説明

集積電子部品およびその形成方法

【課題】最新技術と関連付けられる1つまたは複数の問題に対処する、改善された集積電子部品、およびその形成方法を提供すること。
【解決手段】提供されるのは、逐次構築プロセスによって形成される導波路微細構造、および電子デバイスを含む集積電子部品、ならびにかかる集積電子部品を形成する方法である。微細構造は、特に、電磁エネルギーおよびその他の電子信号を伝達するデバイスに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、微細加工技術に関し、より詳細には、逐次構築プロセスによって形成される導波路微細構造および電子デバイスを含む集積電子部品に関する。また、本発明は、かかる集積電子部品を形成する方法にも関する。本発明は、特に、電磁エネルギーおよびその他の電子信号を伝達するためのデバイスに適用できる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、2007年3月20日に出願された米国仮特許出願第60/895979号への、合衆国法典第35巻第119(e)条による優先権の利益を主張するものである。
【0003】
逐次構築プロセスによる3次元微細構造の形成は、例えば、Sherrerらの米国特許第7012489号(’489特許)などに記載されている。’489特許には、逐次構築プロセスによって形成される同軸伝送線路微細構造が開示されている。この微細構造は、基体上に形成され、外部導体、中心導体、および、中心導体を支持する1つまたは複数の誘電体支持部材を含む。内部導体と外部導体の間の容積は、ガス状または真空であり、構造から、かかる容積を前に満たしていた犠牲材料を除去することによって形成される。’489特許には、中央および外部導体の露出表面上にはんだの薄層を形成することにより、伝送線路微細構造に受動および/または能動デバイスを結合し得ることが開示されている。しかしながら、導波路に電子デバイスを直接結合すると、形成される部品の設計および用途が制限される。これに関しては、電子デバイスをより柔軟なやり方で、例えば、デバイスを、導波路端面から離して位置させるように結合できることが望ましいはずである。
【0004】
微細構造の電子デバイスとの接続での難問は、微細構造の繊細な性質である。微細構造は、いくつかの比較的薄い層から形成され、その中心導体が、外部導体内のガス状の、または真空のコア容積中で懸架されている。前述の微細構造には、中心導体をその長手方向に沿って支持するために、周期的に誘電体部材が設けられているが、微細構造は、それでもなお、過剰な機械的応力によって生じる破損や故障の影響を受けやすい。かかる力は、支持が不十分な微細同軸中心導体への直接のチップとりつけなどのプロセスを介して及ぼされ得る。加えて、取り付けられるチップの電気的クロストーク、熱放散、および機械的信頼性を扱う改善された方法もあれば有利なはずである。
【特許文献1】米国特許第7012489号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、当分野では、最新技術と関連付けられる1つまたは複数の問題に対処する、改善された集積電子部品、およびその形成方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電子デバイス;ならびに、逐次構築プロセスによって形成される微細構造、ここで微細構造は複数の導波路を含む導波路セクションを含み、導波路はそれぞれ非固体コア容積を取り囲む外部導体内の非固体コア容積、および導波路を電子デバイスに結合する移行構造を有する微細構造を含む集積電子部品が提供される。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、集積電子部品を形成する方法が提供される。この方法は、電子デバイスを供給すること;基体上に、誘電体材料、導体材料および犠牲材料のうちの1以上を含む複数の層を配置すること;ならびに、これらの層から、それぞれ、コア容積を取り囲む外部導体内の非固体コア容積、および導波路を電子デバイスに結合する移行構造を有する複数の導波路を含む導波路セクションを含む微細構造を形成すること:を伴う。機械的結合の例示的態様には、電子デバイスと微細構造の間に応力緩和を設けて、チップと微細構造の間のCTE不適合に起因する取り付け不良を防止し、反復される熱サイクルの間に蓄積されるひずみの影響を緩和する方法が含まれる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、微細構造は、電子デバイスのためのヒートシンクとして働くように、電子デバイスに高度に熱的に結合されてもよい。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および添付の図面を考察すれば、当業者に明らかになるであろう。
【0010】
本発明を、添付の図面を参照して論じる。図面において、類似の参照番号は類似の特徴を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下で説明する例示的プロセスには、3次元微細構造を作成するための逐次構築が関与する。「微細構造」という語は、典型的には、ウェーハまたはグリッドレベル上に微細加工プロセスによって形成される構造を指す。本発明の逐次構築プロセスでは、微細構造を、様々な材料を所定のやり方で逐次的に積層し、処理することによって形成する。例えば、皮膜形成、リソグラフパターン化、堆積、エッチング、および平坦化技術など他の任意選択プロセスを用いて実施すると、様々な3次元微細構造を形成する柔軟な方法が提供される。
【0012】
逐次構築プロセスは、概して、(a)金属、犠牲材料(フォトレジストなど)および誘電体被覆プロセス;(b)表面平坦化;(c)フォトリソグラフィ;および(d)エッチングまたは平坦化またはその他の除去プロセス:の様々な組み合わせを含むプロセスによって実現される。金属堆積に際しては、めっき技術が特に有用であるが、物理蒸着(PVD)、スクリーン印刷、化学蒸着(CVD)といった他の金属堆積技術を使用してもよく、その選択は、同軸構造の寸法および配置される材料によって決まる。
【0013】
本明細書では、本発明の例示的実施形態を、導波路微細構造と電子部品の間の電気的接続を可能にする移行構造の製造の状況において説明する。説明される電子デバイスは、任意の数の入出力(I/O)ポートを備える、任意の、受動または能動の、電気的、電気機械的、またはその他の部品であることができ、かかる部品は、微細構造に混成集積されて、完全な機能デバイスを形成する。また、本明細書では、電子デバイスを、「チップ」ともいう。
【0014】
特定の興味のある導波路微細構造には、中空導波路および同軸伝送線路微細構造が含まれる。本発明のデバイスは、例えば、衛星通信、電気通信およびデータ通信産業において、マイクロ波増幅器において、レーダシステムにおいて、ならびにマイクロ波およびミリメートル波の受動および能動デバイスおよびサブシステムにおける用途を見出すものである。しかしながら、微細構造を作成するために記載される技術は、決して、例示の構造または用途だけに限定されるものではなく、マイクロデバイスの多くの分野(例えば、圧力センサ、ロールオーバセンサ、質量分析計、フィルタ、マイクロ流体装置、ヒートシンク、電気スイッチ、気密形パッケージ、加速度計、ジャイロスコープ、ウェーハおよびグリッドレベルテストプローブ、計測、試験および測定装置、外科手術用器具、血圧センサ、気流センサ、補聴器センサ、画像安定装置、高度センサ、自動焦点センサ、ならびにアクチュエータ)で使用され得ることは明らかである。
【0015】
本発明は、導波路、並びに導波路に電子デバイスを電気的および機械的に結合するための電気的移行部を微細加工する一般的方法として使用することができる。例示する導波路微細構造は、ミリメートル波およびマイクロ波を含む、例えば、数MHz未満から150GHz以上までの周波数を有する電磁信号および電力の伝播に有用である。説明する導波路および構造は、例えば、電子デバイスにバイアスを提供する際などに、同時の直流またはより低い周波数電圧を提供するのにおけるさらなる使用を見いだす。
【0016】
次に、本発明を、本発明による例示的集積電子部品2の横断面図を示す図1、および図1の線A−Aに沿って取った横断面図である図6を参照して説明する。集積電子部品は、導波路微細構造4、移行構造6、および取り付けられるべき電子デバイス8を含む。例示する導波路微細構造は、逐次構築プロセスによって形成される同軸伝送線路であり、基体10、中心導体12、中心導体の周りに、中心導体と同軸で配置された外部導体14、および中心導体を支持する1つまたは複数の誘電体支持部材15を含む。破線で示されているのは、1つまたは複数の任意選択の別の導波路、または、接地面、直流バイアス線、熱除去に使用される接続などといった他の導体である。外部導体14は、下部壁を形成する導電基層16、側壁を形成する導電層18、20、22、および外部導体の上部壁を形成する導電層24を含む。下部壁16と上部壁24を形成する導電層は、任意選択で、導電基体の部分または基体上の導電層として設けられてもよい。中心導体と外部導体の間の容積26は非固体、例えば、空気や六フッ化硫黄などのガス、真空または液体などである。任意選択で、この非固体容積は、例えば、加熱して除去することのできる揮発性ポロゲンを含む誘電体材料から形成される多孔質誘電体材料などの多孔質材料のものとすることもできる。
【0017】
微細構造4の移行構造6は、電子部品8を微細構造に、機械的および電気的に結合する構造を提供する。電子部品は、図1〜図3に示すように、移行微細構造に直接機械的に結合されても、図4Aに示すようなチップオンキャリア28などの別の基体に取り付けられてもよい。移行構造および/または移行構造の周囲の特徴は、さらに、デバイスから熱を除去するためのヒートシンク機能も提供し得る。移行微細構造は、さらに、導波路からの幾何学的形状において、高さおよび/または幅寸法を増減させ、微細構造を損傷せずに電子部品8と結合し、および/または取り付けられるチップ上のポートの寸法により適合させることを可能にする。例えば、微細同軸構造の典型的な横断面寸法は、おおよそ、中心導体については100ミクロンであり、外部導体の内径については400ミクロンとすることができる。表面実装電力抵抗器などのデバイスの接続は、抵抗器の接続ポートのサイズにより適合するように、同軸中心導体の寸法、およびこれに対応する外部導体の寸法の増大を必要とし得る。他方、マイクロ波トランジスタへの接続では、例えば、25ミクロンまたは50ミクロンの取り付け用パッドとすることのできるトランジスタポートにより適合するように、中心導体および外部導体の寸法の低減を必要とし得る。マイクロ波周波数を扱うときには、かかる移行部および移行部のテーパなどの形状変化は、AnsoftによるHFSS(商標)などのモデル化ソフトウェアを使って、所望の挿入損失、ポート絶縁(port isolation)、および反射減衰量(return loss)を有するように計算することができる。
【0018】
移行微細構造6は、以下に述べるような様々な形状を取り得る。当業者は、本明細書における例示的構造および説明が与えられれば、例示の設計以外の設計も用い得ることを理解するであろう。導波路微細構造4の他の領域と同様に、中心導体12は、支持構造を用いて移行微細構造6において懸架されている。しかしながら、移行微細構造6上の耐力または機械的ひずみは、導波路微細構造の他の領域におけるものよりも著しく大きなものとなり得る。したがって、移行微細構造に適する支持構造の設計が必要である。図1の移行微細構造6は、基体10上の1つまたは複数の支柱30を含む。支柱は、中心導体、および取り付けられるべき電子デバイス8の機械的支持および安定性を提供する。電子デバイスは、典型的には、電子デバイスとの結合を可能にするために1つまたは複数のはんだ層32で被覆されている第1の端部において移行微細構造に接合される。支柱30は、中心導体12の一端部の下に、これと接して支持するように配置されている。支柱30は、典型的には、導波路と同じ導体材料で形成されるが、基体10からの電気的絶縁が求められる場合には、全部または一部が誘電体材料で形成されていてもよい。支柱30に金属または合金を使用すれば、支柱をヒートシンクとして機能させることができる。これに関しては、微細構造および電子デバイスは、小型チップスケール領域において、例えば100ワットを超えるほどの超高電力を出力でき、微細構造および電子デバイスを構成する導体材料および誘電体材料に悪影響を及ぼし得る著しい高温を生じ得る。
【0019】
本明細書で説明する移行構造6は、電子デバイスの取り付け時、および通常の使用に際しての典型的な力に耐えることができる。加えて、かかる支柱は、基体に機械的に結合されているとき、微細構造のCTEよりも基体CTEによく似たCTEで、寸法が伸縮するように設計することもできる。これが有利なのは、窒化アルミニウム、高抵抗シリコン、炭化ケイ素などの基体を、その熱伝導率と電気的特性の両方のために選択できるからであり、また、基体のCTEとチップのCTEをより近く適合させるためでもある。これは、微細構造に取り付けられ得る半導体チップのものと典型的には適合しない銅またはニッケルに基づく材料でできた微細構造に一般に見られるCTE不適合を軽減するのに役立つ。図1には示されていないが、チップの下および/または上に、放射モードからの電気的遮蔽を提供し、およびポート間のクロストークを防止する接地面構造が、任意選択で、前述のデバイスのいずれかに存在することもある。しかしながら、同軸導波路微細構造に存在するような、かかる接地面遮蔽はこの目的でチップの下および周りに延在させることもできる。
【0020】
図2に、本発明の別の態様による例示的集積電子部品2の横断面図を示す。この構造では、導体34が、基体10の上面上に設けられており、導電性支柱36によって、導波路微細構造の中心導体12に電気的に接続されている。導体34には、前述のように1つまたは複数のはんだ層32が設けられていてもよい。この構造は、電子デバイスの接続時および使用時に、相当な機械的応力に耐えることができるという点で有利であり、基体は、それが取り付けられるダイの熱膨張係数に密接に適合するように選択され得る。また、かかる構造は、基体が、基体面上または基体面内に、微細構造および取り付けられたチップに電気的に接続され得る追加の微細電子機器回路を含むことができるという点でも有利である。
【0021】
図3に、本発明による別の例示的集積電子部品2の横断面図を示す。この構造では、電子デバイス8は、移行構造に接合され、さらに、1つまたは複数のはんだ層32を使って、導波路外部導体14にも機械的に結合される。構造へのこのような結合すれは、さらなる熱伝導性、および電子デバイス接続時および使用時に生じる機械的応力のさらなる支持をもたらす。また、かかる構造は、マイクロ波デバイスを取り付けるときにチップ上に存在し得るCPWまたはマイクロストリップ導波路へのインターフェースおよび電気的遮蔽を提供するのにも役立ちうる。図示の移行微細構造6は、導波路中心導体12と電子デバイス8の間に2種類の移行部を含む。第1のものは、中心導体12の上下にあり、中心導体12と接する導電セグメント38、40を含む支柱の形である。第2のものは、中心導体の上にあり、中心導体と接する導電セグメント42を含む。この構造の組み合わせは、説明のために例示するものであり、一種類の移行構造またはかかる構造の種類の任意の組み合わせも使用し得ることは明らかである。この手法の利点には、フレーム取り付け領域への熱伝導率の改善、電磁放射制御の改善、およびチップを取り付けることのできるより剛性の取り付けフレームを有することが挙げられる。かかるフレームは、チップに外接する連続リングとすることもでき、またはフレームを形成する一連の切断された構造とし、チップとフレーム材料の間の熱膨張不適合に起因する応力を低減するものであることもできる。
【0022】
移行微細構造6の選択は、例えば、熱伝導率および電気的性能要件に依存する。基体に接続された支柱は、改善された熱伝導率および機械的安定特性を示し、任意選択で、基体面への電気的接続として働くこともできる。基体に接続されてないものは、寄生容量およびインダクタンスが少なく、これは、広帯域マイクロ波デバイス、およびEHF周波数で動作するデバイスでは重要な考慮事項である。図示の移行構造は、非導電性、半導体または導電性の基体に電気的に接続することができ、または基体上の微細電子機器回路の取り付けパッドに接続することができる。加えて、かかる移行構造は誘電体層を有していてもよく、この誘電体層は、誘電体支持部材15と同様のものであってよく、または移行構造を基体からもしくは電子デバイスから電気的に絶縁する別の誘電体であってもよい。誘電体層は、チップと基体の間の電気路または寄生(parasitics)を妨げ、または最小限に抑えるために、移行構造内の任意の場所に配置され得る。
【0023】
図4Aに、例えば、フリップチップ実装などによって、キャリア28に取り付けられたチップ8を用いる別の例示的集積電子部品2の横断面図を示す。チップキャリア28は、移行微細構造6に結合され、図3を参照して説明したのと同様のやり方で外部導体14にも接続されていてよい。図示の移行微細構造は、図3の第2の種類の構造42を参照して前述したような構造を含むが、本例およびその他のデバイス例において、移行構造は、図示の構造だけに限定すべきでないことは明らかである。図4Bに、図4Aのチップキャリア28の下面図を示す。図示のように、チップキャリアは、電気的接続のための導体44、および、例えば、結合機能やヒートシンク機能などに使用され得る他の任意選択の導電領域を含む導電構造を含む。
【0024】
2つまたは3つの接続が断面に示されているが、外周、複数の層内、または、必要に応じてチップの内面上に、任意の数の接続を作成することができることは明らかである。チップキャリア28の利点には、キャリア上に追加の微細電子機器回路および平坦な導波路構造を設けられること、取り付けられるチップにより密接に適合するCTEを有するキャリアを選択できること、所望の熱特性および電気特性を有するキャリアを選択できること、および、例えば、チップの精密配置が必要とされ、またはチップのボンドパッドが、微細構造の移行部に直接取り付けるには小さすぎる場合などの組み立てプロセスを簡略化できることが含まれる。この手法の別の利点には、図示のデバイスには示されていないが、取り付けられるチップの下に熱支柱が設けられている場合には、チップの両面から熱を除去できることが含まれる。これは、以下で図5を参照して説明する熱的、機械的取り付け構造に類似のものである。
【0025】
図3および図4の集積電子部品では、電子部品8の、上部周囲フレームまたは接地面への取り付けを、リードフレーム様のフィンガに変更することができ、またはチップ取り付け領域から無くすことができる。この場合、図4Aにおけるように、導波路微細構造は強固に接続されず、チップは、微細構造の入出力(I/O)ポートへのばねを設計することにより機械的柔軟性を提供するようなやり方で、微細構造の入出力ポートに取り付けることができる。微細構造入出力(I/O)は、チップと微細構造の間で生じ得るCTE不適合を補償するように柔軟であり得る。
【0026】
図5に、電子デバイス8が能動面50を上向きにして取り付けられている例示的集積電子部品を示す。電子デバイス8のポートは、微細構造のポートにボンドワイヤ54によって取り付けられている。この場合の電子デバイスは、チップ取り付け領域内の微細構造の支柱または下面52に取り付けられる。電子デバイスの背面51は、はんだまたは熱伝導性接着剤を用いて、1つまたは複数の層に形成されたデバイス52の下の取り付け領域に取り付けられるか、または基体面に直接取り付けられてもよい。この場合、金属支柱は、電子デバイス8から微細構造および/または基体への良好な熱伝導を有する固体取り付けプラットフォームを提供する。微細構造の支柱ではなく基体に直接取り付けることにより、基体の選択によって、電子デバイスと微細構造の間のCTEの不適合に対処することができる。支柱52は、基体10上の1つまたは複数の層上に設けられることができ、微細構造の残りの部分に取り付けられていてもよい。これは、特に、微細構造が、構造的支持を提供するために基体から剥離されることになる場合には有利となり得る。微細構造が基体10に取り付けられたままとされる場合、支柱は、基体上に直接配置されてもよく、微細構造の残りの部分に接続される必要はない。チップ8が取り付けられる高さは、熱、電気、および取り付けの設計制約条件によって決定され得る。例えば、非常に小型の、または薄型のダイについては、チップを、ダイの上部が、周囲の微細構造上面の上表面より少なくともわずか上になるのに必要とされるよりも深くなく配置することが望まれる場合がある。これは、ダイ配置に典型的に使用される真空コレットと、ダイ取り付け領域の周りの領域の微細構造の間に干渉が生じないようにする。いくつかのマイクロ波またはmm−波デバイスの場合には、寄生容量およびインダクタンスを最小限に抑えるために、微細構造の入出力ポートとダイとの間の長さおよび高さの差を最小限にすることが重要なものもある。この場合、入出力ポートとチップ入出力ポートの高さを、より直接的に隣接させ、同じ平面上でより接近させることが望まれる場合がある。この場合、チップが、微細構造入出力ポートの面に対して凹んでいてもよく、または微細構造入出力ポートが、取り付けられるダイの高さに適合するような垂直移行部をなしていてもよい。
【0027】
電子デバイスの取り付けは、支柱52上、または取り付けられるべき電子デバイスの背面に堆積させた薄膜はんだを使って取り付けることができる。代替として、はんだプリフォームまたは熱伝導性接着剤、例えば銀を含むものなどが使用でき、電子デバイスを取り付けることができる。熱伝導率および導電性が問題とならない場合には、エポキシダイ接着など他のチップ取り付け法が使用されてもよい。例えば、機能、設計、コストおよび配置を行うのに使用できる器械などに基づいて選択され得る、ダイを取り付ける多くの公知の方法がある。
【0028】
本実施形態における電気的接続は、中心導体12および接地面と、電子デバイス8の上面のチップの電気的接続の間のウェッジまたはワイヤまたはビームリード接合54によって対処される。外部導体14の上部分は、これらの電気的接続を可能にするように凹んでいる。構造が銅で形成されている場合には、典型的には、ワイヤボンディング領域は、ワイヤの接合の容易さを向上させるための金またはニッケルの保護被覆を受けうる。
【0029】
次に、図1の同軸伝送線路微細構造を形成する方法の例を、図7A〜Kを参照して説明する。図7Aに示すように、基体10上に伝送線路を形成する。基体は、例えば、セラミック、窒化アルミニウムなどの誘電体、シリコン、シリコンゲルマニウム、ガリウム砒素などの半導体、銅、ステンレス鋼などの金属、重合体、またはこれらの組み合わせなどから作成し得る。基体10は、例えば、プリント配線版などの電子基体、またはシリコン、シリコンゲルマニウム、もしくはガリウム砒素ウェーハなどの半導体基体などの形を取り得る。かかる基体ウェーハは、能動デバイスおよび/またはその他の電子回路素子を含み得る。基体は、伝送線路を形成するのに使用される材料と同様の膨張率を有するように選択してもよく、伝送線路の形成時にその保全性を維持するように選択するべきである。伝送線路をその上に形成すべき基体の表面は、典型的には、実質的に平坦である。基体面は、高度の平坦さを実現するために、例えば、研削し、ラッピングし、かつ/または研磨してもよい。基体が適切な導体でない場合、基体上に導電性犠牲層を堆積させてもよい。これは、例えば、クロムおよび金のような蒸着シード層でありうる。これに続く電気めっきのために、導電基層を堆積させる任意の方法を使用することができる。
【0030】
次に、犠牲感光性材料の第1層60a、例えばフォトレジストなどを、基体10上に堆積させ、これに続いて伝送線路外部導体の下部壁と、移行構造の支柱下部分とをそれぞれ堆積させるためのパターン62、63を形成するように露光させ、現像させる。パターン62、63は、犠牲材料内に基体10の上面を露出させるチャネルを含む。
【0031】
犠牲感光性材料は、例えば、Rohm and Haas Electronic Materials LLCから市販されている、Shipley BPR(商標)100またはPHOTOPOSIT(商標)SNのようなネガ型フォトレジスト、およびLAMINAR(商標)ドライフィルムなどとすることができる。特に適する感光性材料が、米国特許第6054252号に記載されている。犠牲感光性材料に適するバインダーには、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、アクリレート単量体、メタクリレート単量体およびビニル芳香族単量体から選択される1種以上の単量体とのフリーラジカル重合によって調製されるバインダーポリマー(アクリレートポリマー);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、SB495B(Sartomer)、Tone M−100(Dow Chemical)、またはTone M−210(Dow Chemical)などの(メタ)アクリル基を有するアルコールでエステル化されたアクリレートポリマー;アルコールとの反応によって半エステルに転化されている、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマー;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、SB495B(Sartomer)、Tone M−100(Dow Chemical)、Tone M−210(Dow Chemical)のような(メタ)アクリル基を含有するアルコールとの反応によって半エステルに転化されている、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマー;並びに、これらの組み合わせなどが挙げられる。特に適するバインダポリマーには、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー、並びにアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、SB495B(Sartomer)、Tone M−100(Dow Chemical)、Tone M−210(Dow Chemical)などのメタアクリル基を含有するアルコールでエステル化された、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー、並びにアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸のコポリマー;Sarbox SB405(Sartomer)のような、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、SB495B(Sartomer)、Tone M−100(Dow Chemical)、Tone M−210(Dow Chemical)といったアルコールとの反応によって半エステルに転化されている、SMA1000FまたはSMA3000F(Sartomer)などの、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマー;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
犠牲感光性組成物に適する光開始システムには、Irgacure184、Duracur1173、Irgacure651、Irgacure907、Duracur ITX(すべてCiba Specialty Chemicals製)およびこれらの組み合わせが含まれる。感光性組成物は、例えば、メチレンブルー、ロイコクリスタルバイオレット、またはOil Blue Nなどの染料;ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、またはベンズオキシゾールなどの接着性を改善する添加剤;Fluorad(登録商標)FC−4430(3M)、Silwet L−7604(GE)、Zonyl FSG(Dupont)などの界面活性剤といった追加の成分を含んでいてもよい。
【0033】
上記およびその他のステップにおける犠牲感光性材料層の厚さは、製造される構造の寸法に左右されるが、典型的には、1層当たり1から250ミクロンであり、図示の実施形態の場合には、より典型的には、1ストレータムまたは層当たり20から100ミクロンである。
【0034】
図7Bに示すように、導電基層16を、基体10上に形成させ、最終構造における外部導体の下部壁および移行構造支柱30の下部分を形成する。基層16および支柱30は、典型的には、高導電率を有する材料、例えば、銅、銀、ニッケル、鉄、アルミニウム、クロム、金、チタン、これらの合金などの金属や合金(まとめて「金属」と呼ぶ)、ドープ半導体材料、またはこれらの組み合わせ、例えばこれらの材料の様々な組み合わせの複数の層およびおよび/または複数の被覆などから形成される。基層は、従来のプロセス、例えば、電解または無電解などのめっき法、浸せきめっき法、スパッタリングまたは蒸発などの物理蒸着法(PVD)、または化学蒸着法(CVD)などによって堆積させ得る。めっきされた銅は、例えば、基層材料として特に好適である場合があり、かかる技法は当分野では周知である。めっきは、例えば、銅塩と還元剤を使った無電解プロセスであることができる。適切な材料は市販されており、例えば、Rohm and Haas Electronic Materials LLC(米国マサチューセッツ州マールボロ)から入手できる、CIRCUPOSIT(商標)無電解銅などが含まれる。代替として、この材料は、フォトレジストの上または下に導電性シード層を被覆することによってめっきすることもできる。シード層は、犠牲材料60aを被覆する前に基体上にPVDによって堆積させてもよい。活性化された触媒の使用後に無電解および/または電解堆積を使用してもよい。基層(およびこれに続く層)は、概説する方法により、所望のデバイス構造を実現する任意の幾何学的形状にパターン化され得る。
【0035】
基層16と、続いて形成される外部導体のその他の壁の厚さは、損失を十分に低減するために、微細構造に機械的安定性を提供し、伝送線路の十分な導電率を提供するように選択する。マイクロ波周波数以上では、表皮の厚さが、典型的には、1μm未満になるため、構造の影響がより顕著になる。よって、厚さは、例えば、特定の基層材料、伝播されるべき特定周波数、目的の用途などに依存する。最終構造が基体から取り外される場合には、構造的保全性のために、例えば、約20から150μm、または20から80μmなどの比較的厚い基層を用いた方が有利な場合がある。最終構造が基体10と共にそのまま残る場合には、使用される周波数の表皮厚さ要件によって決定されうる比較的薄い基層を用いることが望ましい場合がある。加えて、構造には適切な機械的特性を有する材料が選択されてもよく、その場合には、その電気的測定のために、材料を高導電性材料でオーバーコートすることができる。例えば、ニッケルのベース構造は、電解めっき、または好ましくは無電解めっきプロセスを使って金または銀でオーバーコートすることができる。代替として、ベース構造は、他の所望の表面特性のための材料でオーバーコートしてもよい。銅は、酸化防止を助けるために、無電解ニッケルおよび金、もしくは無電解銀でオーバーコートしてもよい。目標とする機械的、化学的、電気的、防食特性を得るために、当分野で知られているオーバーコートのための別の方法および材料を用いてもよい。
【0036】
側壁を形成するのに適する材料および技法は、基層に関して前述したものと同じである。側壁は、典型的には、基層16を形成するのに使用するのと同じ材料で形成されるが、異なる材料を用いてもよい。めっきプロセスの場合、これに続くステップで、金属を、すでに形成し露出させた金属領域上に直接適用させるだけであるときには、ここでは、シード層またはメッキベースの適用を省いてもよい。しかしながら、図に示す例示的構造が、典型的には、特定のデバイスの小領域のみを作成するものであることは明らかであり、これらのおよび他の構造の金属化は、プロセス順序のどの層上で開始してもよく、その場合には典型的にはシード層が使用される。
【0037】
この段階および/またはこれに続く段階で、表面平坦化を行って、犠牲材料の上面または上に堆積された不要な金属を除去し、これに続く処理のために平面を設けることができる。典型的には、例えば、化学機械研磨(CMP)、ラッピング、またはこれらの方法の組み合わせなど、従来からの平坦化技術を使用する。他の公知の平坦化または機械的形成の技法、例えば、機械加工、ダイヤモンド切削加工、プラズマエッチング、レーザアブレーションなどの機械仕上げを、これに加えてまたは代替として使用してもよい。表面平坦化により、所与の層の全厚さを、それらなしで、コーティングだけで達成され得る厚さよりも厳密に制御することができる。例えば、CMPプロセスを使って、金属と犠牲材料を同じレベルまで平坦化することができる。これに続いて、例えば、ラッピングプロセスを行うことができ、ラッピングプロセスでは、金属、犠牲材料、および任意の誘電体を同じ速度でゆっくり除去し、最終的な層の厚さをより適切に制御することができる。
【0038】
図7Cでは、犠牲感光性材料の第2層60bを、基層16と第1の犠牲層60aの上に堆積させ、これに続く伝送線路外部導体の下部側壁部分を堆積させるためのパターン64、および移行構造支柱30の上部分のためのパターン65を形成するように露光させ、現像させる。パターン64は、外部導体側壁が形成されるべき基層16の上面を露出させるチャネルを含む。
【0039】
図7Dを参照すると、次に、伝送線路外部導体の下部側壁部分18および移行構造支柱30の上部分を形成する。側壁および支柱上部分を形成するのに適する材料および技法は、基層16に関して前述したものと同じであるが、異なる材料を用いてもよい。めっきプロセスの場合、これに続くステップで、金属を、すでに形成され露出させた金属領域上に直接適用するだけであるときには、ここでは、シード層またはメッキベースの適用を省いてもよい。この段階で、前述の表面平坦化を行ってもよい。
【0040】
次に、第2の犠牲層60bと下部側壁部分の上に、誘電体材料の層を堆積させる。これに続く処理では、形成すべき伝送線路の中心導体を支持するために、誘電体層から支持構造15をパターン化する。これらの支持構造15は、最終的な伝送線路構造のコア領域にあることになるため、誘電体支持層は、伝送線路を介して伝送されるべき信号に過剰な損失を生じさせない材料から形成すべきである。また、この材料は、中心導体を、移行構造の末端領域を含めて、その長手方向に沿って支持するのに必要な機械的強度を提供できるべきでもある。この材料は、さらに、最終的な伝送線路構造から犠牲材料を除去するのに使用される溶媒に比較的不溶性である必要もある。この材料には、典型的には、Cyclotene(Dow Chemical Co.)、SU−8レジスト(MicroChem Corp.)という商品名で販売されている感光性ベンゾシクロブテン(Photo−BCB)樹脂、無機材料、例えばシリカおよび酸化ケイ素、SOLゲル、様々なガラス、窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)などの酸化アルミニウム、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO);有機材料、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、およびポリイミド;有機シルセスキオキサン材料などの有機無機混成材料;実行すべき犠牲材料除去プロセスによって攻撃されないネガ型フォトレジストまたはフォトエポキシなどのフォトデファイナブル(photodefinable)誘電体:の中から選択される誘電体材料が挙げられる。加えて、重合体材料に供給されるシリカ粉末などの無機材料の複合物およびナノコンポジットを含むこれらの材料の組み合わせを使用して、例えば、機械的または化学的特性を改善することもできる。これらの中では、SU−8 2015レジストが典型的なものである。例えば、スピンコーティング、ローラコーティング、スキージコーティング、スプレーコーティング、化学蒸着法(CVD)、またはラミネーションなどによって容易に堆積させることのできる材料を使用すれば有利である。支持部15のための誘電体材料層は、亀裂または破損なしで中心導体に必要な支持を提供する厚さまで堆積させる。加えて、この厚さは、平坦性の見地から、これに続く犠牲材料層の適用に重大な影響を及ぼすべきではない。誘電体支持層の厚さは、微細構造のその他の要素の寸法および材料に左右されるが、この厚さは、典型的には、1から100ミクロンであり、例えば、20ミクロン程度である。
【0041】
次に、誘電体材料層を、光画像形成性(photoimageable)材料の場合には、標準的なフォトリソグラフィおよび現像の技法を使ってパターン化して、図7Eに示すように、伝送線路の中心導体を支持する1つまたは複数の誘電体支持部材15を設ける。図示のデバイスでは、誘電体支持部材15は、外部導体の第1の側面から外部導体の反対の側面まで延在する。別の例示的態様では、誘電体支持部材は、外部導体から延びて、中心導体のところで終わっていてもよい。この場合、各支持部材15の一端部が、外部導体の一方または他方の下部側壁部分の上に形成され、反対側の端部が、下部側壁部分18の間の犠牲層60b上の位置まで延在する。支持部材15は、相互に間隔を置いて、典型的には決まった距離を隔てて配置される。誘電体支持部材15の数、形状、および配列パターンは、中心導体への支持を提供すると同時に、過剰な信号損失および分散を防止するのに十分なものとすべきである。
【0042】
誘電体支持部材15は、微細構造の要素を、相互に機械的に固定された状態で維持させ、それらが外部導体から引き離される可能性を低減する幾何学的形状でパターン化し得る。例えば、誘電体支持部材15は、パターン化プロセス時に、各端部を「T」字形(または「I」字形)の形状にパターン化し得る。これに続く処理において、T字形構造の上部分は、外部導体の壁に埋め込まれ、そこに支持部材を固定し、外部導体からより離れにくくするように機能する。アンカ型の固定構造を、誘電体支持部材15の一端または両端で使用してもよい。さらに、誘電体支持部材は、任意選択で、アンカ部分を一端部に交互に含んでいてもよい。深さ方向の横断面形状寸法を増大させるくぼみ形輪郭(reentrant profiles)およびその他の幾何学的形状が典型的である。加えて、誘電体パターンの中央領域における、バイアなどの開いた構造を使って、これに続いて形成される金属領域との機械的相互連結を可能にしてもよい。
【0043】
第3の犠牲感光性層60cを基体上に被覆させ、伝送線路外部導体の中央側壁部分および中心導体を形成するためのパターン68、70を形成するように露光させ、現像させる。外部導体の中央側壁部分のためのパターン68は、下部側壁部分18と同じひろがりを有する。下部側壁部分、および下部側壁部分上に重なる誘電体支持部材の端部を、パターン68によって露出させる。中心導体のためのパターン70は、微細構造の長手方向に沿ったチャネルである。パターン70は、中心導体誘電体支持部材15の支持部分を露出させる。前述したような従来のフォトリソグラフィの技法および材料をこの目的のために使用することができる。
【0044】
図7Fに示すように、中心導体12および外部導体の中央側壁部分20は、第3の犠牲材料層60cに形成されたチャネルに適切な金属材料を堆積させることによって形成される。中央側壁部分20および中心導体12を形成するのに適する材料および技法は、基層16および下部側壁部分18に関して前述したのと同じであるが、異なる材料および/または技法を用いてもよい。任意選択で、この段階において表面平坦化を行って、これに続く処理のために平面を設けると共に、犠牲材料の上面に堆積した不要な金属を除去してもよいが、これは、前述したように、任意選択で、どの段階においても実施される。
【0045】
図7Gを参照すると、移行構造6の電子デバイス8への結合を可能にするために、移行構造の結合面上に1つまたは複数のはんだ付け可能層32が形成され得る。はんだ付け可能層は、その他の導電層について前述したのと同様に、犠牲材料のさらなるパターン化層を使用し、後に金属化を行って形成してもよく、またははんだの蒸着およびリフトオフレジストもしくはシャドウマスクの使用によるもの、もしくは「はんだジェット」印刷の使用などの選択的蒸着の使用によるものといった他の金属化技法を使ってもよい。はんだ付け可能層32は、例えば、Au−Snはんだ、またはその他のはんだ材料を含んでいてもよい。はんだ付け可能層の厚さは、関与する個々の材料、および微細構造の寸法およびコネクタの寸法に左右される。5から25ミクロンの厚さが典型的である。電子デバイスを移行構造に固定する別の技法、例えば、導電性エポキシ、ナノ粒子ベースの接着剤、および異方性導電性接着剤などの使用も想定される。
【0046】
図7Hを参照すると、第4の犠牲材料層60dを基体上に堆積させ、これに続く外部導体の上部側壁部分22のその後の堆積のためのパターンを形成するように露光させ、現像させる。上部側壁部分のためのパターンは、中央側壁部分と同じひろがりを有し、これを露出させるチャネルを含む。次に、外部導体の上部側壁部分22を、第4の犠牲層60dに形成されたチャネルに適切な材料を堆積させることによって形成する。これらの構造を形成するのに適する材料および技法は、基層16ならびにその他の側壁および中心導体部分に関して前述したものと同じである。上部側壁部分22は、典型的には、基層ならびにその他の側壁および中心導体部分を形成するのに使用するのと同じ材料および技法を用いて形成するが、異なる材料および/または技法を用いてもよい。任意選択で、この段階において表面平坦化を行って、これに続く処理のために平面を設けると共に、犠牲材料の上面に堆積した不要な金属を除去することもできる。
【0047】
図7Iを参照すると、第5の感光性犠牲層60eを基体10上に堆積させ、これに続く伝送線路外部導体の上部壁24の堆積のためのパターン70を形成するように露光させ、現像させる。上部壁のためのパターンは、上部側壁部分22と、それらの間の第4の犠牲材料層60dを露出させる。犠牲層60eをパターン化するに際しては、上部側壁部分の間の領域内の犠牲材料の1つまたは複数の領域を残すことが望まれる場合がある。これらの領域では、これに続く外部導体上部壁の形成の間に、金属の堆積が妨げられる。後述するように、この結果、外部導体上部壁に、微細構造からの犠牲材料の除去を容易にする開口部が生じる。かかる開口部は、典型的には円形であるが、正方形、矩形、または別の形状とすることもできる。さらに、かかる開口部は、犠牲材料60a〜eの除去に役立つ溶液の流れを向上させるために、任意の層に含まれていてもよい。開口部の形状、サイズおよび場所は、所望の機械的保全性の維持、目的の動作周波数についての十分に低い放射損失および散乱損失の維持を含む設計原理に基づき、低損失伝播のために設計される場合の、典型的には同軸構造の隅である、電場が最低である場所に基づき、並びに犠牲材料を除去するのに十分な流体流れに基づいて選択される。
【0048】
図7Jを参照すると、次に、外部導体の上部壁24を、伝送線路外部導体の上部側壁部分22の間およびその上の露出領域に適切な材料を堆積させることによって形成する。犠牲材料の支柱が占めている容積においては、金属化が妨げられる。これらの導電構造を形成するのに適する材料および技法は、基層ならびにその他の側壁および中心導体層に関して前述したものと同じであるが、異なる材料および/または技法を用いてもよい。任意選択で、この段階において表面平坦化を行うこともできる。
【0049】
伝送線路の基本構造が完了した状態で、第1の例示的層と相互接続され得る追加の伝送線路または導波路を作成するために、追加の層を加えてもよい。はんだなどの別の層を追加してもよい。構成が完了すると、次に、構造内に残る犠牲材料を除去することができる。犠牲材料は、使用する材料の種類に基づき、公知の剥離剤によって除去し得る。適切な剥離液には、例えば、Surfacestrip(商標)406−1、Surfacestrip(商標)446−1、またはSurfacestrip(商標)448(Rohm and Haas Electronic Materials)といった市販の剥離溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化テトラメチルアンモニウムなどの強塩基の水溶液;エタノールまたはモノエタノールアミンを含む強塩基の水溶液;エタノールまたはモノエタノールアミン、および、N−メチルピロリドンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの強溶剤を含む強塩基の水溶液;ならびに水酸化テトラメチルアンモニウム、N−メチルピロリドンおよびモノエタノールアミンまたはエタノールの水溶液などが挙げられる。
【0050】
材料を微細構造から除去するために、剥離剤を、犠牲材料と接触させる。犠牲材料は、伝送線路構造の端面において曝露されうる。構造全体における剥離剤と犠牲材料の間の接触を容易にするために、前述のように伝送線路内に追加の開口部を設けてもよい。犠牲材料と剥離剤との間の接触を可能にする別の構造も想定される。例えば、パターン化プロセスの間に伝送線路側壁に開口部を形成することができる。これらの開口部の寸法は、導かれる波との干渉、導かれる波の散乱または漏れを最小限に抑えるように選択し得る。この寸法は、例えば、使用される最高周波数の波長の1/8未満、1/10未満または1/20未満になるように選択することができる。かかる開口部の電気的影響はAnsoft,Inc.製のHFSSなどのソフトウェアを使って計算し、最適化することができ、機械的特性および流体流れ特性は、Ansys(商標)Multi−Physicsパッケージなどのソフトウェアを使って計算することができる。
【0051】
犠牲レジスト除去後の最終的な伝送デバイスを図7Kに示す。導波路の外部壁およびその内側の、以前犠牲材料によって占められていた容積は、外部導体における開口部を形成し、および伝送線路コア26を形成している。コア容積は、典型的には、空気などの気体で占められる。空気より優れた誘電体特性を有する気体、例えば、六フッ化硫黄などをコアに使用できることも想定される。任意選択で、例えば、構造が気密形パッケージの部分を形成する場合には、コアに真空を作り出すこともできる。結果として、伝送線路の表面に吸着しうる水蒸気からの吸収の低減を実現することができる。さらに、例えば冷却のために、液体、または蒸発し、凝縮する蒸気が、中心導体と外部導体の間のコア容積26全体を満たすことができ、およびこれを通って送られうることも想定される。
【0052】
次に、電子デバイス8を移行構造6に取り付けることができる。かかる取り付けは、個々の合わせ面を整合させ、加熱によるはんだ接合を形成することによって行い得る。前述のようなはんだ皮膜、またははんだボールを、コネクタと微細構造の合わせ面のどちらかまたは両方に施すことができる。例えば、Au−Sn(80:20)はんだなどの薄膜はんだを使って、部品を接合してもよい。
【0053】
電子デバイス8の移行構造6への結合は、任意選択で、例えば、銀充填エポキシまたはナノサイズの金属粒子ペーストなどの導電性接着剤を使って行ってもよい。また、導電性接着剤は、異方性導電性皮膜またはペーストとしても使用可能であり、導電性粒子皮膜またはペーストは、一方向だけに導通する。この方向は、例えば、圧力または磁界の印加などによって決まる。
【0054】
いくつかの用途では、最終的な伝送線路微細構造を、それが取り付けられる基体から分離させることが有利である場合がある。これは、コネクタの取り付け前または後に行うことができる。伝送線路微細構造の剥離は、別の基体、例えば、モノリシックマイクロ波集積回路またはその他のデバイスといったガリウム砒素ダイなどの別の基体への結合を可能にするはずである。また、かかる剥離は、コネクタおよびアンテナといった構造を、基体材料を機械加工する必要もなく、微細構造の相対する面に配置することも可能にする。基体からの構造の剥離は、様々な技法によって、例えば、構造の完成時に、選択される構造材料を侵食せず、または選択される構造材料に対して十分に選択性のある適切な溶剤またはエッチング液で除去することのできる、基体と基層の間の犠牲層を使用することによって実現してもよい。犠牲層に適する材料には、例えば、フォトレジスト、クロムまたはチタンといった選択的にエッチングできる金属、高温ワックス、および様々な塩などが含まれる。
【0055】
例示の伝送線路は、誘電体支持部材15の上に形成された中心導体を含むが、それらが、プラス(+)形、T字形、箱形といった幾何学的形状を使った分割中心導体におけるような、中心導体内に配置できることも想定されている。支持部材15は、下にある誘電体支持部材に加えて、またはその代替として、中心導体の上に形成されてもよい。さらに、支持部材15は、ペデスタルの形を取ることができ、中心導体と周囲面の間に置かれたときに、周囲面のいずれかからの支持を提供してもよい。
【0056】
本発明の伝送線路は、典型的には、断面が正方形である。しかしながら、他の形も想定される。例えば、伝送線路の幅と高さを異ならせることを除き、他の矩形の伝送線路を、正方形の伝送線路を形成するのと同じやり方で得ることもできる。丸みを帯びた伝送線路、例えば円形や部分的に丸みを帯びた伝送線路などを、グレイスケールパターン化を使用して形成することもできる。かかる丸みを帯びた伝送線路は、例えば、垂直移行のための従来のリソグラフィによって作成することもでき、外部マイクロ同軸導体とより容易に接続する、コネクタインターフェースを作成するなどのために使用されてもよい。
【0057】
前述のような複数の伝送線路を、積層型配置で形成することもできる。積層型配置は、各積層ごとの逐次構築プロセスの連続によって、または個々の基体上で伝送線路を予備成形し、剥離層を使ってそれぞれの基体から伝送線路構造を分離し、およびその構造を積層することによって実現することができる。かかる積層構造は、はんだまたは導電性接着剤の薄層によって接合することができる。理論上は、本明細書で説明するプロセスステップを使って積層することのできる伝送線路の数に制限はない。しかしながら実際には、層の数は、厚さおよび応力、ならびに、積層がモノリシックに構築される場合には、各追加層に伴うレジスト除去を処理することのできる能力によって制限される。例では同軸構造を示しているが、別の構造、例えば、中空コア導波路、アンテナ素子、空洞なども、前述の方法を使って構築することができる。
【0058】
集積電子部品は、典型的には、ウェーハ−またはグリッド−レベル上に、複数のダイとして製造される。本発明の微細構造および方法は、例えば、データおよび電気通信用のマイクロ波およびミリ波のフィルタおよび結合器;航空宇宙および軍事用のレーダおよび衝突回避システムおよび通信システム;自動車用の圧力センサおよびロールオーバセンサ;化学用の質量分析計およびフィルタ;生物工学および生体医学用のフィルタ、マイクロ流体デバイス、外科手術用器具ならびに血圧、気流および補聴器センサ;家電用の画像安定装置、高度センサ、および自動焦点センサ:などにおける使用を見いだす。
【0059】
以上の実施形態は、チップコンデンサ、抵抗器などの電機デバイス、ならびにトランジスタ、ダイオード、集積回路などの能動デバイスを接続する様々な方法を示しているが、使用できる他の方法および使用できるこれらの技法の組み合わせがあることは明らかである。微細加工構造、チップまたはその両方に、はんだまたは導電性接着剤を適用することもできる。代替として、チップ取り付けに金−金拡散接合法などの固体状態接合法を用いることもできる。はんだの流れを制御するためにニッケルパッドまたは誘電体などのウィックストップ(wick−stop)層を用いることもできる。熱生成チップが、これらを自由面に取り付けることによって実装されるときには、追加のヒートシンクを配置することができ、例えば、電力増幅チップをフリップチップで取り付けるときには、追加のヒートシンクを裏面に接続することができる。最終的には、かかるチップを実装し、次いで、その上に微細構造の追加の層を実装することによって、かかるチップを、これらの微細構造の多くの層に埋め込むことができることが明らかである。これらの層は、電気的、熱的、機械的に相互接続され得る。このように組み立て層をさらなる層に積層する手法は、多層の相互接続された機能を有する、電子機器回路の3D回路および「立方体」へのアプローチを可能にする。かかる構造を銅から形成すると、熱伝導率が高くなり、かかる3D集積化アプローチに典型的な熱管理の難題を解決する。
【0060】
以上、本発明を、その具体的実施形態を参照して詳細に説明したが、特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な変更および改変を行うことができ、均等物を用いることができることが当業者には明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0061】
2 集積電子部品
4 導波路微細構造
6 移行構造
8 取り付けられるべき電子デバイス
10 基体
12 中心導体
14 外部導体
15 誘電体支持部材
16 導電基層
18、20、22 導電層
24 外部導体の上部壁を形成する導電層
26 中心導体と外部導体の間の容積
28 キャリア
30 支柱
32 はんだ層
34 導体
36 導電性支柱
38、40 導電セグメント
42 中心導体と接する導電セグメント
44 導体
50 能動面
52 下面
54 ボンドワイヤ
60a 犠牲感光性材料の第1層
60b 犠牲感光性材料の第2層
60c 第3の犠牲感光性層
60d 第4の犠牲材料層
60e 第5の感光性犠牲層
62、63、64、65、68、70 パターン
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による、電子部品および電気的中心導体が基体から支持されている例示的集積電子部品を示す横断面図である。
【図2】本発明の別の態様による、電子部品が基体に近接して実装されている例示的集積電子部品を示す横断面図である。
【図3】本発明の別の態様による、部品が微細構造の表面に実装されている例示的集積電子部品を示す横断面図である。
【図4A】本発明の別の態様による、電子部品が、微細構造に「フリップチップ」実装されているチップキャリア基体に実装されている例示的集積電子部品を示す横断面図である。
【図4B】図4Aでフリップチップ実装される例示的チップオンキャリアを示す下面図である。
【図5】本発明の別の態様による、電子デバイスが能動面を上向きにして実装されており、電子デバイスのポートが、ボンドワイヤによって微細構造のポートに取り付けられている例示的集積電子部品を示す横断面図である。
【図6】図1〜図3、図4Aおよび図5の線A−Aに沿って取った導波路微細構造を示す断面図である。
【図7A】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7B】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7C】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7D】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7E】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7F】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7G】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7H】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7I】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7J】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。
【図7K】本発明による、様々な形成段階における図1の例示的集積電子部品を示す側断面図および横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス;および逐次構築プロセスによって形成される微細構造;を含む集積電子部品であって、
前記微細構造は、複数の導波路を含む導波路セクション、前記導波路はそれぞれ非固体コア容積を取り囲む外部導体内の非固体コア容積を有する;および前記導波路を前記電子デバイスに結合する移行構造を含む;
集積電子部品。
【請求項2】
移行構造がヒートシンク機能を提供する請求項1記載の集積電子部品。
【請求項3】
導波路がそれぞれ、中心導体、および前記中心導体の周りに配置された外部導体を含み、非固体容積が前記中心導体と前記外部導体の間に配置されている、請求項1記載の集積電子部品。
【請求項4】
電子デバイスが能動デバイスを含む請求項1記載の集積電子部品。
【請求項5】
電子デバイスが受動デバイスを含む請求項1記載の集積電子部品。
【請求項6】
電子デバイスが、前記移行構造に取り付けられたフリップチップである請求項1記載の集積電子部品。
【請求項7】
移行構造が、前記中心導体の端部分の下に配置されたペデスタルを含む請求項1記載の集積電子部品。
【請求項8】
移行構造が電子デバイスの背面に接続された複数の金属支柱を含み、電子デバイスの前面が導波路に電気的に接続されている請求項1記載の集積電子部品。
【請求項9】
集積電子部品を形成する方法であって、
電子デバイスを提供し;
基体上に、誘電体材料、導体材料および犠牲材料のうちの1つまたは複数を含む複数の層を配置し;ならびに
前記層から、微細構造であって、複数の導波路を含む導波路セクション、前記導波路がそれぞれ、非固体コア容積を取り囲む外部導体内の前記非固体コア容積;および前記導波路を前記電子デバイスに結合する移行構造:を含む前記微細構造を形成すること;
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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