説明

雑草発生防止用アスファルトシートの敷設設備

【課題】第一に、アスファルト舗装面に隣接して直立するコンクリートブロック側面との境界の雑草発生を防止する。
【解決手段】境界にアスファルト被覆の不織布(アスファルトシート)を溶融して断面L字状に敷設する設備として、移動容易な台車内の支柱と一体の作業用支柱にアスファルトシートのロール巻き体を取り出し容易に保持し、作業用支柱にアスファルトシートを断面L字状に折り曲げる初期の成形具とガイド板を置き、ガスバーナーを配置し、作業用支柱の下端の枠組に、アスファルトシート敷設用の回転体として、敷設時、アスファルトシート面との接触部が直交する2直線をなし、直径比が2対1程度の大小2個の回転体で、前段の若干高位置に誘導用の小の回転体を、後段に敷設用の大の回転体を置き、それぞれ枠組で軸支し、アスファルトシートを敷設する際の位置決めハンドルを大の回転体を軸支する枠組に連結して、溶融アスファルトシートを敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスファルト舗装面とそれに隣接するコンクリート面との境界にアスファルトシートを敷設して固定し、雑草が発生するのを防止するための設備に関し、アスファルト舗装とコンクリートの両面が直交する場合と平面的に接続する場合とに対応するものである。
【0002】
近年ブローンアスファルト単体を他の骨材や添加剤と共に基材の上に載置し打設するのに対し、シート状に形成したアスファルトシートが性能や作業性などで種々の優れた面があるため、路面の舗装や修理などに広く使用されるようになった。敷設作業ではバーナーで表面を加熱溶融させ平面部に載置するのが殆んどであるが、敷設する面が平坦でないと敷設が困難である。従来、角度をもって接している2面にまたがって1枚のアスファルトシートを敷設することが困難であるため、特許文献1記載のようにアスファルトシートの端部がコンクリート壁部に密接された状態で折り返して敷設されているが、防草効果が不充分であるばかりでなく、作業が甚だ煩雑である。ほかに、特許文献2によれば、構造物の側壁に防草アスファルトシートの端部が接するように配置してから、構造物の側壁と防草アスファルトシートの端部で形成される隅部に充填材料を配置する方法が提案されているが、きわめて煩雑であるばかりか、なお雑草が発生する傾向があり、改善が望まれている。
【0003】
そこで、本出願人は、さきに、アスファルト舗装面に隣接して直交するコンクリートブロック側面の基部に雑草が発生するのを防止し、従来のものを改善する目的で、境界にアスファルト被覆の不織布(以下、アスファルトシートと略記)のアスファルトを溶融して断面L字状に被覆する設備として、移動容易な台車上に、アスファルトシートのロール巻き体を取り出し容易に載置し、台車上の支柱に支持具を介して作業用支柱を設け、作業用支柱の中程にアスファルトシートを断面L字状に折り曲げる成形用治具および押当て板を設け、作業用支柱の下端の枠に、アスファルトシート敷設用の回転体として、アスファルトシートとの接触部が直交する二直線をなすものを軸支し、円環の軸支枠にアスファルトシートを敷設する際の位置決めハンドルの下端を連結しておき、アスファルトの溶融用ガスバーナーを配置してある設備をを提案して試みたが、アスファルト舗装面とコンクリートブロック側面が直交する場合、1個の敷設用回転体の押圧により、アスファルトシートの折り曲げた面の表面からアスファルトがはみ出し、また、表面にしわが生じ易く、仕上がりが悪く、その表面が接触物により損傷を招くおそれがあり好ましくないので、この点の解決を研究してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000ー170107号公報
【特許文献2】特開2010ー209619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はさきに出願を試みた設備によりアスファルトシートの幅部のL字状折り曲げ端からアスファルトがはみ出し、また、仕上げ面にしわが生じ易く、接触物により損傷を招くおそれがあるという好ましくない点の解決を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここにおいて、本発明者は第一の発明として、アスファルト舗装面とそれに隣接して突出するコンクリートブロック側面との境界に所定幅のアスファルト含浸不織布(以下、アスファルトシートと略記)を所定区間断面L字状に曲折して被覆する設備として、移動容易な台車1と作業用支柱5と枠組9と位置決めハンドル12とからなり、台車1には水平回動と上下移動が自在の支柱2を立設し、燃料入りボンベ3を搭載し、支柱2が水平腕4を介してアスファルトシートの初期成形具5の収納部を固定し、後述する前段の車輪状回転体10に至るまで、初期成形具5以降に、アスファルトシート15の形状維持用にガイド板を置き、作業用支柱6を初期成形具5の収納部に接合固定し、作業用支柱6の頂部にアスファルトシートのロール巻き体7を取付けてあり、作業用支柱6下端の枠組9を介してバーナー類8を取付け、作業用支柱6下端の枠組9を用いてアファルトシートを敷設位置に誘導する前段の車輪状回転体10を軸支(軸を回転可能に支持するの意)してあり、さらに、前段の車輪状回転体と所定間隔を設けて下流位置に、アスファルトシート敷設用の車輪状回転体11を後段で軸支してあり、前段と後段の車輪状回転体10、11は、図2に例示するごとく、その回転面の中心点を通り回転面と直交する周縁の断面が、直角二等辺をなしており、前段の回転体10は、後段の回転体11に比し原則半分の直径を有し、また敷設面から若干浮上した位置に設置してあり、位置決めハンドル12が枠組9に連結されてあることからなるアスファルトシートの敷設用設備を見出し、上記の初期成形具5として、引き込まれるアスファルトシートの幅の中央を、回転自在に軸支されタテ方向に回転する薄型円板の周縁で折り曲げ、さらに断面がV字型の板2枚を重ねた間隙を通過させて一層つよく折り曲げるようにしてあるものを使用することにした。
【0007】
さらに、第二の発明として、上記アスファルトシートの敷設用設備において、位置決めハンドル12の下部において分岐している、円柱状補助ローラーの支持棒13が、そこにある蝶番16を介し曲折部を伸ばし、位置決めハンドル12を押し下げて補助ローラー14の作動を可能にし、他は上記、アスファルトシートのL字状敷設の場合と同様に操作して、アスファルトシートの折り目で敷設の位置決めをし、補助ローラー14の作動によりアスファルト舗装面と平面的に隣接するコンクリート面の境界に平板状にアスファルトシートを被覆するようにしたアスファルトシートの敷設用設備をも見出すに至った。
【発明の効果】
【0008】
第一の発明の設備およびその軽微な追加である第二の発明の設備により、コンクリートブロック側面と隣接するアスファルト舗装面の境界にアファルトシートを加熱溶融して断面L字状に敷設する作業が円滑、迅速にできるので経済的であり、雑草の発生阻止と同時に防水の効果も得られる。すなわち、第一の発明により、直立するコンクリートブロック側面と隣接するアスファルト舗装面の境界にアスファルトを加熱溶融してアスファルトシートを敷設すればアスファルトのはみ出しや表面にしわの発生もなく、仕上がりよく敷設作業が迅速にでき、雑草の発生阻止効果が得られ、また、第二の発明により平面的に接続する境界に対しても第一の発明と同様の効果が得られるので、本発明はその実用的利用価値が高いものと考える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】断面L字状に敷設したアスファルトシートの状態を示す説明図
【図2】実施例による車輪状回転体の正面図(a)と、その側面図(b)
【図3】断面L字状の敷設面に対する作業時における回転体の姿勢を示す説明図
【図4】断面L字状の敷設を可能とする実施例による敷設設備一式を示す説明図
【図5】断面L字状のほか平面状の敷設も可能とする実施例による敷設設備一式を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するにあたり、あらかじめ合成樹脂の長繊維による不織布を所定形状に加工して芯材とし、それにアスファルトを充分含浸し被覆したシートを適宜乾燥後、所定寸法に切断しロール状に巻き上たものを使用する。その際、シートの表面に耐磨耗性のある粉粒体を付着して耐久性を付与したほうが望ましい。不織布に使用する合成樹脂はとくに限定されないが、現今多用され、俗にペット樹脂と俗称されるポリエチレンテレフタレートの再生品などを活用することができる。
【0011】
ところで現今、不織布にアスファルトを含浸させたアスファルト被覆部材には市販品があり、綾羽(アヤハ)株式会社(滋賀県高嶋市)から販売されており、段差のないコンクリート部とアスフルト部の境界に使用することが紹介されているが、効果的な敷設設備なしでは作業が容易でない。
なお、市販品としてのアスファルトシートは、幅15cm、長さ10m、厚さ3.2mmのものが該社から販売されているので入手することができる。本発明ではかような市販品を使用している。
【0012】
ここで、本発明による敷設設備による操作手順を概略述べれば、アスファルトシートは初期成形具5により初期の成形がなされたあと、ガイド板で形状を維持されながら作業用支柱6の下端に導かれ、アスファルトシート15の敷設面を、台車上のガスボンベや点火装置、ガスバーナーの配置により加熱溶融してから、所定の位置で作業用支柱6の下端にある枠組9で軸支されている前段の小型車輪状回転体10による圧接を経て、引き続き適宜間隔で敷設用に前者同様、枠組9で軸支されている大型車輪状回転体11によりアスファルトシート15を押圧して図1に示す状態に敷設する。
【0013】
敷設用の車輪状回転体11には軸支されている枠組9を介して位置決めハンドル12が連結していて、アスファルトシートの折り目を所定位置に導いて敷設を仕上げる。
【0014】
図3には敷設面に対する敷設用の車輪状回転体11の姿勢を示してあり、敷設用の車輪状回転体11は直交する敷設面のそれぞれに対し45度の傾斜をしながら回転をすることになる。
【0015】
以上をまとめ、アスファルトシートを敷設する手順について補足すれば、アスファルトシートを初期成型具5でおよそ断面L字状に成形し、引き続きガイド板でその形状を維持し、作業用支柱6下端の枠組9で軸支されている大小の車輪状回転体11、10の位置を台車や支柱の位置を動かして設定し、敷設するアスファルトシート面を加熱溶融し、アスファルトシート15を敷設位置に台車1の移動で誘導し、小型車輪状回転体10で誘導し、大型車輪状回転体11の外周面の回転押圧により所定の箇所にアスファルトシート15を敷設することができる。
【実施例1】
【0016】
図4に示した、本発明によるアスファルトシートを断面L字状にする敷設設備について説明すれば、アスファルト舗装面とそれに隣接して突出するコンクリートブロック側面との境界に所定幅の不織布にアスファルトを含浸し被覆したアスアファルトシートを所定区間断面L字状に曲折して被覆する設備として、移動容易な台車1と作業用支柱6と枠組9と位置決めハンドル12とからなり、台車1は車内に水平の回動と上下移動自在の支柱2を立設し、燃料入りボンベ3を搭載し、車内の支柱2は水平腕4を介してアスファルトシートの初期成形具5の収納部を固定し、アスファルトシート15は後述する前段の車輪状回転体10に至るまで、初期成形具5を経たあともその形状維持にガイド板を置き、作業用支柱6は初期成形具5の収納部に接合してあり、作業用支柱6の頂部にアスファルトシートのロール巻き体7を取付けてあり、作業用支柱6の下方に枠組9を介しバーナー類8を取り付けて保持し、作業用支柱6の下端の枠組9を介してアファルトシート15を敷設位置に誘導する前段の車輪状回転体10を軸支(軸を回転可能に支持するの意)してあり、さらに、前段の車輪状回転体10と後段の車輪状回転体11の中心間の距離を300mmにとり、敷設用の車輪状回転体11を枠組9で軸支してあり、前段および後段の車輪状回転体10、11は図2に示すごとき形状のものを使用し、前段と後段の車輪状回転体10、11は直径比が1対2(直径150mmと300mm)と異なるものを使用し、前段の車輪状回転体10を敷設面から3cm高位置に保持してある。なお、車輪状回転体11の周縁の直角をなす二等辺の全長は、アスアファルトシートの幅に見合うものである。また、枠組9には位置決めハンドル12を連結してある。
【0017】
この実施例で使用される初期成形具5は、引き込まれるアスファルトシートの幅の中央を、回転自在に軸支されているタテ回転の薄型円板の周縁で折り曲げ、さらに断面V字型の板二枚を重ねた間隙を通過させて一層つよく折り曲げるようにしてあるものである。
【0018】
また、実施例において初期成形具5を経たあとのアスファルトシート15の形状を維持させるため、ガイド板として、断面がハの字を上下逆さにした形状の板面を設け、その内側をアスファルトシート15が通過するようにしている。
【0019】
以上の設備を用い熱溶融したアスファルトシートを敷設するにあたり、大小の車輪状回転体10、11がアスファルトシートに当接するようその位置を決めるため、台車1を移動し、かつ車内の支柱2の位置をその水平方向の回動と上下移動を組合せて調整し、作業用支柱6の下端が敷設位置を平行に移動できるようにする。
【0020】
なお、敷設作業にあたり、アスファルトシート15は敷設直前までにガスバーナーで加熱されアスファルトが溶融し、位置決めハンドル12先端の枠組9で車輪状回転体10、11を軸支する枠組9を把握して、車輪状回転体11を押圧すれば、所定位置にアスファルトシート15の敷設がおこなわれる。このようにして作業用支柱6の下端位置を維持し台車1で平行移動を続ければ敷設作業が順調におこなわれる。
【実施例2】
【0021】
アスファルトシートを平面的に敷設する方法について述べれば、実施例1における図4の設備に追加した図5の設備について説明するが、蝶番16を介し補助ローラー支持棒13を伸長し、位置決めハンドル12で押し下げて円柱状の補助ローラー14の作動を可能にしてから、アスファルトシート15を初期成型具5で断面L字状に成形し、ガイド板を経たアスファルト面を加熱溶融し、位置決めハンドル12で円柱状である補助ローラー14を押圧位置に誘導してから、アスファルトシート15の折り目をみながら、その敷設位置を確認して補助ローラー14を押圧回転すればアスファルトシート15を平面状に敷設することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のアスファルトシートの敷設設備の使用により、アスファルトシートの敷設作業が迅速かつ経済的にでき、防草効果が確実に得られるので、国内の各所で本発明の敷設設備を広く利用すれば、その経済効果は大きいものと思われる。
【符号の説明】
【0023】
台車 1
支柱 2
ボンベ 3
水平腕 4
初期成形具 5
作業用支柱 6
アスファルトシートのロール巻き体 7
バーナー類 8
枠組 9
前段の車輪状回転体 10
敷設用の車輪状回転体 11
位置決めハンドル 12
補助ローラー支持棒 13
補助ローラー 14
アスファルトシート 15
蝶番 16

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト舗装面とそれに隣接して突出するコンクリートブロック側面との境界に所定幅のアスファルト含浸不織布(以下、アスファルトシートと略記)を所定区間断面L字状に曲折して被覆する設備として、移動容易な台車(1)と作業用支柱(5)と枠組(9)と位置決めハンドル(12)とからなり、台車(1)には水平の回動と上下移動が自在の支柱(2)を立設し、燃料入りボンベ(3)を搭載し、支柱(2)は水平腕(4)を介してアスファルトシートの初期成形具(5)の収納部を固定し、後述する前段の車輪状回転体(10) に至るまで、初期成形具(5)以降にアスファルトシートの形状維持のためガイド板を置いてあり、作業用支柱(6)を初期成形具(5)の収納部に接合固定し、作業用支柱(6)の頂部にアスファルトシートのロール巻き体(7)を取付け、作業用支柱(6)下端の枠組(9)を介してバーナー類(8)を取付け、作業用支柱(6)下端の枠組(9)を用いてアファルトシートを敷設位置に誘導する前段の車輪状回転体(10)を軸支(軸を回転可能に支持するの意)してあり、さらに、前段の車輪状回転体(10)と所定間隔を設けて下流位置に、アスファルトシート敷設用の車輪状回転体(11)を後段で軸支してあり、前段と後段の車輪状回転体(10、11) は、図2に例示するごとく、その回転面の中心点を通り回転面と直交する周縁の断面が、直角二等辺をなしており、前段の回転体(10)は、後段の回転体に比し、原則半分の直径を有し、また敷設面から若干浮上位置に設置してあり、位置決めハンドル(12)が枠組(9)に連結されてあることからなるアスファルトシートの敷設用設備。
【請求項2】
使用する初期成形具(5)が、引き込まれるアスファルトシートの幅の中央を、回転自在に軸支されタテ方向に回転する薄型円板の周縁で折り曲げ、さらにV字型の板2枚を重ねた間隙を通過させて一層つよくV字型に折り曲げるようにしてある請求項1記載のアスファルトシートの敷設用設備。
【請求項3】
請求項1記載のアスファルトシートの敷設用設備において、位置決めハンドル(12)の下部において分岐している、円柱状補助ローラーの支持棒(13)の蝶番(16)を介し曲折部を伸ばし、位置決めハンドル(12)を押し下げて補助ローラー(14)の作動を可能にし、他はアスファルトシートのL字状敷設の場合と同様の操作をし、アスファルトシートの幅中央の折り目で敷設の位置決めをし、補助ローラー(14)の作動によりアスファルト舗装面と平面的に隣接するコンクリート面の境界に平板状にアスファルトシートを被覆するアスファルトシートの敷設用設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−132299(P2012−132299A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253381(P2011−253381)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(505272777)有限会社 邦和産業 (1)
【Fターム(参考)】