障害物検出装置
【課題】簡単且つ安価な構成で至近距離まで接近することなく輪どめなどの低い障害物を判定できるようにする。
【解決手段】自動車10の後部のバンパーよりも高い位置に送受信機3を配置し、後方に向けて超音波を送信して検出対象物からの反射波を受信する。このとき、受信する反射波のピーク値を検出して記憶する。自動車10が後方に移動するに従ってピーク値が変化するのをピーク値差分として算出し、検出エリアS内から外れる路面付近障害物Pの場合にはピーク値差分が「負」となることで判定できる。
【解決手段】自動車10の後部のバンパーよりも高い位置に送受信機3を配置し、後方に向けて超音波を送信して検出対象物からの反射波を受信する。このとき、受信する反射波のピーク値を検出して記憶する。自動車10が後方に移動するに従ってピーク値が変化するのをピーク値差分として算出し、検出エリアS内から外れる路面付近障害物Pの場合にはピーク値差分が「負」となることで判定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の進行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を車庫や駐車場に駐車する場合などで、特にバックで駐車スペースに移動するときには、輪どめやポールあるいは壁など障害物の種類を判別した上で適切な駐車を行なう必要がある。この場合に、使用者が事前に駐車スペースに輪どめが設置されているかどうか等の状況を確認し忘れた場合には、適切な駐車を行うことが難しくなってしまう。また、路面からの高さが低い輪どめなどは目視では直接確認をすることが難しい。そこで、例えば特許文献1に示す技術がある。
【0003】
このものは、アレイ状に配置した素子から送信波を送信し、障害物からの反射波を各素子で受信し、送信開始から受信タイミングまでの時間差から障害物までの距離を、各受信信号の位相差から障害物の方向を算出するようにしている。これによって、障害物の位置を特定し、輪どめかポールかあるいは壁かその他の物かといった障害物の種類の判別を行なうものである。
【0004】
また、特許文献2に示されるものでは、輪どめを検出するために、ビーム状の超音波を下方に向けて放射し、路面からの反射波を受信している状態から路面よりも高い位置の輪どめからの反射波を受信することで、受信時間が変化するのを検出して輪どめを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−343309号公報
【特許文献2】特開平07−92263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1のものでは、対象物の種類を判別するための構成として複数の素子をアレイ状に配置するため装置が高価になる。また、特許文献2のものでは、輪どめのような路面からの高さが低い障害物を検出するため、輪どめ以外のポールの検出や壁の検出などは別途検出する構成が必要であるし、至近距離で下方に向けて検出を行なう原理上、判別するタイミングが遅れる。
【0007】
本発明は上記事項を考慮してなされたもので、その目的は、簡単且つ安価な構成を採用しつつ、至近距離まで接近することなく輪どめなどの低い障害物とポールや壁などの高い障害物を判別することができるようにした障害物判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の障害物検出装置によれば、送受信機の送信手段により所定期間毎に探査波を送信し、受信手段により検出エリア方向から入射する反射波を受信し、ピーク値検出部により、受信手段が受信した反射波のピーク値を検出してこれを記憶する。差分算出部により、車両が検出対象物に接近する移動に伴い変化するピーク値の値の差分を算出し、対象物判定部により、算出された差分の値が「負」の値であるときに検出対象物の種類が路面付近に存在する路面付近障害物と判定し、「正」の値であるときに検出対象物の種類が路面付近よりも高い位置に存在するその他の障害物と判定する。
【0009】
これにより、対象物の種類を判別するための構成として複数の素子をアレイ状に配置するための装置が不要となり、簡単且つ安価な構成を採用しつつ、車両が移動して検出対象物に近接することで検出対象物が路面付近障害物か否かを判別することができる。
【0010】
請求項2の障害物検出装置によれば、上記発明において、対象物判定部により、検出対象物の種類が路面付近障害物であることを判定する場合に、車両が前記検出対象物に接近する移動に伴い前記検出対象物が当該検出エリア内から外れることで前記差分の値が「負」となる位置で行うので、路面付近障害物のような高さが低い検出対象物からの反射波を受信している状態では、車両が接近移動するに従って送受信機による検出エリアから外れてしまうので、そのタイミングで判定をすることができる。換言すれば、路面付近障害物の検出を所定の距離で検出したい場合には、検出対象物として検出したい高さに応じて検出エリアと距離を設定することで確実に検出することができるようになる。
【0011】
請求項3の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送受信機を、車両のバンパよりも高い位置に設けるので、受信手段の検出エリアを高く設定することで路面付近障害物の判定を車両から離れた位置で検出するのに適したものとすることができる。この場合、受信手段の検出エリアの設定角度や受信可能な角度範囲などに応じて高さを調整することで所望の検出距離で路面付近障害物の判定を行うことができるものである。
【0012】
請求項4の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送信手段が探査波を送信してから受信手段が検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と探査波の速度に基づいて検出対象物までの直線距離を算出する直線距離算出手段を設けると共に、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物と判定されたときに、直線距離算出手段により検出された距離と送受信機の高さとから路面付近障害物までの水平距離を算出する水平距離算出手段を設けたので、受信手段と路面付近障害物との高さの違いによる検出誤差を低減し、車両と路面付近障害物との間の水平距離を精度良く検出することができる。
【0013】
請求項5の障害物検出装置によれば、上記請求項4の発明において、送受信機の受信手段と同じ高さで所定間隔を存した位置に設けられ、検出エリア方向から入射する探査波の検出対象物による反射波を受信する水平方向検知用受信手段を設けると共に、受信手段および水平方向検知用受信手段により受信した反射波の信号の位相差を検出して検出基準方向に対する傾き角度として検出対象物の存在水平方位を検出する水平方位検出部と、直線距離算出手段により検出された距離と送受信機の高さとから、路面付近障害物の存在垂直方位を算出する垂直方位検出部とを設け、水平方位検出部により検出対象物の存在方位を検出したときに、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物であることを判定した場合には、垂直方位検出部により算出される存在垂直方位の算出結果に基づいて存在水平方位補正手段により存在水平方位を補正するので、受信手段と路面付近障害物との高さの違いに起因して検出する存在水平方位がずれるのを補正して正確な存在水平方位を得ることができる。さらに、垂直方向検知用受信手段を必要とすることなく水平方向検知用受信手段のみで存在垂直方位をも検知することができるため、単純な構成で障害物の3次元位置を検出することも可能となる。
【0014】
請求項6の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送受信機の構成を、送信手段および受信手段に加えて、車両の送受信機よりも低い位置に外部に向けて配設され、検出エリア方向から入射する探査波の検出対象物による反射波を受信する低位置受信手段を設けたものとし、探査波を送信してから低位置受信手段により検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と探査波の速度に基づいて検出対象物までの距離を算出する距離算出手段を設け、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物と判定された場合に、距離算出手段により算出された距離を検出対象物までの距離として検出する。これにより、反射波の受信で路面付近障害物を判定した後に、受信手段による路面付近障害物からの反射波を受信できなくなるのを、代わって低位置受信手段により受信することで車両の移動に伴って接近する路面付近障害物までの距離を検出することができるようになる。
【0015】
請求項7の障害物検出装置によれば、上記各発明において、対象物判定部により判定された検出対象物の種類に応じて異なる報知動作を行う報知手段を設けるので、使用者が車両の運転動作をしている状況においても、報知手段による報知動作で車両の進行方向に存在する検出対象物が路面付近障害物であるのか、その他の障害物であるのかという運転に必要な情報を的確に提供することができる。
【0016】
請求項8の障害物検出装置によれば、上記請求項7の発明において、報知手段を、報知音を出力する構成として検出対象物の種類に応じて異なる報知音を出力する様にしたので、使用者は報知手段から出力される報知音を聞くことで車両の進行方向に存在する検出対象物が路面付近障害物であるのかその他の障害物であるのかを認識することができる。
【0017】
また、請求項9の障害物検出装置によれば、上記請求項7の発明において、報知手段として表示部を設け、検出対象物の種類に応じて異なる表示を行うことようにしたので、表示部を視認することで検出対象物が路面付近障害物であるのかその他の障害物であるのかを簡単かつ迅速に判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電気的構成図
【図2】送受信機の搭載部位を示す図
【図3】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図4】検出動作の説明図
【図5】検出結果の一例を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す検出対象物の判定動作のフローチャート
【図7】検出動作の説明図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す電気的構成図
【図9】報知パターンの説明図
【図10】表示の例を示す説明図(その1)
【図11】表示の例を示す説明図(その2)
【図12】本発明の第4の実施形態を示す電気的構成図
【図13】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図14】検出動作の説明図
【図15】本発明の第5の実施形態を示す電気的構成図
【図16】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図17】検出動作の説明図
【図18】検出データと補正値の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は概略的な電気的構成を示すブロック構成図で、障害物検出装置1は、ECU(electronic control unit)2と送受信機3とから構成されている。ECU2は、マイクロコンピュータなどの演算処理機能を有する制御部を主体としてROM、RAMあるいは不揮発性メモリなどの記憶部と各種のデータの授受を行うためのインターフェースなどから構成されるもので、あらかじめ障害物判定処理プログラムが記憶されている。
【0020】
また、ECU2は、障害物判定処理機能を実施するための構成として、図示のような機能ブロックから構成されている。ECU2を構成する機能ブロックは、送信信号生成部2a、ピーク値検出部2b、ピーク値記憶部2c、ピーク値差分算出部2d、障害物判定部2eである。
【0021】
送受信機3は、超音波を探査波として送信する超音波送信器(送信手段)4と反射波となって戻ってくる超音波を受信する超音波受信器(受信手段)5から構成されている。超音波送信器4および超音波受信器5は別々のものとして構成しているが、これらは一体のセンサ本体として構成されていて、超音波を検出エリアに向けて送信すると共に、検出対象物にあたって反射して検出エリアから戻る反射波を受信することができる。なお、超音波送信器4および超音波受信器5は、1個の超音波素子を送信手段および受信手段に切り替えて使用することで兼用する構成とすることもできる。
【0022】
超音波送信器4は、探査波として出力する超音波を例えば20〜100kHzの範囲の周波数に設定されている。また、一回の探査波として例えば十〜数十パルスを連続的に出力するものとし、これを所定期間毎に繰り返して送信している。また、超音波を送信する範囲は、超音波送信器4の送信面方向において所定の角度範囲に設定されており、超音波受信器5は、同じく受信面方向において所定の角度範囲αとなる検出エリアSからの反射波を受信するように構成されている。
【0023】
図2は送受信機3の具体的な配置位置を示すもので、例えば、図2(a)に示すように、自動車(車両)10の後部のナンバープレート11の上部位置に設けられている。なお、送受信機3の配置位置としては、リアウインド12のウォッシャノズル13部分に埋め込み配置することもできる。また、後方の障害物検出だけでなく、前方を検出しようとする場合には、自動車10の前部のラジエータグリル14の内部に設けることもできるし、コーナー部の障害物検出を行なうものでは、ヘッドライト15の内部に設けることもできる。このように、配置位置は少なくとも自動車のバンパ高さより高い位置、即ち地上から50cmより高い位置とすることが望ましい。できれば1m程度とすることが望ましい。
【0024】
次に、図3および図4を参照しながら障害物の検出動作について説明する。図3はECU2により実行される障害物判定処理の概略的な流れを示すもので、あらかじめ記憶されている障害物判定処理プログラムが駐車時などの適宜のタイミングで実行される。図4は障害物判定処理の動作を具体的に示すもので、障害物が「輪どめ」や「縁石」などの路面付近障害物Pである場合(図4(a)の場合)と、障害物が「壁」や「ポール」などのその他の障害物Qである場合(図4(b)の場合)に分けて示している。また、図4(c)は、それら障害物P、Qの種類に応じて検出信号が異なる結果となることを示している。
【0025】
ECU2は、自動車10がバックをするタイミング、例えばシフトレバーがバックに設定されたタイミングで障害物判定処理プログラムを実行開始し、以後これを所定時間間隔で繰り返し実行する(図3)。このとき、ECU2は、送信信号生成部2aにより超音波の送信信号を出力するための送信信号を送受信機3の超音波送信器4に与える。これにより、超音波送信器4は、前述した所定周波数の超音波で十〜数十パルスをひとつの送信信号として繰り返し出力する超音波信号を探査波として検出エリアSに向けて送信する。
【0026】
検出エリアSは、例えば送受信機3の配置位置から前方(自動車10の後方)に向かう方向に対して例えば角度αの範囲の広がりをもって設定されるものである。この検出エリアS内に検出対象物である「輪どめ」、「縁石」、「壁」、「ポール」などが存在すると、それら検出対象物に超音波信号が当たって反射する。その反射波は超音波受信器5により検出される。
【0027】
ECU2は、図3に示すように、まずピーク値検出部2bにより、超音波受信器5が受信した反射波の最大値をピーク値として検出すると共に、これをピーク値記憶部2cに記憶させる(S1)。次に、ECU2は、ピーク値差分算出部2dにより、規定時間内のピーク値として例えばピーク値記憶部2cに前回記憶したピーク値とピーク値検出部2bにより検出されたピーク値との差分を算出する(S2)。
【0028】
続いて、ECU2は、障害物判定部2eにより、算出されたピーク値差分の値が「負」の値であるか否かを判断し(S3)、「YES」のときつまりピーク値差分の値が「負」であるときには反射波を発生した検出対象物が「輪どめ」や「縁石」などの路面付近障害物Pであると判定し(S4)、「NO」のときつまりピーク値差分の値が「負」でないときには検出対象物が「壁」や「ポール」などのその他の障害物Qであると判定する(S5)。
【0029】
次に、上記の判定を行う原理について図4を参照して説明する。図4(a)は自動車10の後方に「輪どめ」などの路面付近障害物Pが存在する状態を示しており、図4(b)は「ポール」などのその他の障害物Qが存在する状態を示している。自動車10は、離れた位置から順次10(A)、10(B)、10(C)として示している。
【0030】
図4(a)において、自動車10(A)の位置では、送受信機3の検出エリアS(A)内に路面付近障害物Pが位置する(距離dA)状態である。自動車10(B)の位置では、検出エリアS(B)の境界部分に路面付近障害物Pが位置する(距離dB)状態である。自動車10(C)の位置では、検出エリアS(C)の外に路面付近障害物Pが位置する(距離dC)状態である。一方、図4(b)では、自動車10(A)〜10(C)のいずれの位置においても「ポール」であるその他の障害物Qは送受信機3の検出エリアS(A)〜S(C)内に位置する状態である。
【0031】
いま、自動車10(A)の位置では、送受信機3は、路面付近障害物Pあるいはその他の障害物Qのいずれからも反射波を受信するので、同等のピーク値を検出している。また、障害物P、Qのいずれからも反射波を受信する自動車10(A)の位置では、自動車10の移動により近接して距離dAが小さくなると反射波のピーク値も大きくなっていく。この状態では、まだ検出対象物が路面付近障害物Pかその他の障害物Qであるかの判別はできない。
【0032】
次に、自動車10が、自動車10(B)の位置を超えて自動車10(C)の位置に近接するように移動すると、自動車10(B)の位置を境界として両者の検出対象物からの反射波のピーク値に差が生ずる。すなわち、路面付近障害物Pは高さが低いため、自動車10が距離dBよりも短い距離に近接すると、図4(a)に示しているように検出エリアS(C)から外れることにより、反射波が送受信機3の超音波受信器5に到達する成分が急激に減少するため検出されるピーク値も低下する。一方、その他の障害物Qについては、自動車10が近接するように移動しても、検出エリアS内に位置しているので、距離dAからdCへと近接するに従って反射波のピーク値は大きい値となって検出される。
【0033】
この結果、路面付近障害物Pとその他の障害物Qとでは、送受信機3との水平距離dに応じて図4(c)に示すようなピーク値の変化を呈する。すなわち距離dBよりも近接した位置に移動したときに、ピーク値の値の変化が異なる状態を呈する。そして、前述したピーク値差分の値が「負」つまりピーク値が小さくなるように変化したときは路面付近障害物Pであり、ピーク値差分の値が「負」とならない場合にはその他の障害物Qであることが判定できる。
【0034】
図5は実際に測定を実施した場合の結果を示している。障害物までの水平距離を横軸にとり反射波のピーク値を縦軸にとると、たとえば検出対象物である障害物P、Qまでの距離が0.9mから0.6m付近までは近接するに従ってピーク値が増大する傾向にあり、その後さらに接近すると路面付近障害物Pのピーク値が低下し、その他の障害物Qのピーク値はそのまま増大する傾向にあることが分かる。これにより、自動車10が後方に移動して検出対象物に0.5m程度まで近接したときに、路面付近障害物Pであるのかその他の障害物Qであるのかが判定できる。
【0035】
このような第1の実施形態によれば、一対の超音波送信器4と超音波受信器5からなる送受信機3を設ける簡単な構成としながら、ECU2により、その反射波のピーク値を検出して差分を算出することで、検出対象物が路面付近障害物Pであるかその他の障害物Qであるかを判定することができる。
また、これによって、この判定結果を運転支援を行うための情報として有効に利用することができる。例えば自動車10を駐車させるときのガイド情報として利用することができる。また、障害物の種類に応じて運転操作を制御する情報として利用することで衝突するなどの不具合を回避させるなどの応用技術に適用できる。
【0036】
なお、上記構成において、送受信機3の配置位置と検出エリアSとの関係は、検出対象物として路面付近障害物Pを検出するときの水平距離に影響を与える。すなわち、検出エリアSの広がり角度αが小さい場合や、送受信機3の配置高さが高い場合には、検出エリアSから路面付近障害物Pが外れる距離が遠くなる。一方、反射波の強度は水平距離が長くなると減衰が大きくなるので、正確に検出して判定動作を行うためにはある程度近い距離に設定する必要がある。これらの各条件を検出対象に対応して適切に設定することで所望の検出動作を行うことができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図6および図7は本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、検出対象物が路面付近障害物Pであると判定したときに、その路面付近障害物Pまでの水平距離を算出する機能を付加したところである。送受信機3の配置位置を自動車10のナンバープレート11の上部あるいはリアウインドウのウォッシャノズル13部分としているので、高さが低い路面付近障害物Pのような検出対象物とは高低差があるので、直線距離の検出ができたとしても自動車10からみた水平距離では誤差が生じている。
【0038】
そこで、この実施形態においては、送受信機3との高低差に起因した距離の誤差を補正して正確な水平距離を出力できるようにしている。このため、この実施形態においては、ECU2には、ピーク値検出部2bにおいてピーク値を検出すると共に送信信号を送信してから反射波を受信するまでの受信時間Tを検出する機能が設けられている。また、障害物判定部2eは、図7に示すように、検出した受信時間Tから得られる直線距離Dと送受信機3の配置高さHとの関係から水平距離dを算出する。
【0039】
図6は障害物判定処理プログラムを示している。以下、第1の実施形態と異なる処理について説明する。ECU2は、反射波のピーク値を検出すると共にこれをピーク値記憶部2cに記憶する処理においては、受信時間Tも同時に検出している(S1a)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときに、そのときの受信時間Tから路面付近障害物Pまでの直線距離Dを算出する(S6)。これは、超音波の音速Vと受信時間Tの片道分の時間つまりT/2を乗じて得られるものである。
【0040】
路面付近障害物Pまでの直線距離Dが求められると、ECU2は、送受信機3の高さHとの関係から、路面付近障害物Pまでの水平距離dの演算を行う(S7)。これは、一般的な三平方の定理に基づいた演算で、
d=√(D2−H2)
で得られる。
【0041】
なお、検出対象物がその他の障害物Qであった場合には、ECU2は、同じく直線距離Dを算出し(S8)、これを水平距離dとして得ることができる。これによって、検出対象物が路面付近障害物Pであった場合でも、その水平距離dを正確に検出することができるようになる。
【0042】
このような第2の実施形態によれば、検出対象物からの反射波の受信時間Tを検出すると共に、障害物判定部2eにより、その受信時間Tから算出される直線距離Dから路面付近障害物Pの場合には演算を行って水平距離を求めることができるので、検出対象物の種類に応じた水平距離を正確に検出することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図8〜図11は本発明の第3の実施形態を示すもので、上記各実施形態と異なるところは、報知手段としての表示器(表示手段)16および報知手段としてのスピーカ(発音手段)17を設ける構成としたところである。この実施形態においては、表示器16あるいはスピーカ17により判定した検出対象物が路面付近障害物Pであるのかその他の障害物Qであるのかを表示あるいは音声により運転者あるいは搭乗者に伝えようとするものである。
【0044】
ECU2は、障害物判定処理プログラムを実行して、検出対象物が路面近傍障害物Pであるかその他の障害物Qであるかを判定したときには、その結果に応じて報知動作を行う。報知動作においては、スピーカ17により「音」の出力の仕方の違いによって種類を報知する方式として、例えば図9に示すような報知パターンがある。
【0045】
第1の報知パターンは、「ポール」、「壁」などのその他の障害物Qが判定されたときには、高い音をスピーカ17から出力し、「輪どめ」、「縁石」などの路面付近障害物Pが判定されたときには、低い音を出力する。
第2の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには大きい音を出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには小さい音を出力する。
第3の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには「ピーピーピー」といった長い音を繰り返しパターンで出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには「ピッピッピッ」といった短い音を繰り返しパターンで出力する。
第4の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには「障害物があります」といった音声を合成音声により出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには「下方に障害物があります」といった音声を合成音声により出力する。
【0046】
なお、ここには以上のような4通りの報知パターンを示したが、この他にも、運転者が聞くだけで区別をすることができる報知パターンであれば何でもよい。また、近づくに従って音を高く変化させたり、音量を大きくしたり、あるいは報知パターンの繰り返し周期を短くしたり、さらには音声による報知を変えたりすることで距離的な要素も音で識別可能とすることもできるし、さらには使用者がより認識しやすいパターンを選んで設定するようにしても良い。
【0047】
また、表示器16により表示させる例としては、図10(a)に示すように、表示器16に自動車の絵柄Aとその自動車の後方に縦横3個ずつの9個のセグメントからなる表示パターン18が示される。この表示器16の表示態様として、ポールや壁などのその他の障害物Qが判定されたときには、ECU2は、図10(b)に示すように、表示器16の表示パターン18のうち、縦方向の3個を点灯表示させる。このとき、第2の実施形態のように検出対象物までの水平距離dを算出する構成の場合は、検出位置に応じて表示させる位置を変えることができる。
【0048】
また、表示器16の表示態様として、輪どめや縁石などの路面付近障害物Pが判定されたときには、ECU2は、図10(c)あるいは(d)に示すように、表示器16の表示パターン18のうち、一番下のセグメント18c、18d、18eのいずれかを点灯表示っせる。また、このとき、第2の実施形態のように検出対象物までの水平距離dを算出する構成の場合は、検出位置に応じて18d、18c、18eの位置を表示させることができる。
【0049】
ECU2による表示パターン18の点灯表示の方式としては、点滅動作を行わせても良いし、検出対象物の種類に応じて色も変えて表示させても良い。さらには、スピーカ17による音声報知の動作と組み合わせてより報知動作を行わせることができ、より確実に認識できるようになる。
【0050】
図11は、送受信機3をヘッドライト15に配設した場合などに適合する表示例を示している。たとえば、コーナーセンサとして障害物検出装置を設ける場合に、コーナー部に対応する表示パターン19を設ける。表示パターン19は、例えば遠距離、中距離、近距離に応じて3つのセグメント19a、19b、19cが設定されている。また、検出対象物の種類に応じて表示色を異なるように表示させる構成とする。そして、たとえばその他の障害物Qの場合には緑色表示、路面付近障害物Pの場合には赤色表示でセグメント19a〜19cを検出距離に応じて点灯表示させる。これにより、使用者は視覚的に認識しやすいものとなる。
【0051】
このような第3の実施形態によれば、報知手段として表示器16、スピーカ17を設けて、検出対象物が路面付近障害物Pであるかその他の障害物Qであるのかの判定結果に応じて、それを表示により示したり、音声により認識可能とする構成としたので、検出対象物が判定されるとこれを確実に認識することができるようになる。
【0052】
(第4の実施形態)
図12〜図14は本発明の第4の実施形態を示すもので、以下、第2の実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態においては、送受信機3に加えて低位置受信手段としての超音波受信器20を新たに設ける構成としている。この超音波受信器20は、たとえば自動車10のリアバンパ21に埋め込み配設されている(図14参照)。なお、超音波受信器20は、この高さに配設されることで、その検出エリアFが検出エリアSよりも低い高さに設定され、送受信機3の検出エリアSがカバーできない領域について反射波の受信領域としてカバーすることができる。この場合、送受信機3の超音波送信器4から送信される超音波は、超音波受信器5の検出エリアSよりも広い角度範囲に出力されるように構成されている。
【0053】
図13はECU2による障害物判定処理プログラムを示している。以下、第2の実施形態と異なる処理について説明する。なお、実質的に同じ処理であっても、超音波受信器5に加えて低位置受信手段として超音波受信器20を付加した構成としていることから、その区別をするための処理部分についても説明する。
【0054】
ECU2は、高位置にある送受信機3の超音波受信器5により反射波のピーク値および受信時間Tを検出すると共にこれをピーク値記憶部2cに記憶する(S1b)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときには、その後の反射波の受信を超音波受信器20により行うように切り替える(S9)。これにより、路面付近障害物Pを判定した時点で超音波受信器5の検出エリアSから外れたためにその後の検出動作ができなくなるところ、検出エリアFを有する超音波受信器20により引き続き受信可能となり、路面付近障害物Pの検出動作を行うことができる。
【0055】
図14はその検出動作の様子を説明するためのもので、図14(a)は、自動車10が路面付近障害物Pからの水平距離dBの位置10(B)にある状態を示している。この状態では、まだ送受信機3による検出対象物の種類判定が行われていないので、低位置に設けられた超音波受信器20は検出エリアF(B)が路面付近障害物Pからの反射波を受信可能な範囲にあるが、受信動作を行っていない。
【0056】
そして、自動車10がさらに後方に移動して、図14(b)に示すように、路面付近障害物Pにさらに接近して水平距離dCの位置10(C)になると、超音波受信器5の検出エリアS(C)の範囲から路面付近障害物Pが外れることにより、前述のようにピーク値差分の算出結果から路面付近障害物Pが判定される。そして、この後は、低位置に設けられた超音波受信器20により反射波の受信が行われる。このとき、超音波受信器20の検出エリアF(C)内には路面付近障害物Pが含まれているのでその存在の判定と距離の検出を行うことができる。
【0057】
このような第4の実施形態によれば、低位置受信手段として超音波受信器20を自動車10のリアバンパ21に設け、路面付近障害物Pを判定した後は、超音波受信器5から超音波受信器20に切り替えて低い位置の検出エリアFを設定して反射波を受信する構成としたので、路面付近障害物Pを判定した後も引き続き検出対象物の検出処理を継続することができる。
なお、超音波受信器5の検出エリアSと超音波受信器20の検出エリアFとは、同じ広がり角度αに設定する構成としても良いし、異なる広がり角度範囲に設定しても良く、検出エリアを検出対象物や検出距離などの必要性に応じて設定することができる。
【0058】
(第5の実施形態)
図15〜図18は本発明の第5の実施形態を示すもので、第2の実施形態と異なるところは、送受信機3に代えて送受信機21を設け、自動車10の後方の障害物について水平方向も検出する構成としたところである。送受信機21は、超音波送信器4と2個の超音波受信器22,23から構成される。2個の超音波受信器22、23は、送信する超音波の半波長(λ/2)の間隔wで水平方向に離間した位置に設けられている。
【0059】
ECU2は、2個の超音波受信器22、23により受信した反射波の位相差ΔΦを検出するように構成され、さらに、2個の超音波受信器22、23のうちの一方もしくは双方により、反射波のピーク値を検出して第1の実施形態と同様にして検出対象物の種類を判定するように構成されている。
【0060】
また、2個の超音波受信器22、23により、受信した反射波の位相差ΔΦから方位角φoを算出する式は、一般的に次式(1)の通りである。また、本実施形態において算出する補正された水平方位角φは次式(2)の通りである。
【0061】
【数1】
式(1)は、図17に示すように、2個の超音波受信器22、23が間隔wだけ離間して配置されているので、反射波が到達する際に方位角φの分だけ経路差が発生することを位相差ΔΦを検出して求めるものである。しかし、この式(1)で算出されるのは、2個の超音波受信器22、23の受信面が配置されるx軸y軸を含むx−y平面に対して垂直なz軸の方向に対して水平方向つまりx−z平面内の方位角φoである。
【0062】
ところが、検出対象物として路面付近障害物Pが判定されたときには、図示のように、反射波が到達するのはx−z平面内の方向に位置する反射点からではなく、角度θだけy軸方向つまり高さ方向に傾いた方向に位置する反射点mからである。したがって、式(1)をあてはめて方位角φoを算出したのでは、x−z平面から到達する場合と経路長が異なることに起因して検出誤差が発生する。このため、検出対象物までの直線距離Dと高さHとから垂直方向の角度θが求められるので、これによって補正したのが式(2)に示す水平方位角φである。
【0063】
図16はECU2による障害物判定処理プログラムを示している。以下、第2の実施形態と異なる処理について説明する。ECU2は、2個の超音波受信器22、23により受信した反射波のピーク値を検出すると共に受信時間Tを検出し、さらに両者の間の受信した位相差ΔΦを検出してこれを記憶する(S1c)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときには、2個の超音波受信器22、23により検出した位相差ΔΦの値と、受信時間Tに基づいて計算した直線距離Dおよび高さHから算出される垂直方向の角度θを用いて式(2)から水平方位角φを算出する(S11)。
【0064】
また、ECU2は、検出対象物がその他の障害物Qであることが判定されたときには、同じく2個の超音波受信器22、23により検出した位相差ΔΦの値を用いて、式(1)から方位角φを算出する(S12)。なお、図18には、垂直方向の角度θを30°とした場合の水平位相差ΔΦと水平方位角φとの相関関係を補正をしたときと垂直方向の角度θを考慮しない場合とで比較して示す相関図である。この図からわかるように、水平位相差ΔΦが大きくなる程算出される水平方位角φの誤差が大となる。たとえば垂直方向の角度θを考慮しない場合には、最大で30°の水平方位角φの誤差が発生していることが分かる。
【0065】
このような第5の実施形態によれば、送受信機21の配置高さと検出対象物が路面付近障害物Pであるときの方位角φの検出誤差を解消してより正確な位置を簡単な構成としながら得ることができる。さらに、2個の超音波受信器で、水平方位角だけでなく、垂直方位角をも得ることができるため、単純な構成で障害物の3次元位置をも検出することも可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
探査波として用いる超音波の周波数は、実用的には、20kHz程度から100kHz程度の範囲で適宜に設定されたものを使用することができる。また、更に低い周波数あるいは高い周波数でも適用することは可能である。
【0067】
さらに、探査波は超音波に限らず、電磁波を使用することもできる。
送受信機の配置位置は、バンパよりも高い位置であれば適宜の高さに配置することができる。
図5に示した検出結果は一例であり、検出距離は送受信機3の配置位置や超音波の出力強度、検出対象物の形状などに依存するので、実際には様々な検出距離を設定することが可能である。
【0068】
上記実施形態において、ピーク値の記憶は、(1)最も大きいレベルの値を更新記憶し、その値との差分を算出する方式としても良いし、(2)毎回ピーク値を記憶し、その記憶したピーク値と次に検出したピーク値との差分を算出する方式としても良いし、さらには、ピーク値を複数回にわたって記憶し、次に検出したピーク値と記憶したそれぞれのピーク値との差分を算出する方式としても良い。
【0069】
また、送受信機3は、1個の超音波送受信機により送信手段と受信手段とを兼用した構成のものを用いることもできる。この場合、超音波を送信した後、残響がある期間は反射波を受信できないが、実質的にはその影響が発生する距離が20cm程度以下の範囲であるので、実用的には支障なく用いることができる。
【0070】
また、送受信機3は、超音波送信器4と超音波受信器5とを備えた構成としているが、別々の位置に設ける構成としても良い。
また、超音波受信器(低位置受信手段)20は、受信器のみの構成としているが、送受信機の構成としても良い。この場合、路面付近障害物が判定された後は、送受信機3から低位置の送受信機に切り替えて使用する。
【0071】
ピーク値を記憶する手段は、ピーク値を累積的に記憶する構成としても良い。検出されたピーク値を過去に検出して記憶している複数のピーク値とそれぞれ差分を算出することでノイズなどの誤差成分によるご検出を防止してその変化による判定を確実にすることができる。
【0072】
車両は、図示した自動車10に限らず、セダンタイプの乗用車でもよいし、トラック、バスなどの大型車両あるいは特殊車両、その他軌道車、工業用や産業用ロボット、電動車椅子など種々のものを対象とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
図面中、1は障害物検出装置、2はECU、2aは送信信号生成部、2bはピーク値検出部、2cはピーク値記憶部、2dはピーク値差分算出部、2eは障害物判定部、3は送受信機、4は超音波送信器(送信手段)、5は超音波受信器(受信手段)、10は自動車(車両)、16は表示器(報知手段)、17はスピーカ(報知手段)、18、19は表示パターン、20は超音波受信器(低位置受信手段)、21は送受信機、22、23は超音波受信器である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の進行方向に存在する障害物を検出する障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を車庫や駐車場に駐車する場合などで、特にバックで駐車スペースに移動するときには、輪どめやポールあるいは壁など障害物の種類を判別した上で適切な駐車を行なう必要がある。この場合に、使用者が事前に駐車スペースに輪どめが設置されているかどうか等の状況を確認し忘れた場合には、適切な駐車を行うことが難しくなってしまう。また、路面からの高さが低い輪どめなどは目視では直接確認をすることが難しい。そこで、例えば特許文献1に示す技術がある。
【0003】
このものは、アレイ状に配置した素子から送信波を送信し、障害物からの反射波を各素子で受信し、送信開始から受信タイミングまでの時間差から障害物までの距離を、各受信信号の位相差から障害物の方向を算出するようにしている。これによって、障害物の位置を特定し、輪どめかポールかあるいは壁かその他の物かといった障害物の種類の判別を行なうものである。
【0004】
また、特許文献2に示されるものでは、輪どめを検出するために、ビーム状の超音波を下方に向けて放射し、路面からの反射波を受信している状態から路面よりも高い位置の輪どめからの反射波を受信することで、受信時間が変化するのを検出して輪どめを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−343309号公報
【特許文献2】特開平07−92263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1のものでは、対象物の種類を判別するための構成として複数の素子をアレイ状に配置するため装置が高価になる。また、特許文献2のものでは、輪どめのような路面からの高さが低い障害物を検出するため、輪どめ以外のポールの検出や壁の検出などは別途検出する構成が必要であるし、至近距離で下方に向けて検出を行なう原理上、判別するタイミングが遅れる。
【0007】
本発明は上記事項を考慮してなされたもので、その目的は、簡単且つ安価な構成を採用しつつ、至近距離まで接近することなく輪どめなどの低い障害物とポールや壁などの高い障害物を判別することができるようにした障害物判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の障害物検出装置によれば、送受信機の送信手段により所定期間毎に探査波を送信し、受信手段により検出エリア方向から入射する反射波を受信し、ピーク値検出部により、受信手段が受信した反射波のピーク値を検出してこれを記憶する。差分算出部により、車両が検出対象物に接近する移動に伴い変化するピーク値の値の差分を算出し、対象物判定部により、算出された差分の値が「負」の値であるときに検出対象物の種類が路面付近に存在する路面付近障害物と判定し、「正」の値であるときに検出対象物の種類が路面付近よりも高い位置に存在するその他の障害物と判定する。
【0009】
これにより、対象物の種類を判別するための構成として複数の素子をアレイ状に配置するための装置が不要となり、簡単且つ安価な構成を採用しつつ、車両が移動して検出対象物に近接することで検出対象物が路面付近障害物か否かを判別することができる。
【0010】
請求項2の障害物検出装置によれば、上記発明において、対象物判定部により、検出対象物の種類が路面付近障害物であることを判定する場合に、車両が前記検出対象物に接近する移動に伴い前記検出対象物が当該検出エリア内から外れることで前記差分の値が「負」となる位置で行うので、路面付近障害物のような高さが低い検出対象物からの反射波を受信している状態では、車両が接近移動するに従って送受信機による検出エリアから外れてしまうので、そのタイミングで判定をすることができる。換言すれば、路面付近障害物の検出を所定の距離で検出したい場合には、検出対象物として検出したい高さに応じて検出エリアと距離を設定することで確実に検出することができるようになる。
【0011】
請求項3の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送受信機を、車両のバンパよりも高い位置に設けるので、受信手段の検出エリアを高く設定することで路面付近障害物の判定を車両から離れた位置で検出するのに適したものとすることができる。この場合、受信手段の検出エリアの設定角度や受信可能な角度範囲などに応じて高さを調整することで所望の検出距離で路面付近障害物の判定を行うことができるものである。
【0012】
請求項4の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送信手段が探査波を送信してから受信手段が検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と探査波の速度に基づいて検出対象物までの直線距離を算出する直線距離算出手段を設けると共に、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物と判定されたときに、直線距離算出手段により検出された距離と送受信機の高さとから路面付近障害物までの水平距離を算出する水平距離算出手段を設けたので、受信手段と路面付近障害物との高さの違いによる検出誤差を低減し、車両と路面付近障害物との間の水平距離を精度良く検出することができる。
【0013】
請求項5の障害物検出装置によれば、上記請求項4の発明において、送受信機の受信手段と同じ高さで所定間隔を存した位置に設けられ、検出エリア方向から入射する探査波の検出対象物による反射波を受信する水平方向検知用受信手段を設けると共に、受信手段および水平方向検知用受信手段により受信した反射波の信号の位相差を検出して検出基準方向に対する傾き角度として検出対象物の存在水平方位を検出する水平方位検出部と、直線距離算出手段により検出された距離と送受信機の高さとから、路面付近障害物の存在垂直方位を算出する垂直方位検出部とを設け、水平方位検出部により検出対象物の存在方位を検出したときに、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物であることを判定した場合には、垂直方位検出部により算出される存在垂直方位の算出結果に基づいて存在水平方位補正手段により存在水平方位を補正するので、受信手段と路面付近障害物との高さの違いに起因して検出する存在水平方位がずれるのを補正して正確な存在水平方位を得ることができる。さらに、垂直方向検知用受信手段を必要とすることなく水平方向検知用受信手段のみで存在垂直方位をも検知することができるため、単純な構成で障害物の3次元位置を検出することも可能となる。
【0014】
請求項6の障害物検出装置によれば、上記各発明において、送受信機の構成を、送信手段および受信手段に加えて、車両の送受信機よりも低い位置に外部に向けて配設され、検出エリア方向から入射する探査波の検出対象物による反射波を受信する低位置受信手段を設けたものとし、探査波を送信してから低位置受信手段により検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と探査波の速度に基づいて検出対象物までの距離を算出する距離算出手段を設け、対象物判定部により検出対象物が路面付近障害物と判定された場合に、距離算出手段により算出された距離を検出対象物までの距離として検出する。これにより、反射波の受信で路面付近障害物を判定した後に、受信手段による路面付近障害物からの反射波を受信できなくなるのを、代わって低位置受信手段により受信することで車両の移動に伴って接近する路面付近障害物までの距離を検出することができるようになる。
【0015】
請求項7の障害物検出装置によれば、上記各発明において、対象物判定部により判定された検出対象物の種類に応じて異なる報知動作を行う報知手段を設けるので、使用者が車両の運転動作をしている状況においても、報知手段による報知動作で車両の進行方向に存在する検出対象物が路面付近障害物であるのか、その他の障害物であるのかという運転に必要な情報を的確に提供することができる。
【0016】
請求項8の障害物検出装置によれば、上記請求項7の発明において、報知手段を、報知音を出力する構成として検出対象物の種類に応じて異なる報知音を出力する様にしたので、使用者は報知手段から出力される報知音を聞くことで車両の進行方向に存在する検出対象物が路面付近障害物であるのかその他の障害物であるのかを認識することができる。
【0017】
また、請求項9の障害物検出装置によれば、上記請求項7の発明において、報知手段として表示部を設け、検出対象物の種類に応じて異なる表示を行うことようにしたので、表示部を視認することで検出対象物が路面付近障害物であるのかその他の障害物であるのかを簡単かつ迅速に判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電気的構成図
【図2】送受信機の搭載部位を示す図
【図3】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図4】検出動作の説明図
【図5】検出結果の一例を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す検出対象物の判定動作のフローチャート
【図7】検出動作の説明図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す電気的構成図
【図9】報知パターンの説明図
【図10】表示の例を示す説明図(その1)
【図11】表示の例を示す説明図(その2)
【図12】本発明の第4の実施形態を示す電気的構成図
【図13】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図14】検出動作の説明図
【図15】本発明の第5の実施形態を示す電気的構成図
【図16】検出対象物の判定動作のフローチャート
【図17】検出動作の説明図
【図18】検出データと補正値の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
図1は概略的な電気的構成を示すブロック構成図で、障害物検出装置1は、ECU(electronic control unit)2と送受信機3とから構成されている。ECU2は、マイクロコンピュータなどの演算処理機能を有する制御部を主体としてROM、RAMあるいは不揮発性メモリなどの記憶部と各種のデータの授受を行うためのインターフェースなどから構成されるもので、あらかじめ障害物判定処理プログラムが記憶されている。
【0020】
また、ECU2は、障害物判定処理機能を実施するための構成として、図示のような機能ブロックから構成されている。ECU2を構成する機能ブロックは、送信信号生成部2a、ピーク値検出部2b、ピーク値記憶部2c、ピーク値差分算出部2d、障害物判定部2eである。
【0021】
送受信機3は、超音波を探査波として送信する超音波送信器(送信手段)4と反射波となって戻ってくる超音波を受信する超音波受信器(受信手段)5から構成されている。超音波送信器4および超音波受信器5は別々のものとして構成しているが、これらは一体のセンサ本体として構成されていて、超音波を検出エリアに向けて送信すると共に、検出対象物にあたって反射して検出エリアから戻る反射波を受信することができる。なお、超音波送信器4および超音波受信器5は、1個の超音波素子を送信手段および受信手段に切り替えて使用することで兼用する構成とすることもできる。
【0022】
超音波送信器4は、探査波として出力する超音波を例えば20〜100kHzの範囲の周波数に設定されている。また、一回の探査波として例えば十〜数十パルスを連続的に出力するものとし、これを所定期間毎に繰り返して送信している。また、超音波を送信する範囲は、超音波送信器4の送信面方向において所定の角度範囲に設定されており、超音波受信器5は、同じく受信面方向において所定の角度範囲αとなる検出エリアSからの反射波を受信するように構成されている。
【0023】
図2は送受信機3の具体的な配置位置を示すもので、例えば、図2(a)に示すように、自動車(車両)10の後部のナンバープレート11の上部位置に設けられている。なお、送受信機3の配置位置としては、リアウインド12のウォッシャノズル13部分に埋め込み配置することもできる。また、後方の障害物検出だけでなく、前方を検出しようとする場合には、自動車10の前部のラジエータグリル14の内部に設けることもできるし、コーナー部の障害物検出を行なうものでは、ヘッドライト15の内部に設けることもできる。このように、配置位置は少なくとも自動車のバンパ高さより高い位置、即ち地上から50cmより高い位置とすることが望ましい。できれば1m程度とすることが望ましい。
【0024】
次に、図3および図4を参照しながら障害物の検出動作について説明する。図3はECU2により実行される障害物判定処理の概略的な流れを示すもので、あらかじめ記憶されている障害物判定処理プログラムが駐車時などの適宜のタイミングで実行される。図4は障害物判定処理の動作を具体的に示すもので、障害物が「輪どめ」や「縁石」などの路面付近障害物Pである場合(図4(a)の場合)と、障害物が「壁」や「ポール」などのその他の障害物Qである場合(図4(b)の場合)に分けて示している。また、図4(c)は、それら障害物P、Qの種類に応じて検出信号が異なる結果となることを示している。
【0025】
ECU2は、自動車10がバックをするタイミング、例えばシフトレバーがバックに設定されたタイミングで障害物判定処理プログラムを実行開始し、以後これを所定時間間隔で繰り返し実行する(図3)。このとき、ECU2は、送信信号生成部2aにより超音波の送信信号を出力するための送信信号を送受信機3の超音波送信器4に与える。これにより、超音波送信器4は、前述した所定周波数の超音波で十〜数十パルスをひとつの送信信号として繰り返し出力する超音波信号を探査波として検出エリアSに向けて送信する。
【0026】
検出エリアSは、例えば送受信機3の配置位置から前方(自動車10の後方)に向かう方向に対して例えば角度αの範囲の広がりをもって設定されるものである。この検出エリアS内に検出対象物である「輪どめ」、「縁石」、「壁」、「ポール」などが存在すると、それら検出対象物に超音波信号が当たって反射する。その反射波は超音波受信器5により検出される。
【0027】
ECU2は、図3に示すように、まずピーク値検出部2bにより、超音波受信器5が受信した反射波の最大値をピーク値として検出すると共に、これをピーク値記憶部2cに記憶させる(S1)。次に、ECU2は、ピーク値差分算出部2dにより、規定時間内のピーク値として例えばピーク値記憶部2cに前回記憶したピーク値とピーク値検出部2bにより検出されたピーク値との差分を算出する(S2)。
【0028】
続いて、ECU2は、障害物判定部2eにより、算出されたピーク値差分の値が「負」の値であるか否かを判断し(S3)、「YES」のときつまりピーク値差分の値が「負」であるときには反射波を発生した検出対象物が「輪どめ」や「縁石」などの路面付近障害物Pであると判定し(S4)、「NO」のときつまりピーク値差分の値が「負」でないときには検出対象物が「壁」や「ポール」などのその他の障害物Qであると判定する(S5)。
【0029】
次に、上記の判定を行う原理について図4を参照して説明する。図4(a)は自動車10の後方に「輪どめ」などの路面付近障害物Pが存在する状態を示しており、図4(b)は「ポール」などのその他の障害物Qが存在する状態を示している。自動車10は、離れた位置から順次10(A)、10(B)、10(C)として示している。
【0030】
図4(a)において、自動車10(A)の位置では、送受信機3の検出エリアS(A)内に路面付近障害物Pが位置する(距離dA)状態である。自動車10(B)の位置では、検出エリアS(B)の境界部分に路面付近障害物Pが位置する(距離dB)状態である。自動車10(C)の位置では、検出エリアS(C)の外に路面付近障害物Pが位置する(距離dC)状態である。一方、図4(b)では、自動車10(A)〜10(C)のいずれの位置においても「ポール」であるその他の障害物Qは送受信機3の検出エリアS(A)〜S(C)内に位置する状態である。
【0031】
いま、自動車10(A)の位置では、送受信機3は、路面付近障害物Pあるいはその他の障害物Qのいずれからも反射波を受信するので、同等のピーク値を検出している。また、障害物P、Qのいずれからも反射波を受信する自動車10(A)の位置では、自動車10の移動により近接して距離dAが小さくなると反射波のピーク値も大きくなっていく。この状態では、まだ検出対象物が路面付近障害物Pかその他の障害物Qであるかの判別はできない。
【0032】
次に、自動車10が、自動車10(B)の位置を超えて自動車10(C)の位置に近接するように移動すると、自動車10(B)の位置を境界として両者の検出対象物からの反射波のピーク値に差が生ずる。すなわち、路面付近障害物Pは高さが低いため、自動車10が距離dBよりも短い距離に近接すると、図4(a)に示しているように検出エリアS(C)から外れることにより、反射波が送受信機3の超音波受信器5に到達する成分が急激に減少するため検出されるピーク値も低下する。一方、その他の障害物Qについては、自動車10が近接するように移動しても、検出エリアS内に位置しているので、距離dAからdCへと近接するに従って反射波のピーク値は大きい値となって検出される。
【0033】
この結果、路面付近障害物Pとその他の障害物Qとでは、送受信機3との水平距離dに応じて図4(c)に示すようなピーク値の変化を呈する。すなわち距離dBよりも近接した位置に移動したときに、ピーク値の値の変化が異なる状態を呈する。そして、前述したピーク値差分の値が「負」つまりピーク値が小さくなるように変化したときは路面付近障害物Pであり、ピーク値差分の値が「負」とならない場合にはその他の障害物Qであることが判定できる。
【0034】
図5は実際に測定を実施した場合の結果を示している。障害物までの水平距離を横軸にとり反射波のピーク値を縦軸にとると、たとえば検出対象物である障害物P、Qまでの距離が0.9mから0.6m付近までは近接するに従ってピーク値が増大する傾向にあり、その後さらに接近すると路面付近障害物Pのピーク値が低下し、その他の障害物Qのピーク値はそのまま増大する傾向にあることが分かる。これにより、自動車10が後方に移動して検出対象物に0.5m程度まで近接したときに、路面付近障害物Pであるのかその他の障害物Qであるのかが判定できる。
【0035】
このような第1の実施形態によれば、一対の超音波送信器4と超音波受信器5からなる送受信機3を設ける簡単な構成としながら、ECU2により、その反射波のピーク値を検出して差分を算出することで、検出対象物が路面付近障害物Pであるかその他の障害物Qであるかを判定することができる。
また、これによって、この判定結果を運転支援を行うための情報として有効に利用することができる。例えば自動車10を駐車させるときのガイド情報として利用することができる。また、障害物の種類に応じて運転操作を制御する情報として利用することで衝突するなどの不具合を回避させるなどの応用技術に適用できる。
【0036】
なお、上記構成において、送受信機3の配置位置と検出エリアSとの関係は、検出対象物として路面付近障害物Pを検出するときの水平距離に影響を与える。すなわち、検出エリアSの広がり角度αが小さい場合や、送受信機3の配置高さが高い場合には、検出エリアSから路面付近障害物Pが外れる距離が遠くなる。一方、反射波の強度は水平距離が長くなると減衰が大きくなるので、正確に検出して判定動作を行うためにはある程度近い距離に設定する必要がある。これらの各条件を検出対象に対応して適切に設定することで所望の検出動作を行うことができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図6および図7は本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、検出対象物が路面付近障害物Pであると判定したときに、その路面付近障害物Pまでの水平距離を算出する機能を付加したところである。送受信機3の配置位置を自動車10のナンバープレート11の上部あるいはリアウインドウのウォッシャノズル13部分としているので、高さが低い路面付近障害物Pのような検出対象物とは高低差があるので、直線距離の検出ができたとしても自動車10からみた水平距離では誤差が生じている。
【0038】
そこで、この実施形態においては、送受信機3との高低差に起因した距離の誤差を補正して正確な水平距離を出力できるようにしている。このため、この実施形態においては、ECU2には、ピーク値検出部2bにおいてピーク値を検出すると共に送信信号を送信してから反射波を受信するまでの受信時間Tを検出する機能が設けられている。また、障害物判定部2eは、図7に示すように、検出した受信時間Tから得られる直線距離Dと送受信機3の配置高さHとの関係から水平距離dを算出する。
【0039】
図6は障害物判定処理プログラムを示している。以下、第1の実施形態と異なる処理について説明する。ECU2は、反射波のピーク値を検出すると共にこれをピーク値記憶部2cに記憶する処理においては、受信時間Tも同時に検出している(S1a)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときに、そのときの受信時間Tから路面付近障害物Pまでの直線距離Dを算出する(S6)。これは、超音波の音速Vと受信時間Tの片道分の時間つまりT/2を乗じて得られるものである。
【0040】
路面付近障害物Pまでの直線距離Dが求められると、ECU2は、送受信機3の高さHとの関係から、路面付近障害物Pまでの水平距離dの演算を行う(S7)。これは、一般的な三平方の定理に基づいた演算で、
d=√(D2−H2)
で得られる。
【0041】
なお、検出対象物がその他の障害物Qであった場合には、ECU2は、同じく直線距離Dを算出し(S8)、これを水平距離dとして得ることができる。これによって、検出対象物が路面付近障害物Pであった場合でも、その水平距離dを正確に検出することができるようになる。
【0042】
このような第2の実施形態によれば、検出対象物からの反射波の受信時間Tを検出すると共に、障害物判定部2eにより、その受信時間Tから算出される直線距離Dから路面付近障害物Pの場合には演算を行って水平距離を求めることができるので、検出対象物の種類に応じた水平距離を正確に検出することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図8〜図11は本発明の第3の実施形態を示すもので、上記各実施形態と異なるところは、報知手段としての表示器(表示手段)16および報知手段としてのスピーカ(発音手段)17を設ける構成としたところである。この実施形態においては、表示器16あるいはスピーカ17により判定した検出対象物が路面付近障害物Pであるのかその他の障害物Qであるのかを表示あるいは音声により運転者あるいは搭乗者に伝えようとするものである。
【0044】
ECU2は、障害物判定処理プログラムを実行して、検出対象物が路面近傍障害物Pであるかその他の障害物Qであるかを判定したときには、その結果に応じて報知動作を行う。報知動作においては、スピーカ17により「音」の出力の仕方の違いによって種類を報知する方式として、例えば図9に示すような報知パターンがある。
【0045】
第1の報知パターンは、「ポール」、「壁」などのその他の障害物Qが判定されたときには、高い音をスピーカ17から出力し、「輪どめ」、「縁石」などの路面付近障害物Pが判定されたときには、低い音を出力する。
第2の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには大きい音を出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには小さい音を出力する。
第3の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには「ピーピーピー」といった長い音を繰り返しパターンで出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには「ピッピッピッ」といった短い音を繰り返しパターンで出力する。
第4の報知パターンは、その他の障害物Qが判定されたときには「障害物があります」といった音声を合成音声により出力し、路面付近障害物Pが判定されたときには「下方に障害物があります」といった音声を合成音声により出力する。
【0046】
なお、ここには以上のような4通りの報知パターンを示したが、この他にも、運転者が聞くだけで区別をすることができる報知パターンであれば何でもよい。また、近づくに従って音を高く変化させたり、音量を大きくしたり、あるいは報知パターンの繰り返し周期を短くしたり、さらには音声による報知を変えたりすることで距離的な要素も音で識別可能とすることもできるし、さらには使用者がより認識しやすいパターンを選んで設定するようにしても良い。
【0047】
また、表示器16により表示させる例としては、図10(a)に示すように、表示器16に自動車の絵柄Aとその自動車の後方に縦横3個ずつの9個のセグメントからなる表示パターン18が示される。この表示器16の表示態様として、ポールや壁などのその他の障害物Qが判定されたときには、ECU2は、図10(b)に示すように、表示器16の表示パターン18のうち、縦方向の3個を点灯表示させる。このとき、第2の実施形態のように検出対象物までの水平距離dを算出する構成の場合は、検出位置に応じて表示させる位置を変えることができる。
【0048】
また、表示器16の表示態様として、輪どめや縁石などの路面付近障害物Pが判定されたときには、ECU2は、図10(c)あるいは(d)に示すように、表示器16の表示パターン18のうち、一番下のセグメント18c、18d、18eのいずれかを点灯表示っせる。また、このとき、第2の実施形態のように検出対象物までの水平距離dを算出する構成の場合は、検出位置に応じて18d、18c、18eの位置を表示させることができる。
【0049】
ECU2による表示パターン18の点灯表示の方式としては、点滅動作を行わせても良いし、検出対象物の種類に応じて色も変えて表示させても良い。さらには、スピーカ17による音声報知の動作と組み合わせてより報知動作を行わせることができ、より確実に認識できるようになる。
【0050】
図11は、送受信機3をヘッドライト15に配設した場合などに適合する表示例を示している。たとえば、コーナーセンサとして障害物検出装置を設ける場合に、コーナー部に対応する表示パターン19を設ける。表示パターン19は、例えば遠距離、中距離、近距離に応じて3つのセグメント19a、19b、19cが設定されている。また、検出対象物の種類に応じて表示色を異なるように表示させる構成とする。そして、たとえばその他の障害物Qの場合には緑色表示、路面付近障害物Pの場合には赤色表示でセグメント19a〜19cを検出距離に応じて点灯表示させる。これにより、使用者は視覚的に認識しやすいものとなる。
【0051】
このような第3の実施形態によれば、報知手段として表示器16、スピーカ17を設けて、検出対象物が路面付近障害物Pであるかその他の障害物Qであるのかの判定結果に応じて、それを表示により示したり、音声により認識可能とする構成としたので、検出対象物が判定されるとこれを確実に認識することができるようになる。
【0052】
(第4の実施形態)
図12〜図14は本発明の第4の実施形態を示すもので、以下、第2の実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態においては、送受信機3に加えて低位置受信手段としての超音波受信器20を新たに設ける構成としている。この超音波受信器20は、たとえば自動車10のリアバンパ21に埋め込み配設されている(図14参照)。なお、超音波受信器20は、この高さに配設されることで、その検出エリアFが検出エリアSよりも低い高さに設定され、送受信機3の検出エリアSがカバーできない領域について反射波の受信領域としてカバーすることができる。この場合、送受信機3の超音波送信器4から送信される超音波は、超音波受信器5の検出エリアSよりも広い角度範囲に出力されるように構成されている。
【0053】
図13はECU2による障害物判定処理プログラムを示している。以下、第2の実施形態と異なる処理について説明する。なお、実質的に同じ処理であっても、超音波受信器5に加えて低位置受信手段として超音波受信器20を付加した構成としていることから、その区別をするための処理部分についても説明する。
【0054】
ECU2は、高位置にある送受信機3の超音波受信器5により反射波のピーク値および受信時間Tを検出すると共にこれをピーク値記憶部2cに記憶する(S1b)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときには、その後の反射波の受信を超音波受信器20により行うように切り替える(S9)。これにより、路面付近障害物Pを判定した時点で超音波受信器5の検出エリアSから外れたためにその後の検出動作ができなくなるところ、検出エリアFを有する超音波受信器20により引き続き受信可能となり、路面付近障害物Pの検出動作を行うことができる。
【0055】
図14はその検出動作の様子を説明するためのもので、図14(a)は、自動車10が路面付近障害物Pからの水平距離dBの位置10(B)にある状態を示している。この状態では、まだ送受信機3による検出対象物の種類判定が行われていないので、低位置に設けられた超音波受信器20は検出エリアF(B)が路面付近障害物Pからの反射波を受信可能な範囲にあるが、受信動作を行っていない。
【0056】
そして、自動車10がさらに後方に移動して、図14(b)に示すように、路面付近障害物Pにさらに接近して水平距離dCの位置10(C)になると、超音波受信器5の検出エリアS(C)の範囲から路面付近障害物Pが外れることにより、前述のようにピーク値差分の算出結果から路面付近障害物Pが判定される。そして、この後は、低位置に設けられた超音波受信器20により反射波の受信が行われる。このとき、超音波受信器20の検出エリアF(C)内には路面付近障害物Pが含まれているのでその存在の判定と距離の検出を行うことができる。
【0057】
このような第4の実施形態によれば、低位置受信手段として超音波受信器20を自動車10のリアバンパ21に設け、路面付近障害物Pを判定した後は、超音波受信器5から超音波受信器20に切り替えて低い位置の検出エリアFを設定して反射波を受信する構成としたので、路面付近障害物Pを判定した後も引き続き検出対象物の検出処理を継続することができる。
なお、超音波受信器5の検出エリアSと超音波受信器20の検出エリアFとは、同じ広がり角度αに設定する構成としても良いし、異なる広がり角度範囲に設定しても良く、検出エリアを検出対象物や検出距離などの必要性に応じて設定することができる。
【0058】
(第5の実施形態)
図15〜図18は本発明の第5の実施形態を示すもので、第2の実施形態と異なるところは、送受信機3に代えて送受信機21を設け、自動車10の後方の障害物について水平方向も検出する構成としたところである。送受信機21は、超音波送信器4と2個の超音波受信器22,23から構成される。2個の超音波受信器22、23は、送信する超音波の半波長(λ/2)の間隔wで水平方向に離間した位置に設けられている。
【0059】
ECU2は、2個の超音波受信器22、23により受信した反射波の位相差ΔΦを検出するように構成され、さらに、2個の超音波受信器22、23のうちの一方もしくは双方により、反射波のピーク値を検出して第1の実施形態と同様にして検出対象物の種類を判定するように構成されている。
【0060】
また、2個の超音波受信器22、23により、受信した反射波の位相差ΔΦから方位角φoを算出する式は、一般的に次式(1)の通りである。また、本実施形態において算出する補正された水平方位角φは次式(2)の通りである。
【0061】
【数1】
式(1)は、図17に示すように、2個の超音波受信器22、23が間隔wだけ離間して配置されているので、反射波が到達する際に方位角φの分だけ経路差が発生することを位相差ΔΦを検出して求めるものである。しかし、この式(1)で算出されるのは、2個の超音波受信器22、23の受信面が配置されるx軸y軸を含むx−y平面に対して垂直なz軸の方向に対して水平方向つまりx−z平面内の方位角φoである。
【0062】
ところが、検出対象物として路面付近障害物Pが判定されたときには、図示のように、反射波が到達するのはx−z平面内の方向に位置する反射点からではなく、角度θだけy軸方向つまり高さ方向に傾いた方向に位置する反射点mからである。したがって、式(1)をあてはめて方位角φoを算出したのでは、x−z平面から到達する場合と経路長が異なることに起因して検出誤差が発生する。このため、検出対象物までの直線距離Dと高さHとから垂直方向の角度θが求められるので、これによって補正したのが式(2)に示す水平方位角φである。
【0063】
図16はECU2による障害物判定処理プログラムを示している。以下、第2の実施形態と異なる処理について説明する。ECU2は、2個の超音波受信器22、23により受信した反射波のピーク値を検出すると共に受信時間Tを検出し、さらに両者の間の受信した位相差ΔΦを検出してこれを記憶する(S1c)。そして、ECU2は、検出対象物が路面付近障害物Pであることが判定されたときには、2個の超音波受信器22、23により検出した位相差ΔΦの値と、受信時間Tに基づいて計算した直線距離Dおよび高さHから算出される垂直方向の角度θを用いて式(2)から水平方位角φを算出する(S11)。
【0064】
また、ECU2は、検出対象物がその他の障害物Qであることが判定されたときには、同じく2個の超音波受信器22、23により検出した位相差ΔΦの値を用いて、式(1)から方位角φを算出する(S12)。なお、図18には、垂直方向の角度θを30°とした場合の水平位相差ΔΦと水平方位角φとの相関関係を補正をしたときと垂直方向の角度θを考慮しない場合とで比較して示す相関図である。この図からわかるように、水平位相差ΔΦが大きくなる程算出される水平方位角φの誤差が大となる。たとえば垂直方向の角度θを考慮しない場合には、最大で30°の水平方位角φの誤差が発生していることが分かる。
【0065】
このような第5の実施形態によれば、送受信機21の配置高さと検出対象物が路面付近障害物Pであるときの方位角φの検出誤差を解消してより正確な位置を簡単な構成としながら得ることができる。さらに、2個の超音波受信器で、水平方位角だけでなく、垂直方位角をも得ることができるため、単純な構成で障害物の3次元位置をも検出することも可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
探査波として用いる超音波の周波数は、実用的には、20kHz程度から100kHz程度の範囲で適宜に設定されたものを使用することができる。また、更に低い周波数あるいは高い周波数でも適用することは可能である。
【0067】
さらに、探査波は超音波に限らず、電磁波を使用することもできる。
送受信機の配置位置は、バンパよりも高い位置であれば適宜の高さに配置することができる。
図5に示した検出結果は一例であり、検出距離は送受信機3の配置位置や超音波の出力強度、検出対象物の形状などに依存するので、実際には様々な検出距離を設定することが可能である。
【0068】
上記実施形態において、ピーク値の記憶は、(1)最も大きいレベルの値を更新記憶し、その値との差分を算出する方式としても良いし、(2)毎回ピーク値を記憶し、その記憶したピーク値と次に検出したピーク値との差分を算出する方式としても良いし、さらには、ピーク値を複数回にわたって記憶し、次に検出したピーク値と記憶したそれぞれのピーク値との差分を算出する方式としても良い。
【0069】
また、送受信機3は、1個の超音波送受信機により送信手段と受信手段とを兼用した構成のものを用いることもできる。この場合、超音波を送信した後、残響がある期間は反射波を受信できないが、実質的にはその影響が発生する距離が20cm程度以下の範囲であるので、実用的には支障なく用いることができる。
【0070】
また、送受信機3は、超音波送信器4と超音波受信器5とを備えた構成としているが、別々の位置に設ける構成としても良い。
また、超音波受信器(低位置受信手段)20は、受信器のみの構成としているが、送受信機の構成としても良い。この場合、路面付近障害物が判定された後は、送受信機3から低位置の送受信機に切り替えて使用する。
【0071】
ピーク値を記憶する手段は、ピーク値を累積的に記憶する構成としても良い。検出されたピーク値を過去に検出して記憶している複数のピーク値とそれぞれ差分を算出することでノイズなどの誤差成分によるご検出を防止してその変化による判定を確実にすることができる。
【0072】
車両は、図示した自動車10に限らず、セダンタイプの乗用車でもよいし、トラック、バスなどの大型車両あるいは特殊車両、その他軌道車、工業用や産業用ロボット、電動車椅子など種々のものを対象とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
図面中、1は障害物検出装置、2はECU、2aは送信信号生成部、2bはピーク値検出部、2cはピーク値記憶部、2dはピーク値差分算出部、2eは障害物判定部、3は送受信機、4は超音波送信器(送信手段)、5は超音波受信器(受信手段)、10は自動車(車両)、16は表示器(報知手段)、17はスピーカ(報知手段)、18、19は表示パターン、20は超音波受信器(低位置受信手段)、21は送受信機、22、23は超音波受信器である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の所定高さの位置に外部に向けて配設され、所定期間毎に探査波を繰り返し送信する送信手段および検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する受信手段を備えた送受信機と、
前記送受信機の受信手段が受信した前記反射波のピーク値を検出すると共にその検出されたピーク値を記憶するピーク値検出部と、
前記車両の前記検出対象物へ接近する移動に伴い前記ピーク値検出手段により検出される前記ピーク値の差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部により算出される前記ピーク値の差分の値が「負」の値であるときに前記検出対象物の種類が路面付近に存在する路面付近障害物と判定し、「正」の値であるときに前記検出対象物の種類が路面付近よりも高い位置に存在するその他の障害物と判定する対象物判定部とを備えたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の障害物検出装置において、
前記対象物判定部は、前記検出対象物の種類が前記路面付近障害物であることを判定する場合に、前記車両が前記検出対象物に接近する移動に伴い前記検出対象物が当該検出エリア内から外れることで前記差分の値が「負」となる位置で行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
前記送受信機は、前記車両のバンパよりも高い位置に設けられていることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送信手段が前記探査波を送信してから前記受信手段が前記検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と前記探査波の速度に基づいて前記検出対象物までの直線距離を算出する直線距離算出手段と、
前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定されたときに、前記直線距離算出手段により検出された距離と前記送受信機の高さとから前記路面付近障害物までの水平距離を算出する水平距離算出手段と
を設けたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の障害物検出装置において、
前記送受信機の前記受信手段と同じ高さで所定間隔を存した位置に設けられ、前記検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する水平方向検知用受信手段と、
前記受信手段および前記水平方向検知用受信手段により受信した前記反射波の信号の位相差を検出して検出基準方向に対する傾き角度として前記検出対象物の存在水平方位を検出する水平方位検出部と、
前記直線距離算出手段により検出された距離と前記送受信機の高さとから、前記路面付近障害物の存在垂直方位を算出する垂直方位検出部とを備え、
前記水平方位検出部は、前記検出対象物の存在水平方位を検出したときに、前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定した場合には、
前記垂直方位検出部により算出された前記存在垂直方位に基づいて前記存在水平方位を補正する存在水平方位補正手段を有することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送受信機は、前記送信手段および前記受信手段に加えて、前記車両の前記送受信機よりも低い位置に外部に向けて配設され、検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する低位置受信手段と、
前記探査波を送信してから前記低位置受信手段により前記検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と前記探査波の速度に基づいて前記検出対象物までの距離を算出する距離算出手段とを備え、
前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定された場合に、
前記距離算出手段により算出された距離を前記検出対象物までの距離として検出することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記対象物判定部により判定された前記検出対象物の種類に応じて異なる報知動作を行う報知手段を設けたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の障害物検出装置において、
前記報知手段は、報知音を出力する構成とされ、前記検出対象物の種類に応じて異なる報知音を出力することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の障害物検出装置において、
前記報知手段は、表示部を備え、前記検出対象物の種類に応じて異なる表示を行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送受信機の送信手段は、前記探査波として超音波信号を送信するように構成されていることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項1】
車両の所定高さの位置に外部に向けて配設され、所定期間毎に探査波を繰り返し送信する送信手段および検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する受信手段を備えた送受信機と、
前記送受信機の受信手段が受信した前記反射波のピーク値を検出すると共にその検出されたピーク値を記憶するピーク値検出部と、
前記車両の前記検出対象物へ接近する移動に伴い前記ピーク値検出手段により検出される前記ピーク値の差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部により算出される前記ピーク値の差分の値が「負」の値であるときに前記検出対象物の種類が路面付近に存在する路面付近障害物と判定し、「正」の値であるときに前記検出対象物の種類が路面付近よりも高い位置に存在するその他の障害物と判定する対象物判定部とを備えたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の障害物検出装置において、
前記対象物判定部は、前記検出対象物の種類が前記路面付近障害物であることを判定する場合に、前記車両が前記検出対象物に接近する移動に伴い前記検出対象物が当該検出エリア内から外れることで前記差分の値が「負」となる位置で行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の障害物検出装置において、
前記送受信機は、前記車両のバンパよりも高い位置に設けられていることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送信手段が前記探査波を送信してから前記受信手段が前記検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と前記探査波の速度に基づいて前記検出対象物までの直線距離を算出する直線距離算出手段と、
前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定されたときに、前記直線距離算出手段により検出された距離と前記送受信機の高さとから前記路面付近障害物までの水平距離を算出する水平距離算出手段と
を設けたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の障害物検出装置において、
前記送受信機の前記受信手段と同じ高さで所定間隔を存した位置に設けられ、前記検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する水平方向検知用受信手段と、
前記受信手段および前記水平方向検知用受信手段により受信した前記反射波の信号の位相差を検出して検出基準方向に対する傾き角度として前記検出対象物の存在水平方位を検出する水平方位検出部と、
前記直線距離算出手段により検出された距離と前記送受信機の高さとから、前記路面付近障害物の存在垂直方位を算出する垂直方位検出部とを備え、
前記水平方位検出部は、前記検出対象物の存在水平方位を検出したときに、前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定した場合には、
前記垂直方位検出部により算出された前記存在垂直方位に基づいて前記存在水平方位を補正する存在水平方位補正手段を有することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送受信機は、前記送信手段および前記受信手段に加えて、前記車両の前記送受信機よりも低い位置に外部に向けて配設され、検出エリア方向から入射する前記探査波の検出対象物による反射波を受信する低位置受信手段と、
前記探査波を送信してから前記低位置受信手段により前記検出対象物の反射波を受信するまでの時間を検出し、その検出時間と前記探査波の速度に基づいて前記検出対象物までの距離を算出する距離算出手段とを備え、
前記対象物判定部により前記検出対象物が前記路面付近障害物と判定された場合に、
前記距離算出手段により算出された距離を前記検出対象物までの距離として検出することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記対象物判定部により判定された前記検出対象物の種類に応じて異なる報知動作を行う報知手段を設けたことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の障害物検出装置において、
前記報知手段は、報知音を出力する構成とされ、前記検出対象物の種類に応じて異なる報知音を出力することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の障害物検出装置において、
前記報知手段は、表示部を備え、前記検出対象物の種類に応じて異なる表示を行うことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の障害物検出装置において、
前記送受信機の送信手段は、前記探査波として超音波信号を送信するように構成されていることを特徴とする障害物検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−197351(P2010−197351A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45803(P2009−45803)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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