集塵装置およびこれを備える自動車
【課題】 高い捕集効率であって、信頼でき、圧力損失も小さく、しかも狭いスペースにもきちんと嵌まるような小さいサイズのフィルタを実現する。
【解決手段】 清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニット(1)と、これらの帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニット(2)とを含む集塵装置。この捕集ユニットは、電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む。流れ方向(F)における電極板(21、22)の幅(w)は、この流れ方向に垂直な方向における電極板(21、22)の長さ(I)よりも短く、また、電極板(21、22)を支えるために、この流れ方向に電極板(21、22)の表面の方向が変わっている。
【解決手段】 清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニット(1)と、これらの帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニット(2)とを含む集塵装置。この捕集ユニットは、電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む。流れ方向(F)における電極板(21、22)の幅(w)は、この流れ方向に垂直な方向における電極板(21、22)の長さ(I)よりも短く、また、電極板(21、22)を支えるために、この流れ方向に電極板(21、22)の表面の方向が変わっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部に記載されている集塵装置と、請求項25の導入部に記載されている自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流から粒子を除去するために、一般に、様々な種類の電気フィルタが用いられている。電子フィルタは、サブミクロン粒子、特に直径0.3μmの粒子を除去して空気を清浄にすることを、従来のフィルタよりも効率的に行わせる。その基本原理は、例えばコロナ放電を用いて、これらの粒子を帯電させることである。その後、これらの帯電粒子を、電界を用いて捕集する。例えば、単段電気フィルタ、すなわち同一ユニット内で、これらの粒子を帯電させて捕集するようになっている電気フィルタが、発電所、および他の処理排出物清浄用途に用いられている。2段電気フィルタでは、別の荷電部分において荷電(帯電)が行われ、また、別の捕集ユニットにおいて、帯電粒子の捕集が行われる。
【0003】
自動車の用途では、運転席の空気を清浄にするために、しばしば機械フィルタだけが用いられてきた。しかし、目標が、車内の空気をさらにきれいにすることであるときには、電気フィルタによる解決策が求められてきた。しかし、自動車の用途では、このソリューションに非常に高い要求が課せられる。なぜなら、自動車の用途では、他の用途ではあまり発生しないような振動や湿度や温度の変動がしばしばあるからである。さらに、自動車は、集塵装置のために利用できるスペースが限られていることが多く、利用できる電力もまた限られている。
【0004】
特許文献1は、2段電気フィルタを備える空気清浄装置を開示している。この解決策では、空気清浄装置の様々な構造物は、相当のスペースを必要とし、そのため、特許文献1に開示されている空気清浄装置を車内に設置するためには、自動車の設計の際に考慮に入れておかなければならない。また、この空気清浄装置は、必ずしも、すべての自動車に設置できるとは限らない。
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第5,454,859号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主目的は、例えば、自動車用の小型で効率的、かつ容易に製造できる集塵装置を提供することである。
【0007】
この目的を達成するために、本発明による集塵装置は、請求項1の特徴部分に記載される事項を、主な特徴としている。さらに、本発明による自動車は、請求項25の特徴部分に記載される事項を主な特徴としている。他の従属請求項は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基本的な思想は、少なくとも、清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニットと、これらの帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニットとを備える集塵装置を形成することである。この捕集ユニットは、電圧電極である第1の組の第1の電極板と、捕集電極である第2の組の第2の電極板とを備えている。さらに、流れ方向における本発明による集塵装置の電極板の寸法は、この流れ方向と直交する方向における電極板の長さよりも短く、また、その電極板を支えるために、その流れ方向に、電極板の表面の方向が変わっている。
【0009】
本発明は、電気フィルタに特有の手法、すなわち、コロナ放電を用いる粒子の帯電と、いわゆる電気フィルタセル(filter cell)を用いる帯電粒子の捕集とに基づいている電気式集塵装置に関する。この新たなフィルタは、電気フィルタセルの性質を著しく向上させる。特に、例えば彎曲電極などの異形電極(shaped electrode)を用いれば、材料が非常に薄いフィルタセルを実現することができる。この構造物を用いれば、電極間の間隔が非常に短いフィルタセル(すなわち、小さい体積に合わせて、大きい捕集面積とすることができる)を実現することができる。
【0010】
安定した構造物により、これらの電極の取付けは、もっぱら、フィルタセルの端部に集中させることができる。新たな手法を用いて、電極を取り付ければ、高圧絶縁体が汚損の影響を受ける大きさを最小限とし、かつ、高圧絶縁体を、フィルタセルの端縁部に取り付け、そこで、これらの高圧絶縁体の汚損防御処置を利用することが可能となる。この新たなセル構造物は、また、非金属製の電極材料の使用を容易とする。これらの非金属製電極材料を用いれば、電気フィルタに特有の絶縁破壊の感受性を大幅に減らすことができ、またフィルタセルの信頼性を向上させることもできる。
【0011】
このフィルタは、主として、車内運転席の空気を清浄にすることを主な目的としているが、このフィルタの様々な用途として、他の空気清浄用途(室内空気清浄器用、また特定場所向け供給空気用のフィルタ)にも広く用いることができる。
【0012】
本発明の様々な応用例により、効率的で、信頼でき、圧力損失が小さく、かつ狭いスペースにもきちんと収まるように、このフィルタを得ることができる。このフィルタのもっとも有意な利点として、高い捕集効率、非常に小さい圧力損失、小さい寸法を挙げることができる。使用者の観点から、有意な利点とは、フィルタ用に利用できるスペースが非常に小さく、また、清浄にされる空気流が、このスペースに比して多量であるときでも、効率的に空気を清浄にできることである。
【0013】
彎曲し、折り曲げられた様々な電極を用いれば、空気が、フィルタユニット、すなわち捕集ユニットを通過するときに、流れ方向が変わるような構造物を形成することが可能である。この性質は、とりわけ、使用可能なスペースがほとんどなく、またエアコン装置が、電気フィルタには好都合なまっすぐな流路部分を形成できないくらい複雑な形状である自動車への用途において、きわめて有益である。方向を変える流路の一部として、電気フィルタを統合できるため、複雑で、かつ細長いエアコン装置内に、電気フィルタを設けることが、事実上容易となる。
【0014】
さらに、この電気フィルタは、サブミクロン粒子、特に直径0.3μmの粒子を除去して空気を清浄にすることを、従来のフィルタに比して、より効率的に行わせる。サブミクロン粒子に対して、機械処理により粒子を阻止する従来フィルタの効率は、20%〜40%であるが、この電子フィルタの効率は、60%〜80%である。
【0015】
設計上の理由により、捕集ユニットの初期効率は低い(225m3/hにおいて10Pa〜20Pa)。捕集ユニットの電極は、捕集ユニットの目詰まりを防止するために、空気流と平行に配置されている。捕集ユニットの透過性は、耐用期間の間、ずっと安定しており、また、システム全体の圧力降下は、ほぼ一定であって、それにより、この集塵装置の寿命が長くなる。標準の不織フィルタの透過性は、使用とともに高い圧力降下を招き、これにより、そのメンテナンスが定められる。この集塵装置は小型であり、自動車には、好ましく適用することができる。
【0016】
以下、添付図を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
わかりやすくするために、添附の図面は、本発明を理解するのに必要な細部だけを示している。本発明を理解するのに必要ではないが、当業者には明らかである構造物および細部は、本発明の特徴を強調するために、これらの図から省略されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明による集塵装置の断面を示している。この断面は、清浄にされる空気の流れ方向Fの方向にある。すなわち、この集塵装置は、この流れ方向と直交する方向から示されている。
【0019】
自動車のエアコンユニットの空気流は、50m3/h〜600m3/hの範囲にある。快適な空気流は、100m3/h〜250m3/hである。一例として、自動車分野の集塵装置は、4dm2〜12dm2の範囲内の前面面積を有し、かつ、清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるようになっている荷電ユニット1と、これらの帯電粒子を捕集するようになっている捕集ユニット2とを、少なくとも備えている。荷電ユニット1は、いくつかのプレートと電線から成っている。
【0020】
さらに、捕集ユニット2、すなわちフィルタセルは、2種類の電極、すなわち電圧電極21と捕集電極22を備えている。フィルタセル2では、電圧電極21と捕集電極22は、2枚の電圧電極の間に1枚の捕集電極22がくるように、互いに交互になっている。フィルタセル2の例は、流れ方向から見た図2に示されている。図3は、図2の線III−IIIにおけるフィルタセル2の断面を示している。
【0021】
自動車用に利用できるスペースが小さいため、この集塵装置の寸法を、従来の電気フィルタの場合とは実質的に異なるようにすることが必要である。動作の観点から、フィルタセル2をできるだけ薄くしておくことができれば、有利である(流れ方向F(幅w)におけるフィルタセル2の最小厚さは10mmであり、また、一例では、フィルタ・セル2の厚さは、約25mmである)。
【0022】
電極板21、電極板22の長さIは、50mm〜100mmである。しかし、フィルタセル2の捕集面積は、所要の分離能力に達することができるように、充分大きくなければならない。そのため、とりわけ電極(21、22)の形状、電極の取付け、電気結合、材料、荷電装置1、遮蔽に関して、本発明によると、新たな解決策が提供されている。以下の説明において、この解決策を組み合わせて、様々な態様を実現できることについて、詳しく説明する。
【0023】
電圧制御形電源は、電極21と電極22との間に電界を発生させる。この電源の公称出力電圧値は、1.5kV〜3kVであり、好ましくは、2kV(+/−10%)である。その出力電流は、0.1mAよりも小さい。この流れ方向における捕集ユニット2の最小厚さは、10mmである。225m3/hの快適な空気流では、捕集ユニット2の厚さは、25mmまで増やされる。電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、1.7mm〜2.3mmの範囲内にあり、とりわけ約2mmが好ましい。
電極の形状
【0024】
フィルタセル2の捕集面積は、電極21、22の数と、これらの電極の寸法(すなわち、電極の作用面積)の影響を受ける。さらに、電極21、22の面積は、使えるようになっているスペースにより制限される。ただし、このスペースは、代表的な自動車では、非常に限られている。
【0025】
目標が、できるだけ薄いフィルタ構造物2であるときには、電極21、22は、流れ方向Fよりも横断方向の方が著しく長い。すなわち、電極板の長さIが、電極板の幅wよりも長い。さらに、フィルタセル2の電圧電極21と捕集電極22との間隔dを非常に短くして、できるだけ多くの電極をフィルタセル2に配置することにより、フィルタ内で、充分に大きい捕集面積を形成させる。
【0026】
フィルタセル2の電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、その用途に応じて、1mm〜7mmである。一応用例では、電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、1.7mm〜2.3mmの範囲内にあり、特に約2mmである。したがって、フィルタセル2に使用される電極21、22は、非常に薄くなければならない。また、それらの電極の機械的剛性は、これらの電極の間隔dを、非常に厳密な限度内に保てるくらい、大でなければならない。
【0027】
流れ方向Fに異形の電極21、22を使用することにより、充分な剛性が得られる。また、流れ方向Fにおいて、異形電極21、22の表面方向が変わる。有利な一応用例では、彎曲電極21、22は、図4に示す通りに使用される。この彎曲形状を用いると、非常に安定した構造物に、非常に薄いプレート(1mmよりも薄い)により得られる。一応用例では、電極21、22の厚さは、約0.2mmにすぎない。
【0028】
図5に示す他の実施形態では、電極板21、22の表面の方向は、流れ方向Fの1地点において急に変わる。その場合、電極板21、22には、ある種の折り目がある。図6による第3の応用例では、電極板21、22には、いくつかの折り目がある。電極板21、22を、折り目と彎曲部分を両方とも含むように形づくることも可能である。彎曲し、折り曲げられた様々な電極21、22を用いれば、空気が、フィルタユニット2、すなわち、捕集ユニットを通過するときに流れ方向F(図4)が変わるような構造物を得ることが可能である。
【0029】
方向を変える流路の一部として、電気フィルタを統合すると、複雑で、かつ細長いエアコン装置内に、電気フィルタを設けることが容易となる。その上、この彎曲形状は、電極21、22に付着された粒子の慣性力を支持する。
【0030】
所要の剛性を発揮させるための折り目の必要な曲率、または角度は、その用途によって決められる。これは、とりわけ、電極21、22の長さI、電極21、22の幅w、電極21、22の相互間隔d、材料、材料の厚さの影響を受ける。
【0031】
本発明は、彎曲し、折り曲げられた電極21、22のみに限定されない。電極21、22は、平板状のこともある。
電極の取付け
【0032】
彎曲し、折り曲げられた電極21、22を有する安定したセル構造物2を用いれば、従来の電気フィルタ構造物の別の実質的な技術的改良を達成することができる。この安定した構造物を用いると、電極21、22の取付け構造物23は、例えば図2に示すように、もっぱらフィルタセルの端縁エリアに集中している。このようにして、フィルタセル内には、取付け構造物も支持構造物もなく、それにより、流れや分離能力が妨げられないような電気フィルタセル2を得ることが可能となる。
【0033】
有利な一応用例では、電極21、22は、電圧電極と捕集電極を、別々の取付け構造物23に取り付けられる。例えば、取付け棒などの取付け構造物23は、例えばプラスチックなどの適切な材料でできている。図7は、捕集電極22と電圧電極21の側面外形の基本ソリューションを示している。図7に示すように、捕集電極22と電圧電極21は、別々の取付け棒23を備えている。
【0034】
電圧電極21と捕集電極22との間で安定した取付けをしなければならない。また、この取付けの電気特性は、あらゆる状態で、引き続き良好でなければならない。この取付けは、様々なやり方で実施できる。一例では、同時に、電圧電極21と捕集電極22との間で、電気絶縁体として同時に働く取付け絶縁体24が、例えば図2に示すように、一番外の2つの電極対の間に、すなわち、フィルタセル2の端縁に付けられている。フィルタセル2の端縁の取付け絶縁体24は、汚損からまったく効果的に保護される。さらに、必要であれば、上記絶縁体への小電力加熱を目標とすることも可能である。このような加熱は、湿気が取付け絶縁体24の表面上で凝縮しないようにする。
(電気結合)
【0035】
フィルタセル2の電極21、22の電気結合は、様々な方法で実施できる。この結合において、従来の配線構造物や接合構造物を使用することが可能である。この結合は、例えば一部導電性の撓み材料を用いても実施できる。この撓み材料は、フィルタセル2の両端縁上に、例えば中央の2つの取付け棒23の間に取り付けられる。
電極材料
【0036】
安定したセル構造物により、非金属製で、かつ異なる一部導電性の電極材料の使用も容易となる。電気フィルタセルの信頼性と、電気絶縁破壊の排除に関して、これらの金属電極は、あらゆる場合に、最高のソリューションではない。適切な導電率を持つ材料を用いれば、起こり得る絶縁破壊により発生する放電の流れをできるだけ小さくし、したがって、電気フィルタに特有のスパークを排除することができる。
【0037】
その一方、電気フィルタセルで捕集されるダストの量は、捕集された粒子の塊が、電圧電極と捕集電極との間に「ブリッジ」を形成するくらい多くなることがある。そのため、このように望まれない接触により、電極間に局部短絡ブリッジが形成されることもある。金属電極の場合には、この短絡により、電極の全域にわたって電界が弱まる。一部導電性の電極の場合には、この短絡により、その電界は、明確に限定された部位だけが弱くなり、それゆえ、分離能力がほんのわずかだけが弱まるにすぎない。
【0038】
構成要素の老化や異なる条件にもかかわらず、電圧を安定させておくために、好ましくは電圧制御形発電機が用いられる。電極21、22上にダストがある場合には、その電源で電圧を上げれば、捕集ユニット2の効率を高めることができる。
【0039】
図8は、フィルタ・セル2の信頼性を大幅に向上させるソリューションを示している。電極21、22は、絶縁体の材料か、あるいは何らかの一部導電性の材料で製造されている。絶縁体の材料の場合には、表面仕上げを用いて、適切な導電率を実現することができる。電極21、22の表面上に、導電性被覆25を付加することが可能である。この導電性被覆25を用いれば、必要な電位を、この電極の断面全体にわたって、効率的に分布させることができる。
【0040】
図8によるソリューションでは、電圧電極21と捕集電極22の導電部分との間隔が長いか、あるいは、これらの導電部分間に絶縁体の材料(あるいは、一部導電性の材料)があることが重要である。
【0041】
可能なソリューションは、図9に示すやり方で、導電性の電極、あるいは部分的にのみ導電性の電極を使用することである。この場合、1つ置きの電極22が、導電性材料(例えば、アルミニウム)で製造され、また、1つ置きの電極21が、一部導電性材料(例えばプラスチックまたは紙をベースとする態様)で製造されている。このような場合、導電性電極22は、捕集電極として働き、また、一部導電性の電極21は、電圧電極として働く。すなわち、これらの電極間の電界の方向は、帯電粒子を捕集電極に運ぶような方向である。
【0042】
原理的には、この状況は、逆になることもあろう。すなわち、電界の方向が逆向きとなり、その場合、上に示された電圧電極21にて、粒子の捕集が行われることになり、したがって、電圧電極21が捕集電極22として働くことになる。この例の機能の前調整は、適正に決められるその材料の導電率、すなわち、電極21と電極22との間で、必要な電界を形成するのに充分大きい導電率を有する。
【0043】
電極21、22はまた、導電率以外において、異なる性質を備えていることもある。一例では、電極21、22は、所望のガスを吸着する材料でできている。さらに、他の例では、電極21、22は、所望のガスを吸着する材料で被覆されている。
荷電装置
【0044】
荷電ユニット1は、いくつかのプレートと電線の連続体から成っている。これらのプレートと電線との間隔は、この集塵装置の空気透磁率と詳細な幾何形状によって決まる。この実施形態では、その間隔は、8mm〜10mmの範囲内にある。接地電極であるプレートの幅は、8mmよりも大きく、好ましくは10mmである。これらの電線は、直径が0.07mm〜0.2mm(好ましくは、0.15mm)である放電電極であって、タングステン線である。この流れ方向における荷電ユニット1の厚さは10mmである。
【0045】
老化に対して安定した性能を保つために、電流制御形発電機が使用される。このことは、電線とプレート上にダストがある場合に、電流を大きくして、電界を安定状態に保ち、かつ荷電ユニット1の効率を高めることができることを意味する。
【0046】
この公称出力電流値は、0.5mA〜1mAであり、好ましくは0.75mA(+/−10%)である。その出力電圧は、5kV〜7kVの範囲内にあり、好ましくは5.0kV〜5.7kVである。
【0047】
自動車の用途では、このフィルタ用に確保されるスペースは、非常に狭いことが多い。それゆえ、できるだけ狭いスペース内で、必要なすべての部分を統合することが、主な関心事である。そのため、例えばコロナ荷電装置のように、電気フィルタを装備した空気ろ過装置に組み入れられることの多い荷電装置1も、できるだけ狭いスペースにきちんと嵌まるようにされる。実際には、このことは、コロナ荷電装置1を、できるだけ捕集セル2の近くに配置するのが有利であることを意味する。
【0048】
コロナ荷電装置1の近傍も、以下に述べられるやり方で利用できる。コロナ電極11が捕集セル2に充分近くにあると、コロナ電極から釈放されたコロナ流(=イオン流)を、捕集セルの電圧入力部に利用できる。原理的には、捕集セル2の電圧電極21を、「浮動状態」にしておくことができる。このような場合、電圧電極21は、実際には、電気的に何にも結合されない。
【0049】
すなわち、図10に示す結合では、電圧電極21は、いかなる電源にも結合されない。したがって、コロナ流の影響のもとに、電圧電極21の電位は、高圧絶縁体の地電流、および、電圧電極21と、さらに低い電位、例えば地電位につながれた捕集電極22との間の部分放電によって決まるレベルにとどまる。原理的には、このようなやり方で、捕集セルの電極21と電極22との電位差を最大レベルまで高めることが可能である。
【0050】
さらに、電圧電極21と捕集電極22を、負荷抵抗を介して地電位に結合することも可能である。このような場合、電極(21、22)の電位は、コロナ流および負荷抵抗に基づいて決定される。もちろん、電圧電極21と捕集電極22も電源に結合できる。このような場合、電極(21、22)の電位は、主として、上記電圧入力に基づいて決定される。双方の場合に、電圧電極21と捕集電極22との電位差を、適正なレベルに保たなければならない。
【0051】
一応用例では、コロナ流を制御することも可能である。上記電極がコロナ電極11に近く、また、上記電極の極性が、コロナ放電の極性と同一であることにより、該当する方向へのコロナ放電の強さが制限される。或る場合には、コロナ電極11と、ほぼゼロである電圧電極21との間のコロナ流を制御することが可能である。したがって、このコロナ放電は、主として放電装置1の他の部分、一般にコロナ電極11と、その対極12との間のスペースに限定される。
【0052】
捕集セル2全体の電位を適正なレベルまで上昇させる場合、すなわち、捕集電極22と電圧電極21の双方が、コロナ放電と同一極性の電圧を与えられている場合に、コロナ放電の制御を、もっとも効率的に達成できる。捕集電極22と電圧電極21との電位差は、もちろん、適正なレベルに保たれなければならない。例えば、コロナ放電装置1の電力消費およびオゾン発生を最小限に抑えているときに、コロナ流を減らせることが必要である場合もある。
【0053】
コロナ電極11と捕集セル2との電位差は、当然、逆のやり方でも利用できる。すなわち、電極(21、22)に連絡されている電圧の極性を逆にすることにより、捕集セル2の方向へのコロナ放電を強めることができる。
前置フィルタ
【0054】
自動車の用途では、小さい粒子の空気を清浄にすることを目的としているときに、電気フィルタを使用することは、有益である。従来のろ過手法を用いると、優れた捕集効率に達することが非常に困難である。なぜなら、このフィルタ用に確保されたスペースは小さく、このフィルタの圧力差が大きくなり得ないからである。その一方、車内運転席の供給空気は、また、捕集セルの前部に捕集される多数の大きな粒子も含んでいる。
【0055】
さらに、この供給空気中には、とりわけ虫や水滴もあることがある。これらの虫や水滴は、捕集セル上にたまっているときに、短絡または余分の地電流を発生させるかもしれない。少量のオゾンを発生させることも、電気フィルタに特有のものである。このようなオゾンは、一般に、例えば活性炭フィルタを用いて、ろ過しなければならない。
【0056】
図11は、特にこの供給空気中に多量の粗なダスト、虫、水滴がある場合に、電気フィルタの信頼性を高めさせるソリューションを示している。このソリューションでは、機械フィルタ3が、このシステムの上流に(空気入口)、または少なくとも捕集セル2の上流に、例えばコロナ荷電装置1と捕集セル2との間に設けられる。機械フィルタ3は、例えば、粒子とガス不純物の両方に対する分離能力を特徴とする活性炭フィルタ、あるいは、いわゆるコンポジットフィルタである。
【0057】
この場合、機械フィルタ3の仕事は、当然、大きな粒子の大部分、およびコロナ放電において生じたオゾンを除去することである。さらに、機械フィルタ3の仕事は、寸法が1mm以上の範囲内にあるあらゆる大きな物質、虫、水滴、すなわち電気フィルタの適正な動作に有害となるようなものを、空気から分離することでもある。さらに、機械フィルタ3は、高電圧コロナ電極11と、さらに低い電位または逆の電位にある捕集セル2との間に位置づけられることも留意されたい。したがって、電界がフィルタ3内に形成され、それにより、粒子の付着が強められる。
【0058】
機械フィルタ3はまた、コロナ荷電装置1と一体化され、かつ金属網として形成されるが、その場合、機械フィルタ3により、コロナ効果は強められる。機械フィルタ3はまた、プラスチック製の網目格子から成るか、あるいは一般に、任意の不織材料でできていることもある。フィルタ3は、圧力降下の影響がきわめて小さくなければならない。
【0059】
薄い一部導電性のフィルタ層またはネットを、機械フィルタとして、あるいは機械フィルタの代わりに使用しているときに、このしゃへい目的に加えて、上記構造物を、電気コンタクトとして、すなわち、例えば図12に示されるように、例えば電圧電極21に対して、適切な電気コンタクトを得させる構造物として利用することもできる。このソリューションは、一部導電性の電極材料を使用しているときに、有利なソリューションとなる可能性がもっとも高い。
【0060】
本発明による集塵装置は、主として、車内運転席の空気を清浄にすることを目的としている。図13は、自動車において、自動車の空気入口に関連して、集塵装置の場所を、おおむね示している。上に取り上げられた集塵装置ソリューションの様々な用途は、例えば様々な室内空気清浄器や、特定場所向けの供給空気フィルタのように、他の集塵装置用途においても、いくつかの適用可能性を持っている。
【0061】
一応用例において、捕集ユニット2の電極板21と、電極板22との間に残っている不純物は、ほんのしばらく、これらの電極に高電位差をもたらすことにより、除去される。除去可能な不純物(ごみ、虫など)は焼き取られる。さらに、他の応用例では、捕集ユニット2が、オゾンで殺菌される。オゾンは、有利には、コロナ放電装置により発生する。いくつかの自動車用途では、上述の焼き取り、または殺菌は、自動車が停止した後、遅れて行われる。このような場合、乗客は、好都合にも、自動車からすでに去っている。
【0062】
さらに、フィルタ3を使用して、空気流を広げれば、荷電ユニット1の効率は高められることに留意されたい。
【0063】
さらに、空気流の方向Fにおいて、捕集ユニット2の下流に配置された追加の後置フィルタ4は、捕集ユニット2から解放された凝集した粒子を捕集できる(図11)。後置フィルタ4はまた、電気フィルタにより発生した少量のオゾンも除去することになる。後置フィルタ4は、例えば、活性炭フィルタまたはコンポジットフィルタであることもある。好ましくは、後置フィルタ4は、最小前面面積が4dm2であり、また最小厚さが20mmである。この炭素密度は、200g/m2〜100g/m2の範囲内にある。
【0064】
本発明を一般化するために、この集塵装置は、接地電極と電圧電極を含む。それぞれの電極は、アースまたは電源に結合されることもある。この電極の電圧に応じて、粒子が、この電極により引き付けられるか、あるいは押し戻される。同様に、本発明の主な原理は、粒子に電荷を与えることと関係がある。
【0065】
以上本発明を、特定の種類の電極材料を用いるものとして説明した。この材料らは、金属、あるいは非金属であることもある。これらの電極は、一部導電性または全部導電性の材料であるか、あるいは絶縁材料であることがある。
【0066】
この集塵装置の諸要素は、順次に取り付けられることもある。別法として、この集塵装置は、あらかじめ組み立てられたユニットとして構成されることもある。
【0067】
上に取り上げられた本発明の様々な実施形態に関連して開示した態様および構造物を、様々なやり方で組み合わせれば、本発明の精神により、様々な実施形態を生み出すことが可能である。それゆえ、上に取り上げた例は、本発明を限定するものと解してはならず、本発明の実施形態は、本明細書中に併記される特許請求の範囲に示されている本発明の特徴の範囲内で、自由に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による集塵装置の断面を示す。
【図2】流れ方向からのフィルタ・セルを示す。
【図3】図2の線III−IIIにおけるフィルタ・セルの断面を示す。
【図4】第1の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図5】第2の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図6】第3の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図7】捕集電極と電圧電極の側面外形のソリューションを示す。
【図8】捕集電極と電圧電極のソリューションを示す。
【図9】捕集電極と電圧電極の別のソリューションを示す。
【図10】集塵装置の原理を示す。
【図11】前置フィルタと後置フィルタを装備した集塵装置の原理を示す。
【図12】前置フィルタを装備した集塵装置の別の原理を示す。
【図13】集塵装置を装備した自動車を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 荷電ユニット
2 捕集ユニット
3 前置フィルタ
4 後置フィルタ
11 コロナ電極
12 対極
21 電圧電極
22 捕集電極
23 取付け棒
24 取付け絶縁体
25 導電性被覆
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部に記載されている集塵装置と、請求項25の導入部に記載されている自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流から粒子を除去するために、一般に、様々な種類の電気フィルタが用いられている。電子フィルタは、サブミクロン粒子、特に直径0.3μmの粒子を除去して空気を清浄にすることを、従来のフィルタよりも効率的に行わせる。その基本原理は、例えばコロナ放電を用いて、これらの粒子を帯電させることである。その後、これらの帯電粒子を、電界を用いて捕集する。例えば、単段電気フィルタ、すなわち同一ユニット内で、これらの粒子を帯電させて捕集するようになっている電気フィルタが、発電所、および他の処理排出物清浄用途に用いられている。2段電気フィルタでは、別の荷電部分において荷電(帯電)が行われ、また、別の捕集ユニットにおいて、帯電粒子の捕集が行われる。
【0003】
自動車の用途では、運転席の空気を清浄にするために、しばしば機械フィルタだけが用いられてきた。しかし、目標が、車内の空気をさらにきれいにすることであるときには、電気フィルタによる解決策が求められてきた。しかし、自動車の用途では、このソリューションに非常に高い要求が課せられる。なぜなら、自動車の用途では、他の用途ではあまり発生しないような振動や湿度や温度の変動がしばしばあるからである。さらに、自動車は、集塵装置のために利用できるスペースが限られていることが多く、利用できる電力もまた限られている。
【0004】
特許文献1は、2段電気フィルタを備える空気清浄装置を開示している。この解決策では、空気清浄装置の様々な構造物は、相当のスペースを必要とし、そのため、特許文献1に開示されている空気清浄装置を車内に設置するためには、自動車の設計の際に考慮に入れておかなければならない。また、この空気清浄装置は、必ずしも、すべての自動車に設置できるとは限らない。
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第5,454,859号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主目的は、例えば、自動車用の小型で効率的、かつ容易に製造できる集塵装置を提供することである。
【0007】
この目的を達成するために、本発明による集塵装置は、請求項1の特徴部分に記載される事項を、主な特徴としている。さらに、本発明による自動車は、請求項25の特徴部分に記載される事項を主な特徴としている。他の従属請求項は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基本的な思想は、少なくとも、清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニットと、これらの帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニットとを備える集塵装置を形成することである。この捕集ユニットは、電圧電極である第1の組の第1の電極板と、捕集電極である第2の組の第2の電極板とを備えている。さらに、流れ方向における本発明による集塵装置の電極板の寸法は、この流れ方向と直交する方向における電極板の長さよりも短く、また、その電極板を支えるために、その流れ方向に、電極板の表面の方向が変わっている。
【0009】
本発明は、電気フィルタに特有の手法、すなわち、コロナ放電を用いる粒子の帯電と、いわゆる電気フィルタセル(filter cell)を用いる帯電粒子の捕集とに基づいている電気式集塵装置に関する。この新たなフィルタは、電気フィルタセルの性質を著しく向上させる。特に、例えば彎曲電極などの異形電極(shaped electrode)を用いれば、材料が非常に薄いフィルタセルを実現することができる。この構造物を用いれば、電極間の間隔が非常に短いフィルタセル(すなわち、小さい体積に合わせて、大きい捕集面積とすることができる)を実現することができる。
【0010】
安定した構造物により、これらの電極の取付けは、もっぱら、フィルタセルの端部に集中させることができる。新たな手法を用いて、電極を取り付ければ、高圧絶縁体が汚損の影響を受ける大きさを最小限とし、かつ、高圧絶縁体を、フィルタセルの端縁部に取り付け、そこで、これらの高圧絶縁体の汚損防御処置を利用することが可能となる。この新たなセル構造物は、また、非金属製の電極材料の使用を容易とする。これらの非金属製電極材料を用いれば、電気フィルタに特有の絶縁破壊の感受性を大幅に減らすことができ、またフィルタセルの信頼性を向上させることもできる。
【0011】
このフィルタは、主として、車内運転席の空気を清浄にすることを主な目的としているが、このフィルタの様々な用途として、他の空気清浄用途(室内空気清浄器用、また特定場所向け供給空気用のフィルタ)にも広く用いることができる。
【0012】
本発明の様々な応用例により、効率的で、信頼でき、圧力損失が小さく、かつ狭いスペースにもきちんと収まるように、このフィルタを得ることができる。このフィルタのもっとも有意な利点として、高い捕集効率、非常に小さい圧力損失、小さい寸法を挙げることができる。使用者の観点から、有意な利点とは、フィルタ用に利用できるスペースが非常に小さく、また、清浄にされる空気流が、このスペースに比して多量であるときでも、効率的に空気を清浄にできることである。
【0013】
彎曲し、折り曲げられた様々な電極を用いれば、空気が、フィルタユニット、すなわち捕集ユニットを通過するときに、流れ方向が変わるような構造物を形成することが可能である。この性質は、とりわけ、使用可能なスペースがほとんどなく、またエアコン装置が、電気フィルタには好都合なまっすぐな流路部分を形成できないくらい複雑な形状である自動車への用途において、きわめて有益である。方向を変える流路の一部として、電気フィルタを統合できるため、複雑で、かつ細長いエアコン装置内に、電気フィルタを設けることが、事実上容易となる。
【0014】
さらに、この電気フィルタは、サブミクロン粒子、特に直径0.3μmの粒子を除去して空気を清浄にすることを、従来のフィルタに比して、より効率的に行わせる。サブミクロン粒子に対して、機械処理により粒子を阻止する従来フィルタの効率は、20%〜40%であるが、この電子フィルタの効率は、60%〜80%である。
【0015】
設計上の理由により、捕集ユニットの初期効率は低い(225m3/hにおいて10Pa〜20Pa)。捕集ユニットの電極は、捕集ユニットの目詰まりを防止するために、空気流と平行に配置されている。捕集ユニットの透過性は、耐用期間の間、ずっと安定しており、また、システム全体の圧力降下は、ほぼ一定であって、それにより、この集塵装置の寿命が長くなる。標準の不織フィルタの透過性は、使用とともに高い圧力降下を招き、これにより、そのメンテナンスが定められる。この集塵装置は小型であり、自動車には、好ましく適用することができる。
【0016】
以下、添付図を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
わかりやすくするために、添附の図面は、本発明を理解するのに必要な細部だけを示している。本発明を理解するのに必要ではないが、当業者には明らかである構造物および細部は、本発明の特徴を強調するために、これらの図から省略されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明による集塵装置の断面を示している。この断面は、清浄にされる空気の流れ方向Fの方向にある。すなわち、この集塵装置は、この流れ方向と直交する方向から示されている。
【0019】
自動車のエアコンユニットの空気流は、50m3/h〜600m3/hの範囲にある。快適な空気流は、100m3/h〜250m3/hである。一例として、自動車分野の集塵装置は、4dm2〜12dm2の範囲内の前面面積を有し、かつ、清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるようになっている荷電ユニット1と、これらの帯電粒子を捕集するようになっている捕集ユニット2とを、少なくとも備えている。荷電ユニット1は、いくつかのプレートと電線から成っている。
【0020】
さらに、捕集ユニット2、すなわちフィルタセルは、2種類の電極、すなわち電圧電極21と捕集電極22を備えている。フィルタセル2では、電圧電極21と捕集電極22は、2枚の電圧電極の間に1枚の捕集電極22がくるように、互いに交互になっている。フィルタセル2の例は、流れ方向から見た図2に示されている。図3は、図2の線III−IIIにおけるフィルタセル2の断面を示している。
【0021】
自動車用に利用できるスペースが小さいため、この集塵装置の寸法を、従来の電気フィルタの場合とは実質的に異なるようにすることが必要である。動作の観点から、フィルタセル2をできるだけ薄くしておくことができれば、有利である(流れ方向F(幅w)におけるフィルタセル2の最小厚さは10mmであり、また、一例では、フィルタ・セル2の厚さは、約25mmである)。
【0022】
電極板21、電極板22の長さIは、50mm〜100mmである。しかし、フィルタセル2の捕集面積は、所要の分離能力に達することができるように、充分大きくなければならない。そのため、とりわけ電極(21、22)の形状、電極の取付け、電気結合、材料、荷電装置1、遮蔽に関して、本発明によると、新たな解決策が提供されている。以下の説明において、この解決策を組み合わせて、様々な態様を実現できることについて、詳しく説明する。
【0023】
電圧制御形電源は、電極21と電極22との間に電界を発生させる。この電源の公称出力電圧値は、1.5kV〜3kVであり、好ましくは、2kV(+/−10%)である。その出力電流は、0.1mAよりも小さい。この流れ方向における捕集ユニット2の最小厚さは、10mmである。225m3/hの快適な空気流では、捕集ユニット2の厚さは、25mmまで増やされる。電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、1.7mm〜2.3mmの範囲内にあり、とりわけ約2mmが好ましい。
電極の形状
【0024】
フィルタセル2の捕集面積は、電極21、22の数と、これらの電極の寸法(すなわち、電極の作用面積)の影響を受ける。さらに、電極21、22の面積は、使えるようになっているスペースにより制限される。ただし、このスペースは、代表的な自動車では、非常に限られている。
【0025】
目標が、できるだけ薄いフィルタ構造物2であるときには、電極21、22は、流れ方向Fよりも横断方向の方が著しく長い。すなわち、電極板の長さIが、電極板の幅wよりも長い。さらに、フィルタセル2の電圧電極21と捕集電極22との間隔dを非常に短くして、できるだけ多くの電極をフィルタセル2に配置することにより、フィルタ内で、充分に大きい捕集面積を形成させる。
【0026】
フィルタセル2の電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、その用途に応じて、1mm〜7mmである。一応用例では、電圧電極21と捕集電極22との間隔dは、1.7mm〜2.3mmの範囲内にあり、特に約2mmである。したがって、フィルタセル2に使用される電極21、22は、非常に薄くなければならない。また、それらの電極の機械的剛性は、これらの電極の間隔dを、非常に厳密な限度内に保てるくらい、大でなければならない。
【0027】
流れ方向Fに異形の電極21、22を使用することにより、充分な剛性が得られる。また、流れ方向Fにおいて、異形電極21、22の表面方向が変わる。有利な一応用例では、彎曲電極21、22は、図4に示す通りに使用される。この彎曲形状を用いると、非常に安定した構造物に、非常に薄いプレート(1mmよりも薄い)により得られる。一応用例では、電極21、22の厚さは、約0.2mmにすぎない。
【0028】
図5に示す他の実施形態では、電極板21、22の表面の方向は、流れ方向Fの1地点において急に変わる。その場合、電極板21、22には、ある種の折り目がある。図6による第3の応用例では、電極板21、22には、いくつかの折り目がある。電極板21、22を、折り目と彎曲部分を両方とも含むように形づくることも可能である。彎曲し、折り曲げられた様々な電極21、22を用いれば、空気が、フィルタユニット2、すなわち、捕集ユニットを通過するときに流れ方向F(図4)が変わるような構造物を得ることが可能である。
【0029】
方向を変える流路の一部として、電気フィルタを統合すると、複雑で、かつ細長いエアコン装置内に、電気フィルタを設けることが容易となる。その上、この彎曲形状は、電極21、22に付着された粒子の慣性力を支持する。
【0030】
所要の剛性を発揮させるための折り目の必要な曲率、または角度は、その用途によって決められる。これは、とりわけ、電極21、22の長さI、電極21、22の幅w、電極21、22の相互間隔d、材料、材料の厚さの影響を受ける。
【0031】
本発明は、彎曲し、折り曲げられた電極21、22のみに限定されない。電極21、22は、平板状のこともある。
電極の取付け
【0032】
彎曲し、折り曲げられた電極21、22を有する安定したセル構造物2を用いれば、従来の電気フィルタ構造物の別の実質的な技術的改良を達成することができる。この安定した構造物を用いると、電極21、22の取付け構造物23は、例えば図2に示すように、もっぱらフィルタセルの端縁エリアに集中している。このようにして、フィルタセル内には、取付け構造物も支持構造物もなく、それにより、流れや分離能力が妨げられないような電気フィルタセル2を得ることが可能となる。
【0033】
有利な一応用例では、電極21、22は、電圧電極と捕集電極を、別々の取付け構造物23に取り付けられる。例えば、取付け棒などの取付け構造物23は、例えばプラスチックなどの適切な材料でできている。図7は、捕集電極22と電圧電極21の側面外形の基本ソリューションを示している。図7に示すように、捕集電極22と電圧電極21は、別々の取付け棒23を備えている。
【0034】
電圧電極21と捕集電極22との間で安定した取付けをしなければならない。また、この取付けの電気特性は、あらゆる状態で、引き続き良好でなければならない。この取付けは、様々なやり方で実施できる。一例では、同時に、電圧電極21と捕集電極22との間で、電気絶縁体として同時に働く取付け絶縁体24が、例えば図2に示すように、一番外の2つの電極対の間に、すなわち、フィルタセル2の端縁に付けられている。フィルタセル2の端縁の取付け絶縁体24は、汚損からまったく効果的に保護される。さらに、必要であれば、上記絶縁体への小電力加熱を目標とすることも可能である。このような加熱は、湿気が取付け絶縁体24の表面上で凝縮しないようにする。
(電気結合)
【0035】
フィルタセル2の電極21、22の電気結合は、様々な方法で実施できる。この結合において、従来の配線構造物や接合構造物を使用することが可能である。この結合は、例えば一部導電性の撓み材料を用いても実施できる。この撓み材料は、フィルタセル2の両端縁上に、例えば中央の2つの取付け棒23の間に取り付けられる。
電極材料
【0036】
安定したセル構造物により、非金属製で、かつ異なる一部導電性の電極材料の使用も容易となる。電気フィルタセルの信頼性と、電気絶縁破壊の排除に関して、これらの金属電極は、あらゆる場合に、最高のソリューションではない。適切な導電率を持つ材料を用いれば、起こり得る絶縁破壊により発生する放電の流れをできるだけ小さくし、したがって、電気フィルタに特有のスパークを排除することができる。
【0037】
その一方、電気フィルタセルで捕集されるダストの量は、捕集された粒子の塊が、電圧電極と捕集電極との間に「ブリッジ」を形成するくらい多くなることがある。そのため、このように望まれない接触により、電極間に局部短絡ブリッジが形成されることもある。金属電極の場合には、この短絡により、電極の全域にわたって電界が弱まる。一部導電性の電極の場合には、この短絡により、その電界は、明確に限定された部位だけが弱くなり、それゆえ、分離能力がほんのわずかだけが弱まるにすぎない。
【0038】
構成要素の老化や異なる条件にもかかわらず、電圧を安定させておくために、好ましくは電圧制御形発電機が用いられる。電極21、22上にダストがある場合には、その電源で電圧を上げれば、捕集ユニット2の効率を高めることができる。
【0039】
図8は、フィルタ・セル2の信頼性を大幅に向上させるソリューションを示している。電極21、22は、絶縁体の材料か、あるいは何らかの一部導電性の材料で製造されている。絶縁体の材料の場合には、表面仕上げを用いて、適切な導電率を実現することができる。電極21、22の表面上に、導電性被覆25を付加することが可能である。この導電性被覆25を用いれば、必要な電位を、この電極の断面全体にわたって、効率的に分布させることができる。
【0040】
図8によるソリューションでは、電圧電極21と捕集電極22の導電部分との間隔が長いか、あるいは、これらの導電部分間に絶縁体の材料(あるいは、一部導電性の材料)があることが重要である。
【0041】
可能なソリューションは、図9に示すやり方で、導電性の電極、あるいは部分的にのみ導電性の電極を使用することである。この場合、1つ置きの電極22が、導電性材料(例えば、アルミニウム)で製造され、また、1つ置きの電極21が、一部導電性材料(例えばプラスチックまたは紙をベースとする態様)で製造されている。このような場合、導電性電極22は、捕集電極として働き、また、一部導電性の電極21は、電圧電極として働く。すなわち、これらの電極間の電界の方向は、帯電粒子を捕集電極に運ぶような方向である。
【0042】
原理的には、この状況は、逆になることもあろう。すなわち、電界の方向が逆向きとなり、その場合、上に示された電圧電極21にて、粒子の捕集が行われることになり、したがって、電圧電極21が捕集電極22として働くことになる。この例の機能の前調整は、適正に決められるその材料の導電率、すなわち、電極21と電極22との間で、必要な電界を形成するのに充分大きい導電率を有する。
【0043】
電極21、22はまた、導電率以外において、異なる性質を備えていることもある。一例では、電極21、22は、所望のガスを吸着する材料でできている。さらに、他の例では、電極21、22は、所望のガスを吸着する材料で被覆されている。
荷電装置
【0044】
荷電ユニット1は、いくつかのプレートと電線の連続体から成っている。これらのプレートと電線との間隔は、この集塵装置の空気透磁率と詳細な幾何形状によって決まる。この実施形態では、その間隔は、8mm〜10mmの範囲内にある。接地電極であるプレートの幅は、8mmよりも大きく、好ましくは10mmである。これらの電線は、直径が0.07mm〜0.2mm(好ましくは、0.15mm)である放電電極であって、タングステン線である。この流れ方向における荷電ユニット1の厚さは10mmである。
【0045】
老化に対して安定した性能を保つために、電流制御形発電機が使用される。このことは、電線とプレート上にダストがある場合に、電流を大きくして、電界を安定状態に保ち、かつ荷電ユニット1の効率を高めることができることを意味する。
【0046】
この公称出力電流値は、0.5mA〜1mAであり、好ましくは0.75mA(+/−10%)である。その出力電圧は、5kV〜7kVの範囲内にあり、好ましくは5.0kV〜5.7kVである。
【0047】
自動車の用途では、このフィルタ用に確保されるスペースは、非常に狭いことが多い。それゆえ、できるだけ狭いスペース内で、必要なすべての部分を統合することが、主な関心事である。そのため、例えばコロナ荷電装置のように、電気フィルタを装備した空気ろ過装置に組み入れられることの多い荷電装置1も、できるだけ狭いスペースにきちんと嵌まるようにされる。実際には、このことは、コロナ荷電装置1を、できるだけ捕集セル2の近くに配置するのが有利であることを意味する。
【0048】
コロナ荷電装置1の近傍も、以下に述べられるやり方で利用できる。コロナ電極11が捕集セル2に充分近くにあると、コロナ電極から釈放されたコロナ流(=イオン流)を、捕集セルの電圧入力部に利用できる。原理的には、捕集セル2の電圧電極21を、「浮動状態」にしておくことができる。このような場合、電圧電極21は、実際には、電気的に何にも結合されない。
【0049】
すなわち、図10に示す結合では、電圧電極21は、いかなる電源にも結合されない。したがって、コロナ流の影響のもとに、電圧電極21の電位は、高圧絶縁体の地電流、および、電圧電極21と、さらに低い電位、例えば地電位につながれた捕集電極22との間の部分放電によって決まるレベルにとどまる。原理的には、このようなやり方で、捕集セルの電極21と電極22との電位差を最大レベルまで高めることが可能である。
【0050】
さらに、電圧電極21と捕集電極22を、負荷抵抗を介して地電位に結合することも可能である。このような場合、電極(21、22)の電位は、コロナ流および負荷抵抗に基づいて決定される。もちろん、電圧電極21と捕集電極22も電源に結合できる。このような場合、電極(21、22)の電位は、主として、上記電圧入力に基づいて決定される。双方の場合に、電圧電極21と捕集電極22との電位差を、適正なレベルに保たなければならない。
【0051】
一応用例では、コロナ流を制御することも可能である。上記電極がコロナ電極11に近く、また、上記電極の極性が、コロナ放電の極性と同一であることにより、該当する方向へのコロナ放電の強さが制限される。或る場合には、コロナ電極11と、ほぼゼロである電圧電極21との間のコロナ流を制御することが可能である。したがって、このコロナ放電は、主として放電装置1の他の部分、一般にコロナ電極11と、その対極12との間のスペースに限定される。
【0052】
捕集セル2全体の電位を適正なレベルまで上昇させる場合、すなわち、捕集電極22と電圧電極21の双方が、コロナ放電と同一極性の電圧を与えられている場合に、コロナ放電の制御を、もっとも効率的に達成できる。捕集電極22と電圧電極21との電位差は、もちろん、適正なレベルに保たれなければならない。例えば、コロナ放電装置1の電力消費およびオゾン発生を最小限に抑えているときに、コロナ流を減らせることが必要である場合もある。
【0053】
コロナ電極11と捕集セル2との電位差は、当然、逆のやり方でも利用できる。すなわち、電極(21、22)に連絡されている電圧の極性を逆にすることにより、捕集セル2の方向へのコロナ放電を強めることができる。
前置フィルタ
【0054】
自動車の用途では、小さい粒子の空気を清浄にすることを目的としているときに、電気フィルタを使用することは、有益である。従来のろ過手法を用いると、優れた捕集効率に達することが非常に困難である。なぜなら、このフィルタ用に確保されたスペースは小さく、このフィルタの圧力差が大きくなり得ないからである。その一方、車内運転席の供給空気は、また、捕集セルの前部に捕集される多数の大きな粒子も含んでいる。
【0055】
さらに、この供給空気中には、とりわけ虫や水滴もあることがある。これらの虫や水滴は、捕集セル上にたまっているときに、短絡または余分の地電流を発生させるかもしれない。少量のオゾンを発生させることも、電気フィルタに特有のものである。このようなオゾンは、一般に、例えば活性炭フィルタを用いて、ろ過しなければならない。
【0056】
図11は、特にこの供給空気中に多量の粗なダスト、虫、水滴がある場合に、電気フィルタの信頼性を高めさせるソリューションを示している。このソリューションでは、機械フィルタ3が、このシステムの上流に(空気入口)、または少なくとも捕集セル2の上流に、例えばコロナ荷電装置1と捕集セル2との間に設けられる。機械フィルタ3は、例えば、粒子とガス不純物の両方に対する分離能力を特徴とする活性炭フィルタ、あるいは、いわゆるコンポジットフィルタである。
【0057】
この場合、機械フィルタ3の仕事は、当然、大きな粒子の大部分、およびコロナ放電において生じたオゾンを除去することである。さらに、機械フィルタ3の仕事は、寸法が1mm以上の範囲内にあるあらゆる大きな物質、虫、水滴、すなわち電気フィルタの適正な動作に有害となるようなものを、空気から分離することでもある。さらに、機械フィルタ3は、高電圧コロナ電極11と、さらに低い電位または逆の電位にある捕集セル2との間に位置づけられることも留意されたい。したがって、電界がフィルタ3内に形成され、それにより、粒子の付着が強められる。
【0058】
機械フィルタ3はまた、コロナ荷電装置1と一体化され、かつ金属網として形成されるが、その場合、機械フィルタ3により、コロナ効果は強められる。機械フィルタ3はまた、プラスチック製の網目格子から成るか、あるいは一般に、任意の不織材料でできていることもある。フィルタ3は、圧力降下の影響がきわめて小さくなければならない。
【0059】
薄い一部導電性のフィルタ層またはネットを、機械フィルタとして、あるいは機械フィルタの代わりに使用しているときに、このしゃへい目的に加えて、上記構造物を、電気コンタクトとして、すなわち、例えば図12に示されるように、例えば電圧電極21に対して、適切な電気コンタクトを得させる構造物として利用することもできる。このソリューションは、一部導電性の電極材料を使用しているときに、有利なソリューションとなる可能性がもっとも高い。
【0060】
本発明による集塵装置は、主として、車内運転席の空気を清浄にすることを目的としている。図13は、自動車において、自動車の空気入口に関連して、集塵装置の場所を、おおむね示している。上に取り上げられた集塵装置ソリューションの様々な用途は、例えば様々な室内空気清浄器や、特定場所向けの供給空気フィルタのように、他の集塵装置用途においても、いくつかの適用可能性を持っている。
【0061】
一応用例において、捕集ユニット2の電極板21と、電極板22との間に残っている不純物は、ほんのしばらく、これらの電極に高電位差をもたらすことにより、除去される。除去可能な不純物(ごみ、虫など)は焼き取られる。さらに、他の応用例では、捕集ユニット2が、オゾンで殺菌される。オゾンは、有利には、コロナ放電装置により発生する。いくつかの自動車用途では、上述の焼き取り、または殺菌は、自動車が停止した後、遅れて行われる。このような場合、乗客は、好都合にも、自動車からすでに去っている。
【0062】
さらに、フィルタ3を使用して、空気流を広げれば、荷電ユニット1の効率は高められることに留意されたい。
【0063】
さらに、空気流の方向Fにおいて、捕集ユニット2の下流に配置された追加の後置フィルタ4は、捕集ユニット2から解放された凝集した粒子を捕集できる(図11)。後置フィルタ4はまた、電気フィルタにより発生した少量のオゾンも除去することになる。後置フィルタ4は、例えば、活性炭フィルタまたはコンポジットフィルタであることもある。好ましくは、後置フィルタ4は、最小前面面積が4dm2であり、また最小厚さが20mmである。この炭素密度は、200g/m2〜100g/m2の範囲内にある。
【0064】
本発明を一般化するために、この集塵装置は、接地電極と電圧電極を含む。それぞれの電極は、アースまたは電源に結合されることもある。この電極の電圧に応じて、粒子が、この電極により引き付けられるか、あるいは押し戻される。同様に、本発明の主な原理は、粒子に電荷を与えることと関係がある。
【0065】
以上本発明を、特定の種類の電極材料を用いるものとして説明した。この材料らは、金属、あるいは非金属であることもある。これらの電極は、一部導電性または全部導電性の材料であるか、あるいは絶縁材料であることがある。
【0066】
この集塵装置の諸要素は、順次に取り付けられることもある。別法として、この集塵装置は、あらかじめ組み立てられたユニットとして構成されることもある。
【0067】
上に取り上げられた本発明の様々な実施形態に関連して開示した態様および構造物を、様々なやり方で組み合わせれば、本発明の精神により、様々な実施形態を生み出すことが可能である。それゆえ、上に取り上げた例は、本発明を限定するものと解してはならず、本発明の実施形態は、本明細書中に併記される特許請求の範囲に示されている本発明の特徴の範囲内で、自由に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による集塵装置の断面を示す。
【図2】流れ方向からのフィルタ・セルを示す。
【図3】図2の線III−IIIにおけるフィルタ・セルの断面を示す。
【図4】第1の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図5】第2の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図6】第3の実施形態による2つの隣り合った電極の断面を示す。
【図7】捕集電極と電圧電極の側面外形のソリューションを示す。
【図8】捕集電極と電圧電極のソリューションを示す。
【図9】捕集電極と電圧電極の別のソリューションを示す。
【図10】集塵装置の原理を示す。
【図11】前置フィルタと後置フィルタを装備した集塵装置の原理を示す。
【図12】前置フィルタを装備した集塵装置の別の原理を示す。
【図13】集塵装置を装備した自動車を示す。
【符号の説明】
【0069】
1 荷電ユニット
2 捕集ユニット
3 前置フィルタ
4 後置フィルタ
11 コロナ電極
12 対極
21 電圧電極
22 捕集電極
23 取付け棒
24 取付け絶縁体
25 導電性被覆
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄にしようとする空気流中の粒子を帯電させるようになっている荷電ユニット(1)と、前記帯電粒子を捕集するようになっている捕集ユニット(2)とを有し、
前記捕集ユニット(2)は、
電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、
捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む集塵装置であって、
流れ方向(F)における前記電極板(21、22)の幅(w)が、前記流れ方向に垂直な方向における前記電極板の長さ(I)よりも短く、また、前記電極板を支えるために、前記電極板の表面の方向が、前記流れ方向に変わっていることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記電極板(21、22)は、非金属材料でできていることを特徴とする請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記電極板(21、22)は、導電性被覆で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記電極板(21、22)は、吸着材料でできていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
前記電極板(21、22)は、それらの端部からのみ取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
隣り合った電極板(21、22)の間隔(d)は、1mm〜7mmの範囲内、好ましくは1.7mm〜2.3mmの範囲内、さらに好ましくは約2mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
電極板(21、22)の厚さは、約1mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項8】
前記流れ方向(F)における電極板(21、22)の幅(w)は、10mm〜25mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
前記荷電ユニット(1)の幅(w)は、10mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
前記電極板(21、22)の長さ(I)は、50mm〜100mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
前記電極板(21、22)が彎曲していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
前記電極板(21、22)が平板状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
前記電極板(21、22)が折り曲げられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項14】
前記空気流方向(F)において、前記荷電ユニット(1)と前記捕集ユニット(2)との間に、前置フィルタ(3)が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項15】
前置フィルタ(3)は、前記電圧電極(21)に対して電気コンタクトを形成するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の集塵装置。
【請求項16】
コロナ電極(11)は、捕集ユニット(2)に対して電位差をもたらすように構成されているコロナ荷電装置(1)を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項17】
前記電圧電極(21)が浮動していることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
前記電圧電極(21)のそれぞれが、関連する電源に接続されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項19】
電位を使用して、荷電ユニット(1)中のコロナ放電を強めるか、あるいは弱めることのできる捕集ユニット(2)を含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項20】
荷電ユニット(1)用の電流調整形電源を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
前記捕集ユニット(2)の公称出力電圧値が、1.5kV〜3kVの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項22】
電圧電極(21)用の電圧調整形電源を含むことを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
荷電ユニット(1)の公称出力電流値が、0.5mA〜1mAの範囲内にあり、また、前記出力電圧範囲が、5kV〜7kVであることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項24】
前記空気流の方向(F)において、前記捕集ユニット(2)の下流に位置づけられる後置フィルタ(4)を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニット(1)と、前記帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニット(2)とを、
少なくとも含み、さらに、前記捕集ユニット(2)が、
電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、
捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む少なくとも1つの集塵装置であって、
流れ方向(F)における前記電極板(21、22)の幅(w)は、前記流れ方向に垂直な方向における前記電極板の長さ(I)よりも短く、また、前記電極板を支えるために、前記電極板の表面の方向が、前記流れ方向に変わっていることを特徴とする集塵装置を備える自動車。
【請求項1】
清浄にしようとする空気流中の粒子を帯電させるようになっている荷電ユニット(1)と、前記帯電粒子を捕集するようになっている捕集ユニット(2)とを有し、
前記捕集ユニット(2)は、
電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、
捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む集塵装置であって、
流れ方向(F)における前記電極板(21、22)の幅(w)が、前記流れ方向に垂直な方向における前記電極板の長さ(I)よりも短く、また、前記電極板を支えるために、前記電極板の表面の方向が、前記流れ方向に変わっていることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記電極板(21、22)は、非金属材料でできていることを特徴とする請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記電極板(21、22)は、導電性被覆で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記電極板(21、22)は、吸着材料でできていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
前記電極板(21、22)は、それらの端部からのみ取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
隣り合った電極板(21、22)の間隔(d)は、1mm〜7mmの範囲内、好ましくは1.7mm〜2.3mmの範囲内、さらに好ましくは約2mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
電極板(21、22)の厚さは、約1mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項8】
前記流れ方向(F)における電極板(21、22)の幅(w)は、10mm〜25mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
前記荷電ユニット(1)の幅(w)は、10mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
前記電極板(21、22)の長さ(I)は、50mm〜100mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
前記電極板(21、22)が彎曲していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
前記電極板(21、22)が平板状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
前記電極板(21、22)が折り曲げられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項14】
前記空気流方向(F)において、前記荷電ユニット(1)と前記捕集ユニット(2)との間に、前置フィルタ(3)が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項15】
前置フィルタ(3)は、前記電圧電極(21)に対して電気コンタクトを形成するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の集塵装置。
【請求項16】
コロナ電極(11)は、捕集ユニット(2)に対して電位差をもたらすように構成されているコロナ荷電装置(1)を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項17】
前記電圧電極(21)が浮動していることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
前記電圧電極(21)のそれぞれが、関連する電源に接続されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項19】
電位を使用して、荷電ユニット(1)中のコロナ放電を強めるか、あるいは弱めることのできる捕集ユニット(2)を含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項20】
荷電ユニット(1)用の電流調整形電源を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
前記捕集ユニット(2)の公称出力電圧値が、1.5kV〜3kVの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項22】
電圧電極(21)用の電圧調整形電源を含むことを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
荷電ユニット(1)の公称出力電流値が、0.5mA〜1mAの範囲内にあり、また、前記出力電圧範囲が、5kV〜7kVであることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項24】
前記空気流の方向(F)において、前記捕集ユニット(2)の下流に位置づけられる後置フィルタ(4)を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
清浄にされる空気流中の粒子を帯電させるように構成された荷電ユニット(1)と、前記帯電粒子を捕集するように構成された捕集ユニット(2)とを、
少なくとも含み、さらに、前記捕集ユニット(2)が、
電圧電極である第1の組の第1の電極板(21)と、
捕集電極である第2の組の第2の電極板(22)とを含む少なくとも1つの集塵装置であって、
流れ方向(F)における前記電極板(21、22)の幅(w)は、前記流れ方向に垂直な方向における前記電極板の長さ(I)よりも短く、また、前記電極板を支えるために、前記電極板の表面の方向が、前記流れ方向に変わっていることを特徴とする集塵装置を備える自動車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−155089(P2008−155089A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−344429(P2006−344429)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344429(P2006−344429)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】
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