説明

除湿装置

【課題】一般家庭における室内の除湿もしくは室内に干した洗濯物の乾燥に使用される除湿装置の洗濯物の乾燥方法および乾燥制御装置に関する。
【解決手段】ステップ2で室温を入力として取り込んでK1とし、ステップ3で衣類の表面温度を入力として取り込んでK2とし、ステップ4で衣類の表面温度K2と室温K1との差ΔKを演算する。ステップ5で差ΔKが負であれば衣類の表面温度K2が水分の蒸発による気化熱の影響により室温K1よりも低くなっていると判断して衣類が濡れていることを検知する。また、差ΔKが零以上であれば衣類の表面から蒸発する水分がほとんど無くなったと判断して、ステップ7からステップ11で乾燥時間Tの積算をする。そして、ステップ11で設定時間T1となったらステップ12で衣類が乾燥したと判断して、ステップ13で除湿装置の衣類乾燥運転を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭における室内の除湿もしくは室内に干した洗濯物の乾燥に使用される除湿装置の洗濯物の乾燥方法および乾燥制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活スタイルの変化に伴い時間を問わず洗濯物を室内で乾かしたいという要望が多くなり、室内で使用することを目的とした除湿装置が普及している。また、寝ている間や会社への出勤中など、家を留守にしている間に洗濯物を乾燥させる使用が多くなってきており、衣類の乾燥度合いを正確に検知して生乾きや乾きムラおよび無駄な乾燥運転をすることなく、衣類乾燥を終了するような省エネルギーの乾燥運転が求められている。
【0003】
しかしながら、室内の温度と湿度を検知して、検知した温度と湿度の変化から衣類の乾燥度合いを推定する機能を持った除湿装置は開発されているが、衣類に触れることなく衣類の乾燥度合いを直接に検知する機能を持った除湿装置は発明されていない(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その除湿機について説明する。
【0005】
一定時間ごとに雰囲気温度と雰囲気湿度を検知して雰囲気空気の全熱量と絶対湿度を算出し、また算出した全熱量から乾燥させたい衣類近傍の絶対湿度を推測して、雰囲気空気の絶対湿度と衣類近傍の絶対湿度の差から衣類の乾燥度合いを推測して衣類乾燥制御をする除湿装置である。
【特許文献1】特開2007−181585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の方法では、衣類の乾燥度合いを室内空気の温度と湿度の変化から推測するため、乾燥させる衣類の量や種類および部屋の気密性などに影響を受けてしまい、正確に衣類の乾燥を把握することが困難である。そのため、衣類の生乾きや乾燥ムラのある状態で除湿装置の運転が停止することになる。このような衣類の生乾きや乾燥ムラを防止する目的で衣類が乾燥したと推測する時間よりも長く運転する傾向にあるため、無駄なエネルギーを消費してしまう傾向にある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、室内の温度と熱起電力型赤外線センサにより非接触で検知した衣類の表面温度との差を演算し、濡れた衣類の表面温度は水分が蒸発する気化熱によって室内の温度よりも低くなっている現象を検知することで、衣類の乾燥状態を正確に判断することが可能となる。このことにより、衣類の生乾きや乾燥ムラをなくして無駄な乾燥運転を行わない省エネルギーな除湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、室温を検知する室温センサと物体の表面温度を検知する熱起電力型赤外線センサと前記室温センサが検知した室温と前記熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差を演算して物体の表面温度が室温よりも低いときには物体が濡れていると判断する制御手段を備えた構成としたものである。
【0009】
この手段により、濡れた衣類などの物体の表面温度が水分の蒸発する気化熱のために周囲の空気の温度より低くなっている現象を検知することにより、非接触で衣類などの物体が濡れていることを検知することができる除湿装置が得られる。
【0010】
さらに、熱起電力型赤外線センサの温度補正用の温度センサにより室温を検知することを特徴としたものである。
【0011】
この手段により、室温を検知するセンサを同じにすることができるため、衣類などの物体の表面温度と室温との差を精度よく検出することができる除湿装置が得られる。
【0012】
さらに、熱起電力型赤外線センサの検知範囲が除湿装置の送風範囲内になる位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴としたものである。
【0013】
この手段により、除湿装置で濡れた衣類などの物体を乾燥させようとする場合、干した衣類などの物体が自然と熱起電力型赤外線センサの検知範囲になるようにすることができる除湿装置が得られる。
【0014】
さらに、室温センサの検知した温度と熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差が設定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴としたものである。
【0015】
この手段により、衣類などの物体が乾燥したことを非接触で検知することができ、無駄な運転をしない省エネルギーな除湿機装置が得られる。
【0016】
さらに、除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴としたものである。
【0017】
この手段により、衣類などの物体が乾燥したことを非接触で精度よく検知することができ、無駄な運転をしない省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0018】
さらに、複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサを用いたことを特徴としたものである。
【0019】
この手段により、衣類などの物体の乾燥ムラを検知することができる除湿装置が得られる。
【0020】
さらに、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が地面に対して垂直方向に配置されたことを特徴としたものである。
【0021】
この手段により、衣類などの物体の乾燥ムラを縦方向に検知するができる除湿装置が得られる。
【0022】
さらに、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子が地面に対して水平方向に配置されたことを特徴としたものである。
【0023】
この手段により、衣類などの物体の乾燥ムラを水平方向に検知するができる除湿装置が得られる。
【0024】
さらに、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が除湿装置の送風範囲内と送風範囲外になるような位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴としたものである。
【0025】
この手段により、濡れた衣類などの物体のある場所とない場所を検知することができる除湿装置が得られる。
【0026】
さらに、室温センサの検知した室温と複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサのすべての素子が検知する物体の表面温度との差が一定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴としたものである。
【0027】
この手段により、衣類などの物体の広い範囲の乾燥を検知することができ、無駄な運転をしない省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0028】
さらに、除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子のすべてが検知する物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴としたものである。
【0029】
この手段により、衣類などの物体の乾燥を非接触で精度よく検知することができ、無駄な運転をしない省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0030】
さらに、除湿装置の送風範囲を垂直方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴としたものである。
【0031】
この手段により、衣類などの物体の濡れた場所に送風を集中させることで衣類などの乾燥速度を早くすることが可能となり省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0032】
さらに、除湿装置の送風範囲を水平方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴としたものである。
【0033】
この手段により、衣類などの物体の濡れた場所に送風を集中させることで衣類などの乾燥速度を早くすることが可能となり省エネルギーな除湿装置が得られる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、室内の温度と熱起電力型赤外線センサにより非接触で検知した衣類の表面温度との差を演算し、濡れた衣類の表面温度は水分が蒸発する気化熱によって室内の温度よりも低くなる現象を検知して、衣類などの物体が濡れていることや濡れた衣類などがあることを検知することが可能な除湿装置が得られる。
【0035】
また、室内の温度と熱起電力型赤外線センサにより非接触で検知した衣類の表面温度との差を演算し、濡れた衣類の表面温度は水分が蒸発する気化熱によって室内の温度よりも低くなることを検知し、衣類などの物体が乾いていくと室温と衣類の表面温度との差が無くなり、さらには衣類の表面温度が高くなることを検知することで、生乾きや乾燥ムラなく衣類の乾燥状態を正確に判断することが可能となり、無駄な乾燥運転を行わない省エネルギーな除湿装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の請求項1記載の発明は、室温を検知する室温センサと物体の表面温度を検知する熱起電力型赤外線センサと前記室温センサが検知した室温と前記熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差を演算して物体の表面温度が室温よりも低いときには物体が濡れていると判断する制御手段を備えた構成とする。この構成により、濡れた衣類などの物体の表面温度が水分の蒸発する気化熱のために周囲の空気の温度より低くなっている現象を検知することにより、非接触で衣類などの物体が濡れていることを検知することができるという作用を有する。
【0037】
また、熱起電力型赤外線センサの温度補正用の温度センサにより室温を検知することを特徴とし、室温を検知するセンサを同じにすることで衣類などの物体の表面温度と室温との差を精度よく検出することができるという作用を有する。
【0038】
また、熱起電力型赤外線センサの検知範囲が除湿装置の送風範囲内になる位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴とし、除湿装置で濡れた衣類などの物体を乾燥させようとする場合、干した衣類などの物体が自然と熱起電力型赤外線センサの検知範囲になるようにすることができるという作用を有する。
【0039】
また、室温センサの検知した温度と熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差が設定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴とし、衣類などの物体が乾燥したことを非接触で検知して無駄な運転をしない省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0040】
また、除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴とし、衣類などの物体が乾燥したことを非接触で精度よく検知して無駄な運転をしない省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0041】
また、複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサを用いたことを特徴とした構成とし、衣類などの物体の乾燥ムラを検知することができるという作用を有する。
【0042】
また、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が地面に対して垂直方向に配置されたことを特徴とした構成とし、衣類などの物体の乾燥ムラを縦方向に検知するができるという作用を有する。
【0043】
また、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子が地面に対して水平方向に配置されたことを特徴とした構成とし、衣類などの物体の乾燥ムラを水平方向に検知するができるという作用を有する。
【0044】
また、熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が除湿装置の送風範囲内と送風範囲外になるような位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴とした構成とし、濡れた衣類などの物体のある場所とない場所を検知することができるという作用を有する。
【0045】
また、室温センサの検知した室温と複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサのすべての素子が検知する物体の表面温度との差が一定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴とし、衣類などの物体の広い範囲の乾燥を検知して無駄な運転をしない省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0046】
また、除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子のすべてが検知する物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴とし、衣類などの物体の乾燥を非接触で精度よく検知して無駄な運転をしない省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0047】
また、除湿装置の送風範囲を垂直方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴とした構成とし、衣類などの物体の濡れた場所に送風を集中させることで衣類などの乾燥速度を早くすることが可能となり省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0048】
また、除湿装置の送風範囲を水平方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴とした構成とし、衣類などの物体の濡れた場所に送風を集中させることで衣類などの乾燥速度を早くすることが可能となり省エネルギーを可能にするという作用を有する。
【0049】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0050】
(実施の形態1)
図1から図4に、本発明の実施の形態1の除湿装置の全体構成を示す。除湿装置を前面側から見た構成を図1に示す。除湿装置は、本体1の天面に除湿装置の操作と運転状態を表示するための操作表示部2と除湿された空気を吹き出すための吹き出し口3と吹き出し口3から吹き出す空気の風向を上下方向に変化させるための風向ルーバー4と除湿した水分を集めるためのタンク5と衣類などの物体の表面温度を検知するための熱起電力型赤外線センサ6を吹き出し口3の下側に備えている。熱起電力型赤外線センサ6の温度を検知する範囲は吹き出し口3から吹き出す空気の送風範囲内になる位置と向きに取り付けられている。また、熱起電力型赤外線センサ6にはサーモパイルと呼ばれるものがあり、内部に温度補償用の温度センサを持つものもある。
【0051】
除湿装置を背面側から見た構成を図2に示す。除湿装置は、本体1の背面側に室内の空気を本体1の内部に取り込むための吸い込み口7と吸い込み口7に面した本体1の内部に室温を検知するための室温センサ8と室内の湿度を検知するための湿度センサ9を備えている。室温センサ8は、雰囲気温度が検知できればよくサーミスタなどがある。湿度センサ9は、雰囲気湿度が検知できればよく高分子センサなどがある。
【0052】
除湿装置の内部構成を図3に示す。本体1の内部には吸い込み口7から室内の空気を取り込んで除湿手段10を通過させて空気を除湿し、この除湿された空気を吹き出し口3から吹き出すように空気を移動させるためのファンなどの送風手段11と風向ルーバー4を制御するための風向ルーバー制御手段12と吹き出し口3から吹き出す空気の送風範囲を水平方向に変更するための送風範囲ルーバー13と送風範囲ルーバー13を制御するための送風範囲ルーバー制御手段14と制御手段15とを備えている。
【0053】
除湿手段10には、デシカント方式やコンプレッサ方式などがある。送風手段11としては、例えば、送風ファンなどがあり、その駆動動力として、ACモーターやDCモーターなどがある。風向ルーバー制御手段12と送風範囲ルーバー制御手段14には、ステッピングモーターなどがある。制御手段15にはマイコンがあり、これ以降の制御手段15の動作は、マイコン内のカウンターやRAMやROMが共同するマイコンのプログラムの形態で実施される。
【0054】
図4に操作表示部2の構成を示す。操作表示部2には、除湿装置の運転を開始したり停止したりするための運転切/入スイッチ16と除湿運転の種類を選択するための除湿スイッチ17と衣類乾燥の種類を選択するための衣類乾燥スイッチ18と風向ルーバー4の風向を選択するための風向スイッチ19と送風範囲ルーバー13の送風範囲を選択するための送風範囲スイッチ20と運転時間を設定するための切タイマースイッチ21と除湿装置の運転状態を表示する運転表示部22とを備えている。運転表示部22には、LEDやブザーなどがある。
【0055】
上記のように構成した除湿装置において、衣類などの物体が濡れていること検知する制御方法と衣類などの物体が乾燥したことを検知する制御方法について、図5から図8を参照しながら説明する。
【0056】
図5に示すように、室温センサ8で検知した室温と熱起電力型赤外線センサ6で検知した衣類の表面温度を制御手段15に読み込む。そして、図6に示すように、ステップ1で電源の投入時や除湿装置の衣類乾燥運転などの運転開始時にプログラムをスタートさせる。次にステップ2で室温センサ8からの室温を入力として取り込んでK1とし、ステップ3で熱起電力型赤外線センサ6から衣類の表面温度を入力として取り込んでK2とし、ステップ4で衣類の表面温度K2と室温K1との差ΔKを演算する。ステップ5で衣類が濡れていると判断する基準をK=0とした場合、差ΔKが負であれば衣類の表面温度K2が水分の蒸発による気化熱の影響により室温K1よりも低くなっていると判断して衣類が濡れていることを検知することが可能となる。衣類が濡れていると判断される間はステップ2からステップ6を繰り返す。
【0057】
図6のステップ5において、差ΔKが零以上であれば衣類の表面から蒸発する水分がほとんど無くなったと判断して、ステップ7に移行して乾燥時間Tの積算を開始する。次にステップ8で乾燥時間Tを零にリセットし、ステップ9でタイマーを起動してタイムアップしたらステップ10で乾燥時間Tの値を繰り上げ、ステップ11で設定時間T1と比較し、設定時間T1になるまでステップ9からステップ11を繰り返す。ステップ9のタイマーを1分タイマーとし設定時間T1を20とすれば、乾燥時間Tを20分とすることができる。そして、ステップ11で設定時間T1となったらステップ12で衣類が乾燥したと判断してステップ13に進んで除湿装置の衣類乾燥運転を停止する。
【0058】
図7と図8に衣類を乾燥しているときの室温K1と衣類の表面温度K2と判断基準Kと設定時間T1の関係を示す。図7は除湿装置から室温と同じ温度の送風を衣類に当てたときの温度の推移であり、図8に示すように、除湿装置の吹き出し口3から吹き出す室温よりも暖かい除湿された空気が衣類にあたると乾いた衣類の表面温度は室温よりも高くなるため、ステップ7以降の室温K1と衣類の表面温度K2との温度差ΔK3=K2−K1は、室温よりもはっきりと高くなる。ΔK3を判断基準K1の設定値に反映すれば、室温よりも衣類の表面温度がはっきりと高くなった点を検知できるので、衣類の水分がほぼ蒸発した点を精度良く検知することができ衣類の乾燥検知の精度を向上させることが可能となる。
【0059】
このように衣類などの物体の表面温度を検知して室温と比較することで、非接触で衣類などの物体が濡れていることと乾燥したことを検出し、無駄な乾燥運転を行わない省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0060】
ここでは、ステップ4で衣類表面温度K2と室温K1との差ΔKから衣類表面の気化熱の低下を検知しているが、濡れた衣類の表面温度が水分の蒸発による気化熱により室温よりも低くなっていることを演算して検知するのであれば、その演算方法には限定されず、その作用効果に差異は生じない。
【0061】
また、ステップ5で衣類が濡れているかどうかの判断の条件を負としたが、衣類表面の気化熱による温度低下ΔKは0.5℃から4℃程度であり、さらに図8に示す温度差ΔK3は1℃から3℃程度ある。これらの特性を反映させて判断基準に用いるのであれば、判断基準や判断方法には限定されず、その作用効果に差異は生じない。
【0062】
また、ステップ7からステップ11で1分の積算タイマーを用いて説明したが、衣類などの物体からの水分がある程度蒸発したと判断したときを基点として、乾燥時間Tを設定するのであれば、その制御方法には限定されず、その作用効果に差異は生じない。
【0063】
また、ここでは、室温を検知するセンサとして室温センサ8を用いたが、熱起電力型赤外線センサ6に内蔵されている温度保証用の温度センサから室温を検知して利用すれば、同じセンサによる室温の測定となるため、衣類の表面温度K2と室温K1との差を精度良く検知することができ、衣類が濡れていることを精度良く判断することができ、衣類を確実に省エネルギーで乾燥させることができる。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示すように、本発明の実施の形態2の除湿装置は、熱起電力型赤外線センサ6に複数の素子を内蔵し成型されたセンサを用いて、検知範囲を地面に対して水平方向になるように配置した構成である。また、熱起電力型赤外線センサ6は、検知範囲6aから検知範囲6hまで8個の検知範囲を持った構成となっている。
【0065】
上記の構成により、すべての検知範囲6aから検知範囲6hにて衣類が濡れていることを判断し、さらに衣類が乾燥したことを判断して検知すれば、干した衣類の水平方向の広い範囲の乾燥を検知することが可能となる。
【0066】
また、図には示していないが、検知範囲6aと検知範囲6hを吹き出し口3から吹き出される除湿された空気を送風範囲ルーバー13で制御できる送風範囲外になるように配置すれば、濡れた衣類を干したときの位置が送風範囲から外れていることを検知することが可能となり、操作表示部2のLED表示などで使用者に知らせることが可能となる。
【0067】
また、衣類が濡れていることを検知している検知範囲6aから検知範囲6hの検知範囲のパターンと送風範囲ルーバー13の風向範囲を対応させておいて自動的に選択することで、自動的に濡れた場所に集中的に除湿された空気を当てることが可能となり、衣類を早く乾燥させることができる省エネルギーな除湿装置が得られる。
【0068】
(実施の形態3)
実施の形態1と実施の形態2と同一部分は同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図10に示すように、本発明の実施の形態3の除湿装置は、熱起電力型赤外線センサ6に複数の素子を内蔵し成型されたセンサを用いて、検知範囲を地面に対して垂直方向になるように配置した構成である。また、熱起電力型赤外線センサ6は、検知範囲6aから検知範囲6hまで8個の検知範囲を持った構成となっている。
【0069】
上記の構成により、すべての検知範囲6aから検知範囲6hにて衣類が濡れていることを判断し、さらに衣類が乾燥したことを判断して検知すれば、干した衣類の垂直方向の広い範囲の乾燥を検知することが可能となる。
【0070】
また、図には示していないが、検知範囲6aと検知範囲6hを吹き出し口3から吹き出される除湿された空気を風向ルーバー4で制御できる風向範囲外になるように配置すれば、濡れた衣類を干したときの位置が風向範囲から外れていることを検知することが可能となり、操作表示部2のLED表示などで使用者に知らせることが可能となる。
【0071】
また、衣類が濡れていることを検知している検知範囲6aから検知範囲6hの検知範囲のパターンと風向ルーバー4の風向範囲を対応させておいて自動的に選択することで、自動的に濡れた場所に集中的に除湿された空気を当てることが可能となり、衣類を早く乾燥させることができる省エネルギーな除湿装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の除湿装置の制御は、一般家電用の衣類などの乾燥制御などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1の除湿装置の斜視前面図
【図2】同除湿装置の斜視背面図
【図3】同除湿装置の断面図
【図4】同除湿装置の操作表示部の図
【図5】同除湿装置の構成を示すブロック図
【図6】同除湿装置の衣類乾燥検知プログラムのフローチャート
【図7】同除湿装置のセンサで検知する温度変化1の図
【図8】同除湿装置のセンサで検知する温度変化2の図
【図9】本発明の実施の形態2の除湿装置の上面視図
【図10】本発明の実施の形態3の除湿装置の側面視図
【符号の説明】
【0074】
1 本体
2 操作表示部
3 吹き出し口
4 風向ルーバー
5 タンク
6 熱起電力型赤外線センサ
6a 検知範囲
6b 検知範囲
6c 検知範囲
6d 検知範囲
6e 検知範囲
6f 検知範囲
6g 検知範囲
6h 検知範囲
7 吸い込み口
8 室温センサ
9 湿度センサ
10 除湿手段
11 送風手段
12 風向ルーバー制御手段
13 送風範囲ルーバー
14 送風範囲ルーバー制御手段
15 制御手段
16 運転切/入スイッチ
17 除湿スイッチ
18 衣類乾燥スイッチ
19 風向スイッチ
20 送風範囲スイッチ
21 切タイマースイッチ
22 運転表示部
23 衣類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温を検知する室温センサと物体の表面温度を検知する熱起電力型赤外線センサと前記室温センサが検知した室温と前記熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差を演算して物体の表面温度が室温よりも低いときには物体が濡れていると判断する制御手段を備えたことを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
熱起電力型赤外線センサの温度補正用の温度センサにより室温を検知することを特徴とした請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
熱起電力型赤外線センサの検知範囲が除湿装置の送風範囲内になる位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴とした請求項1または2に記載の除湿装置。
【請求項4】
室温センサの検知した温度と熱起電力型赤外線センサの検知した物体の表面温度との差が設定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項5】
除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴とした請求項4に記載の除湿装置。
【請求項6】
複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサを用いたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項7】
熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が地面に対して垂直方向に配置されたことを特徴とする請求項6記載の除湿装置。
【請求項8】
熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が地面に対して水平方向に配置されたことを特徴とする請求項6記載の除湿装置。
【請求項9】
熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子の検知範囲が除湿装置の送風範囲内と送風範囲外になるような位置に前記熱起電力型赤外線センサを設置することを特徴とした請求項6乃至8のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項10】
室温センサの検知した室温と複数の素子を内蔵し形成された熱起電力型赤外線センサのすべての素子が検知する物体の表面温度との差が一定範囲内になったときを基点にして一定時間経過した時点を物体の乾燥と判断して停止することを特徴とした請求項6乃至9のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項11】
除湿装置から室温よりも高い空気を吹き出して物体に当てることにより熱起電力型赤外線センサに内蔵され形成された複数の素子のすべてが検知する物体の表面温度が室温よりも高くなる現象を検知することを特徴とした請求項10に記載の除湿装置。
【請求項12】
除湿装置の送風範囲を垂直方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴とする請求項7または9乃至11のいずれかに記載の除湿装置。
【請求項13】
除湿装置の送風範囲を水平方向に制御するルーバーを備え、室温よりも物体の表面温度が低い場所に集中して送風することを特徴とする請求項8または9乃至11のいずれかに記載の除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−89995(P2009−89995A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265178(P2007−265178)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】