をより均一化できる。
【0072】
また、本実施形態では、伝熱シート42の隙間40bを通過した再生空気は、伝熱シート42の上方または横方に設けられた排出口25bから排出されるため、伝熱シート42の隙間40bの下端部に凝縮水が表面張力によって保持されている場合であっても、再生空気をスムーズに排出できる。
【0073】
また、本実施形態では、伝熱シート42が熱可塑性樹脂または金属で構成されているため、加熱プレス加工などで筒状孔部43A、43Bを形成しやすい。
【0074】
また、本実施形態では、冷却空気を金属製の前蓋26aに向かって流すため、前蓋26aに接触する冷却空気によって、第3流路24cを通過する再生空気を冷却することができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
上記実施形態の筒状孔部43A、43Bは、平板状の伝熱シートに真空成形やプレス成形によって凸部を形成した後、この凸部の端面に打ち抜き加工によって穿孔することで形成されているが、筒状孔部の形成方法はこれに限定されない。例えば、平板状の伝熱シートに打ち抜き加工で穿孔した後、プレス加工することで筒状孔部を形成してもよい。
【0077】
筒状孔部の形状は、図9に示す形状に限定されない。例えば図10に示す伝熱シート142A、142Bの筒状孔部143A、143Bのような形状であってもよい。筒状孔部143Aと筒状孔部143Bは、先端部が突き合わされた状態で嵌合している。
【0078】
上記実施形態では、2つの筒状孔部43A、43Bの先端部同士を突き合わせて嵌合させているが、例えば図11に示すように、伝熱シート242の筒状孔部243の先端を、隣接する伝熱シート242の筒状孔部243の基部に嵌合させてもよい。
【0079】
筒状孔部の連結方法は嵌合に限定されない。例えば図12に示すように、伝熱シート342Aの筒状孔部343Aの先端部と、伝熱シート342BAの筒状孔部343Bの先端部とを、接着剤による接着または熱溶着によって接続してもよい。また、例えば図13に示すように、伝熱シート442の筒状孔部443の先端部を、その先端側に隣接する伝熱シート442の筒状孔部443の縁部に、接着剤による接着または熱溶着によって接続してもよい。
【0080】
上記実施形態では、複数枚の伝熱シート42にそれぞれ形成された冷却流路40aを構成する冷却流路形成部は、全て突出する筒状に形成されているが、冷却流路形成部は、突出する筒状に限定されない。例えば、図14に示す冷却流路形成部543Bのように、平面に形成された貫通孔で構成されていてもよい。図14では、伝熱シート542Bの貫通孔543Bに、伝熱シート542Aの筒状孔部543Aが嵌合されている。
【0081】
上記実施形態では、伝熱シート42の積層方向と冷却流路40aの方向が同じになるように筒状孔部43A、43Bは形成されているが、冷却流路40aの方向と伝熱シート42の積層方向とが異なるように筒状孔部が形成されていてもよい。
【0082】
上記実施形態では、複数枚の伝熱シート42にそれぞれ形成された複数の連通孔46の位置および形状は全て同じであるが、異なっていてもよい。
【0083】
上記実施形態では、凝縮器40を構成する全ての伝熱シート42が連通孔46を有するが、一部または全ての伝熱シートが連通孔46を有していなくてもよい。連通孔46を設ける代わりに、筒状孔部43A、43Bを設けて、筒状孔部の数を増やしてもよい。この場合、冷却能力を向上させることができる。
【0084】
上記実施形態では、伝熱シート42は、前後方向から見て、本体部26bの内側とほぼ同じ形状であるが、この形状に限定されない。例えば、図15に示すように、上記実施形態の伝熱シート42を3分割した構成の伝熱シート642a、642b、642cであってもよい。
【0085】
上記実施形態の凝縮器40は、2枚の伝熱シート42A、42Bからなるシート組41が、複数積層された構成であるが、3枚以上の伝熱シートからなるシート組が複数積層された構成であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、前蓋26aは金属製であるが、本体部26bと同様に樹脂製であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、凝縮器40の上流側に、冷却空気流入孔27aが形成された前蓋26aを配置しているが、前蓋26aを配置しなくてもよい。この場合、最も前側の伝熱シートとして、連通孔46を有しない伝熱シートを配置するとともに、最前の伝熱シートの縁部と流路形成部材24との間から冷却空気が漏れないようにように構成する必要がある。
また、本体部26bの後壁に、伝熱シート42の大部分が露出するような開口を設けて、最も後側の伝熱シートとして、連通孔46を有しない伝熱シートを配置してもよい。
【0088】
凝縮器40が収容される流路形成部材24の形状は、上記実施形態と異なる形状であってもよい。この場合、伝熱シート42の積層方向は、前後方向でなくてもよい。例えば、前後方向に対して上下方向または左右方向に傾斜した軸に沿って積層されていてもよい。
【0089】
上記実施形態の除加湿機1は、除湿機能に加えて、加湿機能と空気清浄機能を有するが、除湿機能さえ有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明を利用すれば、凝縮器の冷却流路の壁厚を薄くして熱伝達性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 除加湿機(除湿機)
20 除湿ユニット
21 吸着部材
24 流路形成部材
24c 第3流路(ケーシング)
25a 再生空気流入口
25b 再生空気排出口
26a 前蓋(壁部)
27a 冷却空気流入孔
27b 冷却空気排出孔
40 凝縮器
41 シート組
42(42A、42B) 伝熱シート
40a 冷却流路
40b 隙間
43A、43B 筒状孔部(冷却流路形成部)
44A、44B 環状面
46 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸着して除湿する吸着部材と、
前記吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、前記再生空気中の水分を凝縮させる凝縮器とを備え、
前記凝縮器は、前記再生空気が通過する隙間が形成されるように積層された複数枚の伝熱シートを有し、
前記複数枚の伝熱シートは、積層状態において連通して前記冷却空気が通過する冷却流路を構成する冷却流路形成部をそれぞれ有していることを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記複数枚の伝熱シートが、積層方向に押圧された状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記伝熱シートが、前記再生空気を通過させるための連通孔を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記複数枚の伝熱シートを収容し且つ前記再生空気が通過する流路を構成するケーシング(24c)を備え、
前記ケーシング(24c)が、前記複数枚の伝熱シートの上方または横方に、前記再生空気の排出口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の除湿機。
【請求項5】
前記複数枚の伝熱シートの前記冷却流路形成部が、筒状孔部であって、
前記筒状孔部の先端部が、その先端側に隣接する伝熱シートの前記筒状孔部に嵌合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の除湿機。
【請求項6】
前記複数枚の伝熱シートは、前記筒状孔部の形状の異なる2枚の前記伝熱シートを含むシート組が複数積層された構成であって、
前記シート組の2つの前記筒状孔部の先端部が、突き合わされた状態で嵌合されることを特徴とする請求項5に記載の除湿機。
【請求項7】
前記筒状孔部の先端側開口の縁に、前記伝熱シートの面方向と平行な環状面が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の除湿機。
【請求項8】
前記伝熱シートが、熱可塑性樹脂または金属で構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の除湿機。
【請求項9】
前記複数枚の伝熱シートを収容するケーシング(24c)を備え、
前記ケーシング(24c)は、前記冷却流路の上流側に配置されるとともに前記冷却流路と連通する孔を有する金属製の壁部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の除湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−86061(P2013−86061A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231034(P2011−231034)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】