説明

障害物検知装置

【課題】所望の指向性を確保することが可能な障害物検知装置を提供すること。
【解決手段】取り付け部材120の内面120aに超音波センサ110を取り付けてなる障害物検知装置100であって、超音波センサ110は、超音波を送受信する超音波振動子111と、超音波振動子111を収容するものであって、超音波振動子111を底面部112aの内面に接触させて固定する筐体112とを含み、底面部112aの外面に突起部112bを設け、当該突起部112bが取り付け部材120の内面120aに接触するようにした。従って、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部112bにて絞ることができるので、所望の指向性を確保することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサを用いて車両周辺に位置する障害物を検知する装置が公知である。例えば特許文献1の装置では、車両のバンパに孔が設けられ、当該孔からバンパの外面と同一平面となるよう超音波センサの頭部が露出される。しかしながら、この従来装置では、超音波センサの頭部が車両外部に露出するため、意匠面で好ましいものではなかった。
【0003】
この問題に対し、特許文献2の装置では、車両のバンパの裏側に凹部を設け、当該凹部に超音波振動式のセンサを収容して、超音波センサを外部から見えなくすることで、車両の外観を良好に保つようにしている。
【特許文献1】特開2004−264264号公報
【特許文献2】特開平10−123236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献2の装置では、金属ベースに超音波振動子としての円形板状のセラミックを積層一体化してなる超音波センサを、凹所の底部にセラミックの外面を直接接触させて取り付けるようにしており、特に所望の指向性を得るように考慮されていない。
【0005】
しかしながら、障害物検知装置を車両のバンパに適用する場合には、路面、縁石等による誤検知を防止するため、一般的に地面に対する水平方向の指向性が広く、垂直方向の指向性が広いことが要求される。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたもので、所望の指向性を確保することが可能な障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、超音波センサは、超音波を送受信する超音波振動子と、超音波振動子を収容するものであって、超音波振動子を底面部の内面に接触させて固定する筐体とを含み、底面部の外面に突起部を設け、当該突起部が取り付け部材の内面に接触するようにしたことを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、超音波センサを構成する筐体の底面部の外面に突起部を設けている。すなわち、突起部を介して、筐体の底面部と取り付け部材との間で超音波(振動)が伝達される構成としている。また、突起部は、底面部の外面の一部に設けられるものであり、超音波振動子が固定された筐体の底面部とは、面方向における面積が少なくとも異なる。従って、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部にて絞る(所定の範囲に規定する)ことができるので、所望の指向性を確保することが可能である。
【0009】
尚、請求項2に記載のように、突起部の、取り付け部材の内面に接触する接触面の形状が、面方向における底面部の形状と異なる構成とすると良い。
【0010】
このように、突起部の形状を任意に設定可能とすることで、地面に対する水平方向と垂直方向とで異なる指向性(偏指向性)が要求される場合であっても、所望の指向性を確保することが可能である。
【0011】
請求項3に記載のように、取り付け部材として車両のバンパ或いはボディを採用する場合、突起部の接触面の形状を、地面に対する水平方向の長さが垂直方向の長さよりも短くなるようにすることが好ましい。これにより、路面、縁石等による誤検知を防止しつつ、検知エリアを広くすることができる。
【0012】
請求項4に記載のように、取り付け部材の突起部との接触部位の周囲に、内面側から凹んでなる接触部位よりも薄肉の薄肉部、内面側に突起してなる接触部位よりも厚肉の厚肉部、及び取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部、の少なくとも1つを設けると良い。
【0013】
このようにすると、いずれの場合にも、取り付け部材の突起部との接触部位の周囲の剛性を、突起部との接触部位の剛性と異なるものとすることができる。すなわち、突起部との接触部位からその周囲へ伝達される超音波(不要振動)を低減することができる。従って、接触部位と周囲での振動位相が異なって、相互に打ち消し合う、干渉する等の不具合が生じるのを低減することができるので、より精度良く所望の指向性を確保することが可能である。
【0014】
突起部との接触部位の周囲に設けられる態様としては、例えば請求項5に記載のように、薄肉部、厚肉部、及び積層部の少なくとも1つを、接触部位を取り囲むように所定形状を有する環状としても良い。このように環状とすれば逃げがないので、不要振動の低減に効果的である。
【0015】
尚、超音波(振動)は、取り付け部材内を伝達される過程で減衰するので、突起部との接触部位から離れるほど不要振動低減の効果が小さくなる。従って、薄肉部、厚肉部、及び積層部は、突起部との接触部位の近傍に設けられることが好ましい。特に、請求項6に記載のように接触部位に隣接して設ける構成とすると、最も効果的であり、取り付け部材において突起部の接触面形状により近い振動モードを得ることができる。
【0016】
次に、上記した目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、超音波センサは、超音波を送受信する超音波振動子と、超音波振動子を収容するものであって、超音波振動子を底面部の内面に接触させて固定するとともに、底面部の外面が、取り付け部材の内面に接触する筐体とを含み、取り付け部材の内面に、底面部の外面に対応して突起部を設けるとともに、当該突起部の底面部の外面に対する接触面と底面部の外面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるようにしたことを特徴とする。
【0017】
このように本発明によれば、超音波センサが取り付けられる取り付け部材の内面に突起部を設けている。すなわち、突起部を介して、超音波センサ(筐体の底面部)と取り付け部材との間で超音波(振動)が伝達される構成としている。また、突起部の底面部の外面に対する接触面と底面部の外面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるようにしている。従って、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部にて絞る(所定の範囲に規定する)ことができるので、所望の指向性を確保することが可能である。また、突起部の形状を任意に設定可能であるので、偏指向性が要求される場合であっても、所望の指向性を確保することが可能である。
【0018】
尚、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部にて絞る態様としては、例えば請求項8に記載のように、突起部の接触面が、筐体の底面部の外面よりも小さく、かつ、突起部の接触面全面が底面部の外面との接触範囲に全て含まれる構成を採用することができる。
【0019】
このようにすれば、超音波の送受信時に、筐体の底面部と突起部との間で効率的に超音波(振動)を伝達することができる。なお、それ以外にも、例えば突起部の接触面が、筐体の底面部の外面よりも大きく、かつ、底面部の外面全面が突起部の接触面との接触範囲に全て含まれる構成を採用することができる。このように、突起部は、超音波振動子の大きさによらず、取り付け部材における超音波(振動)の伝達範囲を、好ましい指向性が得られるように、任意に設定することができる。
【0020】
また、上記した目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、超音波センサは、超音波を送受信する超音波振動子を含み、取り付け部材の内面に、超音波振動子が接触する突起部を設けるとともに、当該突起部の超音波振動子に対する接触面と超音波振動子の接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、超音波センサとして筐体を備えず、超音波振動子が取り付け部材の内面に接触する構成以外は、請求項7に記載の発明と同様であり、作用効果も同様であるので、その記載を省略する。
【0022】
請求項10に記載の発明は、超音波センサとして筐体を備えず、超音波振動子が取り付け部材の内面に接触する構成以外は、請求項8に記載の発明と同様であり、作用効果も同様であるので、その記載を省略する。
【0023】
請求項11〜14に記載の発明は、その作用効果が請求項3に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0024】
請求項12に記載のように、取り付け部材の突起部の周囲に、内面側から凹んでなり、突起部を除く部位よりも薄肉の薄肉部、内面側に突起してなり、突起部を除く部位よりも厚肉の厚肉部、及び取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部、の少なくとも1つを設けると良い。
【0025】
このようにすると、いずれの場合にも、取り付け部材の突起部形成部位の周囲の剛性を、突起部形成部位の剛性と異なるものとすることができる。すなわち、突起部形成部位からその周囲へ伝達される超音波(不要振動)を低減することができる。従って、突起部形成部位と周囲での振動位相が異なって、相互に打ち消し合う、干渉する等の不具合が生じるのを低減することができるので、より精度良く所望の指向性を確保することが可能である。
【0026】
尚、請求項13,14に記載の発明は、薄肉部、厚肉部、積層部の配置を取り付け部材の内面に設けられた突起部を基準としている以外は請求項5,6に記載の発明と同様であり、作用効果も同様であるので、その記載を省略する。
【0027】
次に、上記した目的を達成するために、請求項15に記載の発明は、取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、超音波センサは、少なくとも超音波を送受信する超音波振動子を含み、取り付け部材の超音波センサとの接触部位の周囲に、内面側から凹んでなり、接触部位よりも薄肉の薄肉部、及び、取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部の少なくとも1つを、接触部位を取り囲むように所定形状に設けたことを特徴とする。
【0028】
このように本発明によれば、取り付け部材の接触部位の周囲の剛性を、接触部位の剛性と異なるものとしている。すなわち、接触部位からその周囲へ伝達される超音波(不要振動)を低減する構成としている。さらに、薄肉部及び積層部の少なくとも一方を、接触部位を取り囲むように所定形状に設けている。すなわち、指向性を規定するように設けている。従って、所望の指向性を確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材の平面図である。尚、図1(b)においては、位置関係を示すために、参考として超音波振動子の接触面の外周端を破線で図示している。図1に示すように、本実施形態に係る障害物検知装置100は、超音波センサ110を取り付け部材120の内面120aに取り付けてなるものである。
【0030】
超音波センサ110は、超音波を発信し、障害物にて反射された超音波を受信する超音波振動子111を含むものである。本実施形態においては、超音波センサ110として、超音波振動子111を取り付け部材120の内面120aに、直接取り付ける構成を採用している。具体的には、取り付け部材120の内面120aに固定された図示されない支持部材(ホルダ)によって、超音波振動子111が内面120aに接触するように超音波センサ110が位置決め固定される。尚、超音波センサ110の固定方法は特に限定されるものではない。
【0031】
超音波振動子111としては、例えばPZTやチタン酸バリウムなどの圧電セラミックスを焼結体とした圧電振動子を採用することができる。本実施形態においては、駆動信号が印加されると誘電分極によって歪みが生じ、縦方向(厚み方向)に振動して超音波を発生するPZTからなる圧電振動子を採用している。尚、超音波振動子111の取り付け部材120に対する対向面(以下接触面と示す)の形状は、略円形である(図1(b)において破線で囲まれる範囲)。また、図1(a)に示す符号111aは、超音波振動子111と図示されない回路部とを接続するリードである。
【0032】
取り付け部材120は、特に限定されるものではない。超音波(振動)の伝達に適したもの(材質及び厚さ)であれば適用が可能である。本実施形態においては、取り付け部材120として車両のバンパを採用している。すなわち、本実施形態に係る障害物検知装置100は、車両周囲の障害物を検出する車両用障害物検知装置として構成されている。尚、バンパはウレタン等の合成樹脂成形品であるが、車両用障害物検知装置として構成されるに当たり、取り付け部材120として車両ボディ等を構成する金属板を採用することも可能である。
【0033】
また、取り付け部材120の内面120aには、超音波センサ110(超音波振動子111)の接触面に対応して柱状の突起部121が形成されている。すなわち、突起部121を介して、超音波センサ110(超音波振動子111)と取り付け部材120との間で超音波(振動)が伝達される構成となっている。この突起部121が、本実施形態に係る障害物検出装置100の特徴部分である。突起部121は、突起部121の接触面と超音波振動子111の接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるように構成されている。すなわち、超音波センサ110(超音波振動子111)と取り付け部材120との間を伝達される超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部121にて絞る(所定の範囲に規定する)ように構成されている。
【0034】
本実施形態において、突起部121は、図1(b)に示すように、略円形の超音波振動子111の接触面に対し、超音波振動子111の接触面よりも面積が小さく、且つ、突起部121の接触面全面が超音波振動子111の接触面との接触範囲に全て含まれるように、水平方向よりも垂直方向に長い矩形状の接触面をもつ構成となっている。また、突起部121は、取り付け部材120と同一材料を用いて一体的に形成(一体成形)されている。尚、図1(a)において、符号120bは、取り付け部材120の内面120aの裏面、すなわち外面を示している。
【0035】
次に、上記構成の障害物検知装置100について指向性を測定した結果を図2に示す。図2に示すように、障害物検知装置100は、垂直方向よりも水平方向で広い指向性を有している。すなわち、垂直方向に狭く、水平方向に広い偏指向性(所望の指向性)を有している。従って、車両周囲の障害物を検出する車両用障害物検知装置として好適である。
【0036】
このように本実施形態に係る障害物検知装置100によれば、超音波振動子111の接触面とは形状及び面積の少なくとも一方が異なる接触面を有する突起部121によって、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。従って、所望の指向性を実現することができる。また、超音波振動子111の大きさ及び形状によらず、取り付け部材120における超音波(振動)の伝達範囲を、好ましい指向性が得られるように、突起部121によって任意に設定することができるので、上記したように偏指向性が要求される場合であっても、所望の指向性(偏指向性)を実現することができる。
【0037】
尚、突起部121の形態は上記例に限定されるものではない。突起部121の接触面と超音波振動子111の接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なれば良い。例えば突起部121の接触面が、超音波振動子111の接触面よりも大きく、かつ、超音波振動子111の接触面全面が突起部121の接触面との接触範囲に全て含まれる構成を採用することもできる。しかしながら、取り付け部材120の超音波による振動が広範囲に及ぶ場合、各部位での位相が異なって、相互に打ち消し合ったり、干渉することにより、超音波センサの指向性が狭くなったり、その指向性が不規則になりやすい。従って、本実施形態に示したように、突起部121として、突起部121の接触面が、超音波振動子111の接触面よりも小さく、且つ、突起部121の接触面全面が超音波振動子111の接触面との接触範囲に全て含まれる構成とすることが好ましい。この場合、超音波の送受信時に、超音波振動子111(超音波センサ110)と突起部121との間で効率的に超音波(振動)を伝達し、所望の指向性を実現することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、突起部121の接触面の形状を水平方向よりも垂直方向に長い矩形状とする例を示した。しかしながら、その形状は、面積とともに、要求される検知エリア、超音波の送受信周波数に応じて任意で設定することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、取り付け部材120に対して1つの突起部121が形成される例を示した。しかしながら、取り付け部材120に対して複数の突起部121が形成され、複数の突起部121を介して、超音波(振動)が伝達される構成としても良い。
【0040】
また、本実施形態においては、突起部121が取り付け部材120と同一材料からなり、取り付け部材120と一体化(一体成形)されている例を示した。このような構成とすると、音響インピーダンスの差に基づいて、異なる材料の境界面で生じる反射ロスを低減することができる。しかしながら、突起部121を取り付け部材120と一体成形されない構成としても良いし、さらには取り付け部材120とは異なる材料を用いた構成としても良い。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係る障害物検知装置100の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材120の平面図である。尚、図3(b)においては、位置関係を示すために、参考として超音波振動子111の接触面の外周端を破線で図示している。
【0042】
第2の実施形態に係る障害物検知装置100は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0043】
第1の実施形態において、取り付け部材120に突起部121を形成することによって、所望の指向性(垂直方向よりも水平方向で広い偏指向性)を確保できることを示した。しかしながら、第1の実施形態に示す障害物検知装置100においては、図2に示すように、ある角度において指向性の落ち込み(例えば垂直方向の±30deg付近)が確認された。この指向性の落ち込みは、突起部121の周囲に(突起部121の周囲から)伝達された不要振動の作用(例えば干渉)により生じるものと考えられる。
【0044】
そこで、本実施形態においては、第1の実施形態に示す構成(すなわち突起部121)に加えて、取り付け部材120の突起部121の周囲に、内面側から凹んでなり、突起部121を除く部位よりも薄肉の薄肉部、内面側に突起してなり、突起部121を除く部位よりも厚肉の厚肉部、及び取り付け部材120とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部、の少なくとも1つが形成された構成を採用することとした。すなわち、取り付け部材120の、突起部形成部位の周囲の剛性を、突起部形成部位の剛性と異なるものとするようにした。尚、超音波(振動)は、取り付け部材120内を伝達される過程で減衰するので、突起部121から離れるほど不要振動低減の効果が小さくなる。従って、薄肉部、厚肉部、及び積層部は、できるだけ突起部形成部位の近傍に形成されることが好ましい。
【0045】
図3(a),(b)に示すように、本実施形態に係る障害物検出装置100においては、取り付け部材120に、突起部121の外周端に沿って(すなわち隣接して)、突起部121を取り囲むように環状の薄肉部122が形成されている。また、超音波振動子111に接触しないように、突起部121を取り囲む環状の厚肉部123が形成されている。尚、厚さの基準となる部位(上記突起部121を除く部位)とは、突起部121、薄肉部122、厚肉部123の形成されない部位である。
【0046】
このように構成される障害物検知装置100において、有限要素法(FEM法)による振動モードの解析を行った。その結果を図4に示す。尚、図4は超音波振動子111に電圧を印加した場合の、振幅最大時における振動モードを示しており、(a)は本実施形態に係る障害物検知装置100、(b)は比較対象としての第1の実施形態に係る障害物検知装置100によるものである。
【0047】
図4(a),(b)に示すように、本実施形態に係る障害物検知装置100の方が、第1の実施形態に係る障害物検知装置100よりも、取り付け部材120において突起部121の周囲に伝達される不要振動が小さいことが明らかである。
【0048】
次に、本実施形態に係る障害物検知装置100について指向性を測定した結果を図5に示す。図5に示すように、本実施形態に係る障害物検知装置100においては、第1の実施形態に係る障害物検知装置100にて確認された指向性の落ち込みは殆ど見られなかった。
【0049】
このように本実施形態に係る障害物検知装置100によれば、取り付け部材120に薄肉部122及び厚肉部123を形成することで、突起部周囲への不要振動(突起部周囲からの不要振動)を低減することができる。従って、不要振動の作用により生じる落ち込みを低減し、より精度良く所望の指向性を確保することができる。すなわち、不検知エリアを低減することができる。
【0050】
特に本実施形態においては、突起部121を取り囲むように、薄肉部122及び厚肉部123を環状に形成している。したがって、不要振動の逃げ部位がないので、効果的に不要振動を低減することができる。さらに本実施形態においては、突起部121に隣接して薄肉部122を形成しているので、効果的に不要振動を低減することができる。また、取り付け部材120において突起部121の接触面形状により近い振動モードを得ることができる。
【0051】
尚、本実施形態においては、取り付け部材120の突起部形成部位の周囲に、薄肉部122及び厚肉部123が形成される例を示した。しかしながら、いずれか一方のみが形成された構成としても良い。また、厚肉部123が薄肉部122よりも突起部121に近接して形成された構成としても良い。さらには、薄肉部122、厚肉部123だけでなく、図6に示すように、超音波振動子111に接触しないように、取り付け部材120とは異なる材料(例えば金属)からなる部材124aを内面120a上に配置してなる積層部124が形成された構成を採用することもできる。これによっても、取り付け部材120の突起部周囲の剛性を、突起部形成部位の剛性と異なるものとし、突起部周囲へ(突起部周囲から)伝達される不要振動を低減することができる。図6は、本実施形態に係る変形例を示す断面図である。尚、積層部124を構成する部材124aとしては、金属のように取り付け部材120よりも剛性が大きいものだけでなく、例えばゴムやゲルのように、積層することで積層部124の剛性を突起部形成部位と異なるものとするだけでなく、部材124a自体で不要振動を緩衝する効果(制振効果)を有するものを採用しても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、取り付け部材120に対して、環状の薄肉部122及び厚肉部123がそれぞれ1つずつ形成される例を示した。しかしながら、図7に示すように、例えば厚肉部123を分割した(複数形成した)構成を採用することもできる。薄肉部122及び積層部124についても同様である。図7は、本実施形態に係る変形例を示す取り付け部材120の平面図である。尚、図7においては、位置関係を示すために、参考として超音波振動子111の接触面の外周端を破線で図示している。
【0053】
また、面方向における薄肉部122、厚肉部123、及び積層部124の形状及び大きさは、突起部121の形状及び大きさ(面積)によって規定される(限定される)ものではない。効率的に不要振動を低減できる構成であれば採用することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を、図8に基づいて説明する。図8は、本実施形態に係る障害物検知装置100の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材120の平面図である。尚、図8(b)においては、位置関係を示すために、参考として筐体の接触面の外周端を破線で図示している。
【0055】
第3の実施形態に係る障害物検知装置100は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0056】
第1の実施形態においては、超音波センサ110としての超音波振動子111を取り付け部材120の内面120aに直接取り付ける例を示した。しかしながら、このような構成の場合、取り付け部材120の内面側ではあるが、超音波振動子111が例えば外気に晒されることとなるので、リード111a等に腐食が発生する恐れがある。
【0057】
そこで本実施形態においては、外気からセンサ構成要素を保護するため、超音波振動子111等のセンサ構成要素を、筐体に収容しつつ、筐体を取り付け部材120の内面120aに接触させて取り付けるようにした。具体的には、取り付け部材120の内面120aに固定された図示されない支持部材(ホルダ)によって、筐体の底面部が内面120aに接触するように筐体の側面部を位置決め固定するようにした。尚、超音波センサ110の固定方法は特に限定されるものではない。
【0058】
尚、上記する超音波センサ110の構成以外については、第1の実施形態に示したものと同様である。すなわち、本実施形態に係る障害物検知装置100においても、取り付け部材120に突起部121が形成された点を特徴としている。取り付け部材120に形成される突起部121の態様としては、接触対象を超音波振動子111に代えて筐体112の底面部112aとすることで、第1の実施形態に示したものと同様の態様をとることが可能である。従って、その作用効果は、第1の実施形態に示した作用効果と同様である。
【0059】
図8(a)に示すように、本実施形態に係る障害物検知装置100において、筐体112は例えば合成樹脂からなり、有底筒状に形成されている。そして、筐体112の底面部112aの内面に超音波振動子111が例えば接着固定されている。本実施形態においては、センサ構成要素として、超音波振動子111以外にも、回路基板113、振動吸収体114、吸音材115等が筐体112内に配置されている。尚、回路基板113は、リード111aを介して、超音波振動子111と接続されており、この超音波振動子111を振動させて超音波を発生するための駆動信号を出力したり、超音波振動子111に超音波が伝達されて、超音波振動子111に歪みが生じた場合に、圧電効果によって生じる電圧信号を入力する処理回路が形成されている。処理回路では、超音波の送信から受信までの時間に基づいて、車両の周囲に存在する障害物までの距離等を算出する。なお、符号116はコネクタであり、回路基板113の処理回路と、例えば車室内に設けられている報知処理等を行う制御部とを接続するものである。
【0060】
また、取り付け部材120の内面120aには、超音波センサ110の接触面(筐体112の底面部112aの外面)に対応して柱状の突起部121が形成されている。すなわち、突起部121を介して、超音波センサ110(超音波振動子111及び筐体112の底面部112a)と取り付け部材120との間で超音波(振動)が伝達される構成となっている。
【0061】
具体的には、突起部121は、突起部121の接触面と筐体112の底面部112aの外面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるように構成されている。すなわち、超音波センサ110(超音波振動子111及び筐体112の底面部112a)と取り付け部材120との間を伝達される超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部121にて絞る(所定の範囲に規定する)ように構成されている。尚、本実施形態に係る突起部121は、図8(b)に示すように、略円形状の底面部112aの外面に対し、底面部112aの外面よりも面積が小さく、且つ、且つ、突起部121の接触面全面が底面部112aの外面との接触範囲に全て含まれるように、水平方向よりも垂直方向に長い矩形状の接触面をもつ構成となっている。また、突起部121は、取り付け部材120と同一材料を用いて一体的に形成(一体成形)されている。
【0062】
このように本実施形態に係る障害物検知装置100によれば、筐体112内に超音波振動子111が収容された構成において、筐体112の底面部112aとは形状及び面積の少なくとも一方が異なる接触面を有する突起部121によって、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。従って、第1の実施形態に示したのと同様に、所望の指向性を実現することができる。また、突起部121の形状を任意に設定可能であるので、上記したように偏指向性が要求される場合であっても、第1の実施形態に示したもの(図2)と同様、所望の指向性(偏指向性)を実現することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を、図9に基づいて説明する。図9は、本実施形態に係る障害物検知装置100の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材120の平面図である。尚、図9(b)においては、位置関係を示すために、参考として筐体112の接触面の外周端を破線で図示している。
【0064】
第4の実施形態に係る障害物検知装置100は、第1〜第3の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0065】
本実施形態においては、第3の実施形態に示した障害物検知装置100に加えて、第2の実施形態に示した構成を採用するようにした。超音波センサ110の構成以外は、第2の実施形態に示したものと同様である。すなわち、本実施形態に係る障害物検知装置100においても、取り付け部材120の突起部121の周囲に、内面側から凹んでなり、突起部121を除く部位よりも薄肉の薄肉部122、内面側に突起してなり、突起部121を除く部位よりも厚肉の厚肉部123、及び取り付け部材120とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部124、の少なくとも1つが形成された点を特徴としている。取り付け部材120に形成される薄肉部122、厚肉部123、及び積層部124の態様としては、接触対象を超音波振動子111に代えて筐体112の底面部112aとすることで、第2の実施形態に示したものと同様の態様をとることが可能である。従って、その作用効果は、第2の実施形態に示した作用効果と同様である。
【0066】
図9(a),(b)に示すように、本実施形態に係る障害物検出装置100においては、取り付け部材120に、突起部121の外周端に沿って(すなわち隣接して)、突起部121を取り囲むように環状の薄肉部122が形成されている。また、筐体112に接触しないように、突起部121を取り囲む環状の厚肉部123が形成されている。
【0067】
このように本実施形態に係る障害物検知装置100によれば、筐体112内に超音波振動子111が収容された構成において、取り付け部材120に薄肉部122及び厚肉部123を形成することで、第2の実施形態に示した(図4)ものと同様、突起部周囲への不要振動(突起部周囲からの不要振動)を低減することができる。従って、第2の実施形態に示した(図5)ものと同様、不要振動の作用により生じる落ち込みを低減し、より精度良く所望の指向性を確保することができる。すなわち、不検知エリアを低減することができる。
【0068】
特に本実施形態においては、突起部121を取り囲むように、薄肉部122及び厚肉部123を環状に形成している。したがって、不要振動の逃げ部位がないので、効果的に不要振動を低減することができる。さらに本実施形態においては、突起部121に隣接して薄肉部122を形成しているので、効果的に不要振動を低減することができる。また、取り付け部材120において突起部121の接触面形状により近い振動モードを得ることができる。
【0069】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、本実施形態に係る障害物検知装置100の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体112の平面図である。
【0070】
第5の実施形態に係る障害物検知装置100は、第1及び第3の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0071】
第1〜第4の実施形態においては、取り付け部材120に突起部121を形成することで、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)例を示した。これに対し、本実施形態においては、超音波センサ110を構成する筐体112に突起部を形成し、当該突起部により、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ようにした点を特徴とする。従って、本実施形態に係る突起部の形成範囲は、筐体112の取り付け部材120に対する対向面内に限定される(すなわち、必然的に筐体112の接触面に対し、筐体112の接触面よりも面積が小さく、且つ、突起部の接触面全面が筐体112の接触面との接触範囲に全て含まれる)ものの、機能としては、取り付け部材120に形成される突起部121と同様である。
【0072】
超音波センサ110の基本的な構成は第3の実施形態に示したものと同様である。本実施形態に係る障害物検知装置100おいては、図10(a),(b)に示すように、筐体112の底面部112aの外面に、突起部112bが形成されている。そして、この突起部112bが取り付け部材120の内面120aに接触された状態で、超音波センサ110が取り付け部材120に固定されている。具体的には、取り付け部材120の内面120aに固定された図示されない支持部材(ホルダ)によって、突起部112bが内面120aに接触するように筐体112の側面部が位置決め固定されている。尚、超音波センサ110の固定方法は特に限定されるものではない。
【0073】
このように本発明によれば、超音波センサ110を構成する筐体112の底面部112aの外面に突起部112bを設けている。すなわち、突起部112bを介して、超音波センサ110(超音波振動子111及び筐体112の底面部112a)と取り付け部材120との間で超音波(振動)が伝達される構成となっている。また、突起部112bは、底面部112aの外面の一部に設けられるものであり、超音波振動子111が固定された筐体112の底面部112aとは、面方向における面積が少なくとも異なる。従って、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、突起部112bにて絞る(所定の範囲に規定する)ことができるので、所望の指向性を確保することが可能である。
【0074】
また、図10(b)に示すように、突起部112bの、取り付け部材120の内面に接触する接触面の形状が、面方向における底面部112aの形状と異なるように構成されている。このように、突起部の形状を任意に設定可能とすることで、地面に対する水平方向と垂直方向とで異なる指向性(偏指向性)が要求される場合であっても、所望の指向性を実現することができる。特に本実施形態においては、略円形状の底面部112aに対して、突起部112bは、水平方向よりも垂直方向に長い矩形状となっている。従って、障害物検知装置100の指向性は、第1の実施形態に示した図2同様、垂直方向に狭く、水平方向に広いものとなっている(図示略)。すなわち、車両用の障害物検知装置として好適である。
【0075】
尚、本実施形態においては、突起部112bが、筐体112と同一材料を用いて一体的に形成(一体成形)されている。従って、音響インピーダンスの差に基づいて、異なる材料の境界面で生じる反射ロスを低減することができる。しかしながら、突起部121を取り付け部材120と一体成形されない構成としても良いし、さらには取り付け部材120とは異なる材料を用いた構成としても良い。
【0076】
また、本実施形態においては、突起部112bの、取り付け部材120の内面に接触する接触面の形状が、面方向における底面部112aの形状と異なるように構成される例を示した。しかしながら、その形状は、面積とともに、要求される検知エリア、超音波の送受信周波数に応じて任意で設定することができる。また、形状を同一とし、面積のみを異なるように構成しても良い。
【0077】
また、本実施形態においては、筐体112に対して1つの突起部112bが形成される例を示した。しかしながら、筐体112に対して複数の突起部112bが形成され、複数の突起部112bを介して、超音波(振動)が伝達される構成としても良い。
【0078】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を、図11に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る障害物検知装置100の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体112の平面図である。尚、図11(b)においては、位置関係を示すために、参考として取り付け部材120に形成された薄肉部122及び厚肉部123を破線で図示している。
【0079】
第6の実施形態に係る障害物検知装置100は、第1〜第5の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0080】
本実施形態においては、第5の実施形態に示した障害物検知装置100に加えて、第2の実施形態に示した構成を採用するようにした。すなわち、本実施形態に係る障害物検知装置100においては、取り付け部材120の突起部112bとの接触部位の周囲に、内面側から凹んでなり、接触部位よりも薄肉の薄肉部122、内面側に突起してなり、接触部位よりも厚肉の厚肉部123、及び取り付け部材120とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部124、の少なくとも1つが形成された点を特徴としている。取り付け部材120に形成される薄肉部122、厚肉部123、及び積層部124の態様としては、それぞれが形成される位置の基準を突起部121に代えて筐体112の突起部112bとの接触部位とすることで、第2の実施形態に示したものと同様の態様をとることが可能である。従って、その作用効果は、第2の実施形態に示した作用効果と同様である。
【0081】
図11(a),(b)に示すように、本実施形態に係る障害物検出装置100においては、取り付け部材120に、超音波センサ110に形成された突起部112bとの接触部位125の外周端に沿って(すなわち隣接して)、接触部位125を取り囲むように環状の薄肉部122が形成されている。また、筐体112に接触しないように、接触部位125を取り囲む環状の厚肉部123が形成されている。
【0082】
このように本実施形態に係る障害物検知装置100によれば、筐体112内に突起部112bが形成された構成において、取り付け部材120に薄肉部122及び厚肉部123を形成することで、第2の実施形態に示した(図4)ものと同様、接触部位周囲への不要振動(接触部位周囲からの不要振動)を低減することができる。従って、第2の実施形態に示した(図5)ものと同様、不要振動の作用により生じる落ち込みを低減し、より精度良く所望の指向性を確保することができる。すなわち、不検知エリアを低減することができる。
【0083】
特に本実施形態においては、接触部位125を取り囲むように、薄肉部122及び厚肉部123を環状に形成している。したがって、不要振動の逃げ部位がないので、効果的に不要振動を低減することができる。さらに本実施形態においては、接触部位125に隣接して薄肉部122を形成しているので、効果的に不要振動を低減することができる。また、突起部112bの接触面形状により近い振動モードを得ることができる。
【0084】
尚、筐体112の突起部112bが形成される構成においては、図12(a),(b)に示すように、取り付け部材120に溝部126を形成し、当該溝部126の底面に突起部112bを接触させるようにしても良い。この場合、特に加工されていない溝部126の周囲部位が、上記した肉厚部123と同様の機能を果たすこととなる。このような構成によっても、接触部位周囲への不要振動(接触部位周囲からの不要振動)を低減することができる。また、溝部126を形成することにより超音波(振動)の伝達距離を調整できるので、設計自由度が向上される。図12は、本実施形態の変形例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体の平面図である。尚、図12(b)においては、位置関係を示すために、参考として取り付け部材120に形成された溝部126を破線で図示している。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0086】
上記した実施形態では、1つの超音波振動子111によって、超音波を送受信する例を示した。しかしながら、超音波送信用の振動子と超音波受信用の振動子とを分けた構成を採用することもできる。
【0087】
また、上記した実施形態では、支持部材(ホルダ)によって、超音波センサ110を取り付け部材120の内面120aに固定する例を示した。しかしながら、超音波センサ110を固定する手段としては、接着、ねじ止め等の種々の手段を用いることができる。
【0088】
また、上記した第3〜第6の実施形態では、超音波センサ110が、処理回路を形成した回路基板113等を有する例を示した。しかしながら、上記実施形態において、超音波センサ110は、少なくとも超音波振動子111と当該超音波振動子111を収容する筐体112を含むものであれば良い。
【0089】
また、上記した実施形態では、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る部位として、取り付け部材120に一体的に形成された突起部121、又は、超音波センサ110を構成する筐体112に一体的に形成された突起部112bを示した。しかしながら、上記したように、突起部121は、取り付け部材120と一体成形されず、異なる材料から構成されても良い。また、突起部112bは筐体112と一体成形されず、異なる材料から構成されても良い。すなわち、超音波センサ110と取り付け部材120との間に、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る部位として、振動伝達部材を別途配置する構成としても良い。
【0090】
また、上記した第2、第4、第6実施形態では、取り付け部材120に形成された突起部121、又は、筐体112に形成された突起部112bが存在するのが前提であった。しかしながら、いずれの突起部121,112bを有さない構成において、取り付け部材120の超音波センサ110との接触部位の周囲に、接触部位よりも薄肉の薄肉部122、及び、取り付け部材120とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部124の少なくとも1つを形成する構成としても良い。この場合、取り付け部材120の接触部位の周囲の剛性を、接触部位の剛性と異なるものとすることで、接触部位からその周囲へ伝達される超音波(不要振動)を低減するとともに、接触部位を取り囲む薄肉部122及び積層部124の少なくとも一方の形状によって、指向性を規定することができる。すなわち、所望の指向性を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材の平面図である。
【図2】障害物検知装置について指向性を測定した結果を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材の平面図である。
【図4】超音波振動子に電圧を印加した場合の、振幅最大時における振動モードを示す図であり、(a)は本実施形態に係る障害物検知装置、(b)は比較対象としての第1の実施形態に係る障害物検知装置によるものである。
【図5】障害物検知装置について指向性を測定した結果を示す図である。
【図6】変形例を示す断面図である。
【図7】変形例を示す取り付け部材の平面図である。
【図8】第3の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材の平面図である。
【図9】第4の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は内面側から見た取り付け部材の平面図である。
【図10】第5の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体の平面図である。
【図11】第6の実施形態に係る障害物検知装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体の平面図である。
【図12】変形例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は接触面側から見た筐体の平面図である。
【符号の説明】
【0092】
100・・・障害物検知装置
110・・・超音波センサ
111・・・超音波振動子
112・・・筐体
112a・・・(筐体の)底面部
112b・・・突起部
120・・・取り付け部材
120a・・・(取り付け部材の)内面
121・・・突起部
122・・・薄肉部
123・・・厚肉部
124・・・積層部
125・・・接触部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、
前記超音波センサは、
超音波を送受信する超音波振動子と、
前記超音波振動子を収容するものであって、前記超音波振動子を底面部の内面に接触させて固定する筐体とを含み、
前記底面部の外面に突起部を設け、当該突起部が前記取り付け部材の内面に接触するようにしたことを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
前記突起部の、前記取り付け部材の内面に接触する接触面の形状が、面方向における前記底面部の形状と異なることを特徴とする請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記取り付け部材は車両のバンパ或いはボディであり、
前記突起部の接触面の形状を、地面に対する水平方向の長さが垂直方向の長さよりも短くなるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記取り付け部材の前記突起部との接触部位の周囲に、内面側から凹んでなり、前記接触部位よりも薄肉の薄肉部、内面側に突起してなり、前記接触部位よりも厚肉の厚肉部、及び前記取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部、の少なくとも1つを設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
前記薄肉部、前記厚肉部、及び前記積層部の少なくとも1つを、前記接触部位を取り囲むように所定形状を有する環状としたことを特徴とする請求項4に記載の障害物検知装置。
【請求項6】
前記薄肉部、前記厚肉部、及び前記積層部のいずれか1つを、前記接触部位に隣接して設けたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の障害物検知装置。
【請求項7】
取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、
前記超音波センサは、
超音波を送受信する超音波振動子と、
前記超音波振動子を収容するものであって、前記超音波振動子を底面部の内面に接触させて固定するとともに、前記底面部の外面が、前記取り付け部材の内面に接触する筐体とを含み、
前記取り付け部材の内面に、前記底面部の外面に対応して突起部を設けるとともに、当該突起部の前記底面部の外面に対する接触面と前記底面部の外面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるようにしたことを特徴とする障害物検知装置。
【請求項8】
前記突起部の接触面は、前記筐体の底面部の外面よりも小さく、かつ、前記突起部の接触面全面が前記底面部の外面との接触範囲に全て含まれることを特徴とする請求項7に記載の障害物検知装置。
【請求項9】
取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、
前記超音波センサは、超音波を送受信する超音波振動子を含み、
前記取り付け部材の内面に、前記超音波振動子が接触する突起部を設けるとともに、当該突起部の前記超音波振動子に対する接触面と前記超音波振動子の接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるようにしたことを特徴とする障害物検知装置。
【請求項10】
前記突起部の接触面は、前記超音波振動子の接触面よりも小さく、かつ、前記突起部の接触面全面が前記超音波振動子の接触面との接触範囲に全て含まれることを特徴とする請求項9に記載の障害物検知装置。
【請求項11】
前記取り付け部材は車両のバンパ或いはボディであり、
前記突起部の接触面の形状を、地面に対する水平方向の長さが垂直方向の長さよりも短くなるようにしたことを特徴とする請求項7〜10いずれか1項に記載の障害物検知装置。
【請求項12】
前記取り付け部材の突起部の周囲に、内面側から凹んでなり、前記突起部を除く部位よりも薄肉の薄肉部、内面側に突起してなり、前記突起部を除く部位よりも厚肉の厚肉部、及び前記取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部、の少なくとも1つを設けたことを特徴とする請求項7〜11いずれか1項に記載の障害物検知装置。
【請求項13】
前記薄肉部、前記厚肉部、及び前記積層部の少なくとも1つを、前記突起部を取り囲むように所定形状を有する環状としたことを特徴とする請求項12に記載の障害物検知装置。
【請求項14】
前記薄肉部、前記厚肉部、及び前記積層部のいずれか1つを、前記突起部に隣接して設けたことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の障害物検知装置。
【請求項15】
取り付け部材の内面に超音波センサを取り付けてなる障害物検知装置であって、
前記超音波センサは、少なくとも超音波を送受信する超音波振動子を含み、
前記取り付け部材の前記超音波センサとの接触部位の周囲に、内面側から凹んでなり、前記接触部位よりも薄肉の薄肉部、及び、前記取り付け部材とは異なる材料からなる部材を内面上に配置してなる積層部の少なくとも1つを、前記接触部位を取り囲むように所定形状に設けたことを特徴とする障害物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−147319(P2007−147319A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338760(P2005−338760)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】