説明

集積回路ユニットと係合する組立体及び方法

ピッカー組立体は、選択的に変更できる間隔をあけて配置される関係にある複数のピッカーと、同軸上にあると共に変更できる厚さを有する複数のカムプレートを有するシャフトと、前記ピッカーと係合すると共に前記ピッカー間の隙間間隔内に位置付けられる前記カムプレートとを有し、間隔を選択的に変更できることは、前記カムプレートの厚さ変動によってそれぞれのピッカーを前記シャフトに平行な軸に沿って移動するようにした前記シャフトの回転によって与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路ユニットの単体化(singulation)に関し、特に、個々のユニットと係合して移動させるために使用される組立体(assembly)に関する。さらにまた、本発明は、前記組立体の個々のピッカー(picker)の間隔を調整するピッカー組立体の適応性に関する。
【背景技術】
【0002】
基板及び個々の集積回路ユニットを処理するための機械を設計するとき、無駄を最小限にし、1時間当たりの生産数(UPH)を維持し、機械設備を改めるための休止時間を制限するなどの主要な要因は全て、主要な設計決定要素である。
【0003】
前記機械の適応性を考慮すると、機械が適用範囲において有用であるためには、前記機械が集積回路ユニット間の異なる間隔を有する基板に適応させる必要がある。前記機械は、各適用において機械設備を改めることができる一方、前記機械が比較的簡単に前記間隔に適用させるように構成することができるならばより効率的である。特に、単体化された集積回路ユニットをステーション間で移動させるために使用されるピッカー組立体は、前記ユニットと集合的に係合するために前記ユニットの間隔に依存する。従って、ピッカー組立体のピッカーの間隔を異なる集積回路ユニットの間隔を有する基板に適用させるように調整することができるならば有用である。
【0004】
この機能を実現するために幾つかのシステムが試みられた。例えば、1つのシステムは、組立体の各ピッカーを結合するためにねじ付きロッドを使用する。この場合、ねじは、各ピッカーの位置に一致するために個別位置にある。さらに、各ピッカー対のためのねじは、ねじ付きロッドの回転が内側のピッカーよりさらに外側のピッカーを移動するように、位置に基づいて変更する中心線の周りに対称に配置される。従って、ねじの各部分のピッチは、中心線からの距離に基づいて変更し、さらに前方のねじである一方の側にあるねじと中心線の対応する他方の側にある後方のねじとを用いて変更する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これは、簡単且つ直接的な解決法である一方、そのようなロッドの製造は、極めて多大な時間を必要とし、従って極めて高価となり得る。1つのねじ部分にあるグリットなどのあらゆる破片は、ねじへの損傷を引き起こし、それによってロッド全体を交換する必要があり得る。ピッカー組立体が動作する環境を考慮すると、切断プロセスから物質が機械内に捕らえられ得る。結果として、ねじ付きロッドの交換に基づくそのようなピッカー組立体の生涯コストはかなりになり得る。
【0006】
ピッカーの間隔を変更するためのシステムが、動作が簡単でまた比較的安価である両方であるならば有益である。
【0007】
集積回路、特にメモリのための利益幅を減少させるという別の考慮によれば、プロセスコストを縮小する圧力は重要であり、従って品質を維持しながら生産を加速する必要がある。従って、これらのプロセスを実現する基盤設備のコストは、速度と品質を維持しながらコストを縮小する圧力から等しく苦しむこととなる。
【0008】
基板に含まれる多量の集積回路チップを考えると、潜在的障害は、種々のシステムが集積回路ユニットを単体化するとすぐにステーションからステーションに移動する能力である。これを実現するために、例えば、国際出願番号PCT/SG2005/000288号に開示された別のシステムが開発され、その内容は参照することにより本明細書に取り入れられる。ユニットピッカー(unit picker)が個々の集積回路ユニットと係合するために、ユニットピッカー組立体は、特定の方法で種々のユニットと係合するように設計された複雑な配置を含む。効率的且つ効果的の両方である一方、そのような設備のコスト及びメンテナンスは特別に高くなり得る。
【0009】
さらに、そのようなシステムは、ある程度の摩擦、及びバックラッシュが起こる可能性を引き起こすことが知られている。
【0010】
従って、低い資本コストをもたらし得る態様を組み込むユニットピッカー組立体を採用することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、選択的に変更できる間隔をあけて配置される関係にある複数のピッカーと、同軸上にあると共に変更できる厚さを有する複数のカムプレートを有するシャフトと、前記ピッカーと係合すると共に前記ピッカー間の隙間間隔内に位置付けられる前記カムプレートとを有するピッカー組立体であって、間隔を選択的に変更できることは、前記カムプレートの厚さ変動によってそれぞれのピッカーを前記シャフトに平行な軸に沿って移動するようにした前記シャフトの回転によって与えられる、ピッカー組立体を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、ピッカー組立体が該ピッカー組立体のピッカーの間隔を選択的に変更するための方法であって、複数の同軸上にあるカムプレートを有するシャフトを回転するステップであって、前記カムが変更できる厚さを有し、前記カムプレートが前記ピッカーと係合するステップと、前記カムプレートを用いて前記ピッカーを付勢するステップと、を有し、その結果、間隔を選択的に変更できることは、それぞれのピッカーの間隔を変更するために前記シャフトに平行な軸に沿ってそれぞれのピッカーを移動する前記シャフトの回転によって与えられる、方法を提供する。
【0013】
カムプレートの使用は、特に複数のカムプレートが同一であり得る一実施形態では、ねじ付きロッドを作るものより大幅に費用がかからず、従って多量製造に利用できる。
【0014】
さらに、シャフト及びカムプレートは単一部品として作ることができ、あるいはカムプレートはシャフトに溶接あるいは固定することができ、従って製造が比較的容易である。
【0015】
シャフトに固定される別個の部材としてカムプレートを有することの利点はまた、損傷したカムプレートを取り外して、シャフト全体を交換する必要なしに別の損傷していないカムプレートによって交換することができることである。
【0016】
一実施形態では、ピッカーとカムプレートとの間の係合は、隙間間隔を縮小するときにピッカーがカムプレートとの接触を維持するために付勢されるように弾性係合であり得る。更なる実施形態では、カムプレートとピッカーとの間の係合は、ピッカーとカムプレートとを通じた共通シャフトなど、ピッカーとの固定係合を維持しながら回転を可能にするために周囲にスロットを有するカムプレートを用いた固定接触であり得る。
【0017】
第3の態様では、本発明は、ピッカー組立体であって、複数のピッカー対であって、各ピッカーが中心線について対称に位置付けられ、前記対が、前記中心線に最も近い最も内側の対から前記中心線から最も遠い最も外側の対まで連続して配置される複数のピッカー対と、複数のベルトであって、各ベルトが該ベルトに取り付けられた前記ピッカー対を有する複数のベルトと、一対のプーリの周りのループ(loop)に配置された前記各ベルトであって、前記ループの上部に一方のピッカーを備えると共に前記ループの下部に対応する他方のピッカーを備え、前記ベルトの移動が各対の対応するピッカーを分散又は収束するように配置された前記各ベルトと、固定比率ギヤボックスと連通する各ベルトであって、前記ギヤボックスが共通のシャフトに取り付けられた各ベルトと、を有し、各ギヤボックスのギヤ比は、対応するピッカー対の位置の関数であり、前記比は、各対の対応するピッカー間の隙間間隔の数に対応する、ピッカー組立体を提供する。
【0018】
第4の態様では、本発明は、ピッカー組立体が該ピッカー組立体のピッカーの間隔を選択的に変更するための方法であって、複数のピッカー対を準備するステップであって、各ピッカーが中心線について対称に位置付けられ、前記対が、前記中心線に最も近い最も内側の対から前記中心線から最も遠い最も外側の対まで連続して配置されるステップと、複数のベルトを同時に移動するステップであって、各ベルトが該ベルトに取り付けられた前記ピッカー対を有するステップと、前記ベルトを移動する結果として各対の対応するピッカーを分散又は収束するステップと、結果として、前記ピッカーの間隔を選択的に変更するステップとを有している、方法を提供する。
【0019】
本発明のこの態様では、個々の構成要素は、専用構成要素であり得る、あるいは作って組み立てることが比較的簡単であり得る。タイミングベルトを駆動するギヤ配置はまた、専用部材であり得る。ギヤ配置はまた、システム全体に影響を与えることなしに修理又は交換することが比較的容易であり得る。
【0020】
第5の態様では、本発明は、単体化された集積回路ユニットと係合するピッカー組立体であって、複数のユニットピッカー対であって、前記各ユニットピッカー対が集積回路ユニットとの係合のための係合端部を有する複数のユニットピッカー対と、格納位置(retracted position)からユニット係合位置への移動を可能にするように移動可能に取り付けられた前記各ユニットピッカー対と、反対側の端部に弓形部分を有する複数の曲線駆動部材であって、各駆動部材が前記各ユニットピッカー対に対応する複数の曲線駆動部材と、前記駆動部材の弓形部分において前記駆動部材と接触するように配置された前記対応する前記各ユニットピッカー対とを有し、水平軸の周りに回転可能である前記各駆動部材は、第1方向における前記駆動部材の回転が前記ユニットピッカーの一方を下方へ付勢し、第2方向における回転が他方のユニットピッカーを上方へ駆動するように前記反対側の端部を仲介する(intermediate)、ピッカー組立体を提供する。
【0021】
従って、ラック及びピニオンの組立体に比べて、摩擦を少なくすることができ、比較的容易にメンテナンスすることができる。さらに、弓形部分の使用、接触前の減速の割合、及びユニットと係合するときの加速は、さらに大きく制御することができる。このため、ユニットへの損傷、組立体における疲労荷重、及び係合した集積回路ユニットを移す又は除去する加速の衝撃の低減した機会を与える可能性が少なくなり得る。
【0022】
更なる実施形態では、各隣接ピッカーは、カムによって分離され得る。カムは、プーリ配置によって回転されるシャフトに取り付けられ得る。ピッカー組立体はさらに、リニア軸受を介してレールに取り付けることができ、該リニア軸受は、カムが取り付けられるシャフトの回転を受ける場合にカムの分離力を受けるときのピッカーの滑り運動を容易にする。この場合、ピッカー組立体は、カムの動作を通じて、実施形態ではピッカーピッチのあらゆる有用な範囲を付与するために変更することができるけれども最小の5mm若しくはそれ以下からであり得るピッカーピッチの選択を可能にする。
【0023】
ピッカーは、個々の集積回路ユニットと係合する及び解放するようにピッカーの往復運動を作動させるために個々のサーボモータによって動作することができる。
【0024】
更なる実施形態では、個々のカムは、一方のシャフトが他方のシャフトより上に配置された2つのシャフトの間に分配され得る。上のシャフトにある個々のカムはピッカーの間の交互の隙間間隔内に配置され、下のシャフトにあるカムは別の隙間間隔内に配置され得る。
【0025】
シャフトは、モータによってベルト駆動され得る対応するプーリに取り付けられ得る。従って、ツインシャフト配置は、前述した実施形態のものと同じ結果を実現し得る。それはまた、カムの交互配置のために追加の隙間を可能にする更なる利点を有し得る。すなわち、互いからオフセットした各隣接カムを有することによって、全てのカムの累積的厚さが回避される。
【0026】
これは、10個のピッカー若しくはそれ以上のピッカーの使用を許容することができ、また、例えば5mmから10mmの小さい最小ピッチ範囲を可能にすることができる。この実施形態は、基板内の集積回路ユニット間の非常に細かい精度、すなわちより小さい隙間が要求される用途に適合することができる。
【0027】
更なる実施形態では、ボールねじモータがピッカーの往復運動のために使用され得る。当然のことながら、ボールねじモータによって付与される増加した精度を考慮すると、ボールねじモータは、高精度の実施形態において有用であり得る。
【0028】
更なる実施形態では、ピッカーの往復運動を作動するために空気又は液圧(hydraulic)ピストンを使用することができ、それによって、各ピッカーの配置を簡素化することができる。空気又は液圧ピストンを付与するとき、ピッカーは、簡単なピストン配置と、必要である空気又は液圧流体を受け入れるための入口とを有し得る。この配置は、サーボモータ又はボールねじモータを使用する配置よりもかさばらない。そのような配置のコストはまた少なくすることができ、個々のカム設計は、±0.01mmという大きい一般的な機械加工公差に比べると、公差±0.002mmまでなど、より高い精度まで個々に機械加工されるという更なる利点を付与することができる。
【0029】
±0.002mmの累積カム公差の差を補償するように各個々のカムの公差を調整又は制御する場合、累積ピッチ誤差を除去することができる。
【0030】
この方法は、最終視覚検査後に処理トレー、チューブ(tube)上の集積回路ユニットの配置においてかなりの精度を引き起こし得る。個々のカムはまた、タングステンカーバイド、セラミック又はサファイアのようなより耐久性のある材料から、材料の一部を単体化(single)する危険性が低減されるようにより経済的に機械加工され得る。
【0031】
個々のカム設計はまた、大きく且つロッド上の各カムの外形を形成するために固体ロッド鋼材から機械加工するために高価である(時間がかかる)と共に、製造するのに不十分でない技術的リスクを示す回転カムロッド設計に比べて、交換コストに関してコストの優位性を有し得る。
【0032】
カム駆動調整の使用によって、ピッカーピッチ調整のより高い精度のために1×1mm以下のパッケージサイズの取扱いを可能にすることができる。さらに、個々のカム駆動調整は、特に2つのシャフトの配置に沿うカムの交互の位置決めのために、累積的公差を最小にする又は除去することができる。
【0033】
さらに、ベルト駆動調整と比べると、カムの使用は、ベルト駆動調整によって生じる可能性のあるずれ及び/又はクリープの影響に比べて、カムの機械加工公差に等しい公差を許容することができる。
【0034】
注目すべきことに、本発明の実施形態は、ルビコン(Rubicon)(登録商標)ピッカーシステムの名の下で2011年に出願人によって発売されたシステムに組み込むことができる。
【0035】
本発明の可能な配置を示す添付図面に関して本発明を更に説明することは便利である。本発明の別の配置が可能であり、結果として、添付図面についての詳細は、本発明の一般的な前記の記載に取って代わるものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明の一実施形態に係るピッカー組立体の正面図である。
【図1B】本発明の一実施形態に係るピッカー組立体の正面図である。
【図2A】本発明の更なる実施形態に係るピッカー組立体の別の図である。
【図2B】本発明の更なる実施形態に係るピッカー組立体の別の図である。
【図3A】本発明の第2の態様に係るピッカー組立体の別の図である。
【図3B】本発明の第2の態様に係るピッカー組立体の別の図である。
【図4A】本発明の第3の態様に係るピッカー組立体の別の図である。
【図4B】本発明の第3の態様に係るピッカー組立体の別の図である。
【図5A】同時係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図5B】同時係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図5C】同時係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図6A】個別係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図6B】個別係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図6C】個別係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【図6D】個別係合を行う図4Aのピッカー組立体の連続的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1A及び図1Bは、ピッカー組立体2を示し、特にシャフト4に取り付けられた複数のカムプレート6を有するシャフト4を示す。具体的には、図1Aは、最小間隔11を有するピッカー組立体2を示し、図1Bは、最大間隔41を有するピッカー組立体2を示す。
【0038】
この実施形態では、8個のピッカー20に適応するために7個のカムプレートが存在する。カムプレート6は、隣接ピッカー20、22の間の隙間間隔内に配置され、この実施形態では、両方の隣接ピッカー20、22の従動部(follower)16、18と係合する。シャフト4が回転するとき、カムプレート6もまた、共通軸14の周りに回転する。カムプレートは、最小厚さ12から最大厚さ10まで変更できる厚さを有する。その結果、プーリ32によるシャフト4の30で示す方向への回転時に、カムプレートは回転28で示す方向に回転し、カムプレート及びシャフトの回転軸14に平行な軸に沿って所定距離ピッカーを26で示す方向に移動し、それによってピッカー20、22の間隔11を変更する。
【0039】
この実施形態では、カムプレート6は、各カムプレートの厚さが周囲のいずれの位置においても同一となるように各カムプレートが一貫して位置調整された状態で中央のカムプレート8について対称に間隔をあけて配置される。従って、シャフトが回転し、その結果カムプレートが回転するとき、端部にあるカムプレート6は、中央のカムプレート8の周りに対称な全てのカムプレートの累積的影響を利用できる。
【0040】
図1Bは、カムプレートの回転28の結果として最大間隔41への拡張の結果を示す。シャフト6の回転36の結果としてのこの回転の逆転38は、最大厚さ10から最小厚さ12へカムを42で示す方向に移動させる。ピッカー20、22の間隔は、内方へ指向される「間隔を最小にする力」40を適用するように位置付けられたスプリング34によって適用される付勢力を通じて図1Aにおいて示す位置付けに戻される。
【0041】
図2A及び図2Bは、ピッカー組立体44の更なる実施形態を示し、カムプレートは、ピッカー20、22の最大間隔と最小間隔との間のより少ない変化を示すより小さい角度を有する形状からなる。図2Bはさらに、図1A及び図1Bのピッカー組立体2に等しく適用可能であり得るモータ配置を示す。
【0042】
この実施形態では、シャフト4は、ベルト駆動50、52、32を通じてシャフトに固定されたステッピングモータ又は同期モータなどのモータ48を介して回転される。当然のことながら、シャフトに取り付けられた直接駆動モータがまた有用であり、シャフトを駆動する特定の方法は本発明において重要であるものではない。
【0043】
図3A及び図3Bは、本発明の更なる態様に従ったピッカー組立体53を示す。ここでは、ピッカー60、62、64、66、68、70は、対になってタイミングベルト54、56、58に取り付けられている。ピッカーはさらに、支持部材72、74、76、78、80、82、84を通じてタイミングベルトに取り付けられている。支持シャフトは次に、レール84、86、86、88に取り付けられている。
【0044】
タイミングベルト54、56、58は、各タイミングベルト54、56、58と関連付けられたギヤ90、92、94を備えたシャフト96から駆動される。各ギヤは、シャフト96に取り付けられ、その結果、シャフト96の回転は、ギヤ90、92、94の同時駆動を引き起こし、ギヤ90、92、94の駆動は次に、タイミングベルト54、56、58を同時に駆動させる。
【0045】
各タイミングベルトは、一対のピッカーと関連付けられている。例えば、第1のタイミングベルト54は、ピッカー配列の極端部に位置付けられた最も外側のピッカー対60、70と関連付けられている。第2のベルト56は、中間のピッカー62、68と関連付けられ、第3のベルト58は、最も内側のピッカー64、66と関連付けられている。対のそれぞれの部材は、中心線100について対称に位置付けられていることに注目すべきである。各ギヤ90、92、94の歯車は、対応するピッカー対の位置に依存する。例えば、最も外側のピッカー60、70は、5:1の比を有するギヤ配置90を有する。同様に、第2のタイミングベルト56は、3:1の比を有するギヤ92を有し、最も内側の対は、1:1のギヤ比を有するギヤを有する。
【0046】
当然のことながら、ギヤ90、92、94の同時作動を伴ってシャフト96が回転するとき、ギヤ比が高くなればなるほどタイミングベルトの速度が高くなり、その結果、関連するピッカーがさらに移動する。従って、各タイミングベルトが同時に移動するとき、ギヤ90、92、94の歯車は、隣接ピッカー間の間隔が一定のままであることを確保する。
【0047】
当然のことながら、図3A及び図3Bに示される組立体53は、6個のピッカーのためのものであるが、使用されるピッカーの数は、これに適応するために必然の歯車を含む更なるピッカー対を用い、大幅に変更することができる。例えば、8個のピッカー配置においては、ピッカー配列の極端部に配置された追加の対を備え、7:1のギヤ比を有する第4のタイミングベルトが必要とされる。
【0048】
図4A及び図4Bは、本発明の更なる態様に従ったピッカー組立体を示す。ピッカー組立体122は、連結ブロック135によって連結された平行なアクチュエータ及び係合シャフト120、130を有するユニットピッカー配列121を有する。ユニットピッカー121は、垂直運動を可能にすると共にフレーム115に取り付けられるブロック106に配置される。ユニットピッカー配列121は、アクチュエータシャフト130の上部に位置付けられた接触部分を含む。この場合、回転アーム150などの駆動部材と接触するように配置された従動部140が、アクチュエータシャフト130の上部に位置付けられている。この実施形態では、回転アームは、回転アームに接触したままである従動部を備えた「カム式」配置において作動するように意図されている。回転アームは、該アームが回転するにつれて段階的降下速度を付与するように形づくられている。当然のことながら、アームが真っ直ぐである場合にはアームの一定回転時、ピッカーは一定速度を有する。極端部に湾曲(curvature)を有する回転アームを形づくることによって、ピッカーは、集積回路ユニットとの接触点に近付くにつれて減速し、集積回路ユニットとの接触点から引き戻されるときに加速する。このようにして、前記ユニットにおいて過度の加速を回避することができ、またアームの回転の一定速度から終端への「即時の」減速及び加速の衝撃に起因するピッカー及び機構における疲労効果を最小にすることができる。
【0049】
図4Aから図4Cの実施形態ではユニットピッカーに対するモータの割合を少なくするという本発明の原理に従って、その割合は、8個のピッカーに対して4個のモータである。第2実施形態では、駆動機構とアクチュエータの組立体は、取り除かれてアクチュエータ配列151によって置き換えられる。この場合、8個のピッカーにおいて、2個のピッカーごとに1個のモータを有する配列151に4個のモータが存在する。各モータは、ユニットピッカー121に対応する回転アーム150の各端部を用いて回転アーム150と関連付けられる。
【0050】
この実施形態に係るユニットピッカー組立体122は、一度に4個の単体化されたユニットを持ち上げるように配置され、従って、各モータは、1つのユニットピッカーを1つのユニットと同時に係合するように向けることを含む。図5A、図5B及び図5Cは、この実施形態の動作方法を示す。図5Bでは、各モータは、回転アーム150を反時計回り方向165に回転するように作動する。各ピッカーの従動部140と接触している回転アームは、スプリング130によって上方へ付勢される回転アームに追随する。従って、反時計回り方向165に回転することによって、左側のユニットピッカーは、下方170へ押され、右側のピッカーは、スプリング130の作用下で上方175へ移動することが可能となる。下方への作用において、ピッカーは、単体化されたユニットと一致するようにもたらされ、従ってユニットと同時に係合することができる。当然のことながら、この実施形態においては、単体化されたユニットは、この同時係合を可能にするために個々のユニットピッカー間の隙間間隔と同様の間隔を有する。
【0051】
図5Cは、右側のピッカーを下方へ押し下げて左側のピッカーをスプリングによって上方へ付勢させるために回転アーム150が時計回り方向180に回転される次の段階を示す。従って、次の4個のユニットが移動の準備を行うことができる。
【0052】
前記ユニット配置の正確な性質は、例えば、前記ユニットをチェッカー盤配置に配置する場合には変更することができ、第2の4個のユニットと係合するために、ユニット組立体122は、第2の4個のピッカーを第2の4個のユニットと一致させるために位置を変える必要があり得る。前記ユニットと係合する配置は本発明の一部を形成するものではなく、ユニットピッカー組立体122は、広範囲に及ぶユニット配置に適用することができる。
【0053】
ユニットピッカー間の隙間155が重要であるこの実施形態では、隣接回転アームは、
アームの回転が互いに干渉しないように隣接アーム間の重複部分160A、Bを許容するように形づくられている(profiled)。従って、図4A及び図4Bに示すように、隣接アームは、アームを実際に互いに接触することなく互いに比較的近くに配置することができる。
【0054】
図5A、図5B及び図5Cに示されるユニットピッカー組立体は、4個の集積回路ユニットが同時に係合する一実施形態を示す。この動作では、全ての隣接モータの回転アームは、1グループとして同時にユニットピッカーを上げ下げするように作動する。図6A、図6B、図6C及び図6Dは、本発明の更なる実施形態に従って動作する同じ装置を示す。ここでは、モータは、個々のユニットピッカー対を別々に作動させるために個々に作動する。このモードでは、1グループと同時に係合するよりも個々の集積回路ユニットと係合する。
【0055】
図6Bは、第1ユニットピッカー172をただ1つの集積回路ユニットと係合するために162で示す方向に下げるように第1モータが161で示す方向に回転する第1ステップを示す。それに応じて、第2ユニットピッカー173は、組立体に位置付けられたスプリングからの付勢効果に起因して163で示す方向に上がる。
【0056】
図6Cは、第2ユニットピッカー173を集積回路ユニットと係合するために167で示す方向に下げるように、回転アーム150が、164で示す方向に時計回りに回転し、それに応じて第1ユニットピッカー172を166で示す方向に上げる第2ステップを示す。
【0057】
集積回路ユニットを第1及び第2ピッカー172、173の両方と係合させると、第1モータは、ユニットピッカーが水平である平衡位置に戻り、第2モータが動作し始める。図6Dは、第1ユニットピッカーにおいて図6Bで示すものと同様の方法で第3ユニットピッカー174を下げるための回転168を示す。従って、ユニットピッカー配列151は、個々の集積回路ユニットを持ち上げるために個々に係合する。従って、図6Aから図6Dの実施形態は、図5Aから図5Cに示される同時配置に比べてユニットピッカーの個々の動作を示す。当然のことながら、この実施形態に従った配置を備えた個々の動作から同時動作までのあらゆる組み合わせが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に変更できる間隔をあけて配置される関係にある複数のピッカーと、
同軸上にあると共に変更できる厚さを有する複数のカムプレートを有するシャフトと、
前記ピッカーと係合すると共に前記ピッカー間の隙間間隔内に位置付けられる前記カムプレートと、
を有するピッカー組立体であって、
間隔を選択的に変更できることは、前記カムプレートの厚さ変動によってそれぞれのピッカーを前記シャフトに平行な軸に沿って移動するようにした前記シャフトの回転によって与えられる、
ことを特徴とするピッカー組立体。
【請求項2】
前記カムプレートの厚さ変動は、前記カムプレートの周囲において連続的である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記厚さ変動は、段階的であり、段階的な厚さは、前記ピッカーの所定間隔の関数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記カムプレートは、隣接するピッカーと係合するように配置され、前記カムプレートは、各カムプレートの厚さが各プレートの周囲の各位置において同じであるように前記シャフト上に配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の組立体。
【請求項5】
前記ピッカーは、サーボモータ、ボールねじモータ又は空気あるいは液圧ピストンのうちの何れか1つの動作を通じて集積回路ユニットと係合するために往復運動において作動するように配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記シャフトは、第1シャフトであり、複数のカムプレートが取り付けられた平行な第2シャフトをさらに含み、前記第1シャフトのカムプレートと前記第2シャフトのカムプレートとは、隣接するピッカーの交互の隙間間隔内に配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の組立体。
【請求項7】
ピッカー組立体が該ピッカー組立体のピッカーの間隔を選択的に変更するための方法であって、
複数の同軸上にあるカムプレートを有するシャフトを回転するステップであって、前記カムが変更できる厚さを有し、前記カムプレートが前記ピッカーと係合するステップと、
前記カムプレートを用いて前記ピッカーを付勢するステップと、
を有し、その結果、
間隔を選択的に変更できることは、それぞれのピッカーの間隔を変更するために前記シャフトに平行な軸に沿ってそれぞれのピッカーを移動する前記シャフトの回転によって与えられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
ピッカー組立体であって、
複数のピッカー対であって、各ピッカーが中心線について対称に位置付けられ、前記対が、前記中心線に最も近い最も内側の対から前記中心線から最も遠い最も外側の対まで連続して配置される複数のピッカー対と、
複数のベルトであって、各ベルトが該ベルトに取り付けられた前記ピッカー対を有する複数のベルトと、
一対のプーリの周りのループに配置された前記各ベルトであって、前記ループの上部に一方のピッカーを備えると共に前記ループの下部に対応する他方のピッカーを備え、前記ベルトの移動が各対の対応するピッカーを分散又は収束するように配置された前記各ベルトと、
固定比率ギヤボックスと連通する各ベルトであって、前記ギヤボックスが共通のシャフトに取り付けられた各ベルトと、
を有し、
各ギヤボックスのギヤ比は、対応するピッカー対の位置の関数であり、前記比は、各対の対応するピッカー間の隙間間隔の数に対応する、
ことを特徴とするピッカー組立体。
【請求項9】
各ピッカーと連結された支持部材を含み、前記支持部材がレールと滑り係合し、前記支持部材は、前記ピッカーの移動が結果として前記それぞれのレールに沿って前記支持部材を移動するように配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載のピッカー組立体。
【請求項10】
3つのピッカー対が存在し、最も内側の対から最も外側の対へ前記対においてそれぞれのギヤ比が1:1,3:1及び5:1である、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のピッカー組立体。
【請求項11】
前記シャフトは、前記シャフトを回転させて前記ギヤボックスを作動するためのモータに連結されている、
ことを特徴とする請求項8から請求項10の何れか1項に記載のピッカー組立体。
【請求項12】
ピッカー組立体が該ピッカー組立体のピッカーの間隔を選択的に変更するための方法であって、
複数のピッカー対を準備するステップであって、各ピッカーが中心線について対称に位置付けられ、前記対が、前記中心線に最も近い最も内側の対から前記中心線から最も遠い最も外側の対まで連続して配置されるステップと、
複数のベルトを同時に移動するステップであって、各ベルトが該ベルトに取り付けられた前記ピッカー対を有するステップと、
前記ベルトを移動する結果として各対の対応するピッカーを分散又は収束するステップと、
結果として、前記ピッカーの間隔を選択的に変更するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項13】
単体化された集積回路ユニットと係合するピッカー組立体であって、
複数のユニットピッカー対であって、前記各ユニットピッカー対が集積回路ユニットとの係合のための係合端部を有する複数のユニットピッカー対と、
格納位置からユニット係合位置への移動を可能にするように移動可能に取り付けられた前記各ユニットピッカー対と、
反対側の端部に弓形部分を有する複数の曲線駆動部材であって、各駆動部材が前記各ユニットピッカー対に対応する複数の曲線駆動部材と、
前記駆動部材の弓形部分において前記駆動部材と接触するように配置された前記対応する前記各ユニットピッカー対と、
を有し、
水平軸の周りに回転可能である前記各駆動部材は、第1方向における前記駆動部材の回転が前記ユニットピッカーの一方を下方へ付勢し、第2方向における回転が他方のユニットピッカーを下方へ駆動するように前記反対側の端部を仲介する、
ことを特徴とするピッカー組立体。
【請求項14】
前記ユニットピッカーは、該ユニットピッカーが前記駆動部材との弾性的接触を維持するように上方へ弾性的に付勢される、
ことを特徴とする請求項13に記載のユニットピッカー組立体。
【請求項15】
前記駆動部材は、前記駆動部材の反対側の端部の間において等距離に位置付けられている、
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のユニットピッカー組立体。
【請求項16】
前記水平軸から前記反対側の端部までの距離は、隣接する駆動部材の隣接する水平軸の間の距離の半分より大きい、
ことを特徴とする請求項15に記載のユニットピッカー組立体。
【請求項17】
各駆動部材の少なくとも一部は、接触を引き起こすことなしに隣接する駆動部材の重なりを可能にするように形づくられている、
ことを特徴とする請求項16に記載のユニットピッカー組立体。
【請求項18】
前記駆動部材の回転時に、各ユニットピッカー対の1つが、複数の集積回路ユニットと同時に係合するために係合位置に移動される、
ことを特徴とする請求項13から請求項17の何れか1項に記載のユニットピッカー組立体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2013−516066(P2013−516066A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545909(P2012−545909)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/SG2010/000484
【国際公開番号】WO2011/078802
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(507058258)ロッコ・システムズ・プライベイト・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ROKKO SYSTEMS PTE LTD
【Fターム(参考)】