説明

集積制御回路

【課題】時間計測に基づき回路の機能パラメータ及び/又は動作モードを選択する技法を開示する。
【解決手段】集積回路の例は、集積回路の初期化期間中に、集積回路の第1の端子に結合される多機能キャパシタからの信号を計測するように結合される閾値検出及びタイミング回路を含む。選択回路が閾値検出及びタイミング回路に結合され、集積回路の初期化期間中に多機能キャパシタからの計測された信号に応じて集積回路のパラメータ/モードを選択する。多機能キャパシタは、集積回路の初期化期間が完了した後に集積回路の追加機能を提供するために結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電子回路に関し、より具体的には、本発明は機能パラメータ及び/又は動作モードが設定される集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、数多くの目的や用途に用いられている。柔軟性を高めるために、回路設計者は、集積回路が様々な異なる動作モードを有し、及び/又は様々な異なる動作パラメータで機能する性能を有するように設計する。異なる機能パラメータ及び/又は動作モードを集積回路に組み込むために、集積回路チップは通常、1つ又はそれよりも多い追加ピンをパッケージに設けるように設計され、かつ製造され、該ピンに追加の回路素子又は信号を結合して集積回路の所望の機能パラメータ及び/又は動作モードを設定又は選択することができるようにしている。代替形態では、集積回路の回路構成に直接設計される各特定の機能パラメータと動作モードを設定するために、別個の製造部品を異なる集積回路で設計又は製造することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、添付図において限定ではなく例証として詳細に図示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明の教示による時間計測に基づきパラメータ/モードが設定される電源装置に含まれる集積回路の実施形態の概略図である。
【図2】本発明の教示による時間計測に基づきパラメータ/モードが設定される電源装置に含まれる集積回路の実施形態の別の概略図である。
【図3】本発明の教示によるパラメータ/モードを選択するために初期化中に信号が計測される多機能キャパシタに結合される集積回路の実施形態の概略図である。
【図4】本発明の教示による集積回路の実施形態の初期化期間中の時間計測を示すグラフである。
【図5】本発明の教示によるパラメータ/モードを選択するために初期化中に信号が計測される多機能キャパシタに結合される集積回路の実施形態の別の概略図である。
【図6】本発明の教示による集積回路の実施形態の初期化期間中の時間計測を示す別のグラフである。
【図7】本発明の教示によるパラメータ/モードを選択するために初期化中に信号が計測される多機能キャパシタに結合される集積回路の実施形態の更に別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
時間計測を使用してパラメータ/モードを設定する集積回路の実施形態が開示される。以下の説明において、幾つかの特定の詳細が本発明を完全に理解するために説明される。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細を用いる必要がない点は当業者には明らかであろう。本発明を曖昧にするのを回避するために実装に関する既知の方法は詳細には説明していない。
【0006】
本明細書全体を介して「1つの実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を介して様々な箇所で出現する語句「1つの実施形態では」又は「ある実施形態において」は、必ずしも全て同じ実施形態に対して言及している訳ではない。更に、以下で説明され及び/又は図面において示される特定の特徴、構造、特性、結合、及び/又は副結合は、本発明の教示に従って1つ又はそれよりも多い実施形態においてあらゆる適切な方法で組み合わせることができる。
【0007】
以下に説明されるように、本発明の教示による集積回路の実施形態の初期化期間の間のモード選択又は機能パラメータ仕様設定期間中に、機能パラメータ又は動作モードを選択することができる。1つの実施形態では、チップパッケージに専用ピンを追加することに関連するコスト、或いは種々の異なるデバイスの機能パラメータ仕様又は動作モードに対処するためにいくつかの個別の製造部品を有することに関連するコストのいずれかが節約される。例えば、実質的に固定又は既知の所定電流で当該ピン上の電圧を変化させるのに必要な時間を計測することによって、又は一定時間内のある電圧によって当該ピン上の電圧を変化させるのに必要な電流を計測することによって、代わりに、既存のピンを用いてデバイス機能パラメータの仕様が選択される。
【0008】
従って、複数の機能パラメータ及び/又は動作モードからの選択は、例えば集積回路のピンに結合される多機能キャパシタの容量値を選択することで単一部品に備えることができ、ここで通常動作中、多機能キャパシタは、機能パラメータ、動作モード又は他のデバイス特性以外の何かの通常機能を有する。例えば、通常の集積回路動作中に用いられる同様のVCCピンデカップリングキャパシタ又はフィードバックピンループ補償キャパシタは、本発明の教示による初期化中にもパラメータ/モード選択キャパシタとして利用することができる。
【0009】
例えば図1は、電源装置に含まれる例示的な集積回路を示しており、ここでは本発明の教示に従って時間計測に基づきパラメータ/モードが設定される。図1に示される電源装置のトポロジはフライバックレギュレータとして知られる。スイッチングレギュレータには多くのトポロジと構成があり、図1に示されるフライバックトポロジは、本発明の実施形態の原理を説明するのに提供され、本発明の教示による他のタイプのトポロジにも同様に適用することができることは理解されるであろう。
【0010】
図1において、電源装置101は、電源装置101の入力107と出力109との間に結合されるエネルギー伝達素子105を含む。図示の例のエネルギー伝達素子105は、入力に1次巻線127を含み、出力に2次巻線129を含む2つの巻線を有する変圧器である。他の例において、エネルギー伝達素子105は、本発明の教示による異なる数の巻線を含むことができる。図示の例において、入力107は、無調整の広帯域高圧(HV)直流(DC)入力であり、出力109は、負荷134に結合されたDC出力である。負荷134は、固定負荷とすることができ、又は大きさが変化する負荷であってもよい。
【0011】
図示のように、集積回路103は1次巻線127に結合される。1つの実施形態では、集積回路103は、集積回路103のドレインD端子とソースS端子との間に結合される内部スイッチを含むスイッチングレギュレータである。内部のコントローラ回路が、スイッチの切替えを制御するために集積回路103の例に含まれる。別の例において、内部スイッチはまた、本発明の教示による集積回路103から分離された外部スイッチとすることができる点が注目される。
【0012】
動作中、集積回路103内のスイッチが、エネルギー伝達素子105を通る入力107から出力109へのエネルギーの伝達を調整するように切り替えられる。1つの実施形態では、図1の集積回路103のスイッチの動作は、出力における整流ダイオード117に脈動電流を発生させ、該脈動電流はキャパシタ119によってフィルタ処理され、DC出力109にほぼ一定の出力電圧、又は負荷134にほぼ一定の出力電流を発生させる。出力109にツェナーダイオード121と抵抗器123を含むフィードバック回路を用いて、光結合素子113を介して集積回路103にフィードバック信号を供給する。光結合素子113は、電源装置101の入力107と出力109との間に絶縁を形成する。図示の例に示されるように、集積回路103は、イネーブルEN端子を通る出力109からのフィードバック信号を受け取る。EN端子を介して受け取られるフィードバック信号は、集積回路103が本発明の教示による電源装置101の出力109を調整するのに用いられる。
【0013】
1つの実施形態では、多機能キャパシタCMF111も集積回路103のバイパスBP端子に結合される。図示の例において、多機能キャパシタCMF111は、通常動作中に集積回路103の電源デカップリング機能を提供するのに使用される。例えば、集積回路103内の内部回路は、多機能キャパシタCMF111から電力又はバイアス電流を受け取り、出力109を調整しながら通常動作中に回路を作動させる。
【0014】
説明されるように、図1の例における多機能キャパシタCMF111の追加機能は、集積回路103によって本発明の教示による初期化期間中に集積回路103のパラメータ/モードを選択するのにこのキャパシタが使用されることである。この初期化期間中に選択することができる機能パラメータ及び/又は動作モードの例は、ピーク電流制限レベル、動作周波数、最大動作周波数、過熱保護閾値又は同様のものを含む。初期化中にパラメータ/モードが選択された後は、多機能キャパシタCMF111は、本発明の教示による集積回路103の通常動作中に他の機能のために使用される。
【0015】
図2は、電源装置に含まれる集積回路の実施形態の別の例示的な概略図であり、本発明の教示による時間計測に基づきパラメータ/モードが設定される。図示のように、図2の電源装置201は、図1の電源装置101と類似部分を共有している。例えば、電源装置201は、電源装置201の入力207と出力209との間に結合されるエネルギー伝達素子205を含む。図示の例示的なエネルギー伝達素子205は、入力に1次巻線227、出力に2次巻線229を含み、さらにバイアス巻線231を含む3つの巻線を有する変圧器である。図示の例において、整流器215は、入力107から交流(AC)信号を受け取って整流し、キャパシタ225でフィルタ処理された整流信号を発生して1次巻線227に無調整HV DC入力信号を供給するように結合されている。出力209は負荷234に結合され、該負荷は本発明の教示による固定負荷とすることができ、或いは大きさが変化する負荷であってもよい。
【0016】
図2に示された例において、集積回路203は、該集積回路203のドレインDとソースS端子との間に結合された内部スイッチ237を含むスイッチングレギュレータである。内部コントローラ回路239もまた、例において集積回路203に含められスイッチのスイッチングを制御する。別の例において、内部スイッチ237は、本発明の教示による集積回路203から分離された外部スイッチとすることができる点が注目される。
【0017】
動作時には、集積回路203のスイッチ237は、エネルギー伝達素子205を介した入力207から出力209へのエネルギーの伝達を調整するようにスイッチングされる。1つの実施形態では、スイッチ237の動作は、出力の整流ダイオード217内に脈動電流を生成し、該脈動電流はキャパシタ219によってフィルタ処理されて出力209でほぼ一定の出力電圧、又は負荷234でほぼ一定の出力電流を生成する。出力209にツェナーダイオード221と抵抗器223を含むフィードバック回路を用いて、光結合素子213を介して集積回路203にフィードバック信号を供給する。バイアス電流は、バイアス巻線231から光結合素子213に供給される。バイアス電流は、整流ダイオード233で整流され、キャパシタ235でフィルタ処理される。光結合素子213は、電源装置201の入力207と出力209との間に幾らかの絶縁を形成する。図示の例に示されるように、集積回路103は、制御C端子を介して出力209からのフィードバック信号を受け取る。制御C端子を介して受け取られるフィードバック信号は、本発明の教示による電源装置201の出力209を調整するように集積回路203によって用いられる。
【0018】
1つの実施形態では、多機能キャパシタCMF211が集積回路103の制御C端子に結合される。図示の例において、多機能キャパシタCMF211は、例えば集積回路203のための集積回路電源デカップリング機能や、通常動作中のフィードバックループ補償を提供することを含む複数の目的で使用される。例えば集積回路203内の内部回路は、多機能キャパシタCMF211から制御C端子を介して電力又はバイアス電流を受け取り、出力209を調整しながら通常動作中に回路を動作する。
【0019】
説明されるように、図2の例の多機能キャパシタCMF211の更に別の追加機能は、本発明の教示による初期化期間中に集積回路203のパラメータ/モードを選択するように集積回路203によって、該キャパシタが使用されることである。この初期化期間中に選択することができる機能パラメータ及び/又は動作モードの例は、ピーク電流制限レベル、動作周波数、最大動作周波数、過熱保護閾値又は同様のものを含む。初期化中にパラメータ/モードが選択された後、多機能キャパシタCMF211は、本発明の教示による集積回路203の通常動作中に他の機能のために使用される。
【0020】
図3は、多機能キャパシタ311に結合される集積回路303の実施形態の概略図であり、本発明の教示によるパラメータ/モードを選択するために初期化中に多機能キャパシタからの信号が計測される。図3の例に示されるように、集積回路303はコントローラ回路339に結合されたスイッチ337を含み、該スイッチは集積回路303のバイパスBP端子345を介して多機能キャパシタ311に結合される。1つの実施形態では、コントローラ回路339は、スイッチ337と多機能キャパシタ311を除いて図3に示される要素のほぼ全てを含むことができる。1つの実施形態では、集積回路303はコントローラ339とスイッチ337を含む。別の実施形態では、スイッチ337は集積回路303内に含まれない。1つの実施形態では、スイッチ337は、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
【0021】
図3の例示的な集積回路303は、本発明の教示による図1の集積回路103に相当することができ、同様に図2の集積回路203と多くの類似点を共有する。従って、図3に示される例の要素は、本発明の教示による適切な方法で図1及び/又は図2の要素と組み合わせることができる。詳細には1つの実施形態では、ドレインD端子341は、1次巻線127又は227などのエネルギー伝達素子に結合され、ソースS端子343は接地結合され、イネーブル/不足電圧(EN/UV)端子347は、例えば出力109などの電源装置の出力からのフィードバック信号を受け取るように結合される。多機能キャパシタ311は、バイパスBP端子345とソースS端子343との間に結合される。
【0022】
図3に示されるように、集積回路303は、集積回路303の初期化期間中に多機能キャパシタ311からの信号を計測するために結合される閾値検出及びタイミング回路349を含む。パラメータ/モード選択回路351は、閾値検出及びタイミング回路349に結合され、集積回路303の初期化期間中に多機能キャパシタからの計測される信号に応答して集積回路303のパラメータ/モードを選択する。初期化期間が完了後、多機能キャパシタ311は、上記例で上述されたように、例えば集積回路電源デカップリング及び/又はループ補償のような集積回路303によって追加機能のために用いられる。
【0023】
例えば、集積回路303の動作の1つの例は以下の通りである。始動時又は初期化期間中、1つの実施形態では電流源を含むレギュレータ359は、充電電流ICHARGE361を発生するように結合される。電荷電力ICHARGE361は、初期化期間中に多機能キャパシタ311を充電するように結合される。多機能キャパシタ311が初期化期間中に充電されると、電圧VCAP393が時間と共に上昇する。
例えば、図3、図4の双方に着目する。詳細には図4は、本発明の教示による集積回路303の初期化期間中の経時的な電圧VCAP393の幾つかの例を示すグラフ401である。詳細には、プロット493Aは、第1の容量値を有する多機能キャパシタ311の電圧VCAP393を示し、プロット493Bは、第2の容量値を有する多機能キャパシタ311の電圧VCAP393を示す。観察することができるように、プロット493A及び/又は493の上昇時間は、例えば充電電流ICHARGE361など所与の電流に対して変化する。
1つの実施形態では、電圧VCAP393が初期化中に時間と共に上昇すると、閾値検出及びタイミング回路349は、多機能キャパシタ311からバイパスBP端子345を介して受け取られる信号を計測する。詳細には、閾値検出及びタイミング回路349は、電圧VCAP393を監視し、電圧VCAP393が第1の閾値電圧に達したときと電圧VCAP393が第2の閾値電圧に達したときの間の時間期間を計測する。図4の例で観察することができるように、電圧VCAP393がプロット493Aにおいて第1の閾値から第2の閾値に上昇する時間計測値はΔt1である。対照的に、電圧VCAP393がプロット493Bにおいて第1の閾値から第2の閾値に上昇する時間計測値はΔt2である。図示のように、計測時間期間Δt2は、計測時間期間Δt1よりも大きい。これは、プロット493Bにおける多機能キャパシタ311の容量値が、プロット493Aにおける多機能キャパシタ311の容量値よりも大きいことに起因する。実際、多機能キャパシタ311の容量値は、本発明の教示により説明されるように、時間期間を計測することによって推定することができる。従って、バイパスBP端子345に結合される多機能キャパシタ311の特定の容量値は、本発明の教示により示されるように時間期間を計測することで閾値検出及びタイミング回路349によって推定することができる。この例において、レギュレータ339は、通常動作中に電圧VCAP393を第2の閾値に保持する。
【0024】
図3に戻り参照すると、パラメータ/モード選択回路351が閾値検出及びタイミング回路349に結合され、本発明の教示による閾値検出及びタイミング回路349によって計測された時間期間又は推定された容量値に応じて集積回路303のパラメータ/モード選択信号を発生する。図3に示された例において、パラメータ/モード選択回路351は、計測された期間に応じて電流制限調整信号ILIM ADJ 353、過熱保護閾値信号THERMAL ADJ 355、周波数調整信号FREQ ADJ 357の特定の設定を選択する。ILIM ADJ 353は電流制限状態機械363に結合され、THERMAL ADJ 355は過熱保護回路365に結合され、FREQ ADJ 357は発振器367に結合される。1つの実施形態では、ILIM ADJ 353を用いて、スイッチ337を介して電流のピーク電流制限レベルを設定することができる。THERMAL ADJを用いて、集積回路303の過熱保護閾値温度を設定することができる。FREQ ADJを用いて、発振器367の動作周波数又は最大動作周波数を設定することができる。1つの実施形態では、本発明の教示に従って、発振器367の動作周波数は、多機能キャパシタ311の1つの容量値に対して固定することができ、発振器367の動作周波数は、多機能キャパシタ311の別の容量値に対してジッタされることもある。
【0025】
従って、上述の例は、回路設計者が本発明の教示による多機能キャパシタ311の容量値を適切に選択することで、集積回路303の実施形態の上記の機能パラメータ及び/又は動作モードの全ての1つ又はそれ以上をどのように設定することができるかを示している。この特徴によってもたらされる1つの例示的な利点は、一群の集積回路において、本発明の実施形態は、回路設計者が設計を変更することなしに前記群の中で例えば次に最も大きい、又は次に最も小さい装置電流制限を選択することを可能にする柔軟性を与えることで説明することができる。例えば通常は固定電流制限を有する一群のデバイスにおいて、回路設計者はここでは多機能キャパシタ311の容量値を変更し、一群のチップの次に最も大きい又は次に最も小さい部材の電流制限を選択することを許容する。従って例えば、スイッチ337のRDS値は、本発明の教示による多機能キャパシタ311の容量値を適正に選択することで回路設計者によって特定の用途の熱要件に従って改善又は最適化することができる。
【0026】
本発明の教示による機能パラメータ及び/又は動作モードが選択される初期化期間後、集積回路303において通常動作が進み、多機能キャパシタ311は本発明の教示による集積回路303の他の機能を実行する。例えば、電圧VCAP393がバイパスピン不足電圧比較器371によって決定される十分なレベルまで上昇した後、ANDゲート373が有効にされ駆動信号391をスイッチ337に出力することができるようになり、これに応じて自動再始動カウンタ369がリセットされ、集積回路303の通常動作が可能になる。通常動作中、スイッチ337は駆動信号391に応答して切り替えられる。集積回路303内の温度がTHERMAL ADJ 355の設定に応じて超えると、過熱保護回路365がANDゲート373を無効にし、同様に駆動信号391がスイッチ337に出力できないようにし、スイッチ337の切り替わりを無効にする。
【0027】
スイッチ337が通常動作中に電源装置出力を調整するように切替えることができるようにされると、電源装置の出力からのフィードバックが、ENABLE信号387が生成されるイネーブル/不足電圧EN/UV端子347を介して受け取られる。図示のように、通常動作中、ENABLE信号387は、本発明の教示による電流源を介して多機能キャパシタ311から供給されるバイアス電流を用いて発生される。ENABLE信号387が、電源装置出力から受け取られるフィードバックに応じて有効になると、ラッチ375をANDゲート381とORゲート385を介して設定できるようになる。従って、発振器367からのCLOCK信号は、ラッチ375を設定することが可能であり、ANDゲート373を介してラッチから駆動信号391が発生される。ラッチ375は、デューティサイクル最大DCMAX信号367が低くなるのに応答して、又はスイッチ337を通る電流がANDゲート377とORゲート383を通って電流制限比較器389によって識別されるピーク電流制限レベルを超えるのに応答してリセットされる。図示の例において、前縁ブランキング回路379が、駆動信号391の各パルスの前縁中に電流制限信号を一時的に無効にするために結合される。
【0028】
図示のように、電流制限比較器389によって確立されたピーク電流制限レベルは、電流制限状態機械363によって出力されるVILIMITの値に応じて設定され、該機械が本発明の教示によるILIM ADJ 353に応じてVILIMITを発生する。
【0029】
図5は、多機能キャパシタ511に結合される集積回路503の別の実施形態の概略図であり、初期化中に該多機能キャパシタからの信号が計測され、本発明の教示によるパラメータ/モードを選択する。集積回路503は、上記で示された例示的な集積回路303と多くの類似点を共有することは理解されるであろう。従って、集積回路303は、本発明の教示に従って例示的な図1と図2に好適に組み合わされて示された集積回路503と互換的に用いることができる。
【0030】
実際、集積回路303と同様に、多機能キャパシタ511はバイパスBP端子545を介して集積回路503に結合される。集積回路503は、コントローラ回路539に結合されるスイッチ537を含み、該スイッチは、集積回路503のバイパスBP端子545を介して多機能キャパシタ511に結合される。集積回路503のコントローラ回路539はまた、調整回路559、バイパスピン不足電圧比較器571、自動再始動カウンタ569、電流制限状態機械563、電流制限比較器589、発振器567、過熱保護回路565、前縁ブランキング回路579、ラッチ575、その他の関連回路を含む。集積回路503の動作は、初期化後の通常動作中の集積回路303の動作と同様である。
【0031】
集積回路503と集積回路303との間の1つの相違点は、閾値検出及びタイミング回路549が結合され、電圧VCAP593が時間と共に低下するときに多機能キャパシタからの信号を計測する点である。例えば図5、図6の両方に注目する。詳細には、図6は、本発明の教示による集積回路503の初期化期間中の経時的な電圧VCAP593の幾つかの例を示すグラフ601を示している。詳細には、プロット693Aは、第1の容量値を有する多機能キャパシタ511の電圧VCAP593を示し、プロット693Bは、第2の容量値を有する多機能キャパシタ511の電圧VCAP593を示す。観測できるように、プロット693A及び/又は693Bの上昇と下降時間は所与の電流に対して変化する。図示の例において、電圧VCAP593は、多機能キャパシタが充電電流ICHARGE561で充電されるに伴って上昇する一方、多機能キャパシタがスイッチ597と電流源595を含む放電回路を介して電流IDETECTで放電されるに伴って下降する。
【0032】
初期化中の動作において、閾値検出及びタイミング回路549は、バイパスBP端子545を介して多機能キャパシタ511から受け取る信号を計測する。閾値検出及びタイミング回路549が、電圧VCAP593が第2の閾値まで上昇したことを検出すると、閾値検出及びタイミング回路549はスイッチ597を閉じて、電流源595が電流IDETECTで多機能キャパシタ511を放電できるようにする。この時点で、電圧VCAP593は下降し、閾値検出及びタイミング回路549は、電圧VCAP593が第2の閾値電圧から第1の閾値電圧まで下降するのに要する時間期間を計測する。図6の例で観察することができるように、電圧VCAP593がプロット693Aにおいて第2の閾値から第1の閾値に下降する時間計測値はΔt1である。対照的に、電圧VCAP593がプロット693Bにおいて第2の閾値から第1の閾値に下降する時間計測はΔt2である。図示のように、計測時間期間Δt2は、計測時間期間Δt1よりも大きい。これは、プロット693Bにおける多機能キャパシタ511の容量値が、プロット693Aにおける多機能キャパシタ511の容量値よりも大きいことに起因する。従って、バイパスBP端子545に結合される多機能キャパシタ511の特定の容量値は、本発明の教示により示されるように、時間期間を計測することで閾値検出及びタイミング回路549によって推定することができる。この例において、レギュレータ559は、通常動作中電圧VCAP593を第2の閾値に保持する。
【0033】
図5に戻り参照すると、パラメータ/モード選択回路551は、閾値検出及びタイミング回路549に結合され、本発明の教示による閾値検出及びタイミング回路549によって計測された時間期間又は推定された容量値に応じて集積回路503のパラメータ/モード選択信号を生成する。図5に示した例において、パラメータ/モード選択回路551は、計測された時間期間に応じて電流制限調整信号ILIM ADJ 553、過熱保護閾値信号THERMAL ADJ 555、周波数調整信号FREQ ADJ 557の特定の設定を選択する。計測された時間値に応じてパラメータ/モード選択回路551によって生成されたこれらのパラメータ/モード選択信号の結合と動作は、本発明の教示による集積回路303に関連して説明された対応するパラメータ/モード選択信号と同様である。別の実施形態において、回路549への入力596は代替として、バイパス不足電圧比較器571の出力594に直接結合することができる点は理解される。その結果、比較器571は閾値検出及びタイミング回路549の一部を形成する。この代替の実施形態において、回路549への入力596は、もはやBP端子545に直接結合されていない。
【0034】
図7は、多機能キャパシタ711に結合される集積回路703の実施形態の更に別の概略図であり、本発明の教示によるパラメータ/モードを選択するように初期化中に多機能キャパシタから信号が計測される。集積回路703は、上述の集積回路503、303、203、103と類似点を共有する。従って、集積回路703は、本発明の教示に従って、適切な場合に集積回路503、303、203、103を備えた素子と互換的に使用し、又は組み合わせることができる。
【0035】
図7に示される特定の例において、初期化中と起動時に、多機能キャパシタ711の両端の電圧VCAP793は、ほぼゼロボルトで始まる。起動時、多機能キャパシタ711は最初に、バイパス端子745を介してレギュレータ759から受け取られる充電電流で充電される。バイパス端子745の電圧VCAP793が比較器710で決定される3.0ボルトを超えるとすぐに、電力アップリセット信号が比較器710の出力で除去され、この信号は図7に示されるようにラッチ712、718、726、730の全てをリセットするように結合され、これによって本発明の教示による起動シーケンス又は初期化を実施することができる。初期化中、集積回路703のパラメータ/モードは、バイパス端子745に結合される多機能キャパシタ711の容量値CMFに基づき選択することができる。
【0036】
継続して初期化では、バイパス端子745における電圧VCAP793が比較器708で決定される5.8ボルトを超えると直ちに、5.8ボルト到達信号がラッチ712からの出力としてhighになる。非放電信号がhighになると、ANDゲート732が有効にされ、スイッチ797が閉じられ、これによって電流源795がバイパス端子745を介して多機能キャパシタ711の放電を始めることができる。この時点で、ORゲート736は5.8ボルトレギュレータ759を無効にし、カウンタ720もカウントし始める。図示の例において、カウンタ720は6ビット二進カウンタであり、二進出力Q1−Q6は、電圧VCAP793が比較器706で決定される4.8ボルトまで下降するのに要する時間量に応じて設定され、更に、ラッチ716の不足電圧出力に従って設定される。この時点での二進出力Q1−Q6の状態は時間計測を表し、この時間計測から多機能キャパシタ711の推定容量値CMFを本発明の教示により決定することができる。ラッチ718が設定され、従って非放電信号は、VCAP793が4.8ボルトまで低下した後に低くなる。
【0037】
図示の例に示されるように、二進出力Q1−Q3はANDゲート724に入力され、二進出力Q4−Q6はANDゲート722に入力される。二進出力Q1−Q6の状態に応じて、ラッチ726と730の出力は、多機能キャパシタ711の推定容量値CMFが本発明の教示による0.3μFよりも小さいか、又は3μFよりも大きいかどうかを示す。Q1、Q2、Q3が値1、1、0にそれぞれ達すると、非放電信号が依然としてhighである間は、ラッチ726は設定され、すなわちラッチ726からの出力信号Aはlowになり、CMF値が0.3μFよりも大きいことを示す。Q1、Q2、Q3が値0、1、0にそれぞれ達すると、非放電信号が依然としてhighである間、ラッチ730が設定され、すなわちラッチ730からの出力信号Bがhighになり、CMF値が3μFよりも大きいことを示す。
【0038】
図7に図示される特定の例において、ラッチ726及び730のそれぞれの出力AとBは、集積回路703のIlim Adjust回路763に入力される。図示のように、Ilim Adjust回路763は、Iadj電流源702を調整し、Iadj電流源は抵抗器704の両端の電圧低下を調整するのに用いられ、抵抗器は電流制限比較器789における比較電圧VIlimitを設定するのに用いられ、該電流制限比較器は、本発明の教示による電圧低下及びその結果スイッチ737を通る電流を検出するために結合される。集積回路703の初期化後と通常動作中、多機能キャパシタ711は、本発明の教示による上述の他の例と同様に、集積回路電源デカップリング機能を提供する。
【0039】
上記の詳細な説明において、本発明の方法及び装置をその特定の例示的な実施形態に関して説明してきた。しかしながら、本発明の広範な精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を本発明の方法及び装置に行うことができることは明らかであろう。従って、本明細書及び図は、限定ではなく例証と見なすべきである。
【符号の説明】
【0040】
101 電源装置、103 集積回路、105 エネルギー伝達素子、107 入力、109 出力、111 多機能キャパシタ、113 光結合素子、117 整流ダイオード、119 キャパシタ、121 ツェナーダイオード、123 抵抗器、127 1次巻線、129 2次巻線、134 負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積制御回路であって、
端子に結合されて、時間期間に、前記端子に結合されるべきキャパシタを充電するレギュレータと、
前記端子に結合されて、前記キャパシタの電圧が第1の閾値電圧に達したときを示す出力を与えるように結合された第1の比較器と、
前記端子に結合されて、前記キャパシタの電圧が第2の閾値電圧に達したときを示す出力を与えるように結合された第2の比較器と、
前記第1の閾値電圧への到達を示す前記第1の比較器の前記出力に応じてカウントを開始して、前記第2の閾値電圧への到達を示す前記第2の比較器の前記出力に応じてカウントを終了するように結合されたカウンタとを備え、
前記カウンタは、前記時間期間に前記キャパシタの容量値を表す出力を与えるように結合され、前記集積制御回路は、前記時間期間の終了後に、電力を与えて前記集積制御回路を動作させるための前記キャパシタから、前記端子においてバイアス電流を受ける、集積制御回路。
【請求項2】
前記第1の閾値電圧は、前記第2の閾値電圧よりも大きく、
前記集積制御回路は、前記第1の閾値電圧への到達を示す前記第1の比較器の前記出力に応じて前記キャパシタを放電させるように結合された電流源をさらに備える、請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項3】
前記集積制御回路は、前記カウンタの前記出力に応じて、前記時間期間に、パラメータ/モード選択信号を生成して、前記集積制御回路の複数のパラメータ/モードのうちの1つを設定するように結合されたパラメータ/モード選択回路をさらに備える、請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項4】
前記集積制御回路は、前記パラメータ/モード選択信号を受けるように結合された発振器をさらに備え、
前記発振器の前記動作周波数は、前記パラメータ/モード選択信号に応じて設定される、請求項3に記載の集積制御回路。
【請求項5】
前記発振器の前記動作周波数は、前記パラメータ/モード選択信号に応じてジッタされる、請求項4に記載の集積制御回路。
【請求項6】
前記集積制御回路は、前記パラメータ/モード選択信号を受けるように結合された発振器をさらに備え、
前記発振器の最大動作周波数は、前記パラメータ/モード選択信号に応じて設定される、請求項3に記載の集積制御回路。
【請求項7】
前記集積制御回路は、前記パラメータ/モード選択信号を受けるように結合された電流制限ステートマシンをさらに備え、
前記電流制限ステートマシンによって与えられるピーク電流制限レベルは、前記パラメータ/モード選択信号に応じて設定される、請求項3に記載の集積制御回路。
【請求項8】
前記集積制御回路は、前記パラメータ/モード選択信号を受けるように結合された過熱保護回路をさらに備え、
前記集積制御回路の過熱保護閾値は、前記パラメータ/モード選択信号に応じて設定される、請求項3に記載の集積制御回路。
【請求項9】
前記集積制御回路は、フィードバック信号に応じて、電源に含まれるスイッチのスイッチングを制御して、前記電源の入力から前記電源の出力へのエネルギーの伝達を制御するするように結合された駆動信号生成器をさらに備える、請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項10】
前記端子は、第1の端子であり、
前記スイッチは、前記集積制御回路に含まれて、前記集積制御回路の第2の端子と第3の端子との間に結合される、請求項9に記載の集積制御回路。
【請求項11】
前記キャパシタは、前記第1の端子と前記第3の端子との間に結合される、請求項10に記載の集積制御回路。
【請求項12】
前記集積制御回路は、前記レギュレータに結合されて、前記第1の閾値電圧への到達を示す前記第1の比較器の前記出力に応じて前記レギュレータを無効にするように結合される論理ゲートをさらに備える、請求項1に記載の集積制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55882(P2013−55882A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253113(P2012−253113)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2006−230382(P2006−230382)の分割
【原出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】