説明

陽子線治療を施すと同時に広視野のビームズアイビュー(BEV)によるX線画像を撮影するシステム及び方法

本発明は、陽子線治療に使用される走査された陽子ビームを送出すると同時に、広い視野の(コリメータによって像が遮られない)診断用X線画像を公称ビーム軸に沿って撮影する手段を提供する、陽子用ガントリのレイアウトを開示する。そのような画像のオンライン分析は、患者の体内の標的体積の場合によっては起こる動きを検出するとともに、照射の開閉制御又はビームの能動的な操作(追尾)を用いることによって、この動きによる誤差を補正するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物内の所定体積に対する強度変調による陽子線治療のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陽子線治療は、陽子ビームを用いて癌の放射線治療を施す高度な方法である。それは、通常光子ビームを施す従来の治療と比べて優れているが費用のかかる代替方法である。この種の陽子線治療のためのガントリは、特許文献1〜3にそれぞれ公開、提案されている。
【0003】
光子線治療と陽子線治療との相違点を特徴付ける場合、光子ビームは患者の体全体に浸透してしまうということを強調しなければならない。その線量プロファイルは、皮膚の下約1cmにおける最大線量とそれに続き線量が深さの関数として単調指数関数的に減少するという特徴を有する。陽子ビームは、光子ビームとは異なり、ビームの浸透する範囲が明確に規定され、その範囲の終端において最大線量、所謂ブラッグピークを有するという特徴を持つ。陽子ビームのエネルギーを変化させることによって、患者の体内におけるブラッグピークの位置を容易に制御することができる。
【0004】
従って、光子線治療の代りに陽子線治療を行う幾つかの説得力の有る理由が存在する。深さ方向におけるブラッグピークの位置が明確に特定されるため、陽子線治療は、ほぼ如何なる状況においても、従来の光子を用いた治療と比較して、標的体積への線量のより優れた位置決めを実現することができる。この方法により、腫瘍を取り囲む健康な組織をより良く温存することが実現可能である。この重要な点は、難しい臨床的症状において、主に癌が敏感な解剖学的構造によって取り囲まれている場合に利用される。他方において、陽子ビームの磁気剛性率を高めるために、この優れた治療法を従来の治療法よりも高価としてしまう加速器及びビームライン用の嵩張る機器を使用する必要がある。
【0005】
最近の放射線治療は、所謂ガントリを使用して相異なる方向からビームを印加することによって、仰向けに横たわる患者に対して選択的に施されている。光子用ガントリは、直径が僅かに2〜3mである。陽子用ガントリは、典型的には長さが10mであり、(総重量が100トンを超える)重くて硬い支持体に取り付けられた陽子ビームラインを備えている。陽子用ガントリを患者用テーブルの周囲に回転させる範囲は、半径が2〜6mの円筒形の体積となる。
【0006】
陽子線治療の別の実際に関連する点は、能動的かつ動的なビームの印加及びビームの走査を行う形でビームを施す手法である。この走査は、小さい(幅が1cm未満の)陽子ペンシルビームを用いて、ビームに対して横方向に磁気偏向を加えるとともに、ビームエネルギーを動的に変化させて陽子の範囲を変えることによって行われる。その線量は、ブラッグピークスポットを用いて標的内の格子上の各点を逐次嘗める(露出時間又はビーム強度を変化させることにより局所的な線量を変えて施す)ことによって、如何なる形状に対しても3次元的に文字通り塗り潰されることとなる(線量の標的体積への適合)。
【0007】
この走査方法は、腫瘍部位をカバーする立体角において均一な陽子フルエンスを得るために陽子ビームを患者用テーブルの前方で散乱させる旧来の方法と比較しなければならない。この場合、線量の整形は、コリメータを使用することによって横方向に行われるとともに、受動的なリッジフィルターや回転レンジシフタホイールなどのその他の能動的なモディファイアを使用することによって深さ方向に対して行われている(ビーム内に有る物質量を空間的又は時間的に変化させることによって拡大ブラッグピークSOBPを形成している)。
【0008】
陽子ビームの走査によって、線量を標的体積により良く適合させることができる。受動的な散乱法の枠組みでは変調が固定されている(ビームの横方向の位置に関する関数として変更することができる走査における可変なSOBPと比較して、SOBPが一定である)との理由から、健康な組織に不要な100%の線量を加えるのを回避することができる。線量の整形は、コンピュータ制御だけで完全に制御される。ビームを整形する個々のハードウェア(コリメータや補償器などの現場及び患者に特有の装置)を組み立てて位置決めする必要はない。走査によって、ビームを幾つかのビーム方向から順番に患者に加えることができ、作業員が治療室に入る必要はない(費用の低減と患者の治療効率の向上を達成することができる)。
【0009】
走査によって、(意図的な)不均一な線量分布を含む任意の形状に線量分布を整形することができる(デフォルトでは、散乱により均一な線量が施される)。この手法は、ガントリの角度とは無関係に治療全体における各陽子ペンシルビームの強度を纏めて最適化するとの考え(ビームスポットの同時最適化)に基づく、所謂強度変調陽子線治療(IMPT)を施すための前提条件である。各ビーム方向から加えられる線量場の構成要素は均一である必要はなく、合計のみ均一であればよい。
【0010】
この明細書を記載している時点では、スイス国フィリゲン5232のポール・シェラー研究所(PSI)の陽子用ガントリ(陽子線治療設備であり、その最初のビームラインは、一般に「ガントリ1」として知られている)は、依然として、陽子ビームの能動的な走査によって治療を施すことができ、かつ患者の治療にIMPT手法を提供することができる世界で唯一の陽子設備である。PSI設備の拡張という意味で、ビーム走査用の改良されたガントリ(ガントリ2)が構築中である。従って、以下に説明する発明は、PSIのビーム走査専用の陽子用ガントリの設計に関連する先の特許(上述した特許出願)に対する補遺である。
【0011】
しかし、新たなガントリでも、線量の整形及び正確な線量付与における様々な問題を解決しなければならない。これらの問題の中の一つは、様々な理由による臓器運動の問題である。従って、治療中の臓器運動は、(光子を用いた動的な治療を含む)如何なる種類の精密放射線治療も直面する深刻な問題である。走査ビームを施している間に標的体積が動いた場合、線量分布の形状及び均一性が、動的なビーム付与を全く使用することができない程度にまで著しく乱される可能性がある。このことは、実際にPSIのガントリ1で治療する症例を選定するための主要な判断基準である。臓器運動の問題のために、現在PSIでは、骨組織に付着した動かない腫瘍のみをビーム走査法によって治療している。
【0012】
標的を繰り返し走査することができるように(標的の再塗り潰し、再走査)走査速度を上昇させることによって、大幅な改良を達成することができる。これは、新たなガントリ2を開発する上での主要なポイントであり、相応に達成されている。胸部のような大きな動きが有る場合の臓器運動の問題に対処するために考えられた方法は、標的が所望の位置から離れる方向に移動する場合にビームを停止するか(開閉制御式ビーム付与)、或いはペンシルビームを標的の変位に直接追随させる(追尾)ことである。開閉制御の最も良く知られている例は、外部手段によって測定した呼吸サイクル(胸壁の動き、吸気量の制御等)の所与の位相段階内においてビームの付与を同期させることである。これらの方法の欠点は、標的の動きに関する情報が依然として間接的指標のままであることである。
【特許文献1】国際特許公開第2001/00276号明細書
【特許文献2】国際特許公開第2004/026401号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第04017266.0号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のことから、本発明の課題は、標的体積の望ましくない動きによって起こる問題に対処し、それにより標的体積の動きをより直接的に表すことを可能とする、強度変調陽子線治療を施すためのシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの課題は、本発明にもとづき、目標物内の所定体積に対する強度変調による陽子線治療のためのシステムであって、
a)陽子ビームを生成するための陽子源と、
b)多数の陽子ビーム偏向及び/又は集束ユニットと、
c)陽子ビームを目標物の所定の標的体積に浸透させるための出口を有し、それにより断層走査用出口領域を画定するビームノズルと、
d)ノズルの上流に配置されたビーム偏向電磁石と、
e)X線管及びX線イメージャーであって、X線管がビーム偏向電磁石内の照射チャネルと連結され、この照射チャネルが、公称陽子ビーム方向の延長線上に沿った方向を向いており、それによりX線ビームを陽子ビーム方向に沿って送出するX線管及びX線イメージャーと、
を備えたシステムによって達成される。
【0015】
それに対応した本発明による方法は、目標物内の所定体積に対する強度変調による陽子線治療を施すための方法であって、
a)陽子ビームを生成するための陽子源を配備する措置と、
b)陽子ビームを所定の手法で偏向及び/又は集束させるための多数の陽子ビーム偏向及び/又は集束ユニットを配備する措置と、
c)陽子ビームを目標物の所定の標的体積に浸透させるための陽子ビーム用出口を有するビームノズルを配備する措置と、
d)ノズルの上流に位置するビーム偏向電磁石を配備する措置と、
e)ビーム偏向電磁石内の照射チャネルに沿ってX線ビームを加える措置であって、この照射チャネルが、X線ビームを陽子ビーム方向に沿って標的体積に送出するために、公称陽子ビーム方向の延長線上に沿った方向に向けられている措置と、
を有する方法である。
【0016】
本発明による標的の動きを直接観察するとともに、任意選択としてクリップによりマーキングすることが可能な腫瘍に対する追尾又は開閉制御を実施する選定肢を容易とするための高精度及び高信頼性を実現する解決策は、パルス状の(即ち、数Hzで脈動する)X線を使用することである。従って、三つの目的(再走査、開閉制御及び追尾)の全てを協調させることが可能である。本発明の主題は、精密な開閉制御又は追尾を目的として臓器/標的運動に関する直接的な情報を提供するためにX線画像を撮影するとの主題に焦点が当てられている。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、陽子ビームが当該のビーム偏向電磁石内に入る前に陽子ビームを二つの横方向に掃引するために、このビーム偏向電磁石の上流に位置する一対の掃引用電磁石が配備され、これらの掃引用電磁石及び/又はビーム偏向電磁石は、断層走査領域全体に渡って平行なビームの向きを保証するように制御される。従って、陽子ビームが断層走査領域全体に渡って公称軸に対して平行なままであるため、如何なる光学視差も防止することができ、それにより、パッチフィールド照射を目指すことも可能となる。更に、陽子及びX線に対して、ビーム偏向電磁石において同じ開口角を使用することができる。
【0018】
陽子ビームと同時にX線ビームを送出することによって、陽子ビームを同時に適合することを実現することができる。
【0019】
X線イメージャーの好ましい位置は、当該の目標物内の標的体積の下流、即ち、陽子ビームの方向に見て下流の位置とすることができる。X線イメージャーは、例えば、患者が陽子ビーム治療のために仰向けの位置で横たわっている患者用テーブルの一部として構成することができる。別の好ましい実施形態では、ノズルの動く拡張線が、ガントリの回転とは無関係にかつガントリの回転中はビーム軸の方向を向いたままであるので、X線イメージャーは、その拡張線上に取り付けられる。
【0020】
好ましい実施形態では、標的体積の動きの計測又はその動きの追尾のために、ビームの向きに対して相対的な標的体積の位置を計測する第一の手段を配備することができ、この第一の手段は、解剖学的標識及び/又は目標物に付けられた追加的なマーカーの位置を計測する第二の手段を備え、それにより、標的体積に対して相対的な解剖学的標識及び/又は追加的なマーカーの位置が、X線イメージャーから得られる画像を評価することによって分かる。これに代わって、コンピュータトモグラフィでの3D画像を使用して治療の計画段階の間に、標的体積とその他の解剖学的標識及び/又はクリップとの間の位置関係を予め規定しておくことができる。現在最新のコンピュータトモグラフィが時間分解画像(4D−CT)を提供していることを強調することができる。従って、治療中に解剖学的標識及び/又はクリップの動きを観察することができることは非常に重要かつ有益である。そして、クリップ/標識と標的体積との間の位置関係は、患者が治療位置にある時にX線によって再評価することも可能である。容易に20〜30回の治療セッションで構成される細分化された治療の各区分において、この臓器運動の問題を繰り返し観察しなければならないことを考慮すると、このことも非常に有益である。
【0021】
従って、掃引用電磁石及び/又はビーム偏向電磁石の制御手段に補正データを適用することにより治療すべき標的体積の動きを補償するように、掃引用電磁石及び/又は当該のビーム偏向電磁石を制御することができ、この補正データは、標的体積の位置の計測から得られる。当然のことながら、この特徴によって、更に、標的体積の位置を計測する当該の第一の手段を標的体積の如何なる横方向の動きをも追尾する手段として設計することが可能である。
【0022】
より適合した線量分布を提供するとともに、X線の連続的な印加による健康な組織に対する線量を最適な手法で節約するために、呼吸サイクルによる胸部の動きなどの目標物の予測された動きと一致させるか、或いは呼吸サイクルの休止期間中などの目標物の予測された動きの無い段階と一致させる形で同期して陽子ビームを送出することができる。これにより、例えば、胸部の動きの検知又は呼吸気の流れの検知によって、ビームに適用される開閉制御期間を始動して、例えば、その期間内の相異なる時点でランダムにただ一つの画像を撮影することにX線の照射を限定することが可能となる。従って、陽子ビームも、所望の同期に従って不連続に送出される。
【0023】
本発明の更なる利点は、追加の従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下において、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、ガントリGの機械的配置を図解するためのガントリGの横断面を模式的に図示した平面図である。陽子ビームBは、ビームBの強度に関して調整可能なサイクロトロンなど(但し、シンクロトロン、直線加速器等も使用可能である)の図示されていない加速器で生成される。患者又は生物学的検体体積などの目標物にビームBを向けるために、支持フレームSF内にビーム輸送システムBTが取り付けられている。支持フレームSFは、前方ロールFR及び後方ロールBRで軸支されている。ビーム輸送システムBTは、ガントリGの片側でのみ±95°回転するものと想定されている。従って、患者用テーブルPTは、ガントリGとは別個に取り付けられており、治療室TRの片側からアクセス可能であり、それにより医療関係者が恒久的に固定された床を通って何時でも患者にアクセスすることができる。
【0026】
更に、CT、麻酔装置等の内科的治療に有用な医療機器は、常に患者用テーブルPTに非常に近接して配置することができる。ビーム輸送システムBTのずっと下流に位置するノズルNも、患者に非常に近接して配置することができ、標的体積に対する陽子ビームBの鮮鋭度に関して顕著な利点が得られる。患者は、患者用テーブルPTから、この治療室TRに関して、摺動カバーが治療室TR内に延び、小さい回転ノズルNを備えた標準的な大きさの部屋であると多少とも感じる。患者には、治療室TRの半円筒形の内壁におけるスリットに沿って回転するノズルNだけが見える。この設計により、(ノズルNのスリットを除き)フロアを動かす必要がなくなる。治療室TRは、例えば、長さが6〜7m、奥行が5〜6m、高さが2.2〜2.4mである。このような治療室TRの寸法により、患者用テーブルPTのその水平軸に沿った水平方向の回転が更に容易となる。
【0027】
陽子ビームBを患者内の標的体積に印加するために使用するビーム輸送システムBTは、図2に模式的に図示されている。このビーム輸送システムBTは、三つの双極子A1,A2,A3と七つの四極子Q1〜Q7から成るシステムで構成される。その他の構成要素は、ステアリング電磁石Sx/y(これらの構成要素の中の幾つかは、六極子H内の別個の巻線として組み込まれている)と、任意選択のスリット又は固定されたコリメータKと、ビーム診断素子Mと、真空ポンプPとである。走査用の動く主要な構成要素は、二つの掃引用電磁石WU及びWTと動く四極子修正器QCとである。
【0028】
ビームの光学計算は、230MeVの公称ビームエネルギーに対して行った(その他のエネルギーは、ビームの運動量に従ってビームラインの磁気的な構成要素における電流を拡大縮小することによって得られる)。ビームBに適用される曲げ半径は、1.5mに選定されている。公称磁場はB=1.5テスラである。回転軸からのビームラインの半径方向に対して平行な変位は約3.2mである。90度偏向電磁石の磁場の出口境界とアイソセンターとの距離は約1.7mである。この実施形態で利用可能なこの空間は、患者の精神的健康のための顕著な改善となる、治療室TRの天井を少なくとも2.4mの高さ(標準的な部屋の高さ)に維持することを目的として、回転中に90度偏向電磁石A3の塊をアイソセンターから約1.2mの距離で治療室TRから外に留めて維持するのに十分である。ビームラインの形状は、支持フレームSFの最小限の空間内でビーム光学系の要件を満たすのに必要な全てのビーム輸送用構成要素を配置するために必要な最小限の空間を使用することによるこれらの設定から導出される。従って、このビーム輸送システムBTは、塗り潰す間、即ち、回転するビームラインの開始点(ガントリ結合点)からアイソセンター(患者内でビームを走査する終了点)までの実際の大きさでのイメージングの間において、ビームBの完全な平行度を提供するものである。更に、U方向及びT方向の二重掃引中におけるビームの収色性及びビーム集束の不変性が達成される。
【0029】
ビーム輸送システムBTの上流に配置されたビーム送出用構成要素は図示されていない。サイクロトロンは、その強度に関して調整可能な連続ビームを送出する。エネルギーの変更は、デグレーダーの設定の動的な変更とガントリG前及びガントリG上でのビームラインの調整とによって選択的に行われる。サイクロトロンとデグレーダーとの間には、僅か50μ秒の反応時間で陽子ビームBのオンとオフを切り換えるための高速キッカー電磁石が取り付けられている。
【0030】
本発明による陽子ビームを送出すると同時にビーム方向BDに沿ってX線源XSから発生するX線の画像を撮影することが可能なシステムを図3にもとづき記載する。X線イメージャーImの位置分解能は、通常極めて良く、得られる情報は、恐らく取得可能なものの中の最良の情報である。腫瘍に取り付けられたクリップの動きを追尾する(又は可視化可能である場合はその他の解剖学的構造を追尾する)ためのアルゴリズムは、極めて単純であり、従って、ビーム偏向ユニット及び/又はビーム集束ユニットを制御するために使用することができる。そして、BEVによる画像を使用する主な利点は、クリップの動きを陽子ビームBの補正に直接関連付けることができるということである。従って、ビームBに適用される補正の精度は非常に良い。
【0031】
治療の全期間を通して常にX線画像を撮影するための線量負荷が許容できないことが分かった場合、ここで提案したシステムは、外部信号(空気の流れ等)を用いた呼吸による開閉制御と組み合わせると上手く動作することができる。そして、外部信号を標的の正しい位置と同期、調整するために、治療の開始時にX線を撮影し、ビームを送出している間データの取得を定期的に繰り返して(X線は開閉制御の開始時及び終了時に始動される)、外部の呼吸による開閉制御と実際の標的位置との間の対応関係が維持されていることを検査することができる(品質制御としての利用)。X線の線量負荷は、明らかに治療の総時間によって決まる。当然のことながら、その意味では高速な走査システムが非常に有用である。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の主な構成要素は次の通りである。
1)回転するガントリG,G’上の走査用ペンシルビームによる動的な陽子ビーム送出法の使用
PSIのガントリ2の新たなガントリシステムは、第一のプロトタイプであるガントリ1を使用した経験に基づいている。ガントリ2では、二つの横方向T及びUにビームを拡散するために、陽子ペンシルビームの二次元による磁場(平行)走査を使用する予定である(掃引用電磁石WT,WU)。飛程の変調のために、(ガントリG,G’の前のビームラインにおける)ビームBのエネルギーを動的に変更する。
2)横方向の走査は、(直径を低減したコンパクトなガントリを実現するために)最後の90度偏向電磁石A3の前に配置された二つのステアリング電磁石WT,WUによって駆動される。
【0033】
ビームの走査は、標的体積、即ち、患者内の腫瘍に向かってビームを偏向する前に開始される(TスイーパーWT及びUスイーパーWUは、90度偏向電磁石A3の前に配置される)。陽子ビームBの走査は、両方向において平行であり、走査面積は大きい方である、即ち、PSIガントリ2プロトタイプでは12cm×20cmである。
3)X線管XSは、90度偏向ビーム出射軸の後方延長線上に取り付けられる(90度偏向電磁石A3のヨークの穴Yhを通した照射、以下、ヨーク源と呼ぶ)。
【0034】
ヨーク内に穴Yh(X線ビーム用の照射チャネル)を有する90度偏向電磁石A3(図3a)は、ビームBの出射軸の延長線上に沿って構築され、X線イメージャーImは、図4に図示されたものと同様の支持体を使用して患者の下方に取り付けられる。ホルダーは、出願人の最初のガントリ1のビームにおいて陽子ラジオグラフィー用機器で使用した支持体と非常に類似している。磁場の品質を損なうこと無くヨークに穴を開けることができることが、最近評価されている。
【0035】
陽子は荷電粒子であり、90度偏向電磁石A3内で、この電磁石の磁場によって偏向される。X線(光子線)は、電磁石の(磁場の無い)外側で生成され、それらは中性粒子であるため、磁場領域を横切る時に妨げられることはない。このため、患者に対して、ビームBとX線の両方を同じビーム軸BDに沿って同時に印加することが可能である。
【0036】
ヨーク源と患者との距離を或る程度長くすることにより、X線の拡がりは適度なものとなる。このため、両ビームの幾何学的な形状は非常に類似したものとなる、即ち、陽子ビームに対して目標とする平行放射に極めて近いものとなる。実際、本発明の範囲内では、それに代わって、陽子ビームを平行にするのを断念して、出射される陽子ペンシルビームの拡がりを調整してX線の幾何学的な形状と正確に一致させることを検討することさえ考えることができる。何れにしても、ガントリ2では、ここで考察していないその他の理由(パッチフィールド照射等)により陽子ビームを完全に平行にすることが好ましい。
【0037】
治療用に使用する陽子ビームBは、常に患者内で終止する。従って、陽子は、決してイメージャーImに到達せず、X線画像の品質に影響を与えない。患者内で陽子によって生成され、有利には前方方向に放出される散乱中性子によって、それらがX線機器に対して長期に渡り放射線損傷を生じさせる可能性が有るので、僅かに問題が発生する場合がある。何れにしても、そのようなX線画像の品質に対する中性子の影響は、未だ観測されていない。
【0038】
そこで、このような構成により、治療用陽子と診断用光子の両方を同じビーム軸に沿って同時に印加することが可能となる。
ヨーク源を使用する(BEV用X線機器を恒久的に配備している)利点:
ヨーク源は、(臓器運動を観察するとともに、呼吸の段階と同期して、或いはビームの能動的な追尾によってビームの送出に適用するために)ビームを送出している間患者の位置及び動きを監視する手段を提供する。標的の動きを見るのに最も重要な(好ましい)方向は、ビーム方向BDである。長手方向における動きは、線量分布に殆ど影響を与えない(密度の不均一性及び臓器の歪みを無視すると、平行な陽子ビームの場合影響は全くない)。標的の如何なる横方向の動きも単一画像で検出することができ、観察された標的の変位は、走査する陽子ビームに対する積極的な補正と直接関連付ける(視差が存在すること無くビームにより横方向の腫瘍の動きを追尾する)ことができる。ここで提案している解決策の別の実現可能な利点は、絶対座標との関連付けが望まれる場合に、画像に必要な放射線不透過マーカーをイメージャー自体ではなくノズルに直接取り付けることができる(これに代わって、ストリップモニタの幾何学的な境界やストリップ自体などの陽子機器自体の部品を識別することができる)という事実に見ることができる。このようにして、患者の後方のイメージャー支持体を位置決めするために必要な機械的精度を相応に大きく緩和(機構をより安価に)することができる。
【0039】
走査するという意味で本発明を使用することにより、別の顕著な利点が得られる。視野を完全に開いた状態に維持しながら(コリメータによる如何なる視野の制限もないため)、陽子送出と同時にX線を撮影することができる。光子治療及び受動的な散乱による陽子治療の場合、患者の正面にコリメータ(及び任意選択として補償器)を配置する必要がある。このため、陽子線量場の投影部分の内側にある解剖学的標識しか見ることができない(画像はコリメータ開口部によって画定される)。PSIのガントリ2などの本発明を実施している走査システムの場合、患者の正面でコリメータを使用することは全くない(既に、ガントリ1で行う治療の場合にそうである)。このため、臓器運動を観察して、埋め込まれたクリップ又は標的体積の外側に配置されたその他の標識により標的の変位を測定することが可能となる。(埋め込まれたクリップは、埋め込む時に健康な組織内に腫瘍細胞を拡散させないように、腫瘍の外側に保持すべきである。クリップが標的の外側に有る場合、コリメータが有れば、それがクリップを遮ってしまう可能性がある)。
【0040】
その意味で、本発明は、光子線治療で一般的に使用されているポータルイメージングを利用することができないという陽子線治療の大きい欠点を埋め合わせるだけでなく、投影される標的の輪郭外の解剖学的構造を観察することも可能とすることによって、この欠点を克服している。
【0041】
その他の同様のシステムとの比較
a)従来のX線による治療との比較
X線の場合、ビームは患者全体に浸透して、患者の他方の側から出る。患者に対する線量という観点からは、健康な組織が不必要に非常に高い線量を受けるので(その線量は、低エネルギーX線による診断目的に必要な量より遥かに高い)、これは大きな欠点である。陽子線治療により、標的に対してより多くの線量を施すとともに、健康な組織に対してより少ない線量を施すことが可能となる。このため、健康な組織に対する線量負荷は、陽子の場合、光子と比べて1/2〜1/5に低減される。他方、光子では、ポータルイメージングを使用することができる。従来の治療では、光子は患者から出るという事実が、ビームの出射経路上に検出器を配置するために使用されている。この方法は、ポータルイメージングと呼ばれ、殆どの病院での従来の治療で使用されている方法である。陽子が標的内に終止するため、ポータルイメージングは陽子線治療では利用することができない。本発明で使用される検出器は、陽子線治療のためのポータルイメージングとして設計され、陽子Bと低エネルギー光子X線の二つの相異なるビームを同じビーム軸BDに沿って同時に加えることによって実現されている。診断用の(低エネルギーX線の)線量は、治療用の高エネルギー光子を使用する場合よりも遥かに低い。
【0042】
このため、本発明は、「陽子ビーム治療のためのポータルイメージングの代替手段」として定義することができる。ここで提案しているシステムの光子線治療と比較した利点は、画像がコリメータの開口部によって制限されないということである。ここで、上流での走査と関連して(即ち、コンパクトなガントリレイアウト上で)ヨーク源を使用する利点が明らかとなる。走査用ガントリを使用する好ましい実施形態を考えることが可能であり、その場合走査は、最後の偏向電磁石A3の前で開始される。従って、次の幾つかの実施形態において、ヨーク源を使用することができる。
a)受動的なビーム散乱によりビームを送出する形態での陽子用ガントリ上でのヨーク源の使用
散乱を利用する場合(陽子線治療分野で産業上利用可能な従来技術)、通常最後の偏向電磁石の後に配置された陽子源などの一点からビームを散乱させている(大抵の場合最後の偏向の前にビームを散乱させることによって線量の優れた均一性を達成することは難し過ぎる)。ビームを散乱させるために使用される機器は、通常サイズが小さい(最後の偏向の後に見掛け上非常に鋭く尖った先のような陽子源を必要とする)。最後の偏向電磁石A3のヨークの穴Yhを通してX線を加える場合、拡散用の機器がX線と干渉する可能性が非常に高い。本発明による構成は、ビームを散乱させるための機器がX線照射野を遮る可能性が高いので、散乱に対しては余り役立たない。本発明によるシステムの散乱と比較した走査に関する主な利点は、画像がコリメータの開口部によって制限されないということである。
b)最後の偏向後にビーム走査を開始する形態での陽子用ガントリ上でのヨーク源の使用(図3b)
この場合、最後の偏向電磁石の間隙は、通常小さく選定される。掃引用電磁石WT’,WU’は、X線のビーム経路内に取り付けられる。走査速度に対する制限を無くすとともに、電力消費を低減するために、これらの磁石の間隙は、通常小さい(5cm)。最後の偏向電磁石のヨークの穴を通して照射されるX線は、最後の偏向電磁石の後に配置された走査機器によって部分的に遮蔽される場合が有る。その解決策は、基本的に実行可能であるが、制約を受ける場合がある。
c)水平な陽子ビームラインでのヨーク源の使用
通常最後の偏向電磁石の下流には、X線管の視野を妨げる四極子、走査用電磁石及びその他の機器など多くの追加機器が有る。この状況は、b)と同様である。
【0043】
a),b)及びc)で言及した制限は、恐らくBEV方向において陽子ビームと同時にX線画像を撮影するとの提案がこれまで見られなかった理由である。
d)最後の90度偏向後に走査を開始する形態でのヨーク源の使用(コンパクトなガントリ)
この場合、X線照射野のビーム経路内には(関連する)物質は無い。例えば、PSIのガントリ2に関するデータを使用する場合、開いた面積は、少なくとも17cm×25cmとなる。ビーム内の物質は、空気、真空窓及びビームモニタの薄いマイラーホイルだけで構成される。この量は、陽子ビームに対してほぼ透過的であり、同様にX線に対しても妨害するようなものとは考えられない。X線に対して開いた面積(視野)は、適度に広い面積に渡って解剖学的構造を観察するのに十分な広さである。
【0044】
解決策a)、b)及びc)が、制限付きで実現可能であると判断することができる場合、解決策d)は、この課題に対して最適であると思われる。
【0045】
従って、ここで提案している構成b)、c)、並びに特に、d)は、ビーム送出中に撮影されるBEVによるX線画像のデータに基づき、任意選択として陽子ビームの位置を動的に補正することによって、標的の動きをオンラインで観察、補正するために実現可能な最善の構成を表すものと要約することができる。
【0046】
図3aでは、陽子ビームBは左から来る。陽子ビームの横方向の拡散は、90度偏向電磁石A3で患者の方向に偏向される前にビームBに作用する二つの掃引用電磁石WT,WUでの磁気偏向によって行われる。この構成では、ビームB内には殆ど物質が配置されていない。X線は、陽子ビームBと同時に90度偏向電磁石A3のヨークの穴Yhを通して展開して行く。これは、実質的に最も好ましいレイアウトである。
【0047】
図3bでは、長行程ガントリに対して同じ状況が図示されている。走査を使用する場合、掃引用電磁石WT’,WU’の間隙がX線照射野の伝達に対して十分大きい場合、図3aと同じ手法を使用することができる。散乱の場合、ビーム経路内の散乱する機器及びコリメータ開口部によって与えられる制限のために生じる可能性の有る制約に直面しなければならない(動く腫瘍は通常小さい標的であることを想起すべきである)。
【0048】
図4は、図解を目的とした、PSIのガントリ2で実現された着脱可能なBEVイメージャーを備えた治療テーブルの想像図である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ガントリシステムの模式的な横断面図
【図2】図1に図示したガントリシステムのビーム用光学部品の模式的な横断面図
【図3a】最後のビーム偏向電磁石にX線放射用ヨーク穴を有するガントリシステムの模式的な横断面図
【図3b】最後のビーム偏向電磁石にX線放射用ヨーク穴を有するガントリシステムの模式的な横断面図
【図4】図1及び図2によるガントリシステムにおいて実現された着脱可能なBEVイメージャーを備えた治療テーブルの想像図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物内の所定体積に対する強度変調による陽子線治療のためのシステム(G)であって、
a)陽子ビーム(B)を生成するための陽子源と、
b)多数の陽子ビーム偏向及び/又は集束ユニットと、
c)陽子ビーム(B)を目標物の所定の標的体積に浸透させるための出口を有し、それにより断層走査用出口領域を画定するビームノズル(N)と、
d)ノズル(N)の上流に配置されたビーム偏向電磁石(A3)と、
e)X線管(XS)及びX線イメージャー(Im)であって、X線管(XS)がビーム偏向電磁石(A3)内の照射チャネル(Yn)と連結され、この照射チャネル(Yh)が、公称陽子ビーム方向(BD)の延長線上に沿った方向を向いており、それによりX線ビームを陽子ビーム方向に沿って送出するX線管及びX線イメージャーと、
を備えたシステム。
【請求項2】
a)当該の陽子ビーム(B)が当該のビーム偏向電磁石(A3)に入る前に陽子ビーム(B)を二つの横方向(T,U)に掃引するために、当該のビーム偏向電磁石(A3)の上流に配置された一対の掃引用電磁石(WT,WU)を更に備え、
b)当該の掃引用電磁石(WT,WU)及び当該のビーム偏向電磁石(A3)が、断層走査領域全体に渡っての平行なビームの向きを保証するように制御される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
X線ビームが陽子ビームと同時に送出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
イメージャー(Im)が、当該の目標物内の標的体積の下流に、即ち、陽子ビーム(B)の方向を見て下流に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項5】
ビームの向きに対して相対的な標的体積の位置を計測する第一の手段が配備され、
この第一の手段が、解剖学的標識及び/又は目標物に付けられた追加的なマーカーの位置を計測する第二の手段を備え、それにより、標的体積に対して相対的な解剖学的標識及び/又は追加的なマーカーの位置が、治療位置においてX線イメージャー(Im)から得られた画像を評価することによって分かり、任意選択として、この画像が更にCTにより事前に撮影された4D画像と比較されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項6】
当該の掃引用電磁石(WT,WU)及び/又は当該のビーム偏向電磁石(A3)は、掃引用電磁石(WT,WU)及び/又はビーム偏向電磁石(A3)の制御手段に対して補正データを適用することにより治療すべき標的体積の動きを補償するように制御され、この補正データが、標的体積の位置の計測から得られることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
当該の標的体積の位置を計測する第一の手段が、標的体積の如何なる横方向の動きをも追尾する手段であることを特徴とする請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
陽子ビーム(B)が、呼吸サイクルによる胸部の動きなどの目標物の予測された動きと一致するか、或いは呼吸サイクルの休止期間中などの目標物の予測された動きの無い段階と一致する形で同期して送出されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項9】
陽子ビーム(B)が、所望の同期化に従って不連続に送出されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
目標物内の所定体積に対する強度変調による陽子線治療を施すための方法であって、
a)陽子ビームを生成するための陽子源を配備する措置と、
b)陽子ビーム(B)を所定の手法で偏向及び/又は集束させるための多数の陽子ビーム偏向及び/又は集束ユニットを配備する措置と、
c)陽子ビーム(B)を目標物の所定の標的体積に浸透させるための陽子ビーム(B)用出口を有するビームノズル(N)を配備する措置と、
d)ノズル(N)の上流に位置するビーム偏向電磁石(A3)を配備する措置と、
e)ビーム偏向電磁石(A3)内の照射チャネル(Yh)に沿ってX線ビームを加える措置であって、この照射チャネル(Yh)が、X線ビームを陽子ビーム方向に沿って標的体積に送出するために、公称陽子ビーム方向(BD)の延長線上に沿った方向に向けられている措置と、
を有する方法。
【請求項11】
a)当該の陽子ビーム(B)が当該のビーム偏向電磁石(A3)内に入る前に陽子ビーム(B)を二つの横方向(T,U)に掃引させるために、ビーム偏向電磁石(A3)の上流に位置する一対の掃引用電磁石(WT,WU)を配備する措置と、
b)ノズル(N)によって画定される断層走査領域全体に渡っての平行なビームの向きを保証するように、当該の掃引用電磁石(WT,WU)及び/又は当該のビーム偏向電磁石(A3)を制御する措置と、
を更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
X線ビームを陽子ビームと同時に送出することを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
当該の目標物内の標的体積の下流に、即ち、陽子ビーム(B)の方向に見て下流にイメージャー(Im)を配置することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
解剖学的標識及び/又は目標物に付けられた追加的なマーカーの位置を計測することによって、ビームの向きに対して相対的な標的体積の位置を計測し、それにより、標的体積に対して相対的な解剖学的標識及び/又は追加的なマーカーの位置が、X線イメージャー(Im)から得られた画像を評価することによって分かることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
掃引用電磁石及び/又はビーム偏向電磁石の制御手段に対して補正データを適用することにより治療すべき標的体積の動きを補償するように、当該の掃引用電磁石(WT,WU)及び/又は当該のビーム偏向電磁石(A3)を制御し、それにより、標的体積の位置の計測から当該の補正データを取得することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
標的体積の位置の計測を使用して、標的体積の如何なる横方向の動きをも追尾することを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
呼吸サイクルによる胸部の動きなどの目標物の予測された動きと一致させるか、或いは呼吸サイクルの休止期間中などの目標物の予測された動きの無い段階と一致させる形で同期して陽子ビームを送出することを特徴とする請求項10〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
所望の同期化に従って不連続に陽子ビームを送出することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−532597(P2008−532597A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500054(P2008−500054)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003907
【国際公開番号】WO2006/094533
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(501494414)パウル・シェラー・インスティトゥート (19)
【Fターム(参考)】