説明

集積回路装置及び電子機器

【課題】 シリアルデータの遅延時間を減少可能な集積回路装置等を提供する。
【解決手段】 集積回路装置10は、第1〜第N(Nは2以上の整数)のレジスター12、・・・、12を有するシフトレジスター18であって、シリアルデータSDを入力し、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12を介してシリアルデータSDを出力するシフトレジスター18と、シフトレジスター18の出力SRを保持し、シリアルデータSDを出力する専用レジスター19と、を含む。集積回路装置10は、専用レジスター19を介してシリアルデータSDを、カスケード接続される他の集積回路装置に出力信号SOとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器又はそれに含まれる集積回路装置は、シリアルデータを入力するシフトレジスターを有することができる(例えば、特許文献1)。また、例えば、特許文献2において、カスケード接続される複数の集積回路装置IC1、IC2、・・・、IC(i−1)の各々は、シフトレジスターを有し、シフトレジスターを構成する複数のフリップフロップFF1、FF2、FF(n−1)、FFnのうちの最終段のフリップフロップFFnに入力されるクロック信号CLIB2は、専用の入力バッファー7から出力される。専用の入力バッファー7は、シリアルデータの遅延時間を減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−155491号公報
【特許文献2】特開昭60−113398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の幾つかの態様によれば、シリアルデータの遅延時間を減少可能な集積回路装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、
第1〜第N(Nは2以上の整数)のレジスターを有するシフトレジスターであって、シリアルデータを入力し、前記第1〜第Nのレジスターを介して前記シリアルデータを出力するシフトレジスターと、
前記シフトレジスターの出力を保持し、前記シリアルデータを出力する専用レジスターと、
を含み、
前記専用レジスターを介して前記シリアルデータを、カスケード接続される他の集積回路装置に出力信号として出力することを特徴とする集積回路装置に関係する。
【0006】
本発明の一態様によれば、専用レジスターを設けることで、シリアルデータの遅延時間を減少させる回路設計の自由度を高めることができる。
【0007】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
クロック信号を入力し、前記クロック信号を出力する第1の入力バッファーと、
前記第1の入力バッファーに入力される前記クロック信号を入力し、前記クロック信号を出力する第2の入力バッファーと、
をさらに含んでもよく、
前記シフトレジスターは、前記第1の入力バッファーから出力される前記クロック信号を入力してもよく、
前記専用レジスターは、前記第2の入力バッファーから出力される前記クロック信号を入力してもよい。
【0008】
このように、専用レジスターに第2の入力バッファーを組み合わせることができる。これにより、シリアルデータの遅延時間を減少させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記第1〜第Nのレジスターのうちの第i(iは、1以上N以下の範囲の整数)番目のレジスターは、第1〜第Nのフリップフロップのうちの第i番目のフリップフロップであってもよく、
前記第1〜第Nのフリップフロップの各々は、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路とを有してもよく、
前記第1のフリップフロップのマスター型の単位回路は、前記シリアルデータを入力信号として入力してもよく、前記第1のフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、前記シリアルデータを出力してもよく、
前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの第j(jは、2以上N以下の範囲の整数)番目のフリップフロップのマスター型の単位回路は、第(j−1)番目のフリップフロップのスレーブ型の単位回路から出力される前記シリアルデータを入力してもよい。
【0010】
このように、第1〜第Nのレジスターは、第1〜第Nのフリップフロップで構成することができる。また、フリップフロップは、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路で構成することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記専用レジスターは、スレーブ型の単位回路であってもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路の出力を入力してもよい。
【0012】
このように、専用レジスターは、スレーブ型の単位回路で構成することができる。また、第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路と専用レジスターのスレーブ型の単位回路とで、1つのフリップフロップの動作を実現することができる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高くてもよい。
【0014】
このように、シフトレジスターでのノイズの軽減を図るとともに、シリアルデータの遅延時間の減少も図ることができる。
【0015】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを入力し、前記シリアルデータを出力する出力バッファーを
さらに含んでもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路と前記出力バッファーとの間の配線の長さは、前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路と前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路との間の配線の長さより短くてもよく、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力してもよい。
【0016】
このように、専用レジスターは、シフトレジスターと比較して、出力バッファーの近くに配置することができる。これにより、専用レジスターと出力バッファーとの間のシリアルデータの遅延時間を減少させることができる。
【0017】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力する出力パッドを
さらに含んでもよく、
前記出力バッファーと前記出力パッドとの間の配線の長さは、前記第Nのフリップフロップの前記マスター型の単位回路と前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路との間の前記配線の長さより短くてもよい。
【0018】
このように、出力バッファーと出力パッドとの間のシリアルデータの遅延時間を減少させることができる。
【0019】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路の出力を入力し、出力するバッファーを
さらに含んでもよく、
前記専用レジスターは、スレーブ型の単位回路であってもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、前記バッファーの出力を入力してもよい。
【0020】
このように、バッファーでのシリアルデータの遅延時間を無視することができる。また、第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路と専用レジスターのスレーブ型の単位回路とで、1つのフリップフロップの動作を実現することができる。
【0021】
また、本発明の一態様では、
前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高くてもよい。
【0022】
このように、シフトレジスターでのノイズの軽減を図るとともに、シリアルデータの遅延時間の減少も図ることができる。
【0023】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力する出力パッドを
さらに含んでもよい。
【0024】
このように、遅延時間が生じる出力バッファーを備える必要がない。言い換えれば、専用レジスターを出力バッファーとして兼用することができる。
【0025】
また、本発明の一態様では、
前記専用レジスターは、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路とを有するフリップフロップであってもよく、
前記専用レジスターの前記マスター型の単位回路は、前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの第k番目(kは、N−1)のフリップフロップのスレーブ型の単位回路から出力される前記シリアルデータを入力してもよい。
【0026】
このように、専用レジスターは、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路とを有するフリップフロップで構成することができる。また、専用レジスターのマスター型の単位回路と専用レジスターのスレーブ型の単位回路とで誤動作を防止することができる。
【0027】
また、本発明の一態様では、
前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有してもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高くてもよい。
【0028】
このように、シフトレジスターでのノイズの軽減を図るとともに、シリアルデータの遅延時間の減少も図ることができる。
【0029】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを入力し、前記シリアルデータを出力する出力バッファーを
さらに含んでもよく、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路と前記出力バッファーとの間の配線の長さは、前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの前記第k番目のフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路と前記専用レジスターの前記マスター型の単位回路との間の配線の長さより短くてもよく、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力してもよい。
【0030】
このように、専用レジスターは、シフトレジスターと比較して、出力バッファーの近くに配置することができる。これにより、専用レジスターと出力バッファーとの間のシリアルデータの遅延時間を減少させることができる。
【0031】
また、本発明の一態様では、集積回路装置は、
第1〜第Nの出力トランジスターを
さらに含んでもよく、
前記第1〜第Nの出力トランジスターのうちの第m(mは、1以上N以下の範囲の整数)番目の出力トランジスターは、前記第1〜第Nのレジスターのうちの第m番目のレジスターから出力される前記シリアルデータに基づき制御されてもよく、
前記第1〜第Nの出力トランジスターを介して第1〜第Nの発熱素子を駆動するサーマルヘッドドライバーであってもよい。
【0032】
このように、シリアルデータの遅延時間を減少させる回路設計をサーマルヘッドドライバーに適用することができる。
【0033】
また、本発明の他の態様は、上記の何れか記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器に関係する。
【0034】
本発明の他の態様によれば、シリアルデータの遅延時間を減少させる回路設計を電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態の集積回路装置の構成例。
【図2】集積回路装置の比較例。
【図3】図1の集積回路装置の配置例。
【図4】図3の第1〜第Nのレジスター及び専用レジスターにシリアルデータが格納されるタイミング。
【図5】図1の集積回路装置の他の配置例。
【図6】図5の第1〜第Nのレジスター及び専用レジスターにシリアルデータが格納されるタイミング。
【図7】図1の集積回路装置の変形例の配置例。
【図8】図1の集積回路装置の他の配置例。
【図9】図8の第1〜第Nのレジスター及び専用レジスターにシリアルデータが格納されるタイミング。
【図10】図1の集積回路装置の他の配置例。
【図11】図1の集積回路装置の変形例の他の配置例。
【図12】図3等の第1〜第Nのレジスターのうちの何れか1つのレジスターの構成例。
【図13】図3等の第1〜第Nのレジスターのうちの何れか1つのレジスターの他の構成例。
【図14】図3、図5等の専用レジスターの構成例。
【図15】図7等の専用レジスターの構成例。
【図16】図16(A)、図16(B)は、図3等の入力バッファーの構成例。
【図17】図17(A)、図17(B)は、図3等の出力バッファーの構成例。
【図18】図1等の集積回路装置を含むサーマルヘッドの構成例。
【図19】サーマルヘッドドライバーである集積回路装置の構成例。
【図20】印刷システムの外観図。
【図21】図20に示されるホストコンピューターの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0037】
1. 集積回路装置
1.1 集積回路装置の構成
図1は、本実施形態の集積回路装置の構成例を示す。図1に示されるように、集積回路装置10は、第1〜第N(Nは2以上の整数)のレジスター12、・・・、12を有するシフトレジスター18を含む。シフトレジスター18は、シリアルデータSD(SI)を入力し、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12を介してシリアルデータSD(SL)を出力する。図1に示されるように、シフトレジスター18は、第Nのレジスター12の出力SRを専用レジスター19に出力することができる。集積回路装置10は、シフトレジスター18(例えば、第Nのレジスター12)の出力SRを保持し、シリアルデータSD(SO)を出力する専用レジスター19を含む。集積回路装置10は、専用レジスター19を介してシリアルデータSD(SO)を外部に出力する。集積回路装置10及び他の集積回路装置(図示せず)は、カスケード接続される。集積回路装置10は、シリアルデータSDをカスケード接続される他の集積回路装置に出力信号SOとして出力する。
【0038】
図1の集積回路装置10は、他の構成要素(例えば、出力バッファー)を追加することができる。また、本実施形態は、図1の集積回路装置10の構成例に限定されず、図1の集積回路装置10置の構成例を変形することができる。例えば、シフトレジスター18は、第Nのレジスター12の出力SRの代わりに、第(N−1)のレジスター12N−1の出力を専用レジスター19に出力してもよい。
【0039】
シリアルデータSD(SI)は、複数の1ビットデータを含むことができる。第1のレジスター12は、クロック信号CLKの変化タイミングに同期してシリアルデータSD(SI)に含まれる1ビットデータを取り込むと共に、第1のレジスター12に取り込んだ1ビットデータを出力することができる。第2〜第Nのレジスター12、・・・、12のうちの第j(jは、2以上N以下の範囲の整数)番目のレジスター12は、第(j−1)番目のレジスター12j−1の出力(広義には、シリアルデータSD)を取り込むと共に、第j番目のレジスター12に取り込んだ1ビットデータ(広義には、シリアルデータSD)を出力することができる。シリアルデータSD(SI)に含まれる複数の1ビットデータのうちの1つの1ビットデータに着目すると、シフトレジスター18は、1つの1ビットデータをシフト方向(例えば、第1のレジスター12から第Nのレジスター12に向かう方向)にシフトさせることができる。
【0040】
シフトレジスター18(例えば、第1のレジスター12)に入力されるシリアルデータSDは、入力信号SIとして集積回路装置10に外部から入力することができる。代替的に、シフトレジスター18(例えば、第1のレジスター12)に入力されるシリアルデータSDは、集積回路装置10の内部で生成してもよい。クロック信号CLKは、集積回路装置10に外部から入力することができる。代替的に、クロック信号CLKは、集積回路装置10の内部で生成してもよい。
【0041】
集積回路装置10は、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12を介して出力されるシリアルデータSD(SL)を入力する内部回路、内部素子等の構成要素を含むことができる。また、第1〜第(N−1)の12、・・・、12N−1の各々も、シリアルデータを出力することができる。集積回路装置10は、例えば、ドライバー(例えば、サーマルヘットドライバー、走査ドライバー等)である。集積回路装置10がドライバーである場合、集積回路装置10は、少なくとも第Nのレジスター12から出力されるシリアルデータSD(SL)基づき制御される出力トランジスターを内部回路又は内部素子として含むことができる。また、集積回路装置10は、少なくとも第Nのレジスター12から出力されるシリアルデータSD(SL)を入力するラッチ回路をさらに含むことができる。
【0042】
1.2 集積回路装置の比較例
図2は、集積回路装置の比較例を示す。図2に示される集積回路装置20は、図1で示される専用レジスター19を含んでいない。従って、図2に示される集積回路装置20は、第Nのレジスター22を介してシリアルデータSD(SO)を外部に出力する。図2に示される第Nのレジスター22の電流駆動能力は、図2に示される他のレジスター12、12、・・・、12N−1の何れか1つのレジスター12の電流駆動能力より高い。
【0043】
なお、特許文献2(特開昭60−113398号公報)は、本明細書に添付の図2(比較例)の第Nのレジスター22に対応する特許文献2の図2又は図4のフリップフロップFFnの電流駆動能力を高めることを開示していない。言い換えれば、当業者は、本出願時において特許文献2の集積回路装置ICの改善点を認識していない。以下に、本明細書は、特許文献2の集積回路装置ICの改善点を開示する。
【0044】
特許文献2の図3の信号Qxや図5の信号Qx、Qnで示されるように、第1〜第NのフリップフロップFF1、FF2、・・・FF(n−1)、FFnのうちの1つのフリップフロップFFにおけるシリアルデータData(DIB、Q1、Q2、・・・、Q(n−1)、Qn)の遅延時間は、t2である。従って、集積回路装置ICがシリアルデータDataを出力信号DOとして出力する時、シリアルデータDataの遅延時間は、t2を含む。言い換えれば、第1〜第NのフリップフロップFF1、・・・、FFnのうちの最終段のフリップフロップFFにおける遅延時間(t2)を改善すれば、シリアルデータDataの転送速度を高めることができる。
【0045】
本明細書に添付の図2に示される集積回路装置20(比較例)は、特許文献2の集積回路装置ICを改善するために設計された。集積回路装置20の第Nのレジスター22の電流駆動能力を高めることで、第Nのレジスター22における遅延時間を減少させることができる。
【0046】
しかしながら、本明細書に添付の図2に示される集積回路装置20(比較例)は、以下の問題点を有する。集積回路装置20の第Nのレジスター22だけの電流駆動能力を高めると、シフトレジスター28全体のバランスを取ることができない。また、第Nのレジスター22の電流駆動能力が高くなる程、第Nのレジスター22は、消費電力が増大し、また、ノイズを発生し易くなる。集積回路装置20が、第Nのレジスター22から出力されるシリアルデータSD(SL)を入力するラッチ回路を含む場合、集積回路装置20は、第1〜第N−1のレジスター12、・・・、12N−1の出力をラッチするタイミングと第Nのレジスター22の出力をラッチするタイミングとが異なってしまう。また、集積回路装置20は、ノイズの影響によって誤動作を行うこともある。なお、当業者は、本出願時においてこのような問題点を認識していない。
【0047】
本明細書に添付の図1に示される集積回路装置10は、本明細書に添付の図2に示される集積回路装置20(比較例)を改善するために設計された。専用レジスター19を設けることで、シリアルデータの遅延時間を減少させる回路設計の自由度を高めることができる。例えば、集積回路装置10の専用レジスター19だけの電流駆動能力を高めることができる。また、シフトレジスター18全体のバランスを取ることができる。さらに、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12の各々の電流駆動能力を低くし、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12は、例えばノイズの発生を軽減できる。
【0048】
1.3 集積回路装置の第1の配置例
図3は、図1の集積回路装置10の配置例を示す。図3に示されるように、集積回路装置10は、クロック信号CLKを入力し、クロック信号CLKを出力する入力バッファー33を含むことができる。シフトレジスター18及び専用レジスター19は、入力バッファー33から出力されるクロック信号CLKを入力する。
【0049】
また、集積回路装置10は、シリアルデータSDを入力信号SIとして入力し、シリアルデータSDを出力する入力バッファー34を含むことができる。シフトレジスター18は、入力バッファー34から出力されるシリアルデータSDを入力する。
【0050】
図3に示されるように、集積回路装置10の第1〜第Nのレジスター12、・・・、12の各々は、フリップフロップで構成することができる。言い換えれば、集積回路装置10は、第1〜第Nのフリップフロップ(12、・・・、12)を含むことができる。即ち、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12のうちの第i(iは、1以上N以下の範囲の整数)番目のレジスターは、第1〜第Nのフリップフロップのうちの第i番目のフリップフロップである。
【0051】
第1〜第Nのフリップフロップ(12、・・・、12)の各々は、マスター型の単位回路Mとスレーブ型の単位回路Sとを有することができる。第1のフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路Mは、シリアルデータSDを入力信号SIとして入力することができ、第1のフリップフロップのスレーブ型(12)の単位回路Sは、シリアルデータSDを出力することができる。具体的には、第1のフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路M及びスレーブ型の単位回路Sは、クロック信号CLKの変化タイミングに同期してシリアルデータSD(SI)に含まれる1ビットデータを取り込むと共に、第1のフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路M及びスレーブ型の単位回路Sに取り込んだ1ビットデータを出力する。
【0052】
また、第1〜第Nのフリップフロップ(12、・・・、12)のうちの第j(jは、2以上N以下の範囲の整数)番目のフリップフロップのマスター型の単位回路Mは、第(j−1)番目のフリップフロップのスレーブ型の単位回路Sから出力されるシリアルデータSDを入力することができる。
【0053】
さらに、シフトレジスター18は、第1〜第Nのフリップフロップ(12、・・・、12)の複数のスレーブ型の単位回路Sから出力される複数のシリアルデータSD(SL)を出力することができる。
【0054】
図3に示されるように、専用レジスター19は、スレーブ型の単位回路Sで構成することができる。専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sは、第Nのフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路Mの出力SDを入力することができる。言い換えれば、第Nのフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路Mと専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sは、クロック信号CLKの変化タイミングに同期して第(N−1)のフリップフロップ(12N−1)から出力される1ビットデータを取り込むと共に、第Nのフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路Mと専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sに取り込んだ1ビットデータ(広義には、シリアルデータSD(SR))を出力する。
【0055】
図3に示されるように、集積回路装置10は、専用レジスター19から出力されるシリアルデータSD(SR)を入力し、シリアルデータSDを出力する出力バッファー35を含むことができる。集積回路装置10は、出力バッファー35から出力されるシリアルデータSDを出力信号SOとして出力する。
【0056】
また、集積回路装置10は、入出力パッド領域38に出力パッドを含むことができる。出力パッドは、出力バッファー35から出力されるシリアルデータSDを出力信号SOとして出力する。さらに、集積回路装置10は、入出力パッド領域38に複数の入力パッドを含むことができる。複数の入力パッドのうちの1つの入力パッドは、シリアルデータSDを入力信号SIとして入力し、シリアルデータSDを入力バッファー34に出力する。複数の入力パッドのうちのもう1つの入力パッドは、クロック信号CLKを入力し、クロック信号CLKを入力バッファー33に出力する。なお、入出力パッド領域38は、入力パッド領域と出力パッド領域とに分離されてもよく、集積回路装置10は、出力パッド領域に出力パッドを含んでもよく、入力パッド領域に複数の入力パッドを含んでもよい。
【0057】
図3に示されるように専用レジスター19を設けることで、シリアルデータSDの遅延時間を減少させる回路設計の自由度を高めることができる。例えば、図3に示される専用レジスター19の電流駆動能力は、図3に示される第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12の何れか1つのレジスター12の電流駆動能力より高くすることができる。また、例えば、専用レジスター19及び出力バッファー35を出力パッドの近くに配置することができる。さらに、第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12の各々は、同じ電流駆動能力で設計することができる。
【0058】
図4は、図3の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12及び専用レジスター19にシリアルデータが格納されるタイミングを示す。図4は、2つのクロック信号CLK、CLK(33)を示し、クロック信号CLKは、入力パッドから出力されるクロック信号を表し、クロック信号CLK(33)は、入力バッファー33から出力されるクロック信号を表す。言い換えれば、クロック信号CLKは、図3の入力バッファー33に入力されるクロック信号を表し、クロック信号CLK(33)は、図3の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12及び専用レジスター19に入力されるクロック信号を表す。図4に示されるように、入力バッファー33におけるクロック信号の遅延時間は、tibである。
【0059】
入力信号SIは、複数の1ビットデータを含み、図4において、入力信号SIは、第1〜第(N+4)の1ビットデータを含む。言い換えれば、第1〜第(N+4)の1ビットデータは、入力信号SIとして、クロック信号CLKに同期して集積回路装置10にシリアルに入力される。図4に示される複数のシリアルデータSD(12、12、・・・、12N−1、12)は、第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12から出力される複数のシリアルデータを表す。図4に示されるシリアルデータSD(19)は、専用レジスター19から出力されるシリアルデータを表す。
【0060】
第1のレジスター12は、クロック信号CLK(33)の変化点に同期して、入力バッファー34から出力されるシリアルデータSD(SI)を取り込み、出力する。第2〜第Nのレジスター12、・・・、12N−1、12の各々は、クロック信号CLK(33)の変化点に同期して、前段のレジスターから出力されるシリアルデータSDを取り込み、出力する。また、専用レジスター19も、クロック信号CLK(33)の変化点に同期して、第N−1のレジスター12N−1から出力されるシリアルデータSDを取り込み、出力する。図4に示されるように、第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12の各々におけるシリアルデータSD(12)の遅延時間は、クロック信号CLK(33)を基準としてtffである。また、専用レジスター19におけるシリアルデータSD(19)の遅延時間は、クロック信号CLK(33)を基準としてtrである。
【0061】
図1又は図3の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量は、専用レジスター19におけるシリアルデータSD(19)の遅延時間trに依存する。従って、遅延時間trを短くすることで、集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量を少なくすることができる。専用レジスター19を設けることで、専用レジスター19の電流駆動能力は、第Nのレジスター12の電流駆動能力より高くすることが可能となり、その結果、遅延時間trを遅延時間tffより短くすることができる。また、専用レジスター19を設けることで、専用レジスター19と出力バッファー35との間の配線の長さを短くすることが可能となり、その結果、遅延時間trをより短くすることができる。
【0062】
なお、図1又は図3の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量は、出力バッファー35におけるシリアルデータSDの遅延時間にも依存する。出力バッファー35と出力パッドとの間の配線の長さを短くすることで、出力バッファー35におけるシリアルデータSDの遅延時間をより短くすることができる。
【0063】
1.4 集積回路装置の第2の配置例
図5は、図1の集積回路装置10の他の配置例を示す。図5に示される集積回路装置10は、シフトレジスター18と専用レジスター19との間のバッファー55を含み、図3に示される出力バッファー35を含んでいない。
【0064】
図6は、図5の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12及び専用レジスター19にシリアルデータが格納されるタイミングを示す。
図5に示されるように、バッファー55は、専用レジスター19の前段に配置される。言い換えれば、専用レジスター19は、クロック信号CLK(33)の変化点に同期して、バッファー55の出力SRを取り込み、出力する。従って、バッファー55における出力SR(55)の遅延時間tbは、専用レジスター19における出力信号SOとしてのシリアルデータSD(19)の遅延時間trに影響を与えない。また、バッファー55の存在により、専用レジスター19の電流駆動能力をより高めることができ、遅延時間tbを少なくすることができる。言い換えれば、図3の専用レジスター19は、第Nのフリップフロップ(12)のマスター型の単位回路Mの出力に繋がっているので、図3の専用レジスター19の電流駆動能力の大きさには限界がある。その結果、図5の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量は、図3の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量より少なくすることができる。
【0065】
なお、図5の集積回路装置10は、図3に示される出力バッファー35を含んでもよい。バッファー55の電流駆動能力、専用レジスター19の電流駆動能力、及び出力バッファー35の電流駆動能力の関係によっては、図3に示される出力バッファー35をさらに含む図5の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量の方が、図3に示される出力バッファー35を含まない図5の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量より少ない場合もある。
【0066】
1.5 集積回路装置の第3の配置例
図7は、図1の集積回路装置10の変形例の配置例を示す。図7に示されるように、シフトレジスター18は、第Nのレジスター12の出力SRの代わりに、第(N−1)のレジスター12N−1の出力SRを専用レジスター79に出力してもよい。また、専用レジスター79は、マスター型の単位回路M及びスレーブ型の単位回路Sで構成してもよい。
【0067】
図7に示されるように、専用レジスター79のマスター型の単位回路Mは、専用レジスター79のスレーブ型の単位回路Sの前段に配置される。図5のバッファー55と同様に、専用レジスター79のマスター型の単位回路Mの存在により、専用レジスター79のスレーブ型の単位回路Sの電流駆動能力をより高めることができる。その結果、図7の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量は、図3の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量より少なくすることができる。
【0068】
なお、図7の集積回路装置10は、出力バッファー35を含まなくてもよい。専用レジスター79のマスター型の単位回路Mの電流駆動能力、専用レジスター79のスレーブ型の単位回路Sの電流駆動能力、及び出力バッファー35の電流駆動能力の関係によっては、出力バッファー35を含まない図7の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量の方が、出力バッファー35を含む図7の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量より少ない場合もある。
【0069】
1.6 集積回路装置の第4の配置例
図8は、図1の集積回路装置10の他の配置例を示す。図8に示される集積回路装置10は、図3の入力バッファー33の代わりに、第1の入力バッファー86及び第2の入力バッファー87を含むことができる。第1の入力バッファー86は、クロック信号CLKを入力し、クロック信号CLKを出力する。第2の入力バッファー87は、第1の入力バッファー86に入力されるクロック信号CLKを入力し、クロック信号CLKを出力する。シフトレジスター18は、第1の入力バッファー86から出力されるクロック信号CLKを入力する。専用レジスター19は、第2の入力バッファー87から出力されるクロック信号CLKを入力する。
【0070】
図9は、図8の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12及び専用レジスター19にシリアルデータが格納されるタイミングを示す。図9は、3つのクロック信号CLK、CLK(86)、CLK(87)を示す。クロック信号CLKは、入力パッドから出力されるクロック信号を表し、クロック信号CLK(86)は、第1の入力バッファー86から出力されるクロック信号を表し、クロック信号CLK(87)は、第2の入力バッファー87から出力されるクロック信号を表す。第2の入力バッファー87から出力されるクロック信号CLK(87)は、専用レジスター19だけに入力される。従って、第2の入力バッファー87におけるクロック信号の遅延時間tib2は、第1の入力バッファー86におけるクロック信号の遅延時間tib1より短い。
【0071】
専用レジスター19は、クロック信号CLK(87)の変化点に同期して、第N−1のレジスター12N−1の出力SRを取り込み、シリアルデータSDを出力する。図9に示されるように、専用レジスター19におけるシリアルデータSD(19)の遅延時間は、クロック信号CLK(87)を基準としてtrである。
【0072】
図8の集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量は、第2の入力バッファー87におけるクロック信号の遅延時間tib2に依存する。従って、遅延時間tib2を短くすることで、集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量を少なくすることができる。
【0073】
1.7 集積回路装置の第5の配置例
図10は、図1の集積回路装置10の他の配置例を示す。図10に示される集積回路装置10は、図5の入力バッファー33の代わりに、第1の入力バッファー86及び第2の入力バッファー87を含むことができる。第2の入力バッファー87におけるクロック信号の遅延時間を短くすることで、集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量を少なくすることができる。
【0074】
1.8 集積回路装置の第6の配置例
図11は、図1の集積回路装置10の変形例の他の配置例を示す。図11に示される集積回路装置10は、図7の入力バッファー33の代わりに、第1の入力バッファー86及び第2の入力バッファー87を含むことができる。第2の入力バッファー87におけるクロック信号の遅延時間を短くすることで、集積回路装置10全体におけるシリアルデータSDの遅延量を少なくすることができる。なお、図11の専用レジスター19のマスター型の単位回路Mは、第1の入力バッファー86から出力されるクロック信号CLKを入力してもよい。
【0075】
2 単位回路
2.1 フリップフロップ
図12は、図3等の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12のうちの何れか1つのレジスター12の構成例を示す。図12に示すように、レジスター12(フリップフロップ)内のマスター型の単位回路Mは、クロックドインバーター121とラッチ回路125とを含むことができる。マスター型の単位回路Mのラッチ回路125は、クロックドインバーター122とインバーター127とを含むことができる。また、レジスター12(フリップフロップ)内のスレーブ型の単位回路Sは、クロックドインバーター123とラッチ回路126とを含むことができる。スレーブ型の単位回路Sのラッチ回路126は、クロックドインバーター124とインバーター128とを含むことができる。
【0076】
図12に示すように、レジスター12(フリップフロップ)は、例えば、10個のN型(広義には、第1の伝導型)のトランジスター(狭義には、MOSFET)N1〜N10と、10個のP型(広義には、第2の伝導型)のトランジスターP1〜P10とで、構成される。クロックドインバーター121のトランジスターP2及びトランジスターN2の双方のゲートは、入力バッファー34又は前段のレジスター12から出力されるシリアルデータSDを受け取る。クロック信号CLKがLowレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがHighレベルを示す場合、トランジスターP2及びトランジスターN2の双方のドレインは、シリアルデータSDをラッチ回路125に取り込む。
【0077】
ラッチ回路125のインバーター127は、クロックドインバーター121の出力(ドレイン出力)を反転させる。クロック信号CLKがHighレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがLowレベルを示す場合、ラッチ回路125のクロックドインバーター122は、インバーター127の出力(ドレイン出力)を保持する。
【0078】
クロックドインバーター123のトランジスターP7及びトランジスターN7の双方のゲートは、ラッチ回路125の出力(インバーター127のドレイン出力)を受け取る。クロック信号CLKがHighレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがLowレベルを示す場合、トランジスターP7及びトランジスターN7の双方のドレインは、ラッチ回路125の出力をラッチ回路126に取り込むと同時に、ラッチ回路126は、シリアルデータSDを出力する。
【0079】
ラッチ回路126のインバーター128は、クロックドインバーター123の出力(ドレイン出力)を反転させる。クロック信号CLKがLowレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがHighレベルを示す場合、ラッチ回路126のクロックドインバーター124は、インバーター128の出力(ドレイン出力)を保持する。なお、クロックドインバーター128の入力(ゲート入力)のノードは、反転シリアルデータXSDを表す。
【0080】
レジスター12は、ラッチ回路126から出力されるシリアルデータSDを後段のレジスター12に送る。また、レジスター12の出力SRが専用レジスター19に入力される場合、レジスター12は、ラッチ回路126から出力されるシリアルデータSD又はクロックドインバーター123から出力される反転シリアルデータXSDを専用レジスター19に送る。なお、各インバーターの第1の電源電圧(狭義には、高電位側電源電圧)及び第2の電源電圧(狭義には、低電位側電源電圧)は、それぞれVDD及びVSSで表されている。
【0081】
なお、シリアルデータが例えばHighレベル(「1」)を示す時、レジスター12内のマスター型の単位回路Mの出力は、Lowレベル(「0」)を保持する。また、レジスター12内のマスター型の単位回路Mの出力が例えばLowレベル(「0」)を示す時、レジスター12内のスレーブ型の単位回路Sの出力は、Highレベル(「1」)を保持する。
【0082】
図13は、図3等の第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12のうちの何れか1つのレジスター12の他の構成例を示す。図13に示すように、クロック信号CLKがHighレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがLowレベルを示す場合、クロックドインバーター123のトランジスターP7及びトランジスターN7の双方のドレインは、ラッチ回路125の出力(インバーター127のゲート入力)をラッチ回路126に取り込むと同時に、ラッチ回路126(インバーター128のゲート入力)は、シリアルデータSDを出力してもよい。
【0083】
2.2 専用レジスター
図14は、図3、図5等の専用レジスター19の構成例を示す。図14に示すように、専用レジスター19内のスレーブ型の単位回路Sは、クロックドインバーター143とラッチ回路146とを含むことができる。スレーブ型の単位回路Sのラッチ回路146は、クロックドインバーター144とインバーター148とを含むことができる。
【0084】
図14に示すように、専用レジスター19は、例えば、5個のN型のトランジスターN16〜N20と、5個のP型のトランジスターP16〜P20とで、構成される。図3に示されるように、専用レジスター19が第Nのレジスター12内のマスター型の単位回路Mの出力SRを受け取る場合、クロックドインバーター143のトランジスターP17及びトランジスターN17の双方のゲートは、第Nのレジスター12内のマスター型の単位回路Mのラッチ回路125の出力SRを受け取る。
【0085】
なお、図5に示されるように、専用レジスター19と第Nのレジスター12内のマスター型の単位回路Mとの間にバッファー55が設けられている場合、クロックドインバーター143のトランジスターP17及びトランジスターN17の双方のゲートは、バッファー55の出力を受け取ることができる。言い換えれば、専用レジスター19は、第Nのレジスター12内のマスター型の単位回路Mのラッチ回路125の出力SRをバッファー55を介して受け取ることができる。
【0086】
クロック信号CLKがHighレベルを示す場合、又は反転クロック信号XCLKがLowレベルを示す場合、トランジスターP17及びトランジスターN17の双方のドレインは、ラッチ回路125の出力をラッチ回路146に取り込むと同時に、ラッチ回路146は、シリアルデータSDを出力する。
【0087】
ラッチ回路146(インバーター148のドレイン出力)は、シリアルデータSDを出力する一方、インバーター148の入力(ゲート入力)のノードは、反転シリアルデータXSDを表す。
【0088】
図3に示されるように、出力バッファー35が専用レジスター19の出力を受け取る場合、専用レジスター19は、ラッチ回路146から出力されるシリアルデータSDを出力バッファー35に送る。図5に示されるように、専用レジスター19と第Nのレジスター12内のマスター型の単位回路Mとの間にバッファー55が設けられている場合、専用レジスター19は、ラッチ回路146から出力されるシリアルデータSDを出力パッドに送る。
【0089】
図15は、図7等の専用レジスター79の構成例を示す。図15に示すように、専用レジスター79は、スレーブ型の単位回路Sだけでなく、マスター型の単位回路Mを含んでもよい。言い換えれば、専用レジスター79は、シリアルデータSDを出力信号SOとして外部に出力する専用フリップフロップであってもよい。図15に示すように、専用レジスター79は、例えば、10個のN型のトランジスターN11〜N20と、10個のP型のトランジスターP11〜P20とで、構成される。専用レジスター79の動作は、第Nのレジスター12の動作とほぼ同じであるが、専用レジスター79は、図7に示されるように、ラッチ回路146から出力されるシリアルデータSDを出力バッファー35に送る。
【0090】
2.3 電流駆動能力
前述の通り、例えば、図3に示される専用レジスター19の電流駆動能力は、図3に示される第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12の何れか1つのレジスター12の電流駆動能力より高くすることができる。具体的には、例えば図14の専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sのクロックドインバーター143の電流駆動能力は、例えば図12の第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路Sのクロックドインバーター123の電流駆動能力より高くすることができる。言い換えれば、専用レジスター19の電流駆動能力として、クロックドインバーター143の電流駆動能力を用いることができる。また、レジスター12の電流駆動能力として、クロックドインバーター123の電流駆動能力を用いることができる。
【0091】
より具体的には、P型のトランジスター17のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLp17及びWp17であり、P型のトランジスター7のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLp及びWpであると想定する。クロックドインバーター143の電流駆動能力は、Wp17/Lp17に依存し、レジスター12の電流駆動能力は、Wp/Lpに依存する。従って、Wp17/Lp17>Wp/Lpの関係式が満たされるように、P型のトランジスター17のサイズを設計することができる。言い換えれば、Wp17/Lp17を大きくすることにより、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めることができる。
【0092】
また、N型のトランジスター17のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLn17及びWn17であり、N型のトランジスター7のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLn及びWnであると想定する。Wn17/Ln17>Wn/Lnの関係式が満たされるように、N型のトランジスター17のサイズを設計することができる。言い換えれば、Wn17/Ln17を大きくすることにより、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めることができる。
【0093】
さらに、P型のトランジスター16のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLp16及びWp16であり、P型のトランジスター6のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLp及びWpであると想定する。Wp16/Lp16>Wp/Lpの関係式が満たされるように、P型のトランジスター16のサイズを設計することができる。言い換えれば、Wp16/Lp16を大きくすることにより、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めることができる。同様に、N型のトランジスター16のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLn16及びWn16であり、N型のトランジスター6のチャネル長及びチャネル幅がそれぞれLn及びWnであると想定する。Wn16/Lp16>Wn/Lnの関係式が満たされるように、N型のトランジスター16のサイズを設計することができる。言い換えれば、Wn16/Ln16を大きくすることにより、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めることができる。
【0094】
クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めるように、P型のトランジスター17のサイズ、N型のトランジスター17のサイズ、P型のトランジスター16のサイズ、及びN型のトランジスター16のサイズの全てを設計することができる。但し、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めるように、P型のトランジスター17のサイズだけを設計してもよく、N型のトランジスター17のサイズだけを設計してもよい。即ち、クロックドインバーター143の電流駆動能力を高めるように、P型のトランジスター17のサイズ、N型のトランジスター17のサイズ、P型のトランジスター16のサイズ、及びN型のトランジスター16のサイズの少なくとも1つのサイズを設計してもよい。加えて、例えば図14の専用レジスター19において、ラッチ回路146(例えば、インバーター148)の電流駆動能力を高めてもよい。
【0095】
例えば、図7に示される専用レジスター79の電流駆動能力は、図7に示される第1〜第Nのレジスター12、12、・・・、12N−1、12の何れか1つのレジスター12の電流駆動能力より高くすることができる。具体的には、例えば図15の専用レジスター79のスレーブ型の単位回路Sのクロックドインバーター143の電流駆動能力は、例えば図12の第Nのフリップフロップ12のスレーブ型の単位回路Sのクロックドインバーター123の電流駆動能力より高くすることができる。また、例えば図15の専用レジスター79のマスター型の単位回路Mのクロックドインバーター151の電流駆動能力は、例えば図12の第Nのフリップフロップ12のマスター型の単位回路Mのクロックドインバーター121の電流駆動能力より高くしてもよい。言い換えれば、図15の専用レジスター79の電流駆動能力として、スレーブ型の単位回路Sだけ(例えば、クロックドインバーター143だけ)の電流駆動能力を高めてもよい。
【0096】
3 バッファー
3.1 入力バッファー
図16(A)、図16(B)は、図3等の入力バッファー33の構成例を示す。入力バッファー33は、複数の反転型のバッファーで構成することができる。図16(A)に示すように、入力バッファー33は、例えば、3つのインバーター161、162、163である。図16(B)に示すように、入力バッファー33は、例えば、2つのインバーター161、162であってもよい。図16(B)において、インバーター161は、入力パッドからのクロック信号CLKを反転させ、反転クロック信号XCLKを生成する。インバーター162は、インバーター161からの反転クロック信号XCLKを反転させ、クロック信号CLKを生成する。図16(B)の入力バッファー33は、インバーター161の出力XCLK及びインバーター162の出力CLKを図12等のクロックドインバーター121等に出力することができる。インバーター161は、図12等のインバーター127と同様に、複数のトランジスターで構成することができる。インバーター162も、複数のトランジスターで構成することができる。図16(A)において、インバーター163は、入力パッドからのクロック信号CLKを反転させ、反転クロック信号XCLKを生成する。図16(A)の入力バッファー33は、インバーター163の出力XCLK及びインバーター162の出力CLKを図12等のクロックドインバーター121等に出力することができる。
【0097】
なお、図8等の第1の入力バッファー86は、複数の反転型のバッファーで構成することができる。また、図8等の第2の入力バッファー87も、複数の反転型のバッファーで構成することができる。加えて、図3等の入力バッファー34は、複数の反転型のバッファーで構成してもよい。なお、入力信号SIが反転シリアルデータXSDである場合、入力バッファー34は、1つの反転型のバッファーで構成してもよい。
【0098】
3.2 出力バッファー
図17(A)、図17(B)は、図3等の出力バッファー35の構成例を示す。出力バッファー35は、少なくとも1つのバッファーで構成することができる。図17(A)に示すように、出力バッファー35は、例えば、2つのインバーター171、172である。図17(B)に示すように、出力バッファー35は、例えば、1つのインバーター171である。
【0099】
図17(A)のインバーター171は、図14等のラッチ回路146からのシリアルデータSDを反転させ、反転シリアルデータXSDを生成する。インバーター172は、インバーター171からの反転シリアルデータXSDを反転させ、シリアルデータSDを生成する。出力バッファー35は、インバーター172の出力SDを出力信号SOとして図3等の出力パッドに出力することができる。なお、図17(A)のインバーター171が図14等のクロックドインバーター143からの反転シリアルデータXSDを反転させる場合、出力バッファー35は、出力信号SOとして反転シリアルデータXSDを出力してもよい。
【0100】
図17(B)のインバーター171は、図14等のクロックドインバーター143からの反転シリアルデータXSDを反転させ、シリアルデータSDを生成する。出力バッファー35は、インバーター171の出力SDを出力信号SOとして図3等の出力パッドに出力することができる。なお、図17(B)のインバーター171が図14等のラッチ回路146からのシリアルデータSDを反転させる場合、出力バッファー35は、出力信号SOとして反転シリアルデータXSDを出力してもよい。
【0101】
加えて、例えば図3において、専用レジスター19のスレーブ型の単位回路S(具体的には、図14のラッチ回路146等)と出力バッファー35(具体的には、図17(A)のインバーター171等)との間の配線の長さは、第Nのフリップフロップ12のマスター型の単位回路M(具体的には、図12のラッチ回路125等)と専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sとの間の配線の長さより短くすることができる。また、例えば図3において、出力バッファー35(具体的には、図17(A)のインバーター172等)と出力パッドとの間の配線の長さは、第Nのフリップフロップ12のマスター型の単位回路Mと専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sとの間の配線の長さより短くすることができる。例えば図7において、専用レジスター19のスレーブ型の単位回路Sと出力バッファー35との間の配線の長さは、第N−1のフリップフロップ12N−1のスレーブ型の単位回路S(具体的には、図12のラッチ回路126等)と専用レジスター79のマスター型の単位回路M(具体的には、図15のクロックドインバーター151等)との間の配線の長さより短くすることができる。
【0102】
3.3 バッファー
図5等のバッファー55は、少なくとも1つのバッファーで構成することができる。バッファー55が反転型のバッファー(例えば、1つのインバーター)である場合、バッファー55は、図13の第N−1のレジスター12N−1のマスター型の単位回路Mの出力SRを反転させ、専用レジスター19は、図14等のラッチ回路146からのシリアルデータSDを出力信号SOとして出力する。バッファー55が非反転型のバッファー(例えば、2つのインバーター)である場合、バッファー55は、図12の第N−1のレジスター12N−1のマスター型の単位回路Mの出力SRを反転させ、専用レジスター19は、図14等のラッチ回路146からのシリアルデータSDを出力信号SOとして出力する。なお、専用レジスター19は、図14等のクロックドインバーター143からの反転シリアルデータXSDを出力信号SOとして出力してもよい。
【0103】
4. サーマルヘッドドライバー
図18は、図1等の集積回路装置10を含むサーマルヘッドの構成例を示す。図18に示されるサーマルヘッドは、セラミック板182の上に、複数のサーマル抵抗素子180(広義には発熱素子、発熱抵抗体)が形成されている。図18において、セラミック板182の長辺の1つの縁部に、画素の間隔に合わせて複数のサーマル抵抗素子180が配列されている。複数のサーマル抵抗素子180の一端には、電源電圧VHが供給されている。この電源電圧は、サーマルヘッド(セラミック板182)の外部から供給される、例えば24Vや18Vといった高電圧である。また、サーマルヘッドは、第1〜第M(Mは2以上の整数)のサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−M)を含む。複数のサーマル抵抗素子18の他端には、第1〜第Mのサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−M)の出力が電気的に接続される。第1〜第(M−1)のサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−(M−1))の各々は、図1等の集積回路装置10で構成することができる。また、第Mのサーマルヘッドドライバー(10−M)は、専用レジスター19を含まない集積回路装置10で構成することができる。第1〜第Mのサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−M)は、カスケード接続されている。
【0104】
第1〜第Mのサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−M)の各々は、第1〜第Nの出力トランジスターをさらに含むことができる。1つのサーマルドライバー(10)は、第1〜第Nの出力トランジスターを介して第1〜第Nの発熱素子180、・・・、180を駆動する。第1〜第Nの出力トランジスターのうちの第m(mは、1以上N以下の範囲の整数)番目の出力トランジスターは、第1〜第Nのレジスター12、・・・、12のうちの第m番目のレジスターから出力されるシリアルデータSD(SL)に基づき制御される。第1〜第Mのサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−M)の各々は、第1〜第Nの発熱素子180、・・・、180に接続される第1〜第Nの出力トランジスターの出力を例えば接地電源電圧に設定することで、第1〜第Nの発熱素子180、・・・、180に電流を流す(駆動する)ことができる。
【0105】
なお、サーマルヘッドドライバー以外のドライバー(電気光学装置ドライバー(例えば、液晶ドライバー、プラズマパネルドライバー、LED表示ドライバー、有機EL表示ドライバー、蛍光表示管ドライバー)、プリンタードライバー(例えば、LEDプリントヘッドドライバー、有機ELプリントヘッドドライバー)等)を図1等の集積回路装置10で構成してもよい。このようなドライバーは、発熱素子の代わりに、例えば有機LED(広義には発光素子)等を駆動してもよい。また、ドライバーの目的に応じて、出力トランジスターは、N型のトランジスター又はP型のトランジスターで構成することができる。また、出力トランジスターは、CMOSトランジスターで構成することもできる。
【0106】
図19は、サーマルヘッドドライバーである集積回路装置10の構成例を示す。なお、出力トランジスターODをP型のトランジスター又はCMOSトランジスターで構成する場合、当業者は、以下に説明されるドライバーの一部の構成が必要に応じて変形されることを容易に理解できるであろう。図19に示されるサーマルドライバー(10)は、図18の第1〜第(M−1)のサーマルヘッドドライバー(10−1、10−2、…、10−(M−1))のうちの何れか1つのサーマルヘッドドライバーを表す。
【0107】
サーマルヘッドドライバー(10)は、複数のドライバーブロックDB1〜DBN(Nは2以上の整数)を含む。具体的には、サーマルヘッドドライバー(10)は、複数の出力トランジスターOD1〜ODNと、複数の出力制御回路OC1〜OCNと、複数のラッチLT1〜LTNと、複数のレジスター(フリップフロップ)DFF1〜DFFNとを含むことができる。以下の説明において、複数のドライバーブロックDB1〜DBNの中のj(1≦j≦N、jは整数)番目のドライバーブロックを「DBj」として表すことがある。また、複数の出力トランジスターOD1〜ODNの中のj番目の出力トランジスターを「ODj」として表すことがある。同様に、j番目の出力制御回路、j番目のラッチ及びj番目のレジスターを、それぞれ、「OCj」、「LTj」及び「DFFj」として表すことがある。
【0108】
サーマルヘッドドライバー(10)には、クロック信号CLK、シリアルデータSD(SI)、ラッチ信号LAT及びストローブ信号STBが、入力される。1ビットデータ(広義には、画素データ)は、シリアルデータSDとして、クロック信号CLKに同期してシリアルに入力される。ラッチ信号LATは、ラッチLT1〜LTNの各々に1ビットデータを取り込むための信号である。ストローブ信号STBは、ドライバーブロックDB1〜DBNに供給される。
【0109】
ドライバーブロックDB1〜DBNの第1〜第Nのレジスター121、・・・、12Nは、図1等のシフトレジスター18を構成する。シフトレジスター18を構成する各レジスター12は、クロック信号CLKの変化タイミングに同期して、シリアルデータSDに含まれる1ビットデータを取り込む。
【0110】
なお、サーマルヘッドドライバー(例えば図18の符号10−1で示されるサーマルドライバー)は、シリアルデータSDを専用レジスター19を介して、次段のサーマルヘッドドライバー(例えば図18の符号10−2で示されるサーマルドライバー)に出力する。次段のサーマルヘッドドライバー(10−2)のシフトレジスターを構成する各レジスターも、クロック信号CLKの変化タイミングに同期して、シリアルデータSDに含まれる1ビットデータを取り込む。
【0111】
j番目のドライバーブロックDBにおいて、ラッチLTは、ラッチ信号LATが例えばHighレベルのとき、レジスター12に取り込んだ1ビットデータをラッチ(保持)する。ラッチLTの出力は、出力制御回路OCに入力される。出力制御回路OCは、ストローブ信号STBと、ドライバーブロックDBに対応した画素データ(ラッチLTにラッチされた1ビットデータ)とに基づいて、出力制御信号cntを生成する。出力トランジスターODは、N型のトランジスターにより構成される。出力トランジスターODのドレインが、ドライバー出力DOとなる。
【0112】
ドライバーブロックDB〜DBの出力トランジスターOD〜ODのソースには、接地電源電圧GNDが供給される。出力トランジスターODのゲートには、出力制御回路OCからの出力制御信号cntが供給される。図19では、j番目のドライバーブロックDBにおいて、出力制御信号cntにより、出力トランジスターODのソース・ドレイン間が電気的に導通することで、ドライバー出力DOが接地電源電圧GNDに設定される。
【0113】
5. 電子機器
図20は、印刷システムの外観図を示す。
図20に示される印刷システムは、ホストコンピューター(広義には制御部)と、レシート201等を発行するプリンター204とを含む。ホストコンピューターは、本体205と、表示装置(広義には、電気光学装置)206と、キーボード207と、ポインティングデバイスとしてのマウス208とを含む。プリンター204は、例えば図19に示されるサーマルドライバー(10)を含む。
【0114】
図21は、図20に示されるホストコンピューターの構成例を示す。ホストコンピューターでは、CPU211に、バスライン212を介して、プログラムデータ等が格納されたROM213、データ処理の作業エリアや印刷データがバッファリングされるRAM214、プリンター204に印刷データや印刷コマンド等を送信する通信インタフェース215、表示装置206を駆動制御して表示データに対応する文字等を表示させるディスプレイコントローラー216、キーボード207から入力キーに対応するキー信号を取り込むキーボードコントローラー217、マウス208とのデータ等のやり取りを制御するマウスコントローラー218が接続されている。また、プリンター204は、通信インタフェース215からの印刷データ(広義には、シリアルデータ)等を受信する通信インタフェース219を含む。
【0115】
CPU211は、ROM213又はRAM214に格納されたプログラムに従って印刷処理を実行し、印刷データをRAM214に展開したり、RAM214の印刷データを、通信インタフェース215を介してプリンター204に転送したりすることができる。
【0116】
図1等の集積回路装置10を含む電子機器は、例えばプリンター204であるが、表示装置206の走査ドライバーも、図1等の集積回路装置10を含むことができる。プリンター204や表示装置206以外の携帯電話、ページャー、時計、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、電卓、ワードプロセッサー、プロジェクター、POS端末等の電子機器も、図1等の集積回路装置10を含むことができる。
【0117】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0118】
10,20 集積回路装置、 12,22 レジスター、
18,28 シフトレジスター、 19,79 専用レジスター、
33,34,86,87 入力バッファー、 35 出力バッファー、
38 入出力パッド領域、 55 バッファー、
121〜124,143,144,151,152 クロックドインバーター、
125,126,146,155 ラッチ回路、
127,128,148,157,161〜163,171,172 インバーター、
180 サーマル抵抗素子、 182 セラミック板、 201 レシート、
204 プリンター、 205 本体、 206 表示装置、 207 キーボード、
208 マウス、 211 CPU、 212 バスライン、 213 ROM、
214 RAM、 215,219 通信インタフェース、
216 ディスプレイコントローラー、 217 キーボードコントローラー、
218 マウスコントローラー、 CLK クロック信号、 cnt 出力制御信号、
DB ドライバーブロック、 DO ドライバー出力、
GND,VDD,VH,VSS 電源電圧、 LAT ラッチ信号、 LT ラッチ、
M マスター型の単位回路、 N1〜N20 N型のトランジスター、
OC 出力制御回路、 OD 出力トランジスター、
P1〜P20 P型のトランジスター、 S スレーブ型の単位回路、
SD,SL シリアルデータ、 SI 入力信号、 SO 出力信号、
SR シフトレジスターの出力、 STB ストローブ信号、
XCLK 反転クロック信号、 XSD 反転シリアルデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1〜第N(Nは2以上の整数)のレジスターを有するシフトレジスターであって、シリアルデータを入力し、前記第1〜第Nのレジスターを介して前記シリアルデータを出力するシフトレジスターと、
前記シフトレジスターの出力を保持し、前記シリアルデータを出力する専用レジスターと、
を含み、
前記専用レジスターを介して前記シリアルデータを、カスケード接続される他の集積回路装置に出力信号として出力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
クロック信号を入力し、前記クロック信号を出力する第1の入力バッファーと、
前記第1の入力バッファーに入力される前記クロック信号を入力し、前記クロック信号を出力する第2の入力バッファーと、
をさらに含み、
前記シフトレジスターは、前記第1の入力バッファーから出力される前記クロック信号を入力し、
前記専用レジスターは、前記第2の入力バッファーから出力される前記クロック信号を入力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1〜第Nのレジスターのうちの第i(iは、1以上N以下の範囲の整数)番目のレジスターは、第1〜第Nのフリップフロップのうちの第i番目のフリップフロップであり、
前記第1〜第Nのフリップフロップの各々は、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路とを有し、
前記第1のフリップフロップのマスター型の単位回路は、前記シリアルデータを入力信号として入力し、前記第1のフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、前記シリアルデータを出力し、
前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの第j(jは、2以上N以下の範囲の整数)番目のフリップフロップのマスター型の単位回路は、第(j−1)番目のフリップフロップのスレーブ型の単位回路から出力される前記シリアルデータを入力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記専用レジスターは、スレーブ型の単位回路であり、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路の出力を入力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高いことを特徴とする集積回路装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを入力し、前記シリアルデータを出力する出力バッファーを
さらに含み、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路と前記出力バッファーとの間の配線の長さは、前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路と前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路との間の配線の長さより短く、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力する出力パッドを
さらに含み、
前記出力バッファーと前記出力パッドとの間の配線の長さは、前記第Nのフリップフロップの前記マスター型の単位回路と前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路との間の前記配線の長さより短いことを特徴とする集積回路装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記第Nのフリップフロップのマスター型の単位回路の出力を入力し、出力するバッファーを
さらに含み、
前記専用レジスターは、スレーブ型の単位回路であり、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、前記バッファーの出力を入力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第Nのフリップフロップのスレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高いことを特徴とする集積回路装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力する出力パッドを
さらに含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項11】
請求項3において、
前記専用レジスターは、マスター型の単位回路とスレーブ型の単位回路とを有するフリップフロップであり、
前記専用レジスターの前記マスター型の単位回路は、前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの第k番目(kは、N−1)のフリップフロップのスレーブ型の単位回路から出力される前記シリアルデータを入力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路は、クロックドインバーターとラッチ回路とを有し、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力は、前記第Nのフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路の前記クロックドインバーターの電流駆動能力より高いことを特徴とする集積回路装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、
前記専用レジスターから出力される前記シリアルデータを入力し、前記シリアルデータを出力する出力バッファーを
さらに含み、
前記専用レジスターの前記スレーブ型の単位回路と前記出力バッファーとの間の配線の長さは、前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの前記第k番目のフリップフロップの前記スレーブ型の単位回路と前記専用レジスターの前記マスター型の単位回路との間の配線の長さより短く、
前記出力バッファーから出力される前記シリアルデータを前記出力信号として出力することを特徴とする集積回路装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかにおいて、
第1〜第Nの出力トランジスターを
さらに含み、
前記第1〜第Nの出力トランジスターのうちの第m(mは、1以上N以下の範囲の整数)番目の出力トランジスターは、前記第1〜第Nのレジスターのうちの第m番目のレジスターから出力される前記シリアルデータに基づき制御され、
前記第1〜第Nの出力トランジスターを介して第1〜第Nの発熱素子を駆動するサーマルヘッドドライバーであることを特徴とする集積回路装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−71732(P2011−71732A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221009(P2009−221009)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】