説明

集草容器用の貯留量検出装置

【課題】刈り草によって下降揺動操作される揺動センサと、揺動センサによって操作される検出スイッチとを備えた貯留量検出装置において、刈り草が軽い場合も重い場合も精度よく検出されるようにした集草容器用貯留検出装置の提供。
【解決手段】 揺動センサ52の感圧部52cに、第1感圧面54及び第2感圧面55を備えてある。揺動センサ52が上昇非検出姿勢にある状態において、第1感圧面54が上向き面なり、第2感圧面55が横向き面になる。感度調節体62が調節ガイド体65の集草容器上下方向のガイド溝に沿わせて操作され、ガイド溝67の上端側に上昇され、位置決め凹部68aに保持されると、敏感位置Bに保持され、スプリング61を緩め状態にする。感度調節体62が下端側に下降され、位置決め凹部68bに保持されると、感度調節体62は、鈍感位置Cに保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集草容器の内部に上下揺動自在に位置するとともに集草容器内の刈り草による加圧作用を受ける揺動センサを備え、前記揺動センサの下降揺動の検出に基づいて集草容器の設定量の刈り草貯留を検出する検出手段を備えた集草容器用の貯留量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の貯留量検出装置は、集草容器に貯留された刈り草が満杯などの設定量になると、揺動センサが刈り草の加圧作用によって下降揺動して検出手段が検出作動することにより、集草容器の刈り草貯留量が設定量になったことを検出できるようになったものである。
この種の検出装置としては、従来、例えば特許文献1に示されるように、取り付け部材92に回動軸芯108まわりで揺動自在に枢支されたレバー88(揺動センサに相当)、レバー88の第2部分102によって板ばね98を介してスイッチボタン100が操作される電気スイッチ96(検出手段に相当)を備えたものがあった。
【0003】
また、特許文献1に示されたものにあっては、取り付け部材92に連動固定されたスイングアーム106が軸芯126まわりで回動されることにより、取り付け部材92がスイングアーム106と一体的に軸芯126まわりで回動してレバー88を比較的まっすぐ水平に延びる姿勢にしたり、垂直の姿勢にしたりするようになっていた。
つまり、レバー88の角度位置を変更することにより、レバー88が上昇非検出姿勢にある状態でのレバー88の感圧面が上向き側や横向き側になるように感圧面の向き調節をすることができるようになっていた。
【0004】
【特許文献1】USP6,272,818(第7,8,9欄、図4−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の貯留量検出装置にあっては、集草容器に回収された刈り草が集草容器の刈り草投入口の付近に堆積して刈り草投入口に詰まりが発生する前に検出状態になるように、揺動センサを集草容器の刈り草投入口の下付近に配置される。
【0006】
刈り草には、乾燥しているなどによって軽いものと、濡れているなどによって重いものとがあり、軽い刈り草の場合、集草容器に送り込まれた刈り草は、集草容器内を飛散して拡散しながら落下し、容器内の全体にわたってほぼ均一な堆積高さで堆積して貯留される傾向にある。また、揺動センサがこれの揺動軸芯方向視での横方向から刈り草の加圧作用を受けるセンサである場合、刈り草が揺動センサを揺動させるべく揺動センサに対して作用する効率が比較的悪くなる。このため、軽い刈り草の場合、揺動センサがこれの横方向から刈り草の加圧作用を受けるようになっていると、揺動センサが下降揺動して検出手段が検出作動した際、既に刈り草が設定量を大きく越えて貯まっていたり、刈り草が刈り草投入口まで堆積していたりする事態が発生しやすくなる。
【0007】
重い刈り草の場合、集草容器に送り込まれた刈り草は、集草容器内に拡散しないで落下し、刈り草投入口に近い箇所よりも刈り草投入口から遠い箇所での堆積高さが高くなった状態で貯留されていく傾向にある。また、揺動センサがこれの集草容器上下方向での上方から刈り草の加圧作用を受けるセンサである場合、集草容器内に比較的多量の刈り草が貯まっていても、揺動センサの上方に刈り草があまり存在していなければ、揺動センサが下降揺動しにくくなる。このため、重い刈り草の場合、揺動センサがこれの上方から刈り草の加圧作用を受けるようになっていると、揺動センサが下降揺動して検出手段が検出作動した際、既に刈り草が設定量を大きく越えて貯まっていたり、刈り草が刈り草投入口まで堆積していたりする事態が発生しやすくなる。
【0008】
上記した従来の検出技術を採用すると、軽い刈り草の場合、揺動センサの感圧面が上向き側になるように揺動センサの角度調節を行うことにより、揺動センサがこれの上方から刈り草による加圧作用を受ける検出状況を現出することができ、重い刈り草の場合、揺動センサの感圧面が横向き側になるように揺動センサの角度調節を行なうことにより、揺動センサがこれの横側方から刈り草による加圧作用を受ける検出状況を現出することができるのであるが、刈り草の重さや濡れ度合いなどによって揺動センサの角度調節を行なう煩わしい手間が必要になっていた。
【0009】
本発明の目的は、刈り草が重い場合も軽い場合も、調節手間を必要としないで適切に検出することができる集草用容器用の貯留量検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本第1発明にあっては、集草容器の内部に上下揺動自在に位置するとともに集草容器内の刈り草による加圧作用を受ける揺動センサを備え、前記揺動センサの下降揺動の検出に基づいて集草容器の設定量の刈り草貯留を検出する検出手段を備えた集草容器用の貯留量検出装置において、
前記揺動センサの感圧部に、前記揺動センサが上昇非検出姿勢にある状態において集草容器上下方向での上向き面となる第1感圧面、及び、前記揺動センサが前記上昇非検出姿勢にある状態において揺動センサの揺動軸芯に沿う方向視での横向き面となる第2感圧面を備えてある。
【0011】
すなわち、揺動センサの感圧部に前記第1感圧面及び前記第2感圧面を備えてあるものだから、軽い刈り草の場合、刈り草が容器内の全体にわたってほぼ均一な堆積高さで堆積して貯留され、これによって揺動センサの上方に貯まった刈り草が揺動センサの第1感圧面に加圧作用する。すなわち、揺動センサは集草容器上下方向での上方から刈り草の加圧作用を受ける。これにより、揺動センサよりも上方での刈り草の堆積高さが低くて揺動センサに加圧作用する刈り草の重量が比較的小であっても、その刈り草重量の割には揺動センサが刈り草によって効率よく下降揺動操作され、実際の刈り草貯留量が設定量と大きく相違しないうちや、刈り草が刈り草投入口の位置する高さまで堆積しないうちに、揺動センサが下降揺動して検出手段が検出作動するという検出状況を現出することができる。
【0012】
また、重い刈り草の場合、刈り草投入口に近い箇所よりも刈り草投入口から遠い箇所での堆積高さが高くなった状態で貯留され、揺動センサの上方に刈り草があまり貯まっていなくても、揺動センサの揺動軸芯方向視での横側方に貯まった刈り芝が揺動センサの第2感圧面に加圧作用する。すなわち、揺動センサは横側方から刈り草の加圧作用を受ける。これにより、揺動センサの上方に貯まった刈り草があまりなくても、容器内に貯まった刈り草全体の貯留量が設定量と大きく相違しないうちや、刈り草が刈り草投入口の付近に堆積しないうちに、揺動センサが下降揺動して検出手段が検出作動するという検出状況を現出することができる。
【0013】
従って、本第1発明によれば、軽い刈り芝の場合には、揺動センサの第1感圧面によって揺動センサの上方から刈り草の加圧作用を受けて検出が行なわれ、重い刈り芝の場合には、揺動センサの第2感圧面によって揺動センサの横側方から刈り草の加圧作用を受けて検出が行なわれ、刈り芝が軽い場合も重い場合も、実際の貯留量が設定量と大きく相違してしまったり、刈り芝が刈り芝投入口の高さまで貯まって刈り芝投入口に詰まりが発生したりすることがないようにしながら貯留量検出を行なわせることができるものでありながら、揺動センサが上方からの刈り草加圧を受けるように調節したり、揺動センサが横側方からの刈り草加圧を受けるように調節したりする調節手間を掛ける必要がなくて楽に作業することができる。
【0014】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記揺動センサを集草容器に対して上下方向に位置変更する設置高さ調節手段を備えてある。
【0015】
すなわち、設置高さ調節手段を操作すると、揺動センサが集草容器に対して上昇側や下降側に位置変化し、たとえば刈り草の堆積高さが調節操作前よりも低いうちに揺動センサが刈り草の加圧作用によって下降揺動操作されたり、刈り草の堆積高さが調節操作前よりも高くなってから揺動センサが刈り草の加圧作用によって下降揺動操作されたりするように調節することができる。これにより、たとえば軽い刈り草の場合には揺動センサを集草容器に対して下降側に調節し、重い刈り草の場合には揺動センサを集草容器に対して上昇側に調節することにより、軽い刈り草の場合も重い刈り草の場合も、検出手段が検出作動する際の刈り草の堆積高さが同一またはほぼ同一になるように調節することができる。また、刈り草の重さに変化がなくても、揺動センサを集草容器に対して下降側に調節することにより、検出手段が検出作動する際の刈り草の堆積高さが調節操作前よりも低くなるように調節し、揺動センサを集草容器に対して上昇側に調節することにより、検出手段が検出作動する際の刈り草の堆積高さが調節操作前よりも高くなるように調節することができる。
【0016】
従って、本第2発明によれば、刈り草の重さなどの特性の変化の有無にかかわらず、検出手段が検出作動する際の刈り草の堆積高さが同一になったり変化したりするなどの種々の検出状態に調節して貯留量検出を行なわせることができる。
【0017】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記揺動センサの感度変更を行なう感度調節手段を備えてある。
【0018】
たとえば、軽い刈り草の場合、重い刈り草の場合に比べ、貯留量が多くても、刈り草の揺動センサに対する加圧作用が小になって揺動センサが下降揺動しにくくなり、重い刈り草の場合、軽い刈り草の場合に比べ、貯留量が少なくても、刈り草の揺動センサに対する加圧作用が大になって揺動センサが下降揺動しやすくなる。しかし、本第3発明にあっては、たとえば軽い刈り草の場合、感度調節手段を適切に操作することにより、揺動センサが刈り草による比較的弱い加圧作用にも反応して揺動するように、揺動センサの刈り草の加圧作用に対する感度を敏感な状態に調節し、刈り草の貯留量が設定量になれば、揺動センサが刈り草による加圧作用で検出姿勢に確実に下降揺動操作されて検出手段が検出作動するように検出精度のよい状態に調節することができる。また、重い刈り草の場合、感度調節手段を適切に操作することにより、揺動センサが刈り草の比較的弱い加圧作用には反応して揺動しなくなるように、揺動センサの刈り草の加圧作用に対する感度を鈍感に調節し、刈り草の貯留量が設定量又はほぼ設定量になっていないと、揺動センサが刈り草の加圧作用を受けていても検出姿勢に下降揺動操作されず、貯留量が設定量になることによって検出手段が検出作動するように検出精度のよい状態に調節することができる。
【0019】
従って、本第3発明によれば、刈り草の重さ変化があっても、揺動センサが刈り草による加圧作用に対して敏感や鈍感な状態に調節し、刈り草の重さ変化にかかわらず貯留量が同一又はほぼ同一になるなどの種々の検出状態に調節して所望の貯留量検出を行なわせることができる。
【0020】
本第4発明にあっては、本第1〜第3発明のいずれか一つの構成において、前記揺動センサの前記感圧部は、前記第1感圧面を有する棒状体と、前記第2感圧面を有する棒状体とが交差し合った状態で連結して成っている。
【0021】
すなわち、揺動センサの感圧部は、前記第1感圧面を有する棒状体と、前記第2感圧面を有する棒状体とが交差し合った状態で連結して成っているものである。これにより、第1感圧面を有する一辺と、第2感圧面を有する一辺とが隣り合った板状体によって感圧部が成るものを採用するに比して感圧部が軽量化するようにしながら第1感圧面及び第2感圧面を備えさせることができる。
【0022】
従って、本第4発明によれば、揺動センサが軽量な感圧部によって刈り草の加圧作用に対して敏感に応答して精度よく貯留量検出が行なわれる状態に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1、及び、左右一対の駆動自在な後車輪2を備え、かつ、車体前端部に前後輪1,2などに動力伝達するように設けたエンジン3などを有した原動部、及び、左右後輪2の間の上方に位置する運転座席4などを有した運転部を備えた自走車体の車体フレーム5の前後輪間に、リンク機構6を介して草刈り装置10を連結するとともに、前記エンジン3から草刈り装置10に動力伝達するように構成し、前記自走車体の後部の後車輪2の後方近くに集草容器20を設けるとともに、草刈り装置10の刈り草排出筒11を、前記左右後輪1,2の間を自走車体の前後方向に通るように配置したダクト30を介して前記集草容器20に連通させて、乗用型の草刈り機を構成してある。
【0024】
この草刈り機は、芝や草の刈り込み作業を行なうものであり、リンク機構6に連動された油圧式の昇降シリンダ(図示せず)を伸縮操作すると、この昇降シリンダがリンク機構6を車体フレーム5に対して揺動昇降操作することにより、草刈り装置10を接地ゲージ輪12が地面に接地した下降作業状態と、接地ゲージ輪12が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。草刈り装置10を下降作業状態にして自走車体を走行させると、草刈り装置10は、刈り刃ハウジング13の内部に自走車体横方向に並んで位置する駆動回動自在なブレード形の刈り刃14によって芝や草を切断し、刈り芝や刈り草(以下、単に刈り草と呼称する。)を、刈り刃14の回転によって発生する搬送風によって刈り刃ハウジング13の前記刈り草排出筒11から排出し、前記ダクト30によって左右後輪2,2の間を通して車体後方向きに搬送して集草容器20に供給する。集草容器20は、ダクト30からの刈り草を回収して貯留していく。
【0025】
図4に示すように、集草容器20は、車体フレーム5から後方向きに延出する支フレーム5aを介して車体フレーム5の後部に支持された車体前後方向視では矩形で、車体側面視では車体上下方向に沿った縦板状の壁体21と、この壁体21の後方側に位置する容器本体22とを備えて構成してある。
【0026】
容器本体22は、丸パイプ材で構成された容器フレーム23、及び、この容器フレーム23に連結された左右一対の横壁板24、底板、天板、後壁板によって箱形に構成してある。容器本体22の前端側に、前記容器フレーム23によって形成されている開口25を設けてある。
【0027】
容器本体22の内部に設けた左右一対の取り付けブラケット26を、前記壁体21から車体後方向きに延出され、かつ、容器本体22の内部に入り込むように配置された左右一対の支持アーム27の延出端部に各別に脱着及び回動自在に連結してあり、容器本体22は、図3(イ)の如く前記支持アーム27の先端部に位置する走行車体横向きの軸芯Xまわりで壁体21に対して上下に揺動開閉するように、かつ、図3(ロ)の如く取り付けブラケット26と支持アーム27の間で脱着することができるように壁体21に支持されている。
【0028】
図4,5などに示すように、前記ダクト30の後端部が前記壁体21のダクト孔Aに位置しており、ダクト30の後端側の開口が集草容器20の刈り草投入口32になっている。
【0029】
つまり、草刈り作業を行なう場合、集草容器20の容器本体22の天板に固定されているハンドル45や、容器本体22の天板から上方に突出しているハンドル46によって容器本体22を軸芯Xまわりで下降側に揺動操作し、容器本体22の開口25が車体前方向きになって壁体21によって閉じられた状態にして、集草容器20を集草用閉じ状態にする。集草容器20が集草用閉じ状態になると、壁体21の下端側の左右端部に上下揺動自在に設けてある閉じフック28(図4参照)を前記容器フレーム23に係合させて、集草容器20を集草用閉じ状態にロックし、この状態で作業走行する。すると、ダクト30は、このダクト30の前端側で草刈り装置10の刈り草排出筒11から刈り草を受け継いで草刈り装置10からの搬送風によって車体後方向きに搬送し、ダクト30の後端側で刈り草投入口32から集草容器20に送り込み、集草容器20は、ダクト30から刈り草と共に入り込んだ搬送風を横壁板24が備えている排風孔から集草容器外に排出しながら刈り草を壁体21と容器本体22とによって集草容器内に回収して貯留していく。
【0030】
集草容器20が満杯になった場合など、前記左右一対の閉じフック28の一方に連結された操作ロッド29(図4参照)を上昇操作し、この操作ロッド29が連結している閉じフック28を容器フレーム23から外れたロック解除状態に切換え操作するとともに、左右一対の閉じフック28を連結している一本の回転支軸28aの連動作用によって他方の閉じフック28もロック解除状態に操作して、閉じフック28による集草容器20の閉じロックを解除し、前記ハンドル45や46を操作して容器本体22を軸芯Xまわりで上昇側に揺動操作して容器本体22の開口25が壁体21から後方側に離れて車体下方向きに開口した上昇開き状態にする。すると、集草容器20が排出開口状態になり、集草容器内に貯留された刈り草を容器本体22の開口25から落下させて排出することができる。
【0031】
図5,7などに示すように、前記壁体21の前記ダクト孔Aのダクト30よりも集草容器上下方向での下側に位置する部分A1のための板金製の蓋体40を、この蓋体40の集草容器横方向での一端側に位置する集草容器上下方向での軸芯Yまわりで揺動開閉できるように構成して前記壁体21の車体後方側での側面がわ、すなわち集草容器内部側の側面がわに設け、前記蓋体21に、揺動センサ52及び検出スイッチ51を備えた貯留量検出装置50を設けてある。
【0032】
前記貯留量検出装置50は、集草容器20に貯留された刈り草が満杯などの設定量になると、これを検出するとともに運転部に位置する報知装置(図示せず)を作動させるように検出結果を検出スイッチ51によって出力するものであり、詳しくは、次の如く構成してある。
【0033】
図6,7に示すように、貯留量検出装置50は、前記蓋体40の裏面側に支持された検出装置取り付け体41の支持板部42に支軸53を介して取り付け基部52aが回動自在に連結された前記揺動センサ52、前記支持板部42に支持された前記検出スイッチ51、揺動センサ52の前記取り付け基部52aから延出しているスプリング支持アーム52dに連結されたコイル形のスプリング61を備えて構成してある。
【0034】
揺動センサ52には、前記取り付け基部52aから前記蓋体40のセンサ孔43を通って集草容器20の内部に延出して、前記刈り草投入口32の下方付近に位置しているとともに第1感圧面54及び第2感圧面55を有した感圧部52cを備えてある。揺動センサ52は、取り付け基部52a、スイッチ操作部52b、感圧部52c、スプリング支持アーム52dを樹脂材によって一体部品に作製した樹脂センサになっている。揺動センサ52の前記感圧部52cは、前記支軸53の軸芯Zに沿う方向視で前記第1感圧面54と前記第2感圧面55を直交又はほぼ直交し合った状態で備えるように、かつ、第1感圧面54を有する棒状体54aと、第2感圧面55を有する棒状体55aとが交差し合った状態で連結して成る屈曲杆状態になるように作製してある。
【0035】
すなわち、揺動センサ52は、感圧部52cが集草容器20の内部で前記支軸53の集草容器横向きの軸芯Zまわりで上下揺動する状態に支持されており、集草容器20内の刈り草が揺動センサ52の感圧部52cに加圧作用しない状態では、揺動センサ52は、スプリング61の重量と、揺動センサ52の重量との釣り合いにより、揺動センサ52のスプリング支持アーム52dがストッパー56に当接した上昇非検出姿勢になるようになっている。揺動センサ52が上昇非検出姿勢になった状態では、揺動センサ52の第1感圧面55が集草容器上下方向での上向き面となり、揺動センサ52の第2感圧面55が前記センサ揺動軸芯Zに沿う方向視で車体後方向きの横向き面となり、揺動センサ52のスイッチ操作部52bが検出スイッチ51の操作部51aから離れて検出スイッチ51をオフ操作するようになっている。集草容器20内の刈り草が揺動センサ52の感圧部52cに加圧作用すると、この加圧作用のために揺動センサ52の感圧部52cが前記軸芯Zまわりで下降揺動するとともにスイッチ操作部52bが軸芯Zまわりで前方側に揺動し、刈り草による加圧力が設定力になると、揺動センサ52は、スイッチ操作部52bが検出スイッチ51の操作部51aに当接した下降検出姿勢になるようになっている。下降検出姿勢になった揺動センサ52は、スイッチ操作部52bによって検出スイッチ51をオン操作するようになっている。
【0036】
図6に示すように、揺動センサ52に連結している前記スプリング61、このスプリング61の揺動センサ52に連結している側とは反対側の端部が連結されているスプリング支持杆に兼用の感度調節体62などを備えさせて、揺動センサ52のための感度調節手段60を構成してある。
【0037】
図6,7に示すように、感度調節体62の基端側は、前記検出装置取り付け体41に固定のブラケット63に装着されたボルトで成る支軸64に回動自在に支持され、感度調節体62の先端側は、前記検出装置取り付け体41に固定の調節ガイド体65に支持されており、感度調節体62の中間部に設けたスプリング掛けに兼用の操作部66が昇降操作されることにより、感度調節体62が前記支軸64の軸芯まわりで、図8の如き前記調節ガイド体65の集草容器上下方向のガイド溝67に沿わせて揺動昇降操作されるようになっている。感度調節体62がガイド溝67の上端側に上昇操作され、ガイド溝67に連通した調節ガイド体65の位置決め凹部68aに入り込ませて位置保持されると、感度調節体62は、敏感位置Bに操作されるとともに保持され、揺動センサ52が上昇非検出姿勢にある状態においてスプリング61が自由状態になるようにスプリング61を緩め状態に操作するようになっている。感度調節体62がガイド溝67の下端側に下降操作され、ガイド溝67に連通した調節ガイド体65の位置決め凹部68bに入り込ませて位置保持されると、感度調節体62は、鈍感位置Cに操作されるとともに保持され、揺動センサ52が上昇非検出姿勢から下降するに伴ってスプリリング61が弾性変形操作される状態になるようにスプリング61を引っ張り操作するようになっている。
【0038】
これにより、感度調節体62が敏感位置Bに操作されると、感度調節手段60は、揺動センサ52が下降揺動してもスプリング61がほとんど弾性変形されてなくて揺動センサ52の下降揺動にスプリング61によって抵抗を与えることがほとんどなく、揺動センサ52が刈り草による比較的弱い加圧作用にも反応して揺動するように、揺動センサ52の刈り草の加圧作用に対する感度を敏感な状態に調節する。これに対し、感度調節体62が鈍感位置Cに操作されると、感度調節手段60は、揺動センサ52が下降揺動するに伴ってスプリング61が弾性変形されて揺動センサ52の下降揺動にスプリング61によって抵抗を与え、揺動センサ52が刈り草による比較的弱い加圧作用には反応して揺動することがないように、揺動センサ52の刈り草の加圧作用に対する感度を鈍感な状態に調節する。
【0039】
図7などに示すように、前記検出装置支持体41を前記蓋体40に締め付け固定する連結ねじ71、前記連結ねじ71が装着されるように前記検出装置支持体41に設けたボルト孔72により、揺動センサ52のための設定高さ調節手段70を構成してある。
【0040】
すなわち、前記ボルト孔72は、集草容器20の上下方向に沿った長孔になっており、検出装置取り付け体41が前記ボルト孔72や、蓋体40の長孔形のねじ孔40aに沿わせて蓋体40に対して昇降操作されることにより、揺動センサ52が蓋体40の長孔形のセンサ孔43に沿って蓋体40に対して昇降し、かつ、検出スイッチ51及び感度調節手段60も揺動センサ52と共に蓋体40に対して昇降することにより、設定高さ調節手段70は、揺動センサ52を集草容器20に対して集草容器20の上下方向に位置変更し、かつ、検出スイッチ51及び感度調節手段60も揺動センサ52と共に位置変更する。
【0041】
これにより、貯留量検出装置50は、次の如く作動する。
すなわち、刈り草が乾燥しているなどによって軽い場合、図9(イ)に示す如く集草容器20に送り込まれた刈り草は、集草容器内を飛散して拡散しながら落下し、容器内の全体にわたってほぼ均一な堆積高さで堆積して貯留される傾向にある。この場合、揺動センサ52の上方に貯まった刈り草が揺動センサ52の第1感圧面54に加圧作用する。すなわち、揺動センサ52は、揺動センサ52の集草容器上下方向での上方から刈り草の加圧作用を受ける。これにより、揺動センサ52よりも上方での刈り草の堆積高さが低くて揺動センサ52に加圧作用する刈り草の重量が比較的小であっても、その刈り草重量の割には揺動センサ52が刈り草によって効率よく下降揺動操作される。このため、集草容器20に刈り草が貯留されるに伴い、刈り草貯留量が揺動センサ52の配置高さによって決まる設定量と大きく相違しないうちに、かつ、刈り草が刈り草投入口32の付近に堆積しないうちに揺動センサ52が下降検出姿勢に下降揺動して検出スイッチ51をオン操作し、検出スイッチ51が揺動センサ52の下降検出姿勢への揺動を検出し、これによって刈り草貯留量が設定量になったと検出してこの検出結果を電気信号にして出力する。
【0042】
これに対し、刈り草が濡れているなど重い場合、図9(ロ)に示す如く集草容器20に送り込まれた刈り草は、集草容器内に拡散しないで落下し、刈り草投入口32に近い箇所よりも刈り草投入口32から遠い箇所での堆積高さが高くなった状態で貯留されていく傾向にある。この場合、揺動センサ52の上方に刈り草があまり貯まっていなくても、揺動センサ52のセンサ揺動軸芯方向視での横側方に貯まった刈り芝が揺動センサ52の第2感圧面55に加圧作用する。すなわち、揺動センサ52はセンサ横側方から刈り草の加圧作用を受ける。これにより、集草容器20に刈り草が貯留されるに伴い、刈り草貯留量が揺動センサ52の配置高さによって決まる設定量と大きく相違しないうちに、かつ、刈り草が刈り草投入口32の付近に堆積しないうちに揺動センサ52が下降検出姿勢に下降揺動して検出スイッチ51をオン操作し、検出スイッチ51が揺動センサ52の下降検出姿勢への揺動を検出し、これによって刈り草貯留量が設定量になったと検出してこの検出結果を電気信号にして出力する。
【0043】
さらに、軽い刈り草の場合、また、重い刈り草であっても、刈り草が長くて密集密度の薄くなった状態で堆積し、堆積量の割には揺動センサ52に対する加圧作用が弱くなる刈り草の場合、設置高さ調節手段70によって揺動センサ52を集草容器20に対して下降側に調節し、重い刈り草の場合、設置高さ調節手段70によって揺動センサ52を集草容器20に対して上昇側に調節することにより、軽い刈り草の場合も重い刈り草の場合も、検出スイッチ51が検出作動する際の刈り草の堆積高さが同一またはほぼ同一になるように調節することができる。また、刈り草の重さに変化がなくても、設置高さ調節手段70によって揺動センサ52を集草容器20に対して昇降調節することにより、検出スイッチ51が検出作動する際の刈り草の堆積高さが調節操作前よりも低くなるように調節したり、検出スイッチ51が検出作動する際の刈り草の堆積高さが調節操作前よりも高くなるように調節したりすることができるようになっている。
【0044】
さらに、たとえば、軽い刈り草の場合、また、重い刈り草であっても、刈り草が長くて密集密度の薄くなった状態で堆積し、堆積量の割には揺動センサ52に対する加圧作用が弱くなる刈り草の場合、重い刈り草の場合に比べ、刈り草の貯留量が多くても、刈り草の揺動センサ52に対する加圧作用が小になって揺動センサ52が下降揺動しにくくなり、重い刈り草の場合、軽い刈り草の場合に比べ、刈り草の貯留量が少なくても、刈り草の揺動センサ52に対する加圧作用が大になって揺動センサ52が下降揺動しやすくなる。このため、軽い刈り草の場合、感度調節手段60により、揺動センサ52の刈り草の加圧作用に対する感度を敏感な状態に調節し、刈り草の貯留量が設定量又はほぼ設定量になっておれば、揺動センサ52が刈り草による加圧作用で十分に下降揺動操作されて検出スイッチが検出作動するように調節することができる。また、重い刈り草の場合、感度調節手段60により、揺動センサ52の刈り草の加圧作用に対する感度を鈍感に調節し、刈り草の貯留量が設定量又はほぼ設定量になっていないと、揺動センサ52が刈り草の加圧作用を受けていても十分に下降揺動操作されなくて検出スイッチ51が検出作動しないように調節することができるようになっている。
【0045】
図4,10に示すように、前記ハンドル46の握り部46aを、前記ハンドル46のうちの集草容器本体22内に固定された筒体46bに対してねじ部46cによって脱着自在に連結し、前記筒体46bに抜き差し自在な清掃棒47を前記握り部46aに連結してある。
すなわち、作業時などにおいては、清掃棒47を紛失や持参忘れしないようにハンドル46の筒体46b内に収容しておくことができ、集草容器20の内部に付着した刈り草を清掃する際、清掃棒47をハンドル46aの筒体46bから取り出して使用することができるようになっている。
【0046】
〔別実施例〕
前記検出スイッチ51に替えてポテンショメータなどを採用して貯留用検出装置50を構成しても、本発明の目的を達成することができるのであり、検出スイッチ51、ポテンショメータなどを総称して検出手段51と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】乗用型草刈り機全体の側面図
【図2】乗用型草刈り機全体の平面図
【図3】(イ)は、集草容器の刈り草排出状態での側面図、(ロ)は、自走車体後部の容器本体取り外し状態での側面図
【図4】集草容器の縦断側面図
【図5】集草容器の壁体の後面図
【図6】貯留量検出装置の側面図
【図7】貯留量検出装置の斜視図
【図8】調節ガイド体の正面図
【図9】(イ)は、軽い刈り草の堆積状態を示す説明図、(ロ)は、重い刈り草の堆積状態を示す説明図
【図10】清掃棒の収納状態を示す断面図
【符号の説明】
【0048】
20 集草容器
51 検出手段
52 揺動センサ
52c 揺動センサの感圧部
54 第1感圧面
54a 第1感圧面を備えた棒状体
55 第2感圧面
55a 第2感圧面を備えた棒状体
60 感度調節手段
70 設置高さ調節手段
Z 揺動センサの揺動軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集草容器の内部に上下揺動自在に位置するとともに集草容器内の刈り草による加圧作用を受ける揺動センサを備え、前記揺動センサの下降揺動の検出に基づいて集草容器の設定量の刈り草貯留を検出する検出手段を備えた集草容器用の貯留量検出装置であって、
前記揺動センサの感圧部に、前記揺動センサが上昇非検出姿勢にある状態において集草容器上下方向での上向き面となる第1感圧面、及び、前記揺動センサが前記上昇非検出姿勢にある状態において揺動センサの揺動軸芯に沿う方向視での横向き面となる第2感圧面を備えてある集草容器用の貯留量検出装置。
【請求項2】
前記揺動センサを集草容器に対して上下方向に位置変更する設置高さ調節手段を備えてある請求項1記載の集草容器用の貯留量検出装置。
【請求項3】
前記揺動センサの感度変更を行なう感度調節手段を備えてある請求項1又は2記載の集草容器用の貯留量検出装置。
【請求項4】
前記揺動センサの前記感圧部は、前記第1感圧面を有する棒状体と、前記第2感圧面を有する棒状体とが交差し合った状態で連結して成っている請求項1〜3のいずれか1項に記載の集草容器用の貯留量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−246780(P2006−246780A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67208(P2005−67208)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】