集合ドロップケーブル
【課題】ドロップケーブルユニットの収容密度を上げ、集合ドロップケーブルの細径化を図る。
【解決手段】複数のドロップケーブルユニット20Aを支持線部10Aの外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブル1Aである。ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向が集合ドロップケーブル1Aの半径方向となるように配置され、支持線部10A側の端部26における短径方向の長さが他方の端部25よりも短く形成されている。
【解決手段】複数のドロップケーブルユニット20Aを支持線部10Aの外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブル1Aである。ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向が集合ドロップケーブル1Aの半径方向となるように配置され、支持線部10A側の端部26における短径方向の長さが他方の端部25よりも短く形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合ドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルや戸数の多い集合住宅にドロップケーブルを配線するために、多数のドロップケーブルを1つにまとめた集合ドロップケーブルが用いられる。集合ドロップケーブルは、支持線部を中心にして、周囲に複数のドロップケーブルユニットを配置した構造をしている。ドロップケーブルユニットそのものはおおよそ四角い断面形状をしており、断面円形の支持線部の周囲にドロップケーブルユニットを複数配置することで、集合ドロップケーブル全体では断面略円形をなしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−125914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、集合ドロップケーブル全体の断面を略円形とするためには、周囲にドロップケーブルユニットを配置する支持線部の径をある程度大きくしなければならず、中心付近のスペースが無駄となる。このため、ドロップケーブルユニットの収容密度が上がらず、集合ドロップケーブルの径が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ドロップケーブルユニットの収容密度を上げ、集合ドロップケーブルの細径化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のドロップケーブルユニットを支持線部の外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットは、長径方向が前記集合ドロップケーブルの半径方向となるように配置され、前記支持線部側の端部における短径方向の長さが他方の端部よりも短く形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットは、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、集合ドロップケーブルであって、支持線部と、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる内層と、前記内層の外側に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる外層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットの撚りピッチは前記内層よりも前記外層のほうが小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドロップケーブルユニットの収容密度を上げ、集合ドロップケーブルの細径化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例に係る集合ドロップケーブル1Aの断面図である。
【図2】ドロップケーブルユニット20Aを示す断面図である。
【図3】従来の集合ドロップケーブル101Aの断面図である。
【図4】結束バンド27で間欠的に束ねた集合ドロップケーブル1Aを示す側面図である。
【図5】ラッシングワイヤ28を巻きつけた集合ドロップケーブル1Aを示す側面図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る集合ドロップケーブル1Bの端部を示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視断面図である。
【図8】従来の集合ドロップケーブル101Bを示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る集合ドロップケーブル1Cの断面図である。
【図10】ドロップケーブルユニット20Bを示す断面図である。
【図11】本発明の変形例に係るドロップケーブルユニット20Cの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、具体的な寸法を示して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の第1の実施例に係る集合ドロップケーブル1Aの断面図である。集合ドロップケーブル1Aは、支持線部10Aと、7本のドロップケーブルユニット20Aとから概略構成される。
【0014】
支持線部10Aは、支持線11と、支持線11を被覆する被覆12とからなる。支持線11は例えば鋼線等からなり、集合ドロップケーブル1Aの布設等で長手方向に引っ張り力を受けた場合に、ドロップケーブルユニット20Aに過度な引っ張り力が加わらないよう保護するために用いられる。支持線部10Aの外周部には、複数のドロップケーブルユニット20Aが配置されている。
【0015】
ドロップケーブルユニット20Aは、抗張力体21と、光ファイバ心線22と、外被23とからなる。
抗張力体21は、ドロップケーブルユニット20Aが取り回し等で長手方向に引っ張り力を受けた場合、機械的強度に劣る光ファイバに過度な伸び歪みが加わらないよう保護するために用いられており、ドロップケーブルユニット20Aのほぼ中心に配置される。抗張力体21は、例えば、鋼線等からなる。
【0016】
なお、本実施例のように抗張力体21をドロップケーブルユニット20A内に1箇所だけ設けることにより、光ファイバに過度な伸び歪みが加わらないようにすることができる上、後述するようにドロップケーブルユニット20Aを長径方向が集合ドロップケーブル1Aの半径方向となるように配置することが可能となる。
【0017】
光ファイバ心線22は、ガラス光ファイバの外周を、紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂等からなる樹脂で被覆したものであり、抗張力体21と平行もしくは周囲に撚り合わされた状態で1本または複数本配置される。図1においては、8本の光ファイバ心線22が抗張力体21の外周に沿って配置されている。
【0018】
外被23は、抗張力体21及び光ファイバ心線22を一括被覆するものであり、例えば、ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン等からなる。
【0019】
ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向の一端が拡幅部25、他端が縮幅部26となり、ドロップケーブルユニット20Aの断面形状は全体として略楔形の断面形状をしている。集合ドロップケーブル1Aにおいては、図1、図2に示すように、ドロップケーブルユニット20Aは、外側に拡幅部25、内側に縮幅部26を向けた状態で支持線部10Aの外周に沿って配置されている。ドロップケーブルユニット20Aは、撚り合わせるように、支持線部10Aの外周に沿って螺旋状に配置することが好ましい。撚り合わせることで、集合ドロップケーブル1Aが曲げやすくなる。
【0020】
図2はドロップケーブルユニット20Aを示す断面図である。図2に示すように、ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向の長さaが3.0mmであり、このうち拡幅部25の長さa1が2.0mm、縮幅部26の長さa2が1.0mmである。また、短径方向は、拡幅部25側の端部の長さb1が2.5mm、縮幅部26側の端部の長さb2が1.0mm、両者の境界部の長さb3が2.0mmである。
【0021】
上記断面形状のドロップケーブルユニット20Aは、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニットと断面積が同一であり、同等の強度を維持することができる。
【0022】
ドロップケーブルユニット20Aを図1に示すように、直径2.5mmの支持線部10Aの外周に沿って7本配列すると、集合ドロップケーブル1A全体の外径を8.5mmに抑えることができる。
これに対し、図3に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、直径7.0mmの支持線部110の外周に沿って配列した、従来の集合ドロップケーブル101A全体の外径は11.0mmとなる。
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Aを用いて従来よりも集合ドロップケーブル1の細径化を図ることができる。
【0023】
なお、集合ドロップケーブル1Aは、ドロップケーブルユニット20Aを撚り合わせただけであってもよいが、図4に示すように、集合ドロップケーブル1Aを結束バンド27で間欠的に束ねてもよい。あるいは、図5に示すように、集合ドロップケーブル1Aの外周部にラッシングワイヤ28を巻きつけて束ねてもよい。なお、このときより確実にドロップケーブルユニット20Aを固定するためには、ラッシングワイヤ28をドロップケーブルユニット20Aの撚り方向と反対方向に巻きつけることが好ましい。このように、結束バンド27、ラッシングワイヤ28等で集合ドロップケーブル1Aを束ねることで、略円形の断面形状を維持しやすくなる。
【実施例2】
【0024】
図6は本発明の第2の実施例に係る集合ドロップケーブル1Bの端部を示す側面図であり、図7は図6のVII−VII矢視断面図である。本実施例においては、実施例1と同様に、支持線部10Aの外周部に内層7本のドロップケーブルユニット20Aが配置されている。本実施例においては、さらにその外側に、外層17本のドロップケーブルユニット20Aが、外側に拡幅部25、内側に縮幅部26を向けた状態で配置されている。ドロップケーブルユニット20Aの断面形状は実施例1と同様である。
【0025】
ドロップケーブルユニット20Aは撚り合わせるように、支持線部10Aの外周、または内層のドロップケーブルユニット20Aに沿って螺旋状に配置することが好ましい。撚り合わせることで、集合ドロップケーブル1Bが曲げやすくなる。
【0026】
また、内層と外層のドロップケーブルユニット20Aは撚りの方向が同一で、撚りピッチは異なることが好ましい。撚りの方向が異なると、内層のドロップケーブルユニット20Aを中間部分で任意に取り出す場合、外層が緩む方向に捻ると内層が締まってドロップケーブルユニット20Aは取り出せず、内層が緩む方向に捻ると外層が締まって内層のドロップケーブルユニット20Aにアプローチしにくくなるためである。
【0027】
また、撚りピッチが同一であると、内層の隣接するドロップケーブルユニット20A同士の隙間に外層のドロップケーブルユニット20Aが落ち込み、集合ドロップケーブル1Bの断面略円形形状が崩れやすくなるためである。なお、集合ドロップケーブル1Bを曲げた場合は外層のほうがより圧縮・引張応力を受けることになるので、撚りピッチは内層よりも外層のほうが小さいことが好ましい。
【0028】
このように配置した集合ドロップケーブル1B全体の外径は、15.0mmとなり、24本のドロップケーブルユニット20Aが収容される。これに対し、図8に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、支持線部110の外周に沿って配列するとともに、さらにその外側に、ドロップケーブルユニット120を12本配置した、従来の集合ドロップケーブル101B全体の外径は15.0mmとなり、19本のドロップケーブルユニット120が収容されるる。
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Aを用いて従来よりも収容密度を上げることができる。
【実施例3】
【0029】
図9は本発明の第3の実施例に係る集合ドロップケーブル1Cの断面図である。本実施例では、外径11.0mmで従来よりも収容密度を上げており、支持線部10Bの外周部に12本のドロップケーブルユニット20Bが配置されている。
【0030】
図10はドロップケーブルユニット20Bを示す断面図である。ドロップケーブルユニット20Bにおいては、抗張力体21が光ファイバ心線22と独立して設けられている。また、複数(図10では4本)の光ファイバ心線22の周囲に緩衝材24が配置されている。緩衝材24は、例えばポリプロピレンやポリエステル等のプラスチック繊維からなる。
抗張力体21、光ファイバ心線22及び緩衝材24が外被23により一括被覆されてドロップケーブルユニット20Bが形成されており、光ファイバ心線22及び緩衝材24は長手に動けるような比較的ルースな状態でいる。
【0031】
図10に示すように、ドロップケーブルユニット20Bは、長径方向の長さaが3.5mmであり、このうち拡幅部25の長さa1が1.5mm、縮幅部26の長さa2が2.0mmである。また、短径方向は、拡幅部25側の端部の長さb1が2.0mm、縮幅部26側の端部の長さb2が1.0mm、両者の境界部の長さb3が2.0mmである。
【0032】
上記断面形状のドロップケーブルユニット20Bは、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニットと断面積が同一であり、同等の強度を維持することができる。
【0033】
直径4mmの支持線部10Bの周囲に、12本のドロップケーブルユニット20Bを配置することで集合ドロップケーブル1C全体の外径が11.0mmとなる。
これに対し、図3に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、直径7.0mmの支持線部110の外周に沿って配列した集合ドロップケーブル101A全体の外径は11.0mmである。
【0034】
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Bを用いて同径の集合ドロップケーブル1Cとしたときに、従来よりも収容密度を上げることができる。
【0035】
<変形例>
図11は本発明の変形例に係るドロップケーブルユニット20Cの断面図である。ドロップケーブルユニット20Cは、緩衝材を兼ねた抗張力体21としてアラミド繊維が配置されている。また、外被23の角がなく丸まった形状をしている。このように角をなくすことで、ドロップケーブルユニット20Cを互いに干渉することなく容易に撚り合わせることができる。
また、光ファイバ心線22を取り出しやすいように、外被23の光ファイバ心線22近傍にノッチ27を設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,101A,101B 集合ドロップケーブル
10A,10B,110 支持線部
11 支持線
12 被覆
20A,20B,20C,120 ドロップケーブルユニット
21 抗張力体
22 光ファイバ心線
23 外被
24 緩衝材
25 拡幅部
26 縮幅部
27 ノッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合ドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルや戸数の多い集合住宅にドロップケーブルを配線するために、多数のドロップケーブルを1つにまとめた集合ドロップケーブルが用いられる。集合ドロップケーブルは、支持線部を中心にして、周囲に複数のドロップケーブルユニットを配置した構造をしている。ドロップケーブルユニットそのものはおおよそ四角い断面形状をしており、断面円形の支持線部の周囲にドロップケーブルユニットを複数配置することで、集合ドロップケーブル全体では断面略円形をなしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−125914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、集合ドロップケーブル全体の断面を略円形とするためには、周囲にドロップケーブルユニットを配置する支持線部の径をある程度大きくしなければならず、中心付近のスペースが無駄となる。このため、ドロップケーブルユニットの収容密度が上がらず、集合ドロップケーブルの径が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ドロップケーブルユニットの収容密度を上げ、集合ドロップケーブルの細径化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のドロップケーブルユニットを支持線部の外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットは、長径方向が前記集合ドロップケーブルの半径方向となるように配置され、前記支持線部側の端部における短径方向の長さが他方の端部よりも短く形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットは、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、集合ドロップケーブルであって、支持線部と、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる内層と、前記内層の外側に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる外層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の集合ドロップケーブルであって、前記ドロップケーブルユニットの撚りピッチは前記内層よりも前記外層のほうが小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドロップケーブルユニットの収容密度を上げ、集合ドロップケーブルの細径化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例に係る集合ドロップケーブル1Aの断面図である。
【図2】ドロップケーブルユニット20Aを示す断面図である。
【図3】従来の集合ドロップケーブル101Aの断面図である。
【図4】結束バンド27で間欠的に束ねた集合ドロップケーブル1Aを示す側面図である。
【図5】ラッシングワイヤ28を巻きつけた集合ドロップケーブル1Aを示す側面図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る集合ドロップケーブル1Bの端部を示す側面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視断面図である。
【図8】従来の集合ドロップケーブル101Bを示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る集合ドロップケーブル1Cの断面図である。
【図10】ドロップケーブルユニット20Bを示す断面図である。
【図11】本発明の変形例に係るドロップケーブルユニット20Cの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、具体的な寸法を示して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限られるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の第1の実施例に係る集合ドロップケーブル1Aの断面図である。集合ドロップケーブル1Aは、支持線部10Aと、7本のドロップケーブルユニット20Aとから概略構成される。
【0014】
支持線部10Aは、支持線11と、支持線11を被覆する被覆12とからなる。支持線11は例えば鋼線等からなり、集合ドロップケーブル1Aの布設等で長手方向に引っ張り力を受けた場合に、ドロップケーブルユニット20Aに過度な引っ張り力が加わらないよう保護するために用いられる。支持線部10Aの外周部には、複数のドロップケーブルユニット20Aが配置されている。
【0015】
ドロップケーブルユニット20Aは、抗張力体21と、光ファイバ心線22と、外被23とからなる。
抗張力体21は、ドロップケーブルユニット20Aが取り回し等で長手方向に引っ張り力を受けた場合、機械的強度に劣る光ファイバに過度な伸び歪みが加わらないよう保護するために用いられており、ドロップケーブルユニット20Aのほぼ中心に配置される。抗張力体21は、例えば、鋼線等からなる。
【0016】
なお、本実施例のように抗張力体21をドロップケーブルユニット20A内に1箇所だけ設けることにより、光ファイバに過度な伸び歪みが加わらないようにすることができる上、後述するようにドロップケーブルユニット20Aを長径方向が集合ドロップケーブル1Aの半径方向となるように配置することが可能となる。
【0017】
光ファイバ心線22は、ガラス光ファイバの外周を、紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂等からなる樹脂で被覆したものであり、抗張力体21と平行もしくは周囲に撚り合わされた状態で1本または複数本配置される。図1においては、8本の光ファイバ心線22が抗張力体21の外周に沿って配置されている。
【0018】
外被23は、抗張力体21及び光ファイバ心線22を一括被覆するものであり、例えば、ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン等からなる。
【0019】
ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向の一端が拡幅部25、他端が縮幅部26となり、ドロップケーブルユニット20Aの断面形状は全体として略楔形の断面形状をしている。集合ドロップケーブル1Aにおいては、図1、図2に示すように、ドロップケーブルユニット20Aは、外側に拡幅部25、内側に縮幅部26を向けた状態で支持線部10Aの外周に沿って配置されている。ドロップケーブルユニット20Aは、撚り合わせるように、支持線部10Aの外周に沿って螺旋状に配置することが好ましい。撚り合わせることで、集合ドロップケーブル1Aが曲げやすくなる。
【0020】
図2はドロップケーブルユニット20Aを示す断面図である。図2に示すように、ドロップケーブルユニット20Aは、長径方向の長さaが3.0mmであり、このうち拡幅部25の長さa1が2.0mm、縮幅部26の長さa2が1.0mmである。また、短径方向は、拡幅部25側の端部の長さb1が2.5mm、縮幅部26側の端部の長さb2が1.0mm、両者の境界部の長さb3が2.0mmである。
【0021】
上記断面形状のドロップケーブルユニット20Aは、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニットと断面積が同一であり、同等の強度を維持することができる。
【0022】
ドロップケーブルユニット20Aを図1に示すように、直径2.5mmの支持線部10Aの外周に沿って7本配列すると、集合ドロップケーブル1A全体の外径を8.5mmに抑えることができる。
これに対し、図3に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、直径7.0mmの支持線部110の外周に沿って配列した、従来の集合ドロップケーブル101A全体の外径は11.0mmとなる。
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Aを用いて従来よりも集合ドロップケーブル1の細径化を図ることができる。
【0023】
なお、集合ドロップケーブル1Aは、ドロップケーブルユニット20Aを撚り合わせただけであってもよいが、図4に示すように、集合ドロップケーブル1Aを結束バンド27で間欠的に束ねてもよい。あるいは、図5に示すように、集合ドロップケーブル1Aの外周部にラッシングワイヤ28を巻きつけて束ねてもよい。なお、このときより確実にドロップケーブルユニット20Aを固定するためには、ラッシングワイヤ28をドロップケーブルユニット20Aの撚り方向と反対方向に巻きつけることが好ましい。このように、結束バンド27、ラッシングワイヤ28等で集合ドロップケーブル1Aを束ねることで、略円形の断面形状を維持しやすくなる。
【実施例2】
【0024】
図6は本発明の第2の実施例に係る集合ドロップケーブル1Bの端部を示す側面図であり、図7は図6のVII−VII矢視断面図である。本実施例においては、実施例1と同様に、支持線部10Aの外周部に内層7本のドロップケーブルユニット20Aが配置されている。本実施例においては、さらにその外側に、外層17本のドロップケーブルユニット20Aが、外側に拡幅部25、内側に縮幅部26を向けた状態で配置されている。ドロップケーブルユニット20Aの断面形状は実施例1と同様である。
【0025】
ドロップケーブルユニット20Aは撚り合わせるように、支持線部10Aの外周、または内層のドロップケーブルユニット20Aに沿って螺旋状に配置することが好ましい。撚り合わせることで、集合ドロップケーブル1Bが曲げやすくなる。
【0026】
また、内層と外層のドロップケーブルユニット20Aは撚りの方向が同一で、撚りピッチは異なることが好ましい。撚りの方向が異なると、内層のドロップケーブルユニット20Aを中間部分で任意に取り出す場合、外層が緩む方向に捻ると内層が締まってドロップケーブルユニット20Aは取り出せず、内層が緩む方向に捻ると外層が締まって内層のドロップケーブルユニット20Aにアプローチしにくくなるためである。
【0027】
また、撚りピッチが同一であると、内層の隣接するドロップケーブルユニット20A同士の隙間に外層のドロップケーブルユニット20Aが落ち込み、集合ドロップケーブル1Bの断面略円形形状が崩れやすくなるためである。なお、集合ドロップケーブル1Bを曲げた場合は外層のほうがより圧縮・引張応力を受けることになるので、撚りピッチは内層よりも外層のほうが小さいことが好ましい。
【0028】
このように配置した集合ドロップケーブル1B全体の外径は、15.0mmとなり、24本のドロップケーブルユニット20Aが収容される。これに対し、図8に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、支持線部110の外周に沿って配列するとともに、さらにその外側に、ドロップケーブルユニット120を12本配置した、従来の集合ドロップケーブル101B全体の外径は15.0mmとなり、19本のドロップケーブルユニット120が収容されるる。
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Aを用いて従来よりも収容密度を上げることができる。
【実施例3】
【0029】
図9は本発明の第3の実施例に係る集合ドロップケーブル1Cの断面図である。本実施例では、外径11.0mmで従来よりも収容密度を上げており、支持線部10Bの外周部に12本のドロップケーブルユニット20Bが配置されている。
【0030】
図10はドロップケーブルユニット20Bを示す断面図である。ドロップケーブルユニット20Bにおいては、抗張力体21が光ファイバ心線22と独立して設けられている。また、複数(図10では4本)の光ファイバ心線22の周囲に緩衝材24が配置されている。緩衝材24は、例えばポリプロピレンやポリエステル等のプラスチック繊維からなる。
抗張力体21、光ファイバ心線22及び緩衝材24が外被23により一括被覆されてドロップケーブルユニット20Bが形成されており、光ファイバ心線22及び緩衝材24は長手に動けるような比較的ルースな状態でいる。
【0031】
図10に示すように、ドロップケーブルユニット20Bは、長径方向の長さaが3.5mmであり、このうち拡幅部25の長さa1が1.5mm、縮幅部26の長さa2が2.0mmである。また、短径方向は、拡幅部25側の端部の長さb1が2.0mm、縮幅部26側の端部の長さb2が1.0mm、両者の境界部の長さb3が2.0mmである。
【0032】
上記断面形状のドロップケーブルユニット20Bは、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニットと断面積が同一であり、同等の強度を維持することができる。
【0033】
直径4mmの支持線部10Bの周囲に、12本のドロップケーブルユニット20Bを配置することで集合ドロップケーブル1C全体の外径が11.0mmとなる。
これに対し、図3に示すように、断面形状が3.0mm×2.0mmの略矩形である一般的なドロップケーブルユニット120を7本、直径7.0mmの支持線部110の外周に沿って配列した集合ドロップケーブル101A全体の外径は11.0mmである。
【0034】
したがって、本実施例によれば、従来と同等の断面積のドロップケーブルユニット20Bを用いて同径の集合ドロップケーブル1Cとしたときに、従来よりも収容密度を上げることができる。
【0035】
<変形例>
図11は本発明の変形例に係るドロップケーブルユニット20Cの断面図である。ドロップケーブルユニット20Cは、緩衝材を兼ねた抗張力体21としてアラミド繊維が配置されている。また、外被23の角がなく丸まった形状をしている。このように角をなくすことで、ドロップケーブルユニット20Cを互いに干渉することなく容易に撚り合わせることができる。
また、光ファイバ心線22を取り出しやすいように、外被23の光ファイバ心線22近傍にノッチ27を設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,101A,101B 集合ドロップケーブル
10A,10B,110 支持線部
11 支持線
12 被覆
20A,20B,20C,120 ドロップケーブルユニット
21 抗張力体
22 光ファイバ心線
23 外被
24 緩衝材
25 拡幅部
26 縮幅部
27 ノッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドロップケーブルユニットを支持線部の外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブルであって、
前記ドロップケーブルユニットは、長径方向が前記集合ドロップケーブルの半径方向となるように配置され、
前記支持線部側の端部における短径方向の長さが他方の端部よりも短く形成されていることを特徴とする集合ドロップケーブル。
【請求項2】
前記ドロップケーブルユニットは、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の集合ドロップケーブル。
【請求項3】
支持線部と、
前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる内層と、
前記内層の外側に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる外層と、を備えることを特徴とする集合ドロップケーブル。
【請求項4】
前記ドロップケーブルユニットの撚りピッチは前記内層よりも前記外層のほうが小さいことを特徴とする請求項3に記載の集合ドロップケーブル。
【請求項1】
複数のドロップケーブルユニットを支持線部の外周に沿って配置してなる集合ドロップケーブルであって、
前記ドロップケーブルユニットは、長径方向が前記集合ドロップケーブルの半径方向となるように配置され、
前記支持線部側の端部における短径方向の長さが他方の端部よりも短く形成されていることを特徴とする集合ドロップケーブル。
【請求項2】
前記ドロップケーブルユニットは、前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の集合ドロップケーブル。
【請求項3】
支持線部と、
前記支持線部の外周に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる内層と、
前記内層の外側に沿って螺旋状に配置された複数のドロップケーブルユニットからなる外層と、を備えることを特徴とする集合ドロップケーブル。
【請求項4】
前記ドロップケーブルユニットの撚りピッチは前記内層よりも前記外層のほうが小さいことを特徴とする請求項3に記載の集合ドロップケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−170007(P2010−170007A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14068(P2009−14068)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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