説明

集積体供給装置

【課題】 包装物が積み重なって形成された段積み集積体を荷崩れせずに搬送する
【解決手段】 集積体供給装置1は、複数の包装物Bをバケット10内に積み重ねて段積み集積体Cとして収容し、当該段積み集積体Cを上流から下流に搬送する。集積体供給装置1は、この段積み集積体Cをバケットコンベア11の下流の押出位置Zから、バケットコンベア11の搬送方向に直交する方向にバケット10から押し出す押出プッシャ20を備えている。押出プッシャ20は、段積み集積体Cの押出方向前面に配置される前壁23と、段積み集積体Cの押出方向後面に配置される後壁24とを含み、これら前壁23、後壁24をバケット10に配置した後に段積み集積体Cを押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の物品を積み重ねて段積み集積体を形成し、当該段積み集積体を上流から下流へ搬送する集積体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品の段積み集積体は、最終製品の形態等に応じて様々な場面で形成されている。例えば、包装システムの中には、前工程で形成した包装物を複数積み重ねて段積み集積体とし、後工程で一つの包装袋に包装するものがある。また、物品を箱詰めするときに、段積み集積体を形成してから箱詰めする場合等もある。
【0003】
特許文献1には、この段積み集積体を搬送する技術が開示されている。特許文献1の被搬送体の集積供給装置は、集積個数の被包装体(本願の包装物に相当)をバケット内に供給することで集積品(本願の段積み集積体に相当)を形成している。この集積品は、排出位置(本願の押出位置に相当)までバケットによって搬送された後、投入装置によって取り出され、供給コンベアに投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−165620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記のような段積み集積体は、包装物の積み重ね数、被包装物の内容、包装フィルムの状態等の影響を受けて包装物が不安定に積み重なる状態を作ることがあった。その結果、段積み集積体は、荷崩れを容易に起こすことになり、段積み集積体の搬送を停止させるなどの作業効率の低下を招いていた。
【0006】
この荷崩れを防止するために、特許文献1の集積供給装置ではガイド体等を設けている(同文献の段落「0021」参照)。しかし、投入装置がある排出位置では、集積品を取り出すために排出面が開口している必要がある。よって、排出位置に集積品を搬送し、投入装置の動作まで待機させると、その待機時間に排出面側に荷崩れを起こすおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような実状を鑑みてなされたものであり、物品が積み重なって形成された段積み集積体を荷崩れせずに搬送することができる集積体供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の物品をバケット内に積み重ねて段積み集積体として収容し、当該段積み集積体を上流から下流に移動させる集積体供給装置であって、
当該段積み集積体をバケットから押し出す押出プッシャを備え、当該押出プッシャは、段積み集積体の押出方向前面に配置される前壁と、段積み集積体の押出方向後面に配置される後壁とを含み、これら前壁、後壁をバケットに配置した後に段積み集積体を押し出すことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、押出プッシャは、前壁及び後壁を段積み集積体の押出方向の前後面に配置することによって、この段積み集積体の荷崩れを防止した状態で押し出すことができる。その結果、段積み集積体を荷崩れさせることなくバケットから取り出すとともに、取り出した段積み集積体をスムーズに移動させることができる。
【0010】
また、集積体供給装置は、バケットが、無端状のバケットコンベア上に設けられており、
段積み集積体が、バケットコンベアの上流において形成された後、当該バケットコンベアの搬送駆動によって下流に搬送される構成であって、
押出プッシャは、バケットコンベアにより搬送されてきた段積み集積体を当該バケットコンベアの下流の押出位置から、当該バケットコンベアの搬送方向に直交する押出搬送経路に押し出す構成であり、
さらに、押出搬送経路は、当該押出搬送経路の両側方にバケット近傍から当該押出搬送経路に沿って延在し、段積み集積体を案内するガイド壁とを含み、
バケットコンベアは、押出プッシャによる段積み集積体の押し出し後に、次に押し出される予定の段積み集積体をガイド壁の端縁に対向する位置に待機させ、押出プッシャが前壁及び後壁を段積み集積体の押出位置の前後位置に配置した後、待機していた段積み集積体を押出位置に移動させる構成とすることができる。
【0011】
このように段積み集積体をガイド壁の端縁に対向する位置に待機させることで、ガイド壁の端縁が段積み集積体の荷崩れを防止することとなり、段積み集積体の状態を安定的に支持することができる。また、段積み集積体は押出位置に近いガイド壁の対向位置に待機するため、この待機位置から押出位置まで移動時間が短くなる。このため、押出プッシャによる押し出し開始タイミングを早めることができ、作業効率を向上させることができる。
【0012】
上記の集積体供給装置は、バケットコンベアが段積み集積体を搬送方向に複数並べて下流に搬送し、押出位置において押出プッシャが所定組数の段積み集積体を押し出す構成であって、
押出プッシャは、押し出す所定組数の段積み集積体に応じて、複股状に分岐して形成されており、
さらに、押出搬送経路は、押し出される所定組数の段積み集積体に応じて複数並べて設けられ、且つガイド壁は、当該各押出搬送経路の両側方をバケット近傍から延在するように設けられた構成であり、
バケットコンベアは、押出プッシャによる段積み集積体の押し出し後に、次に押し出される所定組数の段積み集積体を、押出搬送経路の両側方の各ガイド壁の端縁に対向する位置にそれぞれ待機させ、押出プッシャが前壁及び後壁を段積み集積体の押出位置の前後位置に配置した後、待機していた段積み集積体を押出位置に移動させることができる。
【0013】
このように押出プッシャが所定組数の段積み集積体を押し出す構成であっても、各ガイド壁の端縁が所定組数の段積み集積体の荷崩れを防止することとなり、段積み集積体の状態を安定的に支持することができる。また、所定組数の段積み集積体が押出位置に近い各ガイド壁の対向位置に待機することで、この待機位置から押出位置までの移動時間を短くすることができる。
【0014】
さらに、押出プッシャは、段積み集積体を上面から押さえる上面押さえ手段と、
後壁によって段積み集積体を前壁に押しつける後壁押さえ手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
上面押さえ手段は、押出プッシャによる押し出し時に段積み集積体の上面を押さえることで物品の滑り落ち等を防ぎ、段積み集積体の荷崩れをより確実に防止することができる。さらに押出プッシャによる押し出し時に、後壁押さえ手段によって後壁と前壁で段積み集積体を挟むこととなり、段積み集積体の荷崩れを一層確実に防止できる。よって、段積み集積体をよりスムーズに押し出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、押出プッシャが段積み集積体の荷崩れを防止した状態で押し出すこととなり、その結果、段積み集積体をスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る集積体供給装置を適用した包装システムの全体構成を概略的に示す平面図である。
【図2】本実施形態に係る包装システムにおいて搬送される物品の状態を概略的に示した斜視図である。
【図3】本実施形態に係る集積体供給装置の全体構成を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る集積体供給装置の全体構成を示す側面図である。
【図5】(a)は、図3のA−A線断面図であり、(b)は、図3のB−B線断面図である。
【図6】図4のC−C線断面図である。
【図7】本実施形態に係る集積体供給装置の段積み集積体の搬送を順に示す概略平面図及び概略側面図である。
【図8】本実施形態に係る集積体供給装置の段積み集積体の搬送を順に示す概略平面図及び概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る集積体供給装置を適用した包装システムの全体構成を概略的に示す平面図であり、図2は、同包装システムにおいて搬送される物品の状態を概略的に示した斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の集積体供給装置1は、包装システムにある二つの包装機の中間工程に設置したものである。すなわち包装システムは、被包装物Aを包装して包装物Bを形成する前工程側包装機2と、前工程側包装機2で形成した包装物Bを複数積み重ねて段積み集積体Cを形成し、当該段積み集積体Cを後工程側包装機3に移動する集積体供給装置1と、段積み集積体Cを包装して最終製品Dを形成する後工程側包装機3と、を含む構成である。
【0019】
また、本包装システムにおいて形成される最終製品Dは、図2に示すように、包装物Bが積み重なった段積み集積体Cを二組並べて包装したものである。包装システムでは、この最終製品Dを形成するようにシステム全体を制御し、各工程の動作を実施している。
【0020】
本実施形態の前工程側包装機2は、被包装物Aの内容(例えば、菓子等の固形物)に応じて横型ピロー包装機が適用されている。供給される被包装物Aは、所定の工程を経ることで包装されて包装物Bとなり、この包装物Bは、等間隔に並べられて下流の取出位置Xに搬送される。この横型ピロー包装機の構成及び動作については周知であるため、詳細な説明は省略する。
なお、前工程側包装機2は、包装される被包装物Aの内容によって種々の包装機が適用できることは勿論である。
【0021】
前工程側包装機2の下流付近にはロボットアーム4が設置されている。ロボットアーム4は、取出位置Xに搬送されてきた包装物Bを取り出して、集積体供給装置1に移動させる機能を有している。ロボットアーム4は、四つの先端吸着部4aを備えた構成であり、並べられている包装物Bを四個同時に取り出して、移動先の集積体形成位置Yに並ぶ四つのバケット10内に収容する。また取出位置Xには、ロボットアーム4による包装物Bの取り出し後に、前工程側包装機2によって新たな包装物Bが搬送されてくる。
【0022】
バケット10内には、所定数の包装物B(本実施形態では五個)が収容される。したがって、ロボットアーム4は、取出位置Xに順次搬送されてくる包装物Bを五回繰り返し移動させることで、各バケット10内に五個の包装物を積み重ねていく。これによりバケット10内には、包装物Bが五段に積み重なった段積み集積体Cが形成される。形成された段積み集積体Cは、搬送経路上流の集積体形成位置Yから下流の押出位置Zに搬送される。この押出位置Zでは、押出プッシャ20によって段積み集積体Cがバケット10から押し出され、押出搬送経路12を介して後工程側包装機3の供給経路3aに移される。本実施形態では、段積み集積体Cを二組並べて包装するため、供給経路3aに対して段積み集積体Cを二組同時に押し出す構成となっている。
このバケット10及び押出プッシャ20については、集積体供給装置1の構成として後に詳述する。
【0023】
後工程側包装機3は、供給された段積み集積体Cを包装する構成を備えている。このような包装機としては、例えば前工程側包装機2と同様の横型ピロー包装機等を適用することができる。供給経路3aに二列になって押し出された段積み集積体Cは、供給経路3aにあるプッシャ3bによって供給経路3a上を押され、後工程側包装機3に搬送される。後工程側包装機3では、二組の段積み集積体Cが一つの包装フィルムにまとめて外装され、各端部が熱シールされて密封されることで最終製品Dに形成されることとなる。
【0024】
図3は、本実施形態に係る集積体供給装置の全体構成を示す平面図であり、図4は同じく側面図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態の集積体供給装置1は、バケット10、バケットコンベア11、押出搬送経路12、ガイド壁13、押出プッシャ20等を備えている。バケット10は、無端状のバケットコンベア11上に設けられている。このバケット10は、包装物Bを縦方向に集積して収容可能な形状の容器を用いており、本実施形態では、内部に五個の包装物Bが積み重ね可能な枠体10aが側周面に形成されている。段積み集積体Cは、搬送経路となるバケットコンベア11上流の集積体形成位置Yにおいてバケット10内に形成された後、バケットコンベア11の搬送駆動によってこのバケット10とともに下流にある押出位置Zに搬送される。
【0025】
また、バケット10の枠体10aは側周面がコ字状となっている。この側周面の開口面10bは、押出プッシャ20による段積み集積体Cの押出方向であり、開口面10bと対向する枠体10aには押出プッシャ20が通過可能な切り欠き10cが形成してある。これにより押出プッシャ20は、段積み集積体Cを切り欠き10cから開口面10bに向かって押し出して、バケット10から取り出すことができる。
【0026】
集積体形成位置Yでは、ロボットアーム4の四つの先端吸着部4aに応じて、バケット10が四つ並べられる。バケットコンベア11は、この四つ並んだバケット10を一組(以下、四連バケットという)として、隣り合う四連バケットの組を別々に動作させている。すなわちバケットコンベア11は、二つの異なるトラック(図示せず)によって構成され、一方のトラックに設けてある四連バケットの搬送動作と、他方のトラックに設けてある四連バケットの搬送動作と、を別の駆動源(図示せず)によって別々に制御している。
これにより、集積体形成位置Yにある四連バケットは、段積み集積体Cの形成(ロボットアーム4による包装物Bの積み重ね)のため待機状態とし、下流に搬送されて押出位置Z付近にある四連バケットは、押出プッシャ20による押し出しタイミングに応じた搬送動作を実施することが可能となる。
【0027】
なお、バケットコンベア11上の集積体形成位置Yから押出位置Zの上流近傍までは、バケット10の開口面10bと対向する位置に荷崩れ防止壁14が設けられている。この荷崩れ防止壁14は、バケットコンベア11上を搬送される段積み集積体Cの開口面10b側の荷崩れを防止することができる。
【0028】
バケットコンベア11の押出位置Zには、段積み集積体Cをバケット10内から押し出す押出プッシャ20が設けてある。また押出搬送経路12は、バケットコンベア11の押出位置Zからバケットコンベア11の搬送方向に直交するように延在して、下流にある供給経路3aにつながっており、押出プッシャ20によって押し出された段積み集積体Cを搬送する経路となる。また押出搬送経路12は、押出プッシャ20に二組同時に押し出される段積み集積体Cに応じて、二列並べて設けられている。
【0029】
二列並んだ押出搬送経路12上には、ガイド壁13として、側面ガイド13a、13aが両側方に、中間ガイド13bが中央にそれぞれ設けられている。側面ガイド13a、13a及び中間ガイド13bは、一方の端縁が上流の押出位置Zにおいてバケット10が通過する近傍位置まで延び、他方の端縁が下流の供給経路3aまで延びている。したがって、押出搬送経路12に押し出された段積み集積体Cを両側方に荷崩れさせることなく、供給経路3aまで案内することができる。
【0030】
図5(a)は、図3のA−A線断面図であり、図5(b)は、図3のB−B線断面図である。また図6は、図4のC−C線断面図である。
集積体供給装置1の押出プッシャ20は、バケットコンベア11の下流の押出位置Zにおいて押出搬送経路12と同方向に動作自在に設置されている。この押出プッシャ20は、バケットコンベア11により搬送されてきた段積み集積体Cをバケットコンベア11の搬送方向に直交する方向に押し出し、押出位置Zから供給経路3aまで押し続ける機能を有している。図3乃至図6に示すように、押出プッシャ20は、押出機構21、上下移動機構22、前壁23、後壁24、後壁押さえ機構25(後壁押さえ手段)、上面押さえ機構26(上面押さえ手段)を含む構成である。
【0031】
押出機構21は、押出搬送経路12の上方を同方向に延在する搬送レール21aと、内部に駆動源(図示せず)を有しこの搬送レール21a上を往復移動するスライド体21bと、を備えている(図3参照)。押出機構21は、段積み集積体Cの押し出しに直接関わる機構であり、押出プッシャ20の他の構成はスライド体21bに搭載されて一体的に移動する。スライド体21bは、所定のタイミングで、押出位置Zから供給経路3aまで移動し、移動後は自動的に押出位置Zに復帰するように制御されている。
【0032】
上下移動機構22は、上下方向に延在する上下レール22aと、この上下レール22a上を往復移動する上下移動体22bと、を備えている(図5(b)参照)。上下レール22aは、スライド体21bに直接取り付けられ、上下移動体22bの上下方向の移動を支持している。上下移動体22bは、下端面に板部材27が取り付けられている。この板部材27は、四つの端部が折れ曲がった略H形状に形成されており、先端側に前壁23が一体的に形成され、且つ後端側に後壁24が後壁押さえ機構25を介して取り付けられている。また上下移動体22bの側面には、連結部材28がねじ止めされており、この連結部材28には上面押さえ機構26が設けられている。
なお、押出プッシャ20は、押し出す二組の段積み集積体Cに応じて、板部材27が二股状に分岐して形成されており、板部材27につながる前壁23、後壁24、後壁押さえ機構25、及び連結部材28につながる上面押さえ機構26は、それぞれ一対設けられている。
【0033】
上下移動機構22は、スライド体21bが押出位置Zにあるとき、所定のタイミングで上下移動体22bを下方向に移動することで、前壁23及び後壁24を段積み集積体Cの押出方向の前後面に配置する。一方、スライド体21bが供給経路3aにあるとき、上下移動体22bを上方向に移動することにより、前壁23及び後壁24を移動させて配置状態を解除する。
【0034】
前壁23は、上下移動体22bの下方向への移動によって、段積み集積体Cの押出方向前面に配置される(図5(a)参照)。これにより、段積み集積体Cの押出方向前面への荷崩れを防止することができる。また後壁24は、上下移動体22bの下方向に移動によって、段積み集積体Cの押出方向後面に配置される。これにより、段積み集積体Cの押出方向後面への荷崩れを防止することができる。
【0035】
すなわち、本実施形態の押出プッシャ20は、特許文献1のように単純に段積み集積体Cをバケット10から押し出す構成ではなく、前壁23及び後壁24を段積み集積体Cの押出方向の前後面に配置することによって、この段積み集積体Cの荷崩れを防止した状態で押し出している。その結果、段積み集積体Cを荷崩れさせることなくバケット10から取り出して、押出搬送経路12上をスムーズに移動させることができる。
また押出搬送経路12上では、ガイド壁13によって両側方がガイドされることから、段積み集積体Cは四方が囲まれることになり、積み重ね状態を安定的に維持することができる。
【0036】
後壁押さえ機構25は、板部材27の後端側に取り付けられる後面側シリンダ25aと、この後面側シリンダ25aにより進退する前後移動体25bとを備えており、この前後移動体25bの先端面に後壁24が取り付けられている(図5(a)参照)。後面側シリンダ25aは、押出動作で前後移動体25bを先端方向に移動させる。後壁24は、段積み集積体Cの後面に配置された後、後面側シリンダ25aによる前後移動体25bの移動を受けて前進し、段積み集積体Cを後面から前壁23に押しつける構成となっている。これにより段積み集積体Cは、前壁23と後壁24によって挟まれ、荷崩れが一層確実に防止されることとなる。
【0037】
一方、上面押さえ機構26は連結部材28に取り付けられる(図5(b)参照)。連結部材28は、上面が先端方向と後端方向に分岐して形成されており、両端側にそれぞれ上面側シリンダ26aが取り付けられている。また上面押さえ機構26は、上面側シリンダ26aにより上下方向に摺動自在となったテーブル26bを備え、このテーブル26bには押さえ部材29が取り付けられている。押さえ部材29はL字状に形成され、下面の所定位置に段積み集積体Cの上面を押さえる当接部29aを有している。
【0038】
上面側シリンダ26aは、上記後壁押さえ機構25により後壁24が段積み集積体Cを挟む前に、テーブル26bを下方向に移動させる。これにより押さえ部材29が下方向に移動し、当接部29aが段積み集積体Cの上面に当接して、段積み集積体Cを押さえる。当接部29aは、押出プッシャ20による押し出し時に段積み集積体Cを押さえることで、包装物Bの滑り落ち等を防ぎ、段積み集積体Cの荷崩れをより確実に防止することができる。
【0039】
図7、図8は、本実施形態に係る集積体供給装置の段積み集積体の搬送を順に示す概略平面図及び概略側面図である。
次に図2、図7、図8を参照して、集積体供給装置1の搬送動作を説明する。集積体供給装置1は、押出プッシャ20の動作とバケットコンベア11の動作とを連動して制御している。まずバケットコンベア11は、バケット10を集積体形成位置Yに待機させる。図2に示すように、バケット10内には、ロボットアーム4による包装物Bの搬送により段積み集積体Cが形成される。この段積み集積体Cの形成中、押出プッシャ20は、前側にある段積み集積体Cを供給経路3aに押し出す動作を実施している。
【0040】
段積み集積体Cの形成が終わると、バケットコンベア11はバケット10を押出位置Zの直前に移動して待機させる。この待機位置では、バケット10の開口面10bが荷崩れ防止壁14と対向し、バケット10内に収容されている段積み集積体Cの荷崩れが防止されている。またバケット10の移動時には、前側にあった段積み集積体Cが供給経路3aまで押し出された状態にあり、よって押出プッシャ20は、図7(a)(b)に示すように供給経路3a上に位置している。
【0041】
集積体供給装置1は、上記の押出プッシャ20による段積み集積体Cの押し出し後に、上下移動体22bを上方向に移動して段積み集積体Cの前後面から前壁23及び後壁24の配置を解除する。この解除後に、図7(c)(d)に示すように押出プッシャ20は、スライド体21bを押出位置Zまで移動する。
【0042】
また、この間にバケットコンベア11はバケット10を移動して、次に押し出される二組の段積み集積体Cを、押出搬送経路12に隣接するガイド壁13の端縁に対向する位置にそれぞれ配置させる。すなわち、一組目の段積み集積体C(図7(c)のバケットコンベア上の一番下流にある段積み集積体C)は中間ガイド13bの端縁に対向する位置に配置され、二組目の段積み集積体C(図7(c)のバケットコンベア上の下流から二番目にある段積み集積体C)は側面ガイド13aの端縁に対向する位置に配置される。このように段積み集積体Cをガイド壁13の端縁に対向する位置に待機させることで、ガイド壁13の端縁が段積み集積体Cの荷崩れを防止することとなり、段積み集積体Cの状態を安定的に支持することができる。
【0043】
図8(a)(b)に示すように、押出プッシャ20は、スライド体21bが押出位置Zの上方まで移動すると、上下移動体22bを下方向に移動して段積み集積体Cの前後面に前壁23及び後壁24を配置する。またバケットコンベア11は、上下移動体22bの移動とともに、バケット10を移動してガイド壁13に対向していた二組の段積み集積体Cを押出位置Zに配置させる。このため、段積み集積体Cは、配置される前壁23及び後壁24によって荷崩れが防止される。
【0044】
ここで、バケット10は、押出位置Zの近傍のガイド壁13と対向する位置に待機していたため、待機位置から押出位置Zまで移動時間が短く、押出プッシャ20による押し出しをすぐに実施することができる。これは、荷崩れ防止壁14によって段積み集積体Cがガイドされていた位置(図7(a)の位置)から押出位置Zに移動する時間と比べて大きな時間短縮となる。一般に、段積み集積体Cの搬送は、荷崩れを起こさないようにゆっくりと移動させるため、荷崩れ防止壁14によって段積み集積体Cがガイドされていた位置からの移動では、移動時間がかかり作業効率を低下させていた。しかし本実施形態のように、バケット10が押出位置Zの近傍のガイド壁13と対向する位置に待機することで、移動時間を短縮し作業効率を向上させることが可能となる。
特に本実施形態のように、複数組の段積み集積体Cを同時に押出位置Zに配置する場合は、組数の増加に比例して移動時間が長くなるため、上記のような動作制御により容易に効率化をはかることができる。
【0045】
図8(c)(d)に示すように、押出プッシャ20は、段積み集積体Cの前後面に前壁23及び後壁24を配置すると、後壁押さえ機構25及び上面押さえ機構26を動作させる。これにより後壁23が前壁24と協働して段積み集積体Cを挟み、押さえ部材29の当接部29aが段積み集積体Cの上面を押さえる。このように後壁押さえ機構25及び上面押さえ機構26によって段積み集積体Cを押さえることで、包装物Bのシール部分の折れ曲がりや、包装フィルムと被包装物Aの隙間等により段積み集積体Cが荷崩れし易い場合でも、包装物Bの積み重なった状態を安定的に支持できる。
押出プッシャ20は、この状態でスライド体21bを動作することで、段積み集積体Cをバケット10から押し出し、供給経路3aまでスムーズに移動させることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態の集積体供給装置1は、押出プッシャ20が段積み集積体Cの荷崩れを防止した状態で押し出すこととなり、その結果、段積み集積体Cをスムーズに移動させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1:集積体供給装置、2:前工程側包装機、3:後工程側包装機、3a:供給経路、3b:プッシャ、4:ロボットアーム、4a:先端吸着部
10:バケット、10a:枠体、10b:開口面、10c:切り欠き、11:バケットコンベア、12:押出搬送経路、13:ガイド壁、13a:側面ガイド、13b:中間ガイド、14:荷崩れ防止壁、
20:押出プッシャ、21:押出機構、21a:搬送レール、21b:スライド体、22:上下移動機構、22a:上下レール、22b:上下移動体、23:前壁、24:後壁、25:後壁押さえ機構、25a:後面側シリンダ、25b:前後移動体、26:上面押さえ機構、26a:上面側シリンダ、26b:テーブル、27:板部材、28:連結部材、29:押さえ部材、29a:当接部、
A:被包装物、B:包装物、C:段積み集積体、D:最終製品、X:取出位置、Y:集積体形成位置、Z:押出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品をバケット内に積み重ねて段積み集積体として収容し、当該段積み集積体を上流から下流に移動させる集積体供給装置であって、
当該段積み集積体を前記バケットから押し出す押出プッシャを備え、当該押出プッシャは、段積み集積体の押出方向前面に配置される前壁と、段積み集積体の押出方向後面に配置される後壁とを含み、これら前壁、後壁を前記バケットに配置した後に段積み集積体を押し出すことを特徴とする集積体供給装置。
【請求項2】
前記バケットは、無端状のバケットコンベア上に設けられており、
段積み集積体が、前記バケットコンベアの上流において形成された後、当該バケットコンベアの搬送駆動によって下流に搬送される構成の請求項1の集積体供給装置であって、
前記押出プッシャは、前記バケットコンベアにより搬送されてきた段積み集積体を当該バケットコンベアの下流の押出位置から、当該バケットコンベアの搬送方向に直交する押出搬送経路に押し出す構成であり、
さらに、前記押出搬送経路は、当該押出搬送経路の両側方に前記バケット近傍から当該押出搬送経路に沿って延在し、段積み集積体を案内するガイド壁とを含み、
前記バケットコンベアは、前記押出プッシャによる段積み集積体の押し出し後に、次に押し出される予定の段積み集積体を前記ガイド壁の端縁に対向する位置に待機させ、前記押出プッシャが前記前壁及び後壁を段積み集積体の押出位置の前後位置に配置した後、待機していた段積み集積体を押出位置に移動させることを特徴とする集積体供給装置。
【請求項3】
前記バケットコンベアが段積み集積体を搬送方向に複数並べて下流に搬送し、押出位置において前記押出プッシャが所定組数の段積み集積体を押し出す構成の請求項2の集積体供給装置であって、
前記押出プッシャは、押し出す所定組数の段積み集積体に応じて、複股状に分岐して形成されており、
さらに、前記押出搬送経路は、押し出される所定組数の段積み集積体に応じて複数並べて設けられ、且つ前記ガイド壁は、当該各押出搬送経路の両側方を前記バケット近傍から延在するように設けられた構成であり、
前記バケットコンベアは、前記押出プッシャによる段積み集積体の押し出し後に、次に押し出される所定組数の段積み集積体を、前記押出搬送経路の両側方の各ガイド壁の端縁に対向する位置にそれぞれ待機させ、前記押出プッシャが前記前壁及び後壁を段積み集積体の押出位置の前後位置に配置した後、待機していた段積み集積体を押出位置に移動させることを特徴とする集積体供給装置。
【請求項4】
前記押出プッシャは、段積み集積体を上面から押さえる上面押さえ手段と、
前記後壁によって段積み集積体を前記前壁に押しつける後壁押さえ手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の集積体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−159119(P2010−159119A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2129(P2009−2129)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】