説明

除菌消臭水製造装置、溶液タンク装填構造、溶液タンク用キャップ

【課題】次亜塩素酸ナトリウムと塩酸などの酸性液を原水に溶け込ませることにより、次亜塩素酸を含有する除菌消臭水を製造する製造装置を提供する。
【解決手段】原水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸性水溶液を添加した生成水が流れる管路を水平に配置し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の原水への注入部から酸性水溶液の注入部に至る管路中、および、酸性水溶液の注入部の下流に、生成水の流れを制御する複数の制動部を備え、さらに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸性水溶液が添加された後の生成水のpH値を安定させる安定部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、次亜塩素酸を含有する除菌消臭水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水などの原水に次亜塩素酸ナトリウムと塩酸などの酸性液を添加することにより、除菌、消臭能力を有する次亜塩素酸含有の除菌消臭水が製造されており、医療関係、飲食関係等多くの分野で利用されている。
【0003】
この種の除菌消臭水の製造装置は、例えば、生成水の流路内に径の異なる複数の管路を設け、徐々に希釈反応速度を速めながら希釈することにより、長期間に渡って安定したpH値の生成水を得ることができるものが提案されている(特許文献1)。この装置では、添加する次亜塩素酸ナトリウムと酸性液が直接反応する可能性が少ないため、塩素ガスが発生する可能性が少なく、安全性が高い。
【0004】
【特許文献1】特許3438880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の装置は、管路が縦(上下)に屈曲されて配置されており、生成水が管路を上り下しながら流れていくため、生成水の不均質による微妙な比重の相違がなかなか解消されず、吐出される生成水の濃度(たとえばpH値)を安定させるのに長い時間が掛かるという問題があった。
【0006】
また、管路内に空気が混入すると、管路の上側の屈曲部にこの空気が溜まり、この部分での生成水の流れが、たとえば空気との接面で波立ったりしてスムーズでなくなり、静かな拡散・希釈による除菌消臭水の生成の妨げになるという問題点があった。
【0007】
さらに、製造装置内部には、次亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸の原液を貯留するタンクなど縦向きに設置する必要のある構成物が多数存在するが、管路が縦型であると、上記の構成物と縦に重ねることができず並べて設置する必要があり、装置を小型化する妨げとなっていた。
そこで、この発明は、安定した除菌消臭水の生成が可能で、且つ小型化が可能な除菌消臭水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、原水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加する次亜塩素酸ナトリウム添加部と、前記原水に前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が添加された生成水に塩酸水溶液を添加する塩酸添加部と、前記生成水が通過し、第1の拡散部、第1の制動部、第1の安定部、第2の制動部、ジェット部、第2の拡散部、第3の制動部および第2の安定部がこの順序に且つ水平に形成された管路ブロックと、を備えた除菌消臭水製造装置であって、前記次亜塩素酸ナトリウム添加部は、前記管路ブロックの手前に設けられ、前記第1および第2の拡散部は、水平の直管で形成され、前記第1乃至第3の制動部は、複数の邪魔板が左右または上下に交互に配列された水平の管路からなり、前記第1および第2の安定部は、水平の直管で形成され、前記ジェット部は、管路の断面積を小さくして前記生成水の流速が速く制御され、前記塩酸添加部は、前記ジェット部の内部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記ジェット部が、流路が略90度屈曲されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、前記第1の制動部と第1の安定部との間に網状のストレーナが配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留する次亜塩素酸ナトリウム貯留部、および、塩酸水溶液を貯留する塩酸貯留部をさらに備え、前記次亜塩素酸ナトリウム貯留部は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留し、上端に開口部を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの開口部に嵌合する第1のキャップ、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第1のスロット、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクが装填されたとき前記第1のスロットの底面の第1のキャップに対向する位置に形成され、前記第1のキャップが嵌合する第1の接続部、を備え、前記塩酸貯留部は、塩酸水溶液を貯留し、上端に開口部を有する塩酸溶液タンク、前記塩酸溶液タンクの開口部に嵌合する第2のキャップ、前記塩酸溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第2のスロット、前記塩酸溶液タンクが装填されたとき前記第2のスロットの底面の第2のキャップに対向する位置に形成され、前記第2のキャップが嵌合する第2の接続部、を備え、前記第2のスロットは前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの幅よりも狭い幅に規制され、且つ、前記第1の接続部は前記第2のキャップの外径よりも小さい径に規制されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1のキャップが嵌合する前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの開口部と、前記第2のキャップが嵌合する前記塩酸溶液タンクの開口部とは、その径および/またはネジのピッチが異なることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記第1のキャップおよび第2のキャップは、上面に開口部を有するキャップ本体と、一方が閉口した円筒形状であり、開口側にフランジ部を有し、このフランジ部に切欠きまたは孔が形成されているスプリングカバーと、該スプリングカバーに内蔵されるコイルスプリングと、前記キャップ本体の開口部に嵌合する円板部、および、この円板部と同軸で前記スプリングカバーの内径と同じ直径のピストン部を有する弁体と、からなり、前記弁体は、前記ピストン部が前記スプリングカバー内に収納され、前記スプリングカバーは、前記フランジ部が前記キャップ本体の内壁に嵌着され、前記コイルスプリングにより前記弁体が前記スプリングカバーから排出される方向に付勢されていることを特徴とする。
【0014】
このようにコイルスプリングが円筒状のスプリングカバーに収納され、その開口部が弁体のピストン部で封止されているため、スプリングカバーは水密性を有し、コイルスプリングが溶液に濡れることがない。これにより、塩酸等の腐食性の溶液のタンクにこのキャップを用いてもコイルスプリングが腐食することがない。
【0015】
請求項7の発明は、第1の溶液を貯留し、上端に開口部を有する第1の溶液タンクと、前記第1の溶液タンクの開口部に嵌合する第1のキャップと、前記第1の溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第1のスロットと、前記第1の溶液タンクが装填されたとき前記第1のスロットの底面の第1のキャップに対向する位置に形成され、前記第1のキャップが嵌合する第1の接続部と、第2の溶液を貯留し、上端に開口部を有する第2の溶液タンクと、前記第2の溶液タンクの開口部に嵌合する第2のキャップと、前記第2の溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第2のスロットと、前記第2の溶液タンクが装填されたとき前記第2のスロットの底面の第2のキャップに対向する位置に形成され、前記第2のキャップが嵌合する第2の接続部と、を備え、前記第2のスロットは前記第1の溶液タンクの幅よりも狭い幅に規制され、且つ、前記第1の接続部は前記第2のキャップの外径よりも小さい径に規制されていることを特徴とする溶液タンク装填構造である。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7に記載の発明において、前記第1のキャップが嵌合する前記第1の溶液タンクの開口部と、前記第2のキャップが嵌合する前記第2の溶液タンクの開口部とは、その径および/またはネジのピッチが異なることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、溶液を貯留するタンクに嵌合するキャップであって、上面に開口部を有するキャップ本体と、一方が閉口した円筒形状であり、開口側にフランジ部を有し、このフランジ部に切欠きまたは孔が形成されているスプリングカバーと、該スプリングカバーに内蔵されるコイルスプリングと、前記キャップ本体の開口部に嵌合する円板部、および、この円板部と同軸で前記スプリングカバーの内径と同じ直径のピストン部を有する弁体と、からなり、前記弁体は、前記ピストン部が前記スプリングカバー内に収納され、前記スプリングカバーは、前記フランジ部が前記キャップ本体の内壁に嵌着され、前記コイルスプリングにより前記弁体が前記スプリングカバーから排出される方向に付勢されていることを特徴とする溶液タンク用キャップである。
【0018】
このようにコイルスプリングが円筒状のスプリングカバーに収納され、その開口部が弁体のピストン部で封止されているため、スプリングカバーは水密性を有し、コイルスプリングが溶液に濡れることがない。これにより、塩酸等の腐食性の溶液のタンクにこのキャップを用いてもコイルスプリングが腐食することがない。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、管路を水平に配置したことにより、管路の中の生成水が位置によって異なる濃度になるのを防ぎ、均質な希釈が可能になる。また、管路を少ないスペースに有効に配置でき、装置の大きさを小さくすることができる。
また、上記管路の構成により、塩素ガスが発生することなく、弱酸性領域で安定したpHおよび安定した残留塩素濃度の均質な除菌消臭水を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態である除菌消臭水製造装置について説明する。この除菌消臭水製造装置は、次亜塩素酸を含有する弱酸性の除菌消臭水を製造する装置である。図1は、同製造装置全体の内部構造を示す図である。同図(A)は平面図、同図(B)は正面図を示している。
【0021】
同製造装置の下部には除菌消臭水を生成するための管路を収納する管路ボックス30が設置されている。その上に、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23、塩酸溶液タンク25、塩酸注入ポンプ26を含む各種構成部品が設置されている。
【0022】
同製造装置の右側壁面の下部には、水道等から原水を導入する給水口2が設けられ、右側壁面上部には、装置で生成された除菌消臭水を外部に送り出す出水口18が設けられている。また、管路ボックス30の給水口51は管路ボックス30の左奥に設けられており、出水口52は中央前部に設けられている。
また、装置上部の正面側には制御部21および操作部31が設けられている。制御部21は、マイコンを含む制御回路を内蔵している。
【0023】
同製造装置の左端には、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22を装填するスロット71が設けられている。次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22は、先端に取り外し可能なネジ式のキャップ100(図4参照)が装着され、このキャップ100が下向きになるようにスロット71内に設置されている。次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22内には、所定濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(原液)が貯留されている。濃度は、例えば6%程度である。
【0024】
スロット71の下部には、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22から落下した次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留する貯留パン73が設けられている。スロット71に装填されているタンク22から、キャップ100の開口部を介して、貯留パン73に向けて次亜塩素酸ナトリウム水溶液が落下するが、貯留パン73の水位がタンク22のキャップ100の高さに達すると、大気圧により次亜塩素酸ナトリウム水溶液の落下が停止する。貯留パン73の水位が下がると、再度キャップ100の水位まで次亜塩素酸ナトリウム水溶液が落下する。これにより、貯留パン73の水位が常に一定に維持される。
また、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22の背面側には、タンク22内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の液量を測定する液量センサ24が設けられている。
【0025】
そして、このタンク22の中央側に隣接して、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23が設けられている。このポンプ23は、上記貯留パン73に貯留している次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、近傍に設けられた次亜塩素酸ナトリウム注入部7に向けて定量送出するポンプである。
【0026】
次亜塩素酸ナトリウム注入部7は、管路ボックス30の給水口51の直上に設けられている。次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23の出水ホースの先端には逆止弁(チャッキ弁)110(図6参照)が接続されており、この逆止弁110が次亜塩素酸ナトリウム注入部7に差し込まれて次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23と管路ボックス30とが接続されている。
【0027】
一方、同製造装置の右端には、塩酸溶液タンク25を装填するスロット72が設けられている。塩酸溶液タンク25は、先端に取り外し可能なネジ式のキャップ109(図4参照)が装着され、このキャップ109が下向きになるようにスロット72内に設置されている。塩酸溶液タンク25内には、所定濃度の塩酸水溶液が貯留されている。濃度は、例えば6%程度である。
【0028】
スロット72の下部には、塩酸溶液タンク25から落下した塩酸水溶液を貯留する貯留パン74が設けられている。スロット72に装填されているタンク25から、キャップ109の開口部を介して、貯留パン74に向けて塩酸水溶液が落下するが、貯留パン74の水位がタンク25のキャップ109の高さに達すると、大気圧により塩酸水溶液の落下が停止する。貯留パン74の水位が下がると、再度キャップ109の水位まで塩酸水溶液が落下する。これにより、貯留パン74の水位が常に一定に維持される。
また、塩酸溶液タンク25の背面側には、タンク25内の塩酸水溶液の液量を測定する液量センサ28が設けられている。
【0029】
そして、このタンク25の中央側に隣接して、塩酸注入ポンプ26が設けられている。このポンプ26は、上記貯留パン74に貯留している塩酸水溶液を、近傍に設けられた塩酸注入部27に向けて定量送出するポンプである。
【0030】
塩酸注入部27は、管路ボックス30内の略中央部に設けられている。塩酸注入ポンプ26の出水ホースの先端には逆止弁119が接続されており、この逆止弁119が塩酸注入部27の内部まで差し込まれ、後述する生成水の流路内部で塩酸水溶液を吐出するように接続されている。
【0031】
装置の給水口2から管路ボックス30の給水口51の間は給水パイプ90で接続されている。給水パイプ90には、管路内に流入する原水の流量を調整する流量調整弁(不図示)が設けられている。この流量調整弁により、原水の流量は予め設定された量(例えば1分当たり120リットル)に制限される。さらに、給水パイプ90には、管路を開閉する電磁弁である給水弁、給水量を測定するフローセンサ6(図3参照)が設けられている。
【0032】
管路ボックス30の出水口52から装置の出水口18の間は出水パイプ33で接続されている。出水パイプ33は、管路ボックス30の手前中央に設けられている出水口52から装置背面方向に引き回され、その位置から垂直に立ち上げられたのち斜め45度方向に延ばされて出水口18に接続されている。この管路の途中にはpHセンサ口34が手前45度方向に設けられており、このpHセンサ口34からパイプ内にpHセンサ17(図3参照)が挿入される。pHセンサ17は、生成された除菌消臭水のpH値を測定するためのセンサである。上記の液量センサ24、28、および、フローセンサ6、pHセンサ17の測定結果は、信号線を介して制御部21へ入力される。
【0033】
制御部21は、フローセンサが測定した原水流量の測定値を取り込み、目的の濃度となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量および塩酸水溶液の注入量を制御する。また、図示しないpHセンサのpH測定値を取り込み、pH値の変動に応じて塩酸水溶液の注入量を制御する。これらの制御により、生成された除菌消臭水の次亜塩素酸ナトリウム含有量およびpH値が設定された値に制御される。
【0034】
次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23および塩酸注入ポンプ26は、制御部21の制御により、各溶液を0.1mlずつパルス状に抽送する。これにより、0.1ml単位の正確な液量の制御が可能になる。
【0035】
なお、原水の流量を流量調整弁により規制される流量に保持することによって流量が変化しないようにし、流量変化による注入量の制御を省略してもよい。
【0036】
操作部31には、電源スイッチ60、運転/停止スイッチ61、液晶表示器62、設定ボタン63、次亜塩素酸ナトリウム警告ランプ64、塩酸水溶液警告ランプ65が設けられている。電源スイッチ60は、同製造装置の電源をON/OFFするスイッチである。運転/停止スイッチ61は、電源がオンされたのち、給水弁を開閉して管路ボックス30への給水をオン/オフするスイッチである。液晶表示器62は、生成された除菌消臭水のpH値を表示する。設定ボタン63は、次亜塩素酸ナトリウム濃度やpH値等を設定するためのボタンスイッチである。また、次亜塩素酸ナトリウム警告ランプ64、塩酸水溶液警告ランプ65は、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22および塩酸溶液タンク25の残量を示すランプである。警告ランプ64、65は、それぞれ溶液タンク22、25内に溶液が十分あるとき点灯し、残量が少なくなったとき点滅する。
【0037】
制御部21は、液量センサ24、28の検出値に応じて警告ランプ64、65の点灯/点滅および装置の運転を制御する。制御部21は、溶液ボトル22(25)内の溶液が無くなったとき、警告ランプ64(65)を点灯からゆっくりした点滅に切り換え、貯留パン73(74)内の溶液残量が所定値を下回ると、警告ランプ64(65)を速い点滅に切り換えて装置の運転を停止する。
【0038】
図2は、同製造装置下部に設けられた配管ボックス30の内部構成を示すブロック図である。
管路ボックス30の内部には、左奥の給水口51から中央手前の出水口52まで略S字形状に水平に管路が形成されている。水平に管路を形成したことにより、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸の濃度不均一により生成水の比重が各所で微妙に相違していても、全体が同じ速度で流れ、比重の大きいかたまりが遅く流れて下に沈むということが無くなる。また、供給された原水1に気泡が含まれていたとき、すなわち空気をかんだとき、縦配管のように上側の屈曲部に空気が溜まって流れが乱れるということがなくなる。
【0039】
管路ボックス30内部の管路構成は、次亜塩素酸ナトリウムの拡散部8、制動部9、安定部11、第2の制動部12、および、塩酸の注入部が形成されるジェット部13、塩酸の拡散部14、第3の制動部15および安定部16からなっている。
【0040】
次亜塩素酸ナトリウム拡散部8は、管路ボックス30の給水口51の直上に設けられている次亜塩素酸ナトリウム注入口7から滴下された次亜塩素酸ナトリウムを自身の拡散力によって原水1に自然拡散させる領域であり、生成水の流れを乱さないように管路を直管とし内部に何らの障害物も設けていない。すなわち、濃度の高い原液をまず静かに自然拡散させて濃度を低下させることにより無用な反応を防止している。
【0041】
制動部9は、複数枚の邪魔板を管路内の左右に交互に配置した管路であり、生成水が邪魔板を回避して流れることにより、生成水の流速を制御している。この制動部9による流速の制御により拡散部8における次亜塩素酸ナトリウムの拡散がより促進される。なお、邪魔板は、管路の内径と同じ直径の円板から、直径の1:3の内分点を通る該直径の垂線で円板の1/4を切断したものである。
【0042】
安定部11は拡散により次亜塩素酸ナトリウムの濃度が均質化された生成水を馴染ませて安定化させる領域であり、拡散部8と同様に管路を直管として内部になんらの障害物も設けていない。なお、この実施形態では、制動部9と安定部11との間に網状のストレーナ10を設け、ゴミ、エアを阻止するとともに、管路の断面全体における生成水の流速を均一化して流れを落ち着かせている。
【0043】
第2の制動部12は、複数枚の邪魔板を管路内の上下に交互に配置した管路であり、安定部11で安定した生成水の流速を制御するとともに、下流につながるジェット部13と安定部11とを隔離している。
【0044】
ジェット部13は、管径が細く生成水の流速が速くなる領域として形成されている。且つこの実施形態では、このジェット部13の管路を90度旋回させている。すなわち、装置の手前方向から生成水を導入し、これを右方向に排出している。以上の構成により、ジェット部13は、生成水を導入し、その流れを加速しさらに90度の旋回による大きな渦を形成して排出する。
【0045】
このジェット部13の上方に塩酸注入部27が設けられている。この塩酸注入部27から塩酸注入ポンプ26の先端である逆止弁(チャッキ弁)119が、上記生成水の流れの中まで挿入されている。逆止弁は出水ホースの先端に設けられており、液漏れおよび液の逆流を防止している。上記のジェット部13を流れる生成水の内部に塩酸が供給されることにより、すなわち、速い流れと渦が形成された生成中の内部に塩酸を滴下することにより、流れと渦による拡散が速やかに行われ塩酸が急速に希釈され、既に溶け込んでいる次亜塩素酸ナトリウムと反応する余地が殆どない。その後、この生成水は、拡散部14に導かれる。
【0046】
拡散部14は、塩酸を自身の拡散力によって液中に自然拡散させる領域であり、生成水の流れを乱さないように管路を直管とし内部に何らの障害物も設けていない。すなわち、ジェット部13で生成水に滴下された塩酸は、早い流れと渦によって次亜塩素酸ナトリウムと反応する前に急速に希釈されるが、拡散部14で生成水の流れが穏やかになり、自然拡散により、全体の濃度が均質化される。これにより、無用な反応を防止しつつ、全体に均質に塩酸が拡散するようにしている。
【0047】
塩酸の制動部15は、上記の制動部12と同様に、複数枚の邪魔板を管路内の上下に交互に配置した管路であるが、邪魔板の枚数は制動部12よりも少ない。すなわち、上流側の制動部9、12で既に十分に制動されているためである。
【0048】
制動部15のさらに下流に設けられた安定部16は、均質化された次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を含む生成水を馴染ませて安定化させる領域であり管路を直管とし内部に何らの障害物も設けていない。制動部15で均質化された生成水は、この安定部16で滞留することによってより安定が図られ、除菌消臭水19となって出水口52から上方に排出される。
【0049】
以上のように、生成水を邪魔板を用いた制動部で制動しながら、静かな流れの中で次亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸を拡散、安定させることにより、塩素濃度、pH値を著しく安定化することができ、原水1の供給を開始したのち1〜2分でその値を所望の値に収束させることができる。
【0050】
また、塩酸の滴下を生成水の上方から行わず生成水の内部で行い、この部位の流速を速くしていることにより、塩酸と次亜塩素酸ナトリウムとが殆ど反応せず塩素ガスが発生することがない。
【0051】
図3は、同製造装置を用いて、次亜塩素酸を含有する弱酸性の除菌消臭水を製造する工程を説明するブロック図である。このブロック図を参照しつつ、各部の動作を説明する。
【0052】
まず、水道水等の原水1を同製造装置上部に設けられた給水口2に注入する。すると、原水1は、管路内の圧力を制御する減圧弁3、原水1の流量を予め設定された量に制御する流量調整弁4、原水1の流れを開閉する電磁弁5が接続された給水パイプ90内を流れる。この流量はフローセンサ6によって測定され、その測定結果が制御部21へ入力される。
【0053】
制御部21は、この測定結果および操作部31による設定内容に基づき、次亜塩素酸ナトリウムの供給量を算出する。この供給量に対応する駆動量で次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23を駆動し、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウム注入部7から原水1中に滴下する。次亜塩素酸ナトリウム水溶液が添加された生成水は、拡散部8、制動部9、安定部11、制動部12によって均質化・安定化されたのち、ジェット部13に導かれる。
【0054】
ジェット部13では塩酸がさらに滴下される。制御部21は、pHセンサ17の検出値(およびフローセンサ6の検出値)に基づき、塩酸の供給量を算出する。この供給量に対応する駆動量で、塩酸注入ポンプ26を駆動し、塩酸溶液タンク25の塩酸水溶液を塩酸注入部27から上記生成水中に滴下する。
【0055】
次亜塩素酸ナトリウム、塩酸が滴下された生成水は、拡散部14、制動部15を介して安定部16に導かれる。安定部16では順次滴下された次亜塩素酸ナトリウム・塩酸が拡散した生成水が安定し、除菌消臭水19が得られる。
【0056】
この得られた除菌消臭水19は、出水口52から出水パイプ33内を通過して出水口18から外部に流出する。出水パイプ33の途中でpHセンサ17によりpH値が測定される。
【0057】
このフローチャートは、定常状態で動作しているときの処理手順を示すものであるが、運転/停止スイッチ61を操作して運転をスタートした直後は次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみを滴下して、次亜塩素酸ナトリウムのみが添加された水を生成し、その生成水のpH値を予め設定したアルカリ性のpH値で安定させる。pH値がこの値で安定したのち、塩酸水溶液の滴下をスタートし、生成水を予め設定した酸性のpH値で安定させる。これにより、残留塩素濃度およびpH値を正確に設定することができる。
【0058】
以上の処理で装置を運転することにより、弱酸性領域で所望のpH値、所望の残留塩素濃度の除菌消臭水を安定的に連続して生成することができる。また、装置の運転毎にpH値、残留塩素濃度が異なることはなく、何度運転しても毎回同じpH値、残留塩素濃度で安定した除菌消臭水を生成することができる。
【0059】
図4は、同製造装置内に設置される次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22、塩酸溶液タンク25の形状およびこれらタンク22、25に装着されるキャップ100、109の形状を示す図である。
【0060】
同図(A)は、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22の形状を示す図である。このタンク22の形状は縦長の略直方体であり、上面の中央に雄ネジ部41を有する開口部43が形成されている。そして、開口部43の雄ネジ部41にキャップ100が螺合している。
【0061】
以下、図4(C)および図5を参照して、キャップ100の構造を説明する。
図4(C)は、キャップ100および塩酸溶液タンク25のキャップ109を内側(タンク内部に面する側)から見た平面図であり、図5は、キャップ100を正面から見た内部構造図である。
【0062】
キャップ100は、キャップ本体101、リングパッキン102、スプリングカバー103、弁体104、コイルスプリング105、リングパッキン106から構成されている。
【0063】
キャップ本体101は、内部に雌ネジ部101cを有する大径円筒状の基部101a、および、内部に雌ネジ部101dおよび中央に開口部108を有する小径円筒状の頂部101bを有している。基部101aの雌ネジ部101cがタンク22の開口部43の雄ネジ部41に螺合する。基部101aの外周部には、このキャップ100の着脱を容易にするとともに、貯留パン73の空気抜きのための複数の溝部99が形成されている。頂部101bの開口部108には、ゴム性のリングパッキン102が嵌め込まれている。
【0064】
頂部101bの雌ネジ部101dにはスプリングカバー103が螺合する。スプリングカバー103は、一方が閉じ、他方にフランジ部103aを有する円筒形状をしている。このフランジ部103aは、プロペラの羽根状に4つに分割されており、各羽根と羽根との間に開口部103cが形成されている。このフランジ部103aの周縁部に雄ネジ部103bが形成されており、この雄ネジ部103bが頂部101bの雌ネジ部101dに螺合する。フランジ部103aが分割され開口部103cが形成されているのは、この開口部103cを通じてタンク22内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が貯留パン73に流れ出すことができるようにするためである。なお、フランジ部103aの分割数は4に限定されない。
【0065】
スプリングカバー103の内部には、弁体104およびコイルスプリング105が挿入されている。また、スプリングカバー103内部の閉口部側には内径の狭い段部103dが形成されている。弁体104は、キャップ本体101の頂部101bの開口部108に嵌合する円板部104a、この円板部104aと同軸でスプリングカバー103の内径と同じ直径のピストン部104b、およびピストン部104bと同軸で段部103dよりも直径の細いガイド軸部104cからなっている。
【0066】
コイルスプリング105は、ガイド軸部104cに遊嵌し、段部103dとピストン部104bの上面に両端が当接している。これにより、弁体104は、スプリングカバー103から排出される方向に付勢されている。
【0067】
ピストン部104bには、周方向に溝が形成されており、この溝にゴム性のリングパッキン106が嵌め込まれている。このリングパッキン106はスプリングカバー103内部の水密性を確保する。これにより、スプリングカバー103内部にタンク22内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が入り込まない。
【0068】
弁体104の円板部の下面周縁部は斜めのテーパ部104dが形成されている。テーパ部104dが、キャップ本体101の開口部108に嵌め込まれているリングパッキン102に当接してキャップ100を密閉する。
【0069】
上述のように、タンク22は、上下を逆にしてキャップ100が下になるようにスロット71に装填される。このとき、スロット71の底面のキャップ100に対向する位置には、キャップ100が嵌合する接続部81が形成されている。
【0070】
接続部81は、キャップ本体101が遊び無く嵌まる凹部を有する。その凹部の中央部は貯留パン73に向けて開口している。開口部の中央部にキャップ方向に突出する突出部を有する。タンク22が装填されたとき、突出部がキャップ100の弁体104(円板部104a)に当接して弁体104を押し上げる。これにより、キャップ本体101と弁体104との間に空隙ができ、この空隙を介してタンク22内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が貯留パン73に落下する。貯留パン73の液位がタンク22のキャップ100の開口部108に達したとき、大気圧により水溶液の落下が停止する。
【0071】
同図(B)は、塩酸溶液タンク25の形状を示す図である。このタンク25の形状は縦長の略直方体であり、上面の中央に雄ネジ部42を有する開口部44が形成されている。そして、開口部44の雄ネジ部42に、キャップ100と略同形状のキャップ109が螺合している。
【0072】
このタンク25は上述のタンク22と同じ構造をしているが、タンク22よりも幅が狭く容量が小さい。これは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に比べ、塩酸水溶液の方が使用される液量が少ないためである。これに伴い、タンク25を装填するスロット72の方がタンク22を装填するスロット71よりも幅が狭くなっている。このように、タンク22、25とスロット71、72の幅を対応させることにより、幅広の次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22を幅狭の塩酸用スロット72に装填することを不可能にし、次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22が塩酸用スロット72に装填されてしまう装填ミスを防止している。
【0073】
また、タンク25のキャップ109の基部101aの外周は、タンク22のキャップ100の基部101aの外周よりも径が大きくされている。また、タンク22、25を装填するスロット71、72の底面にある接続部81、82の凹部の径は、キャップの径に合わせて、接続部82の径が大きく、接続部81の径が小さくされている。すなわち、塩酸溶液タンク25のキャップ109の外径は、次亜塩素酸ナトリウム用スロット71の接続部81の内径よりも大きい。
【0074】
これにより、塩酸溶液タンク25の幅は次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22の幅よりも狭いため、塩酸溶液タンク25を次亜塩素酸ナトリウム用スロット71に差し込むことはできるが、キャップ109が接続部81に嵌まらないため装填することができず、塩酸溶液タンク25が次亜塩素酸ナトリウム用スロット71に装填されてしまう装填ミスを防止している。
【0075】
また、塩酸溶液タンク25の開口部44の外径と次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22の開口部43の外径は異なっている。したがって、塩酸溶液タンク25のキャップ109と次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22のキャップ100とを取り違えて嵌めようとしても、両方とも開口部の雄ネジにキャップの雌ネジを螺合させてキャップを固定することができない。このように両タンク22、25の開口部43、44の径を異ならせることにより、タンク22、25へのキャップ100、109の嵌め間違いをなくすことができる。
【0076】
上記のように、キャップ100とキャップ109とは、キャップ本体101の基部101aの外径および内径が異なる点を除いては同じ構造である。
【0077】
以上のように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、塩酸水溶液について、スロット幅、タンク幅、キャップの雌ネジ部101cの径(内径)、キャップの基部101aの外周の径(外径)、接続部の凹部の径、のそれぞれを異ならせることにより、全てが正確に組み合わせられなければ同製造装置に設置することができないため、設置ミスを完全になくすことができ、塩素ガスの異常発生等を防いで装置の安全性を確保することができる。
【0078】
なお、この実施形態では、容積の大きい次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22の開口部43の径を、容積の小さい塩酸溶液タンク25の開口部44の径よりも大きくしたが、径の大小を逆にしてもよい。次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク22のキャップ100が塩酸溶液タンク25の開口部44に遊嵌すらしないようにするためには、開口部44の方を大きくすればよい。
【0079】
また、開口部43、44の径を異ならせるのに代えて、または、これに併用して、雄ネジ部41、42(キャップ100、109の雌ネジ部)のピッチを異ならせてもよい。
【0080】
図6は、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23、塩酸注入ポンプ26の出水ホースに設けられる逆止弁(チャッキ弁)の形状を示す図である。逆止弁は、水溶液の逆方向への流入を防ぐための弁である。
【0081】
同図(A)は、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ23に設けられる逆止弁110、同図(B)は、塩酸注入ポンプ26に設けられる逆止弁119を示している。逆止弁110、119はほぼ同じ構造をしている。以下、逆止弁110について説明するが、逆止弁119の方が逆止弁110よりも下部先端の吐出パイプ112が長くなっている。
【0082】
逆止弁110は、注入口115、雄ネジ部116、弁体が収納される本体部111、取付ネジ部117、吐出パイプ112、栓部113がこの順に縦に配列された構造をしている。、吐出パイプ112は、軟質ポリ塩化ビニル等の柔軟な樹脂を用い、内管112a、外管112bの二重構造になっており、内管112aの先端付近の側部に2つの小孔114が開設されている。
【0083】
注入口115は、直径4ミリ程度の小孔からなる。雄ネジ部116には、雌ネジ部を有するホースカバー(不図示)が螺旋する。このホースカバーにより注入ポンプ23からの出水ホースが注入口115に固定される。本体部111にはスプリングで注入口115側に付勢された弁体が収納されており、出水ホースから一定以上の圧力で流入してきた水溶液を通過させるが、逆方向から流入してきた水溶液は通過させない。本体部111の下方に形成されている取付ネジ部117により、この逆止弁110は、次亜塩素酸ナトリウム注入口7に取り付けられる。
【0084】
同図(A)の逆止弁110において、本体部111(弁体)から吐出パイプ112の先端までの長さは約5cm程度、内径は約5mm程度であるため、その容積は略1mlである。
【0085】
したがって、吐出パイプ112に栓部113が無い場合、注入ポンプ23の1度の吐出量が1ml以上であれば、溶液は、注入ポンプ23の吐出圧で逆止弁110および吐出パイプ112を通過して外部に放出される。しかし、注入ポンプ23の1度の吐出量が1ml以下の場合には、溶液が注入ポンプ23の吐出圧で押し出されるのは吐出パイプ112の途中までであり、その後は、吐出パイプ112を伝って落下して外部に流れだすことになる。このため、1ml以下の少量の溶液を好適なタイミングで滴下して高精度に濃度制御しようとしても、注入ポンプ23の駆動タイミングと、押し出された溶液が流れだして生成水に添加されるタイミングがずれてしまい均一な濃度制御を高精度にすることができない。
【0086】
そこで、この実施形態の逆止弁110では、吐出パイプ112を栓部113で封止し、吐出パイプ112の内管112aの側面に小孔114を開設した。小孔114の径は1mm程度である。吐出パイプ112の最下部に栓部113がはめ込まれているため、吐出パイプ112内の溶液は、自然落下では外部に流れださない。
【0087】
また、内管112aの外径と外管112bの内径は同寸法で密着しているが、接着はされていない。したがって、チャッキ弁の弁体を介してポンプから吐出圧が掛かると、その吐出圧により小孔114と外部とをつなぐ隙間が内管112aと外管112bとの間に形成され、この隙間を通じてポンプが吐出した容積と同じ容積の溶液が正確に外部に吐出される。
【0088】
これにより、吐出パイプ112が空のとき、弁体を通過した溶液は、吐出パイプ112内に充填される。そして、注入ポンプ23の数回の吐出で吐出パイプ112内に溶液が充填されたのち、次に注入ポンプ23が溶液を吐出すると、その吐出量と同量の溶液が弁体を通過して吐出パイプ112に押し出され、その吐出量と同量の溶液が小孔114から内管112aと外管112bの間を通過して正確に生成水中に吐出される。
【0089】
以上のように吐出パイプ112を内管112a、外管112bの二重構造とするとともに栓部113で栓をし、内管112aの側面に小孔114を開設したことにより、注入ポンプ23の吐出量が少量であっても、吐出後時間が経ったのち吐出パイプ112を伝って外部に流れるのを防ぐことができ、正確なタイミングで正確な量を生成水に溶かしこむことができる。
【0090】
また、塩酸注入部27に取り付けられる逆止弁119は、弁体から吐出パイプ112先端までの長さが約7.5cmである外は、逆止弁110と同じ構造である。逆止弁119は、管路の内部で塩酸水溶液を放出するため長い吐出パイプ112が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】この発明の実施形態である除菌消臭水製造装置の内部構造図である。
【図2】同除菌消臭水製造装置の管路ボックスの管路構成図である。
【図3】同除菌消臭水製造装置を用いて除菌消臭水を製造する工程を説明するブロック図である。
【図4】同除菌消臭水製造装置の溶液タンクおよびキャップの形状を示す図
【図5】同除菌消臭水製造装置の溶液タンクに装着するキャップの内部構造図
【図6】同除菌消臭水製造装置の注入ポンプの出水ホースに設けられる逆止弁の形状を示す図
【符号の説明】
【0092】
2 給水口
7 次亜塩素酸ナトリウム注入部
18 出水口
21 制御部
22 次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク
23 次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ
25 塩酸溶液タンク
26 塩酸注入ポンプ
27 塩酸注入部
30 管路ボックス
31 操作部
33 出水パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する次亜塩素酸ナトリウム注入部と、
前記原水に前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入された生成水に塩酸水溶液を注入する塩酸注入部と、
前記生成水が通過し、第1の拡散部、第1の制動部、第1の安定部、第2の制動部、ジェット部、第2の拡散部、第3の制動部および第2の安定部がこの順序に且つ水平に形成された管路ブロックと、
を備えた除菌消臭水製造装置であって、
前記次亜塩素酸ナトリウム注入部は、前記管路ブロックの手前に設けられ、
前記第1および第2の拡散部は、水平の直管で形成され、
前記第1乃至第3の制動部は、複数の邪魔板が左右または上下に交互に配列された水平の管路からなり、
前記第1および第2の安定部は、水平の直管で形成され、
前記ジェット部は、管路の断面積を小さくして前記生成水の流速が速く制御され、
前記塩酸注入部は、前記ジェット部の内部に設けられている
ことを特徴とする除菌消臭水製造装置。
【請求項2】
前記ジェット部は、流路が略90度屈曲されている請求項1に記載の除菌消臭水製造装置。
【請求項3】
前記第1の制動部と第1の安定部との間に網状のストレーナが配置された請求項1または請求項2に記載の除菌消臭水製造装置。
【請求項4】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留する次亜塩素酸ナトリウム貯留部、および、塩酸水溶液を貯留する塩酸貯留部をさらに備え、
前記次亜塩素酸ナトリウム貯留部は、
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留し、上端に開口部を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液タンク、
前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの開口部に嵌合する第1のキャップ、
前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第1のスロット、
前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクが装填されたとき前記第1のスロットの底面の第1のキャップに対向する位置に形成され、前記第1のキャップが嵌合する第1の接続部、を備え、
前記塩酸貯留部は、
塩酸水溶液を貯留し、上端に開口部を有する塩酸溶液タンク、
前記塩酸溶液タンクの開口部に嵌合する第2のキャップ、
前記塩酸溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第2のスロット、
前記塩酸溶液タンクが装填されたとき前記第2のスロットの底面の第2のキャップに対向する位置に形成され、前記第2のキャップが嵌合する第2の接続部、を備え、
前記第2のスロットは前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの幅よりも狭い幅に規制され、且つ、前記第1の接続部は前記第2のキャップの外径よりも小さい径に規制されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の除菌消臭水製造装置。
【請求項5】
前記第1のキャップが嵌合する前記次亜塩素酸ナトリウム溶液タンクの開口部と、前記第2のキャップが嵌合する前記塩酸溶液タンクの開口部とは、その径および/またはネジのピッチが異なる請求項4に記載の除菌消臭水製造装置。
【請求項6】
前記第1のキャップおよび第2のキャップは、
上面に開口部を有するキャップ本体と、
一方が閉口した円筒形状であり、開口側にフランジ部を有し、このフランジ部に切欠きまたは孔が形成されているスプリングカバーと、
該スプリングカバーに内蔵されるコイルスプリングと、
前記キャップ本体の開口部に嵌合する円板部、および、この円板部と同軸で前記スプリングカバーの内径と同じ直径のピストン部を有する弁体と、
からなり、
前記弁体は、前記ピストン部が前記スプリングカバー内に収納され、
前記スプリングカバーは、前記フランジ部が前記キャップ本体の内壁に嵌着され、
前記コイルスプリングにより前記弁体が前記スプリングカバーから排出される方向に付勢されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の除菌消臭水製造装置。
【請求項7】
第1の溶液を貯留し、上端に開口部を有する第1の溶液タンクと、
前記第1の溶液タンクの開口部に嵌合する第1のキャップと、
前記第1の溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第1のスロットと、
前記第1の溶液タンクが装填されたとき前記第1のスロットの底面の第1のキャップに対向する位置に形成され、前記第1のキャップが嵌合する第1の接続部と、
第2の溶液を貯留し、上端に開口部を有する第2の溶液タンクと、
前記第2の溶液タンクの開口部に嵌合する第2のキャップと、
前記第2の溶液タンクが上下転倒した姿勢で装填される第2のスロットと、
前記第2の溶液タンクが装填されたとき前記第2のスロットの底面の第2のキャップに対向する位置に形成され、前記第2のキャップが嵌合する第2の接続部と、
を備え、
前記第2のスロットは前記第1の溶液タンクの幅よりも狭い幅に規制され、且つ、前記第1の接続部は前記第2のキャップの外径よりも小さい径に規制されていることを特徴とする溶液タンク装填構造。
【請求項8】
前記第1のキャップが嵌合する前記第1の溶液タンクの開口部と、前記第2のキャップが嵌合する前記第2の溶液タンクの開口部とは、その径および/またはネジのピッチが異なる請求項7に記載の溶液タンク装填構造。
【請求項9】
溶液を貯留するタンクに嵌合するキャップであって、
上面に開口部を有するキャップ本体と、
一方が閉口した円筒形状であり、開口側にフランジ部を有し、このフランジ部に切欠きまたは孔が形成されているスプリングカバーと、
該スプリングカバーに内蔵されるコイルスプリングと、
前記キャップ本体の開口部に嵌合する円板部、および、この円板部と同軸で前記スプリングカバーの内径と同じ直径のピストン部を有する弁体と、
からなり、
前記弁体は、前記ピストン部が前記スプリングカバー内に収納され、
前記スプリングカバーは、前記フランジ部が前記キャップ本体の内壁に嵌着され、
前記コイルスプリングにより前記弁体が前記スプリングカバーから排出される方向に付勢されていることを特徴とする溶液タンク用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120000(P2010−120000A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298890(P2008−298890)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【特許番号】特許第4413983号(P4413983)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(508315567)
【Fターム(参考)】